JP3230834B2 - 成膜方法およびその装置 - Google Patents

成膜方法およびその装置

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JP3230834B2 JP08440992A JP8440992A JP3230834B2 JP 3230834 B2 JP3230834 B2 JP 3230834B2 JP 08440992 A JP08440992 A JP 08440992A JP 8440992 A JP8440992 A JP 8440992A JP 3230834 B2 JP3230834 B2 JP 3230834B2
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Description

【発明の詳細な説明】
[発明の目的]
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜表面の平滑性と多
層膜界面の急峻性を高める機能を有する成膜方法および
その装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、イオンビームを補助的に用いた成
膜装置が、膜の密着性、熱特性、光学特性、結晶性、薄
膜表面の平滑性などの機能改善を目的として、数多く特
許出願されている。そして、薄膜表面の平滑性改善を目
的とした従来技術としては、例えば特開平3−6373
号公報がある。
【0003】しかしながら、この特開平3−6373号
公報に示された従来技術の問題点として以下の事が挙げ
られる。(1)成膜しながらのイオンビーム照射である
ため、成膜雰囲気は、10-4Torr台の低真空である
ことや、イオンが膜内に混入することによって、薄膜の
純度が落ちる。一般に、半導体、光学素子、磁性体など
の薄膜は、高純度の膜質が要求されており、不適切な不
純物が膜内に混入することは、電気的特性、光学特性、
磁気的特性などの諸特性にすくなからず悪影響を与え
る。(2)基板に対して、均一なイオンビーム照射を行
える手段が備わっていない。そのため大面積の基板また
は薄膜を均一に平滑化することは困難である。(3)薄
膜の膜厚と平滑化状態をその場で観察することができな
い。そのためオングストローム・オーダの膜厚制御が必
要とされる軟X線用多層膜反射鏡や磁性体用多層膜など
への適用が困難となる。また、平滑化状態をプロセス中
に常時モニタできれば、イオンビーム照射条件を最適化
できるし、作業効率改善にも役立つ。(4)基板または
薄膜が微小な凹凸による粗さを有しているのか、それと
も大きな凹凸による粗さを有しているのかによって、平
滑化プロセスは異なってくるがその対策が取られていな
い。オングストローム・オーダの平滑面創成やプロセス
の作業効率改善には、イオンビーム照射エネルギやイオ
ンビーム照射角度、その他の諸条件を変えるなどの工夫
が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
成膜装置は、上述した問題点(1),(2),(3),
(4)を有しているため種々の不具合を生じている。
【0005】この発明は、上記事情を顧慮してなされた
もので、上述した従来の成膜装置がもっている技術的課
題を解決し、大面積、高純度、高精度膜厚制御が必要と
される基板、薄膜、多層膜に対して、広範な面積にわた
って均一に、しかも膜内への不純物混入を極力避けて、
基板表面と薄膜表面を超平滑に創成することと、多層膜
界面を急峻に創成することを効率よく行うことができる
成膜方法およびその装置を提供することを目的とする。 [発明の構成]
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明は、薄膜を形成
した後に、薄膜の平滑性及び膜厚を定量的にモニタしな
がら、薄膜表面にイオンビームを照射するようにしたも
のである。また、本発明は、薄膜の表面粗さに応じてイ
オンビームの照射エネルギを調整してイオンビームを照
射するようにしたものである。
【0007】
【作用】薄膜内へのイオン物質の流入と残留ガスの混入
を極力抑制した状態で、薄膜の表面粗さ並びに膜厚精度
を著しく高めることができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳
述する。
【0009】図1は、この実施例の成膜装置を示してい
る。この成膜装置は、内部が成膜空間1となっているチ
ャンバ2と、成膜空間1下部に設けられた電子ビーム蒸
着部3と、成膜空間1上部に設けられ基板4を電子ビー
ム蒸着部3に対向させて着脱自在に保持する基板保持部
5と、成膜空間1の一側部に設けられイオンビーム6を
基板保持部5に保持された基板4に向かって照射するイ
オンビーム照射部7と、このイオンビーム照射部7によ
りイオンビーム6が照射されている基板4の平滑性をモ
ニタする平滑性測定部8と、電子ビーム蒸着部3により
基板4上に成膜された多層膜9の膜厚を測定する膜厚測
定部10と、チャンバ2内を真空にするための排気を行
う真空排気部11とからなっている。しかして、電子ビ
ーム蒸着部3は、チャンバ2下部に設置されターゲット
金属12,13を収納する二つのるつぼ14,15と、
各るつぼ14,15に近接して設けられ電子ビーム1
6,17をターゲット金属12,13に照射して溶融・
蒸発させる電子銃18,19と、各るつぼ14,15を
離隔する隔壁板20と、各るつぼ14,15の上方に設
置され開口19a,19bを有するシールド板18と、
開口19a,19bを交互に開閉するシャッタ19とか
らなっている。上記シールド板18は、ターゲット金属
12,13の乱蒸発と、異種ターゲット材の混合を防ぐ
ために設けられている。一方、基板保持部5は、基板4
を着脱自在に保持するホルダ20と、このホルダ20を
水平方向に移動させる水平移動手段21(矢印P1方
向)と、ホルダ20を上下方向に移動させる上下移動手
段22(矢印P2方向)と、ホルダ20を鉛直方向の軸
線23のまわり矢印P3方向に回転させる回転手段24
と、軸線23が矢印P4方向に傾くようにホルダ20を
傾斜させる傾斜手段25とからなっている。つぎに、イ
オンビーム照射部7は、チャンバ2の一側部に設けられ
た円筒状のイオンビーム発生室26と、このイオンビー
ム発生室26に格納された例えば熱電子衝撃方式や電子
サイクロトロン方式などのイオン銃27と、イオンビー
ム発生室26を成膜空間1から開閉自在に遮断するバル
ブ28と、このバルブ28の前方に開閉自在に設けられ
イオンビーム6を適時に基板4に照射させるシャッタ2
9と、イオン銃27を図2に示すX−Y平面上及びY−
Z平面上において揺動並びに移動を行うイオン銃駆動手
段27aと、基板4に近接して配設されイオンビーム6
の強度を検出する例えばファラディカップなどのイオン
ビーム検出器27bと、このイオンビーム検出器27b
を矢印P5方向に移動させるイオンビーム検出器移動手
段27cとからなっている。ここで、バルブ28は、成
膜空間1へのイオンビーム発生室26からのイオン物質
の流入と残留ガスの混入を極力防止するために設けられ
ている。また、シャッタ29は、多層膜9の膜質を問わ
なくてよく、バルブ28を解放状態にしてもよい場合に
用いる。また、イオン銃駆動手段27aは、モータを駆
動源とするテーブル機構を本体とするもので、図2に示
すイオン銃27の軸心(イオンビーム6の照射方向)を
Y方向としたときに、X−Y平面上及びY−Z平面上に
て揺動並びに移動を行わせるものである。このイオン銃
駆動手段27aによるイオン銃27の駆動は、イオンビ
ーム検出器27bによるイオンビーム6の測定強度に基
づき、イオンビーム6の強度分布が均一になるように行
う。さらに、平滑性測定部8は、チャンバ2の一側部の
イオン銃27直上位置に設けられX線30を基板4に照
射するX線発生装置31と、チャンバ2の他側部に設け
られ基板4にて反射した反射X線30aを入射して入射
した反射X線30aの強度Iを検出するX線検出器32
と、X線発生装置31に近接して設けられX線30を絞
り込む一対のスリット33,34と、X線検出器32に
近接して設けられ反射X線30aを絞り込むスリット3
5とからなっている。この平滑性測定部8による測定原
理は次式(1)に基づく。 I/Io =exp{−(4πσ・sinθ)2 /λ2 } ……(1)
【0010】ただし、Iは粗さのある表面での反射強
度、Io は粗さのない理想面での反射強度、σは粗さの
二乗平均値の平方根(rms値)、θは斜入射角、λは
X線波長である。したがって、X線の斜入射角とX線波
長とを固定した状態で、平滑化を対象としている部分の
X線反射強度をスリット35を通してX線検出器32で
モニタすれば粗さσを定量的に知ることができる。これ
により、イオンビーム照射前後の表面粗さは勿論のこ
と、イオンビーム照射プロセス中の表面粗さも常時モニ
タすることができる。一方、膜厚測定部10は、チャン
バ2外部の一側部に設置されたレーザ光源36と、この
レーザ光源36から投射されたレーザ光36を偏光する
偏向子37と、この偏向子37の出射側に設けられた1
/4波長板38と、チャンバ2の一側部に設けられ1/
4波長板38を通過したレーザ36aをチャンバ2内部
に導入する導入窓39と、チャンバ2の他側部に設けら
れ且つ導入窓39を介してチャンバ2内部に導入され基
板4にて反射した反射レーザ光36bを外部に導出する
導出窓40と、この導出窓40を通過した反射レーザ光
36bが通過する検光子41と、この検光子41からの
反射レーザ光36bの偏光状態を検出する検出器42と
からなっている。この膜厚測定部10における測定原理
は次のとおりである。すなわち、反射光の偏光状態変化
は、薄膜9の表面で偏光が斜め反射する場合、電気ベク
トルの入射面内成分(p成分)とそれに垂直な成分(s
成分)とで、複素振幅反射率が異なってくることから生
じる。いま屈折率ns の基板4上にある膜厚d,屈折率
nからなる薄膜9に、波長λ´の光を入射角φで入射さ
せたとする(図3参照)。この時、複素振幅反射率のp
成分Rp とs成分Rs は、それぞれ次式(2),(3)
で表すことができる。
【0011】 Rp ={r1p+r2p・exp(-iδ)}/{1+r1p・r2p・exp(-iδ)}…(2) Rs ={r1s+r2s・exp(-iδ)}/{1+r1s・r2s・exp(-iδ)}…(3) ただし、 δ=4πd(n2 −sin 2 φ)1/2 /λ´ ……(4) である。ここで、r1p,r1sは、真空と薄膜9の界面で
のp,s成分のフレネル係数で、r2s,r2pは、薄膜9
と基板4の界面でのp,s成分のフレネル係数である。
また、δは、光が薄膜9内を1往復するときの位相差で
ある。ところで、複素振幅反射率比ρ(=Rp /Rs
は、Rp ,Rs の相対的な振幅比(tanΨ)と位相差
(Δ)を用いて、次式(5)で表される。
【0012】 ρ=tanΨ・exp(−iΔ) ……(5) と表される。そして、tanΨとΔは、実験的に知るこ
とができ、その結果から、ρを知ることができる。さら
に、実験的に求めたρと式(2),(3)により、膜厚
d,屈折率nを求めることができる。この結果、イオン
ビーム照射プロセス中の薄膜9の膜厚を0.1nm以下
の感度で検出することができる。つぎに、上記構成の成
膜装置を用いて本実施例の成膜方法について述べる。
【0013】まず、イオンビーム照射部7から基板保持
部5に保持されている基板4に対してイオンビーム6を
照射する。すなわち、バルブ28及びシャッタ29を開
成した状態で、イオン銃27からイオンビーム6を例え
ば斜入射角20°で基板4に照射する。すると、図4に
示すように、イオンビーム6により、基板4表面の凸部
4aを構成している原子は、最終的に例えば5nm程
度、スパッタ除去される。また、基板4表面の凹部4b
には、しばしば除去された原子が流入し、凹部4bを埋
めたりする。このとき、イオンビーム検出器27bによ
るイオンビーム6の測定強度が常に一定になるように、
イオン銃駆動手段27aによりイオン銃27をX−Y平
面上及びY−Z平面上にて揺動並びに移動を行わせる。
また同様に、イオンビーム6の測定強度が常に一定にな
るように、基板4を保持するホルダ20を、上下移動手
段22、水平移動手段21、回転手段24及び傾斜手段
25により矢印P1,P2,P3,P4各方向に移動さ
せる。このときのイオン化物質としてはAr(アルゴ
ン)ガスを用いる。しかして、このイオンビーム6の照
射中、平滑性測定部8を作動させ基板4表面の平滑性を
測定する。すなわち、X線発生装置31からX線30を
基板4に照射し、このとき基板4にて反射し、且つ、ス
リット35を通過した反射X線30aの強度IをX線検
出器32にて検出する。この強度Iに基づき式(1)に
示した測定原理により基板4の平滑性を求める。そし
て、この基板4の平滑性が一定となった段階(図5参
照)でイオン銃27からのイオンビーム6の照射を停止
し、バルブ28を閉成し、真空排気部11によりチャン
バ2内を真空(10-7Torr以上)にする。つぎに、
シャッタ19により開口16を開成状態とし、電子銃1
8により電子ビーム16をるつぼ14中のターゲット金
属12に照射する。その結果、ターゲット金属12は、
溶融・蒸発し、その原子開口16を経由して基板4上に
ターゲット金属12からなる薄膜9aが膜着する。この
とき、基板4を保持するホルダ20を、薄膜9aが均一
に形成されるように、ターゲット金属12の蒸発分布に
応じて、上下移動手段22、水平移動手段21、回転手
段24及び傾斜手段25により矢印P1,P2,P3,
P4各方向に移動させる。また、膜厚測定部10により
薄膜9aの膜厚をリアルタイムで測定する。すなわち、
レーザ光源36からレーザ36aを偏向子37、1/4
波長板38及び導入窓39を介して基板4に照射する。
すると、レーザ36aは、基板4にて反射し、反射レー
ザ光36bが導出窓40及び検光子41を経由して検出
器42に到達する。しかして、検出器42にては、反射
レーザ光36bの複素振幅反射率比ρ(=Rp /Rs
が測定され、この測定結果に基づいて、膜厚dをリアル
タイムで求める。そして、薄膜9aの膜厚が所定の値に
達したとき、電子ビーム16のターゲット金属12への
照射を停止する。つぎに、再びバルブ28及びシャッタ
29を開成した状態で、イオン銃27からイオンビーム
6を基板4上の薄膜9aに照射する。すると、イオンビ
ーム6により、薄膜9a表面の凸部を構成している原子
はスパッタ除去される(最終的に例えば5nm程度)。
このとき、イオンビーム検出器27bによるイオンビー
ム6の測定強度が常に一定になるように、イオン銃駆動
手段27aによりイオン銃27をX−Y平面上及びY−
Z平面上にて揺動並びに移動を行わせる。また同様に、
イオンビーム6の測定強度が常に一定になるように、基
板4を保持するホルダ20を、上下移動手段22、水平
移動手段21、回転手段24及び傾斜手段25により矢
印P1,P2,P3,P4各方向に移動させる。しかし
て、このイオンビーム6の照射中、平滑性測定部8を作
動させ薄膜9a表面の平滑性を測定する。同時に、膜厚
測定部10により薄膜9aの膜厚を、オングストローム
・オーダでリアルタイム測定する。そして、薄膜9aの
平滑性が一定となり、且つ、薄膜9aの膜厚が所定の値
になった段階でイオン銃27からのイオンビーム6の照
射を停止し、且つ、バルブ28を閉成し、真空排気部1
1によりチャンバ2内を真空(10-7Torr以上)に
する。つぎに、シャッタ19により開口17を開成状態
とし、電子銃18により電子ビーム16をるつぼ15中
のターゲット金属13に照射する。その結果、ターゲッ
ト金属13は、溶融・蒸発し、その原子開口17を経由
して基板4上にターゲット金属13からなる薄膜9bが
膜着する。このとき、基板4を保持するホルダ20を、
薄膜9bが均一に形成されるように、ターゲット金属1
2の蒸発分布に応じて、上下移動手段22、水平移動手
段21、回転手段24及び傾斜手段25により矢印P
1,P2,P3,P4各方向に移動させる。また、膜厚
測定部10により薄膜9bの膜厚をリアルタイムで測定
する。そして、薄膜9bの膜厚が所定の値に達したと
き、電子ビーム16のターゲット金属13への照射を停
止する。つぎに、再びバルブ28及びシャッタ29を開
成した状態で、イオン銃27からイオンビーム6を基板
4上の薄膜9bに照射する。すると、イオンビーム6に
より、薄膜9b表面の凸部を構成している原子はスパッ
タ除去される(最終的に例えば5nm程度)。このと
き、イオンビーム検出器27bによるイオンビーム6の
測定強度が常に一定になるように、イオン銃駆動手段2
7aによりイオン銃27をX−Y平面上及びY−Z平面
上にて揺動並びに移動を行わせる。また同様に、イオン
ビーム6の測定強度が常に一定になるように、基板4を
保持するホルダ20を、上下移動手段22、水平移動手
段21、回転手段24及び傾斜手段25により矢印P
1,P2,P3,P4各方向に移動させる。しかして、
このイオンビーム6の照射中、平滑性測定部8を作動さ
せ薄膜9b表面の平滑性を測定する。同時に、膜厚測定
部10により薄膜9bの膜厚を、オングストローム・オ
ーダでリアルタイム測定する。そして、薄膜9bの平滑
性が一定となり、且つ、薄膜9bの膜厚が所定の値にな
った段階でイオン銃27からのイオンビーム6の照射を
停止し、且つ、バルブ28を閉成し、真空排気部11に
よりチャンバ2内を真空(10-7Torr以上)にす
る。そして、以下同様にして、薄膜9aと薄膜9bを交
互に膜着させ多層膜9を形成する。なお、イオンビーム
6は、対象物が大きな凹凸を有している場合は、初めに
高エネルギ(1000eV以上)の照射を行い、ある程
度の平滑性が得られた段階で、次に低エネルギ(100
0eV以下)の照射を行い、平滑化処理の仕上げを行
う。
【0014】以上のように、この実施例においては、各
薄膜9a,9bの形成後、イオンビーム6の照射により
平滑化処理を行っているので、急峻な界面を有する多層
膜9を形成することができる。すなわち、図6は、平滑
化処理を行わなかったときの多層膜9の断面構造を示し
ているが、各薄膜9a,9b間の界面には凹凸が存在
し、乱れた界面となっている。これに対して、図7は、
平滑化処理を行ったときの多層膜9の断面構造を示して
いる。この図7が示すように、各薄膜9a,9b間の界
面には凹凸は存在せず、急峻な界面となっている。ちな
みに、平滑化処理を行わなかったときの多層膜9の界面
粗さは、P−V値で2.6nmであるのに対して、平滑
化処理を行ったときの多層膜9の界面粗さは、P−V値
で0.6と、多層膜界面の急峻性を顕著に改善すること
ができた。さらに、この実施例においては、薄膜形成後
にイオンビーム6を照射し平滑化処理を行うようにして
いるので、多層膜9内へのイオン物質の流入と残留ガス
の混入を極力抑制することができるようになり、膜質純
度を高めることができるようになる。また、膜厚測定部
10及び平滑性測定部8により、薄膜9a,9bの平滑
性及び膜厚を定量的にモニタしながら、イオンビーム6
の照射を行うようにしているので、成膜制御を効率的か
つ高精度で行うことができる。さらにまた、この実施例
においては、イオン銃27及び基板4を保持するホルダ
20を任意方向に可動としたので、イオンビーム6の照
射面積の拡大と照射強度の均一化を図り、大面積の基板
への薄膜形成に適用が可能となる。さらに、平滑化対象
物の初期表面状態に応じて、イオンビーム6の照射エネ
ルギを調整するようにしているので、平滑化プロセスを
効率よく進めることができる。
【0015】なお、上記実施例においては、多層膜9の
成膜方法として、電子ビーム蒸着法を採用しているが、
他の成膜法、例えばマグネトロンスパッタ法、イオンビ
ームスパッタ法、分子線エピタキシ法、化学気相成長法
などを採用してもよい。また、上記実施例においては、
多層膜の形成を例示しているが、単層膜の形成にも適用
可能であることは勿論である。また、イオン化物質とし
て、N2 (窒素)、O2 (酸素)を用いてもよい。
【0016】
【発明の効果】本発明の成膜方法およびその装置は、以
下のような顕著な効果を奏する。すなわち、<1>薄膜
の形成後、イオンビームの照射により平滑化処理を行っ
ているので、表面粗さを著しく高めることができる。そ
して、薄膜が多層膜であるときは、急峻な界面を有する
多層膜を形成することができる。<2>薄膜形成後にイ
オンビームを照射し平滑化処理を行うようにしているの
で、薄膜内へのイオン物質の流入と残留ガスの混入を極
力抑制することができるようになり、膜質純度を高める
ことができるようになる。<3>膜厚測定部及び平滑性
測定部により、薄膜の平滑性及び膜厚を定量的にモニタ
しながら、イオンビームの照射を行うようにしているの
で、成膜制御を効率的かつ高精度で行うことができる。
<4>イオン銃及び基板を保持するホルダを任意方向に
駆動可能としたので、イオンビームの照射面積の拡大と
照射強度の均一化を図り、大面積の基板への薄膜形成に
適用が可能となる。<5>平滑化対象物の初期表面状態
に応じて、イオンビームの照射エネルギを調整するよう
にしているので、平滑化プロセスを効率よく進めること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の成膜装置の全体構成図であ
る。
【図2】本発明の一実施例の成膜装置の一部をなすイオ
ン銃の説明図である。
【図3】本発明の一実施例の成膜装置における膜厚測定
部の測定原理を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例の成膜方法におけるイオンビ
ームによる平滑化の説明図である。
【図5】本発明の一実施例の成膜方法におけるイオンビ
ームによる平滑化の説明図である。
【図6】平滑化処理を行わなかったときの多層膜の断面
構造を示す図である。
【図7】本発明の一実施例による多層膜の断面構造を示
す図である。
【符号の説明】
1:成膜空間,2:チャンバ,3:電子ビーム蒸着部,
4:基板,5:基板保持部,6:イオンビーム,7:イ
オンビーム照射部,8:平滑性測定部,10:膜厚測定
部。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−263968(JP,A) 特開 昭59−123233(JP,A) 特開 平3−6373(JP,A) 実開 昭63−110567(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C23C 16/00 - 16/56 H01L 21/203 - 21/205 H01L 21/31 - 21/32

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被成膜体上に薄膜を形成する薄膜形成工
    程と、この薄膜形成工程後に薄膜の平滑性及び膜厚を定
    量的に測定し、測定結果に基づきながらイオンビームを
    照射するイオンビーム照射工程とを具備することを特徴
    とする成膜方法。
  2. 【請求項2】 被成膜体上に薄膜を形成する薄膜形成工
    程と、この薄膜形成工程後に薄膜の表面粗さに応じてイ
    オンビームの照射エネルギを調整してイオンビームを照
    射するイオンビーム照射工程とを具備することを特徴と
    する成膜方法。
  3. 【請求項3】 内部に成膜空間を形成するチャンバと、
    上記成膜空間に設けられ被成膜体を保持する被成膜体保
    持部と、上記成膜空間に設けられ上記被成膜体に薄膜を
    被着させる薄膜形成部と、この薄膜形成部により上記被
    成膜体に被着している薄膜にイオンビームを照射するイ
    オンビーム照射部と、上記薄膜の膜厚を検出する膜厚測
    定部と、上記薄膜の平滑性を測定する平滑性測定部とを
    具備することを特徴とする成膜装置。
  4. 【請求項4】 イオンビーム照射部は、イオンビームを
    出射するイオン銃を有し、このイオン銃は上記イオンビ
    ームの出射位置及び出射角度を調整自在に設けられてい
    ることを特徴とする請求項記載の成膜装置。
  5. 【請求項5】 イオンビーム照射部は、成膜空間に連設
    されたイオンビーム発生室を有し、このイオンビーム発
    生室と上記成膜空間との境界には開閉自在な遮断手段が
    設けられていることを特徴とする請求項記載の成膜装
    置。
  6. 【請求項6】 被成膜体保持部は、上記被成膜体を保持
    するホルダを有し、このホルダは位置調整駆動自在に設
    けられていることを特徴とする請求項記載の成膜装
    置。
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