JP3224435U - 杭の圧入及び引き抜き装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動作安定性の向上、更には、作業範囲の拡張、保守費用の低減を実現し得る杭の圧入及び引き抜き装置を提供する。【解決手段】杭の圧入及び引き抜き装置は、機体1側から上下揺動可能に突設されたブーム3の途中位置にウィンチ7を配置し、ブームの先端側にウィンチの動力を伝達する滑車群12を配置し、この滑車群の下部に滑車群により吊持された動滑車17及び地盤19側に圧入された杭21の上端側に係止される係止体22を設けたとともに、ブームと地盤側との間に圧縮方向に作用させる支柱部23を設け、滑車群、動滑車、及び係止体と、支柱部とを前後位置をずらせて別々に並設した構成とし、係止体を杭頭に係脱可能に係止するチャックとし、支柱部を上下方向に伸縮駆可能なジャッキ又はシリンダ等からなるアクチュエータとし、支柱部の下端部にチャック27を設け、圧入された杭の杭頭を係脱可能とし、又は杭頭の上面にチャックの下面を押付け可能とする構成とした。【選択図】図1
Description
本考案は、杭の圧入及び引き抜き装置に関するものであり、詳しくは、特に特許文献2の杭の圧入及び引き抜き装置の構成を改良し、動作安定性の向上、更には、作業範囲の拡張、保守費用の低減を実現し得る杭の圧入及び引き抜き装置に関するものである。
従来、ウィンチを用いて既設の杭を引き抜く装置としては、特開平6−108467号公報(特許文献1)に示されるものが知られており、この装置は、既設の杭頭にチャックを用いて固定できる大型のタワー状機体フレームにウィンチを設け、既設の杭に反力を取りながらチャック付の動滑車で順次杭を引き抜くようにしたものである。
しかし、上記従来技術のものは、大型の引き抜き装置を必要とする他、杭引き抜きの都度の杭抜機の移動と共に杭抜機側を多数のチャックにより既設の杭頭にチャッキングして固定する必要があり、上記移動自体も杭抜機をクレーンにより吊り上げて行う必要がある等の問題があった。
他方、杭の圧入は、一般に騒音発生が避けられない衝撃を与えて打設するものを除けば、油圧やウィンチを用いて圧入するものが知られているが、いずれも圧力入のための反力装置を大重量のものにするか、反力用の杭打ちを特別に行う必要がある等の問題があった。
また、特許文献2には、機体側から上下揺動可能に突設されたブームの先端側に、昇降可能な動滑車を吊持したウィンチと、ブームと地盤側との間に圧縮方向に作用させる支柱とを前後位置をずらせて別々に並設し、上記動滑車側には地盤側に圧入された杭の上端側に係止される係止体を設けて構成した杭の圧入及び引き抜き装置が開示されている。
特許文献2の杭の圧入及び引き抜き装置によれば、在来のバックホー等の建機の簡単な改良により、無振動による杭の圧入や引き抜きが単一の装置で実現できること、圧入や引き抜きに伴う装置の場所移動も容易に行うことができ、特別な杭抜き機やクレーン等の使用が必ずしも必要ないこと、更には、杭の圧入や引き抜きの反力を得るための大型の機体等を必要としないので能率的に作業を遂行することが可能になること等の特徴を有するものである。
しかし、特許文献2の杭の圧入及び引き抜き装置の場合、ブームの先端側にウィンチを配置した構成であることから、この装置の構成要素の重量バランスが良好でなく、この装置による杭の圧入や引き抜き動作時に、装置の後端側が持ち上がる等の不具合が生じ、動作安定性に欠けるという問題を包含している。
本考案は、上記従来の実情に鑑み開発されたものであり、特に特許文献2の杭の圧入及び引き抜き装置の構成を改良し、動作安定性の向上、更には、作業範囲の拡張、保守費用の低減を実現し得る杭の圧入及び引き抜き装置を提供するものである。
本考案に係る杭の圧入及び引き抜き装置は、機体側から上下揺動可能に突設されたブームの途中位置にウィンチを配置し、ブームの先端側にウィンチの動力を伝達する滑車群を配置し、この滑車群の下部に前記滑車群により吊持された動滑車及び地盤側に圧入された杭の上端側に係止される係止体を設け、前記ブームと地盤側との間に圧縮方向に作用させる支柱部を設け、前記滑車群、動滑車、及び係止体と、前記支柱部とを前後位置をずらせて別々に並設したことを最も主要な特徴とする。
請求項1記載の考案によれば、在来のバックホー等の建機の簡単な改良により、無振動による杭の圧入や引き抜きが単一の装置で実現できるほか、圧入や引き抜きに伴う装置の場所移動も容易に行うことができ、特別な杭抜き機やクレーン等の使用が必ずしも必要ない等の利点があり、また、杭の圧入や引き抜きの反力を得るための大型の機体等を必要としないので、能率的にも作業の安全性の面からも優れており、更には、ブームの先端側にウィンチを配置した構成としているので、この装置の構成要素の重量バランスが良好となり、この装置による杭の圧入や引き抜き動作時に、装置の後端側が持ち上がる等の不具合が無くなり、動作安定性に優れ、ブームの先端側が軽量化しているので、ブームの操作性の向上、周辺の物体との衝突回避を実現でき、各要素を無理なく駆動できることによるワイヤロープの耐久性の向上等の保守費用の低廉化も実現できる杭の圧入及び引き抜き装置を実現し提供することができる。
請求項2記載の考案によれば、前記請求項1記載の考案において、前記係止体を杭頭に係脱可能に係止されるチャックにより構成しているので、杭の圧入や引き抜き動作時における当該杭のチャックを効率よく実施できる杭の圧入及び引き抜き装置を実現し提供することができる。
請求項3記載の考案によれば、前記請求項1又は2記載の考案において、前記支柱部を上下方向に伸縮駆可能なジャッキ又はシリンダ等からなるアクチュエータにより構成しているので、支柱部側に把持された杭の圧入を容易に行うことができる杭の圧入及び引き抜き装置を実現し提供することができる。
請求項4記載の考案によれば、前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の考案において、前記支柱部の下端部にチャックを設け、圧入された杭の杭頭を係脱可能とし、又は杭頭の上面に下面を押付け可能な構成としているので、支柱部側における杭のチャックを効率よく実施できる杭の圧入及び引き抜き装置を実現し提供することができる。
請求項5記載の考案によれば、前記請求項1乃至4のいずれか1項に記載の考案において、前記支柱部の下端部に、地盤上に配置された反力部材に当接せしめるアタッチメントを設けた構成としているので、地盤面よりの引き抜き反力を容易に得ることができる杭の圧入及び引き抜き装置を実現し提供することができる。
請求項6記載の考案によれば、前記請求項1乃至5のいずれか1項に記載の考案において、前記滑車群を、ブームに沿って縦並び形態で構成配置しているので、この種の装置の従来におけるブームに対して横並び形態で多滑車が構成配置されているものと対比して、ワイヤロープの繰り出し及び巻き取りを効率よく実施できる杭の圧入及び引き抜き装置を実現し提供することができる。
本考案は、特許文献2の装置と略同様な効果を発揮し得ることに加え、動作安定性の向上、更には、作業範囲の拡張、保守費用の低減を実現し得る杭の圧入及び引き抜き装置を提供するという目的を、機体側から上下揺動可能に突設されたブームの途中位置にウィンチを配置し、ブームの先端側にウィンチの動力を伝達する滑車群を配置し、この滑車群の下部に前記滑車群により吊持された動滑車及び地盤側に圧入された杭の上端側に係止される係止体を設け、前記ブームと地盤側との間に圧縮方向に作用させる支柱部を設け、前記滑車群、動滑車、及び係止体と、前記支柱部とを前後位置をずらせて別々に並設した構成とし、前記係止体を杭頭に係脱可能に係止されるチャックとし、前記支柱部を上下方向に伸縮駆可能なジャッキ又はシリンダ等からなるアクチュエータとし、前記支柱部の下端部にチャックを設け、圧入された杭の杭頭を係脱可能とし、又は杭頭の上面にチャックの下面を押付け可能とする構成により実現した。
以下、図面を参照して、本考案の実施例に係る杭の圧入及び引き抜き装置について詳細に説明する。
本実施例に係る杭の圧入及び引き抜き装置30は、図1に示すように、バックホーの機体1を備え、このバックホーの機体1には上下揺動可能なパワーアーム2と、その先端に揺動可能に取り付けられるブーム3とがそれぞれ設けられ、パワーアーム2及びブーム3はそれぞれ油圧シリンダ4,6とによって上下揺動駆動可能に構成している。
前記機体1は、各種の土木現場で多用されるバックホーに改良を加えたものを用いている。
前記ブーム3の途中位置(前記パワーアーム2との取り付け位置に近い位置)にはワイヤロープ11の繰り出し及び巻き取りを行うウィンチ7を配置している。
前記ブーム3の先端には軸9により支持されたフレーム8を配置し、また、このフレーム8の上部に例えば4連構造で前記ウィンチ7に巻装したワイヤロープ11の繰り出し及び巻き取り誘導用の滑車群(多滑車)12を配置している。
前記滑車群(多滑車)12は、この種の装置の従来においては、装置の杭頭にウィンチが設けられていることから、ブーム3やワイヤロープ11に対して横並び形態で多滑車が構成配置されていたが、本実施例では、前記ブーム3の途中位置にウィンチ7を構成配置していることから、ブーム3やワイヤロープ11に沿って縦並び形態で滑車群(多滑車)12を構成配置(図示せず)している。
また、前記フレーム8にはブラケット14が突設されて後述する動滑車17に巻掛けるワイヤロープ11用のガイド滑車16を軸支している。
更に、前記フレーム8内には、多段式の固定滑車13を軸支している。
前記固定滑車13の下方には、この固定滑車13にも巻掛けるワイヤロープ11を多段に巻き掛けた動滑車17を軸支する滑車フレーム18を配置している。
そして、前記ウィンチ7によるワイヤロープ11の繰り出し、巻き取り操作による長さの長短により滑車フレーム18がブーム3との関係で相対的に昇降駆動されるように構成している。
前記滑車フレーム18の下端部には、地盤19に圧入されている既設の杭(矢板)21の杭頭を係脱可能に係止(把持)する公知のチャックからなる係止体22を設けている。なお、前記チャックは、杭頭を係脱したり、又は杭頭の上面にチャックの下面を押付け可能としたものを用いてもよい。
他方、前記ブーム3の先端より一定間隔を隔てたブーム基端部寄りの位置には、油圧シリンダ(又は油圧ジャッキ)等のアクチュエータからなる支柱部23の上端が、ブラケット24を介して回動可能に且つ下向きに取り付けられ、該支柱部23のロッドの下端には、ロッドエンドを兼ねた補助ロッド26を延設している。
上記補助ロッド26の下端にはチャック27(係止体)を取り付けて、既設の又は新たに圧入される杭21の杭頭を係脱自在に係止(把持)したり、杭頭の上面にチャック27の下面を押付けたりできるようにしている。
次に、本実施例に係る杭の圧入及び引き抜き装置30による杭21の引き抜き動作について、図1を参照して説明する。
本実施例に係る杭の圧入及び引き抜き装置30による杭21の引き抜きは、多数隣接して圧入されている杭21の前端側の杭21aの上端に、前記チャック22を係止させるとともに、その後方側の杭21bの杭頭に支柱部23側のチャック27を係止させ又は杭頭の上面にチャック27の下面を押付け、前記ウィンチ7を回転駆動させて滑車フレーム18を杭21aとともに吊り上げる。
この動作によって、既設の杭21b及びその後方の隣接杭より得られる反力(注:隣接杭は互いに隣接端において嵌合し合っており、引き抜き杭より引抜抵抗を備えている)により、杭21aが抜き取られる。
このような抜き取り作業を繰り返し、順次後方の隣接杭21に移動させながら最後部の杭を1本だけ残す形で残りの杭を抜き取る。
図2は本実施例装置により、杭21の圧入を行う場合の例を示し、この場合は当初の1〜3本程度の杭21を予め在来の油圧又はバイブレーションハンマー等により圧入しておく。次いで、圧入済みの杭21の杭頭に滑車フレーム18側のチャック22を係止するとともに、その後方に隣接すべき杭を立て、その杭頭に支柱部23のチャック27を係止した状態、又は杭頭の上面にチャック27の下面を押付けた状態で前記ウィンチ7による巻き取り作業を行うことにより、ブーム3を下降させて、この下降とともに支柱部23側に把持された杭21を圧入することができる。
更に、前記ウィンチ7の巻き取り作業と併せて、また、これとは別に油圧シリンダ(支柱部)23を伸長させることにより、ワイヤロープ11の張力を反力として杭21を圧入することも可能である。
図3は、別の実施例を示すものであり、前記チャック27の代わりに補助ロッド26の下端に当接用のアタッチメント27′を設けた構成とし、前記アタッチメント27′を地盤上に置かれた反力部材28(H鋼,枕木,板材等いずれでもよい)に当接させることによって地盤面より引き抜き反力を得るようにしている。
この別の実施例では、杭21の上端が地盤中に掘削された溝29内にあり、反力部材28はその溝29上に差し渡されている。
また、図1に示す場合の最後に残された1〜2本の杭21も同様の原理で抜き取ることができるが、この場合には必ずしも溝29を必要とする訳ではなく、またプレート状としたアタッチメント27′とチャック27とを着脱交換可能にしておくことにより、現場情況に応じていずれかの方法を選択することもできる。
本実施例に係る杭の圧入及び引き抜き装置30によれば、在来のバックホー等の建機の簡単な改良により、無振動による杭21の圧入や引き抜きが単一の装置で実現できるほか、圧入や引き抜きに伴う装置の場所移動も容易に行うことができ、特別な杭抜き機やクレーン等の使用が必ずしも必要ない等の利点がある。
また、杭21の圧入や引き抜きの反力を得るための大型の機体等を必要としないことから、能率的にも作業の安全性の面からも優れている。
更には、ブーム3の途中にウィンチ7を配置した構成としているので、この装置の構成要素の重量バランスが良好となり、この装置による杭21の圧入や引き抜き動作時に、装置の後端側が持ち上がる等の不具合が無くなり、動作安定性に優れ、また、ブーム3の先端側が軽量化しているので、ブーム3の操作性の向上、周辺の物体との衝突回避を実現でき、各要素を無理なく駆動できることによるワイヤロープ11の耐久性の向上等の保守費用の低廉化も実現できる。
本考案の杭の圧入及び引き抜き装置は、機体としてバックホーの機体を利用する場合の他、ショベルカー等の他の作業機械の機体を利用する構成として広範に応用可能である。
1 機体
2 パワーアーム
3 ブーム
4 油圧シリンダ
6 油圧シリンダ
7 ウィンチ
8 フレーム
9 軸
11 ワイヤロープ
12 滑車群
13 固定滑車
14 ブラケット
16 ガイド滑車
17 動滑車
18 滑車フレーム
19 地盤
21 杭
21a 杭
21b 杭
22 チャック(係止体)
23 支柱部
24 ブラケット
26 補助ロッド
27 チャック(係止体)
27′ アタッチメント
28 反力部材
29 溝
30 杭の圧入及び引き抜き装置
2 パワーアーム
3 ブーム
4 油圧シリンダ
6 油圧シリンダ
7 ウィンチ
8 フレーム
9 軸
11 ワイヤロープ
12 滑車群
13 固定滑車
14 ブラケット
16 ガイド滑車
17 動滑車
18 滑車フレーム
19 地盤
21 杭
21a 杭
21b 杭
22 チャック(係止体)
23 支柱部
24 ブラケット
26 補助ロッド
27 チャック(係止体)
27′ アタッチメント
28 反力部材
29 溝
30 杭の圧入及び引き抜き装置
Claims (6)
- 機体側から上下揺動可能に突設されたブームの途中位置にウィンチを配置し、ブームの先端側にウィンチの動力を伝達する滑車群を配置し、この滑車群の下部に前記滑車群により吊持された動滑車及び地盤側に圧入された杭の上端側に係止される係止体を設けたとともに、
前記ブームと地盤側との間に圧縮方向に作用させる支柱部を設け、
前記滑車群、動滑車、及び係止体と、前記支柱部とを前後位置をずらせて別々に並設したことを特徴とする杭の圧入及び引き抜き装置。 - 前記係止体が、杭頭を係脱可能に係止するチャックである請求項1記載の杭の圧入及び引き抜き装置。
- 前記支柱部が、上下方向に伸縮駆可能なジャッキ又はシリンダ等からなるアクチュエータからなる請求項1又は2に記載の杭の圧入及び引き抜き装置。
- 前記支柱部の下端部にチャックを設け、圧入された杭の杭頭を係脱可能とし、又は杭頭の上面にチャックの下面を押付け可能とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の杭の圧入及び引き抜き装置。
- 前記支柱部の下端部に、地盤上に配置された反力部材に当接せしめるアタッチメントを設けてなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の杭の圧入及び引き抜き装置。
- 前記滑車群は、前記ブームに沿って縦並び形態で構成配置されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の杭の圧入及び引き抜き装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019003763U JP3224435U (ja) | 2019-10-04 | 2019-10-04 | 杭の圧入及び引き抜き装置 |
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JP2019003763U JP3224435U (ja) | 2019-10-04 | 2019-10-04 | 杭の圧入及び引き抜き装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2019003763U Active JP3224435U (ja) | 2019-10-04 | 2019-10-04 | 杭の圧入及び引き抜き装置 |
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2019
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