JP3221223B2 - 表面光沢の優れた空洞含有ポリオレフィン系複合樹脂フィルム - Google Patents

表面光沢の優れた空洞含有ポリオレフィン系複合樹脂フィルム

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JP3221223B2
JP3221223B2 JP7339294A JP7339294A JP3221223B2 JP 3221223 B2 JP3221223 B2 JP 3221223B2 JP 7339294 A JP7339294 A JP 7339294A JP 7339294 A JP7339294 A JP 7339294A JP 3221223 B2 JP3221223 B2 JP 3221223B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空洞含有ポリオレフィ
ン系複合樹脂フィルムに関し、より詳細には、軽量でク
ッション性に優れ且つ耐溶剤性に優れると共に、耐ブロ
ッキング性や表面光沢に優れ、更には生産性が良好で安
価に製造することのできる空洞含有ポリオレフィン系複
合樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】空洞含有ポリオレフィン系樹脂フィルム
は、パール調、マット調等の表面性状に優れると共に、
腰やクション性等の機械的特性等においても優れたもの
であるところから、前述の様な用途に幅広く活用されて
いる。しかしながら、近年これらの空洞含有ポリオレフ
ィン系樹脂フィルムを感熱転写受像紙や印画紙等の基材
としての需要が増大してくるにつれて、高光沢のものの
要求が高まってきている。
【0003】ところで、空洞含有ポリオレフィン系樹脂
フィルムに空洞を形成する方法としては、ポリオレフィ
ン系樹脂中に炭酸カルシウム、二酸化珪素等の無機質微
粒子や該ポリオレフィンに対して非相溶の熱可塑性樹脂
を微粒子状に分散せしめたシート状物の表層部に、実質
的に空洞を有していない樹脂層を積層形成し、これを延
伸することによって表面光沢の優れた空洞含有ポリオレ
フィン系樹脂フィルムを製造する方法が採用されてい
る。
【0004】しかしながら無機質微粒子を使用する方法
では、一般的に使用される炭酸カルシウムや二酸化珪素
等の粒度分布が広く粗大粒子を含むため、メルトライン
でフィルター詰まりを起こしたり、更には製膜時に粗大
粒子に起因する表面荒れによって満足のいく表面光沢の
フィルムを得ることができず、しかも製膜時あるいは延
伸時にフィルムが破断等を引き起こし易く、品質および
生産性共に満足のいくものが得られない。
【0005】また、ポリオレフィンに非相溶の熱可塑性
樹脂を微粒子状に分散させる方法では、無機質微粒子の
場合の様に粗大粒子に起因する問題を生じることはな
い。しかしながらこの方法では、樹脂の分散状態が空洞
の均一性や空洞率に与える影響が非常に大きいにもかか
わらず、分散状態の制御が難しく、空洞を均一にしかも
目標空洞率に合わせることが困難である。しかも得られ
る空洞含有フィルムは表面の均一性に劣るものであって
均質な表面光沢のものが得られにくく、更には画像転写
紙等として使用した時にドットの抜けを起こし易いた
め、印画紙や感熱受像紙等として使用するには不適当で
あり、さらにはコーティング等の表面処理を行なうとき
に、ポリオレフィン中に分散した樹脂の溶出が起こって
表面状態を更に悪くするという問題も指摘されている。
また、光沢改善のため平滑な表面層を積層形成したもの
では、光沢層の平滑面に起因するブロッキングを起こし
易くなるという問題も指摘されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な問
題点に着目してなされたものであって、その目的は、従
来の空洞含有ポリオレフィン系樹脂フィルムに見られる
前述の様な欠陥を解消し、フィッシュアイ等の欠陥を無
くすと共に表面処理における耐溶剤性を高め、更には高
光沢で且つ耐ブロッキング性においても優れた性能を示
す複合構造の空洞含有ポリオレフィン系樹脂フィルムを
提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る表面光沢に優れた空洞含有ポリオ
レフィン系複合樹脂フィルムの構成は、ポリオレフィン
系樹脂100重量部に対し、平均粒径が0.1〜7μm
である有機質の架橋高分子微粒子を1.1〜40重量部
含有する組成物よりなる未延伸シートもしくは1軸延伸
シートを基材層(A)とし、該基材層(A)の片面もし
くは両面に、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対
し、平均粒径が0.1〜7μmである無機質および/も
しくは有機質の樹脂微粒子を0.05〜1重量部含む微
粒子含有樹脂組成物よりなる光沢改善層(B)を積層し
た後、延伸されたものであるところに要旨が存在する。
【0008】尚、上記基材層(A)及び光沢改善層
(B)における空洞形成用として配合される有機質の架
橋高分子微粒子としては、ポリオレフィン系樹脂内への
分散性が良好で均一な空洞を万偏なく形成することがで
き、平滑で表面光沢性に優れ且つ且つ耐溶剤性の一段と
優れたものを与えるという理由から、(メタ)アクリル
系モノマーやスチレン系モノマーをモノマー単位として
含む架橋高分子が好ましいものとして用いられる。
【0009】
【作用】上記の様に本発明に係る空洞含有ポリオレフィ
ン系複合樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂に対
し、平均粒径の特定された有機質の架橋高分子微粒子を
特定量含有させた組成物よりなる未延伸シートもしくは
1軸延伸シートを基材層(A)とし、該基材層(A)の
片面もしくは両面に、ポリオレフィン系樹脂に対し、平
均粒径の特定された無機質および/もしくは有機質の微
粒子を特定量配合した微粒子含有樹脂組成物よりなる光
沢改善層(B)を積層した後、延伸されたものであり、
基材層(A)は微細な空洞が全体に渡って万偏なく分散
されており、軽量で優れたクッション性を有すると共
に、表面の光沢改善層(B)は、表面荒れが無く優れた
光沢を有すると共に、耐溶剤性や耐ブロッキング性の優
れたものであってコーティング等の表面処理工程で表面
荒れ等を生じることが無く、柔軟性や腰、クッション性
等の機械的特性はもとより表面光沢や耐ブロッキング性
等の表面特性においても非常に優れたものである。
【0010】上記において基材層(A)および光沢改善
層(B)のベースとなるポリオレフィン系樹脂として
は、プロピレン、エチレン ブテン、4−メチルペンテ
ン−1の如く公知のオレフィンをモノマー成分とする単
独重合体や共重合体もしくはそれらの任意の混合物が使
用される。また該ポリオレフィン系樹脂中に分散される
有機質の架橋高分子微粒子としては、上記ポリオレフィ
ン系樹脂の溶融成形温度条件下で溶融することがなく、
且つ同温度に耐える耐熱性を有するものであれば特に制
限はなく、付加重合法、重縮合法、重付加反応法など任
意の方法で得られる架橋高分子微粒子を使用することが
でき、また一旦非架橋構造のポリマーを製造した後架橋
剤を用いて事後的に架橋させた高分子微粒子を使用する
ことも可能である。
【0011】但し、基材層(A)中に配合される有機質
架橋高分子微粒子は、平均粒子径が0.1〜7μmの範
囲のものを使用する必要があり、該粒子径が0.1μm
未満の極微細なものである場合は、たとえ添加量をかな
り増やしたとしても本発明で意図する様な空洞率を得る
ことができず、一方粒子径が7μmを超える粗粒物にな
ると、得られるフィルムが表面凹凸の著しいものとなっ
て表面光沢を阻害するばかりでなく、製造時の製膜性や
延伸性に欠けるものとなる。該微粒子のより好ましい粒
子径は0.5〜5.0μmの範囲であり、また該微粒子
は粒度分布の小さいものが好ましい。
【0012】また、基材層(A)中への該微粒子の配合
量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して1.
1〜40重量部の範囲とすることが必須であり、微粒子
の配合量が不足する場合はやはり本発明で意図する様な
空洞率を得ることができず、逆に多過ぎる場合は製膜性
や延伸性に問題が生じてくる。該微粒子のより好ましい
配合量は2.0〜30重量部の範囲である。
【0013】一方、光沢改善層(B)中に配合される微
粒子としては、上記と同様の有機質架橋高分子微粒子の
他、炭酸カルシウム、二酸化珪素、二酸化チタン、硫酸
バリウム、アルミナ、ゼオライト等の無機質微粒子を使
用することができ、これら微粒子の好ましい粒子径は前
記と同様の理由から0.1〜7μmのものを使用するこ
とが必要となる。そして該微粒子の配合量は、優れた表
面光沢を保証するため、基材層(A)への配合量よりも
少なめに押え、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対
して0.05〜1重量部の範囲から選択する必要があ
る。しかして、該微粒子の配合量が0.05重量部未満
では、表面が平滑になり過ぎるために、得られるフィル
ムの耐ブロッキング性が不良となる。この耐ブロッキン
グ性については、平均粒子径が0.1μm未満の極微細
な粒子を使用したときにも生じてくる。一方、光沢改善
層(B)内への該微粒子の配合量が1重量部を超える
と、表層部の表面凹凸が大きくなって満足のいく光沢が
得られなくなる。耐ブロッキング性と表面光沢の両者を
加味して、光沢改善層(B)内へ配合される該微粒子の
より好ましい平均粒径は0.2〜2.5μm、より好ま
しい配合量は0.08〜0.50重量部の範囲である。
【0014】尚、基材層(A)の厚みは特に限定されな
いが、最も一般的なのは15〜250μmの範囲であ
る。一方、該光沢改善層(B)の上に形成される光沢改
善層(B)は、上記の様に耐ブロッキング性を阻害する
ことなく表面光沢を高めるために設けられるものであ
り、その厚みは、基材層(A)の空洞に起因する凹凸を
平滑化し、且つ空洞含有フィルムに求められる基本特性
であるクッション性を確保し得る範囲で、基材層(A)
に添加される架橋高分子微粒子の配合量や平均粒子径な
どを考慮して適宜に決めるべきであるが、好ましいのは
0.5〜15μmの範囲である。
【0015】尚、上記基材層(A)や光沢改善層(B)
内に配合される微粒子の選択に当たっては、後述する水
滴保持時間を選択基準に加え、基材層(A)と光沢改善
層(B)に配合されるものとして、水滴保持時間が異な
る微粒子を選択使用するのがよい。即ち、基材層(A)
では空洞を効率よく形成させるため、延伸工程で該微粒
子の回りにボイドを形成させ易くするのがよく、一方光
沢改善層(B)では、この様なボイドが大きくなり過ぎ
ると光沢を阻害するので、できるだけボイドを小さく且
つ少なめに抑えることが好ましい。こうした観点から、
基材層(A)内に配合される微粒子は水滴保持時間が5
分程度以下のものが好ましく、光沢改善層(B)内に配
合される微粒子は水滴保持時間が5分程度を超えるもの
を選択使用することが望まれる。
【0016】上記において水滴保持時間とは、下記の方
法で測定される値であって、微粒子の疎水性の度合いを
示す指標となるものであり、水滴保持時間が5分以下の
ものでは、延伸時にポリオレフィン系樹脂と微粒子間の
界面剥離が起こり易くなって高い空洞率が得られ易く、
一方5分を超えるものでは、延伸時に上記の様な界面剥
離が起こりにくいため空洞率が上がりにくく、従ってよ
り高い光沢のものが得られ易くなるのである。
【0017】(水滴保持時間の測定法)微粒子を水平で
平滑な台上で2枚の2軸延伸ポリプロピレンフィルムの
間に挟持し、上側フィルムを手で軽く押えて厚さ2mm
の平滑な微粒子層を形成した後、上側フィルムを静かに
取り外す。得られた架橋高分子微粒子層の表面にスポイ
ドで直径3mmの水滴を高さ1cmの位置から落とし、
該水滴が架橋高分子微粒子層に吸収されて消失するまで
の時間を測定し、疎水性の指標とする。
【0018】尚、上記の有機質架橋高分子微粒子として
特に好ましいのは、(メタ)アクリル系モノマーおよび
/またはスチレン系モノマーをモノマー成分として含む
架橋高分子、中でも(メタ)アクリル−スチレン系の共
重合架橋高分子であって、これらの架橋高分子微粒子は
耐熱性および耐溶剤性が良好で且つ空洞形成性の優れた
ものであり、微細な空洞が均一に分散して形成された高
品質の空洞含有ポリオレフィン系樹脂フィルムを与え
る。
【0019】(メタ)アクリル系モノマーの具体例とし
ては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブ
チル等の(メタ)アクリル酸またはそのエステル誘導体
であり、これらのモノマーは単独で使用してもよく或は
2種以上を併用することもできる。また、少量であれば
(メタ)アクリル酸の金属塩、アミド誘導体、ヒドロキ
シエチルエステル、ジメチルアミノエステル等の誘導体
を併用しても構わない。
【0020】スチレン系モノマーとしては、スチレン、
メチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレンまた
はその誘導体が挙げられる。また全モノマー成分中の含
有率が20重量%程度以下であれば、酢酸ビニル、塩化
ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル等の共重合
性ビニル系モノマーを配合することも有効である。これ
らモノマー成分の架橋法としては、ジビニルベンゼン、
エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル等
の多官能性モノマーを高分子微粒子製造時に共重合させ
るか、高分子生成後に添加して架橋させる等の方法が例
示されるが、これらの製法には一切制限されない。
【0021】上記の有機質架橋高分子微粒子あるいは無
機質微粒子の平均粒径や配合割合の最適値は、ポリオレ
フィン系樹脂の種類やフィルムの厚さ、要求特性等によ
っても変わってくるので、目的とするフィルム特性に応
じて前記範囲から最適の値に設定すればよい。
【0022】尚、上記基材層(A)や光沢改善層(B)
内には、前述の様な本発明の特徴を阻害しない範囲であ
れば、更に他の成分として他の有機質樹脂を併用した
り、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、ワック
ス、金属石鹸等の潤滑剤を併用する等によって、隠蔽
性、滑り性、生産性などを高めることも有効である。特
にポスター、ラベル、印画紙、受像紙等の印刷物として
使用する場合は、白色度や隠蔽力調整のため2酸化チタ
ンなどが使用されるが、本発明においても、フィルム欠
陥や耐溶剤性、生産性等を損なわない範囲で、2酸化チ
タンなどを同様の目的で添加することも可能である。ま
た、通常のポリオレフィン系樹脂フィルムに配合される
公知の安定剤、耐電防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白
剤、加工助剤、可塑化剤などを適宜配合することも可能
である。
【0023】またポリオレフィン系樹脂への前記有機質
架橋高分子微粒子や無機質微粒子、更には必要により配
合される副添加材等の配合法にも格別の制限はないが、
一般的な方法としては、V型ブレンダー、スクリュー型
ブレンダー、ドライブレンダー、リボンブレンダー、ヘ
ンシェルミキサー等の混合機を使用して均一に混合した
後、混練ペレット化する方法が一般的である。このペレ
ットを使用して常法によりフィルム状に成形した後、該
フィルムを1軸もしくは2軸(好ましくは2軸)延伸す
ると、本発明の空洞含有フィルムが得られる。
【0024】基材層(A)を構成する未延伸もしくは1
軸延伸シートの片面もしくは両面に光沢改善層(B)を
複合して、本発明のフィルムを製造する方法としては、 a:2台の押出機を使用し、1台の押出機より基材層
(A)を構成する樹脂組成物を溶融押し出しすると共
に、他の押出機から光沢改善層(B)を構成する樹脂組
成物を溶融押し出しし、それらをダイス内またはダイス
外で重ね合わせて複合し、次いで延伸する方法、 b.予めシート状に押出成形した基材層(A)構成シー
トを、そのままもしくは1軸延伸し、その片面もしくは
両面に光沢改善層(B)を溶融押し出しして積層複合
し、次いで延伸する方法、 c.基材層(A)と光沢改善層(B)を夫々予め製造し
ておき、これらを事後的に貼り合わせて複合し、次いで
延伸する方法、 d.基材層(A)と光沢改善層(B)を夫々予め製造
し、更に1軸もしくは2軸延伸しておき、これらを事後
的に貼り合わせて複合する方法、 等が例示される。尚、延伸に当たっては、面積倍率で8
〜50倍程度、好ましくは10〜40倍程度に延伸する
と、該延伸工程で前述の如く基材層(A)内には空洞率
の高い大きめの空洞が形成され、一方光沢改善層(B)
内には、実質的に空洞を含まないため、本発明の意図す
る表面光沢の高い空洞含有ポリオレフィン系複合樹脂フ
ィルムが得られる。
【0025】逐次2軸延伸を行なう場合の条件として
は、まず縦方向に40〜170℃程度の温度で3〜7倍
延伸し、次いで横方向に前記延伸温度よりも若干高温で
且つ200℃以下の温度で6〜10倍程度に延伸するの
がよく、通常はその後130〜210℃程度で熱固定が
行なわれる。
【0026】この延伸工程で、前述の如くポリオレフィ
ン系樹脂と架橋高分子微粒子との界面で剥離が起こって
その周囲に微細な空隙ができ、分散された該微粒子の数
に応じた数の微細な空洞が無数に形成されるが、前述の
如く基材層(A)と光沢改善層(B)に配合される微粒
子の粒径や配合量などを変えることによって、基材層
(A)では相対的に空洞率が高められ、一方光沢改善層
(B)では、実質的に空洞を含まないため、表面光沢が
高められ、表面光沢の優れた空洞含有ポリオレフィン系
複合樹脂フィルムが得られる。
【0027】尚、延伸処理後における基材層(A)内の
空洞含有率は、10〜100cc/100gの範囲とな
る様に、前記架橋高分子微粒子の配合量等に応じて延伸
倍率をコントロールするのがよい。しかして、空洞含有
率が10cc/100g未満では、パール調やクッショ
ン性等の特性を充分に高めることができず、逆に100
cc/100gを超える高空洞率になると、パール調や
クッション性が飽和すると共にフィルム強度が乏しくな
る傾向があるからである。尚、本発明のフィルムには、
用途に応じて必要により表面にコロナ放電処理、プラズ
マ処理、紫外線照射処理等を施してヒートシール性や接
着性等を高めることも有効である。
【0028】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はもと
より下記実施例によって制限を受けるものではなく、前
後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施
することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の
技術的範囲に含まれる。
【0029】尚、下記実施例で採用した測定法は次の通
りである。 [空洞含有率]空洞含有ポリオレフィン系複合樹脂フィ
ルム100g中に存在する空洞を、原料及び製品の密度
から下記式によって算出する。 空洞含有率=100×[1/D−(ΣMi/ρi)/1
00] 式中Miは原料別の混合割合(重量%)、ρiは各々の
密度、Dは延伸フィルムの見掛け密度を夫々表わす。
【0030】[耐溶剤性]メチルエチルケトン/トルエ
ン=1/1の混合溶媒100重量部に対して共重合ポリ
エステル(東洋紡績社製「バイロン200)」)を30
重量部混合した溶液を、各試料フィルム上にマイヤーバ
ーを用いて乾燥厚みが10μmとなる様に塗布した後、
120℃の雰囲気中で1分間乾燥し、塗布前後の光沢の
差の絶対値を耐溶剤性の指標とする。
【0031】[異物]各試料フィルム1m2 中の0.1
mm以上の異物を測定してその個数を求める。 [隠蔽性]JIS K 8714に従って全光線透過率
を求める。 [光沢度]JIS Z 8741(2)に準拠して光沢
をを求める。
【0032】[耐ブロッキング性]試料フィルムをカッ
ターで80mm×120mmに裁断し、この裁断片2枚
を長手方向において上下に20mmずつずらして重ね合
わせ、サンプルとする。これをタイプ用紙と交互に5組
重ね合わせ、ガラス板で挟んだ後2kgの加重をかけて
50℃の雰囲気で48時間放置する。その後サンプルを
取り出して放冷し、20mm幅で長手方向に裁断し、こ
れを試験片として引張試験機にかけ、引張速度200m
m/分で剪断応力を測定し、その値で耐ブロッキング性
を評価する。 [破断回数]同一組成の素材を用いてフィルムを3時間
連続して製膜および延伸し、その間の破断回数を調べ
る。
【0033】実施例1 メルトインデックス2.3g/10分のポリプロピレン
100重量部に対して、水滴保持時間が2秒以内で、平
均粒子径が1.7μmであるほぼ単分散の粒径分布を示
す球状の架橋アクリル−スチレン系共重合体微粒子(メ
チルアクリレート/n−ブチルアクリレート/スチレン
/ジビニルベンゼンを重量比で36/27/36/1の
比率で使用し、乳化重合法した後、乳化液から架橋重合
体微粒子を分離する際に水洗を1回行ない、微粒子表面
に付着している界面活性材を除去したもの)15重量
部、グリセリン樹脂酸エステル0.3重量部およびエル
カ酸アミド0.3重量部を混合した樹脂組成物(a)
と、メルトインデックス2.5g/10分のポリプロピ
レン100重量部に対し、上記樹脂組成物(a)におけ
る架橋アクリル−スチレン系共重合体微粒子をポリマー
型シランカップリング剤で表面処理して得た、水滴保持
時間が10分以上の架橋共重合体微粒子を0.1重量部
配合した樹脂組成物(b)を使用し、これらを夫々別の
溶融押出機を用いて、樹脂温度285℃で厚みが延伸後
の状態で(b)/(a)/(b)=1/10/1となる
様に重ね合わせて溶融押出しし、60℃の冷却ロールで
冷却することにより未延伸シートを得る。
【0034】次いでこの未延伸シートを縦延伸機のロー
ル周速差を利用して延伸温度135℃で縦方向に4.5
倍延伸し、引き続いてテンター式延伸機により延伸温度
155℃で横方向に8倍延伸する。次いで170℃で熱
固定を行なって、厚さ約60μmの2軸延伸フィルムと
した後、片面にコロナ放電処理を行なって、空洞含有ポ
リオレフィン系複合樹脂フィルムとする。
【0035】比較例1 上記実施例1において、光沢改善層(B)を構成する樹
脂組成物(b)中に配合される架橋共重合体微粒子の添
加量を5.0重量部に代えた以外は全く同様にして、空
洞含有ポリオレフィン系複合樹脂フィルムを得た。 比較例2 上記実施例1において、光沢改善層(B)を構成する樹
脂組成物(b)内に架橋共重合体微粒子を配合しなかっ
た以外は全く同様にして、空洞含有ポリオレフィン系複
合樹脂フィルムを得た。
【0036】比較例3 上記実施例1において、基材層(A)を構成する樹脂組
成物(a)内に配合する架橋アクリル−スチレン系共重
合体微粒子を、平均粒子径が10μmの架橋アクリル−
スチレン系共重合体微粒子(形状、組成等は同じ)に代
えた以外は全く同様にして、空洞含有ポリオレフィン系
複合樹脂フィルムを得た。 比較例4 上記実施例1において、基材層(A)を構成する樹脂組
成物(a)内に配合する架橋アクリル−スチレン系共重
合体微粒子を、平均粒子径が0.05μmの架橋アクリ
ル−スチレン系共重合体微粒子(形状、組成等は同じ)
に代えた以外は全く同様にして、空洞含有ポリオレフィ
ン系複合樹脂フィルムを得た。
【0037】比較例5 上記実施例1において、基材層(A)を構成する樹脂組
成物(a)内に配合する架橋アクリル−スチレン系共重
合体微粒子の含有量を0.5重量部に代えた以外は全く
同様にして、空洞含有ポリオレフィン系複合樹脂フィル
ムを得た。 比較例6 上記実施例1において、基材層(A)を構成する樹脂組
成物(a)内に配合する架橋アクリル−スチレン系共重
合体微粒子の含有量を50重量部に代えた以外は全く同
様にして、空洞含有ポリオレフィン系複合樹脂フィルム
を得た。
【0038】比較例7 上記実施例1において、光沢改善層(B)を構成する樹
脂組成物(b)内に配合する架橋共重合体微粒子を、平
均粒子径が8μmの架橋共重合体微粒子(形状、組成等
は同じ)に代えた以外は全く同様にして、空洞含有ポリ
オレフィン系複合樹脂フィルムを得た。 比較例8 上記実施例1において、光沢改善層(B)を構成する樹
脂組成物(b)内に配合する架橋共重合体微粒子を、平
均粒子径が0.03μmの架橋共重合体微粒子(形状、
組成等は同じ)に代えた以外は全く同様にして、空洞含
有ポリオレフィン系複合樹脂フィルムを得た。
【0039】実施例2 上記実施例1において、基材層(A)を構成する樹脂組
成物(a)中に配合される架橋アクリル−スチレン系共
重合体微粒子に代えて、水滴保持時間が1分である平均
粒子径が1.7μmのほぼ単分散の粒度分布を示す球状
の架橋アクリル系樹脂微粒子[組成:メチルメタクリレ
ート/トリメチロールプロパントリメタクリレート/=
98/2(重量部)]を使用し、且つその添加量を13
重量部とし、更に隠蔽材として2酸化チタンを3重量部
添加した以外は実施例1と全く同様にして、空洞含有ポ
リオレフィン系複合樹脂フィルムを得た。
【0040】比較例9 上記実施例2において、基材層(A)を構成する樹脂組
成物(a)内に配合される架橋アクリル−スチレン系共
重合体微粒子に代えて、シクロペンタジエン系石油樹脂
を使用した以外は全く同様にして、空洞含有ポリオレフ
ィン系複合樹脂フィルムを得た。 比較例10 上記実施例2において、基材層(A)を構成する樹脂組
成物(a)内に配合される架橋アクリル−スチレン系共
重合体微粒子に代えて、重質炭酸カルシウムを使用した
以外は全く同様にして、空洞含有ポリオレフィン系複合
樹脂フィルムを得た。 比較例11 上記実施例2において、基材層(A)を構成する樹脂組
成物(a)内に架橋アクリル−スチレン系共重合体微粒
子を配合しなかった以外は全く同様にして、空洞含有ポ
リオレフィン系複合樹脂フィルムを得た。
【0041】上記で得た各空洞含有ポリオレフィン系複
合樹脂フィルムの特性は下記表1に一括して示す通りで
あり、実施例1,2のフィルムは、何れも表面光沢や耐
溶剤性等の要求特性を満足しており、フィッシュアイ等
の異物欠陥も見られず、高品質のものである。これらに
対し、比較例1,3,6,7で得られたフィルムは、満
足な表面光沢が得られておらず、また比較例2,8のフ
ィルムは耐ブロッキング性に劣るものであり、比較例
5,11はフィルムの空洞含有率が不十分でパール調お
よびクッション性が不十分であり、比較例9は耐溶剤性
に劣り、比較例10は異物の数が多く、何れも品質上の
問題を有していることが分かる。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、基
材層(A)中に粒度構成の特定された架橋高分子微粒子
を特定量配合されると共に、光沢改善層(B)中には粒
度構成の更に小さい有機質架橋高分子微粒子もしくは無
機質微粒子を少なめに配合され、延伸工程で基材層
(A)内の空洞率は相対的に高められると共に、光沢改
善層(B)の空洞率は低めに抑えられて凹凸の少ない構
成とすることによって、表面光沢、耐溶剤性、耐ブロッ
キング性等に優れ、且つ異物欠陥がなく、例えば印画紙
や感熱転写用紙等としても優れた適性を備えた高品質の
空洞含有ポリオレフィン系複合樹脂フィルムを提供し得
ることになった。
フロントページの続き (72)発明者 久世 勝朗 愛知県犬山市大字木津字前畑344番地 東洋紡績株式会社 犬山工場内 (72)発明者 井坂 勤 大阪市北区堂島浜2丁目2番8号 東洋 紡績株式会社 本社内 (56)参考文献 特開 平7−232397(JP,A) 特開 平4−27544(JP,A) 特開 平4−18338(JP,A) 特開 平7−278330(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂100重量部に対
    し、平均粒径が0.1〜7μmである有機質の架橋高分
    子微粒子を1.1〜40重量部含有する組成物よりなる
    未延伸シートもしくは1軸延伸シートを基材層(A)と
    し、該基材層(A)の片面もしくは両面に、ポリオレフ
    ィン系樹脂100重量部に対し、平均粒径が0.1〜7
    μmである無機質および/もしくは有機質の樹脂微粒子
    を0.05〜1重量部含む微粒子含有樹脂組成物よりな
    る光沢改善層(B)を積層した後、延伸されたものであ
    ることを特徴とする表面光沢の優れた空洞含有ポリオレ
    フィン系複合樹脂フィルム。
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