JP3232859B2 - 1,2−ポリブタジエンジオールの水添方法 - Google Patents

1,2−ポリブタジエンジオールの水添方法

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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1,2−ポリブタジエ
ンジオールの水添方法に関するものである。さらに詳し
くは、水添触媒および反応溶媒の存在下で行う、1,2
−ポリブタジエンジオールの水添方法の改良に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ポリヒドロキシ不飽和炭化水素系重合体
のような少なくとも分子の末端に1個の水酸基を有し、
主鎖または側鎖に炭素−炭素二重結合を有する炭化水素
系重合体は、分子中に存在する二重結合に起因して耐熱
性、耐オゾン性および耐候性等に劣るが、これを水添す
るとその性質が改善される。特公昭61−36002号
公報には、ポリヒドロキシ不飽和炭化水素系重合体を、
反応溶媒および担体担持型の水添触媒の存在下で水添す
る方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記提
案方法により、1,2−ポリブタジエンジオールの水添
を工業的規模で実施する場合には、水添触媒の反応活性
が、用いる反応溶媒によって種々変化することが判っ
た。本発明は、上記の技術課題を解決しようとするもの
であり、1,2−ポリブタジエンジオールの水添を、反
応触媒および反応溶媒の存在下で工業的有利に実施でき
る方法を提供することを目的として鋭意検討を重ねた結
果、アルコール濃度を特定の濃度以上とした反応溶媒を
用いることにより目的が達成できることを見い出し、本
発明を完成したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】しかして、本発明の要旨
とするところは、1,2−ポリブタジエンジオールを、
水添触媒および反応溶媒の存在下で水添する方法におい
て、アルコールと他の溶媒との混合物であって、アルコ
ール濃度が20重量%以上である反応溶媒を用いること
を特徴とする1,2−ポリブタジエンジオールの水添方
法に存する。
【0005】以下、本発明を詳細に説明する。本発明方
法において、原料として使用される1,2−ポリブタジ
エンジオールとしては、市場で入手し得るものを用いる
ことができる。なお、本発明方法で得られる水添後の
1,2−ポリブタジエンジオールがポリウレタン製造用
に使用されるものであるときは、水添原料重合体は、数
平均分子量が500〜100000、特に1000〜1
0000の範囲のものが好ましい。
【0006】本発明方法で用いることができる水添触媒
としては、従来から水添触媒として知られているニッケ
ル(例えばラネーニッケル)、コバルト、ルテニウム、
ロジウム、パラジウム、白金、およびこれらの混合物ま
たは合金系触媒を挙げることができる。上記金属触媒の
中ではルテニウムが特に好ましい。この触媒を用いる
と、水添反応に対する選択性が極めて優れているので、
ヒドロキシ基の水素化分解を起こさせることなく、二重
結合への水添反応を選択的に容易に行わせることができ
る。
【0007】これらの水添触媒は、単独で、固体または
可溶性均一錯体として、或いはカーボン、シリカ、珪そ
う土等の担体に担持された担体担持型として使用でき
る。さらに、水添触媒としては、上記金属触媒のほか、
ニッケル、チタン、コバルト等を含む化合物を有機金属
化合物(例えば、トリアルキルアルミニウム、アルキル
リチウム等)で還元して得られる金属錯体も使用でき
る。上記金属触媒を担体担持型として使用する場合に
は、担体に対する触媒金属の割合を0.01〜50重量
%、好ましくは0.1〜15重量%の範囲とするのがよ
い。
【0008】本発明の水添方法においては、反応溶媒と
して、アルコールと他の溶媒との混合物であってアルコ
ール濃度が20重量%以上であるものを用いることが必
要である。アルコール濃度が20重量%未満の溶媒を使
用すると、水添触媒の活性が著しく低下するからであ
る。好ましくはアルコールと他の溶媒との混合物であっ
て、アルコール濃度が25重量%以上のものを反応溶媒
として用いる。アルコールのみからなる溶媒を用いた場
合には、1,2−ポリブタジエンジオールが十分に溶解
せず、全体が白濁状でかつ粘度も高くなる恐れがあり、
このような水添反応液からの触媒濾過には長時間を要す
るのに対し、アルコールと他の溶媒、例えば脂肪族炭化
水素との混合溶媒を用いた場合には、このような懸念が
少ないからである。
【0009】アルコールとしては、イソプロピルアルコ
ール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール
等が用いられるが、これら例示されたものに限定される
ものではない。また、アルコールに混合して使用可能な
溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン等の脂肪族炭化水素が用いられるが、これら例示され
たものに限定されるものではない。これらアルコールに
混合して使用可能な溶媒は、単独でも、2種以上を混合
したものであっても、混合溶媒のアルコール濃度が20
重量%以上であれば差し支えない。特に好適な混合溶媒
としては、イソプロピルアルコールとn−ヘプタンより
なり、イソプロピルアルコールの濃度が20重量%以
上、好ましくは25重量%以上のものが挙げられる。
【0010】本発明方法においては、水添反応に際し、
通常、1,2−ポリブタジエンジオール100重量部に
対し、前記特定の反応溶媒を30〜300重量部の範囲
で使用する。使用する水添触媒の量は、金属の種類や担
持量等によって異なるが、通常は原料重合体に対し、
0.01〜20重量%の範囲から選ばれる。また、反応
温度は常温〜300℃、通常50〜200℃の範囲であ
るが、ヒドロキシ基の水素化分解を防ぐために180℃
以下が好ましい。水添反応用の水素は、通常は分子状水
素が用いられるが、触媒毒となる物質を含まない限り水
素含有ガスを使用することもできる。水素圧は、常圧フ
ロー系または加圧系のいずれでもよく、さらに水添反応
は、固定床方式、懸濁方式等いかなる反応方式であって
もよい。
【0011】本発明方法によって得られる水添重合体
は、耐候性、耐熱性等に優れ、海底ケーブル等の止水被
覆材用の電気絶縁性成形材料、ポリウレタン製造用の原
料ポリオールとして好適に使用することができる。さら
に、この水添重合体は、ポリプロピレン、ポリエチレン
等のポリオレフィン系樹脂の改質剤としても使用でき、
これをポリオレフィン系樹脂に適量配合することによ
り、延伸性等の成形加工性や耐衝撃性等の機械的特性を
向上させることができ、また、得られる成形品も塗装性
や接着性が改善されたものとなる。
【0012】
【実施例】次に、本発明を、実施例および比較例により
更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない
限り以下の実施例の記載に限定されるものではない。な
お、以下の例において「%」は、特に記載のない限り全
て重量基準である。また、得られた水添重合体の水添率
およびヒドロキシ基水素化分解率は、それぞれ次の
(I)式および(II)式より求めたものである。
【0013】
【数1】 水添率(%)=(A−B)/A×100 (I) [式中、Aは、用いた1,2−ポリブタジエンジオール
のヨウ素価(g−I2 /100g)であり、Bは、得ら
れた水添重合体のヨウ素価(g−I2 /100g)であ
る。なお、これらのヨウ素価はJIS K0070に準
拠して測定したものである。]
【0014】
【数2】 ヒドロキシ基水素化分解率(%) =(C−D)/C×100 (II) (式中、Cは、用いた1,2−ポリブタジエンジオール
の水酸基価(mg−KOH/g)であり、Dは、得られ
た水添重合体の水酸基価(mg−KOH/g)である。
なお、これらの水酸基価はJIS K0070に準拠し
て測定したものである。)
【0015】実施例1 加温用ヒーター、撹拌機構、温度計、および蓄圧器と定
圧供給弁等を備えた容量200mlのオートクレーブ
に、1,2−ポリブタジエンジオール(数平均分子量:
2000、1,2−結合:90%、1,4−結合:10
%、ヨウ素価:460g−I2 /100g、水酸基価:
54mg−KOH/g)50g、イソプロピルアルコー
ルとn−ヘプタンよりなる混合溶媒(イソプロピルアル
コール:n−ヘプタンの重量比は1:3、水分濃度0.
01%)35g、およびカーボン担持ルテニウム触媒
(ルテニウム担持量5%、水分含有量50%[湿量基
準])0.36gを仕込み、系内を精製アルゴンにて置
換した。次に、この系内に、ボンベからの高圧水素ガス
を蓄圧器に分取し、反応系の内圧が常に25kg/cm
2Gの一定圧になるように設定された定圧供給弁を経由
させて、蓄圧器内の水素ガスを供給した。次いでこの反
応系を約30分かけて115℃まで昇温して水添反応を
開始させ、この圧力、温度条件下で4時間の水添反応を
行った。反応を終えた後、内容物を取り出し、触媒を濾
別し、さらに溶媒を減圧下で溜去し、目的とする水添重
合体を得た。なお、水添反応の進行途中、蓄圧器の圧力
を読み取り、次の(III)式から水添初期活性を算出
し、水添反応の活性を評価した。
【0016】
【数3】 水添初期活性=1/(1−(ΔPi/ΔP0 )) (III) [式中、ΔPiとΔP0 とはいずれも水添反応の進行に
伴う蓄圧器の圧力低下(kg/cm2 G)を意味し、Δ
Piは、反応系の温度が115℃に到達した時から更に
6分間経過した時点までの圧力低下であり、ΔP0 は、
4時間の水添反応を終了した時点までの圧力低下(ΔP
a)とこの間に達成された水添率(Ha%)とから、次
の(IV)式に基づいて算出された圧力低下であり、この
ΔP0 は、水添率100%時に換算された圧力低下に相
当する。]
【0017】
【数4】 ΔP0 =ΔPa×(100/Ha) (IV) 得られた結果を、用いた反応溶媒の組成とともに表1に
示す。
【0018】実施例2、3、比較例1〜3 実施例1に記載の例において、用いた反応溶媒の組成
を、それぞれ表1に示す組成に変更したほかは、同例に
おけると同様にして水添重合体を得た。また、同例にお
けると同様にして、水添初期活性を算出して水添反応の
活性を評価するとともに、水添重合体の水添率およびヒ
ドロキシ基水素化分解率を測定した。それらの結果を、
同じく表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】表1から明らかなように、本発明方法に従
い、アルコールと他の溶媒との混合物でアルコール濃度
が20重量%以上である反応溶媒を用いた場合には、水
添触媒は極めて高い水添初期活性を示し、また水添率が
高く、ヒドロキシ基水素化分解率の低い水添重合体が得
られる(実施例1〜実施例)。これに対し、アルコー
ルと他の溶媒との混合物でもアルコール濃度が20重量
%未満である反応溶媒を用いた場合(比較例)、およ
びアルコールを全く含まない反応溶媒を用いた場合(比
較例)には、反応触媒は各実施例より大幅に低い水添
初期活性を示し、水添率の高い重合体は得られない。
【0021】
【発明の効果】本発明方法は、1,2−ポリブタジエン
ジオールを、水添触媒および反応溶媒の存在下で水添す
るに際し、アルコールと他の溶媒との混合物でアルコー
ル濃度が20重量%以上である特定の反応溶媒を用いる
ので、水添触媒が極めて高い水添初期活性を示し、1,
2−ポリブタジエンジオールの水添反応を生産性よく工
業的有利に実施できるという効果を奏する。また、この
特定の反応溶媒の存在下でルテニウム触媒を用いると、
ヒドロキシ基の水素化分解を起こさせることなく、二重
結合への水添反応を選択性よく容易に行わせることがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−90694(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08C 19/02 C08F 8/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,2−ポリブタジエンジオールを、水
    添触媒および反応溶媒の存在下で水添する方法におい
    て、アルコールと他の溶媒との混合物であってアルコー
    ル濃度が20重量%以上である反応溶媒を用いることを
    特徴とする1,2−ポリブタジエンジオールの水添方
    法。
  2. 【請求項2】 アルコールがイソプロピルアルコール、
    n−プロピルアルコールおよびイソブチルアルコールよ
    り成る群から選ばれたものであることを特徴とする請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 反応溶媒が、アルコールと脂肪族炭化水
    素とからなり、かつ、アルコール濃度が25重量%以上
    であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 反応溶媒が、イソプロピルアルコールと
    n−ヘプタンとからなり、かつ、イソプロピルアルコー
    ル濃度が25重量%であることを特徴とする請求項1記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 水添触媒が、ニッケル、コバルト、ルテ
    ニウム、ロジウム、パラジウム、および白金のうちから
    選ばれたものであることを特徴とする請求項1ないし請
    求項4のいずれかの一つに記載の方法。
  6. 【請求項6】 水添触媒が、ルテニウムであることを特
    徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかの一つに記
    載の方法。
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