JP3216536B2 - 有機複合被覆鋼板 - Google Patents

有機複合被覆鋼板

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JP3216536B2 JP23058996A JP23058996A JP3216536B2 JP 3216536 B2 JP3216536 B2 JP 3216536B2 JP 23058996 A JP23058996 A JP 23058996A JP 23058996 A JP23058996 A JP 23058996A JP 3216536 B2 JP3216536 B2 JP 3216536B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛系めっきが施
された鋼板の上にクロメート処理層および樹脂皮膜を形
成した有機複合被覆鋼板に関する。このような有機複合
被覆鋼板は、家電製品または建材等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板(以
下、亜鉛系めっき鋼板と略記する)の上にクロメート処
理層および樹脂皮膜を形成した有機複合被覆鋼板は、耐
食性、耐指紋性に優れていることから、各種産業分野に
おいて広く利用されている。
【0003】このような有機複合被覆鋼板は、無塗装で
使われることが多く、無塗装での耐食性はもちろんのこ
と、無塗装での良好な外観が要求される。耐食性につい
ては、下層にクロメート層を有し、上層に樹脂被覆層を
有する有機複合被覆鋼板を用いることにより、ある程度
要求が満たされている。
【0004】しかし、これら有機複合被覆鋼板が未塗装
状態で保管される場合、特に高温・湿潤環境下に保管さ
れる場合、表面が部分的にあるいは全体に亘って経時的
に黒っぽく変色する、いわゆる黒変現象が発生すること
があり、外観的に商品価値を著しく損なうといった問題
が生じる。さらに、有機複合被覆鋼板は塗装した後使用
する場合もあるため、同時に塗料密着性も必要である。
加えて、スリット加工、運搬あるいは成形加工等の工程
において皮膜表面に疵がつくことによって、その部分に
おいて耐食性が劣化したり、外観が損なわれることを防
ぐために潤滑性が求められる。
【0005】すなわち、この種の有機複合被覆鋼板は、
耐食性、耐黒変性、塗料密着性および潤滑性の全てを満
たすことが要求される。
【0006】このような背景において以下のような技術
が提案されている。
【0007】(1)特開平5−220445号公報(以
下、先行技術1と記す) (2)特開平7−52310号公報(以下、先行技術2
と記す) これらには、エチレン系アイオノマー樹脂をベースとす
る樹脂層を上層に有することにより、有機複合被覆鋼板
の耐黒変性を向上させる技術が開示されている。
【0008】(3)特開平4−61966号公報(以
下、先行技術3と記す) (4)特開平4−290582号公報(以下、先行技術
4と記す) これらには、エチレンと不飽和カルボン酸の共重合体を
ベースとし、潤滑剤を含有する樹脂層を上層に有するこ
とにより、有機複合被覆鋼板の塗料密着性および潤滑性
を向上させる技術が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た先行技術には以下に示すような問題がある。
【0010】すなわち、先行技術1および2では、エチ
レン系アイオノマー樹脂をベースとする樹脂層を上層に
有することにより、有機複合被覆鋼板の耐黒変性を向上
させることはできるものの、これらの技術で製造された
鋼板では、塗料密着性、潤滑性が不十分である。
【0011】また、先行技術3および4では、エチレン
と不飽和カルボン酸の共重合体をベースとし、潤滑剤を
含有する樹脂層を上層に有することにより、有機複合被
覆鋼板の塗料密着性および潤滑性を向上させることはで
きるものの、これらの技術で製造された鋼板では、耐黒
変性が不十分である。
【0012】このように、従来技術では、耐食性、耐黒
変性、塗料密着性および潤滑性をすべて満足させる有機
複合被覆鋼板は未だ提供されていない。
【0013】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、良好な耐食性を維持しつつ、耐黒変性、塗
料密着性に優れ、かつ潤滑性にも優れた有機複合被覆鋼
板を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、亜鉛または亜鉛系合金めっき層が施され
た鋼板と、該鋼板のめっき層上に形成され、金属クロム
換算で1〜200mg/m2 の範囲の付着量を有するクロ
メート処理層と、クロメート処理層上に厚さ0.1ない
し5μmの範囲で形成された樹脂皮膜とを具備し、前記
樹脂皮膜が、(A)エチレン系アイオノマー樹脂とエポ
キシ基含有化合物の反応物と、エポキシエマルジョンと
の混合物:40〜98重量%、(B)シリカ微粒子:1
〜40重量%、(C)有機系潤滑剤:1〜30重量%か
らなる複合化樹脂を主成分とすることを特徴とする有機
複合被覆鋼板を提供する。
【0015】また、前記樹脂皮膜におけるエチレン系ア
イオノマー樹脂中の不飽和カルボン酸が、メタクリル酸
であることを特徴とする有機複合被覆鋼板を提供する。
【0016】さらに、前記樹脂皮膜におけるエポキシ基
含有化合物が多価アルコールのジまたはポリグリシジル
エーテルであることを特徴とする有機複合被覆鋼板を提
供する。
【0017】さらにまた、前記樹脂皮膜におけるエチレ
ン系アイオノマー樹脂とエポキシ基化合物との反応物に
おいて、エポキシ基含有化合物の割合がエチレン系アイ
オノマー樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部
であることを特徴とする有機複合被覆鋼板を提供する。
【0018】さらにまた、前記樹脂皮膜におけるエポキ
シエマルジョンが分子量2000〜5000の高分子エ
ポキシ樹脂を基本骨格とし、アクリル樹脂の親水性を利
用してエマルジョン化したものであることを特徴とする
有機複合被覆鋼板を提供する。
【0019】さらにまた、前記樹脂皮膜におけるエチレ
ン系アイオノマー樹脂とエポキシ基含有化合物の反応物
と、エポキシエマルジョンとの比率が、重量比で1/9
〜9/1であることを特徴とする有機複合被覆鋼板を提
供する。
【0020】本発明者らは、有機複合被覆鋼板における
上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、亜鉛系め
っき鋼板のめっき層上に、クロメート処理層を形成し、
その上に、特殊な樹脂層を形成することによって、良好
な耐食性を維持しつつ、耐黒変性、塗料密着性に優れか
つ潤滑性にも優れた有機複合被覆鋼板が得られることを
見出した。すなわち、特定範囲の厚さのクロメート処理
層の上に、特定範囲の厚さを有し、主成分がエチレン系
アイオノマー樹脂とエポキシ基含有化合物の反応物と、
エポキシエマルジョンとの混合物である皮膜を形成する
ことにより、その分子構造に起因した密着力の高さによ
って、耐黒変性と共に塗料密着性も向上することを見出
した。本発明は、本発明者らのこのような知見に基づい
てなされたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明においては、亜鉛系めっき
鋼板の表面にクロメート処理層が形成され、その上に
(A)エチレン系アイオノマー樹脂とエポキシ基含有化
合物の反応物と、エポキシエマルジョンとの混合物:4
0〜98重量%、(B)シリカ微粒子:1〜40重量
%、(C)有機系潤滑剤:1〜30重量%からなる複合
化樹脂を主成分とする樹脂皮膜が形成される。
【0022】本発明において、上層として形成される樹
脂の主成分は、エチレン系アイオノマー樹脂とエポキシ
基化合物の反応物と、エポキシエマルジョンとの混合物
である。
【0023】エチレン系アイオノマー樹脂は、主として
炭化水素から構成される高分子主鎖からなり、側鎖にカ
ルボキシル基を有し、カルボキシル基の少なくとも1部
が金属陽イオンで中和された重合体である。このアイオ
ノマー樹脂の具体例として、エチレンと不飽和カルボン
酸との共重合体であって、含有するカルボキシル基の少
なくとも一部が金属陽イオンで中和されてなる部分中和
物が挙げられる。
【0024】エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の成
分である不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜8のも
の等が挙げられる。この炭素数3〜8の不飽和カルボン
酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸、フマール酸、イタコン酸、クロトン酸、イソク
ロトン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、グルタコン
酸、ナジック酸(エンドシス−ビシクロ[2,2,1]
ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸)、メチルナ
ジック酸、テトラヒドロフタール酸、メチルヘキサンヒ
ドロフタール酸等が挙げられる。これらの中でも、特
に、メタクリル酸が好ましい。
【0025】また、このエチレン系アイオノマー樹脂の
主骨格を構成するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体
は、エチレンと不飽和カルボン酸に加えて第3成分を含
んでいてもよい。この第3成分としては、(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)ア
クリル酸イソプロピル等の不飽和カルボン酸エステル、
酢酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。
【0026】このエチレン−不飽和カルボン酸共重合体
におけるエチレンの含有量は、通常、95〜60重量%
であり、好ましくは92〜75重量%である。また、不
飽和カルボン酸の含有量は、通常、5〜40重量%であ
り、特に、8〜25重量%の範囲が好ましい。また、エ
チレン−不飽和カルボン酸共重合体が第3成分を含む場
合には、第3成分は40重量%以下の量で存在すること
が好ましい。
【0027】本発明のエチレン系アイオノマー樹脂にお
いて、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が側鎖に有
する、カルボキシル基の少なくとも一部を中和している
金属陽イオンとしては、例えば1〜3価の金属陽イオン
が挙げられ、良好な乳化性を有するアイオノマー樹脂が
得られる点で1価の金属陽イオンが好ましい。この1価
の金属陽イオンの中でも、特に、ナトリウム、カリウム
が好ましい。
【0028】エチレン−不飽和カルボン酸共重合体が側
鎖に有するカルボキシル基全部に対する、金属陽イオン
で中和されたカルボキシル基の割合、すなわち中和度
は、塗膜の密着性が優れるとともに、良好な安定性を有
する水分散体が得られる点で、通常、20〜100%で
あり、好ましくは30〜80%である。
【0029】このエチレン系アイオノマー樹脂は、例え
ば、エチレンと不飽和カルボン酸、および必要に応じて
用いられる前記第3成分を高圧ラジカル重合法により共
重合させ、得られるエチレン−不飽和カルボン酸共重合
体のカルボキシル基を前記金属陽イオンを有する化合物
で中和処理する方法、ポリエチレンに不飽和カルボン酸
をグラフト共重合し、得られる共重合体のカルボキシル
基を前記金属陽イオンを有する化合物で中和処理する方
法等によって製造することができる。また、この製造の
際に、押出機に所要の成分を供給して溶融混練して反応
させてもよいし、適当な溶液中で反応を行わせてもよ
い。
【0030】本発明において、エチレン系アイオノマー
樹脂と反応させるエポキシ基含有化合物としては、カル
ボン酸と2,3−エポキシプロパノール等の反応によっ
て得られるグリシジルエステル類、およびエピクロルヒ
ドリンと1価または多価の金属アルコキシドとの反応等
によって得られるグリシジルエーテル類などを挙げるこ
とができる。
【0031】グリシジルエステル類を得るためのカルボ
ン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉
草酸等の飽和モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸等の飽和ジカルボン酸;安息香
酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸;アクリル酸、メタ
クリル酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマ
ール酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、シ
トラコン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、グルタコン
酸、ナジック酸(エンドシス−ビシクロ[2,2,1]
ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸)、メチルナ
ジック酸、テトラヒドロフタール酸、メチルヘキサヒド
ロフタール酸等の不飽和ジカルボン酸が挙げられる。こ
れらのカルボン酸が1種単独または2種以上組合せてグ
リシジルエステル類中に含まれていてもよい。
【0032】エポキシ基含有化合物として用いられるグ
リシジルエステル類の具体例としては、アジピン酸ジグ
リシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、テ
レフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
【0033】エポキシ基含有化合物として用いられるグ
リシジルエーテル類を得るための1価または多価の金属
アルコキシドは、1価または多価のアルコールと金属と
の反応によって得られる化合物である。1価のアルコー
ルとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール、ヘキサノール等が挙げられ、多価
アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、レ
ゾルシン、グリセリン等が挙げられる。金属としては、
例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金
属等が挙げられる。
【0034】この1価または多価の金属アルコキシドの
具体例として、ナトリウムアルコキシド等が挙げられ
る。これらの金属アルコキシドが1種単独または2種以
上組合せてグリシジルエーテル類に含まれていてもよ
い。
【0035】エポキシ基含有化合物として用いられるグ
リシジルエーテル類の具体例としては、ソルビトールポ
リグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエー
テル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペン
タエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロ
ールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシ
ジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジル
エーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、エチレングリコールジグルシジルエーテル、ポリエ
チレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレ
ングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、2,2−ビス(4´−グリシジ
ルオキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル等が
挙げられる。
【0036】また、本発明において、上層として形成さ
れる樹脂の主成分を得る場合に、エチレン系アイオノマ
ー樹脂と反応させるエポキシ基含有化合物としては、前
記グリシジルエステル類およびグリシジルエーテル類の
1種単独または2種以上を組合せて含んだもののいずれ
であってもよい。
【0037】このエポキシ基含有化合物は、加熱により
エチレン系アイオノマー樹脂のカルボキシル基と反応し
て、塗料密着性に優れた塗膜を形成する点で、特に、多
価アルコールのジまたはポリグリシジルエーテルが好ま
しい。
【0038】このエポキシ基含有化合物の粘度は、25
℃で5〜30000cps、特に、10〜20000c
psの範囲にあることが好ましい。
【0039】本発明において、エポキシ基含有化合物
は、通常、エポキシ当量が80〜2500g、特に、1
20〜2000gの範囲にあるものが用いられる。本発
明において、エポキシ当量とは、エポキシ基1グラム当
量あたりのエポキシ基含有化合物のグラム数をいう。例
えば、分子量100のエポキシ基含有化合物が1分子内
に1つのエポキシ基を有する場合には、このエポキシ基
含有化合物のエポキシ当量は100となる。また、分子
量100のエポキシ基含有化合物が1分子内に2つのエ
ポキシ基を有する場合には、このエポキシ基含有化合物
のエポキシ当量は50となる。
【0040】また、エチレン系アイオノマー樹脂とエポ
キシ基含有化合物との反応物の調製は、例えば、エチレ
ン系アイオノマー樹脂の水分散体にエポキシ基含有化合
物を溶解する方法、エチレン系アイオノマー樹脂の水分
散体にエポキシ基含有化合物の水溶液を混合する方法、
エチレン系アイオノマー樹脂とエポキシ基含有化合物、
および水の混合物を加熱溶融し、一括乳化する方法等に
従って行うことができる。
【0041】エチレン系アイオノマー樹脂の水分散体
は、容易に調製することができ、通常、水に対して1〜
60重量%の固形分量のエチレン系アイオノマー樹脂を
混合して100〜270℃の温度で加熱溶融し、分散さ
せる方法によって調製することができる。
【0042】また、複合化樹脂中のエチレン系アイオノ
マー樹脂とエポキシ基含有化合物の濃度は、特に制限さ
れず、塗装方法、塗装に使用する装置等に従って適宜調
製される。通常、エチレン系アイオノマー樹脂とエポキ
シ基含有化合物との合計量で5〜50重量%が適当であ
り、好ましくは10〜40重量%である。
【0043】さらに、エチレン系アイオノマー樹脂とエ
ポキシ基含有化合物との反応物において、エチレン系ア
イオノマー樹脂とエポキシ基含有化合物の含有割合は、
使用するエポキシ基含有化合物の分子量、エポキシ当量
等によって異なるが、複合化樹脂をクロメート処理した
亜鉛系めっき鋼板のクロメート処理層の上に塗布した際
に、耐水性が優れるとともに、上塗り塗料との密着性に
優れる樹脂被覆層が得られる点で、エチレン系アイオノ
マー樹脂100重量部に対して、エポキシ基含有化合物
0.05〜50重量部の割合が好ましく、さらには0.
1〜30重量部が好ましく、0.5〜20重量部が一層
好ましい。
【0044】本発明において、エチレン系アイオノマー
樹脂とエポキシ基含有化合物との反応物に混合させるエ
ポキシエマルジョンとしては、液体エポキシ樹脂や固形
エポキシ樹脂を加熱溶融ないしは有機溶剤に溶解した後
に水中に強制乳化して製造されたものが用いられる。エ
マルジョンとしては、エポキシ系エマルジョン、ウレタ
ン系エマルジョン、アクリル系エマルジョン、アルキド
系エマルジョン、オレフィン系エマルジョンなどが存在
するが、エポキシエマルジョンを用いたときにのみ塗料
密着性が著しく向上する。このため、本発明ではエポキ
シエマルジョンを採用しているのである。
【0045】また、このように上層として形成される樹
脂の主成分を得るためにエチレン系アイオノマー樹脂と
エポキシ基含有化合物との反応物に混合されるエポキシ
エマルジョンとしては、上塗り塗料との密着性に優れる
樹脂被覆層が得られる点で、分子量2000〜5000
の高分子エポキシ樹脂基本骨格とし、アクリル樹脂の親
水性を利用してエマルジョン化したものが特に望まし
い。
【0046】エチレン系アイオノマー樹脂とエポキシ基
含有化合物との反応物と、エポキシエマルジョンとの混
合物は、例えば、エチレン系アイオノマー樹脂の水分散
体にエポキシ基含有化合物を溶解させ、さらにエポキシ
エマルジョンを溶解させる方法によって調製することが
できる。
【0047】エチレン系アイオノマー樹脂の水分散体は
容易に調製することができ、通常、水に対して1〜60
重量%の固形分量のエチレン系アイオノマー樹脂を混合
して100〜270℃の温度で加熱溶融し、分散させる
方法によって調製することができる。
【0048】また、複合化樹脂中のエチレン系アイオノ
マー樹脂とエポキシ基含有化合物との反応物と、エポキ
シエマルジョンとの混合物の濃度は特に制限されず、塗
装方法、塗装に使用する装置等に応じて適宜調製され
る。通常、エチレン系アイオノマー樹脂とエポキシ基含
有化合物との反応物と、エポキシエマルジョンとの合計
量で5〜50%が適当であり、好ましくは10〜40重
量%である。
【0049】さらに、エチレン系アイオノマー樹脂とエ
ポキシ基含有化合物との反応物と、エポキシエマルジョ
ンとの混合物において、エチレン系アイオノマー樹脂と
エポキシ基含有化合物との反応物に対するエポキシエマ
ルジョンの比率は、使用するエポキシエマルジョンの分
子量、エポキシ当量等によって異なるが、複合化樹脂を
クロメート処理した亜鉛系めっき鋼板のクロメート処理
層の上に塗布した際に、耐水性が優れるとともに、上塗
り塗料との密着性に優れる樹脂被覆層が得られる点で、
エチレン系アイオノマー樹脂とエポキシ基含有化合物と
の反応物と、エポキシエマルジョンとの比率が重量比で
1/9〜9/1であることが好ましく、2/8〜8/2
であることが一層好ましい。
【0050】本発明で用いるシリカ微粒子としては、一
次粒子径が5〜50nm、二次粒子径が500nm以下
の超微細な無定形のシリカ粒子が好適である。一次粒子
が50nmを超えると乾燥後皮膜にクラックが入ってし
まうため、緻密な皮膜を形成し難く、耐食性が劣化しや
すい。シリカ微粒子は、粒子表面にシラノール基を有し
ており、市場ヘの供給形態によって例えば以下の3種類
に分類され、いずれも本発明に適用することができる。
【0051】(1)シリカ微粉末 一般に乾式シリカと称され、一次粒子径が50nm以下
のものであり、四塩化ケイ素の燃焼によって製造され
る。このシリカ微粉末は水分散液または有機溶剤分散液
のいずれかの形態で使用される。
【0052】(2)有機溶剤分散性シリカ いわゆるオルガノシリカゾルであって、例えば米国特許
第2,285,449号に記載されている製造方法によ
って有機溶剤に分散されたものが挙げられる。すなわ
ち、コロイダルシリカ水分散液における水を有機溶剤で
置換したシリカゾルであって、メタノール、イソプロパ
ノール、ブチルセロソルブなどのアルコール類を分散媒
体にしたものが特に有用である。
【0053】(3)水分散性シリカ いわゆるコロイダルシリカであって、水ガラスの脱ナト
リウム(イオン交換法、酸分解法、解膠法などによる)
によって製造され、一次粒子径が5〜50nmである。
この水分散性シリカは通常水性分散液として供給され
る。
【0054】本発明において、樹脂皮膜の主成分である
複合化樹脂中に占めるシリカ微粒子の割合は、耐食性お
よび皮膜の脆さの点から、1〜40重量%の範囲とす
る。1重量%未満の場合には、耐食性が低下する。一
方、40重量%を超えると皮膜が脆くなってしまうため
耐食性向上効果が認められず、また、樹脂液が増粘しす
ぎてコーティングしにくくなるため皮膜形成が不完全と
なり、耐食性および耐黒変性が低下し、さらに塗料密着
性も低下する。
【0055】本発明においては、上記シリカとクロム酸
塩化合物などのクロム化合物を併用して、合計で50重
量%以下の範囲で添加してもよい。この場合のクロム化
合物としては、無水クロム酸(CrO3 )、クロム酸ス
トロンチウム(SrCrO4)、クロム酸バリウム(B
aCrO4 )、クロム酸鉛(PbCrO4 )、塩基性ク
ロム酸亜鉛(ZnCrO4 ・4Zn(OH)2 )等の6
価クロム酸化合物、およびクロム酸クロム化合物などを
適用することができる。
【0056】本発明においては、樹脂皮膜の潤滑性を付
与するために、上記複合化樹脂に必須成分として有機系
潤滑剤が含有される。有機系潤滑剤としては、平均粒径
20μm以下の樹脂微粉末、例えばポリオレフィン系樹
脂粉末が有効である。ポリオレフィン系樹脂粉末は、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフィ
ン系炭化水素の重合体からなるものであればいずれでも
よいし、これらを組み合わせて用いてもよい。また、上
記ポリオレフィン系樹脂粉末は、品質上の観点から、重
量平均分子量が500〜5000のものが好ましい。重
量平均分子量が5000を超えると潤滑性が低下する傾
向にある。また、500未満では樹脂皮膜の表面にべと
つきを生じ、コイル貯蔵時等においてブロッキングを生
じることがあり好ましくない。上記ポリオレフィン系樹
脂粉末の他に、フッ素系樹脂、例えばポリ四フッ化エチ
レン樹脂、ポリ六フッ化プロピレン樹脂、ポリフッ化ビ
ニリデン樹脂等の微粉末を使用してもよいし、これらを
ポリオレフィン系樹脂粉末と組み合わせて用いてもよ
い。
【0057】上記有機系潤滑剤の代わりに、グラファイ
ト、二硫化モリブデン等の無機系の固体潤滑剤を用いる
ことも考えられるが、この場合には樹脂液との相溶性が
不十分で貯蔵安定性に乏しく、また皮膜形成後の潤滑性
も劣るので好ましくない。
【0058】有機系潤滑剤の添加量は、樹脂皮膜の主成
分である複合化樹脂に対して1〜30重量%の範囲であ
る。1重量%より少ないと潤滑性が発揮されないし、3
0重量%を超えると樹脂皮膜の強度が低下しやすくな
り、塗膜密着性が低下してしまう。さらに好ましい範囲
は2〜15重量%である。2重量%以上であれば潤滑性
が特に良好であり、15重量%以下であれば塗膜密着性
が特に良好である。
【0059】上記シリカ粒子および有機系潤滑剤の合計
量は複合樹脂に対して60重量%以下である必要があ
る。これは、60重量%を超えると樹脂皮膜の主成分で
ある複合化樹脂のもつ下地との密着力が低下し、耐黒変
性が低下してしまうからである。さらに、60重量%を
超えると樹脂皮膜の主成分である複合化樹脂のもつ上塗
塗料との密着力も低下してしまい、塗料密着性も低下し
てしまうからである。
【0060】このようなシリカ微粒子および有機系潤滑
剤の含有量の制限から、エチレン系アイオノマー樹脂と
エポキシ基含有化合物との反応物と、エポキシエマルジ
ョンとの混合物の複合化樹脂に対する割合は、必然的に
40〜98重量%となる。
【0061】本発明において、樹脂皮膜の厚さは0.1
〜5μmの範囲、好ましくは、0.3〜3μmの範囲で
ある。0.1μm未満では樹脂皮膜の耐黒変性を抑制す
るためのバリヤー効果を全く期待することができないば
かりか、ハンドリング等による擦傷の発生を防止するこ
とができず好ましくない。また、5μmを超えると厳し
い加工を受けた際に被膜剥離を招き易くなるため好まし
くない。
【0062】なお、本発明における樹脂皮膜中には、必
要に応じて、金属酸化物、顔料や染料、その他各種機能
付与のための添加剤を加えても構わない。
【0063】複合化樹脂皮膜の形成は、例えば以下の方
法によって行うことができる。すなわち、まず、上記複
合樹脂を主成分とする組成物の塗液を、ロールコータ
ー、カーテンロールコーター、またはスプレーなどの公
知の塗布方法によって塗布するか、またはこれらの塗液
中にクロメート処理を施した亜鉛系めっき鋼板を浸漬し
た後ロールや空気吹付けによって付着量をコントロール
して膜を形成し、次いでこれを乾燥させるといった方法
である。乾燥は常温で行っても構わないが、通常、熱風
炉や誘導加熱装置などにより鋼板の温度が約60℃以上
に、好ましくは80〜200℃になるように加熱するこ
とによってなされる。
【0064】本発明において用いられる亜鉛系めっき鋼
板としては、黒変発生が特に懸念される電気純亜鉛めっ
き鋼板、電気めっき法または溶融めっき法によってめっ
き層が形成された他の亜鉛系めっき鋼板、および亜鉛系
合金めっき鋼板が挙げられる。
【0065】クロメート処理層は、鋼板に優れた耐食性
を付与すると共に、樹脂皮膜の形成を容易ならしめる効
果を有する。この層を形成するクロメート処理として
は、反応型、塗布型、電解型等公知のクロメート処理に
よればよいが、クロム付着量が金属クロム換算で1〜2
00mg/m2 であるクロメート層を形成する必要があ
る。付着量が1mg/m2 未満では耐食性が不十分であ
り、また200mg/m2 を超えると、その量に見合っ
た耐食性向上効果を得ることができないのみならず、鋼
板の変形を伴う曲げ加工などが施された場合に、クロメ
ート処理層の凝集破壊が発生しやすくなる。クロメート
処理層のより好ましい付着量は、金属クロム換算で、鋼
板片面当たり10〜100mg/m2 の範囲内である。
【0066】具体的例を挙げるならば、反応型クロメー
ト処理液の組成としては、金属クロム換算で1〜100
g/lの水溶性クロム化合物と、0.2〜20g/lの
硫酸とを主成分とするものが挙げられ、かつ全クロム中
の3価クロムの含有量が50重量%以下、好ましくは2
0〜35重量%以下であって、必要に応じてこれらに適
量の金属イオン、例えばZn2+、Co2+,Fe3+等と他
の鉱酸例えばりん酸、フッ酸等を加えたものであっても
よい。
【0067】塗布型クロメート処理液の具体例として
は、上記反応型クロメート処理と同様の組成の液中に、
分子中に多量のカルボキシル基を含有する水溶性でかつ
上記反応型クロメート処理液と同様の組成の液と相溶性
のある有機高分子樹脂を添加し、pHを2.0〜3.5
に調整したものが挙げられる。この有機高分子として
は、平均分子量1000〜500000であることが好
ましい。その添加量は一般に樹脂分に換算して0.02
〜30g/lの範囲である。
【0068】いずれにしても、第1層としてのクロメー
ト層の付着量は、上述したように、金属クロム換算で1
〜200mg/m2 の範囲であればよい。
【0069】
【実施例】以下、比較例と対比しつつこの発明の実施例
について説明する。なお、以下の説明中「部」及び
「%」は、特に明記している場合(モル%、中和度)を
除き、重量基準によるものとする。
【0070】(複合化樹脂の合成例)まず、ベース樹脂
の合成法から述べる。部分的に中和されたエチレン−メ
タクリル酸共重合体(メタクリル酸含有量15%、中和
度50%、中和剤:水酸化ナトリウム)100gを25
0℃で溶融してエチレン系アイオノマー樹脂溶融物を調
製した。
【0071】このエチレン系アイオノマー樹脂溶融物
を、水300gを装入して170℃に加熱した内容積1
リットルの耐圧ホモミキサーに、1000rpmで攪拌
しながら、約2時間かけて装入した。さらに、30分間
攪拌しながら室温まで冷却し、エチレン系アイオノマー
樹脂の水分散体を得た。得られたエチレン系アイオノマ
ー樹脂の水分散体の樹脂濃度は25%、粘度は600c
ps(25℃)、平均粒径は1μm以下であった。
【0072】次に、テトラエチレングリコールジグリシ
ジルエーテルの50重量%の水溶液を調製し、この水溶
液を上で得たエチレン系アイオノマー樹脂の水分散体1
00gに対して、5.0g添加し、撹拌することによっ
てエチレン系アイオノマー樹脂とエポキシ基含有化合物
の反応物の水分散体を得た。
【0073】次に、分子量3500のエポキシ骨格を有
するエポキシエマルジョンの40重量%の水溶液を調製
し、この水溶液をエチレン系アイオノマー樹脂とエポキ
シ基含有化合物との反応物の水分散体100gに対し
て、62.5g添加し、攪拌することによって水分散型
樹脂液Aを得た。
【0074】また、共重合体の種類、エポキシ基含有化
合物の種類、エポキシエマルジョンの種類、エチレン系
アイオノマー樹脂とエポキシ基含有化合物との反応物に
対するエポキシエマルジョンの比率が異なる樹脂液も基
本的に同様な条件で合成した。
【0075】なお、比較例に使用するベース樹脂の異な
る樹脂についても同様にして合成した。また、樹脂につ
いては、後述する表1〜3に明示した。
【0076】これらの樹脂にシリカ微粒子と有機系潤滑
剤を加えて複合化樹脂組成物を得た。以下に一例を示
す。
【0077】樹脂A100部をフラスコ中に装入し、常
温で十分に攪拌しながら、ヒュームドシリカ(日本アエ
ロジル製:商品名アエロジル300、一次粒径7nm)
3.4gと、有機潤滑剤として、分子量2000のポリ
エチレン微粉末(粒径0.6μm)3.4gを約10分
間に徐々に加えて、複合化樹脂組成物を得た。
【0078】(実施例1〜43)板厚0.8mm、めっ
き量20g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板のめっき層上
に、反応型クロメート処理または塗布型クロメート処理
を施した後、乾燥することによって付着量10〜200
mg/m2 のクロメート処理層を形成した。
【0079】次いで、クロメート処理層上に、前記合成
例で合成した各種複合化樹脂組成物をロールコーターに
よって塗布し、その後誘導加熱装置によって鋼板の温度
が140℃に到達するまで加熱して塗液を乾燥させ、樹
脂皮膜を形成した。各実施例における条件を表1に示
す。
【0080】(比較例1〜77)これら比較例では、実
施例と同一の電気亜鉛めっき鋼板を用い、めっき層上に
反応型クロメート処理により付着量25mg/m2 のク
ロメート処理層を形成した。クロメート処理層上に、本
発明の範囲外の各種樹脂皮膜を表2,3に示す条件で形
成した。
【0081】なお、表1〜3中のクロメート付着量は、
金属クロム換算量を表示し、また、エポキシ基含有化合
物の含有量はエチレン系アイオノマー樹脂100重量部
に対する重量部で表示し、また、エポキシエマルジョン
の比率はエチレン系アイオノマー樹脂とエポキシ基含有
化合物との反応物と、エポキシエマルジョンとの重量比
率で表示し、さらに、樹脂皮膜中のシリカ含有量および
有機系潤滑剤の含有量は、樹脂、シリカ、有機系潤滑剤
の合計を100%とした場合の%で表示している。
【0082】また、表1〜3中、樹脂の種類の欄の記号
は以下に示すとおりである。
【0083】 A:エチレン−メタクリル酸共重合体、Na中和アイオ
ノマー(合成例の樹脂A) B:エチレン−アクリル酸共重合体、Na中和アイオノ
マー C:エチレン−フマル酸共重合体、Na中和アイオノマ
ー D:エチレン−イタコン酸共重合体、Na中和アイオノ
マー E:エチレン−マレイン酸共重合体、Na中和アイオノ
マー F:エチレン−アクリル酸共重合体 G:アクリル樹脂エマルジョン H:水溶性ウレタン樹脂 I:酢酸ビニル−アクリル酸共重合体 J:エチレン−酢酸ビニル共重合体 また、エポキシ基含有化合物の欄の記号は以下のとおり
である。
【0084】 a:テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル b:2,2−ビス(4´−グリシジルオキシフェニル)
プロパンジリシジルエーテル c:アジピン酸ジグリシジルエステル d:フタル酸ジグリシジルエステル さらに、エポキシエマルジョンの種類の欄の記号は以下
に示すとおりである。
【0085】 aa:分子量3500のエポキシ骨格を有するエポキシ
エマルジョン bb:分子量4500のエポキシ骨格を有するエポキシ
エマルジョン cc:分子量300のエポキシ骨格を有するエポキシエ
マルジョン dd:分子量2000のエポキシ骨格を有するエポキシ
エマルジョン このようにして得られた実施例および比較例の有機複合
被覆鋼板について、耐黒変性、耐食性、塗料密着性およ
び潤滑性を以下に示す試験方法によって評価した。その
結果を表4〜6に示す。
【0086】(1)耐黒変性 50℃、95%RHの高温湿潤環境に60日間放置し、
試験前後の鋼板のL値(JIS Z8730 6.6.
2(1980),ハンターの色差式における明度指数)
の変化から耐黒変性を評価した。評価基準は以下のとお
りである。
【0087】 ◎: L値変化が1未満 ○: L値変化が1〜3 Δ: L値変化が3〜5 ×: L値変化が5を超える。
【0088】(2)耐食性 JIS Z2371に基づく塩水噴霧試験を実施し、2
40時間後の白錆発生面積率を測定し、耐食性を評価し
た。評価基準は以下のとおりである。
【0089】 ◎: 10%未満 ○: 10%以上30%未満 Δ: 30%以上50%未満 ×: 50%以上。
【0090】(3)塗料密着性(メラミンアルキッド系
塗料) メラミンアルキッド系塗料(大日本塗料製:デリコン#
700)をスプレーにて30μmの膜厚になるように塗
装し、130℃で30分間焼き付けたサンプルを試験片
とし、沸騰水に30分間浸漬した後碁盤目テープ法(J
IS K5400 8.5.2)に基づいて、1mm×
100の碁盤目を入れ、これをテープ剥離した後の塗料
の状態により塗料密着性を評価した。評価基準は以下の
とおりである。
【0091】 ◎: 全く異常なし ○: はがれ面積が5%未満 Δ: はがれ面積が5%以上、30%未満 ×: はがれ面積が30%以上、50%未満 ××: はがれ面積が50%以上。
【0092】(4)塗料密着性(ポリエステル系粉体塗
料) ポリエステル系粉体塗料を使用し、(3)と同様に評価
を行った。
【0093】(5)塗料密着性(エポキシ系粉体塗料) エポキシ系粉体塗料を使用し、(3)と同様に評価を行
った。
【0094】(6)塗料密着性(アクリル系塗料) アクリル系塗料を使用し、(3)と同様に評価を行っ
た。
【0095】(7)塗料密着性(ウレタン系塗料) ウレタン系塗料を使用し、(3)と同様に評価を行っ
た。
【0096】(8)インク密着性(エポキシ系インク) エポキシ系スクリーンインク(セイコーアドバンス製
#1000)を、10μmの膜厚になるようにシルク印
刷し、120℃で40分間焼き付けたサンプルを試験片
とし、(3)と同様に評価を行った。
【0097】(9)潤滑性 引張り試験機によって、面圧:50kg/cm2 、引き
抜き速度:100m/分の条件で、平板状の試験片を引
き抜き、その際の動摩擦係数を調べて潤滑性を評価し
た。評価基準は以下のとおりである。
【0098】 ◎: 動摩擦係数0.10未満 ○: 動摩擦係数0.10〜0.15未満 Δ: 動摩擦係数0.15〜0.25未満 ×: 動摩擦係数0.25以上。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【0105】表4から明らかなように、実施例1〜43
では、いずれも良好な耐黒変性、耐食性、塗料密着性、
潤滑性を示した。なかでも、ベース樹脂としてエチレン
−メタクリル酸共重合体、Na中和アイオノマーを用い
た実施例1〜32の耐黒変性が特に優れていた。また、
樹脂皮膜層がエチレン系アイオノマー樹脂とエポキシ基
含有化合物との反応物にエポキシエマルジョンを加えた
混合物であること、エポキシ基含有化合物が多価アルコ
ールのジまたはポリジグリシジルエーテルであること、
その含有率がエチレン系アイオノマー樹脂100重量部
に対して0.5〜20重量部であること、エチレン系ア
イオノマー樹脂とエポキシ基含有化合物との反応物と、
エポキシエマルジョンとの比率が、重量比で1/9〜9
/1であること、さらに有機系潤滑剤含有量が2〜15
重量%であることを全て満足する実施例2、3、5〜1
1、13、14、16、20、21、23、26、2
9、30は、耐黒変性、耐食性、上記6種類の塗装系の
塗料密着性、潤滑性の全てが特に優れていることが確認
された。
【0106】これに対して、表5,6から明らかなよう
に、比較例1〜77では耐黒変性、耐食性、塗料密着
性、潤滑性の全てを同時に満足することはできなかっ
た。すなわち、比較例7、8はエポキシ基含有化合物の
含有量がエチレン系アイオノマー樹脂100重量部に対
して1〜30重量部の範囲外であるために、塗料密着性
が劣っていた。比較例23はエポキシエマルジョンを含
有しないために塗料密着性に劣り、比較例24はエポキ
シエマルジョン単独であるために耐黒変性、耐食性に劣
っていた。比較例1、2、9、10、25、26はシリ
カ含有率が本発明の範囲外であるために耐食性、塗料密
着性が劣っていた。比較例5、11、27は、樹脂膜厚
が下限より小さいために耐食性が劣っていた。比較例
6、12、28は樹脂膜厚が上限より厚いために耐黒変
性が劣っていた。比較例13〜22、29〜33では樹
脂の種類が異なるために、耐黒変性、耐食性、塗料密着
性が不十分であった。比較例34〜55はエポキシエマ
ルジョンを含有しないために、6種類の塗料系のうち塗
料密着性が優れていないものが存在した。また、比較例
56〜77はエポキシ含有化合物との反応がないため
に、やはり6種類の塗料系のうち塗料密着性が優れてい
ないものが存在した。
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、良好な耐食性を維持し
つつ、耐黒変性、塗料密着性に優れ、かつ潤滑性にも優
れた有機複合被覆鋼板が提供される。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−39725(JP,A) 特開 平6−246229(JP,A) 特開 平5−286072(JP,A) 特開 平4−268081(JP,A) 特開 平4−61966(JP,A) 特開 平5−220445(JP,A) 特開 平7−52310(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/00 - 15/20 B05D 7/14 - 7/18 C23C 28/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛または亜鉛系合金めっき層が施され
    た鋼板と、該鋼板のめっき層上に形成され、金属クロム
    換算で1〜200mg/m2 の範囲の付着量を有するクロ
    メート処理層と、クロメート処理層上に厚さ0.1ない
    し5μmの範囲で形成された樹脂皮膜とを具備し、 前記樹脂皮膜が、(A)エチレン系アイオノマー樹脂と
    エポキシ基含有化合物の反応物と、エポキシエマルジョ
    ンとの混合物:40〜98重量%、(B)シリカ微粒
    子:1〜40重量%、(C)有機系潤滑剤:1〜30重
    量%からなる複合化樹脂を主成分とすることを特徴とす
    る有機複合被覆鋼板。
  2. 【請求項2】 前記樹脂皮膜におけるエチレン系アイオ
    ノマー樹脂中の不飽和カルボン酸が、メタクリル酸であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の有機複合被覆鋼
    板。
  3. 【請求項3】 前記樹脂皮膜におけるエポキシ基含有化
    合物が多価アルコールのジまたはポリグリシジルエーテ
    ルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載の有機複合被覆鋼板。
  4. 【請求項4】 前記樹脂皮膜におけるエチレン系アイオ
    ノマー樹脂とエポキシ基化合物との反応物において、エ
    ポキシ基含有化合物の割合がエチレン系アイオノマー樹
    脂100重量部に対して0.1〜30重量部であること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に
    記載の有機複合被覆鋼板。
  5. 【請求項5】 前記樹脂皮膜におけるエポキシエマルジ
    ョンが分子量2000〜5000の高分子エポキシ樹脂
    を基本骨格とし、アクリル樹脂の親水性を利用してエマ
    ルジョン化したものであることを特徴とする請求項1な
    いし請求項4のいずれか1項に記載の有機複合被覆鋼
    板。
  6. 【請求項6】 前記樹脂皮膜におけるエチレン系アイオ
    ノマー樹脂とエポキシ基含有化合物の反応物と、エポキ
    シエマルジョンとの比率が、重量比で1/9〜9/1で
    あることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれ
    か1項に記載の有機複合被覆鋼板。
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