JP3216768U - 汚染水浄化ユニット及び当該ユニットを用いた汚染水浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】汚染された海、河川、湖沼等の汚染物質を浄化するための汚染水浄化ユニット及び当該ユニットを用いた汚染水浄化装置を提供する。【解決手段】環境水内の汚染物質を浄化する汚染水浄化ユニット30であって、炭素繊維浄化部材と、炭素繊維浄化部材を吊架する棒状体組立構造物からなる。炭素繊維浄化部材は、複数の炭素繊維を水溶性樹脂接着剤によって接着束ねた糸を編み込んだ織物であり、織物のみからなる第一浄化部材1と、織物を袋状に形成し、当該袋状の中に鉄板又は鉄分を含む板材を収容した第二浄化部材2からなる。棒状体組立構造物は、棒状体を平面視において多角形又は円形又は楕円形に配置した外フレーム10と、棒状体を外フレームの内側空間に配置した複数の内フレーム20を含み、棒状体組立構造物の外フレーム及び内フレームには、複数の第一浄化部材及び第二浄化部材を組み合わせ配置して吊架している。【選択図】図3
Description
本考案は、汚染された海、河川、湖沼等の汚染物質を浄化するための汚染水浄化ユニット及び当該ユニットを用いた汚染水浄化装置に関する。
汚染された海、河川、湖沼等の汚染物質を浄化する方法や装置として、従来より様々な方法や装置が開発されている。その中でも炭素繊維を浄化部材として利用し、当該浄化部材を汚染した海、河川、湖沼等に設置して浄化する方法が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2007−237100号公報)では、浄化部材として炭素繊維を縦糸と横糸で形成した炭素繊維製織物とすることが開示され、また特許文献2(特開2011−255249公報)では、汚染水に含まれる窒素やリンを吸収するために炭素繊維製織物と鉄板とを組み合わせる技術が開示され、更に特許文献3(特開2009−195850号公報)では、設置・メンテナンスが容易となるようユニット化する技術が開示されている。また、その他関連する特許も多数出願されている。
しかしながら、特許文献3に開示されているユニットは、小規模水路の両壁に跨って懸吊手段を設置し、当該懸吊手段に浄化部材を吊るすものであり、広大な海、河川、湖沼等に設置することができるユニットでは無かった。
本考案は、広大な海、河川、湖沼等であっても、簡単に設置でき、かつメンテナンスが更に容易な汚染水浄化ユニット及び当該ユニットを用いた汚染水浄化装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本考案は、環境水内の汚染物質を浄化する汚染水浄化ユニットであって、炭素繊維浄化部材と、前記炭素繊維浄化部材を吊架する棒状体組立構造物からなり、前記炭素繊維浄化部材は、複数の炭素繊維を水溶性樹脂接着剤によって接着束ねた糸を編み込んだ織物であり、前記織物のみからなる第一浄化部材と、前記織物を袋状に形成し、当該袋状の中に鉄板又は鉄分を含む板材を収容した第二浄化部材からなり、前記棒状体組立構造物は、棒状体を平面視において多角形又は円形又は楕円形に配置した外フレームと、棒状体を前記外フレームの内側空間に配置した複数の内フレームを含み、前記棒状体組立構造物の前記外フレーム及び前記内フレームには、複数の前記第一浄化部材及び前記第二浄化部材を組み合わせ配置して吊架している、ことを特徴とする。
上記構成を有する本考案によれば、汚染された環境水(浄化対象環境)が、広大な海、河川、湖沼等であっても、浄化部材を簡単に効率よく設置でき、かつ、そのメンテナンスも極めて容易である。
更に、環境水の流れや、浄化対象環境の形状、汚染の状況に応じて、外フレームの形状を適宜に変化させ、かつ外フレームと内フレームに吊架する第一浄化部材と第二浄化部材を適宜に配置することにより、汚染物質の浄化を効果的・効率的に行うことができる。
本考案に係る実施形態につき、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。なお、本考案は、以下説明する実施形態に限らず、実用新案登録請求の範囲に記載した構成の範囲内において、その他のあらゆる構成も含むものである。
本考案は、前記した従来公知の技術である炭素繊維を用いた汚染水の浄化ユニットであり、炭素繊維の生物親和性を利用し、炭素繊維に付着した菌や微生物の働きによって汚濁物を除去するとともに、炭素繊維と鉄材との組合せにより生成される鉄イオン作用により、リンおよび窒素を水に不溶の物質(リン酸鉄、酸化鉄および窒素ガス)に変換することで除去するものである。
図1、図2は、本考案の実施形態に係る第一浄化部材1及び第二浄化部材2の構成を示す図である。第一浄化部材1及び第二浄化部材2は、極めて細い炭素繊維の一本一本を、複数本束ねて糸状とし、当該糸状の炭素繊維を縦横の糸として編み込んだ織布(織物)から構成される。
炭素繊維は、水溶性樹脂接着剤によって接着され、束ねられている。これは、浄化部材を水中に設置した際、接着剤が水に溶け出し、束ねた炭素繊維の一本一本がバラけることで、炭素繊維の接触面積を増大させ、浄化機能を向上させるためである。
なお、上記織布(織物)を構成する糸は、炭素繊維が少なくとも50%以上含むものであってよく、100%炭素繊維から構成される必要性は無い。即ち、上記織布(織物)は、炭素繊維を少なくとも50%以上含む糸によって織られていれば、所要の浄水効果を得ることができる。
図1に示すように、第一浄化部材1は炭素繊維の織布であり、その一端に、以下説明する外フレーム10又は内フレーム20に吊架するための通し孔3が形成されている。また、織布の周囲であって、炭素繊維の切断面が露出する箇所は、難水性の熱可塑性樹脂フィルム4によって被覆されている。なお熱可塑性樹脂フィルム4に代えて、樹脂材を塗布し乾燥させても良い。
炭素繊維の切断面が破壊され、そこから炭素繊維の微粒粉が放出されると、水生動物の鰓などに悪影響を及ぼす可能性が高く、危険である。また炭素粉末は導電性であるため、製造工程において織物製造装置やパソコン等の電器機器をショートさせる可能性があるが、難水性の熱可塑性樹脂フィルム4によって炭素繊維切断面を被覆することで、これらの問題を解決することができる。また、水中において炭素繊維の一本一本がバラけても、第一浄水部材1の全体の形状を保持し、炭素繊維の落下や浄水部材の崩壊を防止することもできる。
図2に示すように、第二浄化部材2は炭素繊維の織布が袋状に形成されており、当該袋は鉄板挿入袋5であり、鉄板挿入袋5の中に、仮想線で示す鉄板6が収納されている。この鉄板6と炭素繊維との複合作用によって、水中の窒素やリン等を除去されるようになっている(詳細原理は、特開2009−297622号公報を参照)。
第二浄化部材2の一端には、第一浄化部材1と同様に、外フレーム10又は内フレーム20に吊架するための通し孔3が形成され、かつ織布の周囲であって、炭素繊維の切断面が露出する箇所は、難水性の熱可塑性樹脂フィルム4によって被覆されている。
なお、第一浄化部材1及び第二浄化部材2を外フレーム10及び内フレーム20に吊架するための手段として、上記通し孔3に代えて、例えばS字状のフック部材を第一及び第二浄化部材2に取付け、外フレーム10及び内フレーム20に吊架するようにしても良い(図示せず)。
また、第一浄化部材1は、単に炭素繊維織物だけであるため軽量で水中を漂いやすいことから、外フレーム10及び内フレーム20に吊架するための通し孔3と反対側の他端側に、棒状の錘(例えば鉄筋)を通すための別の通し孔を設けても良い(図示せず)。この構成により、錘の重さで炭素繊維織物が水中で垂直方向に垂れ下がるようにすることができる。
第一浄化部材1及び第二浄化部材2の外形寸法は特に限定されないが、浄化対象となる汚染水の環境(深さや幅)に応じて、幅50cm前後、長さ100cm前後とすることが適当である。
図3は、本考案に係る汚染水浄化ユニット30(外フレーム10及び内フレーム20から構成される構造物)の第一実施形態に係る構成、及び第一浄化部材1、第二浄化部材2の配置位置を示す平面図である。
外フレーム10は、平面視において正方形となるよう棒体が配置されており、その4つの頂点を結ぶ2つの対角線となる位置に、内フレーム20となる棒体が十字にクロスするよう配置され、外フレーム10と内フレーム20は互いに固定されている。当該棒体は、塩化ビニール製の中空パイプや木材、竹材を利用できるが、これに限らない。
本第一実施形態において、外フレーム10を構成する4つの辺に位置する棒体には、それぞれ2個の第一浄化部材1が適宜の間隔を置いて吊架されている。また、内フレーム20には、図示するように、外フレーム10に近い側に第二浄化部材2が4つ吊架され、外フレーム10の中心側の位置には第一浄化部材1が4つ吊架される構成となっている。図3において、第一浄化部材1は白で、第二浄化部材2は黒で表示している。
図4は、本考案に係る汚染水浄化ユニット30の第二実施形態に係る構成、及び第一、第二浄化部材2の配置位置を示す平面図である。図3と同様に、第一浄化部材1は白で、第二浄化部材2は黒で表示している。
第二実施形態に係る汚染水浄化ユニット30が第一実施形態の汚染水浄化ユニット30と違う点は、外フレーム10を構成する4つの辺に位置する棒体には、それぞれ2個の第二浄化部材2が適宜の間隔をおいて吊架され、内フレーム20には、外フレーム10に近い側に第一浄化部材1が4つ吊架され、外フレーム10の中心側の位置には第二浄化部材2が4つ吊架される構成となっている点である。
上記第一実施形態及び第二実施形態において、汚染水浄化ユニット30は、筏状となっており、第一浄化部材1及び第二浄化部材2を吊架した状態においても水面に浮かぶ構成としているが、汚染環境水に設置した当初の位置が、水流や風の影響によって流動しないように、外フレーム10(又は内フレーム20)とロープで繋がったアンカーを海底、河底、沼底に落とし、所定位置から移動することがないように固定している。
なお、汚染水浄化ユニット30の上記以外の位置固定方法としては、外フレーム10(又は内フレーム20)から下方に向けて延出する棒体を設け、当該棒体を海底、河底、沼底に突き刺して固定しても良い。
以上の構成を有する本考案に係る汚染水浄化ユニット30を、浄化対象とする海面、湖面、河川面に適宜に設置することにより、従来に比べて浄化部材の設置が容易で、かつメンテナンス作業も容易となる。
図5は、本考案のその他の実施形態に係る各種の外フレーム10と内フレーム20の構成を示す平面図である。(5−1)は外フレーム10の平面視形状を正六角形としたものであり、(5−2)は外フレーム10の平面視形状を円形としたものであり、それぞれの外フレーム10の内側には、内フレーム20が互いにクロスするように配置されている。
なお、外フレーム10の形状は、上記以外にも様々な形状であってもよい。更に、内フレーム20の配置は互いにクロスする配置に限らず、複数本を平行に並べても良く、或いはその他の配置であっても良い。上記した様々な形状の外フレーム10及び内フレーム20に対し、前述した第一実施形態、第二実施形態のように、第一及び第二浄化材を適宜に組合せて配置すれば良い。
また、第二浄化部材2に収納される鉄板は、少なくとも80質量%の鉄を含む板体であれば良い。
また、外フレーム10及び内フレーム20に対し、別体となる水草ユニットを吊架させ、水中植物による浄化機能を更に追加しても良い。
本考案に係る汚染水浄化ユニット30を、適宜に組合せ配置することにより、その全体を汚染水浄化装置とすることができる。
1 第一浄化部材
2 第二浄化部材
3 通し孔
4 樹脂フィルム
5 鉄板挿入袋
6 鉄板
10 外フレーム
20 内フレーム
30 汚染水浄化ユニット
2 第二浄化部材
3 通し孔
4 樹脂フィルム
5 鉄板挿入袋
6 鉄板
10 外フレーム
20 内フレーム
30 汚染水浄化ユニット
Claims (12)
- 環境水内の汚染物質を浄化する汚染水浄化ユニットであって、炭素繊維浄化部材と、前記炭素繊維浄化部材を吊架する棒状体組立構造物からなり、
前記炭素繊維浄化部材は、複数の炭素繊維を水溶性樹脂接着剤によって接着束ねた糸を編み込んだ織物であり、前記織物のみからなる第一浄化部材と、前記織物を袋状に形成し、当該袋状の中に鉄板又は鉄分を含む板材を収容した第二浄化部材からなり、
前記棒状体組立構造物は、棒状体を平面視において多角形又は円形又は楕円形に配置した外フレームと、棒状体を前記外フレームの内側空間に配置した複数の内フレームを含み、
前記棒状体組立構造物の前記外フレーム及び前記内フレームには、複数の前記第一浄化部材及び前記第二浄化部材を組み合わせ配置して吊架している、
ことを特徴とする汚染水浄化ユニット。 - 前記棒状体組立構造物は筏であり、前記棒状体組立構造物とアンカーとをロープで連結し、前記棒状体組立構造物を所定の水面位置に固定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の汚染水浄化ユニット。 - 前記棒状体組立構造物の前記外フレームから、水中に埋め込み設置するための固定棒が延設されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の汚染水浄化ユニット。 - 前記棒状体組立構造物の前記外フレーム及び/又は前記内フレームには、更に水草ユニットが吊架される、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の汚染水浄化ユニット。 - 前記鉄分を含む板材は、少なくとも80質量%の鉄を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の汚染水浄化ユニット。 - 前記第一浄化部材及び第二浄化部材の炭素繊維切断面は、難水性樹脂によって被覆されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の汚染水浄化ユニット。 - 前記第一浄化部材及び前記第二浄化部材は、その一端に前記外フレーム及び前記内フレームに吊架するための通し孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の汚染水浄化ユニット。 - 前記第一浄化部材及び前記第二浄化部材は、その一端に前記外フレーム及び前記内フレームに吊架するためのフック部材が取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の汚染水浄化ユニット。 - 前記第一浄化部材は、その他端に、錘を通すための通し孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の汚染水浄化ユニット。 - 前記棒状体組立構造物の前記外フレームに前記第一浄化部材のみが吊架される場合、
前記内フレームには、前記外フレーム寄りに前記第二浄化部材が吊架され、前記外フレームを構成する平面の中心に近い位置に前記第一浄化部材が吊架される、
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の汚染水浄化ユニット。 - 前記棒状体組立構造物の前記外フレームに前記第二浄化部材のみが吊架される場合、
前記内フレームには、前記外フレーム寄りに前記第一浄化部材が吊架され、前記外フレームを構成する平面の中心に近い位置に前記第二浄化部材が吊架される、
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の汚染水浄化ユニット。 - 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の汚染水浄化ユニットを複数組み合わせてなる、ことを特徴とする汚染水浄化装置。
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