JP3219208B2 - ビスフェノールaの製造方法 - Google Patents
ビスフェノールaの製造方法Info
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Description
方法に関する。詳しくは、ビスフェノ−ルAとフェノ−
ルとの付加物からフェノ−ルを除去して高純度のビスフ
ェノ−ルAを製造する方法に関する。
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンは、常温固体の
化合物であり、アセトンと過剰のフェノ−ルを塩酸、酸
性陽イオン交換樹脂等の酸性触媒の存在下に反応させて
得られる。この反応混合物からビスフェノ−ルAを回収
する方法の一つは、反応混合物から水及び/又は触媒を
除去したのち、これを冷却してビスフェノ−ルAとフェ
ノ−ルの付加物を析出させ、この結晶を母液と分離し、
次いで脱フェノ−ル処理してビスフェノ−ルAを回収す
る方法である。ここで行う脱フェノ−ル処理方法として
は、特開平3−95135号公報に示されるように、遠
心薄膜蒸発器を使用する方法が一般的である。この方法
は高温に長時間さらされることがないため、ビスフェノ
−ルAの分解や着色を最小に押さえることができるとい
う点で有利な方法であるが、運転中に結晶が析出し、安
定な運転ができないことがある。
−ルAとフェノ−ルの付加物から遠心薄膜蒸発器を使用
して、長期、安定してフェノ−ルを蒸発除去し、ビスフ
ェノ−ルAを製造することを目的とする。
蒸発器の運転不調についての原因を検討し、これは遠心
薄膜蒸発器にビスフェノ−ルAの結晶が析出することが
原因であることを突き止めると共に、これを防止するた
めには遠心薄膜蒸発器の圧力を一定以上に保てばよいこ
とを見出し、本発明本発明を完成した。
フェノールの付加物からフェノールを除去してビスフェ
ノールAを製造する方法において、該付加物を45Torr
以上(60Torr以下を除く)の圧力に保持された遠心薄
膜蒸発器に装入してフェノールを蒸発除去することを特
徴とするビスフェノールAの製造方法である。
は、アセトンとフェノ−ルの反応混合物を、必要により
低沸点物除去、触媒除去等を行ったのち、冷却すること
により結晶として析出させることができる。この結晶
は、更に必要によりフェノ−ルで再結晶したり、洗浄す
ることにより不純物の殆どを除去することができる。本
発明で対象とする付加物は、このようにして得られたも
のであり、なるべく高純度の付加物が好ましい。
め、遠心薄膜蒸発器に装入する。従来、遠心薄膜蒸発器
の運転条件は、残存フェノ−ル類の低減に主眼がおか
れ、そのため30Torr以下の高真空で運転されてい
る。ところが、この付加物は少なくとも30wt%以上
のフェノ−ルを含むため、いきなり高真空の遠心薄膜蒸
発器に装入すると、フェノ−ルが短時間に多量に蒸発
し、その結果蒸発潜熱により液の温度が低下し、ビスフ
ェノ−ルAの結晶が析出することが認められた。付加物
の遠心薄膜蒸発器への装入温度を低くすることにより蒸
発を押さえ、残存フェノ−ルにビスフェノ−ルAを溶解
させることにより、装入部での結晶の析出は防止できる
が、その後の蒸発部でフェノ−ルが蒸発していくとき、
残存フェノ−ルと液温度の関係で結晶が析出する。装入
部で結晶が析出した場合は、遠心薄膜蒸発器の回転部に
結晶が付着し、回転がアンバランスになり、遠心薄膜蒸
発器自体に振動又は遠心力が生じて安定運転ができなく
なる。また、蒸発部で結晶が析出した場合、遠心薄膜蒸
発器の回転翼と胴体の間に結晶がかみこみ、異常な力が
モ−タにかかって安定運転ができなくなる。
図1に示す。図中、1は胴体、2は原料装入ライン、3
は蒸気出口ライン、4は液出口ラインであり、胴体1の
内部には回転翼が胴体の内壁に近接して回転するように
設けられている。そして、蒸気出口ラインは真空系と連
絡している。また、必要によりこの遠心薄膜蒸発器は複
数連続して設けることもできる。そして、この遠心薄膜
蒸発器は45Torr以上、好ましくは50Torr以
上の圧力に保って運転される。圧力の上限はないが、脱
フェノ−ルを短時間で、効率よく行うという目的から
は、低い方が好ましいので、100Torr以下の減圧
とすることがよい。また、遠心薄膜蒸発器はジャケット
等により加熱され、所定温度に保たられるが、ビスフェ
ノ−ルAの熱分解等を防止するため約170〜220℃
に保つことがよいとされる。
から装入されたビスフェノ−ルAとフェノ−ルの付加物
は、加熱され、フェノ−ルは蒸発され、蒸気出口ライン
から排出され、液出口ラインからビスフェノ−ルA又は
この後に次の遠心薄膜蒸発器等が続くときはビスフェノ
−ルAとフェノ−ルの混合液が排出される。この際、遠
心薄膜蒸発器の圧力を50Torr以上としたため、遠
心薄膜蒸発器内での結晶析出による運転不安定が生じな
い。
圧力、温度、液相中のビスフェノ−ルA濃度(BPA濃
度)の関係を調べたものである。そのBPA濃度におけ
る結晶析出限界以上の温度であれば、結晶は析出せず何
も問題は生じないが、現実には多少結晶が析出しても運
転には支障がなく、図2に示す20wt%以下の結晶濃
度であれば、問題は生じないことが認められた。したが
って、50Torr以上であれば、殆どのBPA濃度に
おいて結晶濃度が20wt%を越えず、問題が生じるこ
とがないことが分かる。また、遠心薄膜蒸発器の形状、
壁面温度あるいは付加物の装入速度、温度等によって、
適切な圧力は多少変動することがあるが、上記のように
温度の上限があり、脱フェノ−ルを可及的短時間、且つ
効率よく行うという目的から、50Torr以上という
条件を保持することは有効であり、より好ましくは、図
2の結晶濃度20wt%を越えない条件で行うことであ
る。なお、本発明の結晶濃度20wt%は、計算値を意
味する。
る付加物を150℃に予熱し、図1に示すような遠心薄
膜蒸発器に装入した。遠心薄膜蒸発器はジャケットの2
00℃の蒸気により加熱され、50Torrに保持された。こ
のとき、液出口ライン4から抜き出された液中のフェノ
ール濃度は4wt%であった。また、この条件で運転され
た遠心薄膜蒸発器は、30日間、振動、遠心力の発生、
モータの過負荷等の異常現象は起きず、安定運転が継続
できた。更に、付加物を130℃に予熱して遠心薄膜蒸
発器に装入した他は、上記と同様にして行ったときは、
液中のフェノール濃度は4.3wt%であったが、この場
合も同様に安定運転が継続できた。
心薄膜蒸発器に装入した他は、実施例1と同様にして行
った。このときは、液中のフェノ−ル濃度は2.7wt
%であったが、遠心薄膜蒸発器は8日目に振動、遠心力
の発生が起こり、安定運転が不能となった。しかし、遠
心薄膜蒸発器の減圧度を600Torrまで落とし、液
の温度を190℃まで上げたところ、これが解消され
た。更に、付加物を130℃に予熱して40Torrに
保たれた遠心薄膜蒸発器に装入した他は、実施例1と同
様にして行った。このときは、液中のフェノ−ル濃度は
2.7wt%であったが、遠心薄膜蒸発器は2日目にモ
−タの過負荷が起こり、運転が不能となった。
−ルAとフェノ−ルの付加物から、遠心薄膜蒸発器を用
いて、長期間、安定にフェノ−ルを蒸発除去して、高純
度のビスフェノ−ルAを得ることができる。
示すグラフ
Claims (2)
- 【請求項1】 ビスフェノールAとフェノールの付加物
からフェノールを除去してビスフェノールAを製造する
方法において、該付加物を45Torr以上(60Torr以下
を除く)の圧力に保持された遠心薄膜蒸発器に装入して
フェノールを蒸発除去することを特徴とするビスフェノ
ールAの製造方法。 - 【請求項2】 ビスフェノールAとフェノールの付加物
からフェノールを除去してビスフェノールAを製造する
方法において、該付加物を45Torr以上(60Torr以下
を除く)の圧力に保持された遠心薄膜蒸発器に装入し、
且つ液相中の結晶濃度が20wt%を越えない条件でフェ
ノールを蒸発除去することを特徴とするビスフェノール
Aの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12677292A JP3219208B2 (ja) | 1992-04-20 | 1992-04-20 | ビスフェノールaの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12677292A JP3219208B2 (ja) | 1992-04-20 | 1992-04-20 | ビスフェノールaの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05294874A JPH05294874A (ja) | 1993-11-09 |
JP3219208B2 true JP3219208B2 (ja) | 2001-10-15 |
Family
ID=14943552
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12677292A Expired - Lifetime JP3219208B2 (ja) | 1992-04-20 | 1992-04-20 | ビスフェノールaの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3219208B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4539012B2 (ja) | 2002-08-08 | 2010-09-08 | 三菱化学株式会社 | フェノールを含むビスフェノールaの精製方法 |
-
1992
- 1992-04-20 JP JP12677292A patent/JP3219208B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05294874A (ja) | 1993-11-09 |
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