JP3232634B2 - 青果物選別装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、荷受けした各種の青果
物を色、傷、形状、重量等により選別する青果物選別装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の青果物選別装置は、選別すべき青
果物の種類に応じて異なる構成を採用している。例え
ば、ネーブルなどの高級柑橘類（以下「高級柑」とい
う）の選別装置は、荷受けした青果物を洗浄・ワックス
処理すべき前処理ラインに、青果物を重量により選別す
る重量式選果ラインを接続してなり、また他の一般的柑
橘類（以下「普通柑」という）の選別装置は、上記と同
様の前処理ラインに、青果物を形状により選別する形状
式選果ラインを接続した構成である。このように従来
は、選別すべき青果物の種類に応じて個別の選別装置を
構成するので、多様な種類に対応できず、装置を効率的
に利用できないため、選別コストがいたずらにかさむと
いう問題点があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そこで、この問題点を
解消するのに、上記と同様の前処理ライン、形状式選果
ラインおよび重量式選果ラインを全部備えると共に、前
処理ラインの排出端に切替装置を設け、形状式選果ライ
ンまたは重量式選果ラインに選択的に接続する構成が考
えられる。しかし、それでは、形状式選果ラインおよび
重量式選果ラインに供給するコンベアのほかに、形状式
選果ラインおよび重量式選果ラインのそれぞれの搬出コ
ンベアをも設ける必要があって、設置面積および装置建
設費用が大きいという問題点が残る。

【０００４】そこで本発明は、こうした問題点を解決
し、各種の青果物の選別に利用できると共に、搬送経路
の単純化により設置面積や設置費用をさらに節減しうる
青果物選別装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明の青果物選別装置は、前処理ラインＡと形状式選
果ラインＢと重量式選果ラインＣとを備え、上記形状式
選果ラインＢからの選別済青果物の排出端が接続され、
端部を搬出コンベアに接続するコンベアＤを正逆転可能
に構成し、この正逆転コンベアＤの一端には、青果物前
処理ラインＡから形状式選果ラインＢへの搬送路を分岐
して未選別青果物を受ける未選別青果物供給端を接続
し、他端には重量式選果ラインの始端側を接続し、正逆
転コンベアＤの正転時には、重量式選果ラインの始端側
に未選別果実を供給する供給路に構成し、上記正逆転コ
ンベアの逆転時には、上記形状式選果ラインからの選別
済青果物を搬出コンベアに向けて搬出する搬出路に構成
するものである。

【０００６】

【作用】本発明においては、例えば高級柑を選別する場
合には、青果物前処理ラインから重量式選果ラインの一
端に未選別青果物を供給すべくなし、他端に重量式選果
ラインの始端側を接続する。そして、正逆転コンベアを
正転して、前処理ラインから排出された青果物をこの正
逆転コンベアにより重量式選果ラインに供給する。ま
た、普通柑を選別する場合には、正逆転コンベアに形状
式選果ラインの選別済み青果物の排出端を接続し、正逆
転コンベアに搬出コンベアを接続する。そして正逆転コ
ンベアを逆転して、形状式選果ラインから排出された青
果物を正逆転コンベアを介し搬出コンベアより排出す
る。

【０００７】このように本発明では、単一の正逆転コン
ベアを正転・逆転することにより、重量式選果ラインへ
の供給と形状式選果ラインからの搬出とに共用すること
ができ、もって設置費用の節減を図ることができる。

【０００８】

【実施例】以下に本発明実施例につき図面に従って説明
する。本発明を実施する選果施設は、荷受場および出荷
場などを備えた１階部分（図示省略）、および形状式選
果ラインＢおよび重量式選果ラインＣを配備した２階部
分（図１参照）とからなり、本発明の青果物選別装置
は、これら形状式選果ラインＢおよび重量式選果ライン
Ｃを後述のように正逆転コンベアＤ等で接続したもので
ある。また形状式選果ラインＢの下段には前処理ライン
Ａを並行して配置する（図２参照）。

【０００９】図１において、図示しない１階部分の荷受
場から２階部分に荷受コンベア４２を延設する。この荷
受コンベア４２の中部には、図３に示すようにオートダ
ンパ３８を交差状に接続すると共に、荷受コンベア４２
上のコンテナをオートダンパ３８に向けて押出すための
箱押装置４５を配備する。

【００１０】オートダンパ３８の上部の排出側には、コ
ンベア５０等を介して、前処理ラインＡを接続する。前
処理ラインＡは、図２に示すように、青果物を洗浄する
洗浄機２、送風ファンなどからなる第一乾燥機３、青果
物をワックス掛けするワックス機４、ワックス掛けした
青果物を乾燥する第二乾燥機５を順に接続してなる。こ
の前処理ラインＡの終端には、青果物を形状式選果ライ
ンＢの始端部に向け上昇すべき竪型昇降器７、および青
果物を前処理ラインＡに対して直交方向に搬送すべきコ
ンベア８を配置すると共に、これら竪型昇降器７または
コンベア８に選択的に接続する切替装置６を設ける。

【００１１】図１において、形状式選果ラインＢは、鍵
盤状の転動可能な台板を多数直列してなるコンベア１
０，１１、およびこれらコンベア１０，１１の上方に並
行する上部コンベア１２からなる所謂鍵盤式のものであ
り、その始端部には選別作業者の作業スペースとしての
選別作業部９を形成する。選別作業部９の終端付近に
は、形状判別装置１を跨設する。この形状判別装置１
は、青果物を撮影すると共に、画像処理により形状・大
きさに応じて青果物を等級付けして出力するものであ
る。

【００１２】形状式選果ラインＢの始端部には、上述し
た竪型昇降器７の上端部を接続する。１３，１３…は並
品投入口であり、並品投入口１３，１３…の終端はコン
ベア１４に連通する。１５，１６，１７，１８，１９は
引出しコンベアである。

【００１３】上部コンベア１２の終端部はコンベア１
０，１１の終端部より長く図中右側に突出し、その突出
した終端部の下方には引出しコンベア２３，２３…を配
置すると共に、引出しコンベア２３，２３…の近傍には
上記形状判別装置１と同様の形状判別装置２２を跨設す
る。形状式選果ラインＢは、形状判別装置１の判別出力
に応じて、コンベア１０，１１の各台板が転動し、また
形状判別装置２２の判別出力に応じて上部コンベア１２
の各台板が転動して、青果物を階級ごとに、かつ形状に
応じて、各引出しコンベア１５〜１９および２３，２３
…のいずれかに排出するように構成する。引出しコンベ
ア１５〜１９の終端部には、秤量機２０，２０…を配置
する。

【００１４】形状式選果ラインＢに並行して設けた重量
式選果ラインＣは、個々の青果物を載置すべき複数列の
カップ２７，２８，２９，３０，３１を並列してなる所
謂カップ式のものであり、その始端部には選別作業者の
作業スペースとしての選別作業部２５を形成する。重量
式選果ラインＣは、各カップに装備した重量検出部（図
示省略）により青果物を重量を個別に測定すると共に、
その検出重量値に応じて、重量式選果ラインＣの周囲に
形成した収容部４４，４４…のいずれかの位置でカップ
を転動することにより、青果物を階級ごとに、かつ重量
別に排出するように構成する。

【００１５】各選果ラインＢ，Ｃの選別作業部９，２５
では、供給された青果物を、選別作業者が目視により青
果物の外見の美しさに応じて「並」「良」「優」「秀」
の等級別に各コンベア１０，１１，１２あるいはカップ
２６，２７，２８，２９，３０，３１に載せ代える等級
選別作業が行われる。

【００１６】重量式選果ラインＣの始端部には、荷受コ
ンベア４２の終端部を接続すると共に、荷受コンベア４
２上のコンテナから青果物を取出して重量式選果ライン
Ｃに供給するオートダンパ３９を設ける。

【００１７】形状式選果ラインＢと重量式選果ラインＣ
との間には、正逆転可能な駆動型ローラコンベアからな
る正逆転コンベアＤを並行して設け、この正逆転コンベ
アＤの中部には形状式選果ラインＢの引出しコンベア１
５〜１９および２３，２３…の各終端部をのぞませる。
正逆転コンベアＤの一端（図中左端）には、選別後の青
果物を１階部分の出荷場に向け搬出すべき搬出コンベア
３３、および前処理ラインＡの終端部近傍に至るコンベ
ア４６とを、切替装置５１により選択的に接続可能とす
る。

【００１８】一方、正逆転コンベアＤの他端（図中右
端）は、荷受コンベア４２に合流させ、荷受コンベア４
２を介して重量式選果ラインＣに接続可能とする。正逆
転コンベアＤの図中右端付近の周囲には、搬送されたコ
ンテナを一時的に貯留すべき一時貯留場３７，３８を形
成する。

【００１９】オートダンパ３８の上部の排出側には、オ
ートダンパ３８により青果物を排出した空コンテナを移
送すべき空コンテナ搬送コンベア３２を接続する。この
空コンテナ搬送コンベア３２は、正逆転コンベアＤの上
方に並行し、その終端部４７はコンベア４６の近傍に配
置する。また空コンテナ搬送コンベア３２は、切替装置
４９によりコンテナ回収コンベア４３に選択的に接続可
能とする。

【００２０】３４，３５は、重量式選果ラインＣで分級
された青果物を搬出する搬出コンベアであり、搬出コン
ベア３４および搬出コンベア３３の終端を、搬出コンベ
ア３５に合流させると共に、搬出コンベア３５の終端部
は、１階部分に設けた出荷場（図示省略）に接続する。
３６は封函機である。

【００２１】次に、本実施例の青果物選別装置の使用状
態の一例について説明する。本実施例の青果物選別装置
では、高級柑、普通柑、および柿・桃などの落葉果実の
選別作業を行うことができ、青果物の種類によりその使
用方法を以下のように異にするものである。

【００２２】まず、高級柑を選別する場合の選別工程を
説明する。高級柑の選別に当たっては、前処理ラインＡ
および重量式選果ラインＣを用いて選別工程を行うもの
であり、形状式選果ラインＢは使用しない。図２におい
て、予め切替装置６により二次乾燥機５の終端部とコン
ベア８とを接続状態とし、また図１において、切替装置
５１によりコンベア４６と正逆転コンベアＤとを接続状
態としておく。また、正逆転コンベアＤは正転、すなわ
ち搬送方向が図１中左から右の方向となるように駆動す
る。

【００２３】まず１階部分で、荷受した青果物をコンテ
ナに収容すると共に、そのコンテナを荷受コンベア４２
で２階部分に搬送し、箱押装置４５およびオートダンパ
３８で青果物をコンテナから取出して前処理ラインＡに
供給する。空コンテナは空コンテナ搬送コンベア３２で
青果物とは別個に搬送する。

【００２４】前処理ラインＡでは、洗浄機２で青果物を
洗浄して第一乾燥機３で乾燥し、ワックス機４でワック
ス掛けして第二乾燥機５で乾燥する。このようにして前
処理ラインＡにおける前処理工程を終了した青果物は、
コンベア８により排出する。ここで、図４に示すよう
に、コンベア８の終端部付近に待機する作業者５２（図
１参照）が、空コンテナ搬送コンベア３２の終端部４７
に搬送されたコンテナ４８を、コンベア８の終端部に配
置して、コンベア８から排出される青果物をコンテナ４
８に収容する。次に作業者５２は、青果物を収容したコ
ンテナ４８をコンベア４６に載せる。従って青果物を収
容したコンテナ４８は、コンベア４６および切替装置５
１を介して正逆転コンベアＤに供給され移送される。正
逆転コンベアＤの終端部まで移送されたコンテナは、人
手により一時貯留場４０，４１に一時的に集積する。

【００２５】次に、一時貯留場４０，４１からコンテナ
を取出し、荷受コンベア４２に載せ、オートダンパ３９
に向け搬送する。オートダンパ３９では、各コンテナか
ら青果物を排出して、重量式選果ラインＣの選別作業部
２５に供給する。選別作業部２５では、人手による階級
選別作業が行われ、選別作業者が青果物を「並」「良」
「優」「秀」に階級分けし、その階級別に各列のカップ
２７，２８，２９，３０，３１のいずれかに１個ずつ載
置する。青果物を載置した各カップは、その階級ごと
に、かつ「Ｓ」「Ｍ」「Ｌ」「２Ｌ」「３Ｌ」の重量別
に、所定位置で転動し、その結果青果物は各収容部４
４，４４…のいずれかに収容される。

【００２６】このようにして階級・重量ごとに収容され
た青果物は、収容部４４，４４…においてそれぞれ人手
により箱詰めし、搬出コンベア３４，３５で移送し、封
函機３６で封函したのち、１階部分の出荷場（図示省
略）に搬出して、選別工程を終了する。

【００２７】次に、高級柑以外の普通柑を選別する場合
の選別工程について説明する。普通柑の選別に当たって
は、前処理ラインＡおよび形状式選果ラインＢを使用す
るものであり、重量式選果ラインＣは使用しない。図２
において、予め切替装置６により二次乾燥機５の終端部
と竪型昇降器７とを接続状態とし、また図１に示すよう
に切替装置５１によりコンベア３３と正逆転コンベアＤ
とを接続状態としておく。また正逆転コンベアＤは逆
転、すなわち搬送方向が図１中右から左の方向となるよ
うに駆動する。

【００２８】まず、上述した高級柑の場合と同様に、荷
受けした青果物を荷受コンベア４２およびオートダンパ
３８を介して前処理ラインＡに供給し、前処理工程を行
う。

【００２９】次に、前処理工程を終了した青果物は、切
替装置６を介して竪型昇降器７に供給され、上昇したの
ち形状式選果ラインＢの始端に移送される。

【００３０】次に、選別作業部９において、人手による
階級選別作業を行う。この選別作業部９においては、選
別作業者が青果物を「並」「良」「優」「秀」に階級分
けし、その階級別に、「良」のものはコンベア１０に、
「秀」のものはコンベア１１に、「優」のものは上部コ
ンベア１２に載置し、また「並」のものは並品投入口１
３に投入する。

【００３１】青果物を載置した各コンベア１０，１１，
１２は、その階級ごとに、かつ「Ｓ」「Ｍ」「Ｌ」「２
Ｌ」「３Ｌ」の形状別に、所定位置で転動し、その結果
青果物は各引出しコンベア１５〜１９または引出しコン
ベア２３，２３…のいずれかに収容される。

【００３２】このようにして階級・形状ごとに収容され
た青果物は、人手により秤量・箱詰めし、上述のように
逆転している正逆転コンベアＤにより、搬出コンベア３
５に移送する。移送された箱は、封函機３６で封函した
のち、１階部分の出荷場（図示省略）に搬出して、選別
工程を終了する。

【００３３】次に、柿・桃などの落葉果実を選別する場
合の選別工程を説明する。落葉果実の選別に当たって
は、重量式選果ラインＣのみを用いて選別工程を行うも
のであり、前処理ラインＡおよび形状式選果ラインＢは
使用しない。

【００３４】すなわち、１階部分で荷受し、コンテナに
収容された青果物を、荷受コンベア４２により、重量式
選果ラインＣに移送する。コンテナに収容された青果物
は、投入機３９により、選別作業部２５に取出す。選別
作業部２５では、上述の高級柑の場合と同様に、人手に
よる階級選別作業を行う。すなわち、選別作業者が青果
物を「並」「良」「優」「秀」に階級分けし、その階級
別に各列のカップに１個ずつ載置すると、青果物を載置
した各カップは、その階級ごとに、かつ「Ｓ」「Ｍ」
「Ｌ」「２Ｌ」「３Ｌ」の重量別に、所定位置で転動
し、その結果青果物は各収容部４４，４４…のいずれか
に収容される。

【００３５】このようにして階級・重量ごとに収容され
た青果物は、収容部４４，４４…において人手により箱
詰めし、搬出コンベア３４，３５で移送し、封函機３６
で封函したのち、１階部分の出荷場（図示省略）に搬出
して、選別工程を終了する。

【００３６】このように、本実施例の青果物選別装置で
は、高級柑を選別する場合には、正逆転コンベアＤを正
転して、前処理ラインＡから排出された青果物を正逆転
コンベアＤにより重量式選果ラインＣに供給する。ま
た、普通柑を選別する場合には、正逆転コンベアＤを逆
転して、形状式選果ラインＢから排出された青果物を正
逆転コンベアＤにより搬出コンベア３３，３５により搬
出する。

【００３７】このように本実施例では、単一の正逆転コ
ンベアＤを正転・逆転することにより、重量式選果ライ
ンＣへの供給と形状式選果ラインＢからの搬出とに共用
することができ、もって設置に要する費用の節減を図る
ことができる。

【００３８】さらに本実施例では、上述のように柿・桃
などの落葉果実の選別作業にも使用することができ、施
設の一層の有効利用を図ることが可能である。

【００３９】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、単一
の正逆転コンベアを正転・逆転することにより、重量式
選果ラインへの供給と形状式選果ラインからの搬出とに
共用することができ、もって設置に要する費用の節減を
図ることができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を実施する青果物選別施設の２階部分を
示す平面図である。

【図２】前処理ラインを示す平面図である。

【図３】形状式選果ラインおよび前処理ラインを示す正
面図である。

【図４】青果物選別装置の左側面図である。

【符号の説明】

Ａ 前処理ライン Ｂ 形状式選果ライン Ｃ 重量式選果ライン Ｄ 正逆転コンベア ７ 竪型昇降器 ３３，３４，３５ 搬出用コンベア ３８，３９ オートダンパ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前処理ラインＡと形状式選果ラインＢと
   重量式選果ラインＣとを備え、上記形状式選果ラインＢ
   からの選別済青果物の排出端が接続され、端部を搬出コ
   ンベアに接続するコンベアＤを正逆転可能に構成し、こ
   の正逆転コンベアＤの一端には、青果物前処理ラインＡ
   から形状式選果ラインＢへの搬送路を分岐して未選別青
   果物を受ける未選別青果物供給端を接続し、他端には重
   量式選果ラインの始端側を接続し、正逆転コンベアＤの
   正転時には、重量式選果ラインの始端側に未選別果実を
   供給する供給路に構成し、上記正逆転コンベアの逆転時
   には、上記形状式選果ラインからの選別済青果物を搬出
   コンベアに向けて搬出する搬出路に構成することを特徴
   とする青果物選別装置。