JP3228823B2 - 導波路型光素子、およびその製造方法 - Google Patents

導波路型光素子、およびその製造方法

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    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F2203/00Function characteristic
    • G02F2203/21Thermal instability, i.e. DC drift, of an optical modulator; Arrangements or methods for the reduction thereof

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、導波路型電気光学素
子、およびその製造方法に関する。更に詳しく述べるな
らば、本発明は光通信分野、光情報処理分野、および光
応用計測分野などにおいて用いられる導波路型電気光学
素子、特に、高速光変調器、および高速光スイッチなど
の分野に有用な導波路型電気光学素子、およびその製造
に関するものである。このような本発明の導波路型電気
光学素子は、制御用直流電圧を印加した場合、必要とす
る安定した動作特性を示す素子構造を有するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】本発明の導波路型電気光学素子に関連す
る従来の光学素子について、その一例としてニオブ酸リ
チウム基板を用いたマッハツェンダ型光変調器を用いて
説明する。このような従来の光学素子はニオブ酸リチウ
ム(LiNbO3)基板上に、Ti熱拡散法によりY字形
分岐路、および合波路を有するパターンの導波路を形成
し、この導波路の上に、誘電体材料よりなるバッファ層
を形成し、その上に、前記導波路に対応する電極を配置
して構成される。このような従来の光学素子の構成は、
例えば、西原、春名、栖原共著「光集積回路」、オーム
社発行、1985などに記載されている。
【0003】上記のような従来の光学素子において、素
子使用環境温度が変化した場合、必要に応じ、LiNb
3 基板の焦電効果により発生する電荷を、素子の電極
下の部分に集中させることなく、素子表面に均一に分散
させることにより温度変化に起因する素子特性(変調位
相)のドリフトを低減させることが必要になり、このた
めに、当該バッファ層にくらべて低い電気抵抗を有する
薄層を、バッファ層の上、又はその下に配置することが
知られている(例えば、K.Seino, T.Nakazawa,Y.Kubot
a, M.Doi, T.Yamane and H.Hakogi ;Proc.OFC'92, San
Jose, Feb.8-11, 1992(Optical Soc.Am., Wasington,
1992)pp.325 、十文字、野沢;電子情報通信学会論文誌
C-1 、J75-C-1(1992)17 、および特開平5−66428
号等)。
【0004】上記のような光素子の重要な構成要素の一
つである誘電体バッファ層は、一般にSiO2 、又はA
2 3 などの酸化物誘電体が用いられている。このよ
うな誘電体バッファ層の形成には、真空蒸着法、イオン
アシスト真空蒸着法、スパッタリング法、および化学的
気相蒸着法(CVD法)などのような汎用的薄膜堆積方
法が用いられている。上記誘電体バッファ層形成工程
は、予じめ所望の導波路を、基板上に形成した後、この
導波路を被覆するように、基板上に施される。
【0005】上記誘電体バッファ層を形成するSiO2
又はAl2 3 は、高い電気的絶縁性を有し、しかもそ
の誘電率(屈折率)が低いという特性を有し、このため
導波路を伝播する光信号、および電極中を伝播する高周
波電気信号がバッファ層中に散乱し損失することが少な
いという利点を有している。また、バッファ層を形成す
る誘電体物質、すなわちSiO2 、又はAl2 3 が、
基板を形成する物質、すなわちLiNbO3 と同様に酸
化物であるため、基板とバッファ層との界面における化
学的結合力、すなわち付着強度が高いという利点があ
る。
【0006】上記バッファ層を形成するための一工法と
して用いられる真空蒸着法は、原料物質を、真空中で加
熱蒸発又は昇華させ、この蒸発源に対向して配置された
基板面上に、前記気化した原料物質を付着堆積させる方
法である。この真空蒸着法においては約10-5Torr以上
の高い真空度の雰囲気を用いるため、蒸発種の平均自由
工程度が高く、基板上に均一な膜厚分布を有するバッフ
ァ層を容易に形成することができる。また真空蒸着法で
は、蒸発種を、電界などにより加速しないため、蒸発種
の有するエネルギーが比較的小さく、このため基板表面
上に入射付着する際に、基板表面を損傷することがな
く、また、形成される蒸着膜に導入される内部応力も、
他の成膜方法にくらべて小さいという特長を有してい
る。
【0007】しかしながら、真空蒸着法の上記長所はそ
れを裏返えせば、蒸着膜の基板表面に対する付着強度が
小さく、また蒸着膜の緻密度が低いという欠点にもなっ
ている。特に、真空蒸着法による蒸着膜の緻密度が低い
ということは、その膜特性が光学素子の環境条件の変化
に敏感に感応して変化しやすく、また高周波電界の低損
失伝送(例えば変調器を制御する電気信号)にとって有
害な不純物、例えば水(H2 O)分子などを取り込んで
しまう可能性があるなどの欠点の原因となる。
【0008】上記のような問題点を有する真空蒸着法に
対して、スパッタリング法、およびイオンアシスト蒸着
法は、緻密で強固な皮膜を形成するという長所がある
が、その反面、蒸発種の少なくとも一部がプラズマ、或
いは第二のイオンビーム(Ar,O2 イオンなど)によ
りイオン化された状態にあり、従って高いエネルギーを
有しているため、これが基板表面に衝突してこれに損傷
(表面原子の欠損など)を与えやすく、また得られる皮
膜の内部応力も高くなるという欠点を有している。
【0009】CVD法は使用される原料の化学的特性に
より、基板表面における原料種のマイグレーションを大
きくすることが可能であり、基板表面の凹凸に無関係に
基板表面の被覆率(皮膜の厚さ)を一定にすることがで
きるという長所を有しており、この長所は他の皮膜形成
法では得られないものである。しかし、CVD法は、未
反応種又は反応ガス種を、形成される皮膜中に取り込み
やすく、かつ皮膜形成条件の設定および実施に微妙なコ
ントロールが必要であるという問題点を有している。こ
のため、CVD法は光学素子のバッファ層形成方法とし
ては、現在のところあまり用いられていない。
【0010】従来方法においては、光学素子のバッファ
層は、上記皮膜形成方法の一つを利用し、その単一回の
皮膜形成工程により形成されていた。但し、堆積形成さ
れた皮膜の酸素欠損を補填するために、酸素含有雰囲気
中において、600℃程度の温度において熱処理を施す
ことがある。
【0011】上記のような従来のバッファ層はその皮膜
形成に用いられた方法に強く依存する上述の特性を有
し、このバッファ層の特性がそれを含む光学素子デバイ
スの特性に大きな影響を与えている。例えば、バッファ
層の特性に起因する現象として、直流電圧により調整さ
れた光変調位相が経時的に変化し、それが調整点からず
れてしまう現象、すなわちDC−ドリフト現象が知られ
ている。このDC−ドリフト現象の原因については、未
だ十分に解明されていないが、基板およびバッファ層の
電気的物性(例えば、抵抗率、および誘導率など)に強
く関係しているという見解が有力である。(十文字、野
沢;電子情報通信学会論文誌C-1 、J75-C-1(1992)17 、
特開平5−66428号、および特開平4−34631
0号等)。
【0012】また高速変調器の場合、光学素子の重要な
性能として、使用周波数帯域の幅が広いこと、又は使用
周波数帯域が高いこと(最近開発中の光通信では20GH
z 以上における動作が望まれている)が求められている
が、これらの性能は当然のことながら当該光学素子中の
バッファ層の物性および種類により大きな影響を受け
る。
【0013】ところで、真空蒸着法により作成されたS
iO2 バッファ層を有する変調器は、スパッタリング法
あるいはイオンアシスト蒸着法により作成されたSiO
2 バッファ層を有する変調器に比較して、長期間に渡る
DC−ドリフトが著しく小さいことがわかっている。そ
の一方で、真空蒸着SiO2 バッファ層を有する変調器
は、他に比べて低い帯域特性しか示さない。DC−ドリ
フトは、素子の寿命を決める要因の一つであり、DC−
ドリフトが小さいほど使用寿命が長い。したがって、高
帯域特性が要求される超高速光通信システム用素子に
は、スパッタリングあるいはイオンアシスト蒸着法で作
成された高性能バッファ層を用いる必要があるが、この
素子はDC−ドリフトが大きく、素子寿命が短いという
矛盾した結果になってしまう。
【0014】DC−ドリフトを低減する手段としては、
前述した、「基板とバッファ層の電気的物性(抵抗率・
誘電率等)の差」に着目して、基板よりも高い電気伝導
特性を有するバッファ層を用いる方法(特開平4−34
6310号)、基板表面の電気伝導度を基板内部より高
くする方法(特開平5−66428号)、およびバッフ
ァ層中に電気伝導度の差異を層状あるいは島状にもたせ
る方法(特開平3−127022号、特開平3−127
023号)、などが提案されている。しかし、これらの
方法が、光学素子の帯域特性を同時に改善し得るもので
あるか否かは不明である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、DC−ドリ
フト現象が著しく小さく、かつ実用上満足できる使用周
波数帯域の広さおよび高さを有する導波路型電気光学素
子、およびその製造方法を提供しようとするものであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来技術
の上記問題点を解消する手段について検討を行った結
果、導波路型電気光学素子のバッファ層を低緻密度低D
C−ドリフト性層と、高緻密度高周波数特性層とからな
る2層構造に形成することにより、上記問題点を解消し
得ることを見出し、本発明の完成に成功したのである。
【0017】すなわち本発明に係る導波路型電気光学素
子は電気光学効果を有する基板と、この基板表面部に形
成された光導波路と、前記光導波路具有基板表面上に形
成され、かつ誘電体材料からなるバッファ層と、このバ
ッファ層上の、前記光導波路の対応する位置に配置され
た電極を有し、前記バッファ層が、前記光導波路具有基
板上に、イオン化された高エネルギー蒸発種を用いない
第1の気相堆積法により形成され、かつ、誘電体材料か
らなる低緻密性第1バッファ層と、および前記第1バッ
ファ層上に、イオン化された高エネルギー蒸発種を用い
る第2の気相堆積法により形成され、かつ、誘電体材料
からなる高緻密性第2バッファ層と、から構成された2
層構造を有することを特徴とする、ものである。
【0018】また本発明に係る導波路型電気光学素子の
製造方法は、電光学効果を有する基板の表面部分に、光
導波路を形成し、前記光導波路具有基板表面上に、誘電
体材料からなるバッファ層を形成し、前記バッファ層上
の、前記光導波路に対応する位置に、電極を配置する工
程を含み、前記バッファ層の形成に際し、前記光導波路
具有基板上に、イオン化された高エネルギー蒸発種を発
生させることのない第1の気相堆積法により、誘導体材
料を堆積させて低緻密性第1バッファ層を形成し、次
に、前記第1バッファ層上に、イオン化された高エネル
ギー蒸発種を用いる第2の気相堆積法により誘導体材料
を堆積させて高緻密性第2バッファ層を形成する、こと
を特徴とするものである。
【0019】前記本発明方法の一実施態様において、第
1バッファ層形成のための第1の気相堆積法が真空蒸着
法であり、かつ第2バッファ層形成のための第2の気相
堆積法がスパッタリング法である。
【0020】前記本発明方法の他の実施態様において、
第1バッファ層形成のための第1の気相堆積法が真空蒸
着法であり、かつ第2バッファ層形成のための第2の気
相堆積法がイオンアシスト真空蒸着法である。
【0021】前記本発明方法の一実施態様において、同
一真空蒸着装置内において、前記真空蒸着法による第1
バッファ層形成を行い、それに引続いて、前記イオン種
を用いるイオンアシスト真空蒸着法による第2バッファ
層形成が行われる。
【0022】上記の本発明方法において、前記第1およ
び第2バッファ層の形成において、前記誘電体材料とし
て、SiO2 が用いられることが好ましい。
【0023】また本発明方法において、一般に前記基板
は、ニオブ酸リチウム(LiNbO 3)からなり、前記光
導波路は、チタン熱拡散により形成される。
【0024】
【作用】本発明の導波路型電気光学素子において、第1
バッファ層は、イオン種を用いない気相堆積法により形
成されるため、緻密性が比較的低いが基板表面に損傷す
ることがなく、又は少なく、またDC−ドリフト性が小
さいという長所を有し、第2バッファ層は、高エネルギ
ーイオン種を含む気相堆積層を用いて形成されるため、
使用し得る周波数帯域の幅が広く、かつ高いという長所
を有している。
【0025】すなわち、図1に示されているように従来
の導波路型電子光学素子1は、電子光学結晶基板2、こ
の基板表面部分に形成されている光導波路3、この光導
波路3を具有する基板2の表面上に、気相堆積法により
形成されたバッファ層4、およびバッファ層4の上に、
前記光導波路3に対応する位置に形成されている電極5
とからなるものである。
【0026】これに対して、図2に示されているよう
に、本発明の電気光学素子11は、電気光学的特性を有
する結晶基板2と、その表面部分に形成された光導波路
3と、この光導波路3を具有する基板2の上に形成され
たバッファ層12と、バッファ層12の上に、前記光導
波路3に対応する位置に配置された電極5を有し、バッ
ファ層12は、光導波路具有基板2の直上に形成接合し
ている低緻密性第1バッファ層13と、その上に形成さ
れている高緻密性第2バッファ層14とからなるもので
ある。
【0027】上述のように、電気光学素子のDC−ドリ
フト現象は、基板と、その直上に形成されているバッフ
ァ層の物性によって大きく影響されることが知られてい
る。図3は、LiNbO3 基板上に、真空蒸着法により
形成されたSiO2 バッファ層(1)、イオンアシスト
真空蒸着法により形成されたSiO2 バッファ層
(2)、およびスパッタリング法により形成されたSi
2 バッファ層(3)の各々を有する3種のマッハツェ
ンダ型光強度変調器のDC−ドリフト現象を示したもの
である。
【0028】図3の変調器において各バッファ層の厚さ
は0.8μmであり、印加されたDCバイアスは+5V
であり、測定温度は100℃であった。DC−ドリフト
現象の測定は、供試変調器にAC電圧を重疊させて印加
し、変調波形をオシロスコープ上で観察記録しながら、
任意の光強度ピーク位置の経時シフトを追尾した。DC
−ドリフト現象とは、後記するように、温度変化により
加速される現象であり、温度100℃において測定され
たドリフト速度は、室温(25℃)において測定された
ドリフト速度の約1000倍に加速されていた。
【0029】図3から明らかなように、スパッタリング
法によるSiO2 バッファ層、又はイオンアシスト真空
蒸着法により形成されたSiO2 バッファ層を有する変
調器においては、動作時間約10時間程度で、印加した
バイアス電圧(5V)の80%〜90%に相当するDC
−ドリフトが観察された。しかし真空蒸着法によるSi
2 バッファ層を有する変調器においては、動作時間1
0時間以上においてDC−ドリフトは、他の場合の約1
/2程度の小さなものである。
【0030】図4に、スパッタリング法SiO2 バッフ
ァ層を有する変調器のDC−ドリフト速度の温度依存性
(アレニウスプロット)を示し、図5に真空蒸着法Si
2バッファ層を有する変調器のDC−ドリフト速度の
温度依存性(アレニウスプロット)を示す。図4、図5
のグラフにおいて、縦軸は図3において、ドリフトがほ
ゞ飽和するまでのプロファイルより算出された緩和時間
(τ)の逆数を示し、横軸は、測定温度(絶対温度)の
逆数1/Tを示す。
【0031】図4、図5には、複数個の変調器について
測定した結果がプロットされている。図4、図5におい
て、プロット直線の傾きから求められたDC−ドリフト
の活性化エネルギーは、いづれの変調器においても約1
eVであった。すなわち図4、図5は、スパッタリング法
SiO2 バッファ層を有する変調器と、真空蒸着法Si
2 バッファ層を有する変調器とは、ドリフト速度、お
よび最終ドリフト量において、互に異なっているが、各
々のドリフト速度の温度依存性(加速性)はほゞ等しい
ことを示している。
【0032】図6には真空蒸着法SiO2 バッファ層
(1)を有する変調器、イオンアシスト蒸着法SiO2
バッファ層(2)を有する変調器、およびスパッタリン
グ法SiO2 バッファ層(3)を有する変調器の3種の
マッハツェンダ型光強度変調器について、周波数(GHz)
と、減衰量(dB)との関係が示されている。これらの変調
器のバッファ層の厚さはいづれも0.8μmであり、電
極長は40mmであり、測定温度は室温であった。減衰率
3dBで規格化した変調器の周波数帯域は真空蒸着法Si
2 バッファ層(1)を用いたとき2.9GHz であり、
イオンアシスト真空蒸着法SiO2 バッファ層(2)を
用いたとき5.5GHz であり、スパッタリング法SiO
2 バッファ層(3)を用いたとき5.8GHz であった。
すなわちバッファ層としてイオンアシスト真空蒸着法S
iO2 層(2)、又はスパッタリング法SiO2
(3)を用いることにより、変調器の使用周波数帯域が
高くなることが理解される。
【0033】本発明の電気光学素子は、図2に示されて
いるように、第1バッファ層は、高エネルギーイオン種
を用いることのない気相堆積法、例えば真空蒸着法によ
り形成され、従って、低緻密性を有するものであるか
ら、おそらくこれらのことが関係してDC−ドリフト現
象が小さく、また、第1バッファ層の上には、第2バッ
ファ層が高エネルギーイオン種を用いる気相堆積法、例
えばイオンアシスト真空蒸着法、又は、スパッタリング
法により形成され、従って高緻密性を有するものである
から使用周波数帯域が広く高いものである。第1および
第2バッファ層の厚さを、素子の仕様、特性に合致する
ように設計すればよい。仕様周波数帯域が広く高いこと
が強く要求されるときは、第1バッファ層の厚さを薄
く、第2バッファ層の厚さを厚くすればよい。
【0034】
【実施例】本発明を、下記実施例によりさらに説明す
る。実施例1 ZカットされたLiNbO3 基板上にTi熱拡散により
光導波路を形成し、この基板の導波路形成面上に、真空
蒸着法により、SiO2 を厚さ100nmに堆積させて第
1バッファ層を形成し、この第1バッファ層上に、rf
−マグネトロンスパッタリング法によりSiO2 を厚さ
900nmに堆積させて第2バッファ層を形成し、これを
酸素気流中において600℃の温度で熱処理に供した。
得られた第2バッファ層上の、前記光導波路に対応する
位置に、Au厚膜からなる電極を形成してマッハツェン
ダ型変調器を作製した。
【0035】図7に、上記により得られた変調器の、動
作時間10-1〜102 時間におけるDC−ドリフト測定
結果を示す。測定はDC−バイアス電圧+5V、測定温
度100℃において行われた。図7に示された本発明の
2重バッファ層を有する変調器のDC−ドリフトは、図
3の単一バッファ層(3)(スパッタリング法)を有す
るものにくらべて、より低く抑制されている。
【0036】図8に、本発明による上記2重バッファ層
を有する変調器の長期DC−ドリフトと、従来のスパッ
タリング法単一バッファ層を有する変調器の10-2日〜
10 2 日にわたる長期DC−ドリフトとが比較して示さ
れている。DCバイアス電圧は+5Vであり測定温度は
70℃であった。また、3dB減衰で規格化したとき、実
施例1の変調器の電極の周波数特性は、約5.1GHz で
あって、これは、従来のスパッタリング法による単一S
iO2 バッファ層を有するものとほゞ同一であった。
【0037】実施例2 ZカットTi:LiNbO3 導波路基板上に、第1のS
iO2 バッファ層を真空蒸着法により厚さ100nmに形
成し、第2のSiO2 バッファ層をイオンアシスト蒸着
法により厚さ900nm堆積後、酸素気流中600℃で熱
処理した後に、電極を形成し、マッハツェンダ型変調器
を作製した。図9は、この変調器の、短期のDC−ドリ
フト測定結果を示している(100℃、DC5V)。図
3に示した、イオンアシスト蒸着法による従来品(2)
に比べ、DC−ドリフトが押さえられている。3dB減衰
で規格化した電極の周波数特性は、従来イオンアシスト
蒸着品(2)とほぼ同レベルの5.0GHz であった。
【0038】
【発明の効果】本発明の導波路型電気光学素子は、高速
光通信等に応用する上で問題となる、DC−ドリフト特
性と周波数帯域特性を、同時に向上することに成功した
ものであって、実用上、きわめて有用なものである。ま
た本発明方法は、このような導波路型電気光学素子を、
効率よく、かつ比較的簡単な操作により製造することを
可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来の導波路型電気光学素子の一例の
構成を示す断面説明図。
【図2】図2は、本発明の導波路型電気光学素子の一例
の構成を示す断面説明図。
【図3】図3は、互に形成方法が異なる3種バッファ層
を有する従来技術の変調器の動作時間とDC−ドリフト
との関係を示すグラフ。
【図4】図4は、スパッタリング法によるSiO2 バッ
ファ層を有する従来技術の変調器のDC−ドリフト特性
の一例を示すグラフ。
【図5】図5は真空蒸着法によるSiO2 バッファ層を
有する従来技術の変調器のDC−ドリフト特性の一例を
示すグラフ。
【図6】図6は、互に異なる堆積方法により形成された
SiO2 バッファ層を有する3種の従来の変調器の周波
数と減衰量との関係の一例を示すグラフ。
【図7】図7は本発明に係る2重バッファ層を有する変
調器の短期DC−ドリフトの一例を示すグラフ。
【図8】図8は、本発明に係る2重バッファ層を有する
変調器の一例と、従来の単一バッファ層を有する変調器
の一例との長期DC−ドリフトの一例を示すグラフ。
【図9】図9は、本発明に係る2重バッファ層を有する
変調器の他の一例の短期DC−ドリフトを示すグラフ。
【符号の説明】
1…従来技術の電気光学素子 2…基板 3…光導波路 4,12…バッファ層 5…電極 11…本発明の電気光学素子 13…第1バッファ層 14…第2バッファ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 秀紀 千葉県船橋市豊富町585番地 住友セメ ント株式会社 中央研究所内 (72)発明者 小林 正信 千葉県船橋市豊富町585番地 住友セメ ント株式会社 光電子事業部内 (72)発明者 荻原 淳一 千葉県船橋市豊富町585番地 住友セメ ント株式会社 中央研究所内 (56)参考文献 特開 平3−127022(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/00 - 1/125

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気光学効果を有する基板と、この基板
    表面部に形成された光導波路と、前記光導波路具有基板
    表面上に形成され、かつ誘電体材料からなるバッファ層
    と、このバッファ層上の、前記光導波路の対応する位置
    に配置された電極を有し、 前記バッファ層が、前記光導波路具有基板上に、イオン
    化された高エネルギー蒸発種を用いない、第1の気相堆
    積法により形成され、かつ、誘電体材料からなる低緻密
    性第1バッファ層と、および前記第1バッファ層上に、
    イオン化された高エネルギー蒸発種を用いる第2の気相
    堆積法により形成され、かつ、誘電体材料からなる高緻
    密性第2バッファ層と、から構成された2層構造を有す
    ることを特徴とする、導波路型電気光学素子。
  2. 【請求項2】 電光学効果を有する基板の表面部分に、
    光導波路を形成し、前記光導波路具有基板表面上に、誘
    電体材料からなるバッファ層を形成し、前記バッファ層
    上の、前記光導波路に対応する位置に、電極を配置する
    工程を含み、 前記バッファ層の形成に際し、前記光導波路具有基板上
    に、イオン化された高エネルギー蒸発種を発生させるこ
    とのない第1の気相堆積法により、誘導体材料を堆積さ
    せて低緻密性第1バッファ層を形成し、次に、前記第1
    バッファ層上に、イオン化された高エネルギー蒸発種を
    用いる第2の気相堆積法により誘導体材料を堆積させて
    高緻密性第2バッファ層を形成する、 ことを特徴とする導波路型電気光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第1バッファ層形成のための第1の
    気相堆積法が真空蒸着法であり、かつ前記第2バッファ
    層形成のための第2の気相堆積法が、スパッタリング法
    である、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記第1バッファ層形成のための第1の
    気相堆積法が真空蒸着法であり、かつ前記第2バッファ
    層形成のための第2の気相堆積法がイオンアシスト真空
    蒸着法である、請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 同一真空蒸着装置内において、前記真空
    蒸着法による第1バッファ層形成に引続いて、前記イオ
    ン種を用いるイオンアシスト真空蒸着法による第2バッ
    ファ層形成が行われる、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記第1および第2バッファ層の形成に
    おいて、前記誘電体材料として、SiO2 が用いられ
    る、請求項1〜5のいづれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記基板が、ニオブ酸リチウム(LiN
    bO3)からなり、前記光導波路が、チタン熱拡散により
    形成される、請求項1〜6項のいづれか1項に記載の方
    法。
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