JP3228199U - 土留支保工の施工構造 - Google Patents

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吉徳 野村
隆生 古林
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Abstract

【課題】施工時の騒音を抑制して簡易且つ強固な土留支持を実現できる土留支保工の施工構造を提供する。【解決手段】土留支保工の施工構造は、掘削された空間に埋設構造物200を収容する施工時に仮設され、所定深さに軽量矢板100が打ち込まれた場合に、軽量矢板100を内側から支持し、矩形状枠体を形成し、上下一対に対向配置して構成される上段及び下段支保工1、2と、上段及び下段支保工1、2間に当接介装して連結する支持柱3とを備え、作業空間Aの下面から二次掘削される埋設空間Bを軽量矢板100の内側から支持する土留支保工の施工構造であって、第一の長尺部材の両端部に配設される第一の切欠部と、第二の長尺部材の両端部に配設される第二の切欠部と、支持柱3の両端部に内側面から長手方向に延出し、上段及び下段支保工1、2を保持する保持部とを備え、上段及び下段支保工1、2を形成する際に、第一の切欠部に第二の切欠部を上側から組み合わせて組付ける。【選択図】図1

Description

本考案は、埋設構造物を収納すると共に土留を支持する土留支保工の施工構造に関し、特に、施工時の騒音を抑制して簡易且つ強固な土留支持を実現できる土留支保工の施工構造に関する。
建築物に付随するFRP製浄化槽、水槽、オイルタンク等は、掘削された地中に埋設構造物として構築される。このような埋設構造物を地中に構築するに際しては、単に地中を掘削して埋設構造物を埋設するのみでは、次のような問題がある。すなわち、周囲を土砂に囲まれての人手の工事の危険性の問題があり、また、施工中に周囲からの土砂崩れがあると埋設構造物を確実に埋設することが困難である。
そのため、掘削された空間の周囲の土砂からの土砂崩れを防止する土留と、当該土留を支持する水平材とから構成される土留支保工の仮設が必要とされている。当該土留としては、一般に鋼製の矢板と呼ばれる板状の土留め板が用いられ、大型の重機である打ち込み機械(バイブロハンマ等)を用いて地面に打ち込まれる。この矢板の打ち込みには、一般には打ち込み機械に搭載された起振機により振動を発振させて地盤の摩擦抵抗を減少させながら行われる。
このような土留支持に関連する技術については、従来から改良が重ねられている。
例えば、従来の土留支保工の施工構造としては、掘削領域に沿って土留用に打設する矢板の前面に、柱部材と梁部材によって形成した矢板補強構造体を、当該矢板に合体させて設置することにより、当該矢板に作用する土圧を当該補強構造体を介して基礎地盤に伝達し矢板天端のたわみを抑制すると共に、当該補強構造体を足場として利用しようとするものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の土留支保工の施工構造としては、土留支保工を構成する切梁をジャッキで旋回して土留支保工を固定する方法があり、さらにこのジャッキが掘削溝内に出張らず邪魔にならないことを目的とする土留支保工も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−268770号公報 特開平8−277528号公報
しかし、従来の土留支保工の施工構造では、例えば、上記の特許文献1のように構築された補強構造体を足場として、当該補強構造体の側面で埋設構造物を設置する構成では、この足場として機能する骨組構造体とこの構造体と合体する矢板とで深い掘削領域全体を支持することができるが、埋設構造物を収容する掘削領域全体を掘削しなければ埋設施工ができないという課題を有していた。このように特許文献1の従来技術は、掘削領域全体を掘削することなく、途中までの掘削で補強構造体を配設し、この途中まで掘削された地面からさらに深く掘削して埋設構造物を埋設できるような構成ではなく、その用途は限定される。
また、例えば、上記の特許文献2に記載される従来技術は、掘削領域の内壁に相対抗して支柱が配設され、この対向した支柱間に切梁を伸縮自在に介装して形成され、この切梁を支柱に直交する腹起こし材の上面(又は下面)に沿った位置まで回転して退避させるようにしているので、埋設物の長い管等を敷設する際に掘削領域を支持できるものの、掘削領域の全体を掘削した後でなければ掘削領域の支持ができないという課題を有していた。
また、従来では、土留め壁板(矢板)は、矢板のみの剛性で土圧を支持できるような強度の大きな矢板の重量物が用いられていることから、その構築時には重機を用いたバイブレーションによる土壌への打ち込みが行われており、騒音が相当に大きく、周囲の住宅環境への騒音が課題となっている。
本考案は前記課題を解決するためになされたものであり、掘削領域の深さ方向に一部を掘削した状態で土留支保工の施工を可能とし、施工時の騒音を抑制して簡易且つ強固な土留支持を実現できる土留支保工の施工構造の提供を目的とする。
本願に開示する土留支保工の施工構造は、掘削された空間に埋設構造物を収容する施工時に仮設され、地面から一次掘削された作業空間の全周で、且つより下方に所定深さに軽量矢板が打ち込まれた場合に、当該軽量矢板を内側から支持し、各々一対の第一及び第二の長尺部材から矩形状枠体を形成し、当該矩形状枠体を上下一対に対向配置して構成される上段及び下段支保工と、当該上段及び下段支保工間に当接介装して連結する支持柱とを備え、前記作業空間の下面からさらに二次掘削されて前記埋設構造物が収納される埋設空間を軽量矢板の内側から支持する土留支保工の施工構造であって、前記第一の長尺部材の両端部に配設され、当該両端部の上側の半分の面が切欠かれた形状を有する第一の切欠部と、前記第二の長尺部材の両端部に配設され、当該両端部の下側の半分の面が切欠かれた形状を有する第二の切欠部と、前記支持柱の両端部に配設され、当該両端部の内側面から長手方向に延出し、前記上段及び下段支保工を保持する保持部とを備え、前記上段及び下段支保工を形成する際に、前記第一の長尺部材の前記第一の切欠部に対して、前記第二の長尺部材の前記第二の切欠部を上側から組み合わせて組付ける構成である。
このように、掘削された空間に埋設構造物を収容する施工時に仮設され、地面から一次掘削された作業空間の全周で、且つより下方に所定深さに軽量矢板が打ち込まれた場合に、当該軽量矢板を内側から支持し、各々一対の第一及び第二の長尺部材から矩形状枠体を形成し、当該矩形状枠体を上下一対に対向配置して構成される上段及び下段支保工と、当該上段及び下段支保工間に当接介装して連結する支持柱とを備え、前記作業空間の下面からさらに二次掘削されて前記埋設構造物が収納される埋設空間を軽量矢板の内側から支持する土留支保工の施工構造であって、前記第一の長尺部材の両端部に配設され、当該両端部の上側の半分の面が切欠かれた形状を有する第一の切欠部と、前記第二の長尺部材の両端部に配設され、当該両端部の下側の半分の面が切欠かれた形状を有する第二の切欠部と、前記支持柱の両端部に配設され、当該両端部の内側面から長手方向に延出し、前記上段及び下段支保工を保持する保持部とを備え、前記上段及び下段支保工を形成する際に、前記第一の長尺部材の前記第一の切欠部に対して、前記第二の長尺部材の前記第二の切欠部を上側から組み合わせて組付けることから、第一の切欠部の両端部に切欠かれた上側の半分の面に対して、第二の切欠部の両端部に切欠かれた下側の半分の面を載せるだけで第一及び第二の切欠部が嵌合して上段及び下段支保工が形成されることから、簡易に上段及び下段支保工を構成することができると共に、下段支保工、支持柱、上段支保工の順で、下部から上部に向かって、単純に積み上げるのみで組立て形成できることとなる。さらに解体の際には底盤のベース部分で矢板の総てを支持した状態で、下段支保工、支持柱、上段支保工の順で、下部から上部に向かって、単純に取り出すのみで解体できることとなり、組み立てと解体を容易かつ確実に行うことができる。
また、本願に開示する土留支保工の施工構造は、必要に応じて、前記第一及び第二の切欠部が、各々、前記第一及び第二の長尺部材の両端部で着脱自在に構成される構成である。このように、前記第一及び第二の切欠部が、各々、前記第一及び第二の長尺部材の両端部で着脱自在に構成されることから、前記第一及び第二の切欠部の形成に特殊な部材を用いて作成する必要は無く、また溶接等の作業を必要とすることも無く、既存のH字鋼やI字鋼をそのまま第一及び第二の長尺部材に使用できることとなり、既存材料を流用でき、低コストで汎用性が高い土留支保工を簡易に構築できる。
また、本願に開示する土留支保工の施工構造は、必要に応じて、伸縮固定可能な第三の長尺部材からなり、対向配置される前記第一又は第二の長尺部材間に配設され、両端部の上側面から長手方向に延出する延出部を有し、前記上段及び/又は下段支保工を補強する切梁部を備え、前記上段及び/又は下段支保工を形成する際に、前記上段及び/又は下段支保工の上面に対して、前記切梁部の前記延出部を上側から組み合わせて組付ける構成である。
このように、伸縮固定可能な第三の長尺部材からなり、対向配置される前記第一又は第二の長尺部材間に配設され、両端部の上側面から長手方向に延出する延出部を有し、前記上段及び/又は下段支保工を補強する切梁部を備え、前記上段及び/又は下段支保工を形成する際に、前記上段及び/又は下段支保工の上面に対して、前記切梁部の前記延出部を上側から組み合わせて組付けることから、切梁部の上側面から長手方向に延出した形状により、前記上段及び/又は下段支保工の上面に対して、前記切梁部の両端部の延出した上側面を載置するのみで簡易且つ強固に嵌合できることとなり、前記上段及び/又は下段支保工を簡易且つ強固に補強することができる。
また、本願に開示する土留支保工の施工構造は、必要に応じて、前記切梁部の数が、前記作業空間の縦方向の深さ及び/又は横方向の長さに応じて増加する構成である。このように、前記切梁部の数が、前記作業空間の縦方向の深さ及び/又は横方向の長さに応じて増加する構成であることから、前記切梁部が、前記作業空間の縦方向の深さ及び/又は横方向の長さに応じて最適に補強がなされることとなり、前記作業空間の規模が大きいか小さいかに拠らず、強固な土留支保工を構築できる。
本考案の第1の実施形態に係る土留支保工の施工構造の構成を表す構成図を示す。 本考案の第1の実施形態に係る土留支保工の施工構造の第一及び第二の長尺部材並びに支持柱の構成を表す構成図を示す。 本考案の第1の実施形態に係る土留支保工の施工構造の切欠部の構成を表す構成図を示す。 本考案の第1の実施形態に係る土留支保工の施工構造の構成手順を表す説明図を示す。 本考案の第1の実施形態に係る土留支保工の施工構造の構成手順を表す説明図を示す。 本考案の第1の実施形態に係る土留支保工の施工構造の構成手順を表す説明図を示す。 本考案の第1の実施形態に係る土留支保工の施工構造の構成手順を表す説明図を示す。 本考案の第1の実施形態に係る土留支保工の施工構造の構成手順を表す説明図を示す。 本考案の第2の実施形態に係る土留支保工の施工構造の構成を表す構成図を示す。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る土留支保工の施工構造を図1〜図8に基づいて説明する。
本実施形態に係る土留支保工の施工構造は、図1(a)に示すように、掘削された空間に図1(b)に示す埋設構造物200を収容する施工時に仮設され、地面から一次掘削された作業空間Aの全周で、且つより下方に所定深さに軽量矢板100が打ち込まれた場合に、この軽量矢板100を内側から支持し、上段の上段長辺部材11(第一の長尺部材)及び上段短辺部材12(第二の長尺部材)、並びに下段の下段長辺部材21(第一の長尺部材)及び下段短辺部材21(第二の長尺部材)から矩形状枠体を形成し、この矩形状枠体を上下一対に対向配置して構成される上段支保工1及び下段支保工2と、この上段支保工1及び下段支保工2間に当接介装して連結する支持柱3とを備え、この作業空間Aの下面からさらに二次掘削されてこの埋設構造物200が収納される埋設空間Bを軽量矢板100の内側から支持する土留支保工の施工構造であって、この上段長辺部材11及び下段長辺部材21(第一の長尺部材)の両端部に配設され、この両端部の上側の半分の面が切欠かれた形状を有する上段長辺切欠部11a及び下段長辺切欠部21a(第一の切欠部)と、この上段短辺部材12及び下段短辺部材22(第二の長尺部材)の両端部に配設され、この両端部の下側の半分の面が切欠かれた形状を有する上段短辺切欠部12a及び下段短辺切欠部22a(第二の切欠部)と、この支持柱3の両端部に配設され、この両端部の内側面から長手方向に延出し、この上段支保工1及び下段支保工2を保持する保持部3aとを備え、この上段支保工1及び下段支保工2を形成する際に、この上段長辺部材11及び下段長辺部材21(第一の長尺部材)のこの上段長辺切欠部11a及び下段長辺切欠部21a(第一の切欠部)に対して、この上段短辺部材12及び下段短辺部材22(第二の長尺部材)の各々上段短辺切欠部12a及び下段短辺切欠部22a(第二の切欠部)を上側から組み合わせて組付ける構成である。
上段支保工1及び下段支保工2は、H字鋼又はI字鋼等の公知部材から構成される鋼製の枠体であり、腹起しとも呼ばれ、周囲の掘削面からの土圧に対して軽量矢板100を支持する。軽量矢板100を用いることで従来よりも騒音を抑えた工事が可能となる。
例えば、上段支保工1及び下段支保工2を構成する部材は、公知のI字鋼又はH鋼等(例えば、大洋ヒロセ株式会社製の山留部品)から形成される長尺状の部材を用いることができる。
なお、本実施形態では、第一の長尺部材を上段長辺部材11及び下段長辺部材21として、第二の長尺部材として上段短辺部材12及び下段短辺部材22としているが、これに限定されず、第一の長尺部材を上段短辺部材12及び下段短辺部材22として、第二の長尺部材として上段長辺部材11及び下段長辺部材21として構成することもでき、また、第一の長尺部材と第二の長尺部材とを同じ長さの長尺部材として構成することも可能である。
図1(b)に示すように、この作業空間Aの下面からさらに二次掘削されてこの埋設構造物200が収納される埋設空間Bは、この埋設空間Bの底面部の外周にこの軽量矢板100と離隔してベースコンクリート104の外周として配設される緩衝材101を配設し、この緩衝材101にコンクリート材から成るベースコンクリート104を総ての軽量矢板100の下部領域の全領域に亘って打設して養生を行った後、ベースコンクリート103上に埋設構造物200を載置する。
図1(b)に示すように、この作業空間Bを掘削時に掘り起こされた土砂は、この軽量矢板100構築しつつ戻し土砂として一次掘削の周辺空間Cに戻し、土留支保工を構築する。
図2(a)に示すように、上段長辺切欠部11a及び下段長辺切欠部21a(第一の切欠部)は、上段長辺部材11及び下段長辺部材21(第一の長尺部材)の両端部に配設される。
図2(b)に示すように、上段短辺切欠部12a及び下段短辺切欠部22a(第二の切欠部)は、上段短辺部材12及び下段短辺部材22(第二の長尺部材)の両端部に配設される。
図2(c)に示すように、この支持柱3は、その両端部の内側面から長手方向に延出する保持部3aが配設される。図2(d)に示すように、この保持部3aは、保持部嵌合穴3bを介して簡易にボルトとナット(図示省略)により一体的に形成される。
上段長辺切欠部11a及び下段長辺切欠部21a(第一の切欠部)及び上段短辺切欠部12a及び下段短辺切欠部22a(第二の切欠部)は、上段長辺部材11及び下段長辺部材21(第一の長尺部材)並びに上段短辺部材12及び下段短辺部材22(第二の長尺部材)の両端部の配設される態様は特に限定されないが、好ましい態様としては、図3に示すように、着脱自在に構成される。
例えば、第一の切欠部について、上段長辺切欠部11a及び下段長辺切欠部21aは、図3(a)に示すように、上段長辺部材11及び下段長辺部材21と別体として形成され、上段切欠嵌合穴11c及び下段切欠嵌合穴21cを端部に備える構成である。図3(d)に示すように、上段長辺切欠部11a及び下段長辺切欠部21aは、上段長辺部材11及び下段長辺部材21(第一の長尺部材)の端部に配設された上段部材嵌合穴11d及び下段部材嵌合穴21dと上段切欠嵌合穴11c及び下段長辺部材21とをボルト・ナットで螺合することで簡易に着脱自在に一体化することが可能となる。即ち、溶接等の工程を不要として、端面同士が同一面上に接合することができ、この上段長辺切欠部11a及び下段長辺切欠部21a(第一の切欠部)が長手方向に延出した形状でL字型の中継部材として接合することができる。
このように、この第一及び第二の切欠部が、各々、この第一及び第二の長尺部材の両端部で着脱自在に構成されることから、この第一及び第二の切欠部の形成に特殊な部材を用いて作成する必要は無く、また溶接等の作業を必要とすることも無く、既存のH字鋼やI字鋼をそのまま第一及び第二の長尺部材に使用できることとなり、既存材料を流用でき、低コストで汎用性が高い土留支保工を簡易に構築できる。
第1の実施形態に係る土留支保工の施工構造の施工手順を以下に示す。
(1)一次掘削
先ず、埋設構造物200を収納するために、図4(a)に示すように、地盤を所定深さに掘削(一次掘削)して直方体状の作業空間Aを形成する。この作業空間Aの形成には、予め決定した掘削の位置及び高さに従って、油圧ショベル300(例えば、移動式クレーン仕様バックホウ)を用いて素掘りで本実施形態に係る土留支保工が収容できる深さまで掘削し、地盤を法面(斜面)に根切りして、斜面からの土砂が崩れないようにする。底面が水平になるレベルを確認しながら掘削を行う。
(2)下段支保工2の設置
次に、図4(b)に示すように、掘削された作業空間Aの底面に、油圧ショベル300(例えば、移動式クレーン仕様バックホウ)を用いて、下段支保工2を組み立てて収容する。
先ず、下段長辺部材21をこの作業空間Aの底面に載置する。この下段長辺部材21の両端部の下段長辺切欠部21a(第一の切欠部)が、上側の半分の面が切欠かれた形状を有することから、この下段長辺切欠部21a(第一の切欠部)に対して、下段短辺部材22の下段短辺切欠部22a(第二の切欠部)をそのまま載せるだけで嵌合して接合し、溶接等の工程を必要とすることなく、下段支保工2を簡易に形成可能となる。 この接合方法は、特に限定されないが、ボルトとナットを用いることができ、この場合、ボルト接合により簡易に接合することで極めて簡易な手順で下段支保工2を形成することができる。
(3)支持柱3の取り付け
次に、図5(a)に示すように、上記形成された下段支保工2の長手方向と直交方向になるように、下段支保工2に支持柱3を接合する。この支持柱3は、下段支保工2のうち、下段長辺部材21に接合させてもよいし、下段短辺部材22に接合させてもよいし、下段長辺部材21及び下段短辺部材22の両方に接合させる構成である。この支持柱3は、埋設構造物200のサイズや掘削深さ等により高さ寸法を制限されることなく決定でき、多種多様な埋設構造物200に対応できることとなる。
この支持柱3は、その両端部の内側面から長手方向に延出する保持部3aが、下段支保工2の内側面と嵌合をして簡易に接合することができる。この接合方法は、特に限定されないが、ボルトとナットを用いることができる。
(4)上段支保工1の設置
次に、図5(b)に示すように、上述の下段支保工2と接合した支持柱3に上段支保工1を接合する。この接合は、支持柱3の両端部の内側面から長手方向に延出する保持部3aが、上段支保工1に嵌合して簡易に接合することができる。この接合方法は、特に限定されないが、ボルトとナットを用いることができる。
(5)矢板の設置・周り埋め戻し
次に、図6(a)に示すように、上記形成された支持枠材の外周部分に沿って、油圧ショベル300(例えば、移動式クレーン仕様バックホウ)を用いて、作業空間Aより下方に、複数の平板状の軽量矢板100を所定深さ打ち込む。
(7)上段支保工1の吊り下げ
次に、図6(b)に示すように、油圧ショベル300(例えば、移動式クレーン仕様バックホウ)を用いて、上段支保工1を軽量矢板100に吊り下げる。この吊り下げ方法は、特に限定されないが、縮長可能な縮長部材を用いることができ、例えば、重量物を鎖で上げ下げ可能なレバーブロック105を用いて、上段支保工1を軽量矢板100に締付けつつ吊り下げることが可能である。レバーブロック105を用いることにより、ハンドルの反復操作のみによって、吊り下げた上段支保工1の巻き上げ、巻き下げ、及び締付けを油圧ショベル300を用いて簡易に行うことができる。
(8)内部掘削
次に、図7に示すように、上記一次掘削により形成された作業空間Aの下面を、支持枠材にたわみや変形が無いことを確認しながら、油圧ショベル300(例えば、移動式クレーン仕様バックホウ)を用いて、さらに二次掘削する。
(9)下段支保工2・支持柱3の撤去
次に、図8(a)に示すように、二次掘削により形成された空間(埋設空間B)の底面部の外周において、図8(b)に示すように、この軽量矢板100と離隔して基礎砕石102の外周として配設される緩衝材101を配設し、この緩衝材101にコンクリート材から成るベースコンクリート103を打設して養生を行う。養生後、図8(c)に示すように、下段支保工2および支持柱3を撤去する。
(10)上段支保工1・軽量矢板100の撤去
図8(c)に示すように、埋設構造物200(例えば、浄化槽)をベースコンクリート103上に設置する。設置後、この埋設構造物200が収容された残りの作業空間Aに土砂を上段支保工1まで埋め戻す。その後、埋め戻された土砂により内側から矢板100を支持した状態で上段支保工1の解体撤去を行う。矢板100を油圧ショベル300(例えば、バックホウ)で引き抜いて撤去する。
このように、掘削された空間に埋設構造物200を収容する施工時に仮設され、地面から一次掘削された作業空間Aの全周で、且つより下方に所定深さに軽量矢板100が打ち込まれた場合に、この軽量矢板100を内側から支持し、各々一対の第一及び第二の長尺部材から矩形状枠体を形成し、この矩形状枠体を上下一対に対向配置して構成される上段及び下段支保工2と、この上段及び下段支保工2間に当接介装して連結する支持柱3とを備え、この作業空間Aの下面からさらに二次掘削されてこの埋設構造物200が収納される埋設空間Bを軽量矢板100の内側から支持する土留支保工の施工構造であって、この第一の長尺部材の両端部に配設され、この両端部の上側の半分の面が切欠かれた形状を有する第一の切欠部と、この第二の長尺部材の両端部に配設され、この両端部の下側の半分の面が切欠かれた形状を有する第二の切欠部と、この支持柱3の両端部に配設され、この両端部の内側面から長手方向に延出し、この上段及び下段支保工2を保持する保持部3aとを備え、この上段及び下段支保工2を形成する際に、この第一の長尺部材のこの第一の切欠部に対して、この第二の長尺部材のこの第二の切欠部を上側から組み合わせて組付けることから、第一の切欠部の両端部に切欠かれた上側の半分の面に対して、第二の切欠部の両端部に切欠かれた下側の半分の面を載せるだけで第一及び第二の切欠部が嵌合して上段及び下段支保工2が形成されることから、簡易に上段及び下段支保工2を構成することができると共に、下段支保工2、支持柱3、上段支保工1の順で、下部から上部に向かって、単純に積み上げるのみで形成できると共に、下段支保工2、支持柱3、上段支保工1の順で、下部から上部に向かって、単純に取り出すのみで解体できることとなり、組み立てと解体を容易かつ確実に行うことができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態としては、第1の実施形態と同様に、上段支保工1、下段支保工2、上段長辺部材11(第一の長尺部材)及び上段短辺部材12(第二の長尺部材)、下段の下段長辺部材21(第一の長尺部材)及び下段短辺部材21(第二の長尺部材)、支持柱3、上段長辺切欠部11a及び下段長辺切欠部21a(第一の切欠部)、上段短辺切欠部12a及び下段短辺切欠部22a(第二の切欠部)、保持部3aとを備え、さらに、伸縮固定可能な第三の長尺部材からなり、対向配置されるこの第一又は第二の長尺部材間に配設され、両端部の上側面から長手方向に延出する延出部4aを有し、この上段及び/又は下段支保工2を補強する切梁部4を備え、図9(a)に示すように、この上段及び/又は下段支保工2を形成する際に、この上段及び/又は下段支保工2の上面に対して、この切梁部4のこの延出部4aを上側から組み合わせて組付ける構成である。
この切梁部4は、図9(b)に示すように、この延出部4aをボルト及びナットを用いて簡易に形成することができる。
この切梁部4としては、既存のH字鋼やI字鋼を使用でき、既存材料を流用でき、低コストで汎用性が高い土留支保工を簡易に構築できる。より好ましくは、この切梁部4内にキリンジャッキ40を配置することであり、この切梁部4の長さを適宜伸縮できることとなり、この作業空間Aの規模に応じて最適な固定が可能となる。
このように、伸縮固定可能な第三の長尺部材からなり、対向配置されるこの第一又は第二の長尺部材間に配設され、両端部の上側面から長手方向に延出する延出部4aを有し、この上段及び/又は下段支保工2を補強する切梁部4を備え、この上段及び/又は下段支保工2を形成する際に、この上段及び/又は下段支保工2の上面に対して、この切梁部4のこの延出部4aを上側から組み合わせて組付けることから、切梁部4の上側面から長手方向に延出した形状により、この上段及び/又は下段支保工2の上面に対して、この切梁部4の両端部の延出した上側面を載置するのみで簡易且つ強固に嵌合できることとなり、この上段及び/又は下段支保工2を簡易且つ強固に補強することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態としては、第2の実施形態と同様に、上段支保工1、下段支保工2、上段長辺部材11(第一の長尺部材)及び上段短辺部材12(第二の長尺部材)、下段の下段長辺部材21(第一の長尺部材)及び下段短辺部材21(第二の長尺部材)、支持柱3、上段長辺切欠部11a及び下段長辺切欠部21a(第一の切欠部)、上段短辺切欠部12a及び下段短辺切欠部22a(第二の切欠部)、保持部3aとを備え、さらに、伸縮固定可能な第三の長尺部材からなり、対向配置されるこの第一又は第二の長尺部材間に配設され、両端部の上側面から長手方向に延出する延出部4aを有し、この上段及び/又は下段支保工2を補強する切梁部4を備え、さらに、この切梁部4の数が、この作業空間Aの縦方向の深さ及び/又は横方向の長さに応じて増加する構成である。
この切梁部4の数は、この作業空間Aが広い場合には所定の数増加し、この作業空間Aがより狭い場合には所定の数減少する構成とする。
このように、この切梁部4の数が、この作業空間Aの縦方向の深さ及び/又は横方向の長さに応じて増加する構成であることから、この切梁部4が、この作業空間Aの縦方向の深さ及び/又は横方向の長さに応じて最適に補強がなされることとなり、この作業空間Aの規模が大きいか小さいかに拠らず、強固な土留支保工を構築できる。
1 上段支保工
2 下段支保工
11 上段長辺部材
11a 上段長辺切欠部
11c 上段切欠嵌合穴
11d 上段部材嵌合穴
12 上段短辺部材
12a 上段短辺切欠部
21 下段長辺部材
21a 下段長辺切欠部
21c 下段切欠嵌合穴
21d 下段部材嵌合穴
22 下段短辺部材
22a 下段短辺切欠部
3 支持柱
3b 保持部嵌合穴
4 切梁部
4a 延出部
40 キリンジャッキ
100 軽量矢板
101 緩衝材
102 基礎砕石
103 捨コンクリート
104 ベースコンクリート
105 レバーブロック
200 埋設構造物
300 油圧ショベル
A 作業空間
B 埋設空間
C 周辺空間

Claims (4)

  1. 掘削された空間に埋設構造物を収容する施工時に仮設され、地面から一次掘削された作業空間の全周で、且つより下方に所定深さに軽量矢板が打ち込まれた場合に、当該軽量矢板を内側から支持し、各々一対の第一及び第二の長尺部材から矩形状枠体を形成し、当該矩形状枠体を上下一対に対向配置して構成される上段及び下段支保工と、当該上段及び下段支保工間に当接介装して連結する支持柱とを備え、前記作業空間の下面からさらに二次掘削されて前記埋設構造物が収納される埋設空間を軽量矢板の内側から支持する土留支保工の施工構造であって、
    前記第一の長尺部材の両端部に配設され、当該両端部の上側の半分の面が切欠かれた形状を有する第一の切欠部と、
    前記第二の長尺部材の両端部に配設され、当該両端部の下側の半分の面が切欠かれた形状を有する第二の切欠部と、
    前記支持柱の両端部に配設され、当該両端部の内側面から長手方向に延出し、前記上段及び下段支保工を保持する保持部とを備え、
    前記上段及び下段支保工を形成する際に、前記第一の長尺部材の前記第一の切欠部に対して、前記第二の長尺部材の前記第二の切欠部を上側から組み合わせて組付けることを特徴とする
    土留支保工の施工構造。
  2. 請求項1に記載の土留支保工の施工構造において、
    前記第一及び第二の切欠部が、各々、前記第一及び第二の長尺部材の両端部で着脱自在に構成されることを特徴とする
    土留支保工の施工構造。
  3. 請求項1又は2に記載の土留支保工の施工構造において、
    伸縮固定可能な第三の長尺部材からなり、対向配置される前記第一又は第二の長尺部材間に配設され、両端部の上側面から長手方向に延出する延出部を有し、前記上段及び/又は下段支保工を補強する切梁部を備え、
    前記上段及び/又は下段支保工を形成する際に、前記上段及び/又は下段支保工の上面に対して、前記切梁部の前記延出部を上側から組み合わせて組付けることを特徴とする
    土留支保工の施工構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の土留支保工の施工構造において、
    前記切梁部の数が、前記作業空間の縦方向の深さ及び/又は横方向の長さに応じて増加することを特徴とする
    土留支保工の施工構造。
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