JP2002253102A - 虫捕獲用粘着剤及び虫捕獲器 - Google Patents

虫捕獲用粘着剤及び虫捕獲器

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JP2002253102A
JP2002253102A JP2001107810A JP2001107810A JP2002253102A JP 2002253102 A JP2002253102 A JP 2002253102A JP 2001107810 A JP2001107810 A JP 2001107810A JP 2001107810 A JP2001107810 A JP 2001107810A JP 2002253102 A JP2002253102 A JP 2002253102A
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insect
adhesive
volatile
substance
attracting
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JP2001107810A
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Masahiro Shimoda
昌弘 下田
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Hakugen Co Ltd
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Hakugen Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】接触した虫の指向性を働かせて粘着性物質に貼
り付かせることにより捕虫率を高める。 【解決手段】虫捕獲器1は、虫捕獲用粘着剤2と、この
虫捕獲用粘着剤2を塗布したシート体10と、該シート
体10を収容する容器本体20と、該容器本体20に設
けられた虫導入用開口部21〜31と、前記容器本体2
0及び前記シート体10にそれぞれ設けられた虫誘引部
の揮散性虫誘引マット3及び虫誘引性色彩部11から構
成されている。容器本体20は、透明プラスチックのブ
ランク板状物を、水平方向の断面が台形で上面が開口し
た箱型に形成したものである。虫捕獲用粘着剤2は、前
記虫を粘着して捕獲する粘着性物質に難揮散性虫指向性
物質を含有させたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘着性物質を用い
て虫を捕獲する虫捕獲用粘着剤及び虫捕獲器に係り、特
に捕獲効率を向上できる虫捕獲用粘着剤及び虫捕獲器に
関する。
【従来の技術】従来、粘着性物質の粘着剤を用いて害虫
を捕獲する捕獲器としては、ハエ取りリボンやゴキブリ
捕獲器が存在する。ハエ取りリボンは、リボンに粘着剤
を塗布したものである。ゴキブリ捕獲器は、粘着剤を塗
布したシート体に揮散性誘引剤を載置し、揮散性誘引剤
でゴキブリを誘引して粘着剤で捕獲するものである。こ
こで、従来のハエ取りリボンは、リボンに塗布された粘
着剤に偶然接触したハエ等の飛翔性昆虫を粘着捕獲した
り揮散性誘引物質を含浸して誘引したりするものである
が、前記粘着剤は昆虫にとって自身の自由を奪うもので
あるため、昆虫は粘着剤から抜け出すように行動する。
このため、昆虫によっては自力で粘着剤から抜け出すこ
とができたり、粘着剤と昆虫との接触が浅い場合や粘着
剤の性能が劣化している場合には昆虫が容易に抜け出し
たりしていた。また、ゴキブリ捕獲器では、ゴキブリは
揮散性誘引剤に誘引されて粘着剤に粘着されるが、揮散
性誘引剤がゴキブリの餌である場合にはゴキブリがその
餌を食べて粘着剤から脱出してしまう場合もあり、揮散
性誘引剤がすべて揮散してしまった場合にはそこから脱
出するゴキブリも多く粘着剤に接触しても捕獲に到らな
い場合もあった。
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来の
粘着剤を用いて虫を捕獲する捕獲器では、誘引剤を用い
てない場合や、誘引剤が虫によって食べられたり揮散し
たりして消失した場合に、虫が粘着剤から抜け出すよう
に行動して、粘着剤に接触しても捕獲に到らない場合も
あった。本発明は、これらの事情に鑑みてなされたもの
であり、接触した虫の指向性を働かせて当該虫を滞留さ
せて確実に粘着性物質に貼り付かせることにより捕虫率
を向上させた虫捕獲用粘着剤及び虫捕獲器を提供するこ
とを目的とする。
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
請求項1に記載の虫捕獲用粘着剤は、虫を粘着して捕獲
する粘着性物質と、この粘着性物質に添加された状態
で、揮散性が無いかまたは揮散性が少なく、前記虫に対
して指向性を働かせて難揮散性虫指向性物質と、を含ん
だことを特徴とする。請求項2に記載の虫捕獲用粘着剤
は、請求項1に記載の虫捕獲用粘着剤であって、前記難
揮散性虫指向性物質は、前記虫のフェロモンであること
を特徴とする。請求項3に記載の虫捕獲器は、請求項1
または2に記載の虫捕獲用粘着剤と、この虫捕獲用粘着
剤を塗布したシート体と、このシート体を収容する容器
本体と、この容器本体に設けられた虫導入用開口部と、
前記容器本体及び前記シート体の少なくとも一方に設け
られた虫誘引部と、を具備したことを特徴とする。請求
項4に記載の虫捕獲器は、請求項3に記載の虫捕獲器で
あって、前記虫誘引部が、前記容器本体の表面部に施し
た虫誘引性色彩部と、前記容器本体の内部に設置した揮
散性虫誘引部の少なくともいずれか一方でなることを特
徴とする。請求項5に記載の虫捕獲器は、請求項3に記
載の虫捕獲器であって、前記容器本体の表面部に施した
第1の虫誘引性色彩部と、前記シート体に施した第2の
虫誘引性色彩部の少なくともいずれか一方でなることを
特徴とする。請求項6に記載の虫捕獲器は、請求項4ま
たは5に記載の虫捕獲器であって、前記虫誘引性色彩部
が、青色または黄色であることを特徴とする。請求項7
に記載の虫捕獲器は、請求項3乃至6のいずれか一記載
の虫捕獲器であって、前記容器本体の少なくとも一部を
透明な材質で形成し、内部の前記シート体を透視可能に
形成したことを特徴とする。請求項8に記載の虫捕獲器
は、請求項7に記載の虫捕獲器であって、前記容器本体
が、透明プラスチックのブランク板状物を組み立てて形
成されてなることを特徴とする。請求項9に記載の虫捕
獲器は、請求項5に記載の虫捕獲器であって、前記第1
の虫誘引性色彩部が、薄青色の水玉模様で形成されてな
ることを特徴とする。請求項10に記載の虫捕獲器は、
請求項5に記載の虫捕獲器であって、前記第2の虫誘引
性色彩部が、前記シート体の少なくとも片面全部を薄青
色に着色し、この着色した面に前記薄青色よりも濃い色
で水玉模様を描いてなることを特徴とする。請求項1乃
至10に記載の構成により、粘着剤に添加した難揮散性
虫指向性物質を用いて、接触した虫の指向性を働かせて
当該虫を滞留させて粘着性物質に貼り付かせることがで
きる。請求項1に記載の難揮散性虫指向性物質として
は、虫に対して指向性を働かせる物質を単独、または組
み合わせて用いることができる対象虫のフェロモンを用
いるのが特に好ましいが、虫に対して指向性を働かせる
物質でその蒸気圧が室温で10−2mmHg以下のもの
が好ましい。さらに好ましくは10−4mmHg以下の
ものが用いられる。また、請求項1に記載の難揮散性虫
指向性物質としては、その物質自信の蒸気圧が低いもの
であればそのまま使用できるが、若干高い揮散性を有す
るものや揮散制御方法として揮散抑制剤を配合して調節
したものであっても良い。また、請求項1に記載の難揮
散性指向性物質としては、虫が主に当該物質に接触する
ことによりその物質に対して指向性が働くものであって
難揮散性のものであれば特に制限はない。指向性が働く
要因としては、餌、その虫の仲間、交尾対象、その他が
考えられる。好ましくは、難揮散性のフェロモンが用い
られる。フェロモン物質を厳密に分類することは未だ生
物学的に解明されていない部分が多く困難であるが、仲
間の虫をある場所に集める集合フェロモンや、自分ある
いは仲間が通過する道に残存させておく道しるべのよう
なフェロモンや、交尾対象を引きつける性フェロモンな
どが考えられる。この場合、未だどのような作用効果に
よって当該虫をその場所へ引きつけておくのか判明しな
いフェロモンや、フェロモンであること自体証明されて
いない物質もあるが、Z−9−トリコセン、ペリプラノ
ンA、ベリプラノンB、ノナコサノン、(E)−10,
(Z)−12−ヘキサデカジエノール、Z−7,8−エ
ポキシ−2−メチルオクタデカン、Z,E−9,12−
テトラデカジエノール酢酸Z,E−9,12−テトラデ
カジエノール、酢酸−Z,E−9,11−テトラデカジ
エニル、酢酸−Z,E−9,12−テトラデカジエニ
ル、Z−9−テトラデセニルアセタート、Z−11−テ
トラデセニルアセタート、シス−3,シス−5−テトラ
デカジエン酸、n−ノナナール、n−ウンデカナール、
メチル−4−メチルピロール−2−カルボキシラート、
ブラッテラスタノシドAなどが好適である。また、オリ
ゴ糖にリン脂質を加えたものや、1−ジメチルアミノ−
2−メチル−2−プロパノールにトリメチルアミンを混
合したものが用いられる。また、これらは単独で用いて
もよく2種以上混合したものを用いても良い。また、蒸
気圧の高いものは揮散抑制剤を混合して適宜使用され
る。前記粘着性物質としては、特に制限はなく、合成粘
着剤、天然粘着剤が用いられる。合成粘着剤としては、
例えば、アクリル系粘着剤、ポリブテン系粘着剤、ポリ
イソブチレン、スチレン−ブタジエンゴム粘着剤、ブチ
ルゴム、クロロブレンゴム、塩ビ−酢ビ共重合体、塩化
ゴム、ポリビニルブチラールなどが用いられる。また、
天然粘着剤としては、天然ゴム、ゼラチンなどが用いら
れる,好ましくは、ポリブテン系粘着剤や、天然ゴムお
よび合成イソプレンゴムなどのエラストマーに種々の粘
着付与樹脂を加えたゴム系粘着剤、アクリル酸エステル
共羞合体からなるアクリル系粘着剤、シリコーンをベー
スにしたシリコーン粘着剤等が挙げられる。請求項4に
記載の揮散性虫誘引部としては、揮散性虫誘引物質のみ
からなるか、揮散性誘引物質を担持・含浸・収納してな
る担体とからなる。揮散性虫誘引物質としては、性誘引
剤、誘引香料、食物誘引剤等が挙げられるが、虫を誘引
し揮発性を有する物質であれば特に制限はない。性誘引
剤としては、フェロモン、フェロモン様物質等が挙げら
れる。誘引香料としては、シュガーラクトン、ミルクラ
クトン等が挙げられる。食物誘引剤としては、バナナ等
の果汁エキス、ハチミツ、麦芽汁、魚粉、サナギ粉、ゴ
マ油等の動植物抽出物およびその合成品などが挙げられ
る。前記難揮散性指向性物質に揮散性促進剤を混合して
蒸気圧を高くしたものを用いてもよい。また、揮散性虫
誘引部の形態としては特に制限はなく、揮散性虫誘引物
質が液体の場合は、紙、木、不織布、パルプ粒などの含
浸体に含浸させたシート状物(マット、フィルムな
ど)、粒状物、塊状物をそのまま、あるいは通気性袋体
等に収納して用いられる。揮倣性虫誘引物質が固体ある
いはゲル状体の場合は、(なお、ここでは揮散性の概念
には昇華性物質も含まれる)そのまま用いてもよく、通
気性袋体に収納して用いても良い。請求項4及び5に記
載の誘引性色彩部としては、青色または黄色が好まし
い。さらに好ましくは、青色の誘引効果が高く、波長と
しては、400〜530nmが好ましく、さらに好まし
くは波長が400〜500nmのものが用いられると良
い。また、模様を施してもよく、斑点模様、水玉模様な
どが好ましい.なお、斑点(あるいは水玉)の点は丸だ
けでなく、四角、三角、星形、虫の形であってもよく、
虫の形であると仲間であると恩い誘引されるため好まし
い。さらに、虫の形を精細に描画した場合には、その虫
と同種の虫は仲間であると思い、またはその虫を捕食す
る虫は餌であると思い誘引される。
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1乃至図7は本発明の一実施の
形態に係り、図1は虫捕獲器を示す背面側から見た斜視
図、図2は虫捕獲器を示す正面側から見た斜視図、図3
は図1の容器本体20を示す展開図、図4(a)は図1
のシート体10を示す平面図、図4(b)は図1の揮散
性虫誘引マット3を示す平面図、図5は虫捕獲器を示す
断面図、図6(a)は虫捕獲器を示す上面図、図6
(b)は虫捕獲器を示す底面図、図7(a)は図1の虫
捕獲器を示す正面図、図7(b)は図1の虫捕獲器を示
す側面図、図7(c)は図1の虫捕獲器を示す背面図で
ある。図1において、虫捕獲器1は、虫捕獲用粘着剤2
と、この虫捕獲用粘着剤2を塗布したシート体10と、
このシート体10を収容する容器本体20と、この容器
本体20に設けられた虫導入用開口部21〜31と、前
記容器本体20及び前記シート体10にそれぞれ設けら
れた虫誘引部の揮散性虫誘引マット3及び虫誘引性色彩
部11,15(図2参照)とから構成されている。容器
本体20は、透明プラスチックの板状物を、水平方向の
断面が台形で上面が開口した箱型に形成したものであ
る。揮散性虫誘引マット3は、容器本体20の底面を形
成する底面用フラップ51に取り付けられている。虫捕
獲用粘着剤2は、前記虫(本実施の形態の場合、イエバ
エ)を粘着して捕獲する粘着性物質に難揮散性虫指向性
物質を添加したものである。難揮散性虫指向性物質は、
揮散性が無いかまたは揮散性が少なく、虫に対して指向
性を働かせて誘引する物質であり、本実施の形態ではイ
エバエのフェロモンを用いている。ここで、虫捕獲用粘
着剤2について詳細に説明する。イエバエのフェロモン
であるZ−9−tricoseneは室温(20℃)に
おける蒸気圧が2.777×10−5mmHgである。
これをポリブテン系粘着剤に0.5%添加し、虫捕獲用
粘着剤2としてカード紙の片面に塗布する。このように
して作成した粘着板をイエバエが100匹存在する室内
に設置した場合、Z−9−tricoseneを添加し
ていないものと比較して格段の捕獲効果が観測された。
また、フェロモン以外の難揮散性虫指向性物質として
は、イエバエに対して誘引効果のある誘引液をマイクロ
カプセルに封入したものも用いられる。この例では、誘
引物質の蒸気圧は10−3mmHgになる。これをポリ
ブテン系粘着剤に0.5%添加し、虫捕獲用粘着剤2と
してカード紙の片面に塗布する。この粘着板をイエバエ
が100匹存在する室内に設置した場合、揮散制御され
た誘引物質を添加していないものと比較して格段の捕獲
効果が観測された。本実施の形態では、虫捕獲用粘着剤
2の難揮散性虫指向性物質としてこのような物質を用い
ることが可能である。虫捕獲用粘着剤2は、シート体1
0の虫捕獲器内側面となる片面12に塗布されている。
前記虫誘引性色彩部11は、前記シート体10の片面1
2全部に薄青色に着色することにより薄青色部13を形
成し、この薄青色部13の上に薄青色よりも濃い色(例
えば黒)で水玉模様14を描いて形成したものである。
容器本体20の背面部42上側には、吊下用フック穴3
2が形成されている。また、容器本体20の外側面に
は、虫誘引性色彩部となる薄青色の水玉模様35が印刷
等の方法によって形成されている。図2において、前記
虫誘引性色彩部15は、前記シート体10の虫捕獲器外
側面及び内側面の片面16全部に薄青色に着色すること
により薄青色部を形成したものである。容器本体20の
正面部44上側には、切り欠き33が形成されており、
使用者がシート体10を容器本体20に取り付けたり引
き抜いたりする際に、切り欠き33を介してシート体1
0を使用者の指で容易に保持できるようになっている。
図3において、容器本体20は、透明プラスチック板を
折り込むことにより箱体を形成するものである。左側面
部41、背面部42及び右側面部43には、薄青色の水
玉模様35を一定の配列で形成している。この水玉模様
35のサイズはイエバエの大きさと同程度となってお
り、イエバエが水玉模様35を仲間と間違えて近付くよ
うにしている。左側面部41、背面部42、右側面部4
3及び正面部44は、横に並べてつなげられ、箱体の前
後左右の4面を形成する。側面補強部45は、正面部4
4の横に並べてつなげられ、前記箱体の左側面部41と
正面部44との間の補強を行う。底面用フラップ51,
53,54は、それぞれ左側面部41、右側面部43及
び正面部44の底面側につなげられ、前記箱体の底面を
形成する。舌片55,56は、左側面部41の左横の上
寄り及び下寄りにつなげられている。正面部44と側面
補強部45の間の上寄り及び下寄りには、前記舌片5
5,56がそれぞれ差し込まれる切り込み57,58が
形成されている。また、容器本体20は、正面部44の
方が背面部42より広くなっている。左側面部41に
は、上から円形の虫導入用開口部23,24,25,2
6が並べて形成される。背面部42には、上から吊下用
フック穴32と略長方形の虫導入用開口部21,22が
並べて形成される。右側面部43には、上から円形の虫
導入用開口部27,28,29,30が並べて形成され
る。正面部44の上辺には、指形の切り欠き33が形成
されている。底面用フラップ51には、図1に示した揮
散性虫誘引マット3が差し込まれる切り込み59および
揮散性虫誘引マット3を箱体内側に露出させるための開
口部60が形成されている。底面用フラップ53には、
揮散性虫誘引マット3の位置を安定化させるための切り
欠き61が形成されている。また底面用フラップ51,
53の箱体背面寄りにはそれぞれ段部62,63が形成
されている。底面用フラップ54の箱体背面寄りには舌
片64が形成されている。底面用フラップ54と舌片6
4の境界線の両脇には前記段部62,63とそれぞれ係
合するための切り込み65,66が形成されている。底
面用フラップ54には、切り欠き67が形成されてお
り、使用者が揮散性虫誘引マット3を容器本体20に取
り付けたり引き抜いたりする際に、切り欠き67を介し
て揮散性虫誘引マット3を使用者の指で容易に保持でき
るようになっている。このような容器本体20を箱体に
組み立てる手順を以下に説明する。容器本体20を箱体
に組み立てる場合には、まず、図3の状態の容器本体2
0に対して、一点鎖線L1,L2,L3,L4に沿って
左側面部41、背面部42、右側面部43、正面部44
及び側面補強部45の間の折り込みを行い、さらに一点
鎖線L5,L6に沿って舌片55,56の折り込みを行
い、前記舌片55,56を図2に示すように切り込み5
7,58に差し込む。これにより、左側面部41、背面
部42、右側面部43、正面部44を箱体の左、後、
右、前の4面の位置に配置する。次に、底面用フラップ
53を一点鎖線L7に沿って折り込み、この後、底面用
フラップ51を一点鎖線L8に沿って折り込み、舌片6
4を一点鎖線L9に沿って折り込んでから、底面用フラ
ップ54を一点鎖線L10に沿って折り込み、図1に示
すように舌片64を背面部42と底面用フラップ51,
53の間に差し込む。これにより箱体の底面を形成す
る。容器本体20による箱体の上面は図1に示す虫導入
用開口部31となる。次に、シート体10と揮散性虫誘
引マット3について詳細に説明する。図4(a)におい
て、シート体10の片面12に設けた虫誘引性色彩部1
1は、薄青色部13の上に複数の水玉模様14を一定の
配列で形成したものである。この水玉模様14のサイズ
はイエバエの大きさと同程度となっており、イエバエが
水玉模様14を仲間と間違えて接触するようにしてい
る。シート体10の虫誘引性色彩部11に塗布される虫
捕獲用粘着剤2は、無色透明であり、虫が虫誘引性色彩
部11を確認できるようになっている。図4(b)にお
いて、揮散性虫誘引マット3は、厚紙による基材に揮散
性虫誘引物質を染み込ませたものである。図4(a)に
示したシート体10は図1に示す容器本体20の虫導入
用開口部31に挿入され、図4(b)に示す揮散性虫誘
引マット3は、図1に示す底面用フラップ51,54の
間に差し込まれ、さらに切り込み59に差し込まれる。
または、底面用フラップ54を開き、底面用フラップ5
1内側面にマット3を載置してから底面用フラップ54
を閉じ、舌片64を差し込んでセットしてもよい。ここ
で容器本体20は、正面部44の方が背面部42より広
くなっていので、図5に示すように、前記シート体10
は容器本体20の正面部44の内側に密接して配置して
おり、正面部44の反対側に虫捕獲用粘着剤2が塗布さ
れている。また、揮散性虫誘引マット3は容器本体20
の底面を形成する底面用フラップ51,54に挟まれた
状態で取り付けられる。虫捕獲器1を組み立てた状態に
おいて、図6(a)に示すように、揮散性虫誘引マット
3は、右側の一部が底面用フラップ51の切り込み59
から容器本体20内部に突出するとともに、中央部が底
面用フラップ51の開口部60によって容器本体20内
部に露出するようになっている。これにより、揮散性虫
誘引マット3から気化した揮散性虫誘引物質を効率的に
容器本体20内部に導くことができる。また、揮散性虫
誘引マット3の右側は切り込み59が保持している。底
面用フラップ53の切り欠き61は、揮散性虫誘引マッ
ト3を妨げないようになっている。図6(b)に示すよ
うに、容器本体20の下面は、底面用フラップ54によ
ってカバーされており、揮散性虫誘引マット3から気化
した揮散性虫誘引物質あまり容器本体20の下側から流
出しないようにしている。図7(a)に示すように、虫
捕獲器1を正面から見た状態では、容器本体20の正面
部44を介して前記シート体10の虫誘引性色彩部15
を確認できる。図7(b)に示すように、虫捕獲器1を
左側面から見た状態では、容器本体20の左側面部41
を介してシート体10及び揮散性虫誘引マット3を確認
できる。図7(c)に示すように、虫捕獲器1を背面側
から見た状態では、容器本体20が透明な材質で形成さ
れているため、左側面部41、背面部42、右側面部4
3を介してシート体10の虫誘引性色彩部11及び揮散
性虫誘引マット3を確認できる。虫導入用開口部21〜
31からは、揮散性虫誘引マット3から気化した揮散性
虫誘引物質が流出する。このような虫捕獲器1を用いた
虫捕獲動作を以下に説明する。まず、部屋の壁や天井等
に取り付けたフックまたは吊り下げ用ひもを容器本体2
0の吊下用フック穴32に挿入して容器本体20を吊り
下げて、虫捕獲器1を配置する。または、背面部42等
に両面テープ(図示せず)で壁面に取り付けて配置す
る。この場合、イエバエは、前記容器本体20の水玉模
様35と前記シート体10の虫誘引性色彩部15とに誘
われて虫捕獲器1に近付き、虫捕獲器1の周りを飛び回
る。そして、近付いたイエバエは、さらに揮散性虫誘引
物質に誘われて虫導入用開口部21〜31から進入し、
シート体10の虫誘引性色彩部11を見ることになり、
虫誘引性色彩部11の水玉模様14を仲間と勘違いし
て、シート体10の虫捕獲用粘着剤2が塗布された部分
にとまり、虫捕獲用粘着剤2に粘着する。虫捕獲用粘着
剤2に粘着したイエバエは、難揮散性虫指向性物質によ
り指向性が働かされ虫捕獲用粘着剤2に誘引されている
ので、長時間にわたって粘着剤から抜け出す行動をあま
り行わない状態になっており、さらには、むしろ自ら深
く接触する傾向にあると考えられる。ここで、虫捕獲用
粘着剤2に難揮散性虫指向性物質を用いたことによる効
果を実験例で説明する。この実験例の場合には4種類の
シート体(P+A),(P),(A),(C)を用意す
る。1種類目のシート体(P+A)は、難揮散性虫指向
性物質となるイエバエのフェロモンを粘着剤に添加して
カード紙の片面に塗布するとともに、この粘着剤に揮散
性虫誘引マットを取り付けている。2種類目のシート体
(P)は、イエバエのフェロモンを粘着剤に添加してカ
ード紙の片面に塗布するが、この粘着剤に揮散性虫誘引
マットを取り付けない。3種類目のシート体(A)は、
イエバエのフェロモンを添加しない粘着剤をカード紙の
片面に塗布し、この粘着剤に揮散性虫誘引マットを取り
付けている。4種類目のシート体(C)は、ブランク
(粘着剤のみを塗布したもの)となっており、イエバエ
のフェロモンを添加せず揮散性虫誘引マットも取り付け
ない粘着剤をカード紙の片面に塗布したものである。そ
して、これらシート体(P+A),(P),(A),
(C)を3枚ずつ用意し、多数のイエバエが居る室内
に、四種類全てを天井から吊す、天井に貼る、壁に貼る
という3つの方法で配置し、2時間程度、時間を経過さ
せる。3つの配置方法全てにおいて、最も多くイエバエ
を捕獲したのがシート体(P+A)で、次に多くイエバ
エを捕獲したのがシート体(P)、3番目に多くイエバ
エを捕獲したのがシート体捕獲したのがシート体
(A)、イエバエが最も少なく捕獲効率が最も劣るのが
シート体(C)である。このことから、虫捕獲用粘着剤
2に難揮散性虫指向性物質を添加することにより揮散性
虫誘引物質を用いるよりも高い効果が得られ、難揮散性
虫指向性物質と揮散性虫誘引マット3を併用すること
で、さらに捕虫効果を高めることができることが確認で
きる。虫捕獲器1のシート体10を薄青色に着色したこ
とによる効果を実験例で説明する。この実験例の場合に
は2種類のシート体(B),(Y)を用意する。用意す
るシート体(B)は薄青色のカード紙の片面に粘着剤に
塗布したものであり、シート体(Y)は黄色のカード紙
の片面に粘着剤に塗布したものである。これらシート体
(B),(Y)を3枚づづ用意し、多数のイエバエが居
る室内に、2種類全てを天井から吊す、天井に貼る、壁
に貼るという3つの方法で配置し、26時間を経過させ
る。この場合、室内は、照明の蛍光灯を点灯し、温度を
23℃に保つ。このような状態で26時間を経過する
と、天井から吊した状態のシート体(B)には162匹
のイエバエが張り付き、天井から吊した状態のシート体
(Y)には47匹のイエバエが張り付き、天井に貼った
状態のシート体(B)には138匹のイエバエが張り付
き、天井に貼った状態のシート体(Y)には83匹のイ
エバエが張り付き、カベに貼った状態のシート体(B)
には75匹のイエバエが張り付き、カベに貼った状態の
シート体(Y)には24匹のイエバエが張り付いた。こ
のことから、シート体10を薄青色に着色することによ
り高い捕虫効果が得られることが確認できる。以上、説
明したように、本実施の形態によれば、虫捕獲用粘着剤
2の粘着性物質に添加された難揮散性虫指向性物質を用
いて、虫捕獲用粘着剤2に接触した虫(イエバエ)の指
向性を働かせて当該虫を滞留させて粘着性物質に確実に
貼り付かせ捕獲することができる。これにより、虫が虫
捕獲用粘着剤2から抜け出すような逃避行動を取らず、
虫捕獲用粘着剤2にしっかりと捕獲される。これによ
り、虫が自力で抜け出す確率が低下し、捕虫率を向上さ
せることができる。また、粘着剤が乾燥などにより徐々
に接着力が落ちた場合であっても、指向性はほとんど劣
化しないため、捕獲性能は維持できる。さらに、難揮散
性虫指向性物質に指向性を働かせる作用が強力なものを
用いた場合には、虫捕獲用粘着剤2のみに昆虫が誘引さ
れるので、そこからまったく抜け出そうとせず確実に捕
獲することができる。尚、図1乃至図7の実施の形態に
おける難揮散性虫指向性物質としては、揮散性が無い
か、揮散性が少ないものであって、捕獲対象の虫が好む
物質であれば特に制限はない。虫の指向性を働かせる要
素としては、第1に餌に対する指向性があり、第2に交
尾対象に対する指向性がある。その他、虫によっては指
向性が異なる場合があるが、難揮散性虫嗜好性物質とし
ては、捕獲対象となる虫が指向性を働かせる物質を単
独、または組み合わせて用いることができる前記虫のフ
ェロモンを用いるのが特に好ましい。ここで、難揮散性
虫指向性物質の難揮散性としては、従来の捕獲器等に使
用されている虫誘引剤のようにその物質の揮散性によっ
て誘引するものではなく、接触、近接した際に指向性を
働かすものであればよい。また、本実施の形態では、虫
捕獲用粘着剤2のみでも優れた虫捕獲効果を発揮するこ
とができるが、虫捕獲用粘着剤2に虫を近接および接触
させる必要があるため、虫捕獲器1に使用する際には虫
を虫捕獲用粘着剤2へおびき寄せる仕組みを用意するの
が好ましく、容器本体20とシート体10に昆虫誘引部
を設けている。しかしながら昆虫誘引部としては、前記
容器本体20の表面部に施した虫誘引性色彩部と、前記
容器本体20の内部に設置した揮散性虫誘引部の少なく
ともいずれか一方でもよい。また、容器本体20は、透
明プラスチックのブランク板状物(何の印刷も行わない
板状物)を、組み立てて形成したものでもよい。また、
前記虫誘引部は、前記容器本体20の表面部に施した第
1の虫誘引性色彩部と、前記シート体10に施した第2
の虫誘引性色彩部11,15の少なくともいずれか一方
で構成してもよい。この場合、第1の虫誘引性色彩部
は、青色の水玉模様で形成することにより、高い効果が
得られる。さらに、虫誘引部としては、色、形、匂い以
外に音や光等、各種適用できる。また、捕獲対象となる
虫としては、イエバエ以外にもゴキブリ、蚊、ハチ、羽
根アリ、蛾や、昆虫以外の節足動物となるクモ、ダニ
等、各種適用できる。
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、虫捕
獲用粘着剤の粘着性物質に添加した難揮散性虫指向性物
質を用いて、接触した虫の指向性を働かせて当該虫を滞
留させて粘着性物質に貼り付かせることができるので、
虫が虫捕獲用粘着剤に対して逃避行動を取らず、虫捕獲
用粘着剤にしっかりと捕獲され、捕虫率を向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る虫捕獲器を示す背
面側から見た斜視図。
【図2】図1の虫捕獲器を示す正面側から見た斜視図。
【図3】図1の容器本体を示す展開図。
【図4】図1のシート体及び誘引剤マットを示す平面
図。
【図5】図1の虫捕獲器を示す断面図。
【図6】図1の虫捕獲器を示す上面図及び底面図。
【図7】図1の虫捕獲器を示す正面図、側面図及び背面
図。
【符号の説明】
1 虫捕獲器 2 虫捕獲用粘着剤 3 揮散性虫誘引マット 10 シート体 11,15 虫誘引性色彩部 20 容器本体 21〜31 虫導入用開口部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年5月2日(2001.5.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 虫捕獲用粘着剤及び虫捕獲器
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘着性物質を用い
て虫を捕獲する虫捕獲用粘着剤及び虫捕獲器に係り、特
に捕獲効率を向上できる虫捕獲用粘着剤及び虫捕獲器に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、粘着性物質の粘着剤を用いて害虫
を捕獲する捕獲器としては、ハエ取りリボンやゴキブリ
捕獲器が存在する。ハエ取りリボンは、リボンに粘着剤
を塗布したものである。ゴキブリ捕獲器は、粘着剤を塗
布したシート体に揮散性誘引剤を載置し、揮散性誘引剤
でゴキブリを誘引して粘着剤で捕獲するものである。
【0003】ここで、従来のハエ取りリボンは、リボン
に塗布された粘着剤に偶然接触したハエ等の飛翔性昆虫
を粘着捕獲したり揮散性誘引物質を含浸して誘引したり
するものであるが、前記粘着剤は昆虫にとって自身の自
由を奪うものであるため、昆虫は粘着剤から抜け出すよ
うに行動する。このため、昆虫によっては自力で粘着剤
から抜け出すことができたり、粘着剤と昆虫との接触が
浅い場合や粘着剤の性能が劣化している場合には昆虫が
容易に抜け出したりしていた。
【0004】また、ゴキブリ捕獲器では、ゴキブリは揮
散性誘引剤に誘引されて粘着剤に粘着されるが、揮散性
誘引剤がゴキブリの餌である場合にはゴキブリがその餌
を食べて粘着剤から脱出してしまう場合もあり、揮散性
誘引剤がすべて揮散してしまった場合にはそこから脱出
するゴキブリも多く粘着剤に接触しても捕獲に到らない
場合もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来の
粘着剤を用いて虫を捕獲する捕獲器では、誘引剤を用い
てない場合や、誘引剤が虫によって食べられたり揮散し
たりして消失した場合に、虫が粘着剤から抜け出すよう
に行動して、粘着剤に接触しても捕獲に到らない場合も
あった。
【0006】本発明は、これらの事情に鑑みてなされた
ものであり、接触した虫の指向性を働かせて当該虫を滞
留させて確実に粘着性物質に貼り付かせることにより捕
虫率を向上させた虫捕獲用粘着剤及び虫捕獲器を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
請求項1に記載の虫捕獲用粘着剤は、虫を粘着して捕獲
する粘着性物質と、この粘着性物質に添加された状態
で、揮散性が無いかまたは揮散性が少なく、前記虫に対
して指向性を働かせて難揮散性虫指向性物質と、を含ん
だことを特徴とする。
【0008】請求項2に記載の虫捕獲用粘着剤は、請求
項1に記載の虫捕獲用粘着剤であって、前記難揮散性虫
指向性物質は、前記虫のフェロモンであることを特徴と
する。
【0009】請求項3に記載の虫捕獲器は、請求項1ま
たは2に記載の虫捕獲用粘着剤と、この虫捕獲用粘着剤
を塗布したシート体と、このシート体を収容する容器本
体と、この容器本体に設けられた虫導入用開口部と、前
記容器本体及び前記シート体の少なくとも一方に設けら
れた虫誘引部と、を具備したことを特徴とする。
【0010】請求項4に記載の虫捕獲器は、請求項3に
記載の虫捕獲器であって、前記虫誘引部が、前記容器本
体の表面部に施した虫誘引性色彩部と、前記容器本体の
内部に設置した揮散性虫誘引部の少なくともいずれか一
方でなることを特徴とする。
【0011】請求項5に記載の虫捕獲器は、請求項3に
記載の虫捕獲器であって、前記容器本体の表面部に施し
た第1の虫誘引性色彩部と、前記シート体に施した第2
の虫誘引性色彩部の少なくともいずれか一方でなること
を特徴とする。
【0012】請求項6に記載の虫捕獲器は、請求項4ま
たは5に記載の虫捕獲器であって、前記虫誘引性色彩部
が、青色または黄色であることを特徴とする。
【0013】請求項7に記載の虫捕獲器は、請求項3乃
至6のいずれか一記載の虫捕獲器であって、前記容器本
体の少なくとも一部を透明な材質で形成し、内部の前記
シート体を透視可能に形成したことを特徴とする。
【0014】請求項8に記載の虫捕獲器は、請求項7に
記載の虫捕獲器であって、前記容器本体が、透明プラス
チックのブランク板状物を組み立てて形成されてなるこ
とを特徴とする。
【0015】請求項9に記載の虫捕獲器は、請求項5に
記載の虫捕獲器であって、前記第1の虫誘引性色彩部
が、薄青色の水玉模様で形成されてなることを特徴とす
る。
【0016】請求項10に記載の虫捕獲器は、請求項5
に記載の虫捕獲器であって、前記第2の虫誘引性色彩部
が、前記シート体の少なくとも片面全部を薄青色に着色
し、この着色した面に前記薄青色よりも濃い色で水玉模
様を描いてなることを特徴とする。
【0017】請求項1乃至10に記載の構成により、粘
着剤に添加した難揮散性虫指向性物質を用いて、接触し
た虫の指向性を働かせて当該虫を滞留させて粘着性物質
に貼り付かせることができる。
【0018】請求項1に記載の難揮散性虫指向性物質と
しては、虫に対して指向性を働かせる物質を単独、また
は組み合わせて用いることができる対象虫のフェロモン
を用いるのが特に好ましいが、虫に対して指向性を働か
せる物質でその蒸気圧が室温で10−2mmHg以下のもの
が好ましい。さらに好ましくは10−4mmHg以下のもの
が用いられる。また、請求項1に記載の難揮散性虫指向
性物質としては、その物質自信の蒸気圧が低いものであ
ればそのまま使用できるが、若干高い揮散性を有するも
のや揮散制御方法として揮散抑制剤を配合して調節した
ものであっても良い。
【0019】また、請求項1に記載の難揮散性指向性物
質としては、虫が主に当該物質に接触することによりそ
の物質に対して指向性が働くものであって難揮散性のも
のであれば特に制限はない。指向性が働く要因として
は、餌、その虫の仲間、交尾対象、その他が考えられ
る。好ましくは、難揮散性のフェロモンが用いられる。
フェロモン物質を厳密に分類することは未だ生物学的に
解明されていない部分が多く困難であるが、仲間の虫を
ある場所に集める集合フェロモンや、自分あるいは仲間
が通過する道に残存させておく道しるべのようなフェロ
モンや、交尾対象を引きつける性フェロモンなどが考え
られる。この場合、未だどのような作用効果によって当
該虫をその場所へ引きつけておくのか判明しないフェロ
モンや、フェロモンであること自体証明されていない物
質もあるが、Z−9−トリコセン、ペリプラノンA、ベ
リプラノンB、ノナコサノン、(E)−10,(Z)−
12−ヘキサデカジエノール、Z−7,8−エポキシ−
2−メチルオクタデカン、Z,E−9,12−テトラデ
カジエノール酢酸Z,E−9,12−テトラデカジエノ
ール、酢酸−Z,E−9,11−テトラデカジエニル、
酢酸−Z,E−9,12−テトラデカジエニル、Z−9
−テトラデセニルアセタート、Z−11−テトラデセニ
ルアセタート、シス−3,シス−5−テトラデカジエン
酸、n−ノナナール、n−ウンデカナール、メチル−4
−メチルピロール−2−カルボキシラート、ブラッテラ
スタノシドAなどが好適である。また、オリゴ糖にリン
脂質を加えたものや、1−ジメチルアミノ−2−メチル
−2−プロパノールにトリメチルアミンを混合したもの
が用いられる。また、これらは単独で用いてもよく2種
以上混合したものを用いても良い。また、蒸気圧の高い
ものは揮散抑制剤を混合して適宜使用される。
【0020】前記粘着性物質としては、特に制限はな
く、合成粘着剤、天然粘着剤が用いられる。合成粘着剤
としては、例えば、アクリル系粘着剤、ポリブテン系粘
着剤、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエンゴム粘
着剤、ブチルゴム、クロロブレンゴム、塩ビ−酢ビ共重
合体、塩化ゴム、ポリビニルブチラールなどが用いられ
る。また、天然粘着剤としては、天然ゴム、ゼラチンな
どが用いられる,好ましくは、ポリブテン系粘着剤や、
天然ゴムおよび合成イソプレンゴムなどのエラストマー
に種々の粘着付与樹脂を加えたゴム系粘着剤、アクリル
酸エステル共羞合体からなるアクリル系粘着剤、シリコ
ーンをベースにしたシリコーン粘着剤等が挙げられる。
【0021】請求項4に記載の揮散性虫誘引部として
は、揮散性虫誘引物質のみからなるか、揮散性誘引物質
を担持・含浸・収納してなる担体とからなる。揮散性虫
誘引物質としては、性誘引剤、誘引香料、食物誘引剤等
が挙げられるが、虫を誘引し揮発性を有する物質であれ
ば特に制限はない。性誘引剤としては、フェロモン、フ
ェロモン様物質等が挙げられる。誘引香料としては、シ
ュガーラクトン、ミルクラクトン等が挙げられる。食物
誘引剤としては、バナナ等の果汁エキス、ハチミツ、麦
芽汁、魚粉、サナギ粉、ゴマ油等の動植物抽出物および
その合成品などが挙げられる。前記難揮散性指向性物質
に揮散性促進剤を混合して蒸気圧を高くしたものを用い
てもよい。また、揮散性虫誘引部の形態としては特に制
限はなく、揮散性虫誘引物質が液体の場合は、紙、木、
不織布、パルプ粒などの含浸体に含浸させたシート状物
(マット、フィルムなど)、粒状物、塊状物をそのま
ま、あるいは通気性袋体等に収納して用いられる。揮倣
性虫誘引物質が固体あるいはゲル状体の場合は、(な
お、ここでは揮散性の概念には昇華性物質も含まれる)
そのまま用いてもよく、通気性袋体に収納して用いても
良い。
【0022】請求項4及び5に記載の誘引性色彩部とし
ては、青色または黄色が好ましい。
【0023】さらに好ましくは、青色の誘引効果が高
く、波長としては、400〜530nmが好ましく、さ
らに好ましくは波長が400〜500nmのものが用い
られると良い。
【0024】また、模様を施してもよく、斑点模様、水
玉模様などが好ましい.なお、斑点(あるいは水玉)の
点は丸だけでなく、四角、三角、星形、虫の形であって
もよく、虫の形であると仲間であると恩い誘引されるた
め好ましい。さらに、虫の形を精細に描画した場合に
は、その虫と同種の虫は仲間であると思い、またはその
虫を捕食する虫は餌であると思い誘引される。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0026】図1乃至図7は本発明の一実施の形態に係
り、図1は虫捕獲器を示す背面側から見た斜視図、図2
は虫捕獲器を示す正面側から見た斜視図、図3は図1の
容器本体20を示す展開図、図4(a)は図1のシート
体10を示す平面図、図4(b)は図1の揮散性虫誘引
マット3を示す平面図、図5は虫捕獲器を示す断面図、
図6(a)は虫捕獲器を示す上面図、図6(b)は虫捕
獲器を示す底面図、図7(a)は図1の虫捕獲器を示す
正面図、図7(b)は図1の虫捕獲器を示す側面図、図
7(c)は図1の虫捕獲器を示す背面図である。
【0027】図1において、虫捕獲器1は、虫捕獲用粘
着剤2と、この虫捕獲用粘着剤2を塗布したシート体1
0と、このシート体10を収容する容器本体20と、こ
の容器本体20に設けられた虫導入用開口部21〜31
と、前記容器本体20及び前記シート体10にそれぞれ
設けられた虫誘引部の揮散性虫誘引マット3及び虫誘引
性色彩部11,15(図2参照)とから構成されてい
る。
【0028】容器本体20は、透明プラスチックの板状
物を、水平方向の断面が台形で上面が開口した箱型に形
成したものである。
【0029】揮散性虫誘引マット3は、容器本体20の
底面を形成する底面用フラップ51に取り付けられてい
る。
【0030】虫捕獲用粘着剤2は、前記虫(本実施の形
態の場合、イエバエ)を粘着して捕獲する粘着性物質に
難揮散性虫指向性物質を添加したものである。難揮散性
虫指向性物質は、揮散性が無いかまたは揮散性が少な
く、虫に対して指向性を働かせて誘引する物質であり、
本実施の形態ではイエバエのフェロモンを用いている。
【0031】ここで、虫捕獲用粘着剤2について詳細に
説明する。
【0032】イエバエのフェロモンであるZ−9−tric
osene は室温(20℃)における蒸気圧が2.777×
10−5mmHgである。これをポリブテン系粘着剤に0.
5%添加し、虫捕獲用粘着剤2としてカード紙の片面に
塗布する。このようにして作成した粘着板をイエバエが
100匹存在する室内に設置した場合、Z−9−tricos
ene を添加していないものと比較して格段の捕獲効果が
観測された。
【0033】また、フェロモン以外の難揮散性虫指向性
物質としては、イエバエに対して誘引効果のある誘引液
をマイクロカプセルに封入したものも用いられる。この
例では、誘引物質の蒸気圧は10−3mmHgになる。これ
をポリブテン系粘着剤に0.5%添加し、虫捕獲用粘着
剤2としてカード紙の片面に塗布する。この粘着板をイ
エバエが100匹存在する室内に設置した場合、揮散制
御された誘引物質を添加していないものと比較して格段
の捕獲効果が観測された。
【0034】本実施の形態では、虫捕獲用粘着剤2の難
揮散性虫指向性物質としてこのような物質を用いること
が可能である。
【0035】虫捕獲用粘着剤2は、シート体10の虫捕
獲器内側面となる片面12に塗布されている。
【0036】前記虫誘引性色彩部11は、前記シート体
10の片面12全部に薄青色に着色することにより薄青
色部13を形成し、この薄青色部13の上に薄青色より
も濃い色(例えば黒)で水玉模様14を描いて形成した
ものである。
【0037】容器本体20の背面部42上側には、吊下
用フック穴32が形成されている。
【0038】また、容器本体20の外側面には、虫誘引
性色彩部となる薄青色の水玉模様35が印刷等の方法に
よって形成されている。
【0039】図2において、前記虫誘引性色彩部15
は、前記シート体10の虫捕獲器外側面及び内側面の片
面16全部に薄青色に着色することにより薄青色部を形
成したものである。容器本体20の正面部44上側に
は、切り欠き33が形成されており、使用者がシート体
10を容器本体20に取り付けたり引き抜いたりする際
に、切り欠き33を介してシート体10を使用者の指で
容易に保持できるようになっている。
【0040】図3において、容器本体20は、透明プラ
スチック板を折り込むことにより箱体を形成するもので
ある。
【0041】左側面部41、背面部42及び右側面部4
3には、薄青色の水玉模様35を一定の配列で形成して
いる。この水玉模様35のサイズはイエバエの大きさと
同程度となっており、イエバエが水玉模様35を仲間と
間違えて近付くようにしている。
【0042】左側面部41、背面部42、右側面部43
及び正面部44は、横に並べてつなげられ、箱体の前後
左右の4面を形成する。側面補強部45は、正面部44
の横に並べてつなげられ、前記箱体の左側面部41と正
面部44との間の補強を行う。底面用フラップ51,5
3,54は、それぞれ左側面部41、右側面部43及び
正面部44の底面側につなげられ、前記箱体の底面を形
成する。舌片55,56は、左側面部41の左横の上寄
り及び下寄りにつなげられている。正面部44と側面補
強部45の間の上寄り及び下寄りには、前記舌片55,
56がそれぞれ差し込まれる切り込み57,58が形成
されている。また、容器本体20は、正面部44の方が
背面部42より広くなっている。
【0043】左側面部41には、上から円形の虫導入用
開口部23,24,25,26が並べて形成される。背
面部42には、上から吊下用フック穴32と略長方形の
虫導入用開口部21,22が並べて形成される。右側面
部43には、上から円形の虫導入用開口部27,28,
29,30が並べて形成される。正面部44の上辺に
は、指形の切り欠き33が形成されている。
【0044】底面用フラップ51には、図1に示した揮
散性虫誘引マット3が差し込まれる切り込み59および
揮散性虫誘引マット3を箱体内側に露出させるための開
口部60が形成されている。底面用フラップ53には、
揮散性虫誘引マット3の位置を安定化させるための切り
欠き61が形成されている。また底面用フラップ51,
53の箱体背面寄りにはそれぞれ段部62,63が形成
されている。底面用フラップ54の箱体背面寄りには舌
片64が形成されている。底面用フラップ54と舌片6
4の境界線の両脇には前記段部62,63とそれぞれ係
合するための切り込み65,66が形成されている。底
面用フラップ54には、切り欠き67が形成されてお
り、使用者が揮散性虫誘引マット3を容器本体20に取
り付けたり引き抜いたりする際に、切り欠き67を介し
て揮散性虫誘引マット3を使用者の指で容易に保持でき
るようになっている。
【0045】このような容器本体20を箱体に組み立て
る手順を以下に説明する。
【0046】容器本体20を箱体に組み立てる場合に
は、まず、図3の状態の容器本体20に対して、一点鎖
線L1,L2,L3,L4に沿って左側面部41、背面
部42、右側面部43、正面部44及び側面補強部45
の間の折り込みを行い、さらに一点鎖線L5,L6に沿
って舌片55,56の折り込みを行い、前記舌片55,
56を図2に示すように切り込み57,58に差し込
む。これにより、左側面部41、背面部42、右側面部
43、正面部44を箱体の左、後、右、前の4面の位置
に配置する。
【0047】次に、底面用フラップ53を一点鎖線L7
に沿って折り込み、この後、底面用フラップ51を一点
鎖線L8に沿って折り込み、舌片64を一点鎖線L9に
沿って折り込んでから、底面用フラップ54を一点鎖線
L10に沿って折り込み、図1に示すように舌片64を
背面部42と底面用フラップ51,53の間に差し込
む。これにより箱体の底面を形成する。容器本体20に
よる箱体の上面は図1に示す虫導入用開口部31とな
る。
【0048】次に、シート体10と揮散性虫誘引マット
3について詳細に説明する。
【0049】図4(a)において、シート体10の片面
12に設けた虫誘引性色彩部11は、薄青色部13の上
に複数の水玉模様14を一定の配列で形成したものであ
る。この水玉模様14のサイズはイエバエの大きさと同
程度となっており、イエバエが水玉模様14を仲間と間
違えて接触するようにしている。シート体10の虫誘引
性色彩部11に塗布される虫捕獲用粘着剤2は、無色透
明であり、虫が虫誘引性色彩部11を確認できるように
なっている。
【0050】図4(b)において、揮散性虫誘引マット
3は、厚紙による基材に揮散性虫誘引物質を染み込ませ
たものである。
【0051】図4(a)に示したシート体10は図1に
示す容器本体20の虫導入用開口部31に挿入され、図
4(b)に示す揮散性虫誘引マット3は、図1に示す底
面用フラップ51,54の間に差し込まれ、さらに切り
込み59に差し込まれる。または、底面用フラップ54
を開き、底面用フラップ51内側面にマット3を載置し
てから底面用フラップ54を閉じ、舌片64を差し込ん
でセットしてもよい。ここで容器本体20は、正面部4
4の方が背面部42より広くなっていので、図5に示す
ように、前記シート体10は容器本体20の正面部44
の内側に密接して配置しており、正面部44の反対側に
虫捕獲用粘着剤2が塗布されている。また、揮散性虫誘
引マット3は容器本体20の底面を形成する底面用フラ
ップ51,54に挟まれた状態で取り付けられる。
【0052】虫捕獲器1を組み立てた状態において、図
6(a)に示すように、揮散性虫誘引マット3は、右側
の一部が底面用フラップ51の切り込み59から容器本
体20内部に突出するとともに、中央部が底面用フラッ
プ51の開口部60によって容器本体20内部に露出す
るようになっている。これにより、揮散性虫誘引マット
3から気化した揮散性虫誘引物質を効率的に容器本体2
0内部に導くことができる。また、揮散性虫誘引マット
3の右側は切り込み59が保持している。底面用フラッ
プ53の切り欠き61は、揮散性虫誘引マット3を妨げ
ないようになっている。
【0053】図6(b)に示すように、容器本体20の
下面は、底面用フラップ54によってカバーされてお
り、揮散性虫誘引マット3から気化した揮散性虫誘引物
質あまり容器本体20の下側から流出しないようにして
いる。
【0054】図7(a)に示すように、虫捕獲器1を正
面から見た状態では、容器本体20の正面部44を介し
て前記シート体10の虫誘引性色彩部15を確認でき
る。
【0055】図7(b)に示すように、虫捕獲器1を左
側面から見た状態では、容器本体20の左側面部41を
介してシート体10及び揮散性虫誘引マット3を確認で
きる。
【0056】図7(c)に示すように、虫捕獲器1を背
面側から見た状態では、容器本体20が透明な材質で形
成されているため、左側面部41、背面部42、右側面
部43を介してシート体10の虫誘引性色彩部11及び
揮散性虫誘引マット3を確認できる。虫導入用開口部2
1〜31からは、揮散性虫誘引マット3から気化した揮
散性虫誘引物質が流出する。
【0057】このような虫捕獲器1を用いた虫捕獲動作
を以下に説明する。
【0058】まず、部屋の壁や天井等に取り付けたフッ
クまたは吊り下げ用ひもを容器本体20の吊下用フック
穴32に挿入して容器本体20を吊り下げて、虫捕獲器
1を配置する。または、背面部42等に両面テープ(図
示せず)で壁面に取り付けて配置する。この場合、イエ
バエは、前記容器本体20の水玉模様35と前記シート
体10の虫誘引性色彩部15とに誘われて虫捕獲器1に
近付き、虫捕獲器1の周りを飛び回る。そして、近付い
たイエバエは、さらに揮散性虫誘引物質に誘われて虫導
入用開口部21〜31から進入し、シート体10の虫誘
引性色彩部11を見ることになり、虫誘引性色彩部11
の水玉模様14を仲間と勘違いして、シート体10の虫
捕獲用粘着剤2が塗布された部分にとまり、虫捕獲用粘
着剤2に粘着する。虫捕獲用粘着剤2に粘着したイエバ
エは、難揮散性虫指向性物質により指向性が働かされ虫
捕獲用粘着剤2に誘引されているので、長時間にわたっ
て粘着剤から抜け出す行動をあまり行わない状態になっ
ており、さらには、むしろ自ら深く接触する傾向にある
と考えられる。
【0059】ここで、虫捕獲用粘着剤2に難揮散性虫指
向性物質を用いたことによる効果を実験例で説明する。
【0060】この実験例の場合には4種類のシート体
(P+A),(P),(A),(C)を用意する。
【0061】1種類目のシート体(P+A)は、難揮散
性虫指向性物質となるイエバエのフェロモンを粘着剤に
添加してカード紙の片面に塗布するとともに、この粘着
剤に揮散性虫誘引マットを取り付けている。2種類目の
シート体(P)は、イエバエのフェロモンを粘着剤に添
加してカード紙の片面に塗布するが、この粘着剤に揮散
性虫誘引マットを取り付けない。3種類目のシート体
(A)は、イエバエのフェロモンを添加しない粘着剤を
カード紙の片面に塗布し、この粘着剤に揮散性虫誘引マ
ットを取り付けている。4種類目のシート体(C)は、
ブランク(粘着剤のみを塗布したもの)となっており、
イエバエのフェロモンを添加せず揮散性虫誘引マットも
取り付けない粘着剤をカード紙の片面に塗布したもので
ある。
【0062】そして、これらシート体(P+A),
(P),(A),(C)を3枚ずつ用意し、多数のイエ
バエが居る室内に、四種類全てを天井から吊す、天井に
貼る、壁に貼るという3つの方法で配置し、2時間程
度、時間を経過させる。3つの配置方法全てにおいて、
最も多くイエバエを捕獲したのがシート体(P+A)
で、次に多くイエバエを捕獲したのがシート体(P)、
3番目に多くイエバエを捕獲したのがシート体捕獲した
のがシート体(A)、イエバエが最も少なく捕獲効率が
最も劣るのがシート体(C)である。このことから、虫
捕獲用粘着剤2に難揮散性虫指向性物質を添加すること
により揮散性虫誘引物質を用いるよりも高い効果が得ら
れ、難揮散性虫指向性物質と揮散性虫誘引マット3を併
用することで、さらに捕虫効果を高めることができるこ
とが確認できる。
【0063】虫捕獲器1のシート体10を薄青色に着色
したことによる効果を実験例で説明する。
【0064】この実験例の場合には2種類のシート体
(B),(Y)を用意する。用意するシート体(B)は
薄青色のカード紙の片面に粘着剤に塗布したものであ
り、シート体(Y)は黄色のカード紙の片面に粘着剤に
塗布したものである。これらシート体(B),(Y)を
3枚づづ用意し、多数のイエバエが居る室内に、2種類
全てを天井から吊す、天井に貼る、壁に貼るという3つ
の方法で配置し、26時間を経過させる。この場合、室
内は、照明の蛍光灯を点灯し、温度を23℃に保つ。
【0065】このような状態で26時間を経過すると、
天井から吊した状態のシート体(B)には162匹のイ
エバエが張り付き、天井から吊した状態のシート体
(Y)には47匹のイエバエが張り付き、天井に貼った
状態のシート体(B)には138匹のイエバエが張り付
き、天井に貼った状態のシート体(Y)には83匹のイ
エバエが張り付き、カベに貼った状態のシート体(B)
には75匹のイエバエが張り付き、カベに貼った状態の
シート体(Y)には24匹のイエバエが張り付いた。こ
のことから、シート体10を薄青色に着色することによ
り高い捕虫効果が得られることが確認できる。
【0066】以上、説明したように、本実施の形態によ
れば、虫捕獲用粘着剤2の粘着性物質に添加された難揮
散性虫指向性物質を用いて、虫捕獲用粘着剤2に接触し
た虫(イエバエ)の指向性を働かせて当該虫を滞留させ
て粘着性物質に確実に貼り付かせ捕獲することができ
る。これにより、虫が虫捕獲用粘着剤2から抜け出すよ
うな逃避行動を取らず、虫捕獲用粘着剤2にしっかりと
捕獲される。これにより、虫が自力で抜け出す確率が低
下し、捕虫率を向上させることができる。また、粘着剤
が乾燥などにより徐々に接着力が落ちた場合であって
も、指向性はほとんど劣化しないため、捕獲性能は維持
できる。
【0067】さらに、難揮散性虫指向性物質に指向性を
働かせる作用が強力なものを用いた場合には、虫捕獲用
粘着剤2のみに昆虫が誘引されるので、そこからまった
く抜け出そうとせず確実に捕獲することができる。
【0068】尚、図1乃至図7の実施の形態における難
揮散性虫指向性物質としては、揮散性が無いか、揮散性
が少ないものであって、捕獲対象の虫が好む物質であれ
ば特に制限はない。虫の指向性を働かせる要素として
は、第1に餌に対する指向性があり、第2に交尾対象に
対する指向性がある。その他、虫によっては指向性が異
なる場合があるが、難揮散性虫嗜好性物質としては、捕
獲対象となる虫が指向性を働かせる物質を単独、または
組み合わせて用いることができる前記虫のフェロモンを
用いるのが特に好ましい。
【0069】ここで、難揮散性虫指向性物質の難揮散性
としては、従来の捕獲器等に使用されている虫誘引剤の
ようにその物質の揮散性によって誘引するものではな
く、接触、近接した際に指向性を働かすものであればよ
い。
【0070】また、本実施の形態では、虫捕獲用粘着剤
2のみでも優れた虫捕獲効果を発揮することができる
が、虫捕獲用粘着剤2に虫を近接および接触させる必要
があるため、虫捕獲器1に使用する際には虫を虫捕獲用
粘着剤2へおびき寄せる仕組みを用意するのが好まし
く、容器本体20とシート体10に昆虫誘引部を設けて
いる。しかしながら昆虫誘引部としては、前記容器本体
20の表面部に施した虫誘引性色彩部と、前記容器本体
20の内部に設置した揮散性虫誘引部の少なくともいず
れか一方でもよい。また、容器本体20は、透明プラス
チックのブランク板状物(何の印刷も行わない板状物)
を、組み立てて形成したものでもよい。
【0071】また、前記虫誘引部は、前記容器本体20
の表面部に施した第1の虫誘引性色彩部と、前記シート
体10に施した第2の虫誘引性色彩部11,15の少な
くともいずれか一方で構成してもよい。この場合、第1
の虫誘引性色彩部は、青色の水玉模様で形成することに
より、高い効果が得られる。さらに、虫誘引部として
は、色、形、匂い以外に音や光等、各種適用できる。
【0072】また、捕獲対象となる虫としては、イエバ
エ以外にもゴキブリ、蚊、ハチ、羽根アリ、蛾や、昆虫
以外の節足動物となるクモ、ダニ等、各種適用できる。
【0073】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、虫捕
獲用粘着剤の粘着性物質に添加した難揮散性虫指向性物
質を用いて、接触した虫の指向性を働かせて当該虫を滞
留させて粘着性物質に貼り付かせることができるので、
虫が虫捕獲用粘着剤に対して逃避行動を取らず、虫捕獲
用粘着剤にしっかりと捕獲され、捕虫率を向上させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る虫捕獲器を示す背
面側から見た斜視図。
【図2】図1の虫捕獲器を示す正面側から見た斜視図。
【図3】図1の容器本体を示す展開図。
【図4】図1のシート体及び誘引剤マットを示す平面
図。
【図5】図1の虫捕獲器を示す断面図。
【図6】図1の虫捕獲器を示す上面図及び底面図。
【図7】図1の虫捕獲器を示す正面図、側面図及び背面
図。
【符号の説明】 1 虫捕獲器 2 虫捕獲用粘着剤 3 揮散性虫誘引マット 10 シート体 11,15 虫誘引性色彩部 20 容器本体 21〜31 虫導入用開口部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 虫を粘着して捕獲する粘着性物質と、 この粘着性物質に添加された状態で、揮散性が無いかま
    たは揮散性が少なく、前記虫に対して指向性を働かせる
    難揮散性虫指向性物質と、 を含んだことを特徴とする虫捕獲用粘着剤。
  2. 【請求項2】 前記難揮散性虫指向性物質は、前記虫の
    フェロモンであることを特徴とする請求項1に記載の虫
    捕獲用粘着剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の虫捕獲用粘着
    剤と、 この虫捕獲用粘着剤を塗布したシート体と、 このシート体を収容する容器本体と、 この容器本体に設けられた虫導入用開口部と、 前記容器本体及び前記シート体の少なくとも一方に設け
    られた虫誘引部と、 を具備したことを特徴とする虫捕獲器。
  4. 【請求項4】 前記虫誘引部は、前記容器本体の表面部
    に施した虫誘引性色彩部と、前記容器本体の内部に設置
    した揮散性虫誘引部の少なくともいずれか一方でなるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の虫捕獲器。
  5. 【請求項5】 前記虫誘引部は、前記容器本体の表面部
    に施した第1の虫誘引性色彩部と、前記シート体に施し
    た第2の虫誘引性色彩部の少なくともいずれか一方でな
    ることを特徴とする請求項3に記載の虫捕獲器。
  6. 【請求項6】 前記虫誘引性色彩部は、青色又は黄色で
    あることを特徴とする請求項4または5に記載の虫捕獲
    器。
  7. 【請求項7】 前記容器本体は、少なくとも一部を透明
    な材質で形成し、内部の前記シート体を透視可能に形成
    したことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一記載
    の虫捕穫器。
  8. 【請求項8】 前記容器本体は、透明プラスチックのブ
    ランク板状物を組み立てて形成されてなることを特徴と
    する請求項7に記載の虫捕獲器。
  9. 【請求項9】 前記第1の虫誘引性色彩部は、薄青色の
    水玉模様で形成されてなることを特徴とする請求項5に
    記載の虫捕獲器。
  10. 【請求項10】 前記第2の虫誘引性色彩部は、前記シ
    ート体の少なくとも片面全部を薄青色に着色し、この着
    色した面に前記薄青色よりも濃い色で水玉模様を描いて
    なることを特徴とする請求項5に記載の虫捕獲器。
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