JPH0827790A - 打撃ハンマ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】地盤の性質の変化に対して杭の打撃エネルギー
が適正に調整でき、かつ空打ちによる油圧ハンマの破損
の恐れを無くすると共に、騒音の問題を緩和でき、さら
に、打撃ハンマの重量増加により圧入力を得る場合のよ
うな杭の重量制限を受けない打撃ハンマ装置を提供す
る。 【構成】杭打機本体１に保持されたリーダ３に上下動自
在に装着した打撃ハンマ６を杭５に載せ、該打撃ハンマ
６のフレーム７に上下動自在に装着されたラム１３を持
ち上げ、落下させることにより、杭の打込みを行う。杭
打機本体１に搭載されたアクチュエータ１７と、該アク
チュエータ１７と打撃ハンマ６とを連結し、アクチュエ
ータ１７により引張られて打撃ハンマ６に杭の圧入力を
付与するワイヤロープ１６等の動力伝達手段とを設け
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、杭打機に取付けられて
杭の打込み作業を行う油圧ハンマ、ドロップハンマ等の
打撃ハンマ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５は従来の油圧ハンマを取付けた杭打
機全体を示す側面図、図６はその油圧ハンマの縦断面図
である。図５に示すように、該杭打機は下部走行体１ａ
上に旋回装置１ｂを介して上部旋回体１ｃを設置するこ
とにより杭打機本体１を構成し、該上部旋回体１ｃの前
部に備えたブラケット２にリーダ３を起伏自在に取付
け、左右一対のバックステー４によりリーダ３を直立に
支持する。６は杭５を地中に打込むための油圧ハンマで
あり、該油圧ハンマ６は筒状をなすフレ−ム７に設けた
ガイドギブ８を前記リーダ３の前面に沿わせて取付けた
ガイドレール９に摺動自在に係合させる。一方、前記上
部旋回体１ｃに搭載したウインチ１０に巻取り繰り出し
されるワイヤロープ１１は、リーダ３の頂部に設けたシ
ーブ１２に掛け回し、該フレ−ム７の上端のブラケット
７ａに接続する。これにより、該ウインチ１０を操作し
てワイヤロープ１１を巻上げ、繰り出すことにより、該
油圧ハンマ６が前記リーダ３に沿って昇降する。

【０００３】図６に示すように、該油圧ハンマ６は前記
フレ−ム７内に鉄塊でなるラム１３を上下動自在に装着
し、該ラム１３の上部に油圧シリンダ１４のロッド１４
ａの先端を連結し、該油圧シリンダ１４のチューブ側ブ
ラケット１４ｂをフレ−ム７の内側上端に設けたブラケ
ット７ｂにピン付けしている。１５は木材及び鉄鋼等で
なる緩衝用キャップであり、該キャップ１５は落下しな
いように弛ませたロープ（図示せず）等を介してフレ−
ム７の下部に取付けられ、杭打ち作業時に杭５の頭部に
被せる。

【０００４】該油圧ハンマ６を装着した杭打機による杭
５の打込み作業は、前記ウインチ１０を作動させ、油圧
ハンマ６をリーダ３に沿って昇降させて杭５の上に載せ
る。そして、前記油圧シリンダ１４を収縮させて前記ラ
ム１３を持ち上げ、油圧力を開放することにより該ラム
１３を自由落下させるか、または油圧シリンダを油圧に
より伸長させて付勢落下させ、該ラム１３で杭５の頭部
をキャップ１５を介して打撃する動作を繰り返すことに
より杭５を打込む。該油圧ハンマ６は杭５を打撃中、杭
５の地中への貫入と共に降下するので、前記ワイヤロー
プ１１が張って油圧ハンマ６が吊られた状態にならない
ように、作業者は前記ウインチ１０のブレーキを緩めて
ワイヤロープ１１が常に弛んだ状態となるように繰り出
しながら杭打ち作業を行う。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記油圧ハン
マ６等の打撃ハンマによる打撃工法においては、杭５を
適正な貫入量で打ち込むために、地盤の硬さに合わせて
ラム１３の落下高さを調整（図６に示すようにラム１３
が降下した状態からラム１３を引き上げる高さの調整
を、タイマ等により油圧シリンダ１４のコントロール弁
の切換え時間を調整して行う）してラム１３の落下エネ
ルギー（衝撃力）の大きさを決めることが必要である
が、地盤の硬さが掘削箇所や深さによって変化する等の
理由により、地盤の硬さにラムの落下高さを適正に調整
することが困難であった。そして、軟弱地盤において、
落下エネルギーが大き過ぎるように調整された場合に
は、杭５の貫入量が急増して前記作業者のウインチ１０
のブレーキ操作によるワイヤロープ１１の繰り出しが追
従できず、油圧ハンマ６がワイヤロープ１１で吊られ、
キャップ１５が杭５から外れた状態になる。この状態で
前記ラム１３を落下させると、該ラム１３がキャップ１
５を空打ちしてキャップ１５を傷めると同時に、その衝
撃力が前記油圧シリンダ１４およびフレーム７にかかっ
て油圧ハンマ６を破損させる恐れがあるという問題点が
あった。

【０００６】また、硬質地盤等において、ラム１３の落
下エネルギーを大きくして作業を行わなければならない
場合、打撃音も大きくなるため、騒音発生の面から市街
地において作業時間が制限されるかあるいは作業が行え
ないという問題点があった。

【０００７】これらの問題点を解決するために、ラム１
３の落下エネルギーを小さくし、代わりに油圧ハンマ６
の前記フレーム７やキャップ１５を重くすることにより
杭５に圧入力を増大させて杭を打込む方法がある。しか
し、杭打ち作業においては、杭の油圧ハンマ６へのウイ
ンチ（このウインチは図示していない）による吊り込み
作業を行う必要があり、この杭の重量が油圧ハンマ６の
重量に加算されて杭打機本体１にかかるので、油圧ハン
マ６に杭５の重量を加えたトータルの重量は、杭打機の
転倒を防止する上で限界があり、油圧ハンマ６の重量を
増加させると、その増加分だけ、施工できる杭５の重量
が減少してしまう（例えば油圧ハンマ６と杭５のトータ
ルの制限重量が１５ｔの場合、油圧ハンマ６の重量が１
０ｔのものを１２ｔに増大させると、施工可能な杭５の
重量は５ｔから３ｔに減少することになる）という問題
点がある。

【０００８】本発明は、上述のような問題点に鑑み、地
盤の性質の変化に対して杭の打撃エネルギーが適正に調
整でき、かつ空打ちによる油圧ハンマの破損の恐れを無
くすると共に、騒音の問題を緩和でき、さらに、打撃ハ
ンマの重量増加により圧入力を得る場合のような杭の重
量制限を受けない打撃ハンマ装置を提供することを目的
とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、杭打機本体に保持されたリーダに上下動自
在に装着した打撃ハンマを杭に載せ、該打撃ハンマのフ
レームに上下動自在に装着されたラムを持ち上げ、落下
させることにより、杭の打込みを行う杭打機において、
杭打機本体に搭載されたアクチュエータと、該アクチュ
エータと打撃ハンマとを連結し、アクチュエータにより
引張られて打撃ハンマに杭の圧入力を付与するワイヤロ
ープ等の動力伝達手段とを設けたことを特徴とする。

【００１０】

【作用】本発明は上述の構造を有するので、アクチュエ
ータを作動させて動力伝達手段を引張ることにより、該
動力伝達手段を介して杭打機の重量が打撃ハンマにかか
り、これにより発生する圧入力と杭の頭部を打撃するラ
ムの落下エネルギーとにより杭が地中へ打込まれる。

【００１１】

【実施例】図１は本発明による打撃ハンマ装置の一実施
例を設けた杭打機全体を示す側面図であり、打撃ハンマ
として油圧ハンマを用いた例を示すものである。図１に
示すように、動力伝達手段として設けたワイヤロープ１
６を引張るアクチュエータとして油圧シリンダ１７を杭
打機本体１に取付け、ワイヤロープ１６の一端を該油圧
シリンダ１７のロッド１７ａに連結し、前記ブラケット
２の上面に設けたシーブ２０および該ブラケット２に突
出させて固定したブラケット１９の先端のシーブ２１に
掛け回して油圧ハンマ６のフレーム７に設けたロープ止
め具１８に接続する。ワイヤロープ１６やシーブ２０、
２１およびロープ止め具１６は、油圧ハンマ６の左右に
それぞれ１組ずつ設けるか、あるいは１組設ける。

【００１２】本例において、前記同様に油圧ハンマ６を
杭５の頭部に載せ、杭５の打込み作業を行う場合、前記
油圧シリンダ１７を収縮させてワイヤロープ１６を引張
ると油圧ハンマ６が下方に引張られる。そして、油圧ハ
ンマ６は杭５の上に載っているので、該引張り力は杭５
に圧入力として作用する。また、油圧シリンダ１７は杭
打機本体１に取付けられているので、油圧ハンマ６は杭
打機を引張ることになり、杭打機の重量が圧入力として
杭５に作用する。これにより、前記ラム１３の打撃によ
る落下エネルギーとは別に、前記油圧シリンダ１７を収
縮させることにより発生する圧入力が杭５に作用する。

【００１３】このように、該油圧シリンダ１７による圧
入力とラム１３の落下エネルギーとにより杭５の打込み
を行うことにより、例えば、軟弱地盤における作業の場
合は、油圧ハンマ６のラム１３の落下高さを前記タイマ
等により最小に調整して前記落下エネルギーを最小にし
ておき、前記油圧シリンダ１７により圧入力を加えて杭
５を貫入する。これにより、過大な落下エネルギーによ
る杭５の急激な貫入量増大を防止でき、前記作業者のウ
インチ１０のブレーキ操作によるワイヤロープ１１の繰
り出しが油圧ハンマ６の降下量に追従でき、ラム１３に
よるキャップ１５の空打ちを防止して油圧ハンマ６の破
損を防止することができる。また、硬質地盤の場合は、
落下エネルギーを上げ、かつ圧入力を加えることによ
り、従来より硬度の高い地盤に杭打ち可能となる。

【００１４】また、地盤硬度が同じであれば、ラム１３
の落下エネルギーを前記圧入力で補うことにより、ラム
１３の落下高さを低くできるので、打撃騒音を低減で
き、かつ、時間当たりの打撃回数を多くすることができ
て施工能率を向上させることができる。

【００１５】また、油圧ハンマ６の重量は変わらないの
で、杭打機の安定性が損なわれることがなく、油圧ハン
マの重量を増加させて圧入力を得る従来方法のような杭
５の重量制限を受けない。また、油圧ハンマの重量を増
加させた場合に必要なクレーンやトレーラの変更がない
ので、油圧ハンマ６の組立、分解等の段取りは従来と同
様に行うことができる利点がある。

【００１６】さらに、図２に示すように、油圧源２２、
コントロール弁２３からなる油圧シリンダ１７の油圧回
路において、油圧シリンダ１７に圧油を供給する管路２
４と油タンク２５との間に可変リリーフ弁２６等の圧入
力調整手段を設けて運転室１ｄに備えた操作装置２７に
よって制御することにより、油圧シリンダ１７の収縮に
よる前記圧入力を調整可能とすれば、杭５の大きさを変
える場合や地盤硬度の度合に応じて圧入力を適正に調整
でき、また、杭の打込み作業中に変化した場合において
も、これに対応させて杭５の貫入量を適正にでき、施工
性を向上させることができる。また、図示のように可変
絞り弁２８を設けて操作量に比例した流量が得られるよ
うにして降下速度の調整が行えるようにしてもよい。

【００１７】図３（Ａ）は本発明による打撃ハンマ装置
の他の実施例を示す図１相当図、同（Ｂ）は（Ａ）の拡
大Ｚ矢視図である。図３（Ａ）に示すように、本例は前
記ワイヤロープ１６を引張るアクチュエータとしてウイ
ンチ３０を杭打機本体１に搭載し、油圧ハンマ６のフレ
ーム７の両側面にシーブ３１を取付け、前記ブラケット
１９の先端には前記シーブ３２、３３を設け、ウインチ
３０に巻取り繰り出しされる２本のワイヤロープ１６
を、左右のシーブ２０、３２、３１、３３に順次掛け回
して終端を前記ロープ止め具１８に接続したものであ
る。

【００１８】本例によれば、ワイヤロープ１６を図１に
示す経路で連結する場合と比較してアクチュエータ（ウ
インチ３０）の出力に対応する圧入力を増大させること
ができる。

【００１９】図３においては、油圧ハンマ６側のシーブ
３１をフレーム７に取付けたが、図４に示すように、キ
ャップ１５にこのシーブ３１を取付けてもよい。また、
図３、図４に示す例において、前記シーブ３１を掛け回
したワイヤロープ１６の終端を前記ブラケット１９に接
続する構造としてもよい。

【００２０】また、アクチュエータ１７、３０の力を油
圧ハンマ６に伝達する手段としては、ワイヤロープ１６
の他に、ベルトやチェーンを用いることも可能であり、
また、図３で示したようなシーブ３１〜３３間のワイヤ
ロープ１６の引き回しによる圧入力の増大手段ではな
く、引き込み量の増大手段をアクチュエータ１７、３０
と油圧ハンマ６との間に設けても良い。

【００２１】

【発明の効果】請求項１によれば、ラムの打撃による落
下エネルギーのみならず、アクチュエータ作動により打
撃ハンマを介して杭に圧入力を加えて杭の打込みを行う
ので、軟弱地盤の場合に、落下エネルギーを小さくで
き、過大な落下エネルギーによる杭の急激な貫入量増大
を防止できる。これにより、ラムによるキャップの空打
ちを防止して打撃ハンマの破損を防止することができ
る。また、硬質地盤の場合は、落下エネルギーを上げ、
かつ圧入力を加えることにより、従来より硬度の高い地
盤に対して杭打ちが可能となる。また、ラムの落下エネ
ルギーを前記圧入力で補うことにより、ラム１３の落下
高さを従来より低くできるので、打撃騒音を低減でき、
かつ、時間当たりの打撃回数を多くすることができて施
工能率を向上させることができる。

【００２２】また、打撃ハンマの重量は増加させる必要
がないので、杭打機の安定性が損なわれることがなく、
打撃ハンマの重量を増加させることにより圧入力を得る
従来方法のような杭の重量制限を受けない。また、打撃
ハンマの重量を増加させた場合に必要なクレーンやトレ
ーラの変更がないので、打撃ハンマの組立、分解等の段
取りは従来と同様に行うことができる利点がある。

【００２３】さらに、アクチュエータにより圧入力を付
与することとした場合、油圧ハンマの重量増加により圧
入力を付与する場合に比較し、アクチュエータによる場
合は圧入力を容易に変えることが可能であり、杭を地中
へ打込む力を変化させることができるので、杭の大きさ
を変える場合や地盤硬度に応じて圧入力を適正に調整で
き、また、地盤硬度が杭の打込み作業中に変化した場合
においても、これに対応させて杭の貫入量を適正にで
き、施工性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による打撃ハンマ装置の一実施例を設け
た杭打機全体を示す側面図である。

【図２】図１の油圧ハンマの油圧回路である。

【図３】（Ａ）は本発明による打撃ハンマ装置の他の実
施例を示す図１相当図、（Ｂ）は（Ａ）の拡大Ｚ矢視図
である。

【図４】本発明による打撃ハンマ装置の他の実施例の油
圧ハンマを示す断面図である。

【図５】従来の油圧ハンマを取付けた杭打機全体を示す
側面図である。

【図６】従来の油圧ハンマの縦断面図である。

【符号の説明】

１：杭打機本体、３：リーダ、５：杭、６：油圧ハン
マ、７：フレーム、１３：ラム、１５：キャップ、１
６：ワイヤロープ、１７：油圧シリンダ、１８：ロープ
止め具、１９：ブラケット、２０，２１，３１〜３３：
シーブ、３０：ウインチ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】杭打機本体に保持されたリーダに上下動自
   在に装着した打撃ハンマを杭に載せ、該打撃ハンマのフ
   レームに上下動自在に装着されたラムを持ち上げ、落下
   させることにより、杭の打込みを行う杭打機において、
   杭打機本体に搭載されたアクチュエータと、該アクチュ
   エータと前記打撃ハンマとを連結する動力伝達手段とを
   備え、前記アクチュエータにより前記動力伝達手段を介
   して前記打撃ハンマが引張られて杭に圧入力を付与する
   ように構成したことを特徴とする打撃ハンマ装置。