JP3230685B2 - 熱交換器用銅基合金 - Google Patents

熱交換器用銅基合金

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JP3230685B2
JP3230685B2 JP02959391A JP2959391A JP3230685B2 JP 3230685 B2 JP3230685 B2 JP 3230685B2 JP 02959391 A JP02959391 A JP 02959391A JP 2959391 A JP2959391 A JP 2959391A JP 3230685 B2 JP3230685 B2 JP 3230685B2
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corrosion cracking
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章 菅原
タイ 山村
満弘 小坂
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Dowa Holdings Co Ltd
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱交換器用銅基合金に
関し、さらに詳しくは、自動車用ラジエータあるいは各
種工業用または家庭用熱交換器の製造材料として好適か
つ信頼性に富む銅基合金に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、銅基合金は自動車用ラジエー
タあるいは各種工業用または家庭用熱交換器などに用い
られてきた。自動車用ラジエータの場合、これを構成す
るタンク、プレート、チューブおよびフィン用材として
主に用いられており、特にタンク、プレートおよびチュ
ーブについては、黄銅1種または黄銅2種といった強度
と成形加工性に優れる軟質な銅基合金が用いられてい
た。
【0003】近年、自動車業界では、自動車の軽量化お
よび材質の高信頼化が強く望まれるようになり、自動車
の個々の部品についての軽量化および高信頼化が図られ
るようになった。
【0004】しかしながら、上記自動車用ラジエータに
用いられている黄銅1種または黄銅2種といった軟質な
黄銅材は、脱亜鉛腐食を起こしたり、応力腐食割れを起
こしたりすることがあるため、信頼性の面で問題があっ
た。また軽量化に対しては、必要とする成形加工性を満
足した上で、さらに強度向上が強く求められてきた。
【0005】黄銅材を部材として用いた自動車用ラジエ
ータに起こる脱亜鉛腐食や応力腐食割れは、次に挙げる
事由によるものと考えられる。通常、ラジエータは空気
により強制的に冷却するところから、空気中のSO2
NOx およびCl2 ガスなどにより腐食が生じる。ま
た、エンジンルーム内への融雪材(NaCl等)の追入
や水分の追入により、腐食しやすい環境がつくられてい
る。さらに、ラジエータ内部には冷却媒体が還流してお
り、長期間にわたって使用していると、腐食生成物や汚
れが発生し、これらの発生および蓄積によって生じる通
気差電池や、還流している液体による衝撃腐食などによ
って脱亜鉛腐食、粒界腐食または孔食等が内側から生じ
ることなどからラジエータの寿命を低下させていた。
【0006】さらに、ラジエータ各部は、成形加工によ
る残留応力や、組立時におけるかしめ等の応力が、腐食
環境とあいまって応力腐食割れを生じることなどから、
液漏れ等の重大な欠陥を引き起こすことがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述従来の
技術の問題点を解決し、耐応力腐食割れ性などの耐食性
に優れ、かつ、強度、成形加工性および半田付け性に優
れた熱交換器用銅基合金を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意研究したところ、従来の黄銅材に含
まれるZn成分を規制すると共に、さらにSiを適量添
加することによって黄銅の耐食性、特に耐応力腐食割れ
性を大幅に改善し、強度、成形加工性を向上させ得るこ
とを見い出し、本発明を達成することができた。
【0009】 すなわち、本発明は、質量%において、
Zn: 7〜22%、Si:0.2〜2.5%、残部がCuおよび
不可避的不純物からなる熱交換器用銅基合金に関するも
のである。この銅基合金は、結晶粒度が0.005〜0.035mm
の合金として得ることが可能であり、この条件が満たさ
れるときは熱交換器用銅基合金としてさらに好ましいも
のとなる。また、引張強さが37kgf/mm 2 以上の合金とし
て得ることが可能である。さらにまた、エリクセン値が
13mm以上の合金として得ることが可能である。これらの
条件がすべて満たされるとき、熱交換器用合金として最
適なものとなるが、合金の使用目的によっては必ずしも
すべての条件が満たされる必要はないので、目的に応
じ、経済性を考慮して製造条件を選ぶことも可能であ
る。本発明はさらに、上記銅基合金からなる熱交換器用
コアプレート部材を提供する。
【0010】
【作用】本発明の合金成分の限定理由および作用を以下
に説明する。
【0011】 Znは、強度、成形加工性、および半田
付け部の耐熱密着性を向上させる効果を有しており、こ
れらの効果は質量%において、Zn含有量が 7%未満で
は充分でなく、22%を超えるとSi存在下であっても脱
亜鉛腐食や応力腐食割れを起こしやすくなる。そのた
め、本発明におけるZnの含有量は 7〜22質量%(好ま
しくは13〜17質量%)の範囲内とした。
【0012】 Siは、Znと同様に強度および成形加
工性を向上させ、かつ、耐脱亜鉛腐食および耐応力腐食
割れ性を向上させる効果を有しており、これらの効果は
質量%において、Si含有量が0.2%未満では充分でな
く、2.5%を超えると熱間および冷間加工性の低下が著
しくなり、さらに半田付け性が劣化してしまう。そのた
め、本発明におけるSiの含有量は0.2〜2.5質量%(好
ましくは0.3〜1.2質量%)の範囲とした。なお、Zn含
有量が増すと強度、成形加工性が向上し、価格的にも有
利となるが、脱亜鉛腐食や応力腐食割れを抑制するため
に添加するSi量を多くする必要がある。
【0013】また、Zn含有量が低下すると、脱亜鉛腐
食や応力腐食割れの感受性が低下するが、強度不足にな
るのでSi量を多くしなければならない。従って、Si
含有量はZn含有量と密接な関係がある。ここでSi含
有量を多くすることは、鋳造時の湯流れ性の低下、熱間
および冷間加工時の変形抵抗の増大または変形能の低
下、あるいは熱処理時の被膜形成等、製造上不利とな
る。従って、Si添加量が最も少なくて特性を満足する
Znの最適量が求められる。Znの最適量は13〜17%、
Si添加量は 0.3〜1.2 %の範囲である。従って、好ま
しいZn含有量は13〜17%、このときのSi含有量は
0.3〜1.2 %の範囲である。
【0014】結晶粒度は、細かい方が強度および耐応力
腐食割れ性が向上するが、成形加工性が低下する。従っ
て、0.005mm 以上が望ましく、0.035mm を超えると強度
および耐応力腐食割れ性が低下してくる。また、成形加
工後の肌荒れが起こりやすくなる。従って、結晶粒度は
0.005〜0.035mm の範囲とする。
【0015】また、ラジエータのタンク、プレート、フ
ィンの薄肉化に対応するために、引張強さ33kgf/mm2
上、エリクセン値11mm以上が必要である。さらに近時の
軽量化の要求に対して引張強さ37kgf/mm2 以上、エリク
セン値13mm以上が好ましい。強度と成形加工性が共に良
くなるようにしないと、ラジエータの軽量化の達成は難
しくなる。さらに、前述した耐食性の向上により、薄肉
化を可能とする。
【0016】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明する。しかし本発明の範囲は、以下の実施例により
制限されるものではない。
【0017】
【実施例】表1にその化学成分値(重量%)を示す銅基
合金試料 1〜12を高周波誘導溶解炉を用いて溶製し、40
mm×40mm×140mm の鋳塊に鋳造した。この場合、溶解鋳
造雰囲気を完全に不活性ガスでシールドして行った。
【0018】次いで各鋳塊を40mm×40mm×15mmの大きさ
に切断し、この鋳片を 810℃で熱間圧延し、厚さ5mm の
熱延板を得た。これを面削した後、1.5mm まで冷延し、
500 〜550 ℃の温度で焼鈍した。これを酸洗した後、厚
さ0.4mm まで冷延し、400 〜600 ℃の温度で結晶粒度が
0.025mm になるように焼鈍した。但し、供試料中8のみ
は 650℃で焼鈍し、結晶粒度を0.060mm とした(結晶粒
度はJIS H 0501を参考にして求めた)。
【0019】得られた板材を酸洗後、バフ研磨して表面
粗さをRmax 0.0015mmに調整した。これを試験材として
用い、引張強さ、伸び、エリクセン値および耐応力腐食
割れ性を調べ、その結果を同表に併記した。
【0020】引張強さ、伸びおよびエリクセン値の測定
は、それぞれ JISZ 2244 、JIS Z2241、およびJIS Z 22
47(A法)に従って行った。耐応力腐食割れ性について
は、市販のアンモニア水(25〜28%)を純水で薄め、約
13%とした液をデシケータ底部に入れ、次いで中央部の
応力が9kgf/mm2 になるようにアーチ状に曲げた試験片
をその保持具と共にデシケータ内に置き、常温下で保持
した。
【0021】各所定時間経過毎に、これらの試験片をデ
シケータ内より取り出し、実体顕微鏡で試験片表面を40
倍に拡大して観察し、割れ発生時間を測定した。
【0022】また、引張試験片を1000分間アンモニア雰
囲気に暴露した後、引張試験を行い、引張強さと伸びを
測定することによって粒界腐食の度合いを評価し、これ
らの結果を同表に併記した。
【0023】
【表1】 同表の結果より、以下のことが判明した。本発明の好ま
しい態様であるNo.1〜No.5の合金は、引張強さ、伸びお
よびエリクセン値に優れ、かつ耐応力腐食割れ性も良好
であり、従って熱交換器用銅基合金として非常に優れた
合金であることが分る。
【0024】これに対し、Siが本発明で規定する量よ
り少ない比較合金No.6は、強度および伸びが低く、かつ
耐応力腐食割れ性に劣り、逆にSiが規定量より多い比
較合金No.7は、冷間圧延の途中で割れが発生し製造する
ことができなかった。また、Zn量の少ない比較合金N
o.9は、強度、伸びおよびエリクセン値が低く、逆にZ
nが規定量より多い比較合金No.10は、耐応力腐食割れ
性に劣っている。
【0025】Siを含まない従来の黄銅材である比較合
金 No.11および No.12は、強度の面でも耐応力腐食割れ
性の面でも劣っていることが分る。
【0026】本発明で規定する範囲のZn量およびSi
量のものであっても、結晶粒度が大きすぎる合金No.8の
場合は、強度、加工性および耐応力腐食割れ性が他の比
較合金よりは優れているものの、熱交換器用銅基合金と
しては不十分である。
【0027】
【発明の効果】上述のように本発明に係る銅基合金は、
熱交換器用として強度、成形加工性および耐応力腐食割
れ性に優れた特性を有し、近時各分野で所望される熱交
換器の軽量化、高信頼化に対応できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−193849(JP,A) 特開 平3−68731(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/00 - 49/14 F28F 21/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%において、Zn: 7〜22%、S
    i:0.2〜2.5%、残部がCuおよび不可避的不純物から
    なる銅基合金であり、結晶粒度が0.005〜0.035mm、引張
    強さが37kgf/mm 2 以上およびエリクセン値が13mm以上で
    あることを特徴とする熱交換器用銅合金。
  2. 【請求項2】 質量%において、Zn: 7〜22%、S
    i:0.2〜2.5%、残部がCuおよび不可避的不純物から
    なる銅基合金であり、結晶粒度が0.005〜0.035mm、引張
    強さが37kgf/mm 2 以上およびエリクセン値が13mm以上の
    銅基合金からなることを特徴とする熱交換器用コアプレ
    ート部材。
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AU2003236001A1 (en) * 2002-09-09 2004-03-29 Sambo Copper Alloy Co., Ltd. High-strength copper alloy
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