JP3233156B2 - 厨芥処理機 - Google Patents

厨芥処理機

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JP3233156B2 JP2000344795A JP2000344795A JP3233156B2 JP 3233156 B2 JP3233156 B2 JP 3233156B2 JP 2000344795 A JP2000344795 A JP 2000344795A JP 2000344795 A JP2000344795 A JP 2000344795A JP 3233156 B2 JP3233156 B2 JP 3233156B2
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幸雄 林田
博史 西田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般家庭や食堂、料
理屋、ファーストフード店から出る厨芥、特に臭いを伴
う生ごみ、残飯、あるいはこれらの包装容器などを処理
する厨芥処理機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】家庭の台所や食堂、調理場から出る厨芥
は、ごみ箱に一時的に保管し、数日後に廃棄業者に渡さ
れる。しかし食品や食材固有の臭いや、保管中の腐敗臭
のためごみ箱に保管することや保管した厨芥を扱うこと
が嫌われている。一方、排出する厨芥を含むごみは年々
増え続け、行政はその処理場所の確保や処理の手間の増
大に困っている。そこで最近、厨芥を粉砕してそのまま
下水へ流すディスポーザや、マイクロ波やヒータあるい
は蒸気などの加熱手段を用いて、厨芥を乾燥したり焼却
処理して厨芥を減量し、臭いを低減して保管する方法、
微生物で厨芥を分解して厨芥を減量し、臭いを低減して
保管する方法などが実用化されたり、提案されたりして
いる。
【0003】ディスポーザは処理排水のBOD(生化学
的酸素要求量)が著しく高く、下水処理場に負担をかけ
ることになり、好ましい処理方法とは言えない。焼却処
理する方法においては機器は高温に耐える構成が必要で
あり、極めて高い耐久性と安全性が必要であると共に、
屋内に設置するには危険が伴う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】乾燥処理する場合に
は、水分とある程度の臭い物質は気化するが完全に無く
なることはないので、乾燥処理したものを取り出すため
に装置を開けたりすると、臭いが拡散する。また、乾燥
処理したごみにも臭いが残っており、不快感を与えると
いう問題があった。一方、微生物で厨芥を分解する方式
に於いては、分解処理自身に数日を要するため、分解中
に次の厨芥を投入することになる。また、微生物で厨芥
を分解するときには分解生成物として有機酸などの悪臭
物質が出るため、厨芥を投入する時に装置を開けると悪
臭が拡散するという問題があった。また、分解生成物質
である悪臭物質が装置の内部を構成する部分に付着し、
それから悪臭が拡散するという問題があった。
【0005】本発明はこのような従来の課題を解決し、
悪臭による不快感を感ずることのない厨芥処理機を提供
しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、厨芥を収納する厨芥収納容器と、厨芥ある
いは厨芥収納容器を加熱する加熱源からなる厨芥乾燥処
理部と、厨芥の粉砕撹拌手段を備え、前記厨芥乾燥処理
部の一部には清浄な気体の吸気部を設けるとともに、前
記厨芥乾燥処理部から溢れる臭気を排気する排気口を設
け、前記排気口と酸化触媒脱臭装置を直接、通路で連通
するとともに、減量化処理中あるいは処理中から処理後
まで清浄な気体を通気するようにしたものである。
【0007】この構成では、臭い成分をほとんど含まな
い清浄な気体、例えば清浄な室内空気を厨芥処理装置内
に、処理中あるいは処理中と処理後にわたって送り、厨
芥の減量化処理時に発生する臭い物質や処理後も蒸気圧
のために発生する臭いを装置外に運び去ることで、装置
内の臭い物質の濃度を大幅に減少させることが出来る。
また、通気処理によって装置内の臭い濃度が下がるた
め、臭い物質が厨芥や装置壁面に再付着するのを防ぐこ
とができ、厨芥から臭い物質を追い出すことを促進でき
る。また、減量化が短時間で出来る加熱乾燥方式におい
ては、処理後冷却されると装置内の臭い物質の蒸気圧が
下がり、厨芥や装置壁面に再付着していたが、これも清
浄な気体を処理中あるいは処理後あるいは処理中と処理
後にわたって送ることで大幅に軽減できる。さらに、酸
化触媒脱臭装置なので、アミン類を高温で酸化すること
ができ、発生する窒素酸化物の刺激臭を抑えることが出
来る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1記載の発明は、
厨芥を収納する厨芥収納容器と、厨芥あるいは厨芥収納
容器を加熱する加熱源からなる厨芥乾燥処理部と、厨芥
の粉砕撹拌手段を備え、前記厨芥乾燥処理部の一部には
清浄な気体の吸気部を設けるとともに、前記厨芥乾燥処
理部から溢れる臭気を排気する排気口を設け、前記排気
口と酸化触媒脱臭装置を直接、通路で連通するととも
、減量化処理中あるいは処理中から処理後まで清浄な
気体を通気するようにしたものである。
【0009】まず、野菜、肉、魚、果物、調味料などの
厨芥を加熱乾燥すると、水蒸気が多量に発生すると共
に、多量の有機ガスが発生する。この有機ガスはほとん
ど悪臭物質である。悪臭物質は厨芥自身が含有している
物質が温度上昇で蒸発するものと、加熱されることで厨
芥の成分が酸化したり、分解したり、あるいは厨芥の成
分同士で化学反応して発生し蒸発するものがある。前者
としては、例えば調味料の有機酸、野菜、果物のアルコ
ール、テルペン類、硫化メチル、二硫化メチル、魚のア
ミン類や腐敗生成物質の有機酸や、硫化水素、メチルメ
ルカプタンなどがある。後者としては、例えば脂質の酸
化した有機酸やアルデヒド類、タンパク質の酸化分解し
た窒素化合物、硫黄化合物、アミノ酸や糖のアミノ−カ
ルボニル反応で出来るフルフラールやピラジン類があ
る。
【0010】一方、厨芥を好気性の微生物で分解処理す
ると、微生物により酸化分解される。しかし、燃焼のよ
うに完全に二酸化炭素や水にまで分解することは難し
く、有機酸、アルデヒド類、エステル類などの悪臭物質
を発生する。これらの臭い物質は混在しているために、
極めて不快できついものである。
【0011】本発明者らは厨芥処理の研究において、厨
芥の減量化はできるものの、処理装置内に残存滞留する
臭いと処理厨芥の臭いに悩まされ、その軽減方法を研究
し本発明に至った。本発明の請求項1記載の発明におけ
る作用を次に説明する。
【0012】臭い成分をほとんど含まない清浄な気体、
例えば清浄な室内空気を厨芥処理装置内に、処理中ある
いは処理後あるいは処理中と処理後にわたって送り、厨
芥の減量化処理時に発生する臭い物質や処理後も蒸気圧
のために発生する臭いを装置外に運び去ることで、装置
内の臭い物質の濃度を大幅に減少させることが出来る。
また、通気処理によって装置内の臭い濃度が下がるた
め、臭い物質が厨芥や装置壁面に再付着するのを防ぐこ
とができ、厨芥から臭い物質を追い出すことを促進でき
る。
【0013】また、減量化が短時間で出来る加熱乾燥方
式においては、処理後冷却されると装置内の臭い物質の
蒸気圧が下がり、厨芥や装置壁面に再付着していたが、
これも清浄な気体を処理中あるいは処理中と処理後にわ
たって送ることで大幅に軽減できる。さらに、酸化触媒
脱臭装置なので、アミン類を高温で酸化することがで
き、発生する窒素酸化物の刺激臭を抑えることが出来
る。
【0014】なお、通気する清浄空気をさらに冷却し、
乾燥処理後より温度の低い気体を処理装置内に入れ、処
理中の厨芥や装置内の温度を下げることで、臭気物質の
蒸気圧を下げ、臭いの拡散を一層抑えることが出来る。
【0015】本発明の請求項2記載の発明は、請求項1
記載の発明において、厨芥の減量化処理中の触媒温度よ
りも処理後の触媒温度の方を低くしたものである。
【0016】この構成では、乾燥処理方式では処理中は
多量の水蒸気を含む排気であるので、酸化触媒脱臭にお
いては触媒の温度を通常の大気の露点で使うよりも高い
温度にしないと脱臭効果が得られないが、乾燥処理が終
わると水蒸気の少ないドライな排気になるので触媒温度
を下げることが出来る。このことで、アミン類を高温で
酸化すると発生する窒素酸化物の刺激臭を抑えることが
出来ると共に、省エネルギーが図れる。
【0017】本発明の請求項3記載の発明は、請求項1
または2記載の発明において、酸化触媒脱臭装置の触媒
用ヒータの通電率を、厨芥の減量化処理中よりも処理後
の方を小さくしたものである。
【0018】この構成では、乾燥処理方式では処理中は
多量の水蒸気を含む排気であるので、酸化触媒脱臭にお
いては触媒用ヒータの通電率を大きくし、触媒による脱
臭効果を得られるようにし、乾燥処理が終わると水蒸気
の少ないドライな排気になるので触媒用ヒータの通電率
を小さくしても触媒による脱臭効果が得られる。
【0019】本発明の請求項4記載の発明は、請求項1
記載の発明において、清浄な気体を間欠的に通気し、こ
の間欠的な通気と連動して酸化触媒脱臭装置の触媒ヒー
タの通電率を大きくするものである。
【0020】この構成では、酸化触媒脱臭装置で排気を
浄化する場合、連続的に清浄空気を通気すると、触媒温
度が下がって酸化分解能力が低下するので、脱臭装置を
大型にするとか、酸化触媒脱臭装置の加熱エネルギーを
上げなければならない。ここでは、間欠的に通気し触媒
温度の昇温もそれと連動させることで、酸化触媒脱臭装
置も小型にできるので、厨芥処理装置内と処理厨芥の臭
いの軽減と排気の脱臭をバランスよく行い、かつ省エネ
ルギーで経済的に安価にできる。
【0021】本発明の請求項5記載の発明は、厨芥を減
量化処理する処理部と、厨芥の粉砕撹拌手段を備え、前
記処理部の一部には清浄な気体の吸気部を設けるととも
に、前記処理部から溢れる臭気を排気する排気口を設
け、前記排気口と、酸化触媒脱臭装置、吸着材からなる
脱臭要素とを直接、通路で連通するとともに、減量化処
理中あるいは処理中から処理後まで清浄な気体を通気す
るようにしたものである。
【0022】この構成では、排気に吸着材と酸化触媒の
両方を備え、乾燥方式では厨芥の処理中は排気の温度が
高く、水蒸気が多いので、酸化触媒で排気を脱臭し、処
理後は温度が低くドライな排気なので吸着材で脱臭す
る。そして、吸着材は処理中の酸化触媒の熱源で加熱再
生される。また、微生物分解方式では通常は吸着材で排
気を脱臭し、定期的に酸化触媒で再生する。この手段で
窒素酸化物の刺激臭を抑えることが出来ると共に、省エ
ネルギーが図れる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。
【0024】(実施例1) 第1の実施例の構成を図1で説明する。図1は1リット
ルの2口ガラス容器、2はマントルヒータ(加熱炉)、
3は厨芥、4はリボン状のヒータ、5はガラス容器1の
一つの口にゴム栓をし、それに孔を開けて細いガラス管
をさしこみ、そのガラス管を小さいゴム栓で封じた臭い
のサンプリング口である。6はコンプレッサ、7は流量
制御装置、8はガラス製の冷却器(蛇管)、9はナスフ
ラスコ、10は活性炭を充填した脱臭装置、11は内径
4mmのガラス管であり、それぞれの要素を繋ぐ配管で
ある。12は冷却水、13は凝縮水である。なお、厨芥
としては魚、肉、ごはん、柑橘類、野菜、卵の殻、醤
油、ソース、ドレッシング、砂糖を重量比で10:1
0:10:30:30:2:2:2:2:2混合したも
のを調理用のカッタで粉砕し、90gをガラス容器1の
底面に均一に広げて入れた。
【0025】厨芥3を入れたガラス容器1をマントルヒ
ータ2で加熱し、同時にガラス容器1の上部をリボンヒ
ータ4で加熱した。マントルヒータ2と接するガラス容
器1の壁面は130℃に、リボンヒータ4と接するガラ
ス容器1の壁面は100℃になるように制御した。厨芥
3を加熱することで出てくる蒸気は、冷却器8で冷却水
12を使って冷やし、ナスフラスコ9に凝縮水13とし
て溜めた。残りの排気は配管11を通って脱臭装置10
で臭いを吸着し、清浄な空気として室内に放出した。さ
らに、この実施例ではコンプレッサ6の空気流量を流量
制御装置7で制御してガラス容器1の中に送り込み、ガ
ラス容器1の中に滞留している水蒸気や臭気を強制的に
冷却器8側へ排気した。厨芥3の加熱は凝縮水13が6
5gになるまで行った。また、加熱が終わったあと、ガ
ラス容器1からマントルヒータ2とリボンヒータ4をは
ずして厨芥3を空冷した。
【0026】次に実施例の効果について図2、(表1)
で説明する。図2は厨芥の冷却時間とガラス容器1のヘ
ッドスペース(空間)に残っているガス濃度の関係を示
すグラフである。ガス濃度はサンプリング口5からガラ
ス注射器にて2mlサンプリングし、FID検出器付き
ガスクロマトグラフで測定した。面積10の5乗はメタ
ン換算で約100ppmとなる。また、(表1)は同時
にガラス容器1のヘッドスペースの臭いを冷却開始10
時間後、嗅いだ時の臭気強度の違いを示す。21は通気
無しの場合、22は冷却時のみ連続で400ml/mi
n清浄な大気を通気した場合、23は加熱時のみ連続で
400ml/min通気した場合、24は加熱時から冷
却時まで連続で400ml/min通気した場合、25
は冷却時のみ連続で100ml/min通気した場合、
26は加熱時のみ連続で100ml/min通気した場
合、27は加熱時から冷却時まで連続で100ml/m
in通気した場合である。
【0027】
【表1】
【0028】これらの結果から明らかなように、通気す
る事で厨芥処理容器内の臭いを大幅に低減できる。特
に、加熱時から冷却時まで連続で通気する方が効果は大
きく、また、流量は400ml/minの方が効果が大
きい。臭いの質して、通気したものはしないものと比較
して、酸っぱい刺激が少なかった。なお、通気無しでの
ヘッドスペースの臭気強度はおおよそ4(0から5の6
段階評価で)であった。また、ヘッドスペースの臭いと
処理後の厨芥の臭いはほぼ同様の傾向があった。
【0029】この実施例では連続で通気したが、間欠的
に通気しても臭いは軽減できる。
【0030】(実施例2) 図3で別の実施例を説明する。31は微生物で厨芥を分
解する処理装置、32は清浄な空気を送るポンプ、33
は脱臭装置、34はそれぞれの要素を繋ぐ配管である。
処理装置31には雑菌を繁殖させるおがくずが入ってお
り、時々撹拌装置でかき混ぜ空気と接触するようになっ
ている。ポンプ32は処理装置31に接続され清浄空気
を中に送り込む。そして反対側から処理装置31内から
臭いを含んだ空気が押し出され、脱臭装置33で脱臭さ
れて室内に排気される。
【0031】この処理装置31に毎日、魚、肉、ごは
ん、柑橘類、野菜、卵の殻、醤油、ソース、ドレッシン
グ、砂糖を重量比で10:10:10:30:30:
2:2:2:2:2混合した実験用厨芥約700gを入
れた。通気せずに処理すると時間と共に微生物で厨芥が
分解し、イソ吉草酸などの有機酸の臭いなどが処理装置
31内に溜まり、次の厨芥を入れる時に蓋を開けると強
烈な臭い(臭気強度5位)がした。ポンプ32で5l/
min清浄空気を送ると、臭気強度は2.5位までに下
がった。
【0032】脱臭装置としては活性炭などの吸着材の他
に、白金系、酸化マンガン系などの酸化分解触媒、オゾ
ン発生装置とオゾン分解触媒の組み合わせ、紫外線灯と
光触媒の組み合わせなどのうちどれでも良い。吸着材は
経済的に安価であるが交換が面倒であり、他の3種類は
熱や活性酸素、紫外線で外に漏れる菌を殺菌できるとい
うメリットがある。
【0033】(実施例3) 実施例3を図4〜図6を参照しながら説明する。図にお
いて、41は断熱容器(図4では一例として内壁と外壁
で構成された空間を真空にした真空断熱容器を示すが、
この限りでなく熱を遮断する構造であれば、グラスウー
ルなどの断熱材でも良い)、42は断熱容器41内に取
り出し自在に設置した厨芥収納容器である。厨芥収納容
器42内には厨芥の粉砕撹拌手段として固定刃43と回
転刃44を設けている。固定刃43は厨芥収納容器42
の内底部に設けてあり、厨芥収納容器42の底面から突
き出した回転軸45に固定されている。厨芥収納容器4
2の上方には厨芥加熱手段としてヒータ46と、ヒータ
46の熱を厨芥収納容器42内に均等に送り込むための
ファン47を設けている。48はファンモータである。
断熱容器41の外周部には厨芥から発生する水蒸気を凝
集する凝縮部49を配置している。
【0034】また凝縮部49の外部には外面を冷却する
送風ファン50が設置されている。回転刃44は駆動モ
ータ51の回転が減速ギヤ52を介して伝達されること
で回転する。凝縮部49の下部には凝縮水流出パイプ5
3と排気パイプ54が接続されている。凝縮水流出パイ
プ53の先端には凝縮水容器55を着脱自在に設けてい
る。排気パイプ54の先には、排気口Aと連通する脱臭
装置56を設けている。57は清浄な室内空気を厨芥収
納容器42の中に送り込むポンプ、58は蓋59と一体
となったヒータ取付板、ヒータ取付板59には送気パイ
プ60が接続されており、送気パイプ60の他端はポン
プ57に接続されている。61は冷却装置で送気パイプ
60の途中に設けられている。冷却装置としてはここで
は熱電冷却素子(ペルチェ素子)を使ったが、コンプレ
ッサなどの別の手段でも良い。62は厨芥処理機本体、
蓋59は厨芥処理機本体62の上に開閉自在で、パッキ
ンを挟み込み、ラッチ式ハンドル63で蓋59と厨芥処
理機本体62が固定されている。64は厨芥、65は蒸
気検知センサ部である。
【0035】次に、脱臭装置56の例について図5で詳
しく説明する。71、72はガス通路73に装着された
白金系ハニカム状触媒、74は触媒71、72の中心に
あって加熱する触媒用ヒータ(ここでは200ワットを
用いた)で自らの温度を制御するセンサを内蔵してい
る。75は触媒保持材、76は触媒71、72間のスペ
ーサの役目と位置を定めるために圧入されたリング、7
7はガス流入口、78はガス流出口、79は断熱材、8
0は断熱材保持具である。
【0036】以上のように構成された厨芥処理機につい
て、その動作を説明する。厨芥収納容器42に投入され
た厨芥64は、固定刃43と回転刃44の間で撹拌・粉
砕される。なお、厨芥としては魚、肉、ごはん、柑橘
類、野菜、卵の殻、醤油、ソース、ドレッシング、砂糖
を重量比で10:10:10:30:30:2:2:
2:2:2混合したもの約700gを使用した。同時に
ヒータ46によって加熱され、ファン47によって厨芥
収納容器42内に110℃〜130℃に制御された熱を
拡散する。また、厨芥64からは臭気成分を含んだ水蒸
気が発生し、厨芥収納容器42の開口部から断熱容器4
1の外側の凝縮部49へ流入する。そして水蒸気は凝縮
部49において、送風ファン50で冷却されて凝縮し、
凝縮水流出パイプ53を通って凝縮水容器55に溜ま
る。
【0037】一方、凝縮しきれなかった臭気成分を含む
水蒸気は排気パイプ54から脱臭装置56へ導かれ、ガ
ス流入口77から入って触媒71、72で酸化分解さ
れ、臭気成分は浄化されてガス流出口78より室内に出
される。なお、脱臭装置56はヒータ46に通電される
前に触媒71、72が酸化活性を持つ温度(この場合は
臭気に含まれる水分が多いので、400℃以上)に昇温
している。蒸気検知センサ65で蒸気発生が激減したこ
とを検知すると、ヒータ46の通電が停止される。同時
に、ポンプ57の運転を開始し、清浄な外気を送気パイ
プ60を通じて厨芥収納容器42の中に送り込む。この
時の送気流量は約3l/minとした。
【0038】外気は厨芥収納容器42内に残っている濃
い臭気を凝縮部49から排気パイプ53を通じて、脱臭
装置56に押し出し脱臭浄化されて室内に出される。約
1時間程経過したところで、回転刃44、乾燥ファン4
7、冷却ファン50も停止する。ポンプ57、脱臭装置
56のみひき続き運転した。なお、粉砕、乾燥された厨
芥は厨芥収納容器42に残るが、嵩が減っており、ま
た、乾燥して水分活性が低下しているので、そのまま厨
芥収納容器42内に放置していても腐敗したり黴が発生
することはない。従って、厨芥収納容器42が一杯にな
るまで、次々、乾燥した厨芥の上に厨芥を入れて乾燥処
理することができる。そして、厨芥収納容器42に残っ
た乾燥ごみと凝縮水容器55に溜まった凝縮水を定期的
に回収して捨てる。
【0039】(実施例4) 次に上記実施例3と実施例4との構成は同一である。実
施例4の動作を説明する。実施例3と異なるのは、ヒー
タ46の通電が開始されると同時にポンプ57の運転を
開始し、蒸気検知センサ65で蒸気発生が激減したこと
を検知し、ヒータ46への通電が停止された後まで行う
ことである。すなわち厨芥64の乾燥行程から冷却工程
まで清浄な外気をポンプ57で送気流量約3l/min
で送り込んだ。外気は厨芥収納容器42内の水蒸気と濃
い臭気を凝縮部49から排気パイプ53を通じて、脱臭
装置56に強制的に押し出し脱臭浄化されて室内に出さ
れる。従って、厨芥64からの蒸気発生速度が速まり、
実施例3に比較して乾燥速度が2割強速かった。
【0040】(実施例5) 次に上記実施例4と実施例5との構成は同一である。実
施例5の動作を説明する。実施例4と同じように、ヒー
タ46の通電が開始されると同時にポンプ57の運転を
開始し、蒸気検知センサ65で蒸気発生が激減したこと
を検知し、ヒータ46への通電が停止された後まで行
う。ただし、この実施例では乾燥工程中は大気を送り込
むが、冷却工程中は冷却装置61を作動させ、強制冷却
した空気を送り込み、乾燥処理された厨芥64、厨芥収
納容器42ほか厨芥処理機内部を冷風で強制冷却した。
送気流量は約3l/min、強制冷却した空気の温度は
最低約5℃(室温約20℃)となった。
【0041】実施例3〜5の効果を図6に示す。通気し
なかった場合と実施例について、厨芥収納容器42中の
炭化水素濃度の時間変化を示したものである。炭化水素
濃度は1mlのガラス注射器で送気パイプ60とヒータ
取付板58の接続部付近よりサンプリングし、FID検
出器付きガスクロマトグラフで測定した。面積10の5
乗はメタン換算で約100ppmとなる。図6からも明
らかなように通気する事で厨芥収納容器42の中の臭気
濃度は大幅に軽減される。すなわち、厨芥処理機の中の
臭いと処理した厨芥の臭いが極めて少ないので、処理し
た厨芥を取り出す時や、新たな厨芥を継ぎ足す作業をす
る人に不快感を感じさせず、また同時に室内に臭いを拡
散させないので周辺の人を不快にさせることがない。特
に、冷却工程中の通気や強制冷却空気で処理厨芥や厨芥
処理機内部を冷却することが効果が大きい。
【0042】しかし、乾燥工程中も通気した実施例4の
83は冷却工程中のみ通気した実施例3の82に比べ
て、冷却10時間後の処理厨芥の臭いでは酸っぱい刺激
臭が極めて少なかった。これは、乾燥中の蒸気や臭いの
再付着が起こり難いためであると思われる。また、強制
冷却空気を送った実施例5の冷却10時間後の処理厨芥
の臭いは極めて少なかった。
【0043】(実施例6) 実施例6を図7、図8を参照にして説明する。
【0044】乾燥工程中は多量の水蒸気と臭気が発生す
るので、約3l/minで連続的に通気した場合、脱臭
装置56のガス流入口77から入る臭気の濃度は高く、
また水蒸気の露点も60℃〜80℃(室温20℃〜25
℃の場合)と高い。したがって、触媒71、72を活性
にするためには温度を高くしなければならない。例え
ば、白金系の触媒の場合は400℃にする必要がある。
一方、冷却工程にはいると臭気濃度と水蒸気の露点は急
激に下がる。例えば、連続的に約3l/minで通気し
た場合、冷却開始して約30分後には脱臭装置56のガ
ス流入口77から入る臭気の濃度は乾燥中の約5分の1
に、また水蒸気の露点も40℃以下になる。したがっ
て、触媒71、72の温度も300℃以上であれば活性
となり、室内に出る空気を十分脱臭できる。
【0045】通気しない場合は脱臭装置56に入る臭気
は極めて少ないので、触媒71、72の内外面の中間付
近の温度分布は、図7の91のように触媒71、72が
300℃以上になるように触媒用ヒータ74を制御し加
熱すれば良い(通電率約40%)。しかし、連続的に約
3l/minで通気すると触媒71、72の温度分布は
92のようになり、触媒は十分脱臭できなくなる。そこ
で連続的に通気する場合は、乾燥工程に於いては水蒸気
の露点が高いので、通電率を約80%に上げて触媒温度
を400℃以上になるようにする。その時の触媒71、
72の温度分布は93のようになる。
【0046】また、冷却工程においては水蒸気の露点は
比較的低いので、通電率を約60%にして触媒温度が3
00℃以上になるようにする。その時の触媒71、72
の温度分布は94のようになる。しかし、このように触
媒用ヒータ74の通電率を上げると、触媒用ヒータ74
の表面温度は通電率約40%では最高約550℃であっ
たものが、通電率約60%では約700℃、通電率約8
0%では約800℃と上昇する。ヒータが金属パイプの
シースヒータの場合、表面温度が50℃上がるとヒータ
寿命は約2分の1から3分の1に短くなる。したがっ
て、なるべくヒータを高温度で使う時間を短くすること
が望ましい。
【0047】次に、厨芥処理機での実際の運転例につい
て図8をもとに説明する。パターン1は乾燥工程から冷
却工程まで連続的に約3l/minで通気した。通気は
触媒71、72の中間付近の温度が400℃以上になっ
てから開始した。また、乾燥工程中の触媒用ヒータ74
の通電率は約80%、冷却工程中の通電率は約60%と
した。パターン2は乾燥工程から冷却工程まで間欠的に
通気した。通気は触媒71、72の中間付近の温度が4
00℃以上になってから開始した。まず10分間約3l
/minで通気した後、次の10分間、通気を停止し
た。そしてまた、次の10分間通気した。乾燥工程から
冷却工程までこの間欠パターンを繰り返した。一方、触
媒用ヒータ74は乾燥工程では通気の1分前より通電率
80%とし、通気停止と同時に通電率を40%に下げ
た。すなわち、通電率80%を11分、通電率40%を
9分の間欠動作とした。冷却工程では、通気の1分前よ
り通電率60%とし、通気停止と同時に通電率を40%
に下げた。すなわち、通電率60%を11分、通電率4
0%を9分の間欠動作とした。
【0048】パターン1と2において脱臭装置から処理
厨芥の臭いが漏れることはなかった。また、冷却開始か
ら約5時間後に炭化水素濃度を1mlのガラス注射器で
送気パイプ60とヒータ取付板58の接続部付近よりサ
ンプリングし、FID検出器付きガスクロマトグラフで
測定した。その結果、パターン1と2はほとんど変わら
ず、ガスクロマトグラムの総面積は2×104付近であ
った。また、同時に処理厨芥の臭いを嗅いだが、パター
ン1、2の臭いの質、強さは同じ程度であった。
【0049】(実施例7) 実施例7を図9を参照にして説明する。図9に脱臭装置
の構成を示すが、図5の装置よりも全体的に大きくし
て、触媒用ヒータ74の周囲に酸化触媒と吸着材からな
る脱臭層95〜97を設けた。ポンプ57で通気する厨
芥処理機の乾燥工程、及び比較的まだ臭気濃度の高い冷
却開始後1時間くらいまでは触媒用ヒータ74は酸化触
媒の働く温度以上に加熱し、それ以降の冷却工程におい
ては触媒用ヒータ74への通電を停止して吸着材で臭気
を吸着した。次に、厨芥を乾燥処理する場合には、吸着
材は触媒用ヒータ74で加熱され、吸着していた臭気を
脱着するが、近接して活性な状態にある酸化触媒で臭気
は分解される。すなわち、臭いを室内に漏らすことなく
吸着材を再生できる。酸化触媒と吸着材の構成の仕方と
しては、95〜97の三層全体を粒状の酸化触媒と粒状
の吸着材を混合して設ける方法、吸着材の表面に酸化触
媒を担持する方法、95または96を吸着材とし、残り
を酸化触媒とする方法がある。また、吸着材としてはゼ
オライトなどの酸化物系吸着材や活性炭などの炭素系吸
着材がある。これらの材料の選定、層の構成、材料の量
は厨芥から出る臭いの質と量に応じて定めれば良い。
【0050】また、微生物分解方式では通常は吸着材で
排気を脱臭し、定期的に酸化触媒で再生することができ
る。
【0051】このように冷却工程中は吸着材によって脱
臭し、またこの吸着材を乾燥工程で再生できるため、厨
芥処理装置を比較的経済的に安価に運転できる。また、
この手段で窒素酸化物の刺激臭を抑えることが出来る。
【0052】
【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明によれば、清浄な気体を厨芥処理装置内に、処理中あ
いは処理中と処理後にわたって送り、厨芥の減量化処
理時に発生する臭い物質や処理後も蒸気圧のために発生
する臭いを装置外に運び去ることで、装置内の臭い物質
や処理厨芥の臭い物質の濃度を大幅に減少させることが
出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例を示す厨芥の処理方法を説明する
構成図
【図2】同実施例の効果を示すグラフ
【図3】第2の実施例を示す厨芥処理機の構成図
【図4】第3〜第5の実施例の厨芥処理機の断面図
【図5】同実施例の触媒装置の断面図
【図6】同実施例の効果を示すグラフ
【図7】第6の実施例における触媒の温度分布を示すグ
ラフ
【図8】同実施例における運転パターンを示す図
【図9】第7の実施例における触媒装置の断面図
【符号の説明】
6 コンプレッサ 10、33、56 脱臭装置 31 微生物分解処理装置 32、57 ポンプ 42 厨芥収納容器 46 ヒータ 61 冷却装置 71、72 触媒 74 触媒用ヒータ 95、96、97 脱臭層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 幸一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−29793(JP,A) 特開 平6−91248(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09B 3/00 303 B09B 5/00 F26B 1/00 - 25/22 B65F 1/00 - 1/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厨芥を収納する厨芥収納容器と、厨芥あ
    るいは厨芥収納容器を加熱する加熱源からなる厨芥乾燥
    処理部と、厨芥の粉砕撹拌手段を備え、前記厨芥乾燥処
    理部の一部には清浄な気体の吸気部を設けるとともに、
    前記厨芥乾燥処理部から溢れる臭気を排気する排気口を
    設け、前記排気口と酸化触媒脱臭装置を直接、通路で連
    通するとともに、減量化処理中あるいは処理中から処理
    後まで清浄な気体を通気するようにした厨芥処理機。
  2. 【請求項2】 厨芥の減量化処理中の触媒温度よりも処
    理後の温度の方を低くした請求項1記載の厨芥処理機。
  3. 【請求項3】 酸化触媒脱臭装置の触媒用ヒータの通電
    率を、厨芥の減量化処理中よりも処理後の方を小さくし
    た請求項1または2記載の厨芥処理機。
  4. 【請求項4】 清浄な気体を間欠的に通気し、この間欠
    的な通気と連動して酸化触媒脱臭装置の触媒ヒータの通
    電率を大きくする請求項1記載の厨芥処理機。
  5. 【請求項5】 厨芥を減量化処理する処理部と、厨芥の
    粉砕撹拌手段を備え、前記処理部の一部には清浄な気体
    の吸気部を設けるとともに、前記処理部から溢れる臭気
    を排気する排気口を設け、前記排気口と、酸化触媒脱臭
    装置、吸着材からなる脱臭要素とを直接、通路で連通す
    るとともに、減量化処理中あるいは処理中から処理後ま
    で清浄な気体を通気するようにした厨芥処理機。
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