JP3232324B2 - 超音波を利用した物体の吸着方法 - Google Patents

超音波を利用した物体の吸着方法

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甫 羽田野
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黒田テクノ株式会社
甫 羽田野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、超音波を利用した
体の吸着方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ガラス片等の小物体を吸着する装
置としては、電機掃除機等のようにポンプ式に小物体を
吸着するタイプのものや、電磁石や永久磁石を利用して
金属片等を吸着するもの等がある。また、超音波は可聴
音より高い音であり周波数が16000c以上の音波で
あるが、この超音波の用法としては、通信的応用に関し
ては水中超音波機器等、動力的応用に関しては超音波洗
浄等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来から
の吸着装置によると、例えば、プール等の水中のガラス
等を吸着しようとした場合に、ポンプ式のものでは水
まで吸い込んでしまい余分な動力を必要とし、また、電
磁石等を使用したものでは、金属片を吸着することはで
きるが、ガラス等の非金属の物体を吸着することはで
きないだけでなく、例えば、電子部品等のように磁界を
掛けるとその物体が変化する等の不都合が生じる物体に
対しては不向きである。そこで、本発明は超音波放射部
の特殊な性質を利用して、物体等の吸着に使用する方法
を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記のような問題点を解
決する本発明の吸着方法は、超音波振動を伝播するホー
ン2の先端面を、液体中において物体の平坦面に対して
略平行を保つように接近させ、両面間に負圧域Nを形成
することにより物体をホーン2の端面側に吸着させる
とを特徴とするものである。
【0005】
【作用】超音波放射中の音響直進流の発生部端面と他の
小物体の平坦面間に生じる負圧を利用し、該負圧域に
ガラス等の小物体を超音波放射により吸着すること
ができる
【0006】
【実施例】本発明の実施例を図面を利用して説明する。
吸着装置Xは、図1に示すように、超音波振動子1より
連設されたホーン2を介して設けられたチップ3の先端
から超音波を放射するもので、チップ3の先端からは超
音波が軸方向に向かって放射されている。音響直進流h
の流域中においては直進流の進行方向に対して正方向に
力が加えられるのであるが、本発明者等の実験によれ
ば、図2の一点鎖線で示すように音響直進流発生する
ホーン2の端面から約0.5mm前後の範囲内に、該端
面と他の物体の平坦な面を略平行な状態で接近させる
と、両面間に負方向に圧力が生ずることが認められるよ
うになった。つまり、図2に示すように、音響直進流の
ほとんどの範囲では正圧域Aとなっているが、チップ3
の先端面と一点鎖線で示される物体の平坦面との間が
0.5mm前後の範囲は負圧域Nになっている。したが
って、液体中においてこの負圧域Nを形成するようにホ
ーン端面に略平行に物体の平坦面を接近させれば該物体
はチップ3に吸着することになる。
【0007】実験ではチップ3の先端を音響直進流の進
行方向に対して垂直の平面に形成し、19.5KHZで
50Wの超音波振動子を接近させたところ、10mm×
50mmの大きさで20gのガラス板を吸着することが
できた。
【0008】一吸着した物体も吸着後チップ3を傾け
てしまうと、チップ3の先端面に沿って滑り落ちてしま
うので、図3に示すようにチップ3aの先端部を外周に
突設部31aを設け、チップ先端を傾けても吸着した物
体が滑り落ちないように構成すると至便である。この吸
着装置を使用すれば、プール等の底に沈んでいる平坦面
を備えたタイル、ガラス片等の小物体を容易に吸着する
ことができる。特に、電磁石や永久磁石では吸着できな
い物体の吸着や磁石等を使用して磁界をかけるのが適当
でない物体の吸着に便利である。
【0009】次に示す実施例は、図4に示すように、フ
レーム5に開口された開口部51を開閉する板状の弁6
を上記吸着装置Xを使用して開閉するバルブを構成する
ものであり、バルブシート面の形状やインチング間隔の
設定によっては一方から他方に流体を送るポンプとして
も構成できる。このように上記吸着装置を流体操作の弁
駆動装置に使用すると、100回/sec等の応答性の
非常に良好な弁駆動機構を得ることができる。なお、上
記吸着装置Xを保護するため適当なシールを施す必要が
ある。また、使用する弁6に耐食性をもたせるため、セ
ラミック材やセラミックコーティング材を使用すること
も可能である。
【0010】
【発明の効果】本発明は上記のように構成され、超音波
伝播用のホーンの端面と他の物体の平坦面間に発生する
負圧を利用して小物体を吸着することができるので、従
来、電磁石等を使用したものでは、金属片のみ吸着する
ことができたものが、平坦面を有するガラス等の非金
属の物体でも吸着することができるとともに、磁界を掛
けると不都合な板状物体に対しても物性変化を伴わない
で吸着することができる。また、ポンプ式のもののよう
に流体駆動のための余分な動力を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸着装置の正面図である。
【図2】吸着装置先端部の要部拡大図である。
【図3】吸着装置先端部の要部拡大図である。
【図4】吸着装置を使用したポンプの断面図である。
【符号の説明】
X 吸着装置 1 超音波振動子 2 ホーン 3 チップ 5 フレーム 51 開口部 6 弁 h 音響直進流 A 正圧域(斥力) N 負圧域(吸引力)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−278310(JP,A) 特開 平2−144934(JP,A) 特開 平3−42432(JP,A) 実開 平1−44076(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B06B 1/00 B06B 3/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波振動を伝播するホーン(2)の先
    端面を、液体中において物体の平坦面に対して略平行を
    保つように接近させ、両面間に負圧域(N)を形成する
    ことにより物体をホーン(2)の端面側に吸着させる
    音波を利用した物体の吸着方法。
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