JP3231460B2 - 液状樹脂成形用金型 - Google Patents

液状樹脂成形用金型

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JP3231460B2
JP3231460B2 JP07962593A JP7962593A JP3231460B2 JP 3231460 B2 JP3231460 B2 JP 3231460B2 JP 07962593 A JP07962593 A JP 07962593A JP 7962593 A JP7962593 A JP 7962593A JP 3231460 B2 JP3231460 B2 JP 3231460B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄肉部と厚肉部からな
る偏肉成形品(以下成形品とも言う)の液状樹脂成形用
金型に関し、特には、反応射出成形〔RIM(Reaction
Injection Moulding )成形と称する〕や樹脂トランス
ファー成形、注型成形により、電気部品や建設機器・遊
具などのカバー類や自動車部品などの大型成形品を成形
するのに使用される大型の液状樹脂成形用金型に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ジシクロペンタジエンやウレタ
ン、エポキシ、ナイロン、不飽和ポリエステルなどの液
状樹脂の成形用金型には次のものが使用される。 (1)炭素綱やアルミニウム、低融点合金などの金属を切
削あるいは 鋳物、放電加工などで所定の形状に仕上げ
た、大部分が金属からなるもの。 (2)ニッケルや銅などの電鋳やメッキ、低融点合金の溶
射により、金型表面層が金属層からなり、金属や金型用
樹脂で裏打ちされたもの。 (3)エポキシや不飽和ポリエステル、シリコン あるい
は これらの樹脂に金属粉などの充填材を含有した金型
用樹脂からなるもの。
【0003】上記金型の内 (1)の大部分が金属からなる
金型は、熱伝導性が良好であり、成形サイクルは短く作
業上好ましいが、液状樹脂の成形の際にはかえって、成
形品のリブや肉厚変化のある厚肉部の表面にヒケや寸法
収縮差によるソリが発生し易いという品質上の重大な問
題が発生する。
【0004】すなわち、液状樹脂の成形は、反応を伴う
化学変化であり熱供給と除熱の両方の熱移動が必要とな
るが、大部分が金属からなる金型では樹脂への熱移動が
素早く生じるために、金型温度より低温状態の液状樹脂
を金型へ注入する際に、最初に注入された樹脂は金型か
らの加熱に伴い加速度的に反応が促進されるのに対し
て、最後に注入された樹脂は大幅に遅れて反応が始まる
という、反応の不均一な開始と冷却速度の大幅なバラツ
キが生じ、その結果、寸法収縮のバラツキ、さらには成
形品表面に反応性の違いによる樹脂の流れ模様が発生す
る。特に注入に多くの時間を要する大型成形品では、ヒ
ケやソリの発生が顕著となる。またリブなどの厚肉部の
ある成形品の場合には、樹脂の硬化反応終了後の冷却過
程において、金型の熱伝導性が非常に良いため、金型に
接する部位の冷却速度があまりにも速く、成形品表面層
の固化が板厚中央部の硬化反応が十分完結する以前に生
じるため、成形品の板厚中央部は、まだ発熱過程にある
にもかかわらず表面層は冷却固化しており、ヒケやソリ
が発生し易いという問題がある。この他、樹脂はその硬
化収縮過程で体積収縮するため、硬化当初に金型表面に
密着していた樹脂が金型表面から離脱する。このため、
大部分が金属からなる金型では、熱容量が大きく且つ熱
伝導性が良すぎるため、未反応のモノマーの蒸気が離脱
した金型表面に凝縮し液状のベタツキが発生し易く、成
形の度に金型の表面を洗浄して、このベタツキを除去
し、次の成形に供するというやっかいな作業をしなけれ
ばならないという問題もある。
【0005】一方、上記従来の金型では、その表面の温
度分布はできるだけ均一、例えば±数℃の範囲にするこ
とが行われている。この方法は、平板状の均一厚みの成
形品に対しては妥当であるが、厚さが不均一な厚肉部を
有する偏肉成形品では、型の表面温度を均一にすること
よりも、厚さの異なる成形品の部位間でその板厚の中央
部の温度を同じにしながら冷却・硬化させることがヒケ
やソリの低減に有効であることから、適切な方法とは言
えない。偏肉成形品の場合には、従来の一般的な概念と
は異なり、相応の温度分布あるいは熱伝導性の分布を持
たせることが品質や成形サイクルの改善に有効である。
このため、例えば金型に温調管を設け、この温調管の温
度を成形サイクル内で変化させることや、温調管を成形
品の板厚に応じて分割し、異なる温度の熱媒体を流して
部分的に温度を変えること、あるいは温調管の金型表面
からの距離を成形品の厚肉部では薄肉部よりも表面に近
づけることなどの工夫が一般的に行われている。また、
最近の例では、電気ヒータや温度調節熱媒体のごとき加
熱源の温度をマイコンを使って変えることにより金型の
温度分布を制御することが報告されている〔強化プラス
チック、29(11)、31頁参照〕。確かにこれらの方法は、
金型の一部の温度を他の部分と変えて硬化速度を制御し
たり、あるいは反応初期には加熱し硬化後は早急に冷却
熱媒体の使用により成形サイクルを短くすることは可能
である。しかし、この方法では、リブやボスのような局
部的な厚肉部位を有する偏肉成形品には型の製作が困難
である。また、異なる温度の熱媒体を用意したり、経時
的に温度を変えたりすることは、経費が嵩んだり、エネ
ルギの損失となるなどの問題がある。
【0006】他方、上記金型の内 (2)と (3)の金型表面
層が金属または金型用樹脂からなりその裏面が金型用樹
脂層からなる金型は、大型の金型が比較的簡単に製作で
きることや、保温性が良いため、硬化速度の遅い液状樹
脂の成形にしばしば用いられる。ところが、高反応性の
液状樹脂の場合には、かえって熱伝導が悪いため、成形
樹脂や金型表面温度の冷却に時間を要し、成形サイクル
は長くなるという欠点がある。上述した金属製の金型に
比べてヒケやソリは少ないという特徴を有するが、温調
管とその周りの金型用樹脂の剥離や型表面層の剥離な
ど、型寿命が短いという問題がある。
【0007】これらの問題を解決するため、これまでい
ろいろ改良が試みられてきたが決め手がないのが現状で
ある。例えば、特開昭55− 55818号公報では、熱可塑性
樹脂の場合ではあるが、薄肉金属層からなる金型表面の
裏に断熱層を形成し、型の保温能力を向上させて成形を
行い、フローマークの少ない良外観の成形品を得てい
る。しかし、除熱を積極的に行わないために成形サイク
ルが増加するという問題がある。なおこの公報には、偏
肉成形品のソリや部分的な厚肉部のヒケを改善する記載
はなく、またその改善は難しい。
【0008】特開昭58−3821号公報では、熱可塑性樹脂
の場合ではあるが、電鋳層の裏に金属とセラミックの複
合した層を設けることにより、ヒケやウエルドマーク、
収縮率の改善などを行っている。しかし、金属とセラミ
ックの複合層の形成に時間を要するという型製作上の問
題がある。なおこの公報にも、偏肉成形品のソリや部分
的な厚肉部のヒケを改善する記載はなく、またその改善
は、複合層が型全面を覆うため期待できない。
【0009】特開昭60−121022号公報では、金属溶射層
の裏に炭素繊維からなる繊維強化熱硬化樹脂層を設ける
ことが、述べられている。金型を迅速に製造し、金型の
寿命や剛性の向上に有益であるが、除熱を積極的に行わ
ないために成形サイクルが増加するという問題がある。
なおこの公報にも、偏肉成形品のソリや部分的な厚肉部
のヒケを改善する記載はなく、またその改善は難しい。
【0010】表面が金属層からなりその裏面を金型用樹
脂で補強する型において、表面温度を均一化し且つ熱伝
導速度を上げ型の寿命を向上させる方法として、次のよ
うなものが公知である。すなわち、実公昭64−4490号公
報では、電鋳型において、温調管を複数で併流にする方
法があるが、複雑で大型の成形品の場合には、型の製造
が困難になると共に、各配管の熱媒体流動の際の圧力損
失が不均一になり易いために、均等に熱媒体を流し難く
なるという問題がある。
【0011】他の方法では、電鋳型において、温調管を
表面の金属層とボルトや溶接などで固定する方法(特開
平 2−243306号公報、特開平 2−243307号公報、特開平
3−153313号公報、実開昭61−120511号公報、実開平 2
− 74368号公報など)があるが、ボルトを固定した電鋳
表面が温調管の溶接などの際に凹んだり、変形し易いと
いう問題がある。
【0012】また、特開昭62−292409号公報では、電鋳
型の金属層と温調管の間に 金属性の綿状物を敷くこと
が述べられているが、真空成形には効果があるが、液状
樹脂成形の場合には、綿状の空間に樹脂が閉塞し、型の
強度や熱伝導の改良効果が無くなるという問題がある。
【0013】さらに、特開昭60−187519号公報や特開平
2− 76709号公報では、金型の金属表面層と温調管とを
溶射または接合により固定する方法が開示され、熱伝導
を高める点で効果はあるが、偏肉成形品のヒケやソリを
無くすには効果が期待できない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、液状樹脂よ
り成形される比較的大型の偏肉成形品を対象とし、上述
した従来提案されている種々の方法では、その成形の際
に生じるヒケやソリなどの品質改善が思うように期待で
きないこと、加えて、金型の熱伝導性について鋭意検討
した結果、適度な保温性を有し且つ局部的に熱伝導性が
特定の大きさだけ異なる金型が好ましいことを見い出し
て成したものであって、その目的は、成形サイクルを短
縮しつつ、成形品のヒケやソリを少なくし、型寿命の長
い液状樹脂成形用金型を提供するものである。加えて、
熱伝導性の局所的に異なる金型を用い、ヒケやソリの少
ない大型成形品を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係わる液状樹脂成形用金型は、液状樹脂
を硬化して、薄肉部と厚肉部からなる偏肉した成形品を
得るためのキャビティ型とコア型からなる金型であっ
て、少なくともキャビティ型が、薄い金属層、または、
金属を含有する金型用樹脂層からなる表面層を備えると
共にその表面層の裏面に強化樹脂により固定された温度
調節用配管を備え、且つ、成形品の厚肉部に接触する部
位の伝熱抵抗を薄肉部に接触する部位の伝熱抵抗の 1/
3 〜 1/40になるように形成されてなるものである。
【0016】そして、上記の液状樹脂成形用金型におい
ては、成形品の厚肉部に接触する部位の表面層と温度調
節用配管との間に、金属繊維あるいはカーボン繊維を有
する繊維強化樹脂層を介在させてあってもよい。
【0017】
【作用】以下、本発明の構成並びに作用について詳細に
説明する。金型の表面層は、金属または熱伝導率が0.5W
/mK以上の金型用樹脂や金属を含有する金型用樹脂から
なる。この内好ましいのは、成形サイクルを速め、綺麗
な成形品表面を形成するという点から金属からなる表面
層がよい。具体的には 電鋳やメッキ、溶射、板金、薄
板のプレスなどにより製作された金属層である。金属の
材質は、アルミニウムやニッケル、鉄、銅、チタン、す
ず、亜鉛、モリブデン、これらの合金など(熱伝導率で
は 10W/mK以上)であればいずれでもよく、特に制限は
ない。また、その厚さは 0.3〜10mm、好ましくは 0.5〜
8mmがよい。その理由は、 0.3mmより薄いと型表面の剛
性が不足すると共に、剥離や傷による破損が生じ易く、
研磨などの軽微な型修正も困難になる。また、10mmより
厚いと重量が大きくなり、取扱い難くなると共に、金属
層の熱容量が大きくなり温調管による熱制御が難しくヒ
ケやソリを大きくする。一方、表面層が金属を含有する
金型用樹脂(熱伝導率は 0.5〜 20W/mKのもの)からな
る場合には、その厚みは0.3〜 8mmがよく、 0.3mmより
薄い場合は、型表面の剛性が不足すると共に、剥離や傷
による破損が生じ易く、研磨などの軽微な型修正も困難
になる。また、 8mmより厚いとその伝熱抵抗が大きくな
り、成形サイクルの悪化をもたらす。また、金型用樹脂
としては、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂など
の熱硬化性樹脂が適用でき、含有する金属とその形態と
しては、アルミニウムやステンレス、銅などの微粉末や
粒がある。
【0018】金型の表面層の形成の一例を示すと、母型
(マスター)を予め準備しておき、この表面に離型剤を
塗布する離型処理を施し、電鋳 あるいは メッキ、溶
射により金属層を形成する方法がある。また、母型を用
いて、または用いずに金属板の板金により形状を作って
いく方法がある。あるいは、母型の上に離型処理をした
後、薄く金属を含有する金型用樹脂を塗布または流し込
む方法がある。いずれの方法も、本業界で公知の方法で
あり、どの製作方法を選択するかは最終成形品に要求さ
れる外観やコストを考慮して決める。
【0019】かかる金属層や金型用樹脂層の裏面(成形
品に接する面の後面)には温調管が配設される。その際
に伝熱性が良く且つ剛性の高い強化繊維と熱伝導性の良
い強化樹脂の複合強化材で温調管を固定する。かかる強
化繊維としては、カーボン繊維や金属繊維、金属をコー
ティングしたガラス繊維などが使用できる。カーボン繊
維は、石油ピッチ系の高弾性率で高熱伝導率のものが好
ましい。金属繊維は、ステンレス製のもの(一例として
神戸製鋼所社製、商品名:サイファー)が強度の点で好
ましい。繊維の形状はクロスやテープなどの織布、マッ
トやチョップドストランドなどの短繊維、ロービングや
ワイヤーのような長繊維などいずれでも良い。一方、強
化樹脂としては、 エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル
樹脂、フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂と金属の
粉末や粒、塊の混合物を併用したものが挙げられる。特
に好ましいものは、エポキシ樹脂と金属粉とを混合した
ものが、熱伝導の良いことや、金型を製造する際に、型
表面の金属層と温調管との間に十分に樹脂を充填する流
動性を持たせることができ、作業性が良く、また短時間
に硬化して十分な強度になるという点で好ましい。この
際に用いる金属粉としては、アルミニウムや銅の粉が熱
伝導が良い点で好ましい。金属粉の使用量は多い程好ま
しいが、通常は樹脂との組み合わせで40wt%以上、好ま
しくは50wt%以上で、その上限は樹脂との均一混合を考
慮して90wt%程度である。かかる金型用樹脂や金属を含
有する金型用樹脂の熱伝導率は0.5W/mK以上、好ましく
は1W/mK以上である。これ以下であると、成形サイクル
が長くなるという問題が発生し易くなる。
【0020】温調管は、一般に管や平板の組み合わせで
形成される。その断面形状は、丸形状でも、角形状、三
角形状、菱形状、星型形状、フイン付き形状などいずれ
でも良いが、丸型が入手し易い。平板で温度調節流路を
形成する場合は、高い熱伝導性を要求される部位に適用
でき、好ましい形態として、金型の金属表面層に直接接
着する形式が採れる。また、管の場合、蛇腹を有した可
とう性のある形状のものも用いることができる。管径
は、熱媒体の流速が 0.5〜 20m/秒、好ましくは1〜 10
m/秒であるように選ばれる。材質は金属のような熱伝
導性の良いものであれば特に制約はない。例えば、銅や
アルミニウム、鉄、ステンレスなどが使用でき、銅管が
特に好んで用いられる。
【0021】温調管を金型表面層の裏面にはわせた後
に、強化繊維を手で敷き、そこに金型用樹脂をハケやロ
ーラにより手作業で押し込んでいくことでボイドの無い
強化樹脂層を形成し、温調管と金型表面層とを固定す
る。他の固定方法としては、温調管と強化繊維、金型用
樹脂を金型表面の裏に敷設した上に、下面に離型処理を
施したプラスチックシートやゴムシートを敷き、このシ
ートと金型外周はゴムや接着材で密着させた後、シート
と金型の間の空気を真空ポンプで吸引する所謂真空バグ
法で強化樹脂層を形成し、温調管と金型表面層とを固定
する方法がある。
【0022】上記金型成形に際して重要なことは、成形
される偏肉成形品の厚肉部に接触する金型面(以下厚肉
対応金型面という)の伝熱抵抗を、薄肉部に接触する金
型面(以下薄肉対応金型面という)のそれより 1/3 〜
1/40、好ましくは 1/4 〜1/30にすることである。
その理由は、 1/3 より大きい伝熱抵抗であると、ヒケ
やソリの改良効果は認め難くなる。また、 1/40より小
さい伝熱抵抗は、薄肉部での冷却速度が遅くなり、成形
サイクルが長くなり、好ましくない。ここで、本発明が
対象とする偏肉成形品とは、薄肉部が少なくとも 2mm以
上あり、厚肉部/薄肉部の比が 1.2以上の厚肉部を有す
る形状の偏肉成形品を言う。
【0023】一般に、成形品の肉厚が2倍になるとその
部分の冷却速度は4倍必要であると言われている。従っ
て、金型の伝熱抵抗の差がない従来の一般的な型では、
厚肉部の冷却速度が遅く、成形サイクルがこの部分で律
速される。さらに、成形品の肉厚の異なる部分でヒケや
ソリ、あるいは残留応力が発生し易い。液状樹脂のよう
な反応性樹脂の場合には、前述したように、型内に注入
された樹脂原料は、目的の物性と外観を得るのに十分な
熱量の授受と共に、反応が十分完結するまでの間その反
応の発熱により樹脂が十分な温度に達するだけの保温性
が必要となるので、射出成形のような非常に除熱速度の
高い金型は好ましくない。そこで、適度な保温性を持ち
ながら、金型内の局部、特に厚肉部での除熱速度を上げ
ることが必要であり、本発明の金型を見出した。
【0024】すなわち、本発明では、伝熱抵抗を型部位
によって変化させるために、金型の表面を、薄い肉厚か
らなる金属層または金属を含有する金型用樹脂層で形成
し、その裏面に温調管を敷設する。その際、厚肉対応金
型面は、温調管と金型表面層との間隔をできるだけ小さ
く形成し、あるいはこれに加えてこの間には炭素繊維や
金属繊維の良熱伝導性の強化材の含有率の高い複合強化
樹脂層を形成することにより、伝熱抵抗を他の薄肉対応
金型面より 1/3 〜 1/40だけ小さくすることである。
ここで、伝熱抵抗Rは、一般に熱が壁を通る時の抵抗で
あり、壁の厚さを熱伝導率で除したもので表せ、熱伝導
を構成する各材料の板厚dと熱伝導率λから、R=Σ
(di/λi)に従い簡単に算出することができる。こ
こで、iは金属層などの各材料を示す。本発明では、薄
肉対応金型面の伝熱抵抗は、温調管から金型表面までの
一番短い距離部において 5×10-6〜 5×10-4Km2 /W の
範囲にある。
【0025】伝熱抵抗Rを薄肉部と厚肉部で差を付ける
一つの方法としては、薄肉対応金型面の金型表面層と温
調管の間隔に対して、厚肉対応金型面の金型表面層と温
調管の間隔を 1/3 以下、好ましくは 1/4 以下にする
方法が上げられる。その際、金型表面層と温調管の間隔
は、厚肉部対応金型面では0.05〜50mmの間隔とし、さら
に好ましくは 0.1〜10mmとなるように設定する。また、
伝熱抵抗に差を付ける他の方法としては、金型表面と温
調管の間に、高熱伝導率で、同時に薄肉でも高剛性を保
ち、且つ金型の変形を防止することのできる複合強化樹
脂を用いる方法が上げられる。例えば、厚肉対応面をカ
ーボン繊維や金属繊維と金型用樹脂からなる強化樹脂
(熱伝導率は一般には 0.5〜 50W/mK)とし、薄肉対応
金型面をガラス繊維と金型用樹脂からなる強化樹脂(熱
伝導率は一般には2W/mK以下)にする。さらに、伝熱抵
抗の差を付ける他の方法として、強化樹脂と混合する金
属粉末の量や質を変えることが上げられる。
【0026】温調管の間隔(ピッチ)は、前記の金型表
面層との距離に比べるとさほど重要ではないが、管の場
合には30mm〜 200mmとし、作業性や経済性から許される
範囲で小さい方が望ましい。平板の場合には特に間隔の
定めはない。
【0027】液状樹脂の成形方法としては、一般のRI
M成形やRTM成形、注型成形が採用される。また、液
状樹脂としては、ジシクロペンタジエンやウレタン、エ
ポキシ、ナイロン、不飽和ポリエステルなどであるが、
大型で偏肉成形品を高成形サイクルで成形できるジシク
ロペンタジエンのごときノルボルネン系塊状重合体が好
適である。また、金型はキャビティ型とコア型からな
り、いずれの金型面にも上記本発明は適用できるが、少
なくとも成形品製品面を形成する側の型に適用するとよ
い。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1乃至図3を参照
して説明する。
【0029】(実施例1)図1は、ソリの程度を判断す
るための実験に用いた成形品Aの外観を示し、その寸法
は、幅 300×長さ 400mmの平板状で、厚肉部A1は10mm、
薄肉部A2は 5mmの肉厚を有する。図2は、成形品Aを成
形するための金型の全体図であって、金型1はキャビテ
イ型2とコア型3で構成され、本例ではキャビテイ型2
について、図3に断面示するように、表面層4を銅板で
形成し、その裏面に温調管5として銅管を配設すると共
に銅管5を強化樹脂6によって銅板4に固定し、その上
に金型用樹脂7を被覆形成して、成形品1の厚肉部A1に
接触する部位の伝熱抵抗を薄肉部A2に接触する部位の伝
熱抵抗の 1/3 〜 1/40になるように形成した。
【0030】上記金型1のキャビティ型2は次のように
して作成した。 3mmの厚さの銅板4(熱伝達率は190W/
mK)の上に外径 8mmの銅管5をピッチ間隔を約55mmにと
りながら、厚肉対応金型面と薄肉対応金型面のキャビテ
ィ型部分について、次のように銅板4からの距離を取る
ようにカーボン繊維を敷く。すなわち、厚肉対応金型面
にはカーボン繊維を1プライ敷き、薄肉対応金型面には
16プライ敷いて、その上に銅管5を積み、さらに3プラ
イのカーボン繊維からなるクロスを被せる。カーボン繊
維クロスを敷く際には、アルミニウム粉末入りのエポキ
シ樹脂を繊維に等量、ハケで擦り込む。その後、離型シ
ートを全面に被せ、その外周と銅板4の外周とをゴムシ
ールで気密し、銅板4と離型シートの空間を真空にする
所謂真空バグ法で複合強化樹脂層6を形成する。硬化
は、当初約60℃で半日減圧下に置き、その後常圧で約 1
50℃まで徐々に昇温して行った。ここで用いたカーボン
繊維は、高弾性、高熱伝導率のピッチ系繊維(日本石油
社製、商品名:グラノック、繊維方向の熱伝導率は約 4
0W/mK、繊維間では約5W/mK)である。また、アルミニ
ウム粉末入りエポキシ樹脂は、70%以上アルミニウム粉
末を含有するもの(日本ゼオン社製、商品名:クインネ
ート、熱伝導率は約2W/mK)を使用した。厚肉対応金型
面のキャビティ型2での銅管5と金型表面の銅板4との
距離は 0.2mm以下とし、薄肉対応金型面のそれは約 4mm
とした。これにより、厚肉対応金型面と薄肉対応金型面
との金型の伝熱抵抗Rの比は、概算すると約 1/15であ
る。他方、コア型3はアルミニウム板で図2に示す形状
に作成した。なお、図にはゲートや液溜を省略して示
す。
【0031】上記の金型1を用いRIM成形を行った。
成形には、市販されているノルボルネン系塊状重合体
(帝人ハーキュレス社製、商品名:メトン)を使用し
た。この樹脂はジシクロペンタジエンを主成分とするポ
リオレフィン系樹脂であり、剛性と同時に耐衝撃性があ
り、大型成形品に好んで使用され、また重合硬化収縮が
比較的小さく、偏肉成形し易い樹脂である。キャビティ
型2は銅管5に温水を流して温度を80℃に、またコア型
の温度を電気ヒータにて60℃にセットし、キャビティ型
2とコア型3を合わせてキャビティ(鋳込み部)を形成
し、メトン樹脂を注入した。4分間型内で反応させた
後、型を開き、成形品Aを取り出す。成形品Aを一昼夜
室温に放置した後、厚肉部A1と薄肉部A2とのソリを測定
する。ソリは定盤に成形品Aを置き厚肉部A1を固定し、
薄肉部A2のソリを測定する。本成形品Aのソリは 1mm以
下であり、非常に小さいものであった。また、成形の際
に金型1内の厚肉部樹脂の板厚中央部に熱電対を挿入し
て、発熱および冷却速度を測定したところ、樹脂のガラ
ス転移温度である 120℃に冷却するまでの時間は90秒と
短く、品質に加えて成形サイクルの短縮も可能なもので
あった。
【0032】(実施例2)実施例1において、キャビテ
ィ型2の厚肉対応金型面のカーボン繊維を1プライに変
えて4プライにする事以外は同実施例1の要領に従い実
験を行ったところ、ソリは 1〜 2mmであった。また冷却
時間は 110秒であった。なおこの場合の厚肉部A1と薄肉
部A2との金型1の伝熱抵抗Rの比は概算で 1/ 3.8であ
った。
【0033】(比較例1)実施例1において、キャビテ
ィ型2の温調管5を固定する強化樹脂層6として、50wt
%のカーボン繊維に変えて30wt%に相当するガラス繊維
クロス(熱伝導率は約0.2W/mK)にすること、および全
ての温調管5を銅板4から10mmの距離に敷設すること以
外は、同実施例1の要領に従い実験を行ったところ、ソ
リは 1〜 3mm発生した。他方、冷却までの時間は 250秒
と長いものであった。この比較例は、比較的熱伝導率の
悪いガラス繊維強化樹脂を用い、温調管5と銅板4の間
隔を等間隔とした例であるが、除熱が不十分なためにソ
リはさほど大きく出なかった反面、成形サイクルが長い
ものとなった。
【0034】(比較例2)実施例1において、キャビテ
ィ型2は銅板4のみにして、強化樹脂6や温調管5を用
いることに変えて、電気ヒータで温度調節すること以外
は、同実施例1の要領に従って実験を行ったところ、ソ
リは 6〜10mm発生した。また冷却時間は90秒であった。
この比較例は、熱伝導率が良く且つ均一な温度分布が得
られる金型を用いた例で、成形サイクルを早めることは
できたが、ソリが大きく発生した。
【0035】本発明は、上記の実施例に限定されるもの
ではなく、例えば、コア型3をキャビティ型2のように
銅板4、銅管5、強化樹脂6などで形成してあってもよ
い。この場合は、両面ともヒケなどの凹みがなく良好な
表面の成形品となる。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明による液状
樹脂成形用金型は、大型成形品の成形において、従来の
金型に比して、成形品のソリやヒケを少なくし、且つ成
形サイクルを短くすることができる。また、金型自体、
軽量で、耐久性が高く、低コストなものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる成形品の斜視図である。
【図2】本発明に係わる液状樹脂成形用金型の全体斜視
図である。
【図3】本発明に係わる液状樹脂成形用金型のキャビテ
ィ型の断面図である。
【符号の説明】
1:金型 2:キャビティ型 3:コア型
4:銅板 5:銅管 6:強化樹脂 7:金型用
樹脂 A:成形品 A1:厚肉部 A2:薄肉部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29C 45/73 B29C 45/73 (56)参考文献 特開 平6−218784(JP,A) 特開 昭64−85724(JP,A) 特開 平5−96548(JP,A) 特開 平2−174893(JP,A) 実開 平2−95615(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 33/38 B29C 39/26 B29C 39/38 B29C 45/00 B29C 45/26 B29C 45/73

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液状樹脂を硬化して、薄肉部と厚肉部か
    らなる偏肉した成形品を得るためのキャビティ型とコア
    型からなる金型であって、少なくともキャビティ型が、
    薄い金属層、または、金属を含有する金型用樹脂層から
    なる表面層を備えると共にその表面層の裏面に強化樹脂
    により固定された温度調節用配管を備え、且つ、成形品
    の厚肉部に接触する部位の伝熱抵抗を薄肉部に接触する
    部位の伝熱抵抗の 1/3 〜 1/40になるように形成され
    てなることを特徴とする液状樹脂成形用金型。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液状樹脂成形用金型にお
    いて、成形品の厚肉部に接触する部位の表面層と温度調
    節用配管との間に、金属繊維あるいはカーボン繊維を有
    する繊維強化樹脂層を介在させてなる液状樹脂成形用金
    型。
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