JP3219884B2 - エンボス版の製造方法 - Google Patents

エンボス版の製造方法

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JP3219884B2
JP3219884B2 JP1472793A JP1472793A JP3219884B2 JP 3219884 B2 JP3219884 B2 JP 3219884B2 JP 1472793 A JP1472793 A JP 1472793A JP 1472793 A JP1472793 A JP 1472793A JP 3219884 B2 JP3219884 B2 JP 3219884B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンボス版の製造方法
に関し、特に小さな面積で照りの移動が激しく変化する
天然木材や金属板の表面等を忠実に再現するのに有効に
用いることのできるエンボス版の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】天然木材や金属結晶板等の表面は固有の
光沢すなわち「照り」を有している。それは、例えば木
材を例に取った場合、木材は平行に積み重ねられた細胞
でできており、それが鉋で削られることにより細胞内こ
うの凹状の内表面群が現れ、個々の細胞が微小な凹面鏡
になったような光沢を持つためといわれている。図12
a、bはその状態をモデル的に示しており、図12aの
ように繊維10の方向に平行に光を当てた場合は細胞内
こうに入った光の多くが正反射(鏡面反射)して出てく
るのに対し、繊維方向に直角方向に光が入った場合には
図12bのように細胞側壁で光が散乱し、強い反射は生
じない。すなわち、木材表面に光を当てたときに照りを
生じた(明るく照った)部分は、光を鏡面反射してい
る、つまり光を当てた方向と木材繊維の方向が一致して
いる部分であり、また、照りを生じなかった(暗く影に
なった)部分は細胞内こうで乱反射している、つまり光
を当てた方向と繊維方向が異なる部分といえる。
【0003】なお、上記の説明は図12aにおいて光の
反射方向から木材表面を観察した場合の説明であって、
光の入射方向と視点の位置関係が異なった関係に有る場
合には、明るく照って見える部分と暗く影になった部分
のそれぞれの繊維の方向と光の入射方向との関係は上記
とは異なってくる。例えば、図12と同じ方向に光源を
置き視点を木材表面の法線方向に置いた場合には、光源
方向と繊維の方向が一致している部分はむしろ暗い部分
としてとらえられ、光源方向とは異なった繊維方向の部
分が光の乱反射の関係から明るく照りを生じた部分とし
てとらえられることになる。
【0004】一般に、波状木理や節まわりにおいては、
木材繊維が複雑な曲線を描いているため、上記のような
明るく照った部分と暗く影になった部分とは光の入射方
向の変化あるいは見る人の位置の変化等によって微妙に
変化し、木材それぞれに特徴ある照りを発現させると共
に、見る人に「照り」の移動感を与えている。また、金
属表面においても結晶方向がランダムでありまた表面研
磨した際に研磨方向が多岐にわたること等から同様な
「照り」の移動感があることは体験することである。木
目模様や金属表面模様を持つ化粧材等を作成する場合、
普通に印刷された模様にこのような照りの移動感を表現
させることは困難であり、このことが見る人に対して天
然のものと印刷されたものとの間の無意識的識別感を与
えているものと考えられる。
【0005】従来、例えば木目印刷模様の化粧材に上記
のような照りの表現を持たせることにより天然木に近い
感性を見るものに与えるようにする努力がなされてきて
おり、光沢のある印刷インキ(パールインキ等)を用い
て印刷を行う方法、あるいは平行曲線群のパターンいわ
ゆる万線条溝からなるエンボス凹凸模様を透明樹脂シー
トに形成しそれを基材に積層する方法(特開平4−17
5742号公報)等が知られている。
【0006】しかしながら、光沢のあるインキで印刷す
る方法は、特定の方向(角度)においては全体に照りが
発生するが他の方向では照りが生しないものであり、前
記のようないわゆる照りの移動感は生じ得ないものであ
る。また、万線条溝からなるエンボス加工を施す方法
は、ラワン材のように光沢縞が木目の年輪模様方向とほ
ぼ平行でかつ比較的大きな面積を持つの照りの表現ある
いは移動感がゆったりとしかつなだらかな照りの表現に
は、それを効果的に再現することが可能である。しか
し、金属表面の結晶方向による照りやバーズアイメイプ
ル、サペリ(樹種)のように、あるいは芽節の影響等で
成長層が小円錐状に突出し板目面に小径の円又は楕円の
輪郭が現れたりあるいは逆に成長層が小円錐状に落ち込
んだ場合のようなデインプルや鳥眼杢のように小さな閉
領域面積を単位とした照りの移動、反転が激しく発現す
るものについては、その自然に近い照りの表現を出すこ
とは、ほぼ不可能であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の技
術では未だ解決できなかった小面積内での照りの表現を
化粧材に再現することのできるエンボス版を得ることを
目的として、本出願人は、天然の木材板の表面を基準方
向に対して光の照射方向を変えて複数枚撮影する工程、
得られた各撮像画における所定値以上の明るさを持つ閉
領域のみを取り出した画像を作成する工程、該閉領域に
撮影時の光の照射方向を基準方向とした所定方向の万線
条溝を割り付ける工程、得られた各万線割り付け画像を
見当を合わせて重ね合わせる工程、及び該重ね合わされ
た画像に基づきエンボス版を製版する工程とからなるこ
とを特徴とする、木材の照りの移動を表現するエンボス
版の製造方法を開発し、すでに出願している(特願平4
−87245号)。上記方法により製造したエンボス版
を用いることにより、バーズアイメイプルのような天然
木材が持つ小面積内での照りの状態をリアルに発現でき
る化粧材を得ることが可能となった。
【0008】本発明は、上記のエンボス版の製造方法に
さらに改良を加えたものであり、前記したように光の入
射方向と視点との位置関係が相対的に異なった条件にあ
る場合には、その位置関係に応じて明るく照って見える
部分あるいは暗く影になって見える部分のそれぞれの微
細凹凸の方向と光の入射方向との関係が異なってくるこ
とから、そのことを前提に、光源の方向と視覚(撮影)
方向とを任意の位置関係に設定して撮影を行いそれを基
にエンボス版を製造する場合であっても確実に被撮影体
の持つ自然な照りの移動感をリアルに表現することので
きるエンボス版を製造することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、基準となる2種以上の方向を持った万
線条溝板を用いて、光源方向と撮影方向との相対的配置
と当該配置において所定値以上の明度を視覚できる万線
条溝の光源方向との角度とのデータベースを作成する工
程と、光源と撮影機との位置関係は変えずに、基準方向
に対する原画と光源との位置関係を変化させながら原画
の表面を複数枚撮影する工程と、得られた各撮像画にお
ける所定値以上の明度持つ閉領域のみを取り出した画像
を作成する工程と、前記データベースから、原画撮影時
の光源と撮影機との位置関係と実質的に同じ位置関係に
おける所定値以上の明度を視覚できる万線条溝の光源方
向との角度を認識する工程と、前記認識した光源方向と
の角度を持つ条溝を、該各閉領域に割り付ける工程と、
得られた各条溝割り付け画像を見当を合わせて重ね合わ
せる工程と、及び、該重ね合わされた画像に基づきエン
ボス版を製版する工程とからなることを特徴とするエン
ボス版の製造方法を開示する。
【0010】基準となる万線条溝板として任意のものを
用い得るが、原画となる被撮影体の表面が持つ微細凹凸
の平均寸法、形状を解析し、それに近似した直線的凹凸
条溝を例えば15°ピッチあるいは45°ピッチ毎のよ
うに任意の角度で複数区域に割り付けたものを用いるこ
とは好ましい態様である。万線条溝板は次のような方法
により作成することができる。
【0011】例えば、特開昭57−18300号公報に
開示されるように、表面に感光性レジスト膜を塗工した
金属板を用意し、一方平面を複数の閉領域に区画したう
ちの一つの区画のみ開口したマスクを用意し、該レジス
ト膜上へマスクと0°方向の万線スクリーン状遮光パタ
ーンフィルムとを重ねて露光し、次いで別の区画を開口
したマスクと、45°方向の万線スクリーンとを重ね露
光する。以下、同様にして別の区画に別方向の万線を露
光した後、レジストを現像し腐食する方法があげられ
る。
【0012】次に、万線条溝板を用いて光源方向と撮影
方向との相対的配置と当該配置において所定値以上の明
度を視覚できる万線条溝の光源方向との角度とのデータ
ベースを実験的に作成する。その一例を図1、図2、図
3を参照しつつ説明する。図1は前記した方法により作
成した基準となる万線条溝板の一例であり、この例にお
いては基材の表面を9つの区域に区分すると共に、周囲
の8区画には基準方向(図においてx方向)を0°とし
反時計方向に30°、45°、60°、90°、120
°、135°、150°の方向の直線万線条溝をそれぞ
れ割り付け、中央の区画はそこをさらに4つに区分けし
て90°、135°0°、45°の直線万線条溝を割り
付けたものである。中央の区画を異なった割り付け態様
としたのは、通常光源からの光の方向は万線条溝板の中
央に標準を合わせるため、周辺区画と中央区画とでは同
一万線方向にもかかわらず反射強度に光の差が生じる場
合があり、その影響を考慮したためである。なお、区域
分けの数、区域の形状、それぞれの区域に割り付ける直
線万線条溝の角度は任意である。
【0013】図2及び図3はこの万線条溝板を用いて前
記データベースを作成する一態様を示している。図示の
例においては、適宜の基板Sの中央に前記万線条溝板を
固定したものを水平状態に配置すると共に光源Lを水平
面に対して45°の入射角となるように配置している。
次に、図2に示すように撮影機Cを万線条溝板の法線Z
上に配置して撮影を行う。この場合、入射光線と前記法
線Zとを含む面(入射面)Pの方向と前記万線条溝板の
基準方向とを一致させる(その方向を角度θ=0°とす
る)。以下、光源の位置は変えずに、撮影機の位置を例
えば入射面P内において法線Zから任意の角度傾斜させ
て(図2におけるC’)、あるいは入射面Pとは異なっ
た平面において法線Zから任意の角度傾斜させて(図3
におけるC、この場合には入射面Pに直交する平面にお
いて法線Zから所定角度傾斜している)、所定枚数の撮
影を行う。また、撮影機Cの位置を所定の位置に固定し
た状態で光源の位置及び方向を変えながら(図3におけ
るL’、この場合には入射面Pにおいて法線Zの対称位
置に光源が配置されている)同様に必要な枚数の撮影を
行う。
【0014】このように、基準となる万線条溝板を用い
て光源方向と撮影方向との相対的配置を種々変化させて
必要な枚数の撮影を行う。既に述べたように光源の方向
と撮影装置の方向との相対的配置の違いにより万線条溝
板に割り付けられた直線万線条溝のうち明るく見える部
分が異なってくる。撮影されたそれぞれの画像を分析
し、各画像において最も明るく見える部分に対応する万
線条溝板の直線万線条溝の方向と当該画像の撮像時にお
ける光源及び撮影機の方向と角度との関係を記録しこれ
をデータベースとして保存する。
【0015】なお、実際の実験において、直線万線条溝
の場合に、図2の撮影機Cを法線Z上に配置して撮影し
たときに明るく見える領域は直線万線条溝の方向が光の
入射方向と直交する領域(図1において90°方向の領
域)であり、撮影機を光線の正反射方向線上に配置(図
2におけるC’)したときは光の入射方向と平行な領域
(図1において0°方向の領域)であった。また、撮影
機の方向を図2のC’の位置から90°法線に沿って回
転させた位置である図3においては、光源Lの配置の場
合は135°付近(120°〜150°)の領域であ
り、光源L’の配置では45°付近(30°〜60°)
の領域であった。
【0016】このようにして、異なった形状や種類の万
線条溝を割り付けた基準万線条溝板毎に、光源方向と撮
影方向との相対的配置を変更した場合における所定値以
上の明度を視覚できる万線条溝の光源方向とのなす角度
に関するデータベースを作成する。なお、上記の説明は
写真撮影を前提に説明したが、CCD等を用いた電子的
画像処理手段と適宜の情報処理手段を用いて前記データ
ベースを作成することも勿論可能である。
【0017】次に、被撮影体である天然木材あるいは金
属材料等の表面の撮影を行う。その際に、光源と撮影機
との位置関係は変えずに基準方向に対する原画と光源と
の位置関係を変化させながら原画の表面を複数枚撮影す
る。そして、撮像画から所定値以上の明るさを持つ閉領
域を取り出す。取り出し手段は、従来公知のレイアウト
スキャナー等の画像処理手段を用いて光学的に走査し、
電気信号に変換し、A−D変換してデジタル化したデー
タとして記録しておき、それをあるしきい値に基づき2
値化したデータとして出力して陰画として取り出しても
よく、また、在来の写真光学的手法、例えばリスフィル
ム等の硬調(高ガンマ値)感光フィルムを用いて焼き付
けることにより一定以上の明るさの部分を取り出すよう
にしてもよい。
【0018】実際の撮影においては、原画に対する光源
の位置及び撮影装置の位置は撮影環境あるいは原画とな
る被撮影体の種類や形状等に応じてそのつど変えざるを
得ないものであり、常に特定の関係を保って撮影するこ
とはできない。そして、原画撮影時の光源と撮影機との
位置関係によっては(図2のC’や図3の位置関係の場
合)撮影された画像に歪みが生じる。その場合には適宜
の手法によりその歪みを補正し、補正後の画像に基づき
前記閉領域のみを取り出した画像を作成する。それによ
りどのような撮影位置で撮影した場合であっても最終的
に歪みのないエンボス版を製造することができる。補正
手段は画像の撮影手段によって異なるがいずれに従来用
いられる補正手段を適宜用いればよい。
【0019】次に、明るい部分のみを閉領域として取り
出した複数枚のネガフィルムを作成し、さらに該ネガフ
ィルムからポジフィルムを作成した後、該白場の部分に
対して万線条溝を割り付ける(以下において、原稿の明
るい部分が白く抜けるフィルムをポジフィルムと呼ぶこ
ととする)。この万線条溝の割り付けに際して、前記し
たデータベースを利用する。すなわち被撮影体表面の微
細凹凸の形状に近似した直線万線条溝を持つ基準万線条
溝板のデータベースにアクセスし、さらに当該フィルム
撮影時の光源と撮影装置との位置関係において明るく見
える(所定以上の照度を持つ)領域での直線万線条溝の
方向を検索する。例えば、図3の場合には、135°方
向である。
【0020】割り付けは従来の印刷技術において万線を
割り付ける任意の手法を用い得るが好ましくは、次のよ
うにして行う。まず、プロッターによって描かせた直線
万線あるいは曲線万線を用意する。必要に応じて、線
比、ピッチによりカメラにより拡大・縮小してもよい。
万線幅は、任意であるが、例えば天然木材表面の場合に
は木材繊維の幅とほぼ等しい(例えば、バーズアイメイ
プルの場合10〜23μ)ことが望ましい。その万線
を、それぞれのネガフィルムの白場に露光する。その際
に、それぞれのフィルムは基準線に方向を一致させて配
置するようにし、該フィルムの白場に対して当該フィル
ムの撮影時での光の照射方向に対して前記データベース
から検索した角度だけ傾斜した角度(あるいは180°
−傾斜方向角度)の万線として、それぞれ露光する。な
お、万線の方向を基準線と同一方向に固定しておき、ポ
ジフィルムの方向を変化させても同様な結果を得ること
ができる。
【0021】次に、このようにしてポジフィルムの白場
をデータベースから検索された角度に傾斜した万線と置
き換えた各万線置き換えフィルムを見当を合わせて一枚
のフィルムに多重露光等の手段により重ね合わせ、各フ
ィルムの白場に置き換えた万線を重複した形で一枚のフ
ィルム上に形成する。上記の処理は画像処理機上で行う
ことも可能である。その際には、例えば印刷の製版・集
版工程に用いられるレイアウトスキャナーを用い、該ス
キャナーに各ネガフィルムと万線とを記憶させた後に、
機械上で万線角度を変えてネガフィルムの白場部分に万
線をはめ込み、最終的にそれぞれのフィルムを合成す
る。
【0022】それらのフィルムをさらに多重露光するこ
とにより、エンボス版作成用のネガフィルムを作成す
る。この原版フィルムに基づいて銅、鉄のような金属板
あるいは合成樹脂板に公知の光エッチング法により、感
光性レジストの塗工・露光・現像・エッチングを行って
製版することにより本発明によるエンボス版をうること
ができる。版への万線条溝の形成法としては光エッチン
グの他、Co2 レーザー等のレーサービームで溝を切削
加工してもよい。このようにした制作したエンボス版を
用いて熱可塑性樹脂に加熱押圧して万線条溝を賦型し、
その賦型された熱可塑性樹脂フィルムを適宜の木目模様
を印刷した基材とともに積層して化粧材を作成する。
【0023】なお、前記閉領域に割りつける条溝の形状
は任意である。好ましくは、基準となる万線条溝板に形
成した万線条溝に近似の形状のものを用いるが、図4に
示すような細長いダイアモンド型の不連続な凹溝を長さ
方向に連続的に配置したものであってもよい。そのよう
な場合にはその形状に応じた特有の照り感を創作するこ
とが可能となる。
【0024】さらに、撮像手段が写真撮影手段であるこ
とは好ましい態様であるが、他にテレビカメラ、光学的
スキャナー等による撮像手段を用い、特定画像の取り込
みや重ね合わせ等をいわゆる電気的画像処理により行う
ことももちろん可能である。また、基準方向に対して原
画と光源との位置関係を変化させながら原画の表面を複
数枚撮影する場合、被撮影体を所定角度づつ回転させて
複数回撮影してもよく、逆に、被撮影体を固定しておき
光源と撮像手段とを所定角度づつ回転させて撮影しても
よい。いずれの場合も回転角度も任意であるが撮像手段
を基準線に対して少なくとも180°回転させれば必要
な画像を得ることが可能である。また、撮像毎に移動す
る移動角度も任意であるが、15°、30°あるいは6
0°ピッチのように等ピッチで回動させて撮像すること
が好ましい態様であり、ピッチ角が細かい程照りの移動
がなだらかに起こり、よりリアル感、深み感、立体感が
得られる。
【0025】なお、以上の方法で製造された化粧材上の
万線条溝の一例の斜視断面図を図11に示す。天然木の
照りを再現するためには通常図11における凹部幅
D 、凸部幅WT (エンボス版上では逆に凸部幅WD
凹部幅WT )は1〜1000μ、特に5〜100μ程度
が好ましいものである。また、凹溝(凸部)の深さD
は、1〜200μ、好ましくは5〜100μ程度が好ま
しい。
【0026】
〔実施例1〕
(1) 基準となる万線条溝板を図1に示す形状に作成し
た。割り付けた直線万線条溝は幅30μm、深さ20μ
mの方形断面のものとした。その万線条溝板を図2に示
すようにして写真撮影を行った。その際に、光源は図2
において左方向から45°の角度で照射し、写真機は図
2のCの位置すなわち法線方向に設置して撮影した。写
真を分析したところ光源方向に直角な方向にある直線万
線条溝の部分(図1における90°の部分)がより明る
く撮影されていた。 (2) 次に、バーズアイメイプルの突板をサンドペーパ
ーで研磨し(#400)、クリアラッカーシンナー塗装
仕上げをして原稿とし、これを水平な載置台の上に載置
し、原稿表面が水平になるようにした。載置台には、直
交座標x−yに相当する線を引き、これを角度の基準方
向すなわち0°と設定した。該原稿を、基準となる万線
条溝板を撮影したときと同じ光源及び写真機の配置条件
で、すなわち1方向(図1において左側、具体的には図
2に示す方向)より光を当てかつ図2のCの位置すなわ
ち法線方向から撮影した(図5a)。
【0027】写真機の位置を固定した状態で、原稿を左
廻りに60°回転させ、同様に1方向より光を当て2枚
目の画像を撮影した(図5b)。さらに、原稿を左廻り
に120°回転させ、同様に1方向より光を当て3枚目
の画像を撮影した(図5c)。 (3) (1)で撮影した階調のある3枚のネガフィルムに対
して、画像処理機(レイアウトスキャナー、イメージャ
ーIIIサイテックス社製)を用いて濃度分布処理を行っ
た。各フィルムの濃度の明るい部分(照りを生じた部
分)を一定のしきい値を基準として2値化処理を行い明
るい方から順に面積で1/3くらいになるように閉領域
として取り出した(図6、a,b,c)。 (4) (2)で作成した3枚のフィルムそれぞれのネガフィ
ルムすなわちポジフィルムを作成した(図7、a,b,
c)。 (5) 前記(1)に記したように万線条溝板によるデーター
では光線の入射面に直角方向の万線領域が明るい領域で
あったので、3で作成した3枚のポジフィルムのそれぞ
れの白場を撮影時の光線の入射面と直角となるよう万線
と置き換えた。すなわち、プロッターによって描かせた
直線万線をカメラにより縮小して万線幅はバーズアイメ
イプル突板の木材繊維の幅とほぼ等しい幅としたもの
を、それぞれのポジフィルムの白場a,b,cに対して
露光した。その際に、それぞれのフィルムは図6に示す
ようにフィルムの底辺x’方向を一致させて配置するよ
うにし、該フィルムの白場に対してそのフィルムの撮影
時での基準線に対して90°の角度となるように万線の
方向を傾斜させて、それぞれに露光した。万線比は、黒
場:白場=60μ:60μとした。具体的には、0°で
撮影したフィルム(a)にはフィルムの底辺x’に対し
て90°の万線、60°で撮影したフィルム(b)には
フィルムの底辺x’に対して30°の万線、120°で
撮影したフィルム(c)にはフィルムの底辺x’に対し
て150°の万線、で置き換えた(図8、a,b,
c)。 (6) (5)で作成したそれぞれの万線置き換えフィルム
a,b,cを見当をあわせて1枚のフィルムに多重露光
法により重ね合わせた(図9)。 (7) 銅版に感光性レジストを塗布し、(6)のネガフィル
ムを積層して光を露光し、現像工程、腐食工程を経て、
エンボス版を作成した(版深20μ)。 (8) 上記のエンボス版を用いて、化粧PVCシートに
熱圧成型したところ、本物のバーズアイメイプル突板の
持つ小さな面積での多くの照りの移動を感じさせる化粧
シートが得られた。本物の木と化粧シートを並べて、同
じように動かしたところ同様な照りの移動が生じ、両者
の同じ部分が明るくなったり暗くなったりした。すなわ
ち、このようにして得られた化粧シート表面の凹凸形状
は、原稿の天然木突板表面の繊維群の配列方向を角度の
基準方向に対して、30°、90°、150°の3段階
に量子化して再現したものと考えることができる。 〔実施例2〕 (1) 基準となる万線条溝板を図1に示す形状に作成し
た。割り付けた直線万線条溝は幅30μm、深さ20μ
mの方形断面形状のものとした。その万線条溝板を図3
に示すようにして写真撮影を行った。その際に、光源は
図3において左方向から45°の角度で照射し、写真機
は図3のCの位置、すなわち入射面Pに直交する平面に
おいて法線Zから45°傾斜した位置に設置して撮影し
た。写真を分析したところ光源方向に対して135°傾
斜した方向にある直線万線条溝の部分領域が最も明る
く、次いで120°及び150°の領域が明るかった。 (2) ガルバニウムの金属結晶板を原稿とし、これを水
平な載置台の上に載置し、原稿表面が水平になるように
した。載置台には、直交座標x−yに相当する線を引
き、これを角度の基準方向すなわち0°と設定した。該
原稿を、基準となる万線条溝板を撮影したときと同じ光
源及び写真機の配置条件で、かつ写真機の位置を固定し
た状態で、原稿を右廻りに45°、90°、135°と
回転させ、4枚のフィルムを作成した。 (3) 撮影したフィルムはいずれも奥行き方向が遠方程
寸法が収縮する歪みが生じていたので、該フィルムをス
キャナで入力してブィルム画像をデジタル信号に変換
後、デジタル画像処理で射影変換を行い歪みを相殺し、
スキャナで写真フィルムに露光・出力することにより歪
みを補正した。 (4) 歪みを補正した4枚のフィルムに対して、実施例
1と同様にしてポジフィルムを作成した。 (5) 前記(1)に記したように万線条溝板によるデータで
は光線の入射面に135°方向の万線領域が最も明るい
領域であったので、実施例1の場合と同様にして4で作
成した4枚のポジフィルムのそれぞれの白場を撮影時の
光線の入射面と135°となるよう万線と置き換え、そ
れぞれの万線置き換えフィルムを見当をあわせ、以下実
施例1と同様にしてエンボス版を作成した。 (6) このエンボス版を用いて、化粧PVCシートに熱
圧成型したところ、本物のガルバニウムの金属結晶板に
きわめて近似した照りの移動を持つ化粧シートがえられ
た。このようにして得られた化粧シート表面の凹凸形状
は、原稿のガルバニウムの金属結晶板の表面凹凸の配列
方向を角度の基準方向に対して、0°、45°、90
°、135°の4段階に量子化して再現したものと考え
ることができる。
【0028】なお、実施例1の説明で、照りの部分を円
形領域として図示しかつ説明したがそれはあくまでも説
明を簡素化するための目的で行ったに過ぎず、実際の木
板あるいは金属板では図10に示すように不規則な形状
の領域となることが普通であることは容易に理解されよ
う。
【0029】
【発明の効果】小さな閉領域面積を単位として多くの照
りの移動を生じる木材の表面あるいは金属板表面での照
りの移動を表現するエンボス版を撮影条件に如何を問わ
ず確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 基準となる万線条溝板を説明する図。
【図2】 データベースを作成する状態を示す図。
【図3】 データベースを作成する状態を示す図。
【図4】 条溝の他の形状を示す図。
【図5】 原稿の作成のために原画の表面を撮影する状
態を説明する図。
【図6】 各ネガフィルムの濃度の濃い部分を閉領域と
して取り出した図。
【図7】 各フィルムのポジフィルムを示す図。
【図8】 各ポジフィルムの白場を万線と置き換えた
図。
【図9】 図8のフィルムを合成した図。
【図10】 天然木に本発明を適用した場合に実際に生
じる閉領域の一例を模試記に示す図。
【図11】 本発明により製造された化粧材上の万線条
溝の一例の斜視断面図。
【図12】 天然木板の照りの発生を説明する図。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03F 1/00 G03F 1/02 G03F 5/24

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基準となる2種以上の方向を持った万線
    条溝板を用いて、光源方向と撮影方向との相対的配置と
    当該配置において所定値以上の明度を視覚できる万線条
    溝の光源方向との角度とのデータベースを作成する工
    程、 光源と撮影機との位置関係は変えずに、基準方向に対す
    る原画と光源との位置関係を変化させながら原画の表面
    を複数枚撮影する工程、 得られた各撮像画における所定値以上の明度を持つ閉領
    域のみを取り出した画像を作成する工程、 前記データベースから、原画撮影時の光源と撮影機との
    位置関係と実質的に同じ位置関係における所定値以上の
    明度を視覚できる万線条溝の光源方向との角度を認識す
    る工程、 前記認識した光源方向との角度を持つ条溝を、該各閉領
    域に割り付ける工程、 得られた各条溝割り付け画像を見当を合わせて重ね合わ
    せる工程、及び、 該重ね合わされた画像に基づきエンボス版を製版する工
    程とからなることを特徴とする、エンボス版の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 基準となる万線条溝板として、原画とな
    る被撮影体の表面が持つ凹凸の平均寸法に近似した寸法
    の直線的凹凸条溝を異なった角度で複数区域割り付けた
    ものを用いることを特徴とする、請求項1記載のエンボ
    ス版の製造方法。
  3. 【請求項3】 閉領域に割りつける条溝が基準となる万
    線条溝板に形成した万線条溝に近似の形状の万線条溝で
    あることを特徴とする、請求項1記載のエンボス版の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 閉領域に割りつける条溝が、不連続な凹
    溝の連続体であることを特徴とする、請求項1記載のエ
    ンボス版の製造方法。
  5. 【請求項5】 撮影された画像の歪みを補正する工程を
    さらに有し、該補正後の画像に基づき前記閉領域のみを
    取り出した画像を作成することを特徴とする、請求項1
    記載のエンボス版の製造方法。
  6. 【請求項6】 撮像手段が写真撮影手段であることを特
    徴とする、請求項1ないし4記載のエンボス版の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 被撮影体として天然の木材板を用いるこ
    とを特徴とする、請求項1ないし5記載のエンボス版の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 被撮影体として金属結晶板を用いること
    を特徴とする、請求項1ないし5記載のエンボス版の製
    造方法。
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