JP3217085U - 害虫忌避シート - Google Patents
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Abstract
【課題】デザイン性を損なうことなく室内外の害虫忌避を実現できる害虫忌避シートを提供する。
【解決手段】害虫忌避シートは、シート状の基材5と、基材5の一方の主面上に形成された、害虫忌避成分を含む樹脂層7と、樹脂層7の、基材5とは反対側に位置する主面の少なくとも一部上に形成された印刷層9と、基材5の、樹脂層7とは反対側に位置する主面上に形成された粘着剤層3とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】害虫忌避シートは、シート状の基材5と、基材5の一方の主面上に形成された、害虫忌避成分を含む樹脂層7と、樹脂層7の、基材5とは反対側に位置する主面の少なくとも一部上に形成された印刷層9と、基材5の、樹脂層7とは反対側に位置する主面上に形成された粘着剤層3とを備えている。
【選択図】図1
Description
本明細書に開示された技術は、害虫忌避シートに関する。
蚊や蠅などの害虫への対策として、害虫忌避成分を含有させた塗料を建造物の壁面に塗ることが行われている。しかしながら、施工には専門技術が必要となる上、害虫忌避成分の有効期限の経過後は、再度塗料を上塗りする必要がある。
これに対して、上面に防虫剤が塗布され、裏面に粘着剤層が形成された防虫テープが特許文献1に記載されている。このテープを室内の壁面等に貼り付けることによって、害虫を壁面、ひいては室内に寄り付きにくくさせることができる。
これに対して、上面に防虫剤が塗布され、裏面に粘着剤層が形成された防虫テープが特許文献1に記載されている。このテープを室内の壁面等に貼り付けることによって、害虫を壁面、ひいては室内に寄り付きにくくさせることができる。
近年、いわゆるDIYにより好みの壁紙を用いて居室をリフォームするユーザーが増えてきている。ところが、一般的な防虫テープの色は塗料の色に依存しており、基本的に単色である。このため、従来の防虫テープでは、屋内外の壁面にデザイン性を持たせたいユーザーの要求を十分に満たすことができない。
本考案は、上記の課題に鑑み、デザイン性を損なうことなく室内外の害虫忌避を実現できる害虫忌避シートを提供することを目的とする。
本考案は、上記の課題に鑑み、デザイン性を損なうことなく室内外の害虫忌避を実現できる害虫忌避シートを提供することを目的とする。
本明細書に開示された害虫忌避シートは、シート状の基材と、前記基材の一方の主面上に形成された、害虫忌避成分を含む樹脂層と、前記樹脂層の、前記基材とは反対側に位置する主面の少なくとも一部上に形成された印刷層と、前記基材の、前記樹脂層とは反対側に位置する主面上に形成された粘着剤層とを備えている。
本明細書に開示された害虫忌避シートによれば、印刷層が設けられているので、デザイン性を向上させつつ、効果的に害虫の忌避を実現しうる。
本願考案者らは、ユーザーからの要望に応えるべく、害虫忌避成分を含む樹脂層上に印刷層を設けた害虫忌避シートを試作してみた。印刷層は樹脂を含んでいるので、印刷層によって樹脂層の主面を覆うことにより、害虫忌避成分の浸み出しが抑えられ、吸血阻止効果も減少するものと予想された。
しかし、驚くべきことに、印刷層が設けられた害虫忌避シートであっても、十分な吸血阻止効果が得られることが分かった。以下、実施形態の一例として、印刷層を設けた害虫忌避シートについて説明する。
図1は、本明細書に開示された実施形態に係る害虫忌避シートを示す断面図である。同図に示すように、本実施形態の害虫忌避シートは、シート状の基材5と、基材5の一方の主面(図1では上面)上に形成された、害虫忌避成分を含む樹脂層7と、樹脂層7の、基材5とは反対側に位置する主面(図1では上面)の少なくとも一部上に形成された印刷層9と、基材5の、樹脂層7とは反対側に位置する主面(図1では下面)上に形成された粘着剤層3と、粘着剤層3の、基材5とは反対側に位置する主面(図1では下面)上に設けられた剥離ライナー1とを備えている。
基材5の構成材料は特に限定されず、公知の樹脂フィルムや合成紙、不織布などであってもよい。不織布等の場合はそのまま樹脂層7を形成してもよく、樹脂フィルムや合成紙を用いる場合には、そのままあるいは公知のプライマー層を設けてから樹脂層7を形成することができる。
粘着剤層3は、公知の粘着剤の硬化物により構成されている。粘着剤としては、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系などの公知の粘着剤を使用することができる。
剥離ライナー1の構成材料としては、ポリエステル系フィルム等の樹脂フィルムや、上質紙やグラシン紙等の公知の材料が挙げられる。
樹脂層7は、例えば害虫忌避成分と水溶性樹脂とを含むコーティング剤を塗布後、乾燥させることによって形成される。樹脂層7の厚みは、害虫忌避成分が十分に含まれていれば特に限定されないが、例えば25μm以上200μm以下程度であってもよい。
害虫忌避成分としては、公知のピレスロイド系薬剤やディート、イカリジンの他、ラベンダー油やヒバ油等の害虫忌避効果を発揮する精油、又はこれらの組み合わせを用いることができる。ペルメトリン等のピレスロイド系薬剤を使用する場合、蚊、蠅、ノミ、ダニ、ゴキブリ等の害虫の侵入を効果的に抑制することができる。
印刷層9は、水性及び油性のいずれのインクによって形成されていてもよく、その厚みも特に限定されない。ただし、印刷層9があまりに厚いと製造コストが上がり、また害虫忌避成分が印刷層9を透過しにくくなるため、印刷層9の厚さの上限は30μm以下であればよく、15μm以下程度であれば製造コストの観点から好ましい。
印刷層9は樹脂層7の上面全体を覆っていてもよいし、樹脂層7の上面の一部上のみに設けられていてもよい。印刷層9は、平面視において認識される文字や記号、模様など任意の視覚要素を含んでいてもよい。印刷層9は単色であってもよいし、2種類以上の色の組み合わせを含んでいてもよい。印刷層9が設けられていることにより、害虫忌避シートの意匠性は大幅に向上しており、壁面にデザイン性を持たせたいというユーザーの要望を満たすことが可能となっている。
また、害虫忌避成分は、印刷層9を透過して印刷層9の表面にまで到達している。このため、印刷層9に蚊等の害虫が接触した場合に、吸血等の被害を効果的に低減することができる。
本実施形態の害虫忌避シートは、使用の際には剥離ライナー1を剥がして建物の内外の壁等に貼り付けることができる。害虫が印刷層9又は樹脂層7の露出部分に触れて害虫忌避成分に触れると、害虫は不快に感じる。その結果、害虫による吸血等の活動が抑制される。
本実施形態の害虫忌避シートにおいて、印刷層9の色の選択は任意であってよいが、例えば少なくとも一部に黒色及び赤色から選ばれた一種が含まれていてもよい。これにより、黒色及び赤色の部分に蚊等を誘引することができ、吸血等の被害を効果的に低減することができる。
一般的に、蚊は日光を避ける性質を持つとされる。蚊は色を認識できないが、可視光自体は認識できるため、明るく見える白色や黄色を避け、結果として暗く見える黒色及び赤色に誘引される。
また、蠅や蜂等は、黒色よりも黄色を好むとされている。従って、印刷層9の一部を黒色又は赤色とし、他の一部を黄色とすることで、それぞれの部分で異なる種類の害虫を誘引することができ、所望の空間において忌避効果を高めることができる。なお、印刷層9は、シルク印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、サーモグラフィ印刷等、公知の印刷方法により形成することができる。
しかし、驚くべきことに、印刷層が設けられた害虫忌避シートであっても、十分な吸血阻止効果が得られることが分かった。以下、実施形態の一例として、印刷層を設けた害虫忌避シートについて説明する。
図1は、本明細書に開示された実施形態に係る害虫忌避シートを示す断面図である。同図に示すように、本実施形態の害虫忌避シートは、シート状の基材5と、基材5の一方の主面(図1では上面)上に形成された、害虫忌避成分を含む樹脂層7と、樹脂層7の、基材5とは反対側に位置する主面(図1では上面)の少なくとも一部上に形成された印刷層9と、基材5の、樹脂層7とは反対側に位置する主面(図1では下面)上に形成された粘着剤層3と、粘着剤層3の、基材5とは反対側に位置する主面(図1では下面)上に設けられた剥離ライナー1とを備えている。
基材5の構成材料は特に限定されず、公知の樹脂フィルムや合成紙、不織布などであってもよい。不織布等の場合はそのまま樹脂層7を形成してもよく、樹脂フィルムや合成紙を用いる場合には、そのままあるいは公知のプライマー層を設けてから樹脂層7を形成することができる。
粘着剤層3は、公知の粘着剤の硬化物により構成されている。粘着剤としては、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系などの公知の粘着剤を使用することができる。
剥離ライナー1の構成材料としては、ポリエステル系フィルム等の樹脂フィルムや、上質紙やグラシン紙等の公知の材料が挙げられる。
樹脂層7は、例えば害虫忌避成分と水溶性樹脂とを含むコーティング剤を塗布後、乾燥させることによって形成される。樹脂層7の厚みは、害虫忌避成分が十分に含まれていれば特に限定されないが、例えば25μm以上200μm以下程度であってもよい。
害虫忌避成分としては、公知のピレスロイド系薬剤やディート、イカリジンの他、ラベンダー油やヒバ油等の害虫忌避効果を発揮する精油、又はこれらの組み合わせを用いることができる。ペルメトリン等のピレスロイド系薬剤を使用する場合、蚊、蠅、ノミ、ダニ、ゴキブリ等の害虫の侵入を効果的に抑制することができる。
印刷層9は、水性及び油性のいずれのインクによって形成されていてもよく、その厚みも特に限定されない。ただし、印刷層9があまりに厚いと製造コストが上がり、また害虫忌避成分が印刷層9を透過しにくくなるため、印刷層9の厚さの上限は30μm以下であればよく、15μm以下程度であれば製造コストの観点から好ましい。
印刷層9は樹脂層7の上面全体を覆っていてもよいし、樹脂層7の上面の一部上のみに設けられていてもよい。印刷層9は、平面視において認識される文字や記号、模様など任意の視覚要素を含んでいてもよい。印刷層9は単色であってもよいし、2種類以上の色の組み合わせを含んでいてもよい。印刷層9が設けられていることにより、害虫忌避シートの意匠性は大幅に向上しており、壁面にデザイン性を持たせたいというユーザーの要望を満たすことが可能となっている。
また、害虫忌避成分は、印刷層9を透過して印刷層9の表面にまで到達している。このため、印刷層9に蚊等の害虫が接触した場合に、吸血等の被害を効果的に低減することができる。
本実施形態の害虫忌避シートは、使用の際には剥離ライナー1を剥がして建物の内外の壁等に貼り付けることができる。害虫が印刷層9又は樹脂層7の露出部分に触れて害虫忌避成分に触れると、害虫は不快に感じる。その結果、害虫による吸血等の活動が抑制される。
本実施形態の害虫忌避シートにおいて、印刷層9の色の選択は任意であってよいが、例えば少なくとも一部に黒色及び赤色から選ばれた一種が含まれていてもよい。これにより、黒色及び赤色の部分に蚊等を誘引することができ、吸血等の被害を効果的に低減することができる。
一般的に、蚊は日光を避ける性質を持つとされる。蚊は色を認識できないが、可視光自体は認識できるため、明るく見える白色や黄色を避け、結果として暗く見える黒色及び赤色に誘引される。
また、蠅や蜂等は、黒色よりも黄色を好むとされている。従って、印刷層9の一部を黒色又は赤色とし、他の一部を黄色とすることで、それぞれの部分で異なる種類の害虫を誘引することができ、所望の空間において忌避効果を高めることができる。なお、印刷層9は、シルク印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、サーモグラフィ印刷等、公知の印刷方法により形成することができる。
実施例1:害虫忌避シートの製造
厚みが約180μmの上質紙からなる剥離ライナーの離型処理面上に、コンマコーターを用いてアクリル系粘着剤を塗工した。次いで、この粘着剤を乾燥させて形成させた粘着剤層に目付量が50g/m2の市販の不織布を貼り合わせることにより、剥離ライナー、粘着剤層及び当該不織布からなる基材がこの順で積層された積層体を作製した。粘着剤としては、再剥離可能なタイプの粘着剤を用い、乾燥後の粘着剤層の厚みは60μmとした。
次に、コンマコーターを用いて、上記積層体の基材上に塗料を均一に塗布して乾燥させることで、樹脂層を形成した。塗料は、害虫忌避成分としてペルメトリン(ピレスロイド系薬剤の一種)を0.1〜1質量%の濃度で含む市販の塗料(関西ペイント社製、商品名「ムシヨケクリーンカラー」)を用いた。塗工の際には、塗料をそのまま用いるか、必要に応じて適宜水で希釈して用いた。樹脂層の乾燥後の厚みは、約75μmとした。
次いで、積層体の樹脂層上に、インクジェット法又はシルク印刷法により、所定のパターン及び配色の印刷層を形成した。以上の方法により、実施例に係る害虫忌避シートを作製した。なお、樹脂層及び印刷層を形成する工程を行っていない上記積層体を、「未処理品」として、後述の試験で比較対象として用いた。
実施例2:吸血阻止効力試験1(ポジティブコントロール及びネガティブコントロール)
印刷層が設けられていないことを除いて上述の実施例に係る害虫忌避シートと同じ構成を有する粘着シート(以下、「試料1」と表記する)と、印刷層及び樹脂層が設けられていないことを除いて実施例に係る害虫忌避シートと同じ構成を有する粘着シート(以下、「試料2」と表記する)とを準備した。これらの粘着シートについて、以下の方法で蚊に対する吸血阻止効力試験を行った。本試験は、一般財団法人 日本環境衛生センターで実施された。
図2及び図3は、この吸血阻止効力試験を説明するための図である。まず、図2に示すように、内径8.6cm、高さ6cmの樹脂製の円筒13と、この円筒13の上下の開口を閉鎖する一対の合板11とを用いて容器を形成する。この円筒13の内壁と上下の合板11の内壁とには、上述の試料1又は試料2を貼り付けておく。この状態で容器内に40〜50頭の蚊15を放ち、1時間放置してシートに接触させた。蚊15としては、雌のヒトスジシマカを用いた。
次に、図3に示すように、全ての蚊15を一辺が30cmの立方体金網ケージ内に移した。金網ケージ内には蚊15が自由に吸血できるようにマウス19を吊るしておき、底面上には砂糖水17を設置した。側壁の三面及び底面内側に試料1又は試料2を貼り付けておき、蚊15をこのシートに接触させた。蚊15を金網ケージに放した時点から24時間後までの間に吸血した蚊15の頭数を測定した。一度でも吸血した蚊15は吸血したとしてカウントし、その後の観察からは除外した。この試験は、試料1と試料2についてそれぞれ3回実施し、3回の測定の平均値を結果として採用した。
−吸血阻止効力試験1の結果−
図4は、吸血阻止効力試験1の結果を示す図である。同図の縦軸である吸血率は、100×(吸血した蚊の頭数)/(ケージに投入した蚊の頭数)により求めた。
図4に示すように、害虫忌避成分を含む樹脂層を有する試料1(ポジティブコントロール)は、1時間後から24時間後までのすべての時点で吸血率が0%であった。これに対し、樹脂層を有していない試料2(ネガティブコントロール)では、吸血率が1時間後で36.2%、24時間後で82.6%と、時間の経過と共に徐々に吸血率が上がっていた。この結果、{1−(試料1での吸血率)/(試料2での吸血率)}×100の式で求められる試料1についての吸血阻止係数は、100であることが分かった。
実施例3:吸血阻止効力試験2
実施例1の方法を用いて2種類の害虫忌避シート(試料3、4)を作製した。
試料3は、シルク印刷法により樹脂層の上面全体に印刷層を形成させたシートであり、試料4は、インクジェット法により印刷層を形成させたシートである。試料3、4共に印刷層の厚みは3〜5μmとし、印刷層の色は黒色とした。これらの試料3、4及び上述の試料2について、実施例2の試験と同じ方法による吸血阻止効力試験を行った。
−吸血阻止効力試験2の結果−
図5に示すように、シルク印刷法により印刷層を形成した試料3、インクジェット法により印刷層を形成した試料4とも、24時間経過時までの吸血率は0%であり、吸血阻止係数は100であることが確認された。この結果から、害虫忌避シートに印刷層を設けた場合であっても、印刷層を設けない場合と同等の吸血阻止効果が得られることが確認できた。また、印刷層を設けた害虫忌避シートには、印刷方法によらず吸血阻止効果があることが確認できた。
実施例4:吸血阻止効力試験3
実施例1の方法を用いて印刷層の厚みが試料3の3倍(9〜15μm)である試料5を作製した。この試料5及び上述の試料2について、実施例2の試験と同じ方法による吸血阻止効力試験を行った。
図6に示すように、試料5を用いた場合の吸血率は24時間経過時までで0%であり、試料5の吸血阻止係数は100であることが確認された。この結果から、少なくとも印刷層の厚みが15μm程度であれば印刷層を設けない場合と同等の吸血阻止効果が得られることが確認できた。
実施例5:色による誘引効果確認試験
実施例1の方法を用いて、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色の印刷層が形成された害虫忌避シートと、印刷層が設けられない、白色(ホワイト)の樹脂層が露出した害虫忌避シートとを作製した。各色の害虫忌避シートを50mm×280mmの長方形にカットしたものをつなぎ合わせたシートを作製した。次いで、一辺が30cmの立方体状のアクリルボックスを準備し、このアクリルボックスの一対の側面と底面とに上述のつなぎ合わせられたシートを貼り付けた。次に、アクリルボックス内に45〜55頭の雌のヒトスジシマカを放ち、120分経過時まで、害虫忌避シートに停まった蚊の頭数を色ごとに計測した。
−試験結果−
厚みが約180μmの上質紙からなる剥離ライナーの離型処理面上に、コンマコーターを用いてアクリル系粘着剤を塗工した。次いで、この粘着剤を乾燥させて形成させた粘着剤層に目付量が50g/m2の市販の不織布を貼り合わせることにより、剥離ライナー、粘着剤層及び当該不織布からなる基材がこの順で積層された積層体を作製した。粘着剤としては、再剥離可能なタイプの粘着剤を用い、乾燥後の粘着剤層の厚みは60μmとした。
次に、コンマコーターを用いて、上記積層体の基材上に塗料を均一に塗布して乾燥させることで、樹脂層を形成した。塗料は、害虫忌避成分としてペルメトリン(ピレスロイド系薬剤の一種)を0.1〜1質量%の濃度で含む市販の塗料(関西ペイント社製、商品名「ムシヨケクリーンカラー」)を用いた。塗工の際には、塗料をそのまま用いるか、必要に応じて適宜水で希釈して用いた。樹脂層の乾燥後の厚みは、約75μmとした。
次いで、積層体の樹脂層上に、インクジェット法又はシルク印刷法により、所定のパターン及び配色の印刷層を形成した。以上の方法により、実施例に係る害虫忌避シートを作製した。なお、樹脂層及び印刷層を形成する工程を行っていない上記積層体を、「未処理品」として、後述の試験で比較対象として用いた。
実施例2:吸血阻止効力試験1(ポジティブコントロール及びネガティブコントロール)
印刷層が設けられていないことを除いて上述の実施例に係る害虫忌避シートと同じ構成を有する粘着シート(以下、「試料1」と表記する)と、印刷層及び樹脂層が設けられていないことを除いて実施例に係る害虫忌避シートと同じ構成を有する粘着シート(以下、「試料2」と表記する)とを準備した。これらの粘着シートについて、以下の方法で蚊に対する吸血阻止効力試験を行った。本試験は、一般財団法人 日本環境衛生センターで実施された。
図2及び図3は、この吸血阻止効力試験を説明するための図である。まず、図2に示すように、内径8.6cm、高さ6cmの樹脂製の円筒13と、この円筒13の上下の開口を閉鎖する一対の合板11とを用いて容器を形成する。この円筒13の内壁と上下の合板11の内壁とには、上述の試料1又は試料2を貼り付けておく。この状態で容器内に40〜50頭の蚊15を放ち、1時間放置してシートに接触させた。蚊15としては、雌のヒトスジシマカを用いた。
次に、図3に示すように、全ての蚊15を一辺が30cmの立方体金網ケージ内に移した。金網ケージ内には蚊15が自由に吸血できるようにマウス19を吊るしておき、底面上には砂糖水17を設置した。側壁の三面及び底面内側に試料1又は試料2を貼り付けておき、蚊15をこのシートに接触させた。蚊15を金網ケージに放した時点から24時間後までの間に吸血した蚊15の頭数を測定した。一度でも吸血した蚊15は吸血したとしてカウントし、その後の観察からは除外した。この試験は、試料1と試料2についてそれぞれ3回実施し、3回の測定の平均値を結果として採用した。
−吸血阻止効力試験1の結果−
図4は、吸血阻止効力試験1の結果を示す図である。同図の縦軸である吸血率は、100×(吸血した蚊の頭数)/(ケージに投入した蚊の頭数)により求めた。
図4に示すように、害虫忌避成分を含む樹脂層を有する試料1(ポジティブコントロール)は、1時間後から24時間後までのすべての時点で吸血率が0%であった。これに対し、樹脂層を有していない試料2(ネガティブコントロール)では、吸血率が1時間後で36.2%、24時間後で82.6%と、時間の経過と共に徐々に吸血率が上がっていた。この結果、{1−(試料1での吸血率)/(試料2での吸血率)}×100の式で求められる試料1についての吸血阻止係数は、100であることが分かった。
実施例3:吸血阻止効力試験2
実施例1の方法を用いて2種類の害虫忌避シート(試料3、4)を作製した。
試料3は、シルク印刷法により樹脂層の上面全体に印刷層を形成させたシートであり、試料4は、インクジェット法により印刷層を形成させたシートである。試料3、4共に印刷層の厚みは3〜5μmとし、印刷層の色は黒色とした。これらの試料3、4及び上述の試料2について、実施例2の試験と同じ方法による吸血阻止効力試験を行った。
−吸血阻止効力試験2の結果−
図5に示すように、シルク印刷法により印刷層を形成した試料3、インクジェット法により印刷層を形成した試料4とも、24時間経過時までの吸血率は0%であり、吸血阻止係数は100であることが確認された。この結果から、害虫忌避シートに印刷層を設けた場合であっても、印刷層を設けない場合と同等の吸血阻止効果が得られることが確認できた。また、印刷層を設けた害虫忌避シートには、印刷方法によらず吸血阻止効果があることが確認できた。
実施例4:吸血阻止効力試験3
実施例1の方法を用いて印刷層の厚みが試料3の3倍(9〜15μm)である試料5を作製した。この試料5及び上述の試料2について、実施例2の試験と同じ方法による吸血阻止効力試験を行った。
図6に示すように、試料5を用いた場合の吸血率は24時間経過時までで0%であり、試料5の吸血阻止係数は100であることが確認された。この結果から、少なくとも印刷層の厚みが15μm程度であれば印刷層を設けない場合と同等の吸血阻止効果が得られることが確認できた。
実施例5:色による誘引効果確認試験
実施例1の方法を用いて、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色の印刷層が形成された害虫忌避シートと、印刷層が設けられない、白色(ホワイト)の樹脂層が露出した害虫忌避シートとを作製した。各色の害虫忌避シートを50mm×280mmの長方形にカットしたものをつなぎ合わせたシートを作製した。次いで、一辺が30cmの立方体状のアクリルボックスを準備し、このアクリルボックスの一対の側面と底面とに上述のつなぎ合わせられたシートを貼り付けた。次に、アクリルボックス内に45〜55頭の雌のヒトスジシマカを放ち、120分経過時まで、害虫忌避シートに停まった蚊の頭数を色ごとに計測した。
−試験結果−
試験開始から120分経過時までの各時点でアクリルボックスの側面上に貼り付けられた害虫忌避シートに停まった蚊の頭数を色別に示した表が、表1である。表1に示すように、ブラック及びマゼンダのシートに停まった蚊は、120分後までの累計で共に63頭であり、シアン、ホワイト、イエローのシートに停まった蚊は、累計でそれぞれ36頭、37頭、14頭であった。
以上の結果から、蚊はイエローやホワイト等の明るい色よりもブラック及びマゼンダのような暗い色に誘引されることが確認できた。
以上の結果から、蚊はイエローやホワイト等の明るい色よりもブラック及びマゼンダのような暗い色に誘引されることが確認できた。
本明細書に開示された害虫忌避シートは、例えば、屋内外の壁面等に適用される。
1 :剥離ライナー
3 :粘着剤層
5 :基材
7 :樹脂層
9 :印刷層
11 :合板
13 :円筒
15 :蚊
17 :砂糖水
19 :マウス
3 :粘着剤層
5 :基材
7 :樹脂層
9 :印刷層
11 :合板
13 :円筒
15 :蚊
17 :砂糖水
19 :マウス
Claims (3)
- シート状の基材と、
前記基材の一方の主面上に形成された、害虫忌避成分を含む樹脂層と、
前記樹脂層の、前記基材とは反対側に位置する主面の少なくとも一部上に形成された印刷層と、
前記基材の、前記樹脂層とは反対側に位置する主面上に形成された粘着剤層と
を備えている害虫忌避シート。 - 請求項1に記載の害虫忌避シートにおいて、
前記印刷層の膜厚は、30μm以下であることを特徴とする害虫忌避シート。 - 請求項1又は2に記載の害虫忌避シートにおいて、
前記印刷層の少なくとも一部は、黒色及び赤色から選ばれた少なくとも一色に着色されていることを特徴とする害虫忌避シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018000933U JP3217085U (ja) | 2018-03-14 | 2018-03-14 | 害虫忌避シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018000933U JP3217085U (ja) | 2018-03-14 | 2018-03-14 | 害虫忌避シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3217085U true JP3217085U (ja) | 2018-07-19 |
Family
ID=62904718
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018000933U Active JP3217085U (ja) | 2018-03-14 | 2018-03-14 | 害虫忌避シート |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3217085U (ja) |
-
2018
- 2018-03-14 JP JP2018000933U patent/JP3217085U/ja active Active
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