JP3216527U - 工作機械の主軸装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】センタースルー方式のエアーブローを用いる工作機械において、工具のクランプ及びアンクランプの動作のタイミング如何に拘わらず、十分なエアーブロー効果が得られる工作機械の主軸装置を提供する。【解決手段】主軸部品120と工具ツール14双方の軸心部にそれぞれ供給孔120Gが形成され、双方の供給孔120Gを介して工具ツール14の先端側にクーラント及びエアーを供給する工作機械において、工具ツール14と主軸部品120とを連結自在に把持する把持手段150を備える主軸装置100であって、主軸部品120の軸心部に形成される供給孔120Gを該主軸部品120の先端側から封止する封止部材120Kと、主軸部品120の軸心部に形成される供給孔120Gから、封止部材120Kの存在に拘わらず、主軸部品120と工具ツール14の連結部160へ連通するバイパス供給路120BYとを有する。【選択図】図4

Description

本考案は、マシニングセンタ等の工作機械の主軸装置に関し、特に、いわゆるセンタースルー方式のエアーブロー装置を備えた主軸装置に関する。
従来、加工用工作機械において、主軸に配設される工具の軸心部を貫通して形成された供給孔を介して、前記工具の先端部にクーラントとして切削液を供給する、いわゆるセンタースルークーラントに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−334738号公報
しかしながら、特許文献1記載の従来例では、センタースルー構造でクーラント(切削液)を供給するものであるが、主軸テーパ面と工具保持部等への切粉の侵入等を防止するエアーブロー技術についての記載は無く、主軸軸受部等への切粉の侵入等を防止できない。
そこで、センタースルー構造でクーラント及びエアーの両方を供給する技術が提案されている。この技術では、例えば、主軸部品と工具ツール双方の軸心部を連通して形成される共通の供給孔を介して、クーラントだけでなくエアーも供給される。また、クーラントとエアーの供給の切り替えは、主軸の基端側に設けられる切り替え装置を介して行われ、所定のタイミングでクーラント又はエアーが選択的に供給される。この技術を用いることにより、比較的簡単な構造でクーラント及びエアーの両方を、工具の軸心部を通してセンターから供給することができる。また、主軸部品の軸心部に形成される供給孔を介して、テーパ状の工具ツールのテーパ面にもエアーを吹き付け、切粉や残留クーラントを除去することができる。
しかしながら、この技術を用いた場合にも、以下のような課題が存在することが分かった。例えば、主軸部品がテーパ状の工具ツールをクランプしている状態でクーラントを供給しつつ加工を行い、加工が終了し、主軸部品がテーパ状の工具ツールをアンクランプするまでの間に、主軸部品の先頭面と工具ツールの基端面とが密着するタイミングが生じ、この時にはエアーは工具の軸心部を通してセンターから噴き出るが、工具ツールのテーパ面には回らなくなってしまう場合がある。この結果、例えば、工具ツールのテーパ面に付着した切粉や残留したクーラントを除去できない場合がある。このような現象を残したまま、以降の加工が行われると、フィルタリングによってもなおクーラント内に残留する微小な切り粉等により工具ツールのテーパ面が傷ついてしまう虞がある。そこで、工具のクランプ及びアンクランプの動作のタイミング如何に拘わらず、十分なエアーブロー効果が得られる技術の開発が切望されている。
本考案は上述のような事情から為されたものであり、その目的は、センタースルー方式のエアーブローを用いる工作機械において、工具のクランプ及びアンクランプの動作のタイミング如何に拘わらず、十分なエアーブロー効果が得られる技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本考案は、主軸部品と工具ツール双方の軸心部にそれぞれ供給孔が形成され、前記双方の供給孔を介して前記工具ツールの先端側にクーラント及びエアーを供給する工作機械の前記工具ツールと前記主軸部品とを連結自在に把持する把持手段を備える主軸装置において、 前記主軸部品の軸心部に形成される供給孔を該主軸部品の先端側から封止する封止部と、前記主軸部品の軸心部に形成される供給孔から、前記封止部の存在に拘わらず、前記主軸部品と前記工具ツールの連結部へ連通するバイパス供給路とを有し、前記工具ツールは、前記主軸部品との連結側が縮径するテーパ状に形成され、前記封止部は、前記主軸部品とは別体の封止部材を前記主軸部品の先端側から嵌め込むことにより形成される主軸装置であって、前記バイパス供給路は、前記主軸部品と前記把持手段内に形成される孔により構成されることを特徴とする。かかる構成によれば、主軸部品が工具ツールをアンクランプするまでの間に、主軸部品の先頭面と工具ツールの基端面とが密着するタイミングが生じても、この時にも、バイパス供給路を介してエアーは工具ツールの周囲にも十分に供給されるので、該周囲にも十分にエアーを吹き付け、切粉や残留クーラントを除去することができる。
また、前記工具ツールは、前記主軸部品との連結側が縮径するテーパ状に形成されているので、上述した主軸部品の先頭面と工具ツールの基端面とが密着するタイミングが生じても、この時にも、バイパス供給路を介してエアーは工具ツールのテーパ面にも供給されるので、該テーパ面にもエアーを吹き付け、切粉や残留クーラントを除去することができる。
更に、前記封止部は、前記主軸部品とは別体の封止部材を前記主軸部品の先端側から嵌め込むことにより形成されるので、主軸部品に貫通孔を形成したものを別体の封止部材により簡単に封止できるので、本考案の主軸装置を比較的容易に製作することができる。
また、前記バイパス供給路は、前記主軸部品と前記把持手段内に90°間隔で分割配置される4つの経路により構成されるのが好適である。かかる構成によれば、上述した主軸部品の先頭面と工具ツールの基端面とが密着するタイミングが生じても、この時にも、90°間隔で分割配置される4つの経路によりエアーは工具ツールの周囲(テーパ面)に均等に供給されるので、該周囲(テーパ面)にエアーを均等に吹き付けることができ、該周囲(テーパ面)の一部に、切粉やクーラントが残留するのを有効に防止することができる。
また、本考案は、主軸部品と工具ツールの双方の軸心部にそれぞれ供給孔が形成され、前記双方の供給孔を介して前記工具ツールの先端側にクーラント及びエアーを供給する工作機械の前記工具ツールと前記主軸部品とを連結自在に把持する把持手段を備える主軸装置であって、前記軸心部に供給孔が形成された主軸部品の先端側を封止し、前記主軸部品の軸心部に形成される供給孔から、前記封止に拘わらず、前記主軸部品と前記工具ツールの連結部へ連通するバイパス供給路を加工した主軸装置なので、長尺の主軸部品の両端面からそれぞれ中央まで貫通孔を形成したものを封止した上で、バイパス供給路を形成することができるので、比較的容易に製作することができる。
ここで、前記バイパス供給路は、前記主軸部品を追加工することにより形成されたものであっても良い。かかる構成によれば、既存のセンタースルー構造の主軸装置を、追加工により簡単に本考案の主軸装置に変更することができる。従って、既存のセンタースルー構造の主軸装置を廃棄することなく活用することができるので、コスト面でも有利である。
本考案によれば、センタースルー方式のエアーブローを用いる工作機械において、工具のクランプ及びアンクランプの動作のタイミング如何に拘わらず、十分なエアーブロー効果が得られる技術を提供することができる。
工作機械としてのマシニングセンタの主軸の先端部の一例を示す図であり、センタースルー時(クランプ時)を示す。 工作機械としてのマシニングセンタの主軸の先端部の一例を示す図であり、エアーブロー時(アンクランプ時)を示す。 (a)乃至(g)は、図1及び図2の例において、クランプ時からアンクランプ時の一連の状態をそれぞれ示す図である。 本考案の一実施形態に係る工作機械の主軸装置の構成を示す図である。 図4に示した工作機械の主軸装置において、バイパス供給路の詳細構造を示す断面図(側面側から見た断面図)である。 図4に示した工作機械の主軸装置において、センタースルー時(クランプ時)を示す。 図4に示した工作機械の主軸装置において、エアーブロー時(アンクランプ時)を示す。 (a)乃至(g)は、図4に示した工作機械の主軸装置において、クランプ時からアンクランプ時の一連の状態をそれぞれ示す図である。
以下、図面を参照して、本考案の実施の形態について詳細に説明する。まず、センタースルー構造でエアーを供給することにより、主軸テーパ面と工具保持部等への切粉の侵入等を防止する技術について、本考案者達が従来より用いている例を挙げて詳しく説明する。図1及び図2は、比較例としての工作機械としてのマシニングセンタの主軸の先端部を示しており、図1は、センタースルー時(クランプ時)、図2は、エアーブロー時(アンクランプ時)をそれぞれ示している。この比較例としての工作機械の主軸装置においても、工具を交換する時に、センタースルーでエアーをブローして切粉等を吹き飛ばして清掃するのは、後述する本考案の実施形態と同様である。
図1及び図2に示すように、この比較例としての工作機械の主軸装置10は、主軸部品12と工具ツール14双方の軸心部にそれぞれ供給孔12G、14Gが形成されている。尚、ここで、工具ツール14は、工具14Aと工具ホルダー14Bから構成され、それぞれの貫通孔から供給孔14Gが形成されている。主軸装置10は、双方の供給孔12G、14Gを介して工具ツール14(工具14A)の先端側にクーラント及びエアーを供給する構造であり、工具ツール14(工具ホルダー14B)と主軸部品12とを連結自在に把持する把持手段としてクランパー15を備えている。
この比較例としての工作機械の主軸装置10では、クーラントとエアーの供給の切り替えは、主軸装置10の基端側に設けられる切り替え装置(図示せず)を介して行われ、所定のタイミングでクーラント又はエアーが選択的に供給される。この技術を用いることにより、比較的簡単な構造でクーラント及びエアーの両方を、工具14Aの軸心部を通してセンターから刃先に供給することができる。また、主軸部品12の軸心部に形成される供給孔12Gを介して、テーパ状の工具ツール14のテーパ面14Tにもエアーを吹き付け、切粉や残留クーラントを除去することができる。
しかしながら、この比較例としての工作機械の主軸装置10では、図1に示すように、主軸部品12がテーパ状の工具ツール14をクランプしている状態でクーラントを供給しつつ加工を行い、加工が終了し、主軸部品12がテーパ状の工具ツール14をアンクランプするまでの間に、図2に示すように、主軸部品12の先頭面12Eと工具ツール14の基端面14Eとが密着するタイミングが生じ、この時にはエアーは工具ツール14の軸心部を通してセンターから噴き出るが、工具ツール14のテーパ面14Tには回らなくなってしまう場合がある。
以下、図3を参照して詳説する。即ち、図3(a)に示すように、加工時クランプ中においては、センタースルーにより、クーラントがまず主軸部品12の先頭面12Eと工具ツール14の基端面14Eとの間に形成される空間(隙間)12Sに供給され、この空間(隙間)12Sから工具ツール14の供給孔14Gに流入し、工具ツール14(工具14A)の先端側(刃先)から噴出する。次に、同図(b)に示すように、工具ツール14を着脱し、アンクランプを開始すると、主軸部品12の先頭面12Eと工具ツール14の基端面14Eとが密着し、双方の供給孔12G、14Gが連通してセンタースルー方式のエアーブローにより、工具ツール14の供給孔14Gから工具ツール14(工具14A)の先端側(刃先)からエアーが噴出する。次に、同図(c)に示すように、工具ツール14を着脱し、アンクランプ中のタイミングでは、まず主軸部品12の先頭面12Eと工具ツール14の基端面14Eとの間に形成される空間(隙間)12Sにエアーが供給され、この空間(隙間)12Sから工具ツール14の供給孔14Gに流入し、工具ツール14(工具14A)の先端側(刃先)からエアーが噴出するが噴出量は少なくなる。一方、エアーは、空間(隙間)12Sか
ら工具ツール14のテーパ面14Tにも少量回り込むが、外部からも流入するエアーが抵抗となり、テーパ面14Tの清掃効果は充分とは言えない。次に、同図(d)に示すように、工具ツール14を完全に外し、工具ツール14無しのアンクランプ中では、主軸部品12の供給孔12Gから直接エアーが噴出するので、出口の径が広いこともあり、噴出するエアーの勢いは弱く、スピンドル18の内周面(テーパ面)18Tの清掃効果も充分とは言えない。更に、図3(e)に示すように、新しい工具ツール140を装着し、アンクランプ中においては、まず主軸部品12の先頭面12Eと工具ツール140の基端面140Eとの間に形成される空間(隙間)12Sにエアーが供給され、この空間(隙間)12Sから工具ツール140の供給孔140Gに流入し、工具ツール140(工具140A)の先端側(刃先)からエアーが噴出するが噴出量は少なくなる。一方、エアーは、空間(隙間)12Sから工具ツール140のテーパ面140Tにも少量回り込むが、外部からも流入するエアーが抵抗となり、テーパ面140Tの清掃効果は充分とは言えない。次に、同図(f)に示すように、工具ツール140を完全に装着し、クランプを開始すると、主軸部品12の先頭面12Eと工具ツール140の基端面140Eとが密着し、双方の供給孔12G、140Gが連通してセンタースルー方式のエアーブローにより、工具ツール140の供給孔140Gから工具ツール140(工具140A)の先端側(刃先)からエアーが噴出する。最後に、図3(g)に示すように、工具ツール140への交換が完了し、加工時クランプ中においては、センタースルーにより、クーラントがまず主軸部品12の先頭面12Eと工具ツール140の基端面140Eとの間に形成される空間(隙間)12Sに供給され、この空間(隙間)12Sから工具ツール140の供給孔140Gに流入し、工具ツール140(工具140A)の先端側(刃先)から噴出する。
このように、比較例としての工作機械の主軸装置10では、例えば、工具ツール14、140のテーパ面14T、140Tや、スピンドル18の内周面(テーパ面)18Tに付着した切粉や残留したクーラントを除去できない場合がある。このような現象を残したまま、以降の加工が行われると、フィルタリングによってもなおクーラント内に残留する微小な切り粉等により工具ツール14等のテーパ面が傷ついてしまう可能性を完全に否定することはできない。そこで、工具ツール14等のクランプ及びアンクランプの動作のタイミング如何に拘わらず、十分なエアーブロー効果が得られる技術の開発が切望されている。
図4は、本考案の一実施形態に係る工作機械の主軸装置の構成を示す図である。本実施形態に係る工作機械の主軸装置100の構成には、上述した比較例としての工作機械の主軸装置10と共通する部分があり、共通する部分には同様の参照符号を付して、その詳しい機能などの説明は省略する。本実施形態に係る工作機械の主軸装置100は、上述した比較例としての工作機械の主軸装置10と異なり、主軸部品120の軸心部に形成される供給孔120Gを該主軸部品120の先端面120E側から封止部材としてのビス120Kを嵌め込むことにより封止している。また、主軸部品120の軸心部に形成される供給孔120Gから、封止部材としてのビス120Kの存在に拘わらず、主軸部品120と工具ツール14の連結部160へ連通するバイパス供給路120BYを有している。かかる構成により、主軸部品120が工具ツール14をアンクランプするまでの間に、主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール14の基端面14Eとが密着するタイミングが生じても、この時にも、バイパス供給路120BYを介してエアーは工具ツール14の周囲(テーパ面14Tの周面)にも十分に供給されるので、該周囲にも十分にエアーを吹き付け、切粉や残留クーラントを除去することができる。尚、本実施形態の主軸装置100においても、クーラントとエアーの供給の切り替えは、主軸装置100の基端側に設けられる切り替え装置(図示せず)を介して行われ、所定のタイミングでクーラント又はエアーが選択的に供給される。また、図4では、主軸部品120と主軸装置100の基端側に設けられるロータリー機構とを回転可能に接続するロータリージョイント200と、主軸装置100の基端側からのエアーブロー経路300を示す。
図5は、バイパス供給路120BYの詳細構造を示す断面図(側面側から見た断面図)である。ここで、図5に示すように、バイパス供給路120BYは、主として、主軸部品120とクランパー150内に90°間隔で分割配置される4つの経路により構成されている。即ち、バイパス供給路120BYは、主として、主軸部品(ドローバー)120内を90°間隔で分割配置される4つの経路120BYaと、クランパー150内を90°間隔で分割配置される4つの経路120BYbとにより構成されている。4つの経路120BYaのうち、図5では、斜め上下に伸びる2つの経路と、図の裏側方向に伸びる1つの経路(断面図では円形に表れる)のみ示している。尚、ここで、「主として」としているのは、バイパス供給路120BYは、4つの経路120BYa及び120BYbだけに限られず、途中の空間(隙間)120BYsをも含んで構成されるからである。尚、150Fは、クランパー150のフック部を示している。
ここで、クランパー150は、工具ツール14等をクランプしアンクランプする部材であり、この機能を達成するために4分割、3分割等に先端側が割れた構成となっている。この割れた先端部分がフック部150Fを支点として縮径し、或いは拡径するようにして工具ツール14等をクランプしアンクランプするものである。バイパス供給路120BYの4つの経路120BYbは、この先端の割れ目をそのまま利用して経路としている。従って、従来の主軸装置に備わる先端側が割れた構成のクランパーをそのまま利用できるという利点があり、その場合には、主軸部品120のみの追加工で本考案品を構成できる。また、本実施形態では、バイパス供給路120BYを、主として4つの経路120BYaと4つの経路120BYbとにより構成したが、主軸部品(ドローバー)内の経路120BYaは、少なくとも1つ形成されていれば良いし、或いは2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の複数設けても良い。一方、クランパー150内の経路120BYbの数も任意に設定可能である。但し、例えば、既存の主軸装置のクランパーが2分割、3分割、4分割というような先端が割れた構成であれば、その仕様に合わせて、主軸部品(ドローバー)内の経路120BYaも、2つ、3つ、4つという対応した数にすることが好適である。
さて、本実施形態に係る工作機械の主軸装置100では、図6に示すように、主軸部品120がテーパ状の工具ツール14をクランプしている状態でクーラントを供給しつつ加工を行い、加工が終了し、主軸部品120がテーパ状の工具ツール14をアンクランプするまでの間に、図7に示すように、主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール14の基端面14Eとが密着するタイミングが生じても、この時にも、バイパス供給路120BYを介してエアーは工具ツール14のテーパ面14Tにも供給されるので、該テーパ面14Tにもエアーを吹き付け、切粉や残留クーラントを除去することができる。
また、主軸部品120の先端面120E側は、封止部材としてのビス120Kにより封止されているが、図6に示すクランプ時においては、バイパス供給路120BYを介してエアーは、まず主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール14の基端面14Eとの間に形成される空間(隙間)120Sに供給され、この空間(隙間)120Sから工具ツール14の供給孔14Gに流入し、工具ツール14(工具14A)の先端側(刃先)から噴出するので、問題は無い。尚、図7に示すように、主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール14の基端面14Eとが完全に密着するタイミングはともかく、エアーブロー時(アンクランプ時)の多くの状態において、バイパス供給路120BYを介してエアーは、まず主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール14の基端面14Eとの間に形成される空間(隙間)120Sに供給され、この空間(隙間)120Sから工具ツール14の供給孔14Gに流入し、工具ツール14(工具14A)の先端側(刃先)から噴出するので、問題は無い。
以下、図8を参照して詳説する。即ち、図8(a)に示すように、加工時クランプ中においては、センタースルーにより、クーラントがまず主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール14の基端面14Eとの間に形成される空間(隙間)120Sに供給され、この空間(隙間)120Sから工具ツール14の供給孔14Gに流入し、工具ツール14(工具14A)の先端側(刃先)から噴出する。次に、同図(b)に示すように、工具ツール14を着脱し、アンクランプを開始すると、主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール14の基端面14Eとが密着すると、双方の供給孔120G、14Gは、主軸部品120の先端面120E側が封止部材としてのビス120Kにより封止されているので、相互に連通することは無い。しかし、バイパス供給路120BYを介してエアーは、まず主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール14の基端面14Eとの間に形成される空間(隙間)120Sに供給され、この空間(隙間)120Sから工具ツール14の供給孔14Gに流入し、工具ツール14(工具14A)の先端側(刃先)から少量でも噴出するので、問題は無い。次に、同図(c)に示すように、工具ツール14を着脱し、アンクランプ中のタイミングでは、まず主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール14の基端面14Eとの間に形成される空間(隙間)120Sにエアーが供給され、この空間(隙間)120Sから工具ツール14の供給孔14Gに流入し、工具ツール14(工具14A)の先端側(刃先)からエアーが噴出するが噴出量は少なくなる。一方、エアーは、バイパス供給路120BYが主軸部品120とクランパー150内に90°間隔で分割配置される4つの経路により構成されているので、むしろ空間(隙間)120Sから工具ツール14のテーパ面14Tに多く回り込み、テーパ面14Tの清掃効果が充分に得られる。次に、同図(d)に示すように、工具ツール14を完全に外し、工具ツール14無しのアンクランプ中では、主軸部品120の供給孔120Gからバイパス供給路120BYを介してスピンドル18内にエアーが噴出するので、出口の径が広いこともあり、噴出するエアーの勢いは弱く、スピンドル18の内周面(テーパ面)18Tの清掃効果も充分とは言えない。更に、図8(e)に示すように、新しい工具ツール140を装着し、アンクランプ中においては、まず主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール140の基端面140Eとの間に形成される空間(隙間)120Sにエアーが供給され、この空間(隙間)120Sから工具ツール140の供給孔140Gに流入し、工具ツール140(工具140A)の先端側(刃先)からエアーが噴出するが噴出量は少なくなる。一方、エアーは、バイパス供給路120BYが主軸部品120とクランパー150内に90°間隔で分割配置される4つの経路により構成されているので、むしろ空間(隙間)120Sから工具ツール140のテーパ面140Tに多く回り込み、テーパ面140Tの清掃効果が充分に得られる。次に、同図(f)に示すように、工具ツール140を完全に装着し、クランプを開始すると、主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール140の基端面140Eとが密着すると、双方の供給孔120G、140Gは、主軸部品120の先端面120E側が封止部材としてのビス120Kにより封止されているので、相互に連通することは無い。しかし、バイパス供給路120BYを介してエアーは、まず主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール140の基端面140Eとの間に形成される空間(隙間)120S
に供給され、この空間(隙間)120Sから工具ツール140の供給孔140Gに流入し、工具ツール140(工具140A)の先端側(刃先)から少量でも噴出するので、問題は無い。最後に、図8(g)に示すように、工具ツール140への交換が完了し、加工時クランプ中においては、センタースルーにより、クーラントがまず主軸部品120の先頭面120Eと工具ツール140の基端面140Eとの間に形成される空間(隙間)120Sに供給され、この空間(隙間)120Sから工具ツール140の供給孔140Gに流入し、工具ツール140(工具140A)の先端側(刃先)から噴出する。このように、本実施形態の工作機械の主軸装置100では、例えば、工具ツール14、140のテーパ面14T、140Tや、スピンドル18の内周面(テーパ面)18Tに付着した切粉や残留したクーラントを十分に除去することができる。従って、フィルタリングによってもなおクーラント内に残留する微小な切り粉等により工具ツール14等のテーパ面が傷ついてしまうのを有効に防止することができる。このように、本実施形態の工作機械の主軸装置100では、工具ツール14等のクランプ及びアンクランプの動作のタイミング如何に拘わらず、十分なエアーブロー効果が得られるここで、本考案の第2の様相としての実施形態である、上記主軸装置100の製作方法について説明しておく。主軸装置100は、上述したように、主軸部品120と工具ツール14、140の双方の軸心部にそれぞれ供給孔120G、14G、140Gが形成され、双方の供給孔120G、14G、140Gを介して工具ツール14、140の先端側にクーラント及びエアーを供給する工作機械において、工具ツール14、140と主軸部品120とを連結自在に把持する把持手段(としてのクランパー150)を備える主軸装置であり、その主軸装置100の製作方法は、上記軸心部に供給孔120Gが形成された主軸部品120の先端側を封止する工程と、主軸部品120の軸心部に形成される供給孔120Gから、上記封止に拘わらず、主軸部品120と工具ツール14、140の連結部160へ連通するバイパス供給路120BYを加工する工程とを有している。かかる製作方法によれば、長尺の主軸部品120の両端面からそれぞれ中央まで貫通孔を形成したものを封止した上で、バイパス供給路120BYを形成することができるので、本考案の主軸装置を比較的容易に製作することができる。ここで、前記バイパス供給路120BYの加工工程は、主軸部品120を追加工することにより行われるようにしても良い。このような追加工により構成される製作方法によれば、既存のセンタースルー構造の主軸装置を、追加工により簡単に本考案の主軸装置に変更することができる。従って、既存のセンタースルー構造の主軸装置を廃棄することなく活用することができるので、コスト面でも有利である。尚、上記の追加工は、主軸部品120を放電加工することにより行うことができる。このような放電加工により構成される製作方法によれば、焼き入れ等により堅く成形された既存のセンタースルー構造の主軸部品にも、バイパス供給路120BYを形成し易くなる。
本考案によれば、センタースルー方式のエアーブローを用いる工作機械において、工具のクランプ及びアンクランプの動作のタイミング如何に拘わらず、十分なエアーブロー効果が得られる技術を提供することができる。
以上の説明では、封止部は主軸部品120とは別体の封止部材としてのビス120Kを主軸部品120の先端面120E側から嵌め込むことにより形成されるようにしているので、主軸部品に貫通孔を形成したものを別体の封止部材により簡単に封止できるので、本考案の主軸装置を比較的容易に製作することができる。特に、長尺の主軸部品の両端面からそれぞれ中央まで貫通孔を形成したものを封止した上で、バイパス供給路を形成することができるので、本考案の主軸装置を比較的容易に製作することができる。また、既存のセンタースルー構造の主軸装置を、追加工により簡単に本考案の主軸装置に変更することができる。従って、既存のセンタースルー構造の主軸装置を廃棄することなく活用することができるので、コスト面でも有利である。しかしながら、主軸部品(スピンドル)の長短に拘わらず、主軸部品120の基端面(図示せず)から先端付近まで非貫通孔を形成することで、封止部を形成しても良い。
以上に述べた実施形態では、本考案をマシニングセンタの主軸装置に適用したが、これに限られないのは、勿論である。本考案は、例えば、FMSライン等の工作機械等に広く適用することができる。
10, 100 主軸装置、 14, 140 工具ツール、14E, 140E 基端面、 14T, 140T テーパ面、12, 120 主軸部品、 14G, 140G, 12G, 120G, 供給孔、12E, 120E 先端面、120K 封止部材(ビス)、120BY バイパス供給路、 15, 150 把持手段(クランパー)、160 連結部

Claims (3)

  1. 主軸部品と工具ツール双方の軸心部にそれぞれ供給孔が形成され、前記双方の供給孔を介して前記工具ツールの先端側にクーラント及びエアーを供給する工作機械の前記工具ツールと前記主軸部品とを連結自在に把持する把持手段を備える主軸装置において、 前記主軸部品の軸心部に形成される供給孔を該主軸部品の先端側から封止する封止部と、前記主軸部品の軸心部に形成される供給孔から、前記封止部の存在に拘わらず、前記主軸部品と前記工具ツールの連結部へ連通するバイパス供給路とを有し、前記工具ツールは、前記主軸部品との連結側が縮径するテーパ状に形成され、前記封止部は、前記主軸部品とは別体の封止部材を前記主軸部品の先端側から嵌め込むことにより形成される主軸装置であって、前記バイパス供給路は、前記主軸部品と前記把持手段内に形成される孔により構成されることを特徴とする工作機械の主軸装置。
  2. 前記バイパス供給路は、前記主軸部品と前記把持手段内に90°間隔で分割配置される4つの経路により構成されることを特徴とする請求項1に記載の工作機械の主軸装置。
  3. 前記バイパス供給路は、前記主軸部品を追加工することにより形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械の主軸装置。
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