JP3222352B2 - 多層無機質発泡体およびその製法 - Google Patents
多層無機質発泡体およびその製法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多層無機質発泡体および
その製法に関する。さらに詳しくは、軽量で優れた断熱
性、不燃性、化粧性を有する多層無機質発泡体およびそ
の製法に関する。 【0002】 【従来の技術】無機質発泡体は、軽量であり、断熱性、
不燃性に優れているため建築材料として用いられている
が、その表面がポーラスであり、しかも脆弱であるた
め、剥離しやすく、汚れが付着しやすかった。そのた
め、従来の無機質発泡体としては、多孔質無機質骨材に
ガラス質の焼結剤と該焼結剤を発泡させる発泡剤とをそ
れぞれ混合し、付着してなる基材層上に、表面材層を積
層し、焼成一体化してなるものが提案されている(特開
平3−279278号公報参照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記多
孔質無機質骨材に混合されるガラス質の焼結剤は、該骨
材より粒径の小さい粒状体であり、しかも粒が小さくて
もガラス質のため重量が重いことから、ホッパーから落
下させて、堆積し、基材層を形成する際に、ガラス質の
焼結剤が骨材から分離脱落したり、または無機発泡性原
料において前記ガラス質の焼結剤が偏在し局部的にガラ
ス質の焼結剤が存在するためその部分が早く溶融し泡の
とり込みが多く、過発泡状態となり、強度が低く、バラ
ツキ、脆くなる。また、前記ガラス質の焼結剤を粉体と
し、無機発泡性原料とともに基材に混合し、付着させて
も前述と同様に分離しやすい。そのため、基材層中に発
泡する部分と発泡しない部分とが形成され、基材層が不
均質になるとともに、該基材層上に積層される化粧層が
不均一になるため、焼成一体化したのちの無機質発泡体
は、極部的に強度の弱い部分を生じ、クラックなどが生
じやすいとともに、厚さが安定しにくいという問題点が
ある。 【0004】本発明は、叙上の事情に鑑み、表面がなめ
らかで、しかも厚さが均一で安定した多層無機質発泡体
を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の多層無機質発泡
体は、粒径が0.5〜3mmである多孔質無機質の軽量
骨材に、ソーダ石灰ガラスを主成分とするけい酸含有物
質および発泡剤を含む粉末を混合粉砕してなる、粒度1
50μm以下の無機質発泡性粉末をコーティングしたも
のからなる基材層と、該基材層上に積層される化粧層と
からなることを特徴としている。 【0006】また粒径が0.5〜3mmである多孔質無
機質の軽量骨材と、ソーダ石灰ガラスを主成分とするけ
い酸含有物質および発泡剤を含む粉末を混合粉砕してな
る、粒度150μm以下の無機質発泡性粉末とを混合し
てなる基材層と、該基材層上に積層される化粧層とから
なることを特徴としている。 【0007】本発明の多層無機質発泡体の製法は、粒径
が0.5〜3mmである多孔質無機質の軽量骨材に、ソ
ーダ石灰ガラスを主成分とするけい酸含有物質および発
泡剤を含む粉末を混合粉砕してなる、粒度150μm以
下の無機質発泡性粉末をコーティングしたものからなる
基材層上に化粧層を積層し、えられた積層体を加熱して
溶化一体化させることを特徴としている。 【0008】また粒径が0.5〜3mmである多孔質無
機質の軽量骨材と、ソーダ石灰ガラスを主成分とするけ
い酸含有物質および発泡剤を含む粉末を混合粉砕してな
る、粒度150μm以下の無機質発泡性粉末とを混合し
てなる基材層上に化粧層を積層し、えられた積層体を加
熱して溶化一体化させることを特徴としている。 【0009】 【作用】本発明の多層無機質発泡体の製法によれば、ソ
ーダ石灰ガラスを主成分とするけい酸含有物質および発
泡剤を含む原料を予め焼成温度にて発泡するように混
合、粉砕してなる無機質発泡性粉末を粒径が0.5〜3
mmである軽量骨材に混合し、基材層としているため、
基材層を形成する際に、無機発泡性原料の成分の分離を
生じないため、均質な基材層を堆積させることができ
る。その結果、表面が稠密で厚さが均一な多層無機質発
泡体をうることができる。 【0010】 【実施例】以下、本発明の多層無機質発泡体およびその
製法を説明する。 【0011】本発明の多層無機質発泡体は、粒径が0.
5〜3mmである多孔質無機質の軽量骨材に、ソーダ石
灰ガラスを主成分とするけい酸含有物質および発泡剤を
含む粉末を混合粉砕してなる、粒度150μm以下の無
機質発泡性粉末をコーティングしたものからなる基材層
と、該基材層上に積層される化粧層とから構成されてい
る。 【0012】または粒径が0.5〜3mmである多孔質
無機質の軽量骨材と、ソーダ石灰ガラスを主成分とする
けい酸含有物質および発泡剤を含む粉末を混合粉砕して
なる、粒度150μm以下の無機質発泡性粉末とを混合
してなる基材層と、該基材層上に積層される化粧層とか
ら構成されている。 【0013】前記多孔質無機の軽量骨材としては、真珠
岩を急膨張させてえられるパーライト粒子や黒曜岩を急
膨張させてえられるフヨーライト粒子やシラスを急膨張
させてえられるシラスバルーンなどを用いることができ
るが、これらは粒強度が弱いため、ソーダ石灰ガラスを
主成分として、可塑剤および発泡剤などを添加し、予め
発泡させたガラス発泡体を粉砕したものを用いるのが好
ましい。ソーダ石灰ガラスは、板ガラスやビンガラスな
ど大量生産されているもの、とくに廃棄物を有効利用し
たものを用いるのが資源の有効利用という観点より好ま
しい。 【0014】前記軽量骨材は、軽量化を図り、断熱性を
高めるとともに、焼成時に必要以上のガス放出により積
層される化粧層の表面に凹凸ができるのを防ぎ、なめら
かな仕上げ面や安定した厚みをうるために使用するもの
である。そして、軽量骨材の粒径は、通常0.1〜8m
m程度であるが、前記無機質発泡性粉末が軽量骨材の粒
間の隙間を埋めるとともに、焼成により溶融発泡し、粒
間を安定的に接合させ、吸水性が防止し、しかも安定し
て強度がえられるように、0.5〜3mm程度とするの
が好ましい。 【0015】前記無機質発泡性原料における主要成分で
あるけい酸含有物質の具体例としては、天然に産出する
火成岩や、火山灰などの硅酸質土や、ソーダ石灰ガラス
などをあげることができる。また発泡剤としては、ベン
ナイト、ドロマイト、炭化珪素、炭酸マグネシウム、炭
酸カルシウムなどを用いることができる。この無機質発
泡性粉末には、発泡剤以外に、可塑剤や焼成温度を調整
するため融剤を混合してもよい。無機質発泡性粉末の粒
度または粒径は、均質な発泡をうるため150μm以下
である。そして、好ましくは50μm以下である。 【0016】稠密な発泡をうるためには、火成岩、火山
灰などに融剤、発泡剤を添加するよりは、前記ソーダ石
灰ガラスを主成分とするのが好ましい。なお、ソーダ石
灰ガラスを主成分とする理由は、焼成炉として耐熱ステ
ンレスメッシュベルトを架設したメッシュベルトキルン
を用いるばあい、該ステンレスメッシュベルトの耐熱性
温度が1000℃程度であるため、ほとんど融剤が不要
であり、また一度焼成された原料であり、水溶成分の溶
出が非常に少なくなるため、安定した高強度の発泡層が
えられるからである。また前記軽量骨材に強度の高いガ
ラス材、たとえばGライト(商品名、サンライト(株)
製)や無機質発泡性粉末の主成分(ソーダ石灰ガラス4
0%以上)のソーダ石灰ガラスを用いるばあい、そのガ
ラス材より軟化点(融点)が同等以下、かつ熱膨張率が
同程度であるため、焼成により非常にクラック、反りな
どが生じにくく安定した多層無機質発泡体をうることが
できる。 【0017】前記可塑剤としては、粘度、ベントナイト
などを用いることができる。また融剤としては、一般に
安価なソーダ灰、硝酸ソーダなどを用いることができ
る。かかる融剤の使用量は、いずれも水溶性物質である
ため、軽量骨材に添加する水分で溶出し、発泡が不均質
となることから、極力少量にする必要があり、できれば
5%(重量%、以下同様)以下にする必要がある。 【0018】基材層の原料は、たとえば0.1〜8mm
の軽量骨材に水を添加するか、または粘結剤(たとえ
ば、PVA、水ガラスなど)を水溶液に溶かしたバイン
ダーを添加し、ミキサーなどで混合して前記軽量骨材を
湿らせたのち、無機質発泡性原料と混合し、軽量骨材の
表面にコーティングさせてえられる。なお、前記コーテ
ィングにかえて、混合させたものでもよい。また基材層
の組成比は、軽量骨材1重量部に対し、無機質発泡性原
料0.05〜3重量部であり、好ましくは0.1〜1.
5重量部である。その理由は、0.05重量部未満であ
れば、軽量骨材同士の結合力が弱く、3重量部をこえる
と、発泡性原料と軽量骨材とが分離を生じ、安定した製
品をうることが困難になるからである。 【0019】前記化粧層は、無機着色顔料などを配合し
たガラス質層である。この原料としては、ガラス、フリ
ットなどの粉末や造粒物や破砕粒などが用いられるが、
均一に積層し、安定した化粧層をうるためには、粒状物
が好ましい。また化粧層の原料は、発泡または非発泡に
限定されるものではなく、用途や意匠に応じて適宜選定
することができる。 【0020】本発明の多層無機質発泡体の一製法として
は、メッシュベルトキルンのメッシュベルト上に予め調
製しておいた基材層、および化粧層の原料を各ホッパー
から順次積層し、えられた積層体を焼成炉へメッシュベ
ルトにより搬送し、焼成一体化させる方法をあげること
ができる。この製法のばあい、焼成の最高温度が100
0℃程度、できれば900℃以下で連続的に生産するこ
とが、焼成炉の耐熱性から好ましい。 【0021】前記製法の焼成温度条件により、品質的に
安定した多層無機質発泡体をうるためには、軽量骨材お
よび無機質発泡性粉末の主成分として40%以上配合し
たソーダ石灰ガラスを用いるのが好ましい。その理由
は、40%未満では融剤を多量に必要とし、融剤の分離
を生じやすく、発泡が不安定となるため、強度のバラツ
キが大きく、かつ厚さも不安定であり、表面の平滑性も
えられにくくなるからである。 【0022】本発明の多層無機質発泡体は、前記基材層
と化粧層とのあいだに、たとえば無機質粒状物からなる
中間層を介在させることができる。 【0023】中間層の無機質粒状物としては、ガラス
粒、該焼成品の破粋粒などを用いることができる。 【0024】前記中間層は、基材層の表面凹部を埋めて
平滑にしたり、基材層と化粧層の熱膨張差が大きいばあ
いの応力緩和層となり、より安定した多層無機質発泡体
をうることができる。したがって、中間層は、基材層よ
り熱膨張率を同等またはそれ以下とし、化粧層に引張り
力を生じさせず、化粧層にクラックを生じにくくするこ
とで、さらに粒状物質のように収縮が少なく基材層の凹
凸を吸収するものが好ましい。そのため、前記中間層の
熱膨張率は、基材層と化粧層との中間または同程度に位
置する熱膨張率であるのが好ましい。 【0025】つぎに本発明の多層無機質発泡体を実施例
に基づき説明するが、本発明はもとよりかかる実施例に
のみ限定されるものではない。 【0026】実施例1無機質発泡性粉末の調製 ビンガラス粉80%、ベントナイト5%、硝酸ソーダ1
%、ソーダ灰5%、白土9%からなる配合原料を50k
g製造し、これを10mmφのスチールボールとともに
ポットミルに投入し、10時間混合粉砕して、平均粒度
10μmの無機質発泡性粉末をえた。 【0027】基材層原料の調製 粒径0.5〜3mmのガラス発泡骨材(サンライト
(株)のGライト(商品名))に4%PVA液を8%噴
霧したあとアイリッヒミキサーに投入し、均一に湿らし
たのち、前記無機質発泡性粉末を骨材に対して30%投
入し、コーティング粒をえた。 【0028】化粧層原料の調整 板ガラス粉94%、硼砂1%、ベントナイト5%および
M66(商品名、日陶産業(株)製の桃色顔料)3%
(外掛け)からなる配合原料を50kg製造し、これを
10mmφのスチールボールとともにポットミルに投入
し、10時間混合粉砕した。えられた化粧粉をパン型造
粒機により造粒し、粒径1〜2.5mmの造粒物をえ
た。 【0029】焼成 以上のように調製した基材層および化粧層の原料を用い
て積層体を作り、これを焼成して溶化一体化せしめて多
層無機質発泡体をえた。 【0030】焼成としては、搬送用に耐熱メッシュベル
トを架設した全長39mのトンネルキルンの焼成炉を用
いた。巾1mのメッシュベルト上に離型材としてアルミ
ナを塗布し、その上に基材層原料を15mmの厚さとな
るように均一にチャージし、その上に化粧層原料を厚さ
4mmとなるように積層した。えられた積層体を予熱帯
に搬送し、その後順に焼成帯、急冷帯、徐冷帯、冷却帯
と通過させて炉出口より搬出した。 【0031】なお、焼成温度は850℃であった。メッ
シュベルトの移動速度は25cm/分であり、炉に入れ
て炉から出るまでの所要時間は160分であった。 【0032】実施例2 前記実施例1の基材層と化粧層とのあいだに中間層を積
層させる以外は、実施例1と同様とした。 【0033】中間層原料は、ビンガラスを粉砕し、粒径
0.5〜1.5mmの粉砕粒に調製したものを用いた。
つぎに基材層、中間層および化粧層を順次積層し、これ
を焼成して一体化せしめて多層無機質発泡体をえた。 【0034】以上よりえられた多層無機質発泡体の外観
を観察したところ、実施例1および実施例2はともに、
その表面が稠密で、厚さが均一な多層無機質発泡体であ
ることがわかった。また強度も優れていることが確認さ
れた。 【0035】 【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の多層無機
質発泡体においては、ソーダ石灰ガラスを主成分とする
けい酸含有物質および発泡剤を一体に混合粉砕した粒度
150μm以下の無機質発泡性粉末を用いているため、
均質に粒径が0.5〜3mmである軽量骨材と混合さ
せ、基材層を堆積させることができる。その結果、中間
層や化粧層が均一に積層され、焼成一体化ののちは、表
面を稠密に、かつ厚さを均一にさせることができる。
その製法に関する。さらに詳しくは、軽量で優れた断熱
性、不燃性、化粧性を有する多層無機質発泡体およびそ
の製法に関する。 【0002】 【従来の技術】無機質発泡体は、軽量であり、断熱性、
不燃性に優れているため建築材料として用いられている
が、その表面がポーラスであり、しかも脆弱であるた
め、剥離しやすく、汚れが付着しやすかった。そのた
め、従来の無機質発泡体としては、多孔質無機質骨材に
ガラス質の焼結剤と該焼結剤を発泡させる発泡剤とをそ
れぞれ混合し、付着してなる基材層上に、表面材層を積
層し、焼成一体化してなるものが提案されている(特開
平3−279278号公報参照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記多
孔質無機質骨材に混合されるガラス質の焼結剤は、該骨
材より粒径の小さい粒状体であり、しかも粒が小さくて
もガラス質のため重量が重いことから、ホッパーから落
下させて、堆積し、基材層を形成する際に、ガラス質の
焼結剤が骨材から分離脱落したり、または無機発泡性原
料において前記ガラス質の焼結剤が偏在し局部的にガラ
ス質の焼結剤が存在するためその部分が早く溶融し泡の
とり込みが多く、過発泡状態となり、強度が低く、バラ
ツキ、脆くなる。また、前記ガラス質の焼結剤を粉体と
し、無機発泡性原料とともに基材に混合し、付着させて
も前述と同様に分離しやすい。そのため、基材層中に発
泡する部分と発泡しない部分とが形成され、基材層が不
均質になるとともに、該基材層上に積層される化粧層が
不均一になるため、焼成一体化したのちの無機質発泡体
は、極部的に強度の弱い部分を生じ、クラックなどが生
じやすいとともに、厚さが安定しにくいという問題点が
ある。 【0004】本発明は、叙上の事情に鑑み、表面がなめ
らかで、しかも厚さが均一で安定した多層無機質発泡体
を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の多層無機質発泡
体は、粒径が0.5〜3mmである多孔質無機質の軽量
骨材に、ソーダ石灰ガラスを主成分とするけい酸含有物
質および発泡剤を含む粉末を混合粉砕してなる、粒度1
50μm以下の無機質発泡性粉末をコーティングしたも
のからなる基材層と、該基材層上に積層される化粧層と
からなることを特徴としている。 【0006】また粒径が0.5〜3mmである多孔質無
機質の軽量骨材と、ソーダ石灰ガラスを主成分とするけ
い酸含有物質および発泡剤を含む粉末を混合粉砕してな
る、粒度150μm以下の無機質発泡性粉末とを混合し
てなる基材層と、該基材層上に積層される化粧層とから
なることを特徴としている。 【0007】本発明の多層無機質発泡体の製法は、粒径
が0.5〜3mmである多孔質無機質の軽量骨材に、ソ
ーダ石灰ガラスを主成分とするけい酸含有物質および発
泡剤を含む粉末を混合粉砕してなる、粒度150μm以
下の無機質発泡性粉末をコーティングしたものからなる
基材層上に化粧層を積層し、えられた積層体を加熱して
溶化一体化させることを特徴としている。 【0008】また粒径が0.5〜3mmである多孔質無
機質の軽量骨材と、ソーダ石灰ガラスを主成分とするけ
い酸含有物質および発泡剤を含む粉末を混合粉砕してな
る、粒度150μm以下の無機質発泡性粉末とを混合し
てなる基材層上に化粧層を積層し、えられた積層体を加
熱して溶化一体化させることを特徴としている。 【0009】 【作用】本発明の多層無機質発泡体の製法によれば、ソ
ーダ石灰ガラスを主成分とするけい酸含有物質および発
泡剤を含む原料を予め焼成温度にて発泡するように混
合、粉砕してなる無機質発泡性粉末を粒径が0.5〜3
mmである軽量骨材に混合し、基材層としているため、
基材層を形成する際に、無機発泡性原料の成分の分離を
生じないため、均質な基材層を堆積させることができ
る。その結果、表面が稠密で厚さが均一な多層無機質発
泡体をうることができる。 【0010】 【実施例】以下、本発明の多層無機質発泡体およびその
製法を説明する。 【0011】本発明の多層無機質発泡体は、粒径が0.
5〜3mmである多孔質無機質の軽量骨材に、ソーダ石
灰ガラスを主成分とするけい酸含有物質および発泡剤を
含む粉末を混合粉砕してなる、粒度150μm以下の無
機質発泡性粉末をコーティングしたものからなる基材層
と、該基材層上に積層される化粧層とから構成されてい
る。 【0012】または粒径が0.5〜3mmである多孔質
無機質の軽量骨材と、ソーダ石灰ガラスを主成分とする
けい酸含有物質および発泡剤を含む粉末を混合粉砕して
なる、粒度150μm以下の無機質発泡性粉末とを混合
してなる基材層と、該基材層上に積層される化粧層とか
ら構成されている。 【0013】前記多孔質無機の軽量骨材としては、真珠
岩を急膨張させてえられるパーライト粒子や黒曜岩を急
膨張させてえられるフヨーライト粒子やシラスを急膨張
させてえられるシラスバルーンなどを用いることができ
るが、これらは粒強度が弱いため、ソーダ石灰ガラスを
主成分として、可塑剤および発泡剤などを添加し、予め
発泡させたガラス発泡体を粉砕したものを用いるのが好
ましい。ソーダ石灰ガラスは、板ガラスやビンガラスな
ど大量生産されているもの、とくに廃棄物を有効利用し
たものを用いるのが資源の有効利用という観点より好ま
しい。 【0014】前記軽量骨材は、軽量化を図り、断熱性を
高めるとともに、焼成時に必要以上のガス放出により積
層される化粧層の表面に凹凸ができるのを防ぎ、なめら
かな仕上げ面や安定した厚みをうるために使用するもの
である。そして、軽量骨材の粒径は、通常0.1〜8m
m程度であるが、前記無機質発泡性粉末が軽量骨材の粒
間の隙間を埋めるとともに、焼成により溶融発泡し、粒
間を安定的に接合させ、吸水性が防止し、しかも安定し
て強度がえられるように、0.5〜3mm程度とするの
が好ましい。 【0015】前記無機質発泡性原料における主要成分で
あるけい酸含有物質の具体例としては、天然に産出する
火成岩や、火山灰などの硅酸質土や、ソーダ石灰ガラス
などをあげることができる。また発泡剤としては、ベン
ナイト、ドロマイト、炭化珪素、炭酸マグネシウム、炭
酸カルシウムなどを用いることができる。この無機質発
泡性粉末には、発泡剤以外に、可塑剤や焼成温度を調整
するため融剤を混合してもよい。無機質発泡性粉末の粒
度または粒径は、均質な発泡をうるため150μm以下
である。そして、好ましくは50μm以下である。 【0016】稠密な発泡をうるためには、火成岩、火山
灰などに融剤、発泡剤を添加するよりは、前記ソーダ石
灰ガラスを主成分とするのが好ましい。なお、ソーダ石
灰ガラスを主成分とする理由は、焼成炉として耐熱ステ
ンレスメッシュベルトを架設したメッシュベルトキルン
を用いるばあい、該ステンレスメッシュベルトの耐熱性
温度が1000℃程度であるため、ほとんど融剤が不要
であり、また一度焼成された原料であり、水溶成分の溶
出が非常に少なくなるため、安定した高強度の発泡層が
えられるからである。また前記軽量骨材に強度の高いガ
ラス材、たとえばGライト(商品名、サンライト(株)
製)や無機質発泡性粉末の主成分(ソーダ石灰ガラス4
0%以上)のソーダ石灰ガラスを用いるばあい、そのガ
ラス材より軟化点(融点)が同等以下、かつ熱膨張率が
同程度であるため、焼成により非常にクラック、反りな
どが生じにくく安定した多層無機質発泡体をうることが
できる。 【0017】前記可塑剤としては、粘度、ベントナイト
などを用いることができる。また融剤としては、一般に
安価なソーダ灰、硝酸ソーダなどを用いることができ
る。かかる融剤の使用量は、いずれも水溶性物質である
ため、軽量骨材に添加する水分で溶出し、発泡が不均質
となることから、極力少量にする必要があり、できれば
5%(重量%、以下同様)以下にする必要がある。 【0018】基材層の原料は、たとえば0.1〜8mm
の軽量骨材に水を添加するか、または粘結剤(たとえ
ば、PVA、水ガラスなど)を水溶液に溶かしたバイン
ダーを添加し、ミキサーなどで混合して前記軽量骨材を
湿らせたのち、無機質発泡性原料と混合し、軽量骨材の
表面にコーティングさせてえられる。なお、前記コーテ
ィングにかえて、混合させたものでもよい。また基材層
の組成比は、軽量骨材1重量部に対し、無機質発泡性原
料0.05〜3重量部であり、好ましくは0.1〜1.
5重量部である。その理由は、0.05重量部未満であ
れば、軽量骨材同士の結合力が弱く、3重量部をこえる
と、発泡性原料と軽量骨材とが分離を生じ、安定した製
品をうることが困難になるからである。 【0019】前記化粧層は、無機着色顔料などを配合し
たガラス質層である。この原料としては、ガラス、フリ
ットなどの粉末や造粒物や破砕粒などが用いられるが、
均一に積層し、安定した化粧層をうるためには、粒状物
が好ましい。また化粧層の原料は、発泡または非発泡に
限定されるものではなく、用途や意匠に応じて適宜選定
することができる。 【0020】本発明の多層無機質発泡体の一製法として
は、メッシュベルトキルンのメッシュベルト上に予め調
製しておいた基材層、および化粧層の原料を各ホッパー
から順次積層し、えられた積層体を焼成炉へメッシュベ
ルトにより搬送し、焼成一体化させる方法をあげること
ができる。この製法のばあい、焼成の最高温度が100
0℃程度、できれば900℃以下で連続的に生産するこ
とが、焼成炉の耐熱性から好ましい。 【0021】前記製法の焼成温度条件により、品質的に
安定した多層無機質発泡体をうるためには、軽量骨材お
よび無機質発泡性粉末の主成分として40%以上配合し
たソーダ石灰ガラスを用いるのが好ましい。その理由
は、40%未満では融剤を多量に必要とし、融剤の分離
を生じやすく、発泡が不安定となるため、強度のバラツ
キが大きく、かつ厚さも不安定であり、表面の平滑性も
えられにくくなるからである。 【0022】本発明の多層無機質発泡体は、前記基材層
と化粧層とのあいだに、たとえば無機質粒状物からなる
中間層を介在させることができる。 【0023】中間層の無機質粒状物としては、ガラス
粒、該焼成品の破粋粒などを用いることができる。 【0024】前記中間層は、基材層の表面凹部を埋めて
平滑にしたり、基材層と化粧層の熱膨張差が大きいばあ
いの応力緩和層となり、より安定した多層無機質発泡体
をうることができる。したがって、中間層は、基材層よ
り熱膨張率を同等またはそれ以下とし、化粧層に引張り
力を生じさせず、化粧層にクラックを生じにくくするこ
とで、さらに粒状物質のように収縮が少なく基材層の凹
凸を吸収するものが好ましい。そのため、前記中間層の
熱膨張率は、基材層と化粧層との中間または同程度に位
置する熱膨張率であるのが好ましい。 【0025】つぎに本発明の多層無機質発泡体を実施例
に基づき説明するが、本発明はもとよりかかる実施例に
のみ限定されるものではない。 【0026】実施例1無機質発泡性粉末の調製 ビンガラス粉80%、ベントナイト5%、硝酸ソーダ1
%、ソーダ灰5%、白土9%からなる配合原料を50k
g製造し、これを10mmφのスチールボールとともに
ポットミルに投入し、10時間混合粉砕して、平均粒度
10μmの無機質発泡性粉末をえた。 【0027】基材層原料の調製 粒径0.5〜3mmのガラス発泡骨材(サンライト
(株)のGライト(商品名))に4%PVA液を8%噴
霧したあとアイリッヒミキサーに投入し、均一に湿らし
たのち、前記無機質発泡性粉末を骨材に対して30%投
入し、コーティング粒をえた。 【0028】化粧層原料の調整 板ガラス粉94%、硼砂1%、ベントナイト5%および
M66(商品名、日陶産業(株)製の桃色顔料)3%
(外掛け)からなる配合原料を50kg製造し、これを
10mmφのスチールボールとともにポットミルに投入
し、10時間混合粉砕した。えられた化粧粉をパン型造
粒機により造粒し、粒径1〜2.5mmの造粒物をえ
た。 【0029】焼成 以上のように調製した基材層および化粧層の原料を用い
て積層体を作り、これを焼成して溶化一体化せしめて多
層無機質発泡体をえた。 【0030】焼成としては、搬送用に耐熱メッシュベル
トを架設した全長39mのトンネルキルンの焼成炉を用
いた。巾1mのメッシュベルト上に離型材としてアルミ
ナを塗布し、その上に基材層原料を15mmの厚さとな
るように均一にチャージし、その上に化粧層原料を厚さ
4mmとなるように積層した。えられた積層体を予熱帯
に搬送し、その後順に焼成帯、急冷帯、徐冷帯、冷却帯
と通過させて炉出口より搬出した。 【0031】なお、焼成温度は850℃であった。メッ
シュベルトの移動速度は25cm/分であり、炉に入れ
て炉から出るまでの所要時間は160分であった。 【0032】実施例2 前記実施例1の基材層と化粧層とのあいだに中間層を積
層させる以外は、実施例1と同様とした。 【0033】中間層原料は、ビンガラスを粉砕し、粒径
0.5〜1.5mmの粉砕粒に調製したものを用いた。
つぎに基材層、中間層および化粧層を順次積層し、これ
を焼成して一体化せしめて多層無機質発泡体をえた。 【0034】以上よりえられた多層無機質発泡体の外観
を観察したところ、実施例1および実施例2はともに、
その表面が稠密で、厚さが均一な多層無機質発泡体であ
ることがわかった。また強度も優れていることが確認さ
れた。 【0035】 【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の多層無機
質発泡体においては、ソーダ石灰ガラスを主成分とする
けい酸含有物質および発泡剤を一体に混合粉砕した粒度
150μm以下の無機質発泡性粉末を用いているため、
均質に粒径が0.5〜3mmである軽量骨材と混合さ
せ、基材層を堆積させることができる。その結果、中間
層や化粧層が均一に積層され、焼成一体化ののちは、表
面を稠密に、かつ厚さを均一にさせることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 永井 了
岐阜県土岐市駄知町2321番地の2 高砂
工業株式会社内
(72)発明者 永冶 良夫
岐阜県土岐市駄知町2321番地の2 高砂
工業株式会社内
(56)参考文献 特開 平7−102739(JP,A)
特開 昭60−166279(JP,A)
特開 平6−16483(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C04B 38/00 - 38/10
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 粒径が0.5〜3mmである多孔質無機
質の軽量骨材に、ソーダ石灰ガラスを主成分とするけい
酸含有物質および発泡剤を含む原料を混合粉砕してな
る、粒度150μm以下の無機質発泡性粉末をコーティ
ングしたものからなる基材層と、該基材層上に積層され
る化粧層とからなることを特徴とする多層無機質発泡
体。 【請求項2】 粒径が0.5〜3mmである多孔質無機
質の軽量骨材と、ソーダ石灰ガラスを主成分とするけい
酸含有物質および発泡剤を含む原料を混合粉砕してな
る、粒度150μm以下の無機質発泡性粉末とを混合し
てなる基材層と、該基材層上に積層される化粧層とから
なることを特徴とする多層無機質発泡体。 【請求項3】 前記無機質発泡性原料の軟化点が前記軽
量骨材の軟化点よりも低くされてなる請求項1または2
記載の多層無機質発泡体。 【請求項4】 前記基材層と化粧層とのあいだに中間層
が介在されてなる請求項1、2または3記載の多層無機
質発泡体。 【請求項5】 前記中間層の熱膨張率が基材層の熱膨張
率と同等またはそれ以下である請求項4記載の多層無機
質発泡体。 【請求項6】 粒径が0.5〜3mmである多孔質無機
質の軽量骨材に、ソーダ石灰ガラスを主成分とするけい
酸含有物質および発泡剤を含む原料を混合粉砕してな
る、粒度150μm以下の無機質発泡性粉末をコーティ
ングしたものからなる基材層上に化粧層を積層し、えら
れた積層体を加熱して溶化一体化させることを特徴とす
る多層無機質発泡体の製法。 【請求項7】 粒径が0.5〜3mmである多孔質無機
質の軽量骨材と、ソーダ石灰ガラスを主成分とするけい
酸含有物質および発泡剤を含む原料を混合粉砕してな
る、粒度150μm以下の無機質発泡性粉末とを混合し
てなる基材層上に化粧層を積層し、えられた積層体を加
熱して溶化一体化させることを特徴とする多層無機質発
泡体の製法。 【請求項2】 前記無機質発泡性原料の軟化点が前記軽
量骨材の軟化点よりも低くされてなる請求項6または7
記載の製法。 【請求項9】 前記基材層上に中間層を介して化粧層を
積層し、えられた積層体を加熱して溶化一体化させてな
る請求項6、7または8記載の製法。 【請求項10】 前記中間層の熱膨張率が基材層の熱膨
張率と同等またはそれ以下である請求項9記載の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10085095A JP3222352B2 (ja) | 1995-04-25 | 1995-04-25 | 多層無機質発泡体およびその製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10085095A JP3222352B2 (ja) | 1995-04-25 | 1995-04-25 | 多層無機質発泡体およびその製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08295577A JPH08295577A (ja) | 1996-11-12 |
JP3222352B2 true JP3222352B2 (ja) | 2001-10-29 |
Family
ID=14284804
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10085095A Expired - Fee Related JP3222352B2 (ja) | 1995-04-25 | 1995-04-25 | 多層無機質発泡体およびその製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3222352B2 (ja) |
-
1995
- 1995-04-25 JP JP10085095A patent/JP3222352B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08295577A (ja) | 1996-11-12 |
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