JP3232658B2 - 殖版機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、刷版の給排を自動的に
行う殖版機に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ボード板上に保持した刷版に原
版の絵柄などを焼付ける殖版機は知られている。この種
のものでは、光源と原版を保持する原版ホルダを有し、
この原版ホルダをボード板上にスライドさせた後に、光
源からの紫外光を原版に当て、この原版に描かれた絵柄
などをボード板上の刷版に焼付ける。

【０００３】ところで、従来の殖版機では、殖版する前
の刷版をボード板上にセットしたり、殖版後の刷版をボ
ード板上から取り外したりする作業が面倒であり、近
年、これを自動化するシステムが提案されている（例え
ば、実開昭６３−４７３４５号公報参照）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
構成では、まずボード板をスライドさせるので、機構が
複雑になるという問題がある。また、殖版の終了した刷
版をボード板上から取り外した後に、新しい刷版をボー
ド板上に取り付けるというように、刷版の給排はそれぞ
れ別のサイクルで行うので、どうしても給排に要する段
取り時間が長くなるという問題がある。

【０００５】この種の刷版はオフセット印刷に用いられ
るものであり、例えば週刊誌や雑誌などを印刷するに
は、刷版の焼付けも迅速に行なわねばならず、上述の段
取り時間の短縮は極めて重要な問題となっている。

【０００６】そこで、本発明の目的は、上述した従来の
技術が有する問題点を解決し、刷版の給排に要する段取
り時間を大幅に短縮できる殖版機を提供することにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、ボード板上に保持した刷版に原版の絵柄
などを焼付ける殖版機において、殖版の終了した刷版を
ボード板上から一時的に取り上げる刷版取り上げユニッ
トと、この刷版取り上げユニットにより刷版の取り上げ
られた後のボード板上に、殖版する前の刷版を保持した
状態で進入し、この殖版前の刷版をボード板上に預け渡
すと共に、殖版後の刷版を刷版取り上げユニットから受
け取って、ボード板上から退出する刷版給排ユニットと
を備えたことを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】本発明によれば、殖版の終了した刷版は、刷版
取り上げユニットによりボード板上から一時的に取り上
げられ、これが取り上げられた後のボード板上には、刷
版給排ユニットが、殖版する前の刷版を保持した状態で
進入する。そして、この刷版給排ユニットは、殖版前の
刷版をボード板上に預け渡すと共に、殖版後の刷版を刷
版取り上げユニットから受け取って、ボード板上から退
出する。これによれば、刷版の受け渡しは刷版給排ユニ
ットにより同時に行われるので、受け渡しに要する段取
り時間が短縮される。

【０００９】

【実施例】以下、本発明による殖版機の一実施例を図面
を参照して説明する。

【００１０】図１、図２において、１は殖版機の本体フ
レームを示し、この本体フレーム１のほぼ中央には刷版
２を保持するボード板３が設けられている。

【００１１】本体フレーム１には、レール４に沿ってＸ
方向にスライドするスライドフレーム５が設けられ、こ
のスライドフレーム５には、Ｙ方向にスライドする原版
ホルダ７が設けられる。この原版ホルダ７の下面には、
フィルム状の原版８が保持され、この原版８には光源９
からの紫外光が照射される。

【００１２】このような構成は従来のものと同じであ
り、その作動を説明すると、まず原版ホルダ７は図示の
位置で原版８を吸着、保持する。

【００１３】ついで、原版ホルダ７はスライドフレーム
５に担持されたまま、刷版２を保持するボード板３上に
移動する。ここでは光源９から紫外光を発して、刷版２
に原版８の絵柄などを焼付け、殖版が終了したら原版ホ
ルダ７は再び図示の位置に戻る。なお、刷版２上には通
常同一の絵柄を縦横列に複数回に亘って焼付けるので、
原版ホルダ７はその都度Ｘ方向、Ｙ方向に移動する。

【００１４】ところで、この実施例によれば、ボード板
３上から刷版２を給排するためのシステムに特徴を有す
る。

【００１５】即ち、このシステムは、スライドフレーム
５に固定されて、これと一体的にＸ方向に移動する刷版
取り上げユニット１１と、ボード板３の図中左方に位置
して、新しい刷版２を供給すると共に、殖版の終了した
刷版２を排出する刷版給排ユニット２１とからなる。

【００１６】まず、刷版取り上げユニット１１について
説明すると、この刷版取り上げユニット１１は、スライ
ドフレーム５に固定されたエアシリンダ１３と、このエ
アシリンダ１３のロッド端に固定され、Ｚ方向に上下動
する取り上げヘッダ１５とからなり、この取り上げヘッ
ダ１５の下面には、複数の真空吸着パッド１７が取り付
けられている。

【００１７】ついで、刷版給排ユニット２１を説明する
と、このユニット２１は、レール２２に沿ってＸ方向に
スライドするユニット本体２３を有している。このユニ
ット本体２３には２本のエアシリンダ２５、及び４本の
ガイドポスト２６を介して給排ヘッダ２７が吊持され、
この給排ヘッダ２７の上面及び下面には複数の真空吸着
パッド２８、２９が取り付けられている。

【００１８】また、この実施例では、殖版の終了した刷
版２を殖版機外に排出する排出システムが設けられてい
る。

【００１９】この排出システムは、上記のユニット本体
２３にシャフト３１でヒンジ結合され、通常時は、給排
ヘッダ２７上面のパッド２８よりも下側に位置すると共
に、給排ヘッダ２７下面のパッド２９よりも上側に位置
する刷版排出プレート３３を有する。このプレート３３
の基部にはレバー３４が固定され、このレバー３４には
同じくユニット本体２３に取り付けられたエアシリンダ
３５のロッド端が連結されている。そして、エアシリン
ダ３５のロッドを縮めると、排出プレート３３がほぼ６
０°程度の範囲で起立する構成である。

【００２０】プレート３３上に刷版２が乗っていれば、
この刷版２はほぼ６０°の傾斜に従って、その自重によ
り排出ストッカー３６に排出され、ストッカープレート
３７を矢印の方向に傾動させると、刷版２はプレート３
８上に移載される。プレート３８は刷版２取り出し用プ
レートである。

【００２１】つぎに、刷版の給排システムの作動を図３
〜図５を参照して説明する。

【００２２】図３を参照して、殖版機による刷版２への
焼付けが終了すると、まず刷版取り上げユニット１１が
動作して、ボード板３上の刷版２が一時的に上方に取り
上げられる。具体的には、エアシリンダ１３のロッドが
伸びて、取り上げヘッダ１５が降下し、その下面の吸着
パッド１７により殖版された刷版２を吸着、保持し、つ
いで、エアシリンダ１３のロッドが縮むことにより取り
上げヘッダ１５が上昇して、刷版２がボード板３上から
一時的に上方に退出する。

【００２３】この際に、刷版給排ユニット２１は、新し
い刷版２を刷版供給ストッカ４１から取り出して、図示
の位置に待機している。この刷版供給ストッカ４１は、
給排ユニット２１の下方に位置するが、刷版２のストッ
ク枚数を増すために、本体フレーム１のほぼ内側全域が
ストッカとして用いられる。

【００２４】つぎに、図４に示すように、刷版取り上げ
ユニット１１の下方に刷版給排ユニット２１が新しい刷
版２を保持した状態で進入する。

【００２５】そして、この段階では、進入すると同時
に、刷版取り上げユニット１１と刷版給排ユニット２１
との間、刷版給排ユニット２１とボード板上３との間
で、それぞれ刷版の受け渡しが行なわれる。具体的に
は、刷版取り上げユニット１１側の殖版済みの刷版２ａ
が、刷版給排ユニット２１の給排ヘッダ２７上面のパッ
ド２８に預け渡され、この給排ヘッダ２７下面の新しい
刷版２ｂがボード板３上に移し渡される。

【００２６】なお、刷版２ａ，２ｂの受け渡し時には、
エアシリンダ１３、及びエアシリンダ２５（図１）を介
して、取り上げヘッダ１５、及び給排ヘッダ２７が所定
のタイミングで昇降されることは言うまでもない。

【００２７】刷版２の受け渡しが完了すると、殖版済み
の刷版２ａを保持した刷版給排ユニット２１は、ボード
板３上から後退を開始する。そして、図５に示すよう
に、刷版供給ストッカ４１上に到達したら、エアシリン
ダ３５（図１）のロッドが縮んで、排出プレート３３が
起こされる。この際、排出プレート３３は、給排ヘッダ
２７上面の刷版２ａをすくい上げ、この刷版２ａはその
自重により排出ストッカ３６に排出される。

【００２８】即ち、この実施例によると、刷版取り上げ
ユニット１１の下方に刷版給排ユニット２１が進入する
と、殖版済みの刷版２ａ及び新しい刷版２ｂの受け渡し
がほぼ同時に行われるので、刷版２ａ，２ｂの入れ変え
に要する段取り時間が大幅に短縮される。

【００２９】図６〜図１０は他の実施例を示す。

【００３０】各図は刷版２の受け渡しに必要な機能を説
明するための図である。図６において、６１は刷版取り
上げユニット、６３は刷版給排ユニットを示す。この刷
版給排ユニット６３は、下面に真空吸着パッド６５を有
し、その上面には前方に向けて高くなるフリーローラー
群６６を有する。

【００３１】この実施例の作用を説明すると、図６を参
照して、まず刷版給排ユニット６３が刷版ストッカ６７
から新しい刷版６９を取り出す。ついで、図７に示すよ
うに、刷版取り上げユニット（ここではエアシリンダで
ある）６１がボード板６８上に移動し、刷版６９の端部
を持ち上げ、この持ち上げた空間内に刷版給排ユニット
６３が新しい刷版６９を保持した状態で進入する。

【００３２】ついで、図８、図９に示すように、刷版給
排ユニット６３が徐々に進行していくと、刷版取り上げ
ユニット６１により吊り上げられた殖版済みの刷版６９
は、その給排ユニット６３の上面に完全に乗り上げる。

【００３３】そして、図１０に示すように、刷版給排ユ
ニット６３をボード板６８上から後退させると、その段
階で、刷版６９の受け渡しは全て完了する。殖版済みの
刷版６９は、ストッパ７１を解除することにより、フリ
ーローラ群６６の上面から滑り落ちて排出ストッカに排
出される。

【００３４】なお、この際にはフリーローラ群６６を駆
動式にしたり、刷版給排ユニット６３の端部を力Ｆで上
方に押し上げたりしてもよく、このようにすれば、殖版
済み刷版６９の排出がきわめてスムーズになる。

【００３５】以上、一実施例に基づいて本発明を説明し
たが、本発明は、これに限定されるものではないことは
明らかである。例えば、上記の実施例では、刷版給排シ
ステムを横置き式の殖版機に用いているが、これをいわ
ゆる縦型、あるいは斜め型の殖版機に適用してもよいこ
とは明らかである。

【００３６】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、殖版済み刷版の排出と、新しい刷版の供給と
を同時に行うことができるので、刷版の受け渡しに要す
る段取り時間を大幅に短縮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による殖版機の一実施例を示す側面図で
ある。

【図２】本発明による殖版機の一実施例を示す平面図で
ある。

【図３】刷版の受け渡しの動作を説明するための図であ
る。

【図４】同じく、刷版の受け渡しの動作を説明するため
の図である。

【図５】同じく、刷版の受け渡しの動作を説明するため
の図である。

【図６】他の実施例による刷版の受け渡しの動作を説明
するための図である。

【図７】同じく、刷版の受け渡しの動作を説明するため
の図である。

【図８】同じく、刷版の受け渡しの動作を説明するため
の図である。

【図９】同じく、刷版の受け渡しの動作を説明するため
の図である。

【図１０】同じく、刷版の受け渡しの動作を説明するた
めの図である。

【符号の説明】

１ 殖版機の本体フレーム ２，６９ 刷版 ３ ボード板 ５ スライドフレーム ７ 原版ホルダ ８ 原版 ９ 光源 １１，６１ 刷版取り上げユニット １５ 取り上げヘッダ １７ 吸着パッド ２１，６３ 刷版給排ユニット ２７ 給排ヘッダ ２８，２９ 吸着パッド ３３ 刷版排出プレート ３６ 排出ストッカー ３７ ストッカープレート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−220957（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−253175（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−7638（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−145248（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−7636（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−125352（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−127068（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−246011（ＪＰ，Ａ) 特開 昭53−97504（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−11334（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−289843（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−89355（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−159438（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G03F 7/20 - 7/24

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボード板上に保持した刷版に原版の絵柄
   などを焼付ける殖版機において、殖版の終了した刷版を
   ボード板上から一時的に取り上げる刷版取り上げユニッ
   トと、この刷版取り上げユニットにより刷版の取り上げ
   られた後のボード板上に、殖版する前の刷版を保持した
   状態で進入し、この殖版前の刷版を前記ボード板上に預
   け渡すと共に、殖版後の刷版を前記刷版取り上げユニッ
   トから受け取って、ボード板上から退出する刷版給排ユ
   ニットとを備えたことを特徴とする殖版機。