JP3221051B2 - 昇圧チョッパ形直流電源装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【００１】

【産業上の利用分野】本発明は昇圧チョッパ回路の発振
開始時における過渡解な突入電流の発生を防止した昇圧
チョッパ形直流電源装置に関するものである。

【００２】

【従来の技術】従来の昇圧チョッパ形直流電源装置を図
３に示す。図３における例えば１００Ｖの交流電源１の
電圧を整流回路２で整流し、その後段の昇圧インダクタ
１０、トランジスタ１１、ダイオード１２、電解形のコ
ンデンサ１３を含む昇圧チョッパ回路（アクティブフィ
ルタ回路）により、例えば３００Ｖの直流電圧Ｖ_Ｏを得
る。１５はフィードバック回路に繋がる制御回路１５で
あり、トランジスタ１１を適宜に制御し直流電圧Ｖ_Ｏは
安定化する。１４は負荷である。ところで、電源スィッ
チ２が図４のＳＷのごとく、交流電源１電圧（整流電
圧）Ｖ_Ｉの特にピーク付近で投入されると、次のような
問題を生ずる。それ以降、図４のＡＦＣのごとくに昇圧
チョッパ回路（アクティブフィルタ回路）は発振し、あ
るいは瞬時停電にともなって再発振する。その途上の直
流電圧Ｖ_Ｏが電源電圧瞬時値Ｖ_Ｉより低い時に、トラン
ジスタ１１は発振を開始する。同時にトランジスタ１１
のドレイン電流は、図４Ｉ_１の初期波形のごときコンデ
ンサ１３の最大充電々流とほぼ一致する。この際に、昇
圧インダクタ１０が飽和し、あるいはトランジスタ１１
が破損することがある。

【００３】

【発明が解決しようとする課題】以上のごとく、昇圧チ
ョッパ回路の発振開始時が交流電源電圧のピーク時と重
なると、コンデンサの過渡充電電流により、トランジス
タの破損等の事故を生ずる。

【００４】

【課題を解決するための手段】交流電源電圧と基準電圧
を比較し、結果をトランジスタの制御回路に出力する誤
差検出器を設ける。これにより、整流電圧（電源電圧）
瞬時値がピークを過ぎ低い値に低下したときにトランジ
スタの最初の導通を許容する。

【００５】

【作用】本発明によれば、整流電圧の瞬時値がピークを
越え所定値に低下するまではトランジスタの最初の導通
が阻止される。そして、瞬時値が低下するのを待って最
初の導通を許容する。よって、昇圧インダクタの飽和と
大ドレイン電流によるトランジスタの破壊が阻止され
る。

【００６】

【実施例】本発明の一実施例を図１、図２より説明す
る。前記図３および図４の符号ないしは記号をそのまま
ここに引用し、重複する説明を割愛する。交流電源１の
電圧を整流回路３で整流した整流電圧がＶ_Ｉである。こ
の整流電圧Ｖ_Ｉを分圧抵抗４、５により分圧した電圧
と、適宜の基準電源６の基準電圧を誤差検出器７で比較
する。図２のごとくその検出信号Ｖ_ＩＳは基準電圧のし
きい値を越えるとＨ（ハイ）となり、基準電圧を下回る
とＬ（ロウ）となり、その結果を抵抗８を介してトラン
ジスタ１１の制御回路１５に伝える。そしてＨからＬに
転換するときにトランジスタ１１の最初の導通を許容す
る。９は誤差検出器７駆動電源である。トランジスタ１
１を含む昇圧チョッパ回路は図２のＡＦＣ波形のよう
に、電源スイッチ２投入時ｔ_１では発振せず、検出信号
Ｖ_ＩＳが立ち下がる時点ｔ_ａにおいて発振を開始する。
そのように制御回路１５はトランジスタ１１を制御す
る。電源スイッチ２投入時ｔ_１にコンデンサ１３に向か
う電流Ｉ_１が流れ始め、その後の時点ｔ_２でピーク値に
達するが、この段階ではトランジスタ１１導通による電
流加算がなく、その分だけ低レベルとなる。トランジス
タ１１の最初の導通時ｔ_ａにおいてはコンデンサ１３の
充電電圧（直流出力電圧）Ｖ_Ｏは高い値を示す。このた
めトランジスタ１１に流れ込む電流のレベルは低い。瞬
時停電ないしは電圧低下の影響は時期ｔ_４のごとく整流
電圧Ｖ_Ｉの低下となって現われる。そして、基準電圧よ
りも半サイクルでも低下すると、検出信号Ｖ_ＩＳがＬの
ままに保持されるので、次にＨとなりＬに転換するまで
トランジスタ１１の発振は停止する。よって、その後の
発振開始は前記同様の経過を辿つってなされる。

【００７】

【発明の効果】本発明によれば最初のコンデンサ充電と
トランジスタ導通が相前後する異なるタイミングでなさ
れる。このため昇圧インダクタの電流ピークが緩和さ
れ、飽和し難くなる。導通開始時のトランジスタに振り
替わるべき電流がなく、かつインダクタの飽和もないの
で、トランジスタの負担が緩和され、破壊が防止され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る昇圧チョッパ形直流電源装置の回
路図

【図２】図１の装置の動作説明図

【図３】従来の昇圧チョッパ形直流電源装置を示す回路
図

【図４】図３の装置の動作説明図

【符号の説明】

１…交流電源、２…電源スイッチ、３…整流回路、６…
基準電源、７…誤差検出器、１０…昇圧インダクタ、１
１…トランジスタ、１２…ダイオード、１３…コンデン
サ、１４…負荷、１５…制御回路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−155459（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−269465（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−252732（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H02M 3/155 H02M 7/06 H02M 7/21

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】交流電源電圧を整流する整流回路を備え、
   その整流電圧を昇圧する昇圧インダクタ、トランジス
   タ、ダイオード、コンデンサを含む昇圧チョッパ回路を
   備え、昇圧チョッパ回路の出力をフィードバックして前
   記トランジスタを制御する制御回路を備えた直流電源装
   置において、前記整流電圧の瞬時値と基準電圧を比較
   し、結果を前記制御回路に出力する誤差検出器を設け、
   前記瞬時値がピーク値を過ぎ基準電圧に低下したときに
   前記トランジスタの最初の導通を許容することを特徴と
   する昇圧チョッパ形直流電源装置。