JP2017124592A - 成形型およびその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造を容易とすることが可能でハイサイクル化に適した成形型およびその製造法を提供する。【解決手段】樹脂型1は、層状構造をなし一体成形品であるコア2とキャビティ3からなる射出成形用の樹脂型である。そして樹脂型1は、コア2を冷却する冷却媒体である水が流れる冷却管4を有し、キャビティ3を冷却する冷却媒体である水が流れる冷却管5を有する。冷却管4は成形物6と樹脂型1とが接触する接触面に沿って屈曲し、その接触面の面積の60%以上が、冷却管4から8mm以内の距離にある。【選択図】図1

Description

本発明は、成形型およびその製造法に関する。
急速冷却が可能であり、ハイサイクル化を達成できる金型または樹脂型が検討されている。たとえば、樹脂型の熱伝導率を高めるため、型表層の第1層をエポキシ樹脂で構成し、この第1層をバックアップする第2層を、鋼球をエポキシ樹脂で接合したもので構成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開2000−351124号公報
しかしながら、上記樹脂型は構成が複雑で、製造が困難となる。
そこで本発明の目的は、製造を容易とすることが可能でハイサイクル化に適した成形型およびその製造法を提供するこである。
上記目的を達成するため、本発明の、成形型を冷却する冷却媒体が流れる冷却管を有する成形型は、その成形型が層状構造をなす一体成形品からなり、冷却管は成形物と成形型とが接触する接触面に沿って屈曲し、接触面の面積の60%以上が、冷却管から8mm以内の距離にあることを特徴とする。
ここで成形物が、肉薄部と、当該肉薄部よりも肉厚な肉厚部を有し、肉厚部が接触する接触面の面積の50%以上が、冷却管から6mm以内の距離にあることとしてもよい。
上記目的を達成するため、本発明の、成形型を冷却する冷却媒体が流れる冷却管を有する成形型の製造法は、成形物が、肉薄部と、当該肉薄部よりも肉厚な肉厚部を有するものであり、肉薄部と成形型とが接触する接触面の面積の60%以上を、冷却管から8mm以内の距離に位置させ、肉厚部と成形型とが接触する接触面の面積の50%以上を、冷却管から6mm以内の距離に位置させ、肉厚部と成形型とが接触する接触面の冷却効率を、肉薄部と成形型とが接触する接触面の冷却効率よりも高くなるように調整し、三次元印刷機器を用いて製造することを特徴とする。
本発明では、製造を容易とすることが可能でハイサイクル化に適した成形型およびその製造法を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る樹脂型を使用している状態を示す図であり、冷却管と成形物が見える位置で樹脂型を切断した断面図である。 図1のA−A断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る樹脂型を使用している状態を示す図であり、冷却管と成形物が見える位置で樹脂型を図1と同様に切断した断面図である。 比較例の樹脂型を図1と同様に示す図である。
(本発明の第1の実施の形態に係る樹脂型の構成)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る成形型の一種である樹脂型について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る樹脂型を使用している状態を示す図であり、冷却管と成形物が見える位置で樹脂型を切断した断面図である。図2は、図1のA−A断面図である。
樹脂型1は、コア2とキャビティ3からなる射出成形用の樹脂型である。そして樹脂型1は、コア2を冷却する冷却媒体である水が流れる冷却管4a,4b,4c,4d,4e,4f(これらを総称するときは、冷却管4と記す)を有し、キャビティ3を冷却する冷却媒体である水が流れる冷却管5a,5b,5c,5d,5e,5f(これらを総称するときは、冷却管5と記す)を有する。また、コア2とキャビティ3の隙間は、成形物6の形状をしている。成形物6は、断面がコの字状のいわゆるチャンネル材のような形状をしている。
樹脂型1のコア2とキャビティ3は、それぞれ三次元印刷機器(いわゆる三次元プリンター、3Dプリンター、または三次元造形機等と言われるもの)を用いて樹脂成形されている。三次元印刷機器は、成形物を成形する際に光硬化性樹脂を一層ずつ印刷してその都度紫外線を照射して樹脂を硬化させる操作を繰り返すことで樹脂層を形成し、徐々にコア2とキャビティ3の形に成形していくものである。すなわちコア2とキャビティ3は、層状構造をなす一体成形品であるため、そのコア2とキャビティ3を有する樹脂型1は層状構造をなす一体成形品からなる。そのため、印刷する一層ずつの光効果性樹脂の形状を異ならせることで、冷却管4,5のように複雑な管状の形状の形成が可能となる。
この光硬化性樹脂は、紫外線照射によって硬化するものであり、光硬化後の荷重たわみ温度(JIS K 7191−2:2007Bの方法に基き、試験片に加える曲げ応力を0.45MPaとする)が82〜95℃である。
コア2側の冷却管4は、成形物6とコア2とが接触する接触面2aに沿って図1に示すように屈曲している。また、キャビティ3側の冷却管5は、成形物6とキャビティ3とが接触する接触面3aに沿って図1に示すように屈曲している。冷却管5a,5b,5c,5d,5e,5fは、それぞれが冷却媒体である水の入り口5a1,5b1,5c1,5d1,5e1,5f1と、出口5a2,5b2,5c2,5d2,5e2,5f2を有している。冷却管4a,4b,4c,4d,4e,4fについても冷却管5と同様にそれぞれが独立して入り口と出口を有している。
そして、接触面2a,3aの面積の合計の60%が、冷却管4,5から8mm以内の距離にある。
(本発明の第2の実施の形態に係る樹脂型の構成)
以下、本発明の第2の実施の形態に係る樹脂型について、図面を参照しながら説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態に係る樹脂型を使用している状態を示す図であり、冷却管と成形物が見える位置で樹脂型を図1と同様に切断した断面図である。
本発明の第2の実施の形態に係る樹脂型11は、本発明の第1の実施の形態に係る樹脂型1とほぼ同じ構成をしている。図1におけるコア2は、図3におけるコア12に相当し、図1におけるキャビティ3は、図3におけるキャビティ13に相当し、図1におけ接触面2a,3aは、それぞれが図3における接触面12a,13aに相当し、図1におけ冷却管4,5は、それぞれが図3における冷却管14,15に相当し、図1におけ成形物6は、図3における成形物16に相当する。なお、図3のB−B断面図は、図2と同様に表れるため、その図示を省略する。
樹脂型11と樹脂型1との相違点を説明する。まず、成形物16の図3における右側が肉厚部17となっている。肉厚部17以外の成形物16の部分は、相対的に肉薄部となる。肉厚部17は、肉薄部よりも2倍肉厚である。肉厚部17の図3における幅寸法は、図1に示す成形物6の同じ部位の幅寸法よりも大きい。
そして、冷却管14と接触面12aとの距離W2(=5mm)が、図1における冷却管4と接触面2aとの距離W1(=8mm)よりも小さくなっている。そして、肉厚部17が接触する接触面12a,13aの面積の合計の50%が、冷却管14,15から6mm以内の距離にある。以上の構成の相違以外は、樹脂型11と樹脂型1とは同じ構成である。
(本発明の第2の実施の形態に係る樹脂型の製造法)
樹脂型11の製造法は、以下の通りである。まず肉薄部と樹脂型とが接触する接触面12a,13aの面積の合計の60%を、冷却管14,15から8mm以内の距離に位置させ、肉厚部と樹脂型とが接触する12a,13aの面積の合計の50%以上を、冷却管14,15から6mm以内の距離に位置させるように、樹脂型11の三次元CADデータを生成する。
この場合、肉薄部と接触する接触面12a,13aの冷却効率を、肉厚部と樹脂型とが接触する接触面の冷却効率よりも高くなるように調整する。その調整とは、たとえば冷却管14,15の太さ、形状、接触面12a,13aからの距離、冷却管14,15から8mm以内等の特定の距離に位置させる接触面12a,13aの面積の合計等を総合的に考慮して行う調整である。次にその三次元CADデータに基づき、三次元印刷機器で樹脂型11を印刷し製造する。
(実験1)
樹脂型1と、図4に示した比較例の樹脂型21を用い、1回の射出成形で樹脂型1,21の表面温度(表面温度計で測定)の最高温度(100℃)に達した後、次の射出成形の準備ができる樹脂型1,21の表面温度(表面温度計で測定)(40℃)まで冷却する時間(以下、「冷却時間」という)の計測を行った。
ここで、図4は、比較例の樹脂型21を図1と同様に示す図である。図1におけるコア2は、図4におけるコア22に相当し、図1におけるキャビティ3は、図4におけるキャビティ23に相当し、図1におけ接触面2a,3aは、それぞれが図4における接触面22a,23aに相当し、図1におけ冷却管4,5は、それぞれが図4における冷却管24,25に相当し、図1におけ成形物6は、図4における成形物26に相当する。
比較例の樹脂型21の冷却管24は、成形物26とコア22とが接触する接触面22aに沿って屈曲しておらず、真っ直ぐな管である。また、冷却管25は、成形物26とキャビティ23とが接触する接触面23aに沿って屈曲しておらず、真っ直ぐな管である。そのため、接触面22a,23aの面積の合計の35%が、冷却管24,25から8mm以内の距離にある。こととなる。以上の構成の相違以外は、樹脂型21と樹脂型1とは同じ構成である。なお、樹脂型1と樹脂型21の外形は、その寸法を含めて同一であるため、成形物6,26の温度を比較するのに、上述の表面温度を測定することは妥当性がある。
比較例の樹脂型21の冷却時間は40秒であったのに対し、樹脂型1の冷却時間は15秒だった。なお、比較例の樹脂型21と樹脂型1の冷却媒体である水の流量および流速は同一である。
(実験2)
樹脂型11と、図3に示した樹脂型11において、冷却管14と接触面12aとの距離W2(=5mm)とせずに、樹脂型1と同様に距離W1(=8mm)とした、参考樹脂型についても冷却時間の計測を行った。なお、参考樹脂型は、本発明の実施の形態に係る樹脂型である。
参考樹脂型は、図3における肉厚部17が接触する接触面の面積の35%が、冷却管14,15から6mm以内の距離にあり、肉厚部17が接触する接触面の面積の60%が、冷却管14,15から8mm以内の距離にあるものだった。
参考樹脂型の冷却時間は20秒であったのに対し、樹脂型11の冷却時間は15秒だった。なお、参考樹脂型と樹脂型11の冷却媒体である水の流量および流速は同一である。
なお、樹脂型1の場合には、接触面2a,3aと冷却管4,5との距離が小さければ小さいほど冷却時間が短くなる傾向にあるが、その距離が10mm以下となると、その距離をより近づけても飛躍的な冷却時間の短縮とはならなかった。また接触面2a,3aと冷却管4,5との間が肉薄となり、樹脂型1の機械的強度が低下するおそれがあった。また、接触面2a,3aと冷却管4,5との距離が10mm以下とする接触面2a,3aの面積の合計は、大きければ大きいほど冷却時間が短くなる傾向にあるが、その面積の合計が50%を超えると、その面積の合計を増やしても飛躍的な冷却時間の短縮とはならなかった。これらのことは、もちろん成形物6の寸法によって左右される事項ではあるが、概ね言えることである。
また、樹脂型11の場合には、肉厚部17が接触する接触面12a,13aの面積の合計は、大きければ大きいほど冷却時間が短くなる傾向にあるが、その面積の合計が50%を超えると、その面積の合計を増やしても飛躍的な冷却時間の短縮とはならなかった。また、接触面12a,13aと冷却管14,15との距離が小さければ小さいほど冷却時間が短くなる傾向にあるが、その距離が6mm以下となると、その距離をより近づけても飛躍的な冷却時間の短縮とはならなかった。また接触面12a,13aと冷却管14,15との間が肉薄となり、樹脂型1の機械的強度が低下するおそれがあった。これらのことは、もちろん肉厚部17の形状および寸法等によって左右される事項ではあるが、概ね言えることである。
(本発明の実施の形態によって得られる主な効果)
以上のように本発明の実施の形態に係る樹脂型1,11および参考樹脂型は、冷却時間が短いため、ハイサイクル化に適している。また、樹脂型1,11および参考樹脂型は、層状構造をなす一体成形品であるため、三次元印刷機器を用いることができ、製造を短時間(約2時間)で容易に行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る樹脂型1,11および参考樹脂型は、溶融樹脂と接触し高温となる接触面2a,3a,12a,13aを積極的に冷却するため、樹脂型1,11の耐熱性を著しく向上させることができる。樹脂型は金型等に比べて耐熱性に劣るため、多数回の樹脂成形をすることが困難であると従来は言われていたが、本発明によって、多数回の樹脂成形に耐えることができる実用的な樹脂型および樹脂を含む材料からなる成形型を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る樹脂型1,11および参考樹脂型は、層状構造をなす一体成形品であり、三次元印刷機器を用いて成形される。そのため、自由な形状の冷却管4,5,14,15を形成できる。この点が、樹脂型を実用的なものとする最も重要な点である。三次元印刷機器を用いずに製造した樹脂型があまり実用的なものとならなかった理由は、その冷却管を単純な形状としていたか、極めて大きな設計上の制約がある中で掘削等によって冷却管を形成していたため、自由な形状の冷却管を形成することができなかったことにある。このような自由な形状の冷却管を形成できない樹脂型は溶融樹脂と接触し高温となる部分を意図どおりに冷却できないため耐熱性に劣るものとなり、すぐに劣化し実用的なものとならなかった。すなわち、樹脂型の実用化には技術的な困難性があった。
その点本発明の実施の形態に係る樹脂型1,11および参考樹脂型は、冷却管4,5,14,15を接触面2a,3a,12a,13aに沿って屈曲させることができ、高温になりやすい接触面2a,3a,12a,13aを積極的に冷却できることとなった結果、樹脂型および樹脂を含む材料からなる成形型を実用的なものとすることができた。また樹脂型は金型に比べて短納期且つ低コストで作ることができるメリットがあり、そのメリットは維持できる。層状構造をなす一体成形品である樹脂を三次元印刷機器を用いて成形する際に、高温になりやすい接触面を積極的に冷却させる発想が無ければ、樹脂型の実用化は困難だったと考えられる。
果たしてこのような本発明の実施の形態に係る樹脂型1,11および参考樹脂型を容易に発想出来たかといえば、容易には出来なかったと考えられる。何故なら長い間樹脂型と三次元印刷機器が存在していたにも関わらず、そのような発想がなされた例が無かったためである。つまり本発明の実施の形態に係る樹脂型1,11および参考樹脂型は、極めて斬新な発明であり容易に想到出来なかったものである。
また、本発明の実施の形態に係る樹脂型11の製造法は、放熱効率が良好でない肉厚部17の冷却効率を、その他の部分(肉薄部)よりも高く調整するように三次元CADデータを生成することができるため、樹脂型11の全体をほぼ均一に冷却させることが可能である。
また、本発明の実施の形態に係る樹脂型1,11は、冷却管4,5,14,15が屈曲している。このように冷却管を屈曲させる加工は、三次元印刷機器を用いて層状構造をなす一体成形品を成形する場合には容易な加工である。屈曲の状態を三次元CADデータで生成すれば、三次元印刷機器がその状態を実現するためである。
(他の形態)
上述した本発明の実施の形態に係る樹脂型1,11および参考樹脂型および樹脂型11の製造法は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変形実施が可能である。
たとえば、樹脂型1,11および参考樹脂型は、射出成形用のものである。しかし、他の成形方法、例えば真空成形、ブロー成形等の樹脂型に対して、本発明を適用することができる。そのため、樹脂型1は、コア2とキャビティ3からなるが、このように2つの部材からなる樹脂型だけでなく、1つまたは3つ以上の部材からなる樹脂型に本発明を適用してもよい。
なお、射出成形用の樹脂型に対して、本発明を適用する場合には、ランナーおよび/またはゲートの溶融樹脂と接触する接触面の面積の60%以上を、冷却管から8mm以内の距離にあるようにすることができる。そのような構成を採用することで、射出成形用の樹脂型の熱による劣化をより抑制することができる。
また、樹脂型1は、その文字通り樹脂を材料とする成形型である。しかしながら、石膏、金属、セラミック、ゴム、木材、シリコン等から選ばれる1種以上を材料とする成形型に本発明を適用することができる。この中で、ゴムを材料とする場合は樹脂を材料とする場合と同様の過程を経て成形型とすることができる。
ここで、たとえば金属を材料とする場合は、樹脂製のインクに金属粉が混入されており、そのインクを用いて三次元印刷機器で印刷して成形した後、還元雰囲気下で樹脂分を消失させつつ金属粉を焼結させるよう加熱することで金属製の成形型とする。セラミックまたはシリコンを材料とする場合も金属を材料とする場合と同様の過程を経て成形型とする。ただし、セラミックを焼結する際には還元雰囲気下にする必要はなく、大気中で焼結が可能である。
また、石膏または木材を材料とする場合は、樹脂製のインクに石膏または木材の粉末が混入されており、そのインクを用いて三次元印刷機器で印刷して成形型とする。ここで、石膏と木材の粉末は、所定比で混合して用い、成形型とすることができる。
これらの石膏、金属、セラミック、ゴム、木材、シリコン等から選ばれる1種以上を材料とする成形型は、コア2とキャビティ3を別の材料からなるものとすることができる。
これらの石膏、金属、セラミック、ゴム、木材、シリコン等から選ばれる1種以上を材料とする成形型は、三次元印刷機器を用いて一層ずつ印刷してその都度印刷層を硬化させる操作を繰り返すことで層状構造をなす三次元形状を形成し、徐々に成形型の形に成形していくものである。このような成形型も、層状構造をなす一体成形品である。
また、成形物6,16は、断面がコの字状のいわゆるチャンネル材のような形状をしている。しかし、他の形状の成形物を成形する際に、本発明を適用した型を用いることができる。また、肉厚部17は、肉薄部よりも2倍肉厚としているが、1.5倍、3倍以上等の他の寸法であっても本発明を適用できることは言うまでもない。
また、肉厚部17を有する成形物16を成形する際に、肉厚部17と肉薄部との冷却条件を変えることは必須ではない。肉厚部17と肉薄部との冷却条件(冷却効率)を同一に、または肉厚部17の冷却効率を肉薄部の冷却効率よりも低くすることもできる。
また、肉厚部17の冷却効率を高めるため、図3における寸法W2を小さくしている。すなわち、接触面12a,13aと冷却管14,15との距離を変更して肉厚部17の冷却効率を調整している。しかし、冷却効率を調整する方法はそれだけではなく、たとえば、隣り合う冷却管5a,5b,5c,5d,5e,5fそれぞれの距離を変更して、肉厚部17周辺の冷却媒体が占める体積%を変更することで冷却効率を調整することもできる。また、冷却媒体の流速または冷却管14,15の全部または一部の太さと形状を変更して冷却効率を変更することもできる。この形状としては、一つの太い冷却管から多数の細い冷却管へと分岐する形状等の複雑な形状も採用できる。
また、冷却管5a,5b,5c,5d,5e,5fは、それぞれが冷却媒体である水の入り口5a1,5b1,5c1,5d1,5e1,5f1と、出口5a2,5b2,5c2,5d2,5e2,5f2を有している。冷却管4a,4b,4c,4d,4e,4fについても冷却管5と同様にそれぞれが独立して入り口と出口を有している。しかし、冷却管4,5は、それぞれの冷却管を連結させる等して、冷却媒体の出入り口を一つづつなどに減らすことができる。冷却媒体の出入り口を減らすことができれば、冷却管4,5への冷却媒体を供給する構造を単純化でき、故障の少ない樹脂型1,11および参考樹脂型を提供できる。
また、冷却媒体には水を用いたが、それ以外、たとえば、油、空気等を用いても良い。
また、本実施の形態では樹脂型1,11および参考樹脂型を光効果樹脂を用いて成形している。しかし、樹脂型1,11および参考樹脂型の樹脂材料は、これに限定されることなく適宜選択できる。 また、樹脂型1,11および参考樹脂型の樹脂材料としての光硬化性樹脂は、紫外線の照射で硬化するものを用いているが、レーザー光または可視光等の他の光で硬化するものを用いることができる。また、この光硬化性樹脂には、硬化後の光硬化性樹脂の荷重たわみ温度が82〜95℃のものを用いている。しかし、この荷重たわみ温度は、45℃以上であれば、本発明の実施の形態に係る好適な樹脂型を製造することができる。また、この荷重たわみ温度は、65℃以上であれば、本発明の実施の形態に係る、より好適な樹脂型を製造することができる。この荷重たわみ温度は、光硬化性樹脂の入手のしやすさまたはコストの観点からは、45〜90℃が好ましい。また、樹脂型の耐熱性の観点からは、荷重たわみ温度は80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。
また、樹脂型1,11および参考樹脂型の樹脂材料として、透光性を有するものを用いることもできる。そのような樹脂型は、冷却媒体として有色の液体を用いれば、冷却の状況を目視で把握できる場合がある。また、透光性の樹脂型の温度変化によって色が変化する液体を冷却媒体に用いれば、成形物の冷却状況を目視で把握できる。また、透光性の樹脂型の全域に冷却管を張り巡らせ、温度変化によって色が変化する液体を冷却媒体に用いれば、樹脂型全体の温度分布を目視で把握できる。
また、この光硬化性樹脂等の三次元印刷機器用の樹脂の印刷方式については、種々の方式、たとえばプロジェクション方式、インクジェット方式、インクジェット粉末積層方式等の中から選択できる。プロジェクション方式は、印刷コストの低減に有利である。インクジェット方式、インクジェット粉末積層方式は、印刷速度が速い。また、インクジェット方式は、高い精度の印刷に適しており、成形型のような複雑な形状の印刷に特に有利である。
1,11 樹脂型(成形型の一種)
2 コア(成形型の一部)
3 キャビティ(成形型の一部)
4,5,14,15 冷却管
6,16 成形物
17 肉厚部

Claims (3)

  1. 樹脂型を冷却する冷却媒体が流れる冷却管を有する成形型において、
    上記成形型が層状構造をなす一体成形品からなり、
    上記冷却管は成形物と上記樹脂型とが接触する接触面に沿って屈曲し、
    上記接触面の面積の60%以上が、上記冷却管から8mm以内の距離にあることを特徴とする成形型。
  2. 請求項1に記載の成形型において、
    前記成形物が、肉薄部と、当該肉薄部よりも肉厚な肉厚部を有し、
    上記肉厚部が接触する前記接触面の面積の50%以上が、前記冷却管から6mm以内の距離にあることを特徴とする成形型。
  3. 成形型を冷却する冷却媒体が流れる冷却管を有する成形型の製造法において、
    成形物が、肉薄部と、当該肉薄部よりも肉厚な肉厚部を有するものであり、
    上記肉薄部と上記成形型とが接触する接触面の面積の60%以上を、上記冷却管から8mm以内の距離に位置させ、
    上記肉厚部と上記成形型とが接触する接触面の面積の50%以上を、上記冷却管から6mm以内の距離に位置させ、
    上記肉厚部と上記成形型とが接触する接触面の冷却効率を、上記肉薄部と上記成形型とが接触する接触面の冷却効率よりも高くなるように調整し、三次元印刷機器を用いて製造することを特徴とする成形型の製造法。
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