JP3216687B2 - 移相器 - Google Patents

移相器

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JP3216687B2
JP3216687B2 JP01625995A JP1625995A JP3216687B2 JP 3216687 B2 JP3216687 B2 JP 3216687B2 JP 01625995 A JP01625995 A JP 01625995A JP 1625995 A JP1625995 A JP 1625995A JP 3216687 B2 JP3216687 B2 JP 3216687B2
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等 林
征士 中津川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、トランジスタを用い
た小型・広帯域で可変位相量の大きい高周波信号用のア
ナログ可変型の移相器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アレイアンテナのように多数の素子アン
テナを用いるアンテナでは、素子アンテナの種類・配列
および励振の仕方により種々の機能が得られる特長があ
り、衛星通信や移動体通信などの需要拡大に伴ってその
用途が拡大している。この種のアンテナでは多数の素子
アンテナをそれぞれ所定の振幅位相で励振するために、
給電回路が複雑かつ大きくなる。従って、アンテナの小
型化・高機能化のためには、給電回路の小型化・軽量化
・高性能化が必要不可欠である。
【0003】アナログ可変移相器は上記のようなアンテ
ナに使用され、アレイアンテナにおいて送受信される高
周波の位相を変化させることで、アンテナのビーム方向
を調整する。このようなアナログ可変移相器は、上述し
た給電回路に対する要求から、精密な位相調整機能を持
ちながらも、できるだけ広範囲な可変位相量を有し、な
おかつ低消費電力で小型であることが望ましい。
【0004】図17は、第1の従来例による移相器の回
路図であって、90゜3dBハイブリッドを用いた反射
型移相器である。この移相器は、電圧可変容量素子に逆
バイアスをかけることにより接合容量が変化するという
特性を利用している。入力端子1から入力された高周波
信号は、90゜3dBハイブリッド8によりカップリン
グ端子3と通過端子4に分割され、それぞれ電圧可変容
量素子であるバラクタダイオード7a・7bで反射さ
れ、再び90゜3dBハイブリッド8で合成されて出力
端子2から出力される。ここで、端子5にはバイアス回
路(図示略)が接続されており、抵抗6b・6aを介し
てそれぞれバラクタダイオード7a・7bに逆バイアス
を印加し、バラクタダイオード7a・7bの接合容量を
変化させることで出力位相を変化させている。
【0005】また、図18は第2の従来例による移相器
の回路図であって、ベクトル変調方式を用いた無限移相
器である。この移相器は、90゜づつ位相が異なる4個
のベクトルを、90゜3dBハイブリッド8、8および
180゜3dBハイブリッド9を組み合わせて作る。そ
して、各ベクトルをデュアルゲートFET(FET:電
解効果トランジスタ)などを用いた可変利得増幅器1
2、12...によって振幅の大きさを制御し、同相電
力合成器11、11...でこれら可変利得増幅器12
の出力を合成することによって、0゜から360゜まで
の任意の位相量を得るものである。例えば、第一象限
(0゜〜90゜)での位相変化のためには、ベクトルA
(0゜)とベクトルB(90゜)とを合成すればよい。
これは、デュアルゲートFET・FAおよびFBをオン
状態として振幅利得を制御し、残りの2つのデュアルゲ
ートFET・FCおよびFDをピンチオフ状態とするこ
とで達成できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、第1の従来
例による移相器では、バラクタダイオード7a・7bな
ど、電圧可変容量素子の容量変化のみによって位相を変
化させるため、可変位相量が小さいという問題点があっ
た。また、大型な90゜ハイブリッド8等を用いるため
回路の小型化が困難であった。さらに、一段の移相器で
は十分な位相変化が得られないため、所要の位相量を精
度良く設定するためには多段構成とする必要があり、こ
の点からも小型化が困難であった。
【0007】また、第2の従来例による移相器では構成
部品の点数が多くなる。さらに、振幅および位相の微調
整を行うために、可変利得増幅器12を構成するデュア
ルゲートFETの第1ゲート13および第2ゲート14
への印加電圧をそれぞれ複雑に制御する必要があり、小
型化・低消費電力化が困難であった。この発明は上記の
点に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えばマ
イクロ波帯以上の高周波帯においても小型・広帯域で可
変位相量の大きい高周波信号用のアナログ可変移相器を
提供することにある。
【0008】
【0009】
【0010】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、 請求項記載の発明は、第1電極が接地され、第
2電極が入力端子に接続された第1のトランジスタと、
第1電極が前記第1のトランジスタの第3電極に接続さ
れ、第2電極が接地され、第3電極が出力端子に接続さ
れた第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタの
第3電極と前記第2のトランジスタの第1電極の接続点
と接地との間に設けられた、第1の抵抗素子と可変イン
ダクタの並列接続回路と、第1電極が接地され、第2電
極が前記入力端子に接続され、第3電極が前記出力端子
に接続された第3のトランジスタとを具備し、前記第1
ないし第3のトランジスタがFETもしくはHEMT
(High Electron Mobility Transistor)の場合、該ト
ランジスタの第1電極はゲート電極、第2電極はソース
電極、第3電極はドレイン電極であり、また、前記第1
ないし第3のトランジスタがバイポーラトランジスタの
場合、該トランジスタの第1電極はベース電極、第2電
極はエミッタ電極、第3電極はコレクタ電極であること
を特徴とする。
【0011】また、請求項記載の発明は、第1電極が
接地され、第2電極が入力端子に接続された第1のトラ
ンジスタと、第1電極が前記第1のトランジスタの第3
電極に接続され、第2電極が接地され、第3電極が出力
端子に接続された第2のトランジスタと、前記第1のト
ランジスタの第3電極と前記第2のトランジスタの第1
電極の接続点と接地との間に設けられた、第1の抵抗素
子と可変インダクタの並列接続回路と、第1電極が接地
され、第2電極が前記入力端子に接続された第3のトラ
ンジスタと、第1電極が前記第3のトランジスタの第3
電極に接続され、第2電極が前記出力端子に接続され、
第3電極が接地された第4のトランジスタと、前記第3
のトランジスタの第3電極と前記第4のトランジスタの
第1電極の接続点と接地との間に設けられた第2の抵抗
素子とを具備し、前記第1ないし第4のトランジスタが
FETもしくはHEMT (High Electron Mobility Tr
ansistor)の場合、該トランジスタの第1電極はゲート
電極、第2電極はソース電極、第3電極はドレイン電極
であり、また、前記第1ないし第4のトランジスタがバ
イポーラトランジスタの場合、該トランジスタの第1電
極はベース電極、第2電極はエミッタ電極、第3電極は
コレクタ電極であることを特徴とする。
【0012】また、請求項記載の発明は、第1電極が
入力端子に接続され、第2電極が接地された第1のトラ
ンジスタと、第1電極が前記第1のトランジスタの第3
電極に接続され、第2電極が接地され、第3電極が出力
端子に接続された第2のトランジスタと、前記第1のト
ランジスタの第3電極と前記第2のトランジスタの第1
電極の接続点と接地との間に設けられた、第1の抵抗素
子と可変インダクタの並列接続回路と、第1電極が前記
入力端子に接続され、第2電極が接地され、第3電極が
前記出力端子に接続された第3のトランジスタとを具備
、前記第1ないし第3のトランジスタがFETもしく
はHEMT (High Electron MobilityTransistor)の
場合、該トランジスタの第1電極はゲート電極、第2電
極はソース電極、第3電極はドレイン電極であり、ま
た、前記第1ないし第3のトランジスタがバイポーラト
ランジスタの場合、該トランジスタの第1電極はベース
電極、第2電極はエミッタ電極、第3電極はコレクタ電
極であることを特徴とする。
【0013】また、請求項記載の発明は、第1電極が
入力端子に接続され、第2電極が接地された第1のトラ
ンジスタと、第1電極が前記第1のトランジスタの第3
電極に接続され、第2電極が接地され、第3電極が出力
端子に接続された第2のトランジスタと、前記第1のト
ランジスタの第3電極と前記第2のトランジスタの第1
電極の接続点と接地との間に設けられた、第1の抵抗素
子と可変インダクタの並列接続回路と、第1電極が前記
入力端子に接続され、第2電極が接地された第3のトラ
ンジスタと、第1電極が前記第3のトランジスタの第3
電極に接続され、第2電極が前記出力端子に接続され、
第3電極が接地された第4のトランジスタと、前記第3
のトランジスタの第3電極と前記第4のトランジスタの
第1電極の接続点と接地との間に設けられた第2の抵抗
素子とを具備し、前記第1ないし第4のトランジスタが
FETもしくはHEMT (High Electron Mobility Tr
ansistor)の場合、該トランジスタの第1電極はゲート
電極、第2電極はソース電極、第3電極はドレイン電極
であり、また、前記第1ないし第4のトランジスタがバ
イポーラトランジスタの場合、該トランジスタの第1電
極はベース電極、第2電極はエミッタ電極、第3電極は
コレクタ電極であることを特徴とする。
【0014】また、請求項記載の発明は、請求項
いしのいずれか1項に記載の発明において、前記第1
の抵抗素子と可変インダクタの並列接続回路に対して、
さらに可変キャパシタを並列に接続したことを特徴とし
ている。また、請求項記載の発明は、請求項または
に記載の発明において、前記第1のトランジスタの相
互コンダクタンスと前記第3のトランジスタの相互コン
ダクタンスとを、前記入力端子から見た入力インピーダ
ンスへ整合させたことを特徴としている。また、請求項
記載の発明は、請求項またはに記載の発明におい
て、前記第4のトランジスタの相互コンダクタンスを、
前記出力端子から見た出力インピーダンスへ整合させた
ことを特徴としている。
【0015】なお、この発明において、前記第1ないし
第4のトランジスタがFETもしくはHEMT (High
Electron Mobility Transistor)の場合、該トランジス
タの第1電極はゲート電極、第2電極はソース電極、第
3電極はドレイン電極である。また、前記第1ないし第
4のトランジスタがバイポーラトランジスタの場合、該
トランジスタの第1電極はベース電極、第2電極はエミ
ッタ電極、第3電極はコレクタ電極である。
【0016】
【0017】
【0018】
【作用】 請求項記載の発明によれば、上記構成と
することで、2次の全周波通過回路と同様の伝達関数と
位相特性を有し、なおかつ(3)式で与えられるアドミ
タンスを有する回路が構成される。従って、可変インダ
クタのインダクタンス値を可変することにより、振幅一
定であって位相のみが広範囲にわたって連続的に変化す
る位相特性が得られる。これにより、トランジスタを用
いた、広帯域で可変位相量が大きく、マイクロ波帯等の
高周波域でも動作可能な移相器を提供できる。また、回
路をトランジスタ・抵抗素子・インダクタのみで構成で
きるため、移相器の小型化を図ることができる。
【0019】また、請求項記載の発明によれば、第1
の抵抗素子と可変インダクタの並列接続回路に対して可
変キャパシタを並列に接続して可変キャパシタのキャパ
シタンス値を可変させるようにする。これにより、さら
に広範囲な可変位相量が得られる。また、請求項記載
の発明によれば、入力端子に接続され、第1電極が接地
された第1のトランジスタおよび第3のトランジスタの
相互コンダクタンスを、入力インピーダンスに対して適
切に設定するようにしている。これにより、入力の能動
整合が可能となり、結果として受動整合素子が不要とな
って、移相器の小型化を図ることが可能となる。
【0020】また、請求項記載の発明によれば、出力
端子に接続され、第3電極が接地された第4のトランジ
スタの相互コンダクタンスを、出力インピーダンスに対
して適切に設定するようにしている。これにより、出力
の能動整合が可能となり、結果として受動整合素子が不
要となって、さらなる移相器の小型化を図ることが可能
となる。
【0021】
【実施例】まず、この発明による移相器の動作原理につ
いて簡単に説明する。一般的な2次の全周波通過回路の
電圧伝達関数H(s)は、入力電圧をV1 、出力電圧を
V2、中心角周波数をω0、QファクタをQ、s=jω
(ここで、ωは角周波数)とした場合に、次式で示され
る。
【数5】 このとき、回路の位相特性φ(ω)は、
【数6】 で表される。
【0022】ここで、この回路のアドミタンス行列Yに
おけるY21が次式で表される場合には、中心角周波数ω
0 が変化しても振幅一定で位相のみが変化する周波数特
性が得られることとなる。なお、Gは回路のゲインであ
る。
【数7】 従って、アドミタンス行列のY21が(3)式で与えられ
る回路を構成し、中心角周波数ω0 を決定するキャパシ
タ・インダクタの並列回路を設け、キャパシタまたはイ
ンダクタのうち少なくとも一つを電圧制御素子などで構
成し、キャパシタンス値またはインダクタンス値を可変
とすることにより、振幅一定で位相のみを連続的に大き
く変化させることができる。
【0023】[実施例1]次に、図面を参照してこの発
明の第1の実施例について説明する。図1はこの実施例
による移相器100の回路図である。この図において、
V1およびV2は各々移相器100の入力電圧および出力
電圧、Z01およびZ02は各々移相器100の入力および
出力インピーダンス、Cは直流電圧阻止用のコンデン
サ、Pは高周波を遮断するコイルを介して電圧が印加さ
れるポイント、端子16は入力端子、端子18は出力端
子、端子17・19は接地端子、20は抵抗値Rk を有
する抵抗、22はインダクタンス値Lk を有するインダ
クタである。
【0024】また、31・35・39はFETであっ
て、ゲート直下のゲート・ソース間の空乏層容量として
各々Cgs1、Cgs2、Cgsf を有し、相互コンダクタンス
として各々gm1、gm2、gmf を有する。また、G・
S・Dは各々、FETのゲート電極・ソース電極・ドレ
イン電極である。一方、端子32・36・40はそれぞ
れFET31・35・39のドレイン電極、端子33・
37・41はそれぞれFET31・35・39のソース
電極、端子34・38・42はそれぞれFET31・3
5・39のゲート電極である。
【0025】この移相器100は、ゲート接地のFET
31とソース接地のFET35とを縦続接続し、その間
に抵抗20とインダクタ22の並列回路をシャントに
(すなわち、一端をFET31のドレイン電極とFET
35のソース電極との間に接続し、他端を接地側に接続
することで、分路として)挿入した回路に対して、ゲー
ト接地のFET39を並列に接続している。
【0026】次に、上記構成による移相器100の動作
を説明する。まず、図1の回路のアドミタンス行列Yを
求める。解析を簡単にするため、FET31・FET3
5・FET39がすべて電気的に同じ特性を有し、それ
ぞれがゲート直下のゲート・ソース間の空乏層容量Cgs
1、Cgs2、Cgsf および相互コンダクタンスgm1、g
m2、gmf のみで表現されるとする。
【0027】すると、アドミタンス行列Yは次式で与え
られる。
【数8】 ここで、FETの遮断周波数fT =gm1/(2πCgs
1)=gm2/(2πCgs2)=gmf/(2πCgsf) と
する。同一のウェハ内では、このようなfTの等しい特
性を有するFETを容易に構成することが可能である。
【0028】また、抵抗20とインダクタ22の並列回
路のインピーダンスZは、s=jωとして、次式で与え
られる。
【数9】 よって、(1−1)式と(1−2)式より、アドミタン
ス行列YのY21は
【数10】 となる。
【0029】中心角周波数ω0 が変化しても、Y21の振
幅が一定で位相のみが変化するための条件は、(3)式
と(1−3)式により次式のようになる。
【数11】 従って、抵抗20の抵抗値Rk を(1−4)式の値に設
定し、インダクタ22を電圧制御素子などで構成してイ
ンダクタンス値Lk を可変とすることにより、振幅一定
で位相のみを変化させることができる。さらには、相互
コンダクタンス(gm1+gmf)を入力インピーダンス
Z01の逆数とすることにより、能動素子のみで入力整合
を達成できる。
【0030】ここで、FET31・FET35としてゲ
ート幅50μmのFET(相互コンダクタンスgm1=
gm2=10mS、空乏層容量Cgs1=Cgs2=0.08
pF、遮断周波数fT=20GHz)を、FET39と
してゲート幅200μmのFET(相互コンダクタンス
gmf=40mS、空乏層容量Cgsf=0.32pF、遮
断周波数fT =20GHz)を用いた移相器の周波数特
性を図2に示す。
【0031】図2において、S11、S21、S22は各々ア
ドミタンス行列YのY11、Y21、Y22に対応している。
左下図は上記の移相器の位相特性を示しており、右上図
は入力整合の様子を、右下図は出力整合の様子を表して
いる。ここで、抵抗20の抵抗値Rk=2gmf/(gm
1gm2)=800Ωとする。また、この図ではインダク
タ22のインダクタンス値Lk を1nH、3nH、5n
Hと変化させている。
【0032】図から明らかなように、周波数f=10G
Hz付近では、振幅一定で270゜以上のS21の位相変
化が得られる。また、S11は−5dB以下であって入力
整合していることが見て取れる。なお、(1−3)式よ
り、Y21は相互コンダクタンスgmf に比例するため、
相互コンダクタンスgmf を大きくすることでS21に利
得を持たせることができる。ここで、相互コンダクタン
スgm1 の値を完全に入力インピーダンスZ01に調整し
なくとも、上述したインピーダンス整合は可能である。
従って、(1−4)式を満足し、なおかつ相互コンダク
タンスgmf を変えて利得を可変することが可能であ
る。これは、これ以後の実施例においても同様である。
以上より、この実施例による移相器100が良好に動作
することがわかる。
【0033】[実施例2]次に、図面を参照してこの発
明の第2の実施例について説明する。図3はこの実施例
による移相器200の回路図である。ここで、図1と同
一の部品・信号には同一の符号を付してあり、その説明
を省略する。この図において、43はFETであって、
ゲート・ソース間の空乏層容量としてCgsa を、相互コ
ンダクタンスとしてgma を有する。また、端子44・
45・46は各々FET43のドレイン・ソース・ゲー
ト電極である。また、23は抵抗値RS を持つ抵抗であ
る。
【0034】この移相器200は、ゲート接地のFET
31とソース接地のFET35とを縦続接続し、その間
に抵抗20とインダクタ22の並列回路をシャントに挿
入した回路と、この縦続接続回路と並列に、ゲート接地
のFET39とドレイン接地のFET43とを縦続接続
してこれらFETの間に抵抗23をシャントに挿入した
回路を接続している。
【0035】次に、上記構成による移相器200の動作
を説明する。まず、図3の回路のアドミタンス行列Yを
求める。解析を簡単にするため、FET31・FET3
5・FET39・FET43がすべて電気的に同じ特性
を有し、それぞれがゲート直下のゲート・ソース間の空
乏層容量Cgs1、Cgs2、Cgsf、Cgsaおよび相互コンダ
クタンスgm1、gm2、gmf、gmaのみで表現される
とする。
【0036】すると、アドミタンス行列Yは次式で与え
られる。
【数12】 ここで、FETの遮断周波数fT =gm1/(2πCgs
1)=gm2/(2πCgs2)=gmf/(2πCgsf)=
gma/(2πCgsa)とする。同一のウェハ内では、こ
のようなfTの等しい特性を有するFETを容易に構成
することが可能である。
【0037】アドミタンス行列YのY22が振幅一定とな
る周波数特性を有するために抵抗23の抵抗値Rsに必
要とされる条件は、次式で与えられる。
【数13】 このとき、(2−1)式は次式のようになる。
【数14】
【0038】また、抵抗20とインダクタ22の並列回
路のインピーダンスZは、s=jωとして、次式で与え
られる。
【数15】 よって、(2−3)式と(2−4)式より、アドミタン
ス行列YのY21は、
【数16】 となる。
【0039】中心周波数が変化しても、Y21の振幅が一
定で位相のみが変化するための条件は、次式のようにな
る。
【数17】 従って、抵抗23の抵抗値Rs を(2−2)式の値に設
定し、抵抗20の抵抗値Rk を(2−6)式の値に設定
して、インダクタ22を電圧制御素子などで構成してイ
ンダクタンス値Lk を可変とすることにより、振幅一定
で位相のみを変化させることができる。さらには、相互
コンダクタンス(gm1+gmf)を入力インピーダンス
Z01の逆数とすることにより、能動素子のみで入力整合
を達成できる。また、相互コンダクタンスgma を出力
インピダンスZ02の逆数とすることにより、能動素子の
みで出力整合を達成できる。
【0040】ここで、FET31・FET35としてゲ
ート幅50μmのFET(相互コンダクタンスgm1=
gm2=10mS、空乏層容量Cgs1=Cgs2=0.08
pF、遮断周波数fT =20GHz)を、FET39と
してゲート幅200μmのFET(相互コンダクタンス
gmf=40mS、空乏層容量Cgsf=0.32pF、遮
断周波数fT =20GHz)を、FET43としてゲー
ト幅50μmのFET(相互コンダクタンスgma=1
0mS、空乏層容量Cgsa=0.08pF、遮断周波数
fT =20GHz)を用いた移相器の周波数特性を図4
に示す。なお、以上から、抵抗23の抵抗値Rs =1/
gma=100Ωとする。また、抵抗20の抵抗値Rk=
2gmf/(gm1gm2)=800Ωとする。
【0041】図4ではインダクタ22のインダクタンス
値Lk を1nH、3nH、5nHと変化させている。図
から明らかなように、周波数f=10GHz付近では、
振幅一定で270゜以上のS21の位相変化が得られる。
また、S11は−5dB以下、S22は−9dB以下であっ
て入出力ともに整合していることがわかる。なお、(2
−5)式より、Y21は相互コンダクタンスgmf に比例
するため、相互コンダクタンスgmf を大きくすること
でS21に利得を持たせることができる。以上より、この
実施例による移相器200が良好に動作することがわか
る。
【0042】[実施例3]次に、図面を参照してこの発
明の第3の実施例について説明する。図5はこの実施例
による移相器の回路図である。ここで、図1と同一の部
品・信号には同一の符号を付してあり、その説明を省略
する。この移相器300は、ソース接地のFET31と
ソース接地のFET35とを縦続接続し、その間に抵抗
20とインダクタ22の並列回路をシャントに挿入した
回路に対して、ソース接地のFET39を並列に接続し
ている。
【0043】次に、上記構成による移相器300の動作
を説明する。まず、図5の回路のアドミタンス行列Yを
求める。解析を簡単にするため、FET31・FET3
5・FET39がすべて電気的に同じ特性を有し、それ
ぞれがゲート直下のゲート・ソース間の空乏層容量Cgs
1、Cgs2、Cgsfおよび相互コンダクタンスgm1、gm
2、gmfのみで表現されるとする。
【0044】すると、アドミタンス行列Yは次式で与え
られる。
【数18】 ここで、FETの遮断周波数fT =gm1/(2πCgs
1)=gm2/(2πCgs2)=gmf/(2πCgsf)と
する。同一のウェハ内では、このようなfT の等しい特
性を有するFETを容易に構成することが可能である。
【0045】また、抵抗20とインダクタ22の並列回
路のインピーダンスZは、s=jωとして、次式で与え
られる。
【数19】 よって、(3−1)式および(3−2)式より、アドミ
タンス行列YのY21は
【数20】 となる。
【0046】中心角周波数が変化しても、Y21の振幅が
一定で位相のみが変化するための条件は、次式のように
なる。
【数21】 従って、抵抗20の抵抗値Rk を(3−4)式の値に設
定し、インダクタ22を電圧制御素子などで構成してイ
ンダクタンス値Lk を可変とすることにより、振幅一定
で位相のみを変化させることができる。
【0047】ここで、FET31・FET35としてゲ
ート幅50μmのFET(相互コンダクタンスgm1=
gm2=10mS、空乏層容量Cgs1=Cgs2=0.08
pF、遮断周波数fT =20GHz)を、FET39と
してゲート幅200μmのFET(相互コンダクタンス
gmf=40mS、空乏層容量Cgsf=0.32pF、遮
断周波数fT =20GHz)を用いた移相器の周波数特
性を図6に示す。ここで、抵抗20の抵抗値Rk=2g
mf/(gm1gm2)=800Ωとする。
【0048】この図では、インダクタ22のインダクタ
ンス値Lk を1nH、3nH、5nHと変化させてい
る。図から明らかなように、周波数f=10GHz付近
では、振幅一定で270゜以上のS21の位相変化が得ら
れる。なお、(3−3)式より、Y21は相互コンダクタ
ンスgmf に比例するため、相互コンダクタンスgmf
を大きくすることでS21に利得を持たせることができ
る。以上より、この実施例の移相器300が良好に動作
することがわかる。
【0049】[実施例4]次に、図面を参照してこの発
明の第4の実施例について説明する。図7はこの実施例
による移相器400の回路図である。ここで、図3と同
一の部品・信号には同一の符号を付してあり、その説明
を省略する。この移相器400は、ソース接地のFET
31とソース接地のFET35とを縦続接続し、その間
に抵抗20とインダクタ22の並列回路をシャントに挿
入した回路と、この縦続接続回路とは並列に、ソース接
地のFET39とドレイン接地のFET43とを縦続接
続してこれらFETの間に抵抗23をシャントに挿入し
た回路を接続している。
【0050】次に、上記構成による移相器400の動作
を説明する。まず、図7の回路のアドミタンス行列Yを
求める。解析を簡単にするため、FET31・FET3
5・FET39・FET43がすべて電気的に同じ特性
を有し、それぞれがゲート直下のゲート・ソース間の空
乏層容量Cgs1、Cgs2、Cgsf、Cgsaおよび相互コンダ
クタンスgm1、gm2、gmf、gmaのみで表現される
とする。
【0051】すると、アドミタンス行列Yは次式で与え
られる。
【数22】 ここで、FETの遮断周波数fT=gm1/(2πCgs
1)=gm2/(2πCgs2)=gmf/(2πCgsf)=
gma/(2πCgsa) とする。同一のウェハ内では、
このようなfTの等しい特性を有するFETを容易に構
成することが可能である。
【0052】アドミタンス行列YのY22が振幅一定とな
る周波数特性を有するために抵抗23の抵抗値Rsに必
要とされる条件は、次式で与えられる。
【数23】 このとき、(4−1)式は次式のようになる。
【数24】
【0053】また、抵抗20とインダクタ22の並列回
路のインピーダンスZは、s=jωとして、次式で与え
られる。
【数25】 よって、(4−3)式および(4−4)式より、アドミ
タンス行列YのY21は、
【数26】 となる。
【0054】中心角周波数が変化しても、Y21の振幅が
一定で位相のみが変化するための条件は、次式のように
なる。
【数27】 従って、抵抗23の抵抗値Rs を(4−2)式の値に設
定し、抵抗20の抵抗値Rk を(4−6)式の値に設定
して、インダクタ22を電圧制御素子などで構成してイ
ンダクタンス値Lk を可変とすることにより、振幅一定
で位相のみを変化させることができる。さらには、相互
コンダクタンスgma を出力インピーダンスZ02の逆数
とすることにより、能動素子のみで出力整合を達成でき
る。
【0055】ここで、FET31・FET35としてゲ
ート幅50μmのFET(相互コンダクタンスgm1=
gm2=10mS、空乏層容量Cgs1=Cgs2=0.08
pF、遮断周波数fT =20GHz)を、FET39と
してゲート幅200μmのFET(相互コンダクタンス
gmf=40mS、空乏層容量Cgsf=0.32pF、遮
断周波数fT =20GHz)をFET43としてゲート
幅50μmのFET(相互コンダクタンスgma=10
mS、空乏層容量Cgsa=0.08pF、遮断周波数fT
=20GHz)を用いた移相器の周波数特性を図8に
示す。なお、以上から、抵抗23の抵抗値Rs=1/g
ma=100Ωとする。また、抵抗20の抵抗値Rk=2
gmf/(gm1gm2)=800Ωとする。
【0056】この図ではインダクタ22のインダクタン
ス値Lk を1nH、3nH、5nHと変化させている。
図から明らかなように、周波数f=10GHz付近で
は、振幅一定で270゜以上のS21の位相変化が得られ
る。また、S22は−9dB以下であって出力整合してい
ることがわかる。なお、(4−5)式より、Y21は相互
コンダクタンスgmf に比例するため、相互コンダクタ
ンスgmf を大きくすることでS21に利得を持たせるこ
とができる。以上より、この実施例による移相器400
が良好に動作することがわかる。
【0057】[実施例5]次に、図面を参照してこの発
明の第5の実施例について説明する。図9はこの実施例
による移相器の回路図である。ここで、図1と同一の部
品・信号には同一の符号を付してあり、その説明を省略
する。この図において21は容量Ck を持つキャパシタ
である。また、この移相器500は、第1の実施例にお
ける移相器100の抵抗20とインダクタ22の並列回
路に対してキャパシタ21をシャントに挿入したもので
ある。
【0058】次に、上記構成による移相器500の動作
を説明する。第1の実施例と比較して、移相器500の
アドミタンス行列YのY21は容量Cgs2を(Ck+Cgs
2)で置き換えたものになり、次式で表されることにな
る。
【数28】 従って、抵抗20の抵抗値Rk を(1−4)式の値に設
定し、キャパシタ21またはインダクタ22を電圧制御
素子などで構成して、キャパシタンス値Ck またはイン
ダクタンス値Lk を可変とすることにより、振幅一定で
位相のみを変化させることができる。さらには、相互コ
ンダクタンス(gm1+gmf)を入力インピーダンスZ
01の逆数とすることにより、能動素子のみで入力整合を
達成できる。
【0059】ここで、FET31・FET35としてゲ
ート幅50μmのFET(相互コンダクタンスgm1=
gm2=10mS、空乏層容量Cgs1=Cgs2=0.08
pF、遮断周波数fT =20GHz)を、FET39と
してゲート幅200μmのFET(相互コンダクタンス
gmf=40mS、空乏層容量Cgsf=0.32pF、遮
断周波数fT =20GHz)を用いた移相器の周波数特
性を図10に示す。ここで、抵抗20の抵抗値Rk=2
gmf/(gm1gm2)=800Ωとする。
【0060】この図ではインダクタ22のインダクタン
ス値Lk =3nHとし、キャパシタ21のキャパシタン
ス値Ck を0.5pF、1pF、2pFと変化させてい
る。図から明らかなように、周波数f=2.5GHz付
近では、振幅一定で270゜以上のS21の位相変化が得
られる。また、S11は−5dB以下であって入力整合し
ていることがわかる。なお、(5−1)式より、Y21は
相互コンダクタンスgmf に比例するため、相互コンダ
クタンスgmf を大きくすることでS21に利得を持たせ
ることができる。以上より、この実施例による移相器5
00が良好に動作することがわかる。
【0061】[実施例6]次に、図面を参照してこの発
明の第6の実施例について説明する。図11はこの実施
例による移相器600の回路図である。ここで、図3あ
るいは図9と同一の部品・信号には同一の符号を付して
あり、その説明を省略する。この移相器600は、第2
の実施例における移相器200の抵抗20とインダクタ
22の並列回路に対してキャパシタ21をシャントに挿
入したものである。
【0062】次に、上記構成による移相器600の動作
を説明する。第2の実施例と比較して、移相器600の
アドミタンス行列YのY21は容量Cgs2を(Ck+Cgs
2)で置き換えたものになり、次式で表されることにな
る。
【数29】 従って、抵抗23の抵抗値Rs を(2−2)式の値に設
定し、また抵抗20の抵抗値Rk を(2−6)式の値に
設定し、キャパシタ21またはインダクタ22を電圧制
御素子などで構成してキャパシタンス値Ck またはイン
ダクタンス値Lk を可変とすることにより、振幅一定で
位相のみを変化させることができる。
【0063】また、相互コンダクタンス(gm1+gm
f)を入力インピーダンスZ01の逆数とすることによ
り、能動素子のみで入力整合を達成できる。さらに、相
互コンダクタンスgma を出力インピーダンスZ02の逆
数とすることにより、能動素子のみで出力整合を達成で
きる。
【0064】ここで、FET31・FET35としてゲ
ート幅50μmのFET(相互コンダクタンスgm1=
gm2=10mS、空乏層容量Cgs1=Cgs2=0.08
pF、遮断周波数fT =20GHz)を、FET39と
してゲート幅200μmのFET(相互コンダクタンス
gmf=40mS、空乏層容量Cgsf=0.32pF、
遮断周波数fT =20GHz)をFET43としてゲー
ト幅50μmのFET(相互コンダクタンスgma=1
0mS、空乏層容量Cgsa=0.08pF、遮断周波数
fT =20GHz)を用いた移相器の周波数特性を図1
2に示す。なお、以上から、抵抗23の抵抗値Rs=1
/gma=100Ωとする。また、抵抗20の抵抗値Rk
=2gmf/(gm1gm2)=800Ωとする。
【0065】この図ではインダクタ22のインダクタン
ス値Lk =3nHとし、キャパシタ21のキャパシタン
ス値Ck を0.5pF、1pF、2pFと変化させてい
る。図から明らかなように、周波数f=2.5GHz付
近では、振幅一定で270゜以上のS21の位相変化が得
られる。また、S11は−5dB以下、S22も−9dB以
下であって入出力ともに整合していることがわかる。な
お、(6−1)式より、Y21は相互コンダクタンスgm
f に比例するため、相互コンダクタンスgmf を大きく
することでS21に利得を持たせることができる。以上よ
り、この実施例による移相器600が良好に動作するこ
とがわかる。
【0066】[実施例7]次に、図面を参照してこの発
明の第7の実施例について説明する。図13はこの実施
例による移相器700の回路図である。ここで、図5あ
るいは図9と同一の部品・信号には同一の符号を付して
あり、その説明を省略する。この移相器700は、第3
の実施例における移相器300の抵抗20とインダクタ
22の並列回路に対してさらにキャパシタ21をシャン
トに挿入したものである。
【0067】次に、上記構成による移相器700の動作
を説明する。第3の実施例と比較して、アドミタンス行
列YのY21は容量Cgs2を(Ck+Cgs2)で置き換えた
ものになり、次式で表されることになる。
【数30】
【0068】従って、抵抗20の抵抗値Rkを(3−
4)式の値に設定し、キャパシタ21またはインダクタ
22を電圧制御素子などで構成してキャパシタタンス値
Ckまたはインダクタンス値Lkを可変とすることによ
り、振幅一定で位相のみを変化させることができる。
【0069】ここで、FET31・FET35としてゲ
ート幅50μmのFET(相互コンダクタンスgm1=
gm2=10mS、空乏層容量Cgs1=Cgs2=0.08
pF、遮断周波数fT=20GHz)を、FET39と
してゲート幅200μmのFET(相互コンダクタンス
gmf =40mS、空乏層容量Cgsf=0.32pF、
遮断周波数fT=20GHz)を用いた移相器の周波数
特性を図14に示す。また、抵抗20の抵抗値Rk=2
gmf/(gm1gm2)=800Ωとする。
【0070】この図ではインダクタ22のインダクタン
ス値Lk =3nHとし、キャパシタ21のキャパシタン
ス値Ck を0.5pF、1pF、2pFと変化させてい
る。図から明らかなように、周波数f=2.5GHz付
近では、振幅一定で270゜以上のS21の位相変化が得
られる。なお、(7−1)式より、Y21は相互コンダク
タンスgmf に比例するため、相互コンダクタンスgm
f を大きくすることでS21に利得を持たせることができ
る。以上より、この実施例による移相器700が良好に
動作することがわかる。
【0071】[実施例8]次に、図面を参照してこの発
明の第8の実施例について説明する。図15はこの実施
例による移相器800の回路図である。ここで、図7あ
るいは図9と同一の部品・信号には同一の符号を付して
あり、その説明を省略する。この移相器800は、第4
の実施例における移相器400の抵抗20とインダクタ
22の並列に対してキャパシタ21をシャントに挿入し
たものである。
【0072】次に、上記構成による移相器800の動作
を説明する。第4の実施例と比較して、アドミタンス行
列YのY21は容量Cgs2を(Ck+Cgs2)で置き換えた
ものになり、次式で表されることになる。
【数31】
【0073】従って、抵抗23の抵抗値Rs を(4−
2)式の値に設定し、抵抗20の抵抗値Rk を(4−
6)式の値に設定して、キャパシタ21またはインダク
タ22を電圧制御素子などで構成してキャパシタンス値
Ck またはインダクタンス値Lkを可変とすることによ
り、振幅一定で位相のみを変化させることができる。ま
た、相互コンダクタンスgma を出力インピーダンスZ
02の逆数とすることにより、能動素子のみで出力整合を
達成できる。
【0074】ここで、FET31・FET35としてゲ
ート幅50μmのFET(相互コンダクタンスgm1=
gm2=10mS、空乏層容量Cgs1=Cgs2=0.08
pF、遮断周波数fT =20GHz)を、FET39と
してゲート幅200μmのFET(相互コンダクタンス
gmf=40mS、空乏層容量Cgsf=0.32pF、遮
断周波数fT =20GHz)をFET43としてゲート
幅50μmのFET(相互コンダクタンスgma=10
mS、空乏層容量Cgsa=0.08pF、遮断周波数fT
=20GHz)を用いた移相器の周波数特性を図16
に示す。なお、以上から、抵抗23の抵抗値Rs=1/
gma=100Ωとする。また、抵抗20の抵抗値Rk=
2gmf/(gm1gm2)=800Ωとする。
【0075】この図ではインダクタ22のインダクタン
ス値Lk =3nHとし、キャパシタ21のキャパシタン
ス値Ck を0.5pF、1pF、2pFと変化させてい
る。図から明らかなように、周波数f=2.5GHz付
近では、振幅一定で270゜以上のS21の位相変化が得
られる。また、S22は−9dB以下であって出力整合し
ていることがわかる。なお、(8−1)式より、Y21は
相互コンダクタンスgmf に比例するため、相互コンダ
クタンスgmf を大きくすることでS21に利得を持たせ
ることができる。以上より、この実施例による移相器8
00が良好に動作することがわかる。
【0076】また、以上の説明においては、3端子の能
動素子としてFETを用いた場合を示したが、これに限
らず、例えばバイポーラトランジスタやHEMTを用い
ても同様に構成できる。また、FETのゲートへの電圧
印加ポイントPの電圧を変化させることにより、相互コ
ンダクタンスgmが変化するので、振幅や位相の変動を
抑圧できる電圧制御型の能動移相器を実現できる。
【0077】
【0078】
【0079】
【発明の効果】 以上説明したように、 請求項記載
の発明によれば、上記構成とすることで、2次の全周波
通過回路と同様の伝達関数と位相特性を有し、なおかつ
(3)式で与えられるアドミタンスを有する回路が構成
され、可変インダクタのインダクタンス値を可変するこ
とにより、振幅一定であって位相のみが広範囲にわたっ
て連続的に変化する位相特性が得られ、トランジスタを
用いた、広帯域で可変位相量が大きく、マイクロ波帯等
の高周波域でも動作可能な移相器を提供できるという効
果が得られる。また、回路をトランジスタ・抵抗素子・
インダクタのみで構成できるため、移相器の小型化を図
ることができるという効果も得られる。
【0080】また、請求項記載の発明によれば、第1
の抵抗素子と可変インダクタの並列接続回路に対して可
変キャパシタを並列に接続して可変キャパシタのキャパ
シタンス値を可変させるようにしたので、さらに広範囲
な可変位相量が得られるという効果が得られる。また、
請求項記載の発明によれば、入力端子に接続され、第
1電極が接地された第1のトランジスタおよび第3のト
ランジスタの相互コンダクタンスを、入力インピーダン
スに対して適切に設定するようにしたので、入力の能動
整合が可能となり、結果として受動整合素子が不要とな
って、移相器の小型化を図ることが可能となるという効
果が得られる。
【0081】また、請求項記載の発明によれば、出力
端子に接続され、第3電極が接地された第4のトランジ
スタの相互コンダクタンスを、出力インピーダンスに対
して適切に設定するようにしたので、出力の能動整合が
可能となり、結果として受動整合素子が不要となって、
さらなる移相器の小型化を図ることが可能となるという
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施例による移相器の回
路図である。
【図2】 同第1の実施例による移相器の周波数特性
を示す図である。
【図3】 この発明の第2の実施例による移相器の回
路図である。
【図4】 同第2の実施例による移相器の周波数特性
を示す図である。
【図5】 この発明の第3の実施例による移相器の回
路図である。
【図6】 同第3の実施例による移相器の周波数特性
を示す図である。
【図7】 この発明の第4の実施例による移相器の回
路図である。
【図8】 同第4の実施例による移相器の周波数特性
を示す図である。
【図9】 この発明の第5の実施例による移相器の回
路図である。
【図10】 同第5の実施例による移相器の周波数特性
を示す図である。
【図11】 この発明の第6の実施例による移相器の回
路図である。
【図12】 同第6の実施例による移相器の周波数特性
を示す図である。
【図13】 この発明の第7の実施例による移相器の回
路図である。
【図14】 同第7の実施例による移相器の周波数特性
を示す図である。
【図15】 この発明の第8の実施例による移相器の回
路図である。
【図16】 同第8の実施例による移相器の周波数特性
を示す図である。
【図17】 第1の従来例による移相器の回路図であ
る。
【図18】 第2の従来例による移相器の回路図であ
る。
【符号の説明】
P 高周波を遮断するコイルを介して電圧が印加され
るポイント C 直流電圧阻止用のコンデンサ 1 入力端子 2 出力端子 3 カップリング端子 4 通過端子 5 バイアス回路が接続された端子 6a・6b・10・20・23 抵抗 7a・7b バラクタダイオード 8 90゜3dBハイブリッド 9 180゜3dBハイブリッド 11 同相電力合成器 12 デュアルゲートFETなどを用いた可変利得増幅
器 13 デュアルゲートFETの第1ゲート 14 デュアルゲートFETの第2ゲート 16・17・18・19 端子 21 キャパシタ 22 インダクタ 31・35・39・43 FET 32・36・40・44 ドレイン 33・37・41・45 ソース 34・38・42・46 ゲート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−137320(JP,A) 昭和62年電子情報通信学会半導体・材 料部門全国大会講演論文集[分冊2]、 昭和62年10月15日発行、p.2−11 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 11/20

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1電極が接地され、第2電極が入力端
    子に接続された第1のトランジスタと、 第1電極が前記第1のトランジスタの第3電極に接続さ
    れ、第2電極が接地され、第3電極が出力端子に接続さ
    れた第2のトランジスタと、 前記第1のトランジスタの第3電極と前記第2のトラン
    ジスタの第1電極の接続点と接地との間に設けられた、
    第1の抵抗素子と可変インダクタの並列接続回路と、 第1電極が接地され、第2電極が前記入力端子に接続さ
    れ、第3電極が前記出力端子に接続された第3のトラン
    ジスタとを具備し 前記第1ないし第3のトランジスタがFETもしくはH
    EMT (High Electron Mobility Transistor)の場
    合、該トランジスタの第1電極はゲート電極、第2電極
    はソース電極、第3電極はドレイン電極であり、 また、前記第1ないし第3のトランジスタがバイポーラ
    トランジスタの場合、該トランジスタの第1電極はベー
    ス電極、第2電極はエミッタ電極、第3電極はコレクタ
    電極であることを特徴とする 移相器。
  2. 【請求項2】 第1電極が接地され、第2電極が入力端
    子に接続された第1のトランジスタと、 第1電極が前記第1のトランジスタの第3電極に接続さ
    れ、第2電極が接地され、第3電極が出力端子に接続さ
    れた第2のトランジスタと、 前記第1のトランジスタの第3電極と前記第2のトラン
    ジスタの第1電極の接続点と接地との間に設けられた、
    第1の抵抗素子と可変インダクタの並列接続回路と、 第1電極が接地され、第2電極が前記入力端子に接続さ
    れた第3のトランジスタと、 第1電極が前記第3のトランジスタの第3電極に接続さ
    れ、第2電極が前記出力端子に接続され、第3電極が接
    地された第4のトランジスタと、 前記第3のトランジスタの第3電極と前記第4のトラン
    ジスタの第1電極の接続点と接地との間に設けられた第
    2の抵抗素子とを具備し 前記第1ないし第4のトランジスタがFETもしくはH
    EMT (High Electron Mobility Transistor)の場
    合、該トランジスタの第1電極はゲート電極、第2電極
    はソース電極、第3電極はドレイン電極であり、 また、前記第1ないし第4のトランジスタがバイポーラ
    トランジスタの場合、該トランジスタの第1電極はベー
    ス電極、第2電極はエミッタ電極、第3電極はコレクタ
    電極であることを特徴とする 移相器。
  3. 【請求項3】 第1電極が入力端子に接続され、第2電
    極が接地された第1のトランジスタと、 第1電極が前記第1のトランジスタの第3電極に接続さ
    れ、第2電極が接地され、第3電極が出力端子に接続さ
    れた第2のトランジスタと、 前記第1のトランジスタの第3電極と前記第2のトラン
    ジスタの第1電極の接続点と接地との間に設けられた、
    第1の抵抗素子と可変インダクタの並列接続回路と、 第1電極が前記入力端子に接続され、第2電極が接地さ
    れ、第3電極が前記出力端子に接続された第3のトラン
    ジスタとを具備し 前記第1ないし第3のトランジスタがFETもしくはH
    EMT (High Electron Mobility Transistor)の場
    合、該トランジスタの第1電極はゲート電極、第2電極
    はソース電極、第3電極はドレイン電極であり、 また、前記第1ないし第3のトランジスタがバイポーラ
    トランジスタの場合、該トランジスタの第1電極はベー
    ス電極、第2電極はエミッタ電極、第3電極はコレクタ
    電極であることを特徴とする 移相器。
  4. 【請求項4】 第1電極が入力端子に接続され、第2電
    極が接地された第1のトランジスタと、 第1電極が前記第1のトランジスタの第3電極に接続さ
    れ、第2電極が接地され、第3電極が出力端子に接続さ
    れた第2のトランジスタと、 前記第1のトランジスタの第3電極と前記第2のトラン
    ジスタの第1電極の接続点と接地との間に設けられた、
    第1の抵抗素子と可変インダクタの並列接続回路と、 第1電極が前記入力端子に接続され、第2電極が接地さ
    れた第3のトランジスタと、 第1電極が前記第3のトランジスタの第3電極に接続さ
    れ、第2電極が前記出力端子に接続され、第3電極が接
    地された第4のトランジスタと、 前記第3のトランジスタの第3電極と前記第4のトラン
    ジスタの第1電極の接続点と接地との間に設けられた第
    2の抵抗素子とを具備し 前記第1ないし第4のトランジスタがFETもしくはH
    EMT (High Electron Mobility Transistor)の場
    合、該トランジスタの第1電極はゲート電極、第2電極
    はソース電極、第3電極はドレイン電極であり、 また、前記第1ないし第4のトランジスタがバイポーラ
    トランジスタの場合、該トランジスタの第1電極はベー
    ス電極、第2電極はエミッタ電極、第3電極はコレクタ
    電極であることを特徴とする 移相器。
  5. 【請求項5】 前記第1の抵抗素子と可変インダクタの
    並列接続回路に対して、さらに可変キャパシタを並列に
    接続したことを特徴とする請求項ないしのいずれか
    1項に記載の移相器。
  6. 【請求項6】 前記第1のトランジスタの相互コンダク
    タンスと前記第3のトランジスタの相互コンダクタンス
    とを、前記入力端子から見た入力インピーダンスへ整合
    させたことを特徴とする請求項またはに記載の移相
    器。
  7. 【請求項7】 前記第4のトランジスタの相互コンダク
    タンスを、前記出力端子から見た出力インピーダンスへ
    整合させたことを特徴とする請求項またはに記載の
    移相器。
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昭和62年電子情報通信学会半導体・材料部門全国大会講演論文集[分冊2]、昭和62年10月15日発行、p.2−11

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