JP2006191883A - 誘引性および捕獲性の高い飛翔昆虫用捕獲器 - Google Patents

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大輔 西岡
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聖一郎 中村
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Abstract

【課題】飛翔昆虫、とくにコバエ類に対する誘引性および捕獲性の高い捕獲器を提供する。
【解決手段】赤色の粘着捕獲シート、および少なくとも1個以上の飛翔昆虫の誘引孔を上部に有する該シートを覆う青色のカバーからなる飛翔昆虫用捕獲器である。
【選択図】図1

Description

本発明は、飛翔昆虫、とくにコバエ類に対する誘引性および捕獲性の高い捕獲器に関する。
従来、ハエやガなどの害虫を捕獲するための捕獲器については、様々な種類が提案されており、近年では、害虫の誘引性を向上させるために、捕獲器の形状だけでなく、その色についても検討が行なわれている。
たとえば、特許文献1には、捕獲器を形成する容器の上部を緑色に、容器の下部を上部の明度より低くすることにより、ハエ類などの誘引性を高くした捕獲器が提案されている。特許文献2には、イチモンジセシリの誘引性を向上させるために外面の一部または全部を青色および/またはオレンジ色にした捕獲器が、特許文献3には、種々の害虫の誘引性を向上させるために黄色または青色に着色した捕虫器が記載されている。また、特許文献4には、多くの害虫が特定の波長の光に誘引されることを利用して、2種以上の害虫を捕獲するために多色シートを用いた捕獲装置が、特許文献5には、青色または黄色の虫誘引部を有するハエ類などの捕獲器が開示されている。さらに、特許文献6には、ハエの誘引剤について、誘引活性を高めるために、赤色や黄色などに着色する技術が記載されている。
しかし、このように特定の色に着色された従来の捕獲器を用いても、飛翔昆虫、とくにコバエ類を充分に捕獲することは困難であり、捕獲器のさらなる改良が求められていた。
特開2003−153645号公報 特開平9−248117号公報 特開平11−75657号公報 特開2000−60404号公報 特開2002−253101号公報 特開2001−10917公報
本発明は、飛翔昆虫、とくにコバエ類に対する誘引性および捕獲性の高い捕獲器を提供することを目的とする。
本発明は、赤色の粘着捕獲シート、および少なくとも1個以上の飛翔昆虫の誘引孔を上部に有する該シートを覆う青色のカバーからなる飛翔昆虫用捕獲器に関する。
飛翔昆虫は、コバエ類であることが好ましい。
本発明の飛翔昆虫用捕獲器は、赤色の粘着捕獲シート、および少なくとも1個以上の飛翔昆虫の誘引孔を上部に有する該シートを覆う青色のカバーから形成されており、飛翔昆虫、とくにコバエ類の誘引性が非常に高い。
本発明は、赤色の粘着捕獲シート、および少なくとも1個以上の飛翔昆虫の誘引孔を上部に有する該シートを覆う青色のカバーからなる飛翔昆虫用捕獲器に関する。
以下、本発明の飛翔昆虫用捕獲器を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の捕獲器の横面断面図を示す図である。
本発明の捕獲器1に用いられる粘着捕獲シート2は、捕獲器1の底面を形成するものであり、少なくとも、青色のカバー4で覆われる側に粘着剤層が形成され、粘着面3を有するものである。粘着剤層は、シートの一部に形成されていてもよく、全面に形成されていてもよい。
粘着捕獲シート2を形成する基材シートの材質は、とくに限定されず、たとえば、紙、プラスチック、木材、不織布、ガラス、金属などを用いることができる。これらの中では、粘着加工、着色加工が容易である点、経済的に有益な点より紙がとくに好ましい。
また、粘着捕獲シート2の粘着剤層を形成する粘着性物質としては、たとえば、アクリル系粘着剤、合成ゴム、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエンゴム粘着剤、ブチルゴム、クロロプレンゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、ポリビニルブチラールなどの合成粘着剤、デンプン、ゼラチン、天然ゴムなどの天然粘着剤が用いられる。これらの粘着性物質の中では、とくにアクリル系粘着剤、合成ゴム系粘着剤が、安定性、加工性に優れている点より好ましい。また、粘着性物質には、その用途上の性能を向上させるための各種添加剤、たとえば可塑剤、充填剤、酸化防止剤などを添加してもよい。
本発明の捕獲器1において、粘着捕獲シート2は、少なくともカバー4で覆われる側の面が赤色であることが必要である。赤色にすることにより、本発明の捕獲器1の飛翔昆虫に対する誘引性が向上する。波長としては、590nm以上であることが好ましく、640〜800nmであることがより好ましい。波長が590nm未満であると、コバエが粘着捕獲シート2の色を認識してしまい、青色のカバー4との組み合わせ効果がなくなってしまう傾向がある。
粘着捕獲シート2を赤色に着色する方法は、とくに限定されず、粘着剤層を形成させる前または粘着剤層形成後のシートを赤色の塗料に浸漬させる方法、粘着剤層を形成させる前または粘着剤層形成後のシートに赤色の塗料を塗布する方法、粘着剤層を形成する前のシートに赤色のシートを貼付する方法など、適宜選択することができる。
粘着捕獲シート2は、捕獲器1に侵入した飛翔昆虫を充分に捕獲することのできる面積を有し、カバー4上部の誘引孔5から認識することができるものである限り、形状やサイズはとくに限定されるものではない。
本発明の捕獲器1に用いられるカバー4は、粘着捕獲シート2を覆うものであり、少なくとも1個以上の飛翔昆虫の誘引孔5を上部に有する。
カバー4の材質は、とくに限定されず、たとえば、各種プラスチック、ガラスなど、半透明にすることが可能な材質であればよい。とくに取り扱いが容易な点より、プラスチックが好ましい。さらには、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリ塩化ビニルが、透明性に優れている点より、とくに好ましい。
カバー4の上部に設けられた飛翔昆虫の誘引孔5は、対象とする飛翔昆虫を捕獲器1内部に侵入させるのに充分な大きさを有し、本発明の捕獲器1を上部から見たときに、捕獲器1の底面に配置された粘着捕獲シート2の赤色が青色カバーを通して少しでも見えるものであればよく、その個数、形状およびサイズはとくに限定されるものではない。捕獲器1を上部から見たときに、赤色の粘着捕獲シート2が見えることにより、本発明の捕獲器1の誘引性は、従来の捕獲器に比べて高くなる。
本発明の捕獲器1において、カバー4は、少なくとも外側の面が青色であることが必要である。カバー4の外側全面が青色であることが好ましいが、カバー4の上部だけが青色であってもよい。カバー4を青色にすることにより、本発明の捕獲器1の飛翔昆虫に対する誘引性が向上する。波長としては、350〜480nmであることが好ましく、380〜480nmであることがより好ましい。波長が350nm未満であると、コバエには色が認識できず、480nmをこえると、誘引効果が薄くなる傾向がある。
カバー4を青色に着色する方法は、とくに限定されず、粘着捕獲シート2と同様に、カバーを塗料に浸漬させる方法や、カバーに塗料を塗布する方法またはカバー表面に青色のシートを貼付する方法など、適宜選択することができる。
カバー4は、粘着捕獲シート2を覆い、1個以上の誘引孔5を有するものであれば、とくに形状やサイズは限定されず、たとえば、ドーム型、円柱型、四角柱型などの形状にすることができる。
また、本発明の捕獲器1の内部には、必要に応じて、糖類、果汁、フェロモン、醸造酢、醸造酒、酒粕、植物精油などの誘引剤を配置することができる。誘引剤は液状であってもよく、適当な基材に保持させた状態で用いてもよい。ただし、捕獲器1を上部から見たときに、粘着捕獲シート2の赤色が見えるような状態で配置することが必要である。
本発明の捕獲器1は、粘着捕獲シート2およびカバー4よりなるが、粘着捕獲シート2は基材シートに粘着剤層を塗工することで製造される。カバー4は、インジェクション成型、真空成型などにより製造される。また、本発明の捕獲器1は、図1に示すように、底面を粘着捕獲シート2のみで形成し、粘着捕獲シート2を覆うようにカバー4を配置した形状だけでなく、カバー4と同様または異なる材料により形成された底面上に粘着捕獲シート2を配置し、粘着捕獲シート2を覆うようにカバー4を配置した形状であってもよい。たとえば、本発明の捕獲器1は、図2に示すような構成部品により組み立てられる。粘着捕獲シート2の粘着面3には剥離紙6が貼付されており、組み立ての際には、剥離紙6が取り去られたのち、誘引剤7が粘着面3に配置される。誘引剤7は、袋状の容器などに入れられており、使用時には容器の一部を開封した状態で粘着面3に置かれる。続いて、上部に誘引孔5を有するカバー4を粘着捕獲シート2の粘着面3上に設置することにより、本発明の捕獲器1が作成される。カバー4は、図3に示すように、両端に折り返し部8を有するものであり、粘着捕獲シート2上に設置したのち、折り返し部8を粘着捕獲シート2の裏面(粘着面3を有しない面)に折り返すことにより、粘着捕獲シート2とカバー4とを固定することができる。
飛翔昆虫にとって、波長の長い赤系統の色は見えないか、あるいは見えにくい。よって、コバエ類などの誘引色である青色のカバーを設置した本発明の捕獲器は、コバエ類がカバーの青色をはっきりと認識するため、視覚による誘引性が高くなる。また、カバー上部の誘引孔から赤色の粘着捕獲シートが見えるため、コバエ類は誘引孔を容易に見つけることになり、誘引効果がさらに高くなるのである。したがって、本発明の飛翔昆虫用捕獲器は、種々の害虫に対して誘引性を有するが、とくにショウジョウバエ、ノミバエ、クロバネキノコバエ、チョウバエなどのコバエ類に有用である。
以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明する。
実施例1
印刷により赤色に着色した紙製のシート基材に、ゴム系粘着性物質からなる粘着剤層を形成した粘着捕獲シートを覆うように、ポリ塩化ビニル製のドーム型のカバーを取り付け、捕獲器を作成した。カバーは、フィルムシート作成時に樹脂に顔料を混ぜ込んでシート成型することにより青色に着色したものを使用した。
約10畳の部屋の中央にコバエ(ショウジョウバエ)の飼育庫を置き、飼育庫から2mの距離に、作成した捕獲器を3個配置した。捕獲器を配置してから1週間後および2週間後に、3個の捕獲器内に捕獲されたコバエの合計数を数えた。結果を表1に示す。
比較例1
粘着捕獲シートを桃色に着色した以外は実施例1と同様にして捕獲器を作成し、実施例1と同様の方法でコバエの捕獲数を数えた。結果を表1に示す。
比較例2
粘着捕獲シートを白色に着色した以外は実施例1と同様にして捕獲器を作成し、実施例1と同様の方法でコバエの捕獲数を数えた。結果を表1に示す。
比較例3
カバーを無色にした以外は実施例1と同様にして捕獲器を作成し、実施例1と同様の方法でコバエの捕獲数を数えた。結果を表1に示す。
比較例4
カバーを無色、粘着捕獲シートを桃色に着色した以外は実施例1と同様にして捕獲器を作成し、実施例1と同様の方法でコバエの捕獲数を数えた。結果を表1に示す。
比較例5
カバーを無色、粘着捕獲シートを白色に着色した以外は実施例1と同様にして捕獲器を作成し、実施例1と同様の方法でコバエの捕獲数を数えた。結果を表1に示す。
表1より、カバーが青色の場合、無色の場合に比べてコバエの捕獲数が約1.7倍(665匹/402匹)となり、また、粘着捕獲シートが赤色の場合、白色の場合に比べて捕獲数が約1.3倍(426匹/330匹)となることがわかった。さらに、カバーを青色、粘着捕獲シートを赤色とした捕獲器の捕獲数は、カバーを無色、粘着捕獲シートを白色とした捕獲器に比べて約3倍(266匹/88匹)となった。粘着捕獲シートが桃色の場合には、赤色の場合に比べて捕獲数が少なくなっていた。
Figure 2006191883
本発明の飛翔昆虫用捕獲器の一実施の形態の横面図である。 本発明の飛翔昆虫用捕獲器の一実施の形態の構成を示す図である。 本発明の飛翔昆虫用捕獲器を構成するカバーの構造を示す図である。
符号の説明
1 飛翔昆虫用捕獲器
2 粘着捕獲シート
3 粘着面
4 カバー
5 誘引孔
6 剥離紙
7 誘引剤
8 折り返し部

Claims (2)

  1. 赤色の粘着捕獲シート、および少なくとも1個以上の飛翔昆虫の誘引孔を上部に有する該シートを覆う青色のカバーからなる飛翔昆虫用捕獲器。
  2. 飛翔昆虫がコバエ類である請求項1記載の飛翔昆虫用捕獲器。
JP2005008274A 2005-01-14 2005-01-14 誘引性および捕獲性の高い飛翔昆虫用捕獲器 Pending JP2006191883A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113615664A (zh) * 2021-08-24 2021-11-09 常州都铂高分子有限公司 一种适用性强的捕虫器
WO2023167323A1 (ja) * 2022-03-03 2023-09-07 フマキラー株式会社 ハエの粘着捕獲器

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