JP3228970B2 - ポリプロピレン製低熱収縮性延伸テープの製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン製低熱収縮性延伸テープの製造方法

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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カーペット・人工芝
生、各種マット類等に用いる一次基布や二次基布用の原
料に用いるポリプロピレン製延伸テープの製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】タフテッドカーペットは、延伸テープを
織成して製造した一次基布にパイル糸を植えこみ、次い
でポリ塩化ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポ
リプロピレン等のホットメルトバッキング材で裏打して
製造される。この際、ホットメルトバッキング材が裏打
される温度は、最低150℃、通常は160〜180℃
で行われるので、従来のポリプロピレン延伸テープを素
材とした一次基布が熱収縮し、カーペットの外観を損う
欠点がある。
【0003】従って、高温でも熱収縮のしないポリプロ
ピレンの延伸テープの出現が望まれていた。特公昭62
−6011号公報には、130℃、10分間での収縮率
が全長を通じて平均0.3%以下である低収縮性ポリプ
ロピレンフラットヤーン(テープ)の製造法が開示され
ている。
【0004】その製造方法は、フラットヤーンを芯管に
チーズ巻きした後、熱風を循環させた恒温槽内に長時間
放置することによりなし得るものである。この場合、電
力費、保管時間、保管スペース等を考慮すればコスト面
で不利とならざるを得ない。更に、我々が追試したとこ
ろ、150℃、10分間における熱収縮率は3〜5%で
あって、十分とは言えない。
【0005】特公昭62−16172号公報には延伸し
たポリプロピレンテープを多段ロールで熱処理して13
0℃、シリコーンオイルバス10分間浸漬での熱収縮率
が0.4〜0.6%のテープが開示されるが、これも我
々の追試によると150℃、10分間での熱収縮率は4
〜6%であり十分でない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、150℃で
の熱収縮率が1%以下という熱収縮性の小さいポリプロ
ピレン延伸テープを安定に生産できる製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
【発明の構成】本発明は、密度が0.9065g/cm
3 以上のポリプロピレンを用いて、次の工程を経て低熱
収縮性延伸テープを製造する方法を提供するものであ
る。 (1)ポリプロピレンを溶融押出し、フィルムを得る。 (2)該フィルムを冷却固化し、スリットしてテープと
なす。 (3)テープの引取方向に、110〜150℃の温度で
該テープを3.5〜7.5倍延伸する。 (4)前記延伸されたテープを、前記延伸温度よりは5
〜40℃高い温度であって、130〜155℃の温度で
5〜12%の弛緩熱処理を行う。 (5)この延伸テープを、前記(4)の弛緩熱処理温度
よりも10〜35℃高い温度であって、150〜165
℃の温度で4〜10%の弛緩熱処理を行う。
【0009】(ポリプロピレン)本発明に於いて使用す
るポリプロピレンとしては、ポリプロピレンの単独重合
体が最も好ましいが、フラットヤーンの物性を損なわな
い範囲でポリプロピレンとエチレン、ブテン−1等との
共重合体、およびそれらの混合物であってもよい。そし
てこのポリプロピレンの密度(JIS K−7112)
は、0.9065g/cm3 以上であり、好ましくは
0.9070g/cm3 〜0.9095g/cm3 であ
る。密度が0.9065g/cm3 未満では目標とする
低熱収縮性延伸テープが得られない。
【0010】(製造工程)本発明の低熱収縮性ポリプロ
ピレンの延伸テープは次の(1)〜(5)の工程を経て
製造される。 (1)ポリプロピレンを溶融押出し、フィルムを得る。 (2)該フィルムを冷却固化し、スリットしてテープと
なす。 (3)テープの引取方向に、110〜150℃の温度で
該テープを3.5〜7.5倍延伸する。 (4)前記延伸されたテープを、前記延伸温度よりは5
〜40℃高い温度であって、130〜155℃の温度で
5〜12%の弛緩熱処理を行う。 (5)この延伸テープを、前記(4)の弛緩熱処理温度
よりも10〜35℃高い温度であって、150〜165
℃の温度で4〜10%の弛緩熱処理を行う。
【0011】本発明に於いては、前記ポリプロピレンを
必要に応じて熱安定剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、抗菌
剤、顔料、および無機充填剤とその分散剤等を添加して
溶融混練し、公知のTダイ、サーキュラーダイ等を用い
た方法で、例えば210〜250℃の押出温度でフィル
ム状にポリプロピレンを溶融押出し、冷却(20〜10
0℃)固化して肉厚が20μm〜250μmのフィルム
となす。
【0012】前記フィルムを所定幅(1〜100mm)
のテープ状に切断し、1段階目の延伸をオーブン、ロー
ル、熱板等を用いた公知の方法で110〜150℃の温
度で引取方向に3.5〜7.5倍延伸する。延伸温度が
110℃未満では、延伸応力が大きく、延伸した後、弛
緩熱処理を施しても残留応力がとりきれず目標とする低
熱収縮性延伸テープを得ることができない。一方、延伸
温度が150℃を超えると延伸テープが浮遊して交絡を
起したり、又テープ同志が密着して、或いはテープが熱
板等に付着して延伸切れの原因となる。
【0013】延伸倍率3.5倍未満では延伸ムラが生
じ、延伸テープの幅振れが減少せず品質及び安定生産が
困難となる。又、延伸倍率が7.5倍を超えると、高配
向延伸テープとなり、弛緩熱処理を施しても残留応力が
とりきれず目標とする低熱収縮性延伸テープとはなりえ
ない。この110〜150℃の延伸は、一回で行って
も、2回以上行ってもよい。但し、2回以上行う場合、
延伸後の延伸倍率は最初のフィルム原反の7.5倍以下
の延伸に留める必要がある。
【0014】本発明においては、テープの引取方向にテ
ープを2段階以上に分けて弛緩熱処理を行うことが必要
である。なぜならば1段階のみのテープの弛緩熱処理で
は目標とする低熱収縮性の延伸テープを製造することが
できない。一段階目の延伸テープの弛緩熱処理は、例え
ば熱風循環方式のオーブンを用い、130〜155℃の
温度で弛緩率が5〜12%となるように行う。弛緩率と
は、延伸テープを引き取る2本のロールの周速度を
1 ,v2 としたとき、次式(I) 弛緩率=100(v1 −v2 )/v1 ・・・(I) として算出される。従って、通常は弛緩率を5〜12%
とするのに後者のロールの周速度を前者のロールの周速
度の1.05〜1.12倍となる速度でロールを回転さ
せて延伸テープを引き取る。二段階目の延伸テープの弛
緩熱処理は熱循環式オーブンを用い、150〜165℃
の温度で弛緩率が4〜10%となるように行う。
【0015】一段階目の弛緩熱処理温度が130℃未満
では低熱収縮性延伸テープとはなりえず、一方155℃
を超えると延伸テープ同志が密着を起し安定して延伸テ
ープを巻き取ることが不可能となる。又、弛緩率が5%
未満では残留応力が延伸テープに残り、低熱収縮性延伸
テープ(150℃での熱収縮率が1%以下)とはなりえ
ない。一方、弛緩率が12%を超えると弛緩率の増大に
伴ない延伸テープが浮遊し延伸テープ同志が絡み合うの
で安定して延伸テープを生産することが困難となる。
【0016】二段階目の弛緩熱処理温度が150℃未満
では十分な弛緩率が取れず低熱収縮性延伸テープとはな
りえない。又、165℃を超えては延伸テープ同志が融
着を起し、安定して生産を行うことが困難となる。又、
弛緩率が4%未満では残留応力が延伸テープに残り低熱
収縮性延伸テープとはなりえない。一方10%を超える
と延伸テープが浮遊し延伸テープ同志が絡み合うので安
定して延伸テープを生産することが困難となる。
【0017】一段階目の弛緩熱処理の温度はテープの延
伸時の温度よりも5〜40℃高い温度、好ましくは10
〜30℃高い温度で行う。又、二段階目の弛緩熱処理の
温度は、一段階目の弛緩熱処理の温度よりも5℃以上高
い温度、好ましくは10〜30℃高い温度で行う。この
ように温度を高くしていかないと低熱収縮性の延伸テー
プを得ることができない。これらの温度はいずれもポリ
プロピレンの融点(DSC曲線のピークの高い方の裾の
温度)よりも低い温度である。本発明により得られた延
伸テープの幅は0.5〜50mm、肉厚は10〜100
μmである。
【0018】
【実施例】
実施例1〜3、比較例1〜8 メルトフローレートが2g/10分間、融点172℃の
ポリプロピレンの単独重合体を65mmΦの押出機を用
いてTダイでフィルム状に溶融押出し、20m/分の速
度で引取りながら冷却固化してポリプロピレンフィルム
となした後、該フィルムをテープ状に切断し、熱板延伸
法により引取方向に表1に示す温度で、同表に示す延伸
倍率に延伸した。
【0019】次いで、熱風循環方式のオーブンにより第
1段階、第2段階の弛緩熱処理あるいは第1段階だけの
弛緩熱処理を施こして1200デールのポリプロピレン
延伸テープを製造した。なお、使用したポリプロピレン
の密度、押出温度、延伸温度、延伸倍率、熱弛緩処理温
度、弛緩率は表1に示した通りとした。得られたフラッ
トヤーンの引張強度、引張伸度、および熱収縮率の測定
結果を表1に示す。
【0020】ここで引張強度および引張伸度はJIS
L−1 070によって測定したものであり、熱収縮率
は150℃のシリコンオイルバス中に10分間浸漬した
後の縦方向の収縮率を測定したものである。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】本発明のポリプロピレンの延伸テープの
製造方法は以上の構成とし特定範囲の密度を有するポリ
プロピレンを用い、延伸し、次いで前記延伸テープを多
段階で弛緩熱処理を施こすことにより、低熱収縮性延伸
テープとなり、延伸切れの成形トラブルや、弛緩熱処理
時の延伸テープ同志の融着、浮遊に伴なう巻取トラブル
等を生じることなく安定して延伸テープを生産すること
が可能である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29K 23:00 B29K 23:00 B29L 7:00 B29L 7:00 (56)参考文献 特開 平5−104619(JP,A) 特開 昭61−258013(JP,A) 特開 昭57−8118(JP,A) 特許2828289(JP,B2) 特公 昭62−16172(JP,B2) 特公 昭55−11495(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 55/00 - 55/30 B29C 61/00 - 61/10 D01F 6/00 - 6/96 D02G 3/00 - 3/48 D02J 1/00 - 1/22 D02J 13/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度が0.9065g/cm3 以上のポ
    リプロピレンを用いて、次の工程を経てポリプロピレン
    製低熱収縮性延伸テープを製造する方法。 (1)ポリプロピレンを溶融押出し、フィルムを得る。 (2)該フィルムを冷却固化し、スリットしてテープと
    なす。 (3)テープの引取方向に、110〜150℃の温度で
    該テープを3.5〜7.5倍延伸する。 (4)前記延伸されたテープを、前記延伸温度よりは5
    〜40℃高い温度であって、130〜155℃の温度で
    5〜12%の弛緩熱処理を行う。 (5)この延伸テープを、前記(4)の弛緩熱処理温度
    よりも10〜35℃高い温度であって、150〜165
    ℃の温度で4〜10%の弛緩熱処理を行う。
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