JP3219661B2 - コンクリート用化粧型枠並びにそれを用いたコンクリート製品及びコンクリート製品の製造方法 - Google Patents

コンクリート用化粧型枠並びにそれを用いたコンクリート製品及びコンクリート製品の製造方法

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JP3219661B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に凹凸模様が
形成されたコンクリート製品の製造に好適なコンクリー
ト用化粧型枠並びにその型枠を用いて製造されたコンク
リート製品及びコンクリート製品の製造方法に関し、詳
しくは、任意の形状の凹凸模様が簡単に形成でき、リサ
イクルが可能なコンクリート用化粧型枠並びにその型枠
を用いて製造されたコンクリート製品及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンクリート表面に凹凸模様を施
して、建造物や歩道の美観を向上させる傾向が一般的で
あり、表面に凹凸模様を施して付加価値を付けたコンク
リートブロックやコンクリートパネルが盛んに製造され
ている。
【0003】また、さらに、平板状のコンクリート製品
のみならず、表面に曲率を有する柱や、波型等のなだら
かな曲率を有する装飾パネル等、曲面を形成するコンク
リート製品も需要が増加している。
【0004】従来、コンクリートの表面に凹凸模様を形
成する方法としては、一般的には、底面に予め凹凸模様
を形成した樹脂製のコンクリート用化粧型枠を用いる。
この樹脂製化粧型枠は、発泡スチロール、ウレタン等の
樹脂及びこれらの樹脂に補強繊維を充填した繊維補強樹
脂(FRP)等の素材で成形されている。これらの硬質
樹脂型枠は、既成の化粧型枠を購入して用いられる場合
が殆どである。
【0005】なかでも、発泡スチロールを用いた化粧型
枠は樹脂強度が低いため、脱型する際に破損し、作業性
が悪い、加えて使い捨てであり、発泡スチロールの廃材
の処分も問題となる。また、ウレタン製の化粧型枠は再
使用可能であるが、コンクリートの型離れ性が悪く、コ
ンクリート打設の繰り返しにより型枠面にはセメントペ
ーストが逐次付着し、シャープな凹凸模様がコンクリー
ト表面に形成し難くなり、再使用回数は10〜20回程
度にすぎない。
【0006】さらに、曲面を有するコンクリートの表面
に凹凸模様を形成する方法としては、一般的には、表面
に予め凹凸模様を形成した樹脂製化粧型枠を鋼製の曲率
を有するコンクリート型枠にセットして用いているが、
樹脂製化粧型枠を鋼製のコンクリート型枠にセットして
用いる際、曲率精度の関係でうまくセットできす、コン
クリート製品の仕上がり状態に影響を及ぼす虞があっ
た。
【0007】また、曲面を有する化粧型枠を製造する他
の方法としては、所望の凹凸模様を形成した発泡スチロ
ール製化粧型枠にスリットを施し、ある程度変型できる
ように加工されたものを、曲率を有するコンクリート型
枠にセットして用いる方法がある。図4は、従来のスリ
ットを施した化粧型枠20の概略断面図であり、(A)
は、発泡スチロール製化粧型枠20にスリット22を施
した状態を示し、(B)は、発泡スチロール製化粧型枠
20を折り曲げて曲率を形成した状態を示す。
【0008】この方法では、なめらかな曲率が表現でき
ず、大きく変型させると破損する虞があるため小さい曲
率には対応できない。また、この方法においても前記の
樹脂製化粧型枠と同様に鋼製のコンクリート型枠にセッ
トして用いる際の曲率精度の問題も有している。
【0009】従来汎用されている化粧型枠は硬質樹脂製
であり、(1) 化粧型枠は専門の製造メーカー以外では設
備の関係から製造が困難であり、(2) 既存の硬質樹脂製
化粧型枠はコンクリートの型離れ性が悪く、離型剤を必
要とし、(3) 凹凸模様も脱型勾配をつけた形状のもの以
外は脱型できず、成形しうる凹凸模様も市販の模様に選
択の範囲が限られている、(4) 硬質樹脂は熱硬化性や反
応硬化性のものが大部分であり、再生使用ができない、
等の欠点があった。さらに、これらの欠点は曲面を有す
るものに用いた場合、平板よりも顕著であった。
【0010】即ち、従来の化粧型枠を用いては、化粧型
枠の再生使用が不可能であり、さらに、表面に所望の、
即ち、製造メーカーが供給しうる既存の化粧型枠の範囲
外の凹凸模様の形成や、曲面を有するようなコンクリー
ト製品の製造には、化粧型枠の特別注文の必要があり、
コストもかかり、容易ではなかった。
【0011】このため、石膏による転写型枠を使用する
ことも考えられるが、石膏製型枠は任意の凹凸模様や曲
面を形成させて製造するのは容易であるが、コンクリー
ト脱型時に破損するため1回の使用に限られるという問
題があった。
【0012】即ち、従来の化粧型枠は、表面に所望の凹
凸模様を形成し、また、所望の曲面を有するようなコン
クリート製品の製造は、コンクリート製品工場などで簡
単に対応しうるものではなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事実に
鑑みなされたもので、表面に所望の凹凸模様を形成した
コンクリート製品を容易に製造することができ、しか
も、再使用及びリサイクル可能で、特別の設備を必要と
せず容易に製造しうるコンクリート用化粧型枠及びその
化粧型枠を用いて製造された表面に所望の凹凸模様を形
成したコンクリート製品及びその簡単で作業性の良好な
製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の化粧型枠は、コ
ンクリートの表面に凹凸模様を形成するコンクリート用
化粧型枠であって、高分子有機材料と低分子材料とを主
成分とし、該高分子有機材料の前記主成分における体積
分率が30%以下である高分子ブレンド材料を用いて構
成され、且つ、該高分子有機材料が結晶構造や凝集構造
などの硬質ブロックを形成しやすい部分とアモルファス
構造などの軟質ブロックとを一緒に持ち合わせている
次元連続の網状骨格構造を有する熱可塑性材料を用いる
ことを特徴とする。
【0015】ここで用いる化粧型枠用熱可塑性材料(以
下、適宜、型枠用材料と称する)は、高分子有機材料と
低分子材料とを主成分とし、該高分子有機材料の前記主
成分における体積分率が30%以下である高分子ブレン
ド材料を用いて構成され、且つ、該高分子有機材料が
晶構造や凝集構造などの硬質ブロックを形成しやすい部
分とアモルファス構造などの軟質ブロックとを一緒に持
ち合わせている三次元連続の網状骨格構造を有する高分
子ブレンド材料を用いて構成されている。
【0016】さらに、本発明のコンクリート用化粧型枠
においては、上記高分子ブレンド材料が数平均分子量
0,000以上の高分子有機材料と数平均分子量5,0
00未満の低分子材料とを主成分とし、かつ前記高分子
有機材料と前記低分子材料との溶解度パラメーターの差
が3.0以下であることを特徴とする。
【0017】また、前記高分子有機材料は、(1)ポリブ
タジエンとブタジエン−スチレンランダム共重合体との
ブロック共重合体を水添して得られるポリエチレンとエ
チレン/ブチレン−スチレンランダム共重合体とのブロ
ック共重合体、(2)ポリブタジエンとポリスチレンとの
ブロック共重合体、あるいは、ポリブタジエン又はエチ
レン−ブタジエンランダム共重合体とポリスチレンとの
ブロック共重合体を水添して得られるポリエチレン/ブ
チレンとポリスチレンとのブロック共重合体、(3)エチ
レン/ブチレン共重合体の片末端又は両末端に結晶性エ
チレンが連結したブロック共重合体、(4)エチレン−
プロピレンゴム、このうち特にポリエチレンとエチレン
/ブチレン−スチレンランダム共重合体とのブロック共
重合体、から選択される1種以上であることが好まし
い。
【0018】この型枠用材料は、前記の如き高分子有機
材料を使用して、併用する低分子材料の種類、配合量を
調整することにより、溶融温度が70〜120℃のもの
を調製することができる。
【0019】本発明のコンクリート製品は、請求項1記
載のコンクリート用化粧型枠を用いて成形され、表面に
凹凸模様が形成されたことを特徴とする。
【0020】また、本発明のコンクリート製品の製造方
法は、表面に凹凸模様が形成されたコンクリート製品の
製造方法であって、(1)請求項1記載のコンクリート
用化粧型枠を、コンクリート打設用型枠の内面に配置す
る工程と、(2)該コンクリート打設用型枠の内部にコ
ンクリートを打設する工程と、(3)打設したコンクリ
ートが硬化し、所望の強度を発現するまで養生する工程
と、(4)該コンクリートが硬化したのち脱型し、表面
に付着した化粧型枠用熱可塑性材料からなるコンクリー
ト用化粧型枠を剥がす工程と、を含むことを特徴とす
る。
【0021】また、前記コンクリート打設用型枠は、曲
面を有しているものであってもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0023】本発明の化粧型枠を構成する化粧型枠用熱
可塑性材料は、高分子有機材料と低分子材料とを主成分
とするが、高分子有機材料としては、数平均分子量が
0,000以上の熱可塑性高分子有機材料及びこれらの
ゴム変性物などが挙げられる。
【0024】具体的な熱可塑性高分子有機材料として
は、このうちで結晶構造、凝集構造などの硬質ブロック
を形成しやすい部分と、アモルファス構造などの軟質ブ
ロックとを一緒に持ち合わせているものが特に好まし
く、具体的には、下記〜が挙げられる。
【0025】 ポリブタジエンとブタジエン−スチレ
ンランダム共重合体とのブロック共重合体を水添して得
られるポリエチレンとエチレン/ブチレン−スチレンラ
ンダム共重合体とのブロック共重合体。
【0026】 ポリブタジエンとポリスチレンとのブ
ロック共重合体、あるいは、ポリブタジエン又はエチレ
ン−ブタジエンランダム共重合体とポリスチレンとのブ
ロック共重合体を水添して得られるポリエチレン/ブチ
レンとポリスチレンとのブロック共重合体。
【0027】 エチレン/ブチレン共重合体の片末端
又は両末端に結晶性エチレンが連結したブロック共重合
体。
【0028】 エチレン−プロピレンゴム。 このうち特にポリエチレンとエチレン/ブチレン−スチ
レンランダム共重合体とのブロック共重合体が好まし
い。
【0029】これらの各種熱可塑性高分子有機材料は主
に単独で用いられるが、2種以上をブレンドして用いて
もよい。
【0030】一方、低分子材料としては、100℃にお
ける粘度が、1×10 5 センチポイズ以下であることが
好ましく、また、分子量の観点からは、低分子材料の数
平均分子量は、とりわけ5,000以下であることが好
ましい。このような低分子材料としては、通常、室温で
液体または液状の材料が好適に用いられる。また、親水
性、疎水性のいずれの低分子材料も使用できるが、コン
クリートとの剥離性の観点からは疎水性の低分子材料が
好ましい。
【0031】低分子材料としては特に限定されないが、
次のものが好適に例示される。 軟化剤: 鉱物油系、植物油系、合成系などの各種ゴ
ム用または樹脂用軟化剤。鉱物油系としては、アロマテ
ィック系、ナフテン系、パラフィン系などのプロセス油
などが挙げられる。植物油系としては、ひまし油、綿実
油、あまみ油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、
落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油などが挙
げられる。
【0032】可塑剤: フタル酸エステル、フタル酸
混基エステル、脂肪族二塩基酸エステル、グリコールエ
ステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、ステアリン
酸エステルなどの各種エステル系可塑剤、エポキシ系可
塑剤、その他プラスチック用可塑剤またはフタレート
系、アジペート系、セバケート系、フォスフェート系、
ポリエーテル系、ポリエステル系などのNBR用可塑
剤。
【0033】粘着付与剤: クマロン樹脂、クマロン
−インデン樹脂、フェノールテルペン樹脂、石油系炭化
水素、ロジン誘導体などの各種粘着付与剤(タッキファ
イアー)。
【0034】オリゴマー: クラウンエーテル、含フ
ッ素オリゴマー、ポリイソブチレン、キシレン樹脂、塩
化ゴム、ポリエチレンワックス、石油樹脂、ロジンエス
テルゴム、ポリアルキレングリコールジアクリレート、
液状ゴム(ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴ
ム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリクロロプ
レンなど)、シリコーン系オリゴマー、ポリーα−オレ
フィンなどの各種オリゴマー。
【0035】滑剤: パラフィン、ワックスなどの炭
化水素系滑剤、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸などの脂肪酸
系滑剤、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミドな
どの脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸低級アルコールエステ
ル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコ
ールエステルなどのエステル系滑剤、脂肪アルコール、
多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロールな
どのアルコール系滑剤、金属石鹸、混合系滑剤の各種滑
剤。
【0036】その他、ラテックス、エマルジョン、歴青
組成物、粘土、無機系のシリコンオイル、フォスファゼ
ンなども低分子材料として適している。
【0037】更に、炭化水素系、ハロゲン化炭化水素
系、アルコール系、フェノール系、エーテル系、アセタ
ール系、ケトン系、脂肪酸系、エステル系、窒素化合物
系、硫黄化合物系などの有機溶剤、石油類、水、水溶液
なども物性を調整するために、併用することができる。
【0038】これらの低分子材料は1種を単独で用いて
も、2種以上を混合してもよい。本発明においては、多
量の低分子材料と、より少ない量の高分子有機材料によ
って、多量に低分子材料を含む高分子ブレンド材料を得
るために、用いる低分子材料と高分子有機材料の各々の
溶解度パラメーター値δ=(ΔE/V)1/2 (ΔE=モ
ル蒸発エネルギー、V=モル体積)の差が3.0以下、
好ましくは2.5以下となるよう、両材料を選択するこ
とが好ましい。この差が3.0を超えると両材料の相溶
性の点から、低分子材料が多量に保持されにくく、得ら
れる高分子ブレンド材料の低弾性化の障害となり、ま
た、低分子材料のブリードが発生しやすくなるので好ま
しくない。
【0039】また、この型枠用材料は、硬化後のひび割
れがなく、コンクリート製品からの剥離を容易とするた
めには、後述するように最適な剪断、引張強度及び伸び
特性を有することが必要であり、このため、型枠用材料
の高分子ブレンド材料を構成する高分子有機材料は、三
次元連続の網状骨格構造を形成することが必要であり、
その網状骨格の平均径が50μm以下、好ましくは30
μm以下、セル(網目)の平均径は、500μm以下、
好ましくは300μm以下であり、高分子有機材料の体
積分率を[高分子有機材料の体積/(高分子有機材料の
体積+低分子材料の体積)]×100(%)と定義した
とき、高分子有機材料の体積分率が30%以下、特に2
5%以下であることが望ましい。
【0040】該高分子ブレンド材料は、所定量の高分子
有機材料及び低分子材料、及び、必要に応じてその他の
配合剤を、高分子有機材料が三次元連続の網状骨格構造
の形成し得る混合条件にて混合することにより得ること
ができるが、この場合、高分子有機材料による均一な三
次元連続の網状骨格構造を有すると共に、低分子材料の
ブリードが少なく、しかも前述の特性を満たす高分子ブ
レンド材料を得るためには、混合機としては高剪断型混
合機を用いるのが好ましく、特に、固定壁と回転するロ
ーターとの間で高い剪断力、高い剪断速度を与え得るも
のであって、固定壁と回転部(ローター)との距離(ク
リヤランス)をt(m),ローターの回転周速度をv
(m/sec)とし、ローターの剪断速度をVとして、
V=v/t(sec-1)と定義した場合、 V≧5.0×102 (sec-1) 好ましくは V≧1.0×103 (sec-1) より好ましくは V≧2.5×103 (sec-1) もっと好ましくは V≧5.0×103 (sec-1) を満たす高剪断型特殊ミキサーを用いるのが有利であ
る。
【0041】本発明に係る高分子ブレンド材料は、通常
のバルク状、ゲル状、フォーム状など特に限定されない
が、ゲル状態であるもの、特に熱可塑性高分子有機材料
よりなる三次元連続の均一な網状骨格構造を有するゲル
状態であるものはとりわけ本発明に有効である。
【0042】この型枠用材料の硬化後の物性としては、
JIS K6301の引張試験で評価した引張強度が
0.5kg/cm2 以上であり、破断時の伸びは300
%以上であることが、硬化後のコンクリート製品から剥
離する際の作業性の観点から好ましい。
【0043】この型枠用材料は、前記〜に挙げた如
き高分子有機材料を使用し、低分子材料の種類及び配合
量を調整することにより、溶融温度が、例えば、70〜
120℃の範囲のものを調製することが可能であるが、
コンクリートの養生を加熱して行う場合を考慮して、溶
融温度が100〜120℃のものを用いることが好まし
い。
【0044】次に、本発明の化粧型枠の凹凸模様の形成
方法について説明する。硬質樹脂と異なり、本発明の化
粧型枠に用いる型枠用材料は、硬化して弾性を有する固
体となるため、簡単に化粧型枠を製造することができ
る。
【0045】まず、所望の凹凸模様の原型を準備し、型
枠用材料を溶融温度以上に加熱して、オイル状となった
ものを用いて原型の凹凸模様を転写する。転写する方法
としては、原型を敷設した型枠内に注入する方法、溶融
した型枠用材料を容器にいれ、そこに原型を浸漬してそ
のまま型枠用材料を硬化する方法等が挙げられる。
【0046】この所望の凹凸模様が形成された型枠に
は、特に制限はなく、所望の意匠のレリーフを施した平
板を底面に配置した型枠、擬木表面を形成するための丸
太を敷き並べた型枠、表面に石の浮き出し状の凹凸模様
を形成するための、天然石を配置した型枠など、目的と
する意匠に応じて、適宜選択される。
【0047】型枠用材料の加熱方法としては、例えば、
容器内に入れ、容器を直火、ヒーターにより加熱する方
法、乾燥機内で加熱する方法、電子レンジ内でマイクロ
ウェーブにより加熱する方法、蒸気により加熱する方
法、サンドバス、オイルバスにより加熱する方法等が挙
げられ、特に制限はないが、温度制御が確実で、均一に
加熱し得るという観点から、蒸気により加熱する方法を
採用することが好ましい。
【0048】オイル状に溶融した型枠用材料は、従来の
熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の溶融状態と比較しても粘
度が低く、流動性に優れ、形状追随性が良好であるた
め、凹凸模様原型の凹凸部の細部にまで均一に型枠用材
料が充填され、原型の形状の細部まで正確に再現した化
粧型枠を作成することができる。さらに、型枠用材料は
加熱溶融時と、冷却された硬化状態時とで長さ変化が殆
どないため、熱収縮や熱膨張による原型形状の再現性低
下の問題もないという優れた物性を有する。
【0049】オイル状に溶融した型枠用材料の注入は、
化粧型枠の成形に必要な厚みとなるように行なわれる。
このとき、板状の化粧型枠の面強度を向上するために、
可撓性の補強材、例えば、ラス材等を予め型枠用材料中
に配置することもできる。
【0050】その後、型枠用材料を室温まで冷却して硬
化した後、型枠から取り出し、又は、原型が内部に浸漬
されたまま硬化した型枠用材料は適当な部分で複数に分
割して原型を取り出し、化粧型枠とするものである。
【0051】この型枠用材料は、加熱すると溶融し低粘
度のオイル状を示すが、室温まで降温すると固体状態と
なる。従って、型枠用材料の硬化は型枠を室温に放置す
ることによって行うことができる。また、作業性向上の
ため、型枠を低温庫に入れるなどして、積極的に冷却し
て硬化させることもできる。
【0052】かくして得られた本発明の型枠用材料の硬
化体は、所望により保持用のコンクリート成形用型枠
(以下、適宜、コンクリート型枠と称する)内に配置し
て用いる。
【0053】表面のみに凹凸模様を形成したコンクリー
ト平板のような平板を製造する場合、凹凸模様を転写・
形成した化粧型枠を、コンクリート平板成形用型枠等の
コンクリート型枠の底部に敷設して用いる。また、この
コンクリート型枠に曲面を有するものを使用すれば曲面
を有し、その曲面の表面上に凹凸模様を有するコンクリ
ート製品を製造することができる。
【0054】コンクリート製品から引き剥がした化粧型
枠は、そのまま繰り返し利用することができるが、ま
た、他の模様や形状に使用するために、溶融し、再度成
形して用いることもできる。
【0055】即ち、本発明の化粧型枠を構成する熱可塑
性材料は、加熱溶融させることにより、混入した剥離
剤、セメント、砂、水、塵等の不純物を沈殿させ、容易
に分離、除去することができる。従って、再度使用(リ
サイクル)が容易である。
【0056】次に、本発明のコンクリート製品について
説明すれば、本発明のコンクリート製品は、前記化粧型
枠を使用して製造されるものであり、化粧型枠は前記し
た如く、適当なコンクリート型枠内に配置されてもよ
い。
【0057】本発明のコンクリート製品を製造するため
に、前記化粧型枠に打設するコンクリートは、コンクリ
ート製品の使用目的に応じた配合のものを任意に用いる
ことができる。また、打設方法も、常法によって行うこ
とができる。即ち、通常のセメントコンクリート、プレ
ストレストコンクリート(PC)、軽量気泡コンクリー
ト等を用いることができ、平板やL型擁壁など、定型の
コンクリート製品を製造する場合には、予め補強材を入
れて製造することもできる。
【0058】本発明の化粧型枠にコンクリートを打設し
た後の養生は、常温養生であっても、高温養生であって
もよい。
【0059】作業性の観点からは高温養生が好ましく、
通常行われる蒸気養生の温度は60〜70℃であること
から、溶融温度が100〜120℃のものを用いれば、
通常の条件における高温蒸気養生を行っても、化粧型枠
を構成する熱可塑性材料に影響を与えることはない。
【0060】蒸気養生以外の高温養生を行う場合は、化
粧型枠の変型を防止するため、加熱温度は前記化粧型枠
用材料の溶融温度付近を上限とすることが、仕上がり性
の観点からは好ましい。
【0061】打設したコンクリートが硬化したのち、脱
型し、表面に凹凸模様を形成したコンクリート製品を得
るが、化粧型枠用材料は、熱可塑性高分子有機材料より
なる三次元連続の均一な網状骨格構造内に低分子材料を
保持していることから、疎水性の低分子材料を保持した
場合、材料全体が疎水性となり、コンクリートとの型離
れ性が良好であることから、化粧型枠にコンクリートが
残留することなく、所望の凹凸模様が形成されたコンク
リート製品を得ることができる。従って、離型剤の塗布
等の前処理や残留したコンクリートの除去等の後処理も
必要とせず、化粧型枠の再利用が可能である。
【0062】しかも、型枠用材料全体は高分子網状骨格
構造により保持されたゴム状の弾性体であり、弾性変型
が可能で引張応力に対する強度も十分であることから、
一度に大きな面積の平板や立体的なコンクリート製品か
ら化粧型枠を簡単に引き剥がすことが可能であり、脱型
傾斜を設けない90°の角度の凹凸模様を形成した場合
にも、化粧型枠を簡単に分離することができる。
【0063】本発明の化粧型枠を用いることにより、コ
ンクリート平板の他、コンクリートPC版、カーテンウ
ォール、コンクリートL型擁壁、歩道用コンクリートブ
ロック、コンクリート塀等の表面に任意の凹凸模様を形
成してなるコンクリート製品や、例えば、丸太等の形状
を模倣した立体的なコンクリート製品をも、簡単に製造
することができる。
【0064】本発明のコンクリート製品の製造方法は、
まず、(1)前記化粧型枠を、コンクリート打設用型枠
の内面に配置するものであるが、化粧型枠の特徴及び製
造方法は前記した通りである。
【0065】ここで用いられるコンクリート打設用型枠
は、平板状のものであっても、1つの曲面を有する半円
柱状であっても、複数のなだらかな曲面が連続して形成
されているものであってもよい。得られた化粧型枠は、
弾性変型が可能であることから、いずれのコンクリート
型枠形状にも完全に適合しうるため、硬質樹脂製型枠の
如き曲率精度の問題がなく、平面の他にも、多くの曲面
の変形例に適合することができ、板状の化粧型枠を変形
させ、多様なコンクリート製品の変形例を製造すること
ができ、作業性が良い。
【0066】次に、(2)該化粧型枠を配置したコンク
リート打設用型枠の内部にコンクリートを打設し、
(3)打設したコンクリートが硬化し、所望の強度を発
現するまで養生するが、(2)〜(3)については、コ
ンクリート製品について説明したのと同様に行うことが
できる。
【0067】次に、(4)該コンクリートが硬化したの
ち、まず、コンクリートをコンクリート打設用型枠から
脱型し、その後、硬化したコンクリート表面に付着した
まま脱型したコンクリート用化粧型枠を剥がして、即
ち、化粧型枠からコンクリートを脱型して、コンクリー
ト製品を製造する。この製造方法に用いる化粧型枠は、
前記化粧型枠用熱可塑性材料からなる板状の化粧型枠で
あり、コンクリート製品が平板であると曲面を有すると
に拘らず、コンクリート表面から一枚のシート状で容易
に引き剥がすことができる。
【0068】本発明の化粧型枠が適用できるコンクリー
ト製品の用途としては、特に制限はなく、建築用(建物
の内装、外装用の装飾パネル、装飾柱、床等)、土木用
(道路の舗装、壁面用装飾パネル等)、装飾用(丸太型
のベンチ、エクステリア製品、オブジェ等)等を例示す
ることができる。
【0069】また、本発明のコンクリート製品の製造方
法を適用することにより、平板の他、波型などの曲面を
有し、その表面に凹凸模様を形成したコンクリート平
板、コンクリート円柱、半円柱の他、コンクリートPC
版、カーテンウォール、コンクリートL型擁壁、歩道用
コンクリートブロック、コンクリート塀等の曲面を有
し、且つ、表面に任意の凹凸模様を形成してなるコンク
リート製品や、例えば、丸太等の形状を模倣した如き、
曲面を有する立体的なコンクリート製品をも、簡単に製
造することができる。
【0070】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるもので
はない。 (実施例1) (1)化粧型枠用熱可塑性材料Aの調製 原料として、高分子有機材料であるポリブタジエンとブ
タジエン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重
合体を水添して得られるポリエチレンとエチレン/ブチ
レン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体
(高分子有機材料)(数平均分子量15万:SP値
8.2)15体積%に、低分子材料である、アルキルベ
ンゼン(軟化剤)(Z−300、日本サン石油社製:分
子量335、SP値8.3)42.5体積%とジイソデ
シルジアジペート(可塑剤)(DIDA、大八化学社
製:分子量426、SP値8.4)42.5体積%と、
を加え、高剪断型特殊ミキサー(「T.K.オートホモ
ミクサー」特殊機化工業(株)製)を用いて回転数30
00rpm、剪断速度1.0×104 /sec、混合温
度180℃、混合時間40分の混合条件で混合して、均
一な外観の高分子ブレンド材料を得て、型枠用熱可塑性
材料Aとした。また、この高分子ブレンド材料の切片を
切り出し、光学顕微鏡で確認したところ、熱可塑性高分
子有機材料からなる三次元連続の網状骨格構造(骨格の
平均径5μm、セルの平均径15μm)が形成されてい
ることが確認された。また、この高分子ブレンド材料の
アスカー−C硬度は10、引張強度は3kg/cm2
破断時の伸びは1500%、圧縮永久歪み(70℃、2
2時間)は30、溶融温度は120℃であった。 (2)化粧型枠の製造 前記化粧型枠用熱可塑性材料Aを170℃で溶融し、木
材丸太の表面を転写して室温まで冷却し、擬木模様コン
クリート製品用の化粧型枠を製造した。
【0071】図1は、本発明の化粧型枠10の概略断面
図である。化粧型枠10は、化粧型枠用熱可塑性材料A
12によって構成され、その表面には、擬木の意匠の凹
凸模様14が形成されている。
【0072】図2は、化粧型枠10を保持用の鋼製型枠
(コンクリート打設用型枠)16内に配置した状態を示
す概略断面図である。 (3)コンクリート製品の製造 得られた化粧型枠10をコンクリート打設用型枠16内
に配置し、コンクリートを常法により打設し、約70℃
にて3時間、蒸気養生を行い、コンクリートを硬化させ
た後、まず、コンクリート打設用型枠16から取り出
し、次に、硬化したコンクリート製品表面に配置されて
いる化粧型枠10を剥がすことにより、コンクリート製
品を脱型した。
【0073】得られたコンクリート製品は、表面に擬木
型の凹凸模様14が形成され、表面は原型となった丸太
表面の凹凸模様を正確に再現していることが観察され、
外観に優れたコンクリート製品を製造することができ
た。
【0074】また、化粧型枠10を構成する熱可塑性材
料A12の表面からコンクリートはきれいに除去されて
おり、化粧型枠表面へのコンクリートの残留は観察され
なかった。 (実施例2) (4)化粧型枠の再生 実施例1の化粧型枠を加熱溶融させて、再度オイル状と
なした化粧型枠用熱可塑性材料Aから、混入した不純物
を沈殿させることにより除去した。
【0075】前記オイル状となした化粧型枠用熱可塑性
材料Aを用いて、型枠内に配置した乱張りの鉄平石を転
写し、平板状の化粧型枠を作成した。得られた化粧型枠
を保持用の鋼製型枠内に配置し、実施例1と同様にして
コンクリート製品を製造した。
【0076】表面に石の浮き出し状の凹凸模様を形成し
たコンクリート製平板が得られた。得られたコンクリー
ト製品は、表面に石の浮き出し状の凹凸模様が形成さ
れ、表面は原型となった乱張りの鉄平石を正確に再現し
ていることが観察され、外観に優れたコンクリート製品
を製造することができた。
【0077】また、化粧型枠を構成する熱可塑性材料A
の表面からコンクリートはきれいに除去されており、脱
型勾配をつけていない90°の角度を有する凹凸模様の
部分においても、化粧型枠表面へのコンクリートの残留
及び化粧型枠の劣化は観察されなかった。
【0078】この化粧型枠を用いて、30回繰り返して
コンクリート製品を製造した。化粧型枠表面を観察した
ところ、30回繰り返し後も化粧型枠表面へのコンクリ
ートの残留は観察されず、また、得られたコンクリート
製品も乱張りの鉄平石を正確に再現しており、外観に優
れたコンクリート製品が得られたことから、本発明の化
粧型枠は繰り返し使用に対する耐久性に優れていること
がわかった。 (実施例3) (1)化粧型枠用熱可塑性材料Bの調製 原料として、高分子有機材料であるポリブタジエンとブ
タジエン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重
合体を水添して得られるポリエチレンとエチレン/ブチ
レン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体
(高分子有機材料)(数平均分子量15万:SP値
8.2)10体積%に、、アルキルベンゼン(軟化剤)
(Z−300、日本サン石油社製:分子量335、SP
値8.3)42.5体積%とジイソデシルジアジペート
(可塑剤)(DIDA、大八化学社製:分子量426、
SP値8.4)42.5体積%と、さらに、高級脂肪酸
アミド(オレイン酸アミド アーモスリップ:ライオン
社製)5体積%と、を加え、高剪断型特殊ミキサー
(「T.K.オートホモミクサー」特殊機化工業(株)
製)を用いて回転数3000rpm、剪断速度1.0×
104 /sec、混合温度180℃、混合時間40分の
混合条件で混合して、均一な外観の高分子ブレンド材料
を得て、型枠用熱可塑性材料Bとした。また、この高分
子ブレンド材料の切片を切り出し、光学顕微鏡で確認し
たところ、熱可塑性高分子有機材料からなる三次元連続
の網状骨格構造(骨格の平均径3μm、セルの平均径1
8μm)が形成されていることが確認された。また、こ
の高分子ブレンド材料のアスカー−C硬度は10、引張
強度は3kg/cm2 、破断時の伸びは1500%、圧
縮永久歪み(70℃、22時間)は30、溶融温度は1
20℃であった。 (2)化粧型枠の製造 前記化粧型枠用熱可塑性材料Bを170℃で加熱溶融
し、実施例1で用いたのと同様にして化粧型枠を作成し
た。 (3)コンクリート製品の製造 この化粧型枠を用いて、実施例1と同様にしてコンクリ
ート製品を製造した。
【0079】得られたコンクリート製品は、表面に擬木
型の凹凸模様が形成され、表面は原型となった丸太表面
を正確に再現していることが観察され、外観に優れたコ
ンクリート製品を製造することができた。
【0080】また、化粧型枠を構成する熱可塑性材料B
の表面からコンクリートはきれいに除去されており、化
粧型枠表面へのコンクリートの残留は観察されなかっ
た。
【0081】この化粧型枠によって30回繰り返してコ
ンクリート製品を製造したが、化粧型枠へのコンクリー
トの残留、化粧型枠の劣化及びコンクリート製品の外観
の悪化は観察されなかった。
【0082】(実施例4) (1)化粧型枠用熱可塑性材料Cの調製 原料として、高分子有機材料であるポリエチレンが両末
端にあり、中央部にエチレン−ブチレンを含むブロック
共重合体(高分子有機材料)(数平均分子量28万:
SP値8.0)10体積%に、低分子材料であるパラフ
ィンオイル(軟化剤)(PW−32、出光興産社製:分
子量405、SP値7.9)90体積%を加え、高剪断
型特殊ミキサー(「T.K.オートホモミクサー」特殊
機化工業(株)製)を用いて回転数3000rpm、剪
断速度1.0×104 sec、混合温度180℃、混合
時間40分の混合条件で混合して、均一な外観の高分子
ブレンド材料を得て、型枠用熱可塑性材料Cとした。ま
た、この高分子ブレンド材料の切片を切り出し、光学顕
微鏡で確認したところ、熱可塑性高分子有機材料からな
る三次元連続の網状骨格構造(骨格の平均径5μm、セ
ルの平均径15μm)が形成されていることが確認され
た。また、この高分子ブレンド材料のアスカー−C硬度
は2、引張強度は1.2kg/cm2 、破断時の伸びは
970%、圧縮永久歪み(70℃、22時間)は50、
溶融温度は110℃であった。 (2)化粧型枠の製造 前記化粧型枠用熱可塑性材料Cを170℃で加熱溶融
し、実施例1で用いたのと同様にして化粧型枠を作成し
た。 (3)コンクリート製品の製造 この化粧型枠を用いて、実施例1と同様にしてコンクリ
ート製品を製造した。
【0083】得られたコンクリート製品は、表面に擬木
型の凹凸模様が形成され、表面は原型となった丸太表面
を正確に再現していることが観察され、外観に優れたコ
ンクリート製品を製造することができた。
【0084】また、化粧型枠を構成する熱可塑性材料C
の表面からコンクリートはきれいに除去されており、化
粧型枠表面へのコンクリートの残留は観察されなかっ
た。
【0085】この化粧型枠によって30回繰り返してコ
ンクリート製品を製造したが、化粧型枠へのコンクリー
トの残留及びコンクリート製品の外観の悪化は観察され
なかった。
【0086】(実施例5) (1)化粧型枠の製造 予め原型である丸太30を敷き並べた化粧型枠成形用の
型枠32内に、実施例1と同様に調製した化粧型枠用熱
可塑性材料A12を170℃で溶融してオイル状とした
ものを所定の位置まで注入する〔図3(A)〕。
【0087】これを室温に放置し、化粧型枠用熱可塑性
材料A12を硬化させた後、脱型して表面に丸太30表
面の擬木模様が形成された板状の化粧型枠36を得る
〔図3(B)〕。
【0088】この化粧型枠36を曲率=50cmの曲面
を有するコンクリート打設用型枠38の内面に配置す
る。化粧型枠は、化粧型枠用熱可塑性材料A12からな
り、ゴム状の弾性を有するため、曲面を有するコンクリ
ート打設用型枠38の内面にピッタリと適合するため、
なめらかな曲面を構成することができる。 (2)コンクリート製品の製造 コンクリート打設用型枠38の内面に表面に凸凹模様を
有する化粧型枠36を配置したものに、コンクリート2
4を常法により打設し、約70℃にて3時間、蒸気養生
を行い、コンクリートを硬化させた後、脱型した。図3
(C)は、化粧型枠36が内部に配置されたコンクリー
ト打設用型枠38内に、コンクリート24を打設した状
態を示す概略断面図である。
【0089】脱型したコンクリート製品40の表面に
は、凸凹模様を有する化粧型枠36がついているので、
これを引き剥がしてコンクリート製品40を得る〔図3
(D)〕。
【0090】得られたコンクリート製品40の表面には
原型である丸太30の擬木模様が正確に再現されている
ことが観察され、外形はなだらかな曲面を有しており、
外観に優れたコンクリート製品40を製造することがで
きた。
【0091】また、化粧型枠36を構成する熱可塑性材
料A12の表面にはコンクリート24は付着しておら
ず、化粧型枠36表面へのコンクリート24の残留は観
察されなかった。 (実施例6) (3)化粧型枠の再生 実施例5の化粧型枠36を加熱溶融させて、再度オイル
状となした化粧型枠用熱可塑性材料Aから、混入した不
純物を沈殿させることにより除去した。前記オイル状と
なした化粧型枠用熱可塑性材料Aを用いて、型枠内に配
置した乱張りの鉄平石を転写し、表面に鉄平石の浮き出
し模様が形成された化粧型枠を作成した。得られた化粧
型枠を実施例5と同様のコンクリート打設用型枠内に配
置し、実施例5と同様にしてコンクリート製品を製造し
た。
【0092】表面に石の浮き出し状の凹凸模様を形成し
た半円柱状のコンクリート製品が得られた。得られたコ
ンクリート製品は、表面に石の浮き出し状の凹凸模様が
形成され、表面は原型となった乱張りの鉄平石を正確に
再現しており、表面全体がなだらかな曲面を形成するこ
とが観察され、外観に優れたコンクリート製品を製造す
ることができた。
【0093】また、化粧型枠を構成する熱可塑性材料A
の表面からコンクリートはきれいに除去されており、脱
型勾配をつけていない90°の角度を有する凹凸模様の
部分においても、化粧型枠表面へのコンクリートの残留
及び型の劣化は観察されなかった。
【0094】この化粧型枠を曲面を有するコンクリート
型枠内に再度配置することにより、30回繰り返し同様
のコンクリート製品を製造した。化粧型枠の表面を観察
したところ、30回繰り返し後も化粧型枠表面へのコン
クリートの残留は観察されず、また、得られたコンクリ
ート製品も乱張りの鉄平石を正確に再現しており、外観
に優れたコンクリート製品が得られたことから、本発明
に係る化粧型枠は繰り返し使用に対する耐久性に優れて
いることがわかった。
【0095】(実施例7) (1)化粧型枠の製造 前記実施例3で得られた化粧型枠用熱可塑性材料Bを1
70℃で加熱溶融し、実施例5と同様にして化粧型枠を
作成し、曲面を有するコンクリート打設用型枠内に配置
した。 (2)コンクリート製品の製造 この型枠を用いて、実施例5と同様にしてコンクリート
製品を製造した。得られたコンクリート製品は、表面に
擬木型の凹凸模様が形成され、表面は原型となった丸太
表面を正確に再現していることが観察され、コンクリー
ト製品外形はなだらかな曲面をなしており、外観に優れ
たコンクリート製品を製造することができた。
【0096】また、化粧型枠を構成する熱可塑性材料B
の表面からコンクリートはきれいに除去されており、化
粧型枠表面へのコンクリートの残留は観察されなかっ
た。
【0097】この板状の化粧型枠と曲面を有するコンク
リート型枠とによって30回繰り返してコンクリート製
品を製造したが、化粧型枠へのコンクリートの残留及び
コンクリート製品の外観の悪化は観察されなかった。
【0098】また、実施例1における化粧型枠用熱可塑
性材料Aと同様に化粧型枠用熱可塑性材料Bも溶融して
不純物を除去することによりリサイクル可能であること
が確認された。
【0099】(実施例8) (1)化粧型枠の製造 前記実施例4で調製した化粧型枠用熱可塑性材料Cを1
70℃で加熱溶融し、実施例5と同様にして化粧型枠を
作成し、曲面を有するコンクリート打設用型枠内に配置
した。 (2)コンクリート製品の製造 この化粧型枠を用いて、実施例5と同様にしてコンクリ
ート製品を製造した。
【0100】得られたコンクリート製品は、表面に擬木
型の凹凸模様が形成され、表面は原型となった丸太表面
を正確に再現していることが観察され、コンクリート製
品外形はなだらかな曲面をなしており、外観に優れたコ
ンクリート製品を製造することができた。
【0101】また、化粧型枠を構成する熱可塑性材料C
の表面からコンクリートはきれいに除去されており、化
粧型枠表面へのコンクリートの残留は観察されなかっ
た。
【0102】この板状の化粧型枠と曲面を有するコンク
リート型枠とによって、30回繰り返してコンクリート
製品を製造したが、化粧型枠へのコンクリートの残留及
びコンクリート製品の外観の悪化は観察されなかった。
【0103】また、実施例1における化粧型枠用熱可塑
性材料Aと同様に化粧型枠用熱可塑性材料Cも溶融して
不純物を除去することによりリサイクル可能であること
が確認された。
【0104】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の化粧型枠
によれば、表面に所望の凹凸模様を形成したコンクリー
ト製品を製造することができ、化粧型枠自体は再使用及
びリサイクル可能であり、特別の設備を必要とせず容易
に製造しうるという優れた効果を示す。また、その化粧
型枠を用いて製造されたコンクリート製品は、表面に所
望の凹凸模様を形成することができ、外観に優れるとい
う効果を奏するものである。また、本発明のコンクリー
ト製品の製造方法によれば、平板の他、曲面を有し、且
つ、表面に所望の凹凸模様を形成したコンクリート製品
を作業性良く製造することができるという効果を奏する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の化粧型枠を示す概略断面図である。
【図2】実施例1の化粧型枠がコンクリート型枠内に配
置された状態を示す概略断面図である。
【図3】実施例5のコンクリート製品の製造方法を示す
概略断面図であり、(A)は予め所望の凹凸模様が形成
された化粧型枠成形用の型枠内に型枠用材料を注入した
状態を示し、(B)は得られた化粧型枠を示し、(C)
は化粧型枠を曲面を有するコンクリート打設用型枠内に
配置し、コンクリートを打設した状態を示し、(D)
は、得られたコンクリート製品を示す。
【図4】従来のスリットを施した型枠の概略断面図であ
り、(A)は、発泡スチロール型枠にスリットを施した
状態を示し、(B)は、発泡スチロール型枠を折り曲げ
て曲面を形成した状態を示す。
【符号の説明】
10 化粧型枠 12 化粧型枠用熱可塑性材料 16 コンクリート打設用型枠(保持用の鋼製型枠) 24 コンクリート 36 化粧型枠 38 曲面を有するコンクリート打設用型枠 40 コンクリート製品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 裕明 大阪府大阪市大正区南恩加島7−1−55 住友大阪セメント株式会社 中央研究 所内 (72)発明者 原田 修輔 大阪府大阪市大正区南恩加島7−1−55 住友大阪セメント株式会社 中央研究 所内 (72)発明者 草野 昌夫 大阪府大阪市大正区南恩加島7−1−55 住友大阪セメント株式会社 中央研究 所内 (72)発明者 橘 紀久夫 大阪府大阪市大正区南恩加島7−1−55 住友大阪セメント株式会社 中央研究 所内 (56)参考文献 特開 平4−173105(JP,A) 特開 平3−205103(JP,A) 特開 平5−147013(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B28B 7/16 B28B 1/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリートの表面に凹凸模様を形成す
    るコンクリート用化粧型枠であって、 高分子有機材料と低分子材料とを主成分とし、該高分子
    有機材料の前記主成分における体積分率が30%以下で
    ある高分子ブレンド材料を用いて構成され、且つ、該高
    分子有機材料が結晶構造や凝集構造などの硬質ブロック
    を形成しやすい部分とアモルファス構造などの軟質ブロ
    ックとを一緒に持ち合わせている三次元連続の網状骨格
    構造を有する熱可塑性材料を用いることを特徴とするコ
    ンクリート用化粧型枠。
  2. 【請求項2】 前記高分子ブレンド材料が、数平均分子
    40,000以上の高分子有機材料と数平均分子量
    5,000未満の低分子材料とを主成分とし、かつ前記
    高分子有機材料と前記低分子材料との溶解度パラメータ
    ーの差が3.0以下であることを特徴とする請求項1記
    載のコンクリート用化粧型枠。
  3. 【請求項3】 前記高分子有機材料が、(1)ポリブタジエンとブタジエン−スチレンランダム共
    重合体とのブロック共重合体を水添して得られるポリエ
    チレンとエチレン/ブチレン−スチレンランダム共重合
    体とのブロック共重合体、 (2)ポリブタジエンとポリスチレンとのブロック共重合
    体、あるいは、ポリブタジエン又はエチレン−ブタジエ
    ンランダム共重合体とポリスチレンとのブロック共重合
    体を水添して得られるポリエチレン/ブチレンとポリス
    チレンとのブロック共重合体、 (3)エチレン/ブチレン共重合体の片末端又は両末端に
    結晶性エチレンが連結したブロック共重合体、 (4)エチレン−プロピレンゴム、このうち特にポリエ
    チレンとエチレン/ブチレン−スチレンランダム共重合
    体とのブロック共重合体、 から選択される1種以上であることを特徴とする請求項
    1記載のコンクリート用化粧型枠。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のコンクリート用化粧型枠
    を用いて成形され、表面に凹凸模様が形成されたことを
    特徴とするコンクリート製品。
  5. 【請求項5】 表面に凹凸模様が形成されたコンクリー
    ト製品の製造方法であって、 (1)請求項1記載のコンクリート用化粧型枠を、コン
    クリート打設用型枠の内面に配置する工程と、 (2)該コンクリート打設用型枠の内部にコンクリート
    を打設する工程と、 (3)打設したコンクリートが硬化し、所望の強度を発
    現するまで養生する工程と、 (4)該コンクリートが硬化したのち脱型し、表面に付
    着したコンクリート用化粧型枠を剥がす工程と、 を含むことを特徴とするコンクリート製品の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記コンクリート打設用型枠が曲面を有
    していることを特徴とする請求項5記載のコンクリート
    製品の製造方法。
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