JP3233714B2 - 粉末状のアルカリ金属アジ化物 - Google Patents

粉末状のアルカリ金属アジ化物

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JP3233714B2 JP02964993A JP2964993A JP3233714B2 JP 3233714 B2 JP3233714 B2 JP 3233714B2 JP 02964993 A JP02964993 A JP 02964993A JP 2964993 A JP2964993 A JP 2964993A JP 3233714 B2 JP3233714 B2 JP 3233714B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬、写真薬等の原料
であるテトラゾール類の主たる出発原料として、また、
自動車用安全装置であるエアーバッグ用のガス発生剤と
して極めて有用な化合物であるアルカリ金属アジ化物粉
体及びその製造法に関し、詳しくは、大部分の粒子の形
状がほゞ球形の海綿状である、製造が容易で且つ取扱上
危険性が極めて少ないアルカリ金属アジ化物粉体及びそ
の製造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、アルカリ金属アジ化物の製造
法はいくつか知られており、例えば、米国特許第1,6
28,380号公報には、ヒドラジンと亜硫酸アルキル
エステルとの反応を含水反応媒体(non−anhyd
rous reactionmediums)中で行う
方法および実質的に非水反応媒体(anhydrous
reaction mediums)中で行う方法に
ついて記載されている。また、西独特許第1,144,
243号公報には、ナトリウムアミド亜酸化二窒素との
反応を液体アンモニア中で行う方法について記載されて
いる。
【0003】しかしながらこれらの従来法によるアルカ
リ金属アジ化物は、一般にその結晶形状が板状もしくは
その塊状凝集体であり、いずれも自己分解特性が激越
で、その取扱いには消防法危険物第5類第1種として極
めて厳しい規制をうけている。そのため、アルカリ金属
アジ化物を大量に取扱うには設備に多額の投資が必要で
あること、また、その輸送に際しては輸送数量、包装形
態などに厳しい規制があること、などの問題点がある。
【0004】更に、従来法によるアルカリ金属アジ化物
はその平均粒径が一般に50μ以上であるが、特にエア
ーバッグ用ガス発生剤としては、通常、平均粒径30μ
以下などの微細なアルカリ金属アジ化物が好んで使用さ
れるため、粉砕工程が不可欠となり、安全性の面から装
置上特別な工夫が必要となる。このようにアルカリ金属
アジ化物としては、自己分解特性が穏やかで、より微細
化を要するときにも粉砕が容易なものが望まれていた。
【0005】
【発明が解決すべき課題】本発明者等は、従来のアルカ
リ金属アジ化物の有した激越な自己分解特性を大幅に改
善し、自己分解特性の穏やかなアルカリ金属アジ化物を
得るために検討を行ってきた。その結果、例えば、市販
のアルカリ金属アジ化物の水性溶媒中の溶液を、例えば
噴霧乾燥することにより製造されるアルカリ金属アジ化
物粉体は、粒子形状がほゞ球形の海綿状構造を有してお
り、このような形状のアルカリ金属アジ化物は、その自
己分解特性が極めて緩やかであることを見いだし、本発
明を完成するに至った。
【0006】
【本発明の詳細】本発明によれば、大部分の粒子の形状
が、海綿状でほゞ球形であるアルカリ金属アジ化物が提
供される。
【0007】本明細書において、大部分の粒子の「大部
分」とは、粒子の70重量%以上、好ましくは80重量
%以上、最も好ましくは90重量%以上を意味する。
【0008】本発明のアルカリ金属アジ化物粉体の粒子
の形状は、図1〜図3に示す走査型電子顕微鏡写真に見
られるように海綿状構造であり、微量の粗大な異形粒子
を含んでいることもあるが、主として球形、楕球形など
略球形の微細粒子状である。そしてその粒径は、一般に
約10〜500μ程度であり、該異形粒子を除いた略球
形の微細粒子状アルカリ金属アジ化物では、その体積平
均粒径が約20〜100μ、特には約40〜80μ程度
のものである。このような形状のアルカリ金属アジ化物
は、本発明の出願前全く知られていない。
【0009】本発明による粉末状のアルカリ金属アジ化
物は、大部分の粒子の形状が海綿状でほゞ球形のもので
あるが、好適には超音波分散処理における体積平均粒径
比が0.4以下、好ましくは0.35以下と小さい。該
粒径比は、後に詳述する超音波分散処理法により、n−
ヘプタン中に懸濁させたアルカリ金属アジ化物を超音波
浴槽中に浸漬して超音波処理した際の、処理後の体積平
均粒径を処理前の体積平均粒径で割った値で表したもの
である。それ故、粒径比が小さい程、超音波分散処理に
より粒径が小さくなり易いことを示す。該粒径比が0.
4を超えて大き過ぎると、自己分解特性が激越になる傾
向があるので好ましくない。
【0010】本発明の更に好適な態様においては、本発
明による粉末状のアルカリ金属アジ化物は、その体積平
均粒径が10〜150μ、好ましくは20〜100μ、
より好ましくは40〜80μであり、そのBET法比表
面積が0.4〜1.0m2/g、好ましくは0.45〜
0.9m2/gである。
【0011】BET法比表面積が0.4m2/g未満と
小さ過ぎては、上記粒径比の大きな粒子の量が増える傾
向があるので好ましくなく、一方1.0m2/gを超え
て大き過ぎると異形粒子の混入量が増える傾向があるの
で好ましくない。また何れの場合も粒子の微細化を要す
るとともに粉砕がやゝ困難になるので好ましくない。本
発明におけるアルカリ金属アジ化物とは、例えばアジ化
リチウム、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム等が例示
でき、これらのうちアジ化ナトリウムが最も一般的であ
る。
【0012】本発明のアルカリ金属アジ化物粉体の製造
法としては、アルカリ金属アジ化物の水性溶媒中の溶液
の噴霧乾燥法または凍結乾燥法などを挙げることができ
るが、製造操作の容易さなどの理由から、噴霧乾燥法を
用いるのが好ましい。
【0013】このようなアルカリ金属アジ化物の水溶性
溶媒中の溶液は、一般に市販されているアルカリ金属ア
ジ化物を水性溶媒中に溶解させることにより調製するこ
とができる。該アルカリ金属アジ化物は、特に限定され
るものではなく、どのような結晶形であってもよく、ま
た、どのような製造法によるものでもよい。該アルカリ
金属アジ化物の純度は、一般に97重量%以上、好まし
くは99重量%以上である。
【0014】また、前記アルカリ金属アジ化物の水性溶
媒中の溶液としては、本発明の出願人が特願平3−14
0688号で提案した方法−すなわち、水性溶媒中でア
ルカリ金属水酸化物の存在下、ヒドラジンと亜硝酸アル
キルエステルとをヒドラジンが特定反応率範囲になるよ
うに反応させる方法−によって得られるアルカリ金属ア
ジ化物の湿結晶を水性溶媒に再溶解したものも好適に使
用できる。該湿結晶は、移送及び取扱いに際して極めて
安全性が高く、乾燥工程を経ていないためコスト面でも
低廉化できるので好ましい。
【0015】アルカリ金属アジ化物の水性溶媒溶液中の
アルカリ金属アジ化物濃度は、その水性溶媒における該
アルカリ金属アジ化物の飽和濃度までの適宜の濃度であ
ればよいが、一般に5〜30重量%、好ましくは10〜
25重量%程度であるのがよい。
【0016】上記水性溶媒とは、水の含有量が50重量
%以上、好ましくは90重量%以上の溶媒をいう。該水
性溶媒は、水の他に反応の妨げにならないものであれば
適宜の親水性有機溶媒が混入してもよいが、火災や爆発
等の危険性を排除する観点から、また、高濃度アルカリ
金属アジ化物水性溶媒溶液の使用による製造効率向上の
観点から有機溶媒の混入はなるべく少ないのが望まし
い。
【0017】前記アルカリ金属アジ化物の水性溶媒溶液
には、必要に応じて界面活性剤などを含有させることが
できる。これらの含有量は、一般に0〜1重量%、好ま
しくは0〜0.5重量%程度である。
【0018】アルカリ金属アジ化物の水性溶媒溶液の調
製法は、特に限定されるものではなく、適宜の容器中に
前記水性溶媒を入れ、その中に市販の粉末状アルカリ金
属アジ化物又は前記特願平4−141948号提案の方
法によるアルカリ金属アジ化物湿結晶など加え、更に必
要に応じて界面活性剤等を加えて、例えば4〜30℃程
度の温度で撹拌溶解すればよい。またエアーバッグ用ガ
ス発生剤に使用される場合には、少量のアルカリ成分の
混入を要求されることがあり、そのときには所望量のア
ルカリ成分、例えば水酸化ナトリウム、などを予め該水
性溶媒溶液中に加えておくこともできる。
【0019】本発明のアルカリ金属アジ化物粉体は、前
記のアルカリ金属アジ化物の水性溶媒溶液を噴霧乾燥す
ることにより製造するのが好ましい。噴霧乾燥は、通
常、熱風中にアルカリ金属アジ化物の水性溶媒溶液を適
宜の方法で噴霧することにより行われ、使用できる装置
としては、例えばスプレードレイヤーを挙げることがで
きる。
【0020】熱風温度は、使用される水性溶媒の沸点以
上であることが望ましいが、あまり高すぎると乾燥した
直後にアルカリ金属アジ化物が分解してしまうおそれも
あるので、アルカリ金属アジ化物の分解開始温度よりも
低いのが望ましい。
【0021】例えば、水性溶媒として水のみを用いる場
合には、熱風温度は100〜280℃程度であればよ
く、好ましくは150〜250℃であり、さらに好まし
くは180〜230℃である。
【0022】かくして得られるアルカリ金属アジ化物粉
体は、前記のようにその形状が海綿状構造を有してお
り、散布口で乾燥固化したものと考えられる。例えば3
00μ以上などの、粗大な異形粒子が数重量%含まれて
いることもあるが、主として球形、楕球形など略球形の
微細粒子状アルカリ金属アジ化物からなっている。そし
てその体積平均粒径は、一般に約10〜150μ程度で
あり、必要に応じて該異形粒子を分級などの手段によっ
て除去した略球形の微細粒子状アルカリ金属アジ化物で
は、該平均粒径は約20〜100μ程度となる。また、
更に必要に応じて分級し、或いは、粉砕後分級すること
により所望の粒径のアルカリ金属アジ化物粉粒体を得る
こともできる。
【0023】本発明のアルカリ金属アジ化物粉体は、そ
の粒子形状が海綿状構造を有しているため崩壊し易く、
n−ヘプタン溶媒中での超音波分散処理による該粉体の
粒径保持率−すなわち、該粉体の超音波分散処理前の体
積平均粒径に対する処理後の体積平均粒径の割合−が好
適には40%以下となる。そのため、従来のアルカリ金
属アジ化物に比べて粉砕が容易であり、例えば、ミキサ
ーやブレンダー等を用いるだけで極めて容易且つ安全に
粉砕することができる。
【0024】本発明の好適な態様においては、本発明の
アルカリ金属アジ化物粉体は、前記のように体積平均粒
径は約20〜100μ、特には約40〜80μ程度のも
のであるが、該粉粒体のBET法による比表面積は約
0.4〜1.0m2/g、特には約0.45〜0.9m2
/g程度であり、比表面積形状係数kは35〜100、
特には40〜80程度である。また、吸油量は約10〜
24g/100g程度である。これに対して市販のアル
カリ金属アジ化物結晶をジェットミル粉砕して得た体積
平均粒径約14μのものは、そのBET法による比表面
積が約0.59m2/g、比表面積形状係数kが約1
5、吸油量が約14g/100gである。これらのこと
から本発明のアルカリ金属アジ化物粉粒体は、例えば、
約5〜15μの微細結晶の凝集体が集合して海綿状構造
を形成しているものとも推定される。
【0025】本発明のアルカリ金属アジ化物粉体は、そ
の自己分解特性が極めて緩やかである。後に詳述する本
発明における自己分解特性の測定法により、従来より市
販の粉末状アジ化ナトリウムと本発明の海綿状構造を有
し且つ略球形の形状を有するアジ化ナトリウム粉体とを
比較すると、市販品は分解性が激越で自己分解特性試験
においては破裂板が毎回破裂し、危険物第5類第1種に
分類されるのに対して、本発明品は、分解反応の開始か
ら終了まで2〜6秒を要するなどかなり穏やかであり、
自己分解特性試験における破裂回数は零回で危険物第5
類第2種に分類されることが判明した。
【0026】従って従来の市販品は、特にその輸送に際
しては輸送数量、包装形態などに厳しい規制を受けるも
のであるのに対して、本発明品はそれに比べて遥かに簡
単な包装形態で、遥かに多量に輸送できるなどその規制
もかなり緩やかであり、取扱いも遥かに簡便に行うこと
ができる。
【0027】本発明における体積平均粒径、超音波分散
処理における体積平均粒径比、吸油量および自己分解特
性は下記の方法により測定された。
【0028】なお上記BET法による比表面積の測定方
法は、「粉体工学便覧」第169〜183頁(昭和61
年度版)(粉体工学会編)に記載されたものであり、比
表面積形状係数kに関しては、「岩波理化学辞典 第3
版」第389頁左欄に記載されたとおりのものである。
kの値は真球及び立方体では6となる。
【0029】体積平均粒径の測定法:レーザー回折式の
粒度分布測定装置「マイクロトラック(MICROTR
AC)FRA」(商品名:LEEDS & NORTH
RUP社製)を使用し、粒径測定範囲0.12〜70
4.00μで行う。測定溶媒にはn−ヘプタンを使用
し、試料循環装置としてSVR(少量試料仕様)を用い
る。測定試料は平均粒径が50μ以下であれば0.1〜
0.12g、100μ前後であれば0.15〜0.25
g、200μ前後であれば0.25〜0.35gを目安
に50mlビーカーに取り、高分子ポリエステル塩系分
散剤[「ディスパロン KS−873N」(商品名)、
楠本化成(株)製]をスポイトで4〜5滴添加し、マイ
クロスパチュラでよく撹拌混合してペースト状とする。
これにn−ヘプタン約20mlを加えてよく分散させて
スラリー状試料とし、これを全量試料循環装置に投入す
る。以下装置の画面の指示に従って粒径分布を測定す
る。測定結果のチャートの1例を図4に示す。
【0030】得られた測定結果を常法に従いコンピュー
ター処理して、体積平均粒径を求めた。
【0031】超音波分散処理における体積平均粒径比の測定法 :超音
波洗浄浴槽[発信器:形式 U0300FB、浴槽:形
式 U−12、神明治工業(株)製]を使用する。10
0mlビーカーに、n−ヘプタン50ml及び予め体積
平均粒径を測定してあるアルカリ金属アジ化物試料約1
0gを入れ、該ビーカーを約25℃の水を入れた超音波
洗浄浴槽内に浸漬する。このときビーカー内容物の液面
が該浴槽の水面より高くなるように調節する。超音波振
盪は26kHzで5分間行い、超音波分散処理後の試料
として上記の方法に従って体積平均粒径を求める。該粒
径比を下記式により算出した。
【0032】
【数1】 吸油量の測定方法:滴下管および真空ポンプに連結した
吸引用管を取り付けた50mlフラスコ中にアルカリ金
属アジ化物試料約5gを入れ、5mmHg減圧下にオリ
ーブ油の30容量%i−オクタン溶液約20mlを加え
て5〜10分間撹拌放置した後、吸引濾過してオリーブ
油のi−オクタン溶液を除去し、残渣を10mmHg減
圧下に50℃、1時間乾燥する。次いで得られた乾燥残
渣約2gを精秤し、n−ペンタン約100mlで20時
間抽出する。抽出物を精秤して吸着したオリーブ油の量
を求めアルカリ金属アジ化物100g当りの吸油量を計
算により求める。
【0033】自己分解特性の測定法:自己分解特性の測
定は、消防法の「危険物確認試験実施マニアル」[消防
庁危険物規制課監修、新日本法規出版(株)発行]の第
66〜82頁「第5類の試験方法」の中の「3.圧力容
器試験」の項に定められた方法による。この方法では、
図5の圧力容器が用いられるが、記号1は破裂板を示
し、記号2はオリフイス板を示す。本発明の場合、9m
mφオリフイス板を用いた圧力容器試験により行う。
【0034】テスト試料5gを所定容器に入れ、これを
上記圧力容器に入れてより、40±5℃/分の速度で2
00℃迄昇温し、更に400℃迄加熱を続ける。自己分
解特性が緩かな場合は、昇温時、分解ガスはオリフイス
より流出するが、自己分解特性が激越な場合は、内部圧
力が急上昇して破裂板が破裂する。
【0035】該自己分解特性の評価は、同一テスト試料
について10回のテストを繰り返し試験回数10回のう
ち破裂板の破裂が起きた回数によって評価した。消防法
では、10回の中5回以上の破裂がみられるものは危険
物第5類第1種に分類されて、また破裂が5回未満のも
のは危険物第5類第2種に分類される。
【0036】なお、参考として、破裂が起きないテスト
試料については、分解時間、即ち、オリフイスよりの分
解ガスの流出持続時間を測定した。
【0037】以下、実施例、比較例及び参考例により本
発明を一層詳細に説明する。
【0038】
【実施例】参考例 撹拌装置及びガス吹き込み管と還流冷却管を付けた4つ
口の20 l フラスコAに、約35重量%水酸化ナト
リウム水溶液6.13 l(約8.46kg、約74.
0モル)と、約80重量%水加ヒドラジン水溶液3.8
2 l(約3.86kg、約61.8モル)とを仕込ん
だ。
【0039】次に、撹拌装置及びフラスコAのガス吹き
込み管に接続するガス排気管を付けた4つ口の20 l
フラスコBに、約38重量%亜硝酸ナトリウム水溶液
8.63kg(約47.5モル)と純度約99重量%の
メチルアルコール1.94l(約1.54kg、約4
7.6モル)とを仕込み、約50重量%希硫酸3.33
l(約4.66kg、約23.8モル)を撹拌下、約
25℃に保ちながら定量ポンプにて添加し、逐次発生す
る亜硝酸メチルエステルのガスを排気管にてフラスコA
に送った。
【0040】フラスコAは温度を約30℃に保ち、激し
く撹拌しながらフラスコBで発生したガスをガス吹き込
み管より導入し反応させた。フラスコBにおける希硫酸
の添加には約8時間かかった。フラスコAの反応の終了
は、フラスコBに添加した希硫酸の添加終了より1時間
たった時点をもってした。フラスコA内の反応液は、ア
ジ化ナトリウムの析出結晶を含むスラリー状であった。
【0041】ヒドラジンの反応率はアジ化ナトリウムの
生成率の測定は、このスラリー状反応液を撹拌により均
一な状態としてから、その1部を採取し、脱イオン水を
加えて析出しているアジ化ナトリウムを完全に溶解させ
てから、それぞれ滴定法及び液体クロマトグラフィー法
により行った。ヒドラジンの反応率は約70%であり、
アジ化ナトリウムの生成率は、消費したヒドラジンに対
し約95%であった。
【0042】次いで得られた反応液を濃縮し、その際、
初留分として約90重量%メチルアルコール1.86
l(約1.52kg、約42.8モル)を回収し、さら
に減圧下反応液を濃縮して、液量が約1/3になったと
ころで濃縮を止め、析出したアジ化ナトリウム結晶を遠
心濾過し、未反応原料を含む濾液とに分け、湿分を含む
結晶2.44kg(純度約95重量%)得た(消費され
たヒドラジンに対するアジ化ナトリウム収得収率82.
4%)。
【0043】実施例1 市販のアジ化ナトリウム(純度99.7重量%、水分含
有量0.1重量%)100gを脱イオン水400gに溶
解し、定量ポンプにてスプレードライヤー[MOBIL
E MINOR SPRAY DRYER (商品
名)、NIRO ATOMIZER社製]に導入した。
【0044】この機種の噴霧方法は、回転軸に対して直
角方向に穴をあけられたタービンを高速回転させ、噴霧
しようとする溶液を回転するタービン軸元近くの穴に供
給し、タービンの遠心力により溶液を散布するものであ
る。タービンの回転軸は垂直方向に設定されており、こ
れにより噴霧方向は水平方向となる。また、溶媒を蒸発
させるための熱風は、タービンの円周に沿ってタービン
の上方から散布液にあてられる構造となっている。生成
するアジ化ナトリウム粉粒体の捕集はドライヤー本体下
部からの配管によりサイクロン捕集され、その後の捕集
はバッグフイルターに導かれる。
【0045】熱風温度は230℃に設定し、ドライヤー
内が定常状態となってからアジ化ナトリウム水溶液を3
00ml/Hrの量で導入した。導入したアジ化ナトリ
ウム水溶液は数秒で、アジ化ナトリウム粉粒体としてサ
イクロンに捕集された。導入終了後に熱風加熱をやめ、
本体を冷却してからサイクロンで捕集された該粉粒体
(純度99.8重量%、水分含有量0.03重量%)9
9.0gを回収した。
【0046】得られたアジ化ナトリウム粉粒体につい
て、粒度分布測定と走査型電子顕微鏡写真撮影を行っ
た。走査型電子顕微鏡写真は図1〜図3のとおりであ
り、該粉粒体の形状は海綿状構造を有しており、散布口
で乾燥固化したものと考えられる粗大な異形粒子を極微
量含んでいるが、主として略球形の微細粒子状アジ化ナ
トリウムからなるものであることがわかる。得られたア
ジ化ナトリウム粉粒体の粒径は、7〜250μに分布し
ており、その体積平均粒径は53μであった。
【0047】次に、消防法の危険物評価方法の9mmφ
オリフイス板を用いた圧力容器試験により、アジ化ナト
リウムの分解の激しさを評価する自己分解特性の測定を
行った。この微細粒子状アジ化ナトリウムの分解性は非
常に穏やかであり、10回の試験のいずれにおいても破
裂板の破裂は見られず、また、分解時間はおおむね2〜
6秒かかっていた。
【0048】得られたアジ化ナトリウム粉粒体の形状、
純度、水分含有量、体積平均粒径、粒径比、比表面積、
形状係数、吸油量及び自己分解特性測定結果を表1に示
す。
【0049】実施例2 実施例1において、熱風温度を200℃とした以外は実
施例1と同様にして、アジ化ナトリウム粉粒体を得た。
粒度分布測定の結果、300μ以上の異形粒子は約0.
8重量%であり、粒度分布は実施例1とほぼ同様であっ
た。得られたアジ化ナトリウム粉粒体の形状、純度、水
分含有量、体積平均粒径、粒径比、比表面積、形状係
数、吸油量及び自己分解特性測定結果を表1に示す。
【0050】実施例3 参考例で得られたアジ化ナトリウムの湿結晶(純度約9
5重量%)105gを脱イオン水400gに溶解する以
外は実施例1と同様にして微細粒子状アジ化ナトリウム
を得た、粒度分布測定の結果、粒度分布は実施例1とほ
ぼ同様であった。得られたアジ化ナトリウム粉粒体の形
状、純度、水分含有量、体積平均粒径、粒径比、比表面
積、形状係数、吸油量及び自己分解特性測定結果を表1
に示す。
【0051】比較例1 市販のアジ化ナトリウム(純度99.7重量%、水分含
有量0.1重量%)を用いて、実施例1と同様に自己分
解特性の測定を行ったところ、該アジ化ナトリウムの分
解は爆発的に起こり、破裂板が毎回破裂して極めて危険
であった。用いたアジ化ナトリウム粉粒体の形状、純
度、水分含有量、体積平均粒径、粒径比、比表面積、形
状係数、吸油量及び自己分解特性測定結果を表1に示
す。
【0052】比較例2 比較例1で用いたと同じ市販のアジ化ナトリウムをジェ
ットミル[シングルトラツクミル STJ−100(F
S−4)(商品名)(株)セイシン企業 製]を用いて
粉砕処理して得た微粉末を用いて、実施例1と同様に自
己分解特性の測定を行ったところ、該アジ化ナトリウム
の分解は爆発的に起こり、破裂板が毎回破裂して極めて
危険であった。用いたアジ化ナトリウム粉粒体の形状、
純度、水分含有量、体積平均粒径、粒径比、比表面積、
形状係数、吸油量及び自己分解特性測定結果を表1に示
す。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】表1の結果から明らかなように、従来よ
り市販の粉末状アジ化ナトリウムは分解性が激越であ
り、自己分解特性試験においては破裂板が毎回破裂して
おり危険物第5類第1種に分類される(比較例1)た
め、特にその輸送に際しては輸送数量、包装形態などに
厳しい規制を受けるものに対して、本発明の海綿状構造
を有し且つ略球形の形状を有する微細粒子状のアジ化ナ
トリウム粉体は、分解に2〜6秒を要するなどかなり穏
やかであり、自己分解特性試験における破裂回数は零回
で危険物第5類第2種に分類される(実施例1〜3)た
め、従来の市販品に比べて遥かに簡単な包装形態で、遥
かに多量に輸送できるなどその規制も比較的緩やかであ
り、市販品に比べて遥かに簡便に取扱うことができる。
【0055】また、本発明のアジ化ナトリウム粉体は海
綿状構造を有しているため、例えば体積平均粒径が40
〜80μの場合であっても、市販品を粉砕した平均粒径
約8〜15μのものとほぼ同程度の比表面積を有してお
り、その上、例えば、ミキサーやブレンダー等を用いる
などの簡単な操作によるだけで極めて容易且つ安全に5
〜25μ程度の平均粒径まで粉砕することができるこ
と、さらにスプレードライ法により製造する場合には、
得られるアジ化ナトリウム粉体の純度、pHなどのコン
トロールが極めて容易であることなど卓越した特性を有
しているので、自動車用安全装置であるエアーバッグ用
のガス発生剤として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアジ化ナトリウム粉体の粒子構造を示
す走査型電子顕微鏡写真である。電子顕微鏡倍率100
0倍。
【図2】本発明のアジ化ナトリウム粉体の粒子構造を示
す走査型電子顕微鏡写真である。電子顕微鏡倍率100
倍。
【図3】本発明のアジ化ナトリウム粉体の粒子構造を示
す走査型電子顕微鏡写真である。電子顕微鏡倍率350
0倍。
【図4】本発明のアジ化ナトリウム粉体のレーザー回折
式粒度分布測定装置による粒度分布測定結果のチヤート
である。
【図5】本発明において、アジ化ナトリウム粉体の自己
分解特性の測定に用いる圧力容器の断面図である。
フロントページの続き (72)発明者 吉田 昌彦 東京都荒川区東尾久6−7−7 サンラ イズ大門郷105 (72)発明者 吉江 武彦 富山県魚津市新金屋1丁目9番11号 日 本カーバイド工業株式会社清和寮 (56)参考文献 特開 昭55−85408(JP,A) 特開 平4−260604(JP,A) 特開 平5−85707(JP,A) 米国特許5074940(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 21/08 CA(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属アジ化物の水性溶媒中の溶
    液を噴霧乾燥することにより得られる大部分の粒子の形
    状が海綿状でほゞ球形であるアルカリ金属アジ化物。
  2. 【請求項2】 超音波分散処理における体積平均粒径比
    が0.4以下である請求項1に記載のアルカリ金属アジ
    化物。
  3. 【請求項3】 体積平均粒径が10〜150μであっ
    て、BET法比表面積が0.4〜1.0m2/gである
    請求項2に記載のアルカリ金属アジ化物。
  4. 【請求項4】 体積平均粒径が20〜100μであっ
    て、BET法比表面積が0.45〜0.9m2/gであ
    る請求項3に記載のアルカリ金属アジ化物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のアルカ
    リ金属アジ化物を含んでなるエアーバッグ用ガス発生
    剤。
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