JP3230423U - 水耕栽培用パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】発泡樹脂製の水耕栽培用パネルにおいて、パネル本体を容易に清掃することができ、栽培ポッドを保持する貫通孔の内周面から植物の根が入り込むことを抑制し、繰り返しの使用に適したものとする。【解決手段】発泡樹脂製の水耕栽培用パネル1は、植物を培養液に浮遊させた状態で保持するものであり、平面板形状のパネル本体2と、パネル本体2に形成された複数の貫通孔21と、貫通孔21の夫々に嵌め込まれ植物が植えられた栽培ポット3を保持する複数のポッドホルダ4と、を備える。パネル本体2は、外表の全面に樹脂シート5が真空一体成型される。ポッドホルダ4は、貫通孔21の内周面を被覆するように構成されている。【選択図】図1
Description
本考案は、植物を培養液に浮遊させた状態で保持する発泡樹脂製の水耕栽培用パネルに関する。
従来から、土壌ではなく、循環させた培養液を用いて、野菜等の植物を栽培する水耕栽培に関する種々の技術が開発されている。この種の技術として、例えば、発泡スチロール等の浮力基体を用いた水耕栽培用パネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような水耕栽培用パネルには、複数の貫通孔が形成されており、水耕栽培を行う際には、培養液に浮かせた水耕栽培用パネルの貫通孔内に、植物の苗が植えられた植栽体(栽培ポット)が嵌合、保持される。栽培ポットは、例えば、ウレタンフォームといった多孔質材料から成り、栽培ポットに植えられた植物の根が、下方に向かって生育して培養液に浸され、植物に養分や水分が供給される。植物が生育して出荷される際には、植物と共に栽培ポットを取り外すことにより、水耕栽培用パネル自体は、繰り返し使用することができる。
しかしながら、水耕栽培用パネルの浮力基体となる発泡スチロール製のパネル本体は、水や栄養が付着すると、藻が発生し易く、しかも、パネル本体の表面には、発泡ビーズに由来する細かな凹凸があり、これらの凹凸に藻が入り込むと、清掃により藻を除去することも困難になる。また、栽培対象の植物が成長すると、その根が栽培ポットよりも広い範囲に延伸し、パネル本体に形成された貫通孔の内周面からパネル本体内部にまで入り込んでしまうことがある。そのため、パネル本体を繰り返し使用できないことがある。
本考案は、上記課題を解決するためになされたものであり、パネル本体を容易に清掃することができ、栽培ポッドを保持する貫通孔の内周面から植物の根が入り込むことを抑制し、繰り返しの使用に適した水耕栽培用パネルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本考案は、植物を培養液に浮遊させた状態で保持する発泡樹脂製の水耕栽培用パネルであって、平面板形状のパネル本体と、前記パネル本体に格子状に形成された複数の貫通孔と、前記貫通孔の夫々に嵌め込まれ植物が植えられた栽培ポットを保持する複数のポッドホルダと、を備え、前記パネル本体は、外表の全面に樹脂シートが真空一体成型され、前記ポッドホルダは、前記貫通孔の内周面を被覆するように構成されている
上記水耕栽培用パネルにおいて、前記ポッドホルダは、前記貫通孔の内周面を被覆する筒部と、前記樹脂シートで被覆された前記パネル本体の表面を被覆する鍔部と、を有することが好ましい。
上記水耕栽培用パネルにおいて、前記ポッドホルダは、前記パネル本体の一方の面から前記貫通孔に嵌め込まれる第1部材と、前記パネル本体の他方の面から前記貫通孔に嵌め込まれる第2部材と、から成り、前記第1部材及び前記第2部材は、夫々前記筒部の一方の端部に前記鍔部が設けられ、該鍔部の無い他方の端部に互いと係合する係合部が設けられていることが好ましい。
上記水耕栽培用パネルにおいて、前記ポッドホルダは、可撓性を有する樹脂材料により形成され、前記筒部の両方の端部に前記鍔部が設けられていることが好ましい。
本考案によれば、パレット本体の外面の全面に樹脂シートが真空一体成形されているので、発泡樹脂がむき出しのものに比べて、藻が付着しても、水洗い等の簡易な掃除をすることで容易に藻を除去することができる。また、貫通孔の内周面は、樹脂シートが被覆されていなくても、ポッドホルダでカバーされるので、貫通孔の内周面から植物の根が入り込むことを抑制することができる。従って、植物の収穫と共に栽培ポットを取り外し、簡易な掃除により、本発明の水耕栽培用パネルは、繰り返し使用することができる。
本考案の一実施形態に係る水耕栽培用パネルについて、図1乃至図3を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の水耕栽培用パネル1は、植物を培養液に浮遊させた状態で保持するものである。
水耕栽培用パネル1は、発泡樹脂製で平面板形状のパネル本体2と、パネル本体2に格子状に形成された複数の貫通孔21と、貫通孔21の夫々に嵌め込まれ植物が植えられた栽培ポット3を保持する複数のポッドホルダ4と、を備える。
パネル本体2は、発泡合成樹脂の成形体であり、例えば、熱可塑性樹脂の発泡用の粒子を型内に充填し加熱し、発泡させて一体成形される。熱可塑性樹脂は、例えば、スチレン系樹脂であり、又はスチレン系樹脂に、例えば、エチレン系樹脂やオレフィン系樹脂といった他の樹脂を混合させた複合樹脂であってもよい。パネル本体2は、外表の全面(上面、下面及び4側面)に、樹脂シート5が真空一体成型されている(図2参照)。一方、貫通孔21の内周面は樹脂シート5で被覆されておらず、この被覆されていない内周面は、ポッドホルダ4によって被覆される。
貫通孔21は、パネル本体2の上面から下面に貫通するように形成されている。この貫通孔21に、ポッドホルダ4が嵌合され、ポッドホルダ4には、植物Pが植えられた栽培ポット3が保持される。水耕栽培用パネル1は、ポッドホルダ4に保持された栽培ポット3を脱着することにより、繰り返し使用することができる。なお、栽培ポット3は、ウレタンフォーム等といった吸水性及び弾力性のある多孔質材料により形成され、生育した植物Pが生育し収穫された後に回収され、処分される。
本実施形態のポッドホルダ4は、パネル本体の一方の面(上面)から貫通孔21に嵌め込まれる第1部材4aと、パネル本体2の他方の面(下面)から貫通孔21に嵌め込まれる第2部材4bと、の2部材から成る。第1部材4a及び第2部材4bは、ポリエチレンやポリスチレンといった硬質の樹脂材料により形成される。
第1部材4a及び第2部材4bは、各々、貫通孔21の内周面を被覆する筒部41a、41bと、樹脂シート5で被覆されたパネル本体の表面を被覆する鍔部42a、42bと、を有する。なお、本実施形態では、貫通孔21の内周面は、樹脂シート5で被覆されていない。また、第1部材4a及び第2部材4bは、夫々筒部41a、41bの一方の端部に上記の鍔部42a、42bが設けられ、鍔部42a、42bの無い他方の端部に互いと係合する係合部43a、43bが設けられている。
筒部41a、41bは、その外径が貫通孔21の内径と概ね同じであり、貫通孔21に嵌合されたとき貫通孔21との間に隙間ができないように密着している。鍔部42a、42bは、筒部41a、41bと一体成形されており、鍔部42a、42bが、樹脂シート5で被覆されたパネル本体2の上面及び下面を被覆することで、樹脂シート5と本体パネル2との間を密閉し、その間に水等が侵入することを抑制する。第1部材4a及び第2部材4bを係合させたときの筒部41a、41bの高さは、貫通孔21の深さと概ね同じである。なお、筒部41a、41bの高さを、貫通孔21の深さよりも僅かに小さくして、両鍔部42a、42bが、パネル本体2の上下面を挟持して、樹脂シート5とパネル本体2とを圧着させるようにしてもよい。また、鍔部42a、42bの形状や大きさは、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
本実施形態の係合部43a、43bは、一方の筒部41aの端部の内周が僅かに大きく、他方の筒部41bの端部の外周が僅かに小さくなっていて、一方の筒部41aに他方の筒部41bが嵌まり込み、互いの摩擦により係合される構成になっている。なお、ここで示した係合部43a、43bは一例であり、第1部材4a及び第2部材4bを係合できれば、係合部の形状はこれに限られない。
図2は、本実施形態の水耕栽培用パネル1を用いて、植物Pを栽培している様子を示す。植物Pが植えられた栽培ポット3が装着された水耕栽培用パネル1は、水槽6に満たされた培養液7に浮かべて使用される。水耕栽培用パネル1は、それ自体が発泡樹脂により形成されているので、植物Pが植えられた状態の水耕栽培用パネル1が培養液7に浮くために必要な浮力を得ることができる。
培養液7は、植物Pの生育に必要な養分及び水分を供給し、必要に応じて循環される。栽培ポット3は、ウレタンフォームといった多孔質材料で形成されているので、培養液7を吸い込み、植物Pの根に養分及び水分を供給することができる。なお、水槽6は、複数の水耕栽培用パネル1を列状に並べて載置できるものであってもよく、植物Pの生育段階に応じて、植物Pが植えられた状態の水耕栽培用パネル1を移動できるように構成されていてもよい。
次に、水耕栽培用パネル1の製作手順を説明する。図3(a)に示すように、パネル本体2のベースとなる発泡樹脂板を用意する。そして、このパネル本体2の外表の全面に樹脂シートを真空一体成形により被覆する。図3(b)に示すように、パネル本体2が、その上面を上にして真空容器81の上面に載置され、その上に樹脂シート5が配置される。なお、図3(b)では、説明の便宜上、ハッチング模様を施した樹脂シート5を示しているが、樹脂シート5は透明であってもよく、パネル本体2と同じ白色であってもよい。
図3(c)に示すように、樹脂シート5の上方にはヒータ82が配置されており、ヒータ82が樹脂シート5を加熱して、樹脂シート5を軟化させる。真空容器81には、内部空間と真空容器81の上面側外部とを通じる吸引口(不図示)と、内部空間を減圧する減圧ポンプ83とが設けられている。パネル本体2が載置された真空容器81は、上方に移動可能となっており、パネル本体2をヒータ82により軟化した樹脂シート5に密着させると共に、減圧ポンプ83を作動させて通気口(不図示)を介して、パネル本体2と樹脂シート5との間の空気を吸引し、樹脂シート5をパネル本体2に真空吸着させる。これにより、パネル本体2の上面と4側面とが樹脂シート5によって隙間なく覆われる。
そして、パネル本体2の下面にも、上記と同様の手順により樹脂シート5を被覆させることで、図3(d)に示すように、外表の全面を樹脂シート5で被覆したパネル本体2を得ることができる。次に、ポッドホルダ4の筒部41と同径のパンチャーを用いて、樹脂シート5と共にパネル本体2をくり抜き、貫通孔21を形成することで、図3(e)に示すような貫通孔21が形成されたパネル本体2が得られる。そして、図1に示したように、貫通孔21にポッドホルダ4を嵌合させることで、本実施形態の水耕栽培用パネル1が得られる。
このように、本実施形態の水耕栽培用パネル1では、外面の全面に樹脂シート5が真空一体成形されているので、発泡樹脂がむき出しのものに比べて、藻が付着しても、水洗い等の簡易な掃除をすることで容易に藻を除去することができる。また、貫通孔21の内周面は、樹脂シート5が被覆されていなくても、ポッドホルダ4でカバーされるので、貫通孔21の内周面から植物の根が入り込むことを抑制することができる。従って、植物の収穫と共に栽培ポット3を取り外し、簡易な掃除により、水耕栽培用パネル1は、繰り返し使用することができる。
また、パネル本体2は、一辺の長さが800mm以上であり、金型のサイズも大きいが、貫通孔21を事後的に形成するので、貫通孔21の数や間隔の異なる複数のパネルを製造するために複数の金型を用意する必要がなく、金型を一種類で済み、製造コストを抑制することができる。
次に、上記実施形態の変形例に係る水耕栽培用パネル1について、図4及び図5を参照して説明する。本変形例に係る水耕栽培用パネル1は、ポッドホルダ4が、可撓性を有する樹脂材料により形成されており、筒部41の両方の端部に鍔部42が設けられている。その他の構成は、上記実施形態と同様である。
本変形例では、ポッドホルダ4が、可撓性を有しているので、変形させることができ、例えば、鍔部42を小さく折り曲げて。貫通孔21を通すことができる。本変形例によれば、ポッドホルダ4が一部材で済むので、取り扱いを簡易にすることができる。また、ポッドホルダ4が、隙間の無い一体成型品なので、貫通孔21への水の侵入をより確実に抑制することができる。
次に、本考案の第2の実施形態に係る水耕栽培用パネル1について、図6乃至図8を参照して説明する。上記第1の実施形態に係る水耕栽培用パネル1は、パネル本体2に樹脂シート5を被覆させた後に、貫通孔21を形成した。これに対して、本実施形態に係る水耕栽培用パネル1は、図6(a)に示すように、予め貫通孔21を形成したパネル本体2を用意する。そして、図6(b)(c)に示すように、上記実施形態と同様の手順で、パネル本体2の上面に樹脂シート5を真空一体成形に被覆させる。パネル本体2の下面にも同様に樹脂シート5を被覆させると、図6(d)に示すように、パネル本体2の上下面だけでなく、貫通孔21の内周面にも樹脂シート5が被覆されたパネル本体2が得られる。しかし、この場合、図6(e)に示すように、上下面の夫々の樹脂シート5が貫通孔21内で貼り付いて、貫通孔21を塞いでしまう。そこで、貫通孔21内で貼り付いた樹脂シート5をバリ取りする必要があるが、バリ取りした部分では、樹脂シート5がパネル本体2に密着せずに浮いてしまっていることがある。
そこで、本実施形態においても、図7に示すように、貫通孔21にポッドホルダ4を装着することで、貫通孔21の内側面を効果的に保護することができる。なお、本実施形態では、貫通孔21の内周面のうち、バリ取り部分以外は樹脂シート5が被覆されているので、ポッドホルダ4はバリ取り部分をカバーできればよく、図7に示すように、筒部41の一方の端部にのみ鍔部42が設けられたポッドホルダ4を用いることもできる。このタイプのポッドホルダ4によれば、ポッドホルダ4が一部材で済むので、取り扱いを簡易にすることができる。なお、図2又は図5で示したような筒部41の両端に鍔部42があるポッドホルダ4を用いてもよい。
なお、本考案は、パネル本体が、外表の全面に樹脂シートが真空一体成型されていて、ポッドホルダが、貫通孔の内周面を被覆するように構成されているものであれば、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。また、例えば、上記第1の実施形態では、水耕栽培用パネルの作製手順において貫通孔を形成したが、出荷段階では貫通孔を形成せず、貫通孔はユーザーサイドでくり抜くようにしてもよい。
1 水耕栽培用パネル
2 パネル本体
21 貫通孔
3 栽培ポッド
4 ポッドホルダ
4a 第1部材
4b 第2部材
41、41a、41b 筒部
42、42a、42b 鍔部
5 樹脂シート
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Claims (4)
- 植物を培養液に浮遊させた状態で保持する発泡樹脂製の水耕栽培用パネルであって、
平面板形状のパネル本体と、前記パネル本体に格子状に形成された複数の貫通孔と、前記貫通孔の夫々に嵌め込まれ植物が植えられた栽培ポットを保持する複数のポッドホルダと、を備え、
前記パネル本体は、外表の全面に樹脂シートが真空一体成型され、
前記ポッドホルダは、前記貫通孔の内周面を被覆するように構成されていることを特徴とする水耕栽培用パネル。 - 前記ポッドホルダは、前記貫通孔の内周面を被覆する筒部と、前記樹脂シートで被覆された前記パネル本体の表面を被覆する鍔部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の水耕栽培用パネル。
- 前記ポッドホルダは、前記パネル本体の一方の面から前記貫通孔に嵌め込まれる第1部材と、前記パネル本体の他方の面から前記貫通孔に嵌め込まれる第2部材と、から成り、
前記第1部材及び前記第2部材は、夫々前記筒部の一方の端部に前記鍔部が設けられ、該鍔部の無い他方の端部に互いと係合する係合部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の水耕栽培用パネル。 - 前記ポッドホルダは、可撓性を有する樹脂材料により形成され、前記筒部の両方の端部に前記鍔部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の水耕栽培用パネル。
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