JP3216509U - 手袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】手袋の内側で菌が繁殖しにくく、高い抗菌性を有する手袋を提供する。【解決手段】手袋100は、不織布で構成された手袋本体110と、手袋本体110の内側の表面の少なくとも一部に配置された銅−錫系合金層120とを有する。【選択図】図1

Description

本考案は、手袋に関する。
手は、足と並んで人間の体の中でも末端部分にあるため、比較的、血行が悪く、肌が乾燥する場合が多い。特に冬場などは、乾燥しやすいことから、手のひらや手の甲、指先などにあかぎれなどが生じやすい。このように乾燥した手肌やあかぎれが生じた手肌を、血行が良く、うるおいのある手肌に戻すため、睡眠時などに、クリームや化粧水を手に塗った状態で装着するスキンケア用の手袋が用いられることがある。また、アトピー性疾患などの湿疹を有する手肌を治療するために、睡眠時に、薬用クリームなどを手に塗った状態で装着するスキンケア用の手袋が用いられることがある。
そのようなスキンケア用の手袋としては、特許文献1では、手の形状を有する2枚の合成樹脂製の不織布を積層し、当該積層された2枚の不織布の輪郭部を互いに溶着させた不織布手袋が開示されている。
また、特許文献2では、溶剤に対する浸透性を有する2つの層と、それらの間に配置された活性剤を含む接着マトリックスとを有する複合構造を有するシート2枚を積層し、当該積層されたシートの輪郭部を、ヒートシールや接着剤、縫製などにより貼り合わせたトリートメント手袋が開示されている。活性剤は、ビタミンC、湿潤剤、コラーゲン、グリセリン、抗菌剤などであり、これらの成分が、装着時に手袋の内側の表面に放出されることで、手肌を保護できるとされている。
また、特許文献3では、手の平片と、手の甲片とを積層し、当該積層物の輪郭を貼り合わせた手袋が開示されている。手の平片と甲片は、いずれも表面に、生物活性剤を含むゲル状エラストマー組成物が形成された布材料で構成され、ゲル状エラストマー組成物が手袋の内側となるように構成されている。生物活性剤は、皮膚軟化剤、ビタミン、保湿剤、医薬的活性剤、美容的活性剤、殺菌剤などであり、これらの成分が、手袋の内側のゲル状エラストマー組成物から放出されることで、手肌を保護できるとされている。
特開2013−72146号公報 特開2004−283614号公報 特開2012−502108号公報
このように、特許文献1〜3の手袋では、一定の保湿効果または活性成分による一定のトリートメント効果は得られると考えられる。また、特許文献2および3の手袋では、活性成分として抗菌剤を含む場合、一定の抗菌効果または殺菌効果も得られると考えられる。しかしながら、特許文献2および3の手袋では抗菌効果が十分でなく、使用する間に手袋の内側で菌が繁殖しやすく、衛生的ではない場合があった。
本考案は、上記事情を鑑みてなされたものであり、手袋の内側で菌が繁殖しにくく、高い抗菌性を有する手袋を提供することを目的とする。
[1] 不織布で構成された手袋本体と、前記手袋本体の内側の表面の少なくとも一部に配置された銅−錫系合金層とを有する、手袋。
[2] 前記銅−錫系合金層は、銅と錫を50:50〜95:5の原子比で含む、[1]に記載の手袋。
[3] 前記銅−錫系合金層の厚みは、5〜25nmである、[1]または[2]に記載の手袋。
[4] 前記手袋本体は、掌部、甲部、および指部を有し、前記銅−錫系合金層は、前記掌部、前記甲部および前記指部の内側の表面に配置されている、[1]〜[3]のいずれかに記載の手袋。
[5] 前記銅−錫系合金層が配置された不織布の水蒸気透過度は、5000〜12000g/(m・24h)である、[1]〜[4]のいずれかに記載の手袋。
[6] 前記手袋は、前記不織布で構成された基材層と、その表面に配置された前記銅−錫系合金層とを有する2つの複合シートが、前記銅−錫系合金層が向かい合うように積層されてなる積層物の外周部の一部が接合されたものである、[1]〜[5]のいずれかに記載の手袋。
[7] 前記接合は、ヒートシール、接着剤または縫製により行われている、[6]に記載の手袋。
[8] スキンケア用手袋である、[1]〜[7]のいずれに記載の手袋。
本考案によれば、手袋の内側で菌が繁殖しにくく、高い抗菌性を有する手袋を提供することができる。
図1Aは、本考案の実施の形態に関する手袋の斜視図であり、図1Bは、図1Aの点線で囲んだ部分の部分拡大断面図である。 図2は、抗菌性試験の方法を示す模式図である。
以下、本考案の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
1.手袋
図1Aは、本考案の実施の形態に係る手袋100の斜視図である。図1Bは、図1Aの点線で囲んだ部分の部分拡大断面図である。なお、図1Aは、手袋100を構成する複合シート100Aの断面の状態を見やすくするために、一部を切り欠いた状態を示している。
図1AおよびBに示されるように、本考案の実施の形態に係る手袋100は、手袋本体110と、その内側の表面の少なくとも一部に配置された銅−錫系合金層120と、を有する。
1−1.手袋本体110
手袋本体110は、手に装着した際に、掌を覆う掌部、甲を覆う甲部、および指を覆う指部を有する。そのような手袋本体110は、基材となる不織布で構成されている。
不織布の種類は、特に制限されず、例えばサーマルボンド不織布、ケミカルホンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、またはスパンボンド不織布でありうる。
不織布の材質は、特に制限されないが、例えば融点(Tm)が95〜276℃の熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂の融点(Tm)は、以下の条件で測定することができる。DSC(示差走査型熱量測定法)を用いて、熱可塑性樹脂の試料を加熱して、一旦320℃で5分間保持し、次いで10℃/分の速度で23℃まで降温し、その後、10℃/分の速度で昇温する。この2回目の昇温時の融解に基づく吸熱ピークの温度を、熱可塑性樹脂の融点(Tm)とする。
そのような熱可塑性樹脂の例には、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂などが含まれる。中でも、ヒートシールによる接合がしやすく、かつ銅−錫系合金層120を成膜する時の高温に耐える観点などから、ポリオレフィンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。
不織布は、手袋100の機械的強度を高める観点から、エンボス加工がさらに施されてもよい。
不織布の水蒸気透過度は、手袋100に適度な通気性を付与しうる程度であればよく、特に制限されないが、例えば5000〜12000g/(m・24h)であることが好ましく、7000〜10000g/(m・24h)であることがより好ましい。不織布の水蒸気透過度は、JIS Z0208:1976に準拠した、水蒸気透過試験(カップ法)により測定することができる。
不織布の目付量は、不織布の水蒸気透過度が上記範囲となる程度であればよく、例えば16〜100g/mであることが好ましく、20〜50g/mであることがより好ましい。不織布の目付量は、以下の方法で測定することができる。まず、不織布を所定の大きさにいくつか切り出し、試料片とする。次いで、各試料片の質量(g)を秤量し、得られた質量の平均値を、単位面積当りに換算して、目付量(g/m)を算出する。
不織布の厚みは、特に制限されないが、手袋100に適度な機械的強度と通気性を付与する観点などから、例えば180〜650μmであることが好ましく、210〜400μmであることがより好ましい。不織布の厚みが一定以上であると、手袋100に十分な機械的強度を付与しやすく、一定以下であると、手袋100の通気性が損なわれにくい。
1−2.銅−錫系合金層120
銅−錫系合金層120は、図1Bに示されるように、手袋本体110の内側の表面の少なくとも一部に配置されている。それにより、銅−錫系合金層120は、手袋100の内側に抗菌性を付与しうる。
特に、銅−錫系合金層120は、手袋本体110の内側の表面のうち、手と接触する部分、具体的には、掌、甲および指の少なくとも一以上と接する部分に配置されていることが好ましい。すなわち、銅−錫系合金層120は、手袋本体110の掌部、甲部および指部の少なくとも一以上の内側の表面に配置されていることが好ましい。
銅−錫系合金層120は、銅と錫を、銅:錫の原子比(原子数比率)で、50:50〜95:5の割合で含むことが好ましく、60:40〜90:10の割合で含むことがより好ましく、65:35〜85:15の割合で含むことがさらに好ましい。銅−錫系合金層120中の錫の含有量が一定以上であると、水分や汗などとの接触による銅−錫系合金層120の腐食または変色などを抑制しやすく、錫の含有量が一定以下であると、銅の含有量が少なくなりすぎないため、抗菌性が損なわれにくい。
銅−錫系合金層120における銅と錫の合計含有量は、銅−錫系合金層120を構成する金属成分に対して、75原子%以上であることが好ましく、80原子%以上であることがより好ましく、90原子%以上であることがさらに好ましく、100原子%であってもよい。
銅−錫系合金層120は、必要に応じて、他の金属元素をさらに含んでもよい。それにより、抗菌性や製造性、基材である不織布との親和性などを調整することができる。他の元素の例には、アルミニウム、ゲルマニウム、ベリリウム、ニッケル、およびシリコンなどの溶融状態での蒸気圧が銅に近い金属や;亜鉛、銀、ニッケルなどの抗菌性を有する金属が含まれる。
銅−錫系合金層120における金属成分の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
銅−錫系合金層120の組成は、例えばエネルギー分散X線分光法(EDS)により測定することができる。具体的には、不織布上の銅−錫系合金層120に含まれる金属原子を、エネルギー分散X線分光法(EDS)により検出し、検出された全金属原子のうち銅以外の金属原子(錫)の原子数比率を求める。それにより、銅−錫系合金層120の組成を求めることができる。
銅−錫系合金層120の厚みは、5〜50nmであることが好ましい。銅−錫系合金層120の厚みが5nm以上であると、十分な抗菌性が得られやすく、50nm以下であると、基材である不織布との密着性が損なわれにくく、顕著な剥がれなどが生じにくい。銅−錫系合金層120の厚みは、上記観点から、5〜25nmであることがより好ましい。
銅−錫系合金層120の厚みは、蛍光X線分析により測定することができる。具体的には、蛍光X線分析により、銅−錫系合金層120を付着させた領域10mm四方以上における銅、錫それぞれの単位面積あたりの付着量を測定する。そして、得られた値を、下記式に当てはめて、厚みを算出する。
厚み(nm)={(Wc/8900)+(Ws/7300)}×10−9
(式中、Wcは、銅の単位面積あたりの付着量(kg/m)を表し、Wsは、錫の単位面積あたりの付着量(kg/m)を表す)
1−3.他の層
手袋100は、必要に応じて、銅−錫系合金層120以外の他の層(不図示)をさらに有してもよい。他の層の例には、銅−錫系合金層120以外の他の銅−錫系合金層や、織布または樹脂シートからなる層が含まれる。他の銅−錫系合金層の組成や厚みは、銅−錫系合金層120の組成や厚みと同じであってもよいし、異なってもよい。
他の層は、その機能に応じて、手袋本体110と銅−錫系合金層120の間に配置されてもよいし、手袋本体110の外側の表面に配置されてもよい。例えば、他の銅−錫系合金層は、手袋本体110の外側の表面に配置されうる。それにより、手袋100の内側だけでなく、外側にも抗菌性を付与しうるため、手袋100をより衛生的に維持することができる。また、織布または樹脂シートからなる層も、手袋本体110の外側の表面に配置されうる。それにより、手袋100の意匠性や保温性などを調整することができる。
1−4.手袋
手袋100は、掌側と甲側が決められた形態であってもよいし、掌側と甲側が決められていない形態であってもよい。本実施の形態では、手袋100は、掌側と甲側が決められていない形態のものである。
手袋100は、特に制限されず、指付きタイプ(5本指タイプ)のものでもよいし、ミトンタイプのものでもよい。本実施の形態では、手袋100は、指付きタイプ(5本指タイプ)のものである。
2.手袋の製造方法
手袋100は、任意の方法で製造することができる。例えば、比較的簡単に製造できる観点から、手袋100は、1)基材層110Aと銅−錫系合金層120とを有し、かつ(平面視で手を包含する形状を有する)2つの複合シート100Aを準備する工程(図1B参照)、および2)2つの複合シート100Aを、銅−錫系合金層120が向かい合うように積層し、得られた積層物の外周部(輪郭部)の一部を接合する工程を経て製造することができる。
1)の工程について
まず、基材層110Aと、銅−錫系合金層120とを有する、2枚の複合シート100Aを準備する。
基材層110Aは、前述の不織布で構成されている。
銅−錫系合金層120は、前述の銅−錫系合金層120である。銅−錫系合金層120の形成方法は、特に制限されず、例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、レーザー蒸着法、アーク蒸着法、溶射法、溶融めっき法などの物理的成膜法や;プラズマCVD法、熱CVD法などの化学的成膜法でありうる。中でも、生産性に優れる観点などから、真空蒸着法およびイオンプレーティング法が好ましい。
すなわち、銅と錫は、1050〜1500℃の広い範囲で非常に近い蒸気圧を有する。そのため、銅と錫以外の合金系の場合とは異なり、単一の銅−錫合金の蒸発源を用いても、比較的一定範囲の組成に制御された銅と錫の蒸着膜を得ることができる。
銅と錫の合金系では、特に、錫の原子比が15原子%以上の場合に、蒸発源の組成と蒸着膜の組成が近似することが確認されている。また、一般的には、合金蒸発源を用いて蒸着を連続的に行うと、合金のうちの一部の成分元素のみが先に多く蒸発することで、残った蒸発源の組成が元の組成からずれていくことにより、徐々に蒸着膜の組成もずれていくことも知られているが、その組成のずれの大きさも、蒸着膜中の錫の原子比が15原子%以上の場合には、特に小さくすることができる。例えば、蒸着源の組成が、錫の原子比が24〜33原子%の場合に、蒸着を開始した時点での蒸着膜の組成と、蒸発源を約3分の2消費した時点での蒸着膜の組成とが、前述の銅−錫系合金層120の組成の範囲内となりやすい。そのため、効率よく、銅−錫系合金層120を形成しやすい。
このように、銅−錫系合金層120の組成は、単一の蒸着源から成膜した場合でも、均一な組成を有することができる。それにより、銅と錫の単一の蒸着源を用いても、銅−錫系合金層120を、真空蒸着法およびイオンプレーティング法により好適に形成することができる。
具体的には、銅−錫系合金層120は、1−1)銅−錫系合金からなる蒸着源を準備する工程、1−2)基材(不織布)を、銅−錫系合金からなる蒸着源と対向するように配置する工程、1−3)銅−錫系合金からなる蒸着源を気化させて、金属蒸気を発生させる工程、および1−4)金属蒸気を、基材(不織布)に接触させて、基材(不織布)上に銅−錫系合金層120を形成する工程を経て成膜することができる。
蒸着源は、前述の組成を有する銅−錫系合金層120を得る観点から、銅を60原子%超85原子%以下含み、かつ錫を15原子%以上40原子%未満含む銅−錫系合金であることが好ましく、銅を67〜76原子%含み、かつ錫を24〜33原子%含む銅−錫系合金であることがより好ましい。
手袋100が他の層をさらに有する場合、他の層は、公知の方法で形成することができる。他の層は、銅−錫系合金層120を形成する前に形成されてもよいし、銅−錫系合金層120を形成した後に形成されてもよい。他の層の形成方法の例には、基材層110Aと他の層とを共押出する方法、ラミネートする方法が含まれる。ラミネートは、必要に応じて接着剤などを用いて行ってもよい。
そして、基材層110Aと、その表面に配置された銅−錫系合金層120とを有する複合シートを、手を包含する形状に切り出す。それにより、例えば掌側と甲側の2つ複合シート100Aを得ることができる。
複合シート100Aの水蒸気透過度は、基材層110A(不織布)の水蒸気透過度と同程度であることが好ましく、例えば5000〜12000g/(m・24h)であることが好ましく、7000〜10000g/(m・24h)であることがより好ましい。複合シート100Aの水蒸気透過度は、水蒸気を銅−錫系合金層120側から透過させる以外は前述と同様の方法で測定することができる。
複合シート100Aの水蒸気透過度は、不織布の種類(目付量など)や銅−錫系合金層120の厚みなどによって調整することができる。
2)の工程について
次いで、得られた2つの複合シート100Aを、銅−錫系合金層120が向かい合うように積層し(重ね合わせ)、得られた積層物の外周部(輪郭部)の一部、具体的には、手の挿入口を除く外周部(重ね合わせた端部の一部)を接合して、手袋100を得る。
接合方法は、特に制限されず、例えばヒートシール、接着剤または縫製でありうる。中でも、比較的簡単な方法で接合できることから、ヒートシールが好ましい。本実施の形態では、手袋100は、2つの複合シート100Aが、例えばヒートシールされた接合部130を有する(図1A参照)。
3)その他の工程について
手袋100の製造方法は、必要に応じて他の工程をさらに有してもよい。例えば、銅−錫系合金層120の密着性を高める観点などから、銅−錫系合金層120を形成する前に、基材層110Aの表面に、化学的処理または物理的処理を施してもよい。これらの表面処理の例には、減圧下でのプラズマ処理、大気圧下でのプラズマ処理、コロナ処理、蒸着処理、CVD処理などが含まれる。
3.手袋の用途
本考案の実施の形態に係る手袋100は、不織布で構成された手袋本体110と、その内側の表面の少なくとも一部に配置された銅−錫系合金層120とを有することから、適度な通気性を有しつつ、高い抗菌性を有する。そのような手袋100は、スキンケア用の手袋などとして好適である。
なお、本実施の形態では、手袋100の製造方法として、2つの複合シート100Aを積層し、得られる積層物の外周部(輪郭部)の一部を接合して手袋100を製造する例を示したが、これに限定されない。例えば、(掌側と甲側が一体化した形状を有する)1つの複合シート100Aを、銅−錫系合金層120が向かい合うように折り曲げて、重ね合わせた端部の一部を接合する方法で手袋100を製造してもよい。また、掌側と甲側が一体化し、かつ親指部を含まない形状を有する1つの複合シート100Aと、親指部となる1つの複合シート100Aとを接合して、手袋100を製造してもよい。
以下において、実施例を参照して本考案をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本考案の範囲は限定して解釈されない。
(実施例1)
基材として、厚さ230μmの不織布(三井化学株式会社製シンテックスPS−106、ポリプロピレン製、エンボス加工品、目付量30g/m)を準備した。この不織布を、蒸着装置の蒸発源から400mm上方にセットした。
また、大きさ1〜3mmの粒状の純銅(純度99.9%)60gと大きさ1〜2mmの粒状の純錫(純度99.9%)40gとを合計で100g秤量し、これらを金属容器内に入れてよく混合して、銅74原子%、錫26原子%(銅60質量%、錫40質量%)の蒸発源とした。この蒸発源を、蒸着装置のルツボに入れて10−3Pa以下の圧力になるまで真空排気した。次いで、蒸発源が大きく飛散しないようにゆっくりと、電子ビームでルツボおよび蒸発源を加熱し、ルツボ中の蒸発源を完全に融解させて合金蒸発源とした。この合金蒸発源を一旦真空中で放冷した後、再度電子ビームにより加熱し、蒸発源から約400mm上方に設置された不織布上に、銅−錫系合金を付着させた。付着速度は、毎秒10〜15nmとした。
得られた銅−錫系合金層の厚みは、10nmであった。銅−錫系合金層の厚みは、以下の方法で測定した。
(銅−錫系合金層120の厚みの測定)
蛍光X線分析により、銅−錫系合金層120を付着させた領域10mm四方以上における銅、錫それぞれの単位面積あたりの付着量を測定した。得られた値を、下記式に当てはめて、厚みを算出した。
厚み(nm)={(Wc/8900)+(Ws/7300)}×10−9
(式中、Wcは、銅の単位面積あたりの付着量(kg/m)を表し、Wsは、錫の単位面積あたりの付着量(kg/m)を表す)
また、銅−錫系合金層の組成は、蒸発源の組成と同一であった。このようにして、銅−錫系合金層が付着した不織布を得た。
(実施例2)
銅−錫系合金層の厚みが30nmとなるように付着時間を変更した以外は実施例1と同様にして、銅−錫系合金層が付着した不織布を得た。
(実施例3)
銅−錫系合金層の厚みが50nmとなるように付着時間を変更した以外は実施例1と同様にして、銅−錫系合金層が付着した不織布を得た。
(比較例1)
厚さ230μmの不織布(三井化学株式会社製シンテックスPS−106、ポリプロピレン製、エンボス加工品、目付量30g/m)を準備した。
(比較例2)
厚さ759μmの綿布を準備した。
実施例1〜3、比較例1および2で得られた不織布について、(1)透湿性試験、(2)摩耗試験、および(3)抗菌性試験を行った。
(1)透湿性試験
実施例1、比較例1および2で得られた不織布について、JIS Z0208:1976に準拠して水蒸気透過試験(カップ法)を行い、水蒸気透過度および水蒸気透過係数を測定した。
試験条件は、以下の通りとした。
(試験条件)
試験装置:恒温恒湿器、PL−2KP型(エスペック(株)製)
試験温度:40℃
試験湿度:90%RH
試験数(n):3
透過方法:実施例1については、銅−錫系合金層が付着した面側から透過
なお、実施例1、比較例1および2は、それぞれ試験を3回実施し(n=3)、その平均値を算出した。
実施例1、比較例1および2の評価結果を、表1に示す。
Figure 0003216509
表1に示されるように、銅−錫系合金層を有する実施例1の不織布は、銅−錫系合金層を有しない比較例1の不織布および比較例2の綿布と遜色ないレベルの水蒸気透過度および水蒸気透過係数を有することがわかる。
(2)摩耗試験
実施例1〜3で得られた不織布について、摩耗試験を行った。具体的には、得られた不織布を所定の大きさに切り出して、試験片とした。この試験片を、銅−錫系合金層が外側になるように摩擦子(SUS先端R10mm)に貼り付けた。そして、往復摩耗試験機を用いて、相手材として、掌に見立てた人工皮膚筋肉樹脂パットに、試験片を貼り付けた摩擦子を、荷重50gで往復20回擦りつけた。
(試験条件)
試験装置:往復摩耗試験機 TYPE30S(新東科学社製)
摩擦子:SUS製、先端R10、摩擦子に試験片を貼り付け
相手材:人口皮膚筋肉樹脂パッド(L988)
荷重:50g
速度:1800mm/min
往復回数:20回
ストローク:30mm
試験数(n):3
試験環境:23℃、50%RH
20回往復後、人工皮膚への銅−錫系合金の付着の様子を、色差試験で確認した。具体的には、摩耗試験前後で、JIS Z8722に準拠して色差試験を行い、摩耗試験前後の試料片の明度をそれぞれ測定した。試験条件は、以下の通りとした。
(試験条件)
試験装置:分光測色計 CN−3700d(コニカミノルタ社製)
試験方法:反射法(JIS Z8722・幾何学条件 d/8(拡散照明8°受光))
正反射光:含まない(SCE方式)
光源:D65
視野:10°
測定径:MAV(8mmφ)
試験数(n):3
そして、摩耗性試験前後の明度の値を、下記式に当てはめて、明度差を算出した。
明度差ΔL* =摩耗試験前の明度L* −摩耗試験後の明度L*
なお、実施例1〜3は、それぞれ試験を3回実施し(n=3)、その平均値を算出した。
実施例1〜3の評価結果を、表2に示す。
Figure 0003216509
表2に示されるように、実施例1〜3の銅−錫系合金層は、いずれも明度差ΔLが少なく、剥がれが顕著には生じないこと、すなわち実用上問題ないことがわかる。
特に、銅−錫系合金層の厚みが25nm以下である実施例1の不織布は、銅−錫系合金層の厚みが25nmを超える実施例2および3の不織布よりも、明度差ΔLがより少なく、銅−錫系合金層の剥がれがより少ないことがわかる。
(3)抗菌性試験
(3−1)菌液の調製
(試験菌)
試験菌として、Staphylococcus aureus NMRC12732(黄色ぶどう球菌)を準備した。
(菌液の調製)
凍結保存された上記試験菌の菌株をTSA平板培地で36±2℃、24時間培養した。この培養菌を、新たなTSA平板培地で36±2℃、18時間培養した。発育した集落をかき取り、1/5濃度の普通ブイヨン培地に懸濁し、約10CFU/mLに調製して元菌液とした。元菌液を、分散媒(PPG/PEG/イオン交換水=50g/1g/49mL)で100倍に希釈し、試験菌液とした。
(3−2)試験
(試験片10の作製)
手袋を構成するシートとして、実施例1および比較例1で得られた不織布を、60mm×60mmの大きさに切り出した。切り出した不織布の両面に、パルスドキセノンランプを20秒間照射して清浄化し、試験片10とした(図2参照)。
(菌液保持片20の作製)
無加工ガラス板21の片面に防水フィルム22を貼り付けた。得られた無加工ガラス板21の両面に、パルスドキセノンランプを20秒間照射し、清浄化した。その後、防水フィルム22の表面に、試験菌液を25±5mg塗布して菌液塗布層23を形成し、菌液保持片20を作製した(図2参照)。
菌液保持片20の菌液塗布量を、表3に示す。
Figure 0003216509
(抗菌性試験)
図2は、抗菌性試験の方法を示す模式図である。なお、同図では、実施例1の不織布を用いた例を示している。図2に示されるように、滅菌シャーレ30(直径90mm)に、銅−錫系合金層120が配置された面(手袋の内側面)が上になるように、試験片10を配置した。さらに、その上に、菌液保持片20を、菌液塗布面(菌液塗布層23)が試験片10と接するように配置し、35±1℃、90%RHの環境下で2時間または6時間保存した。試験片10は、それぞれ3個準備し、試験に供した。
(菌数測定)
所定時間作用後、試験片10および菌液保持片20を、不活性化剤10mLが入ったストマッカー用滅菌袋に回収し、試験菌を洗い出した。洗い出した液を、菌液測定用試料液とした。試料液は、滅菌生理食塩液を用いて希釈列を作製し、試料液原液および希釈液の各1mLをシャーレに移し、TSA約20mLと混合、固化させて、36±2℃で48時間培養した。培養後、培地上に発育した集落を数えて、試験片10あたりの試験菌数を求めた。
(抗菌活性値(R)の算出)
得られた試験菌数の対数値をとり、下記式に当てはめて、抗菌活性値(R)を算出した。
R=(Ut−Uo)−(At−Uo)=Ut−At
Uo:比較例1で得られた不織布の摂種直後の生菌数の対数値の平均値
Ut:比較例1で得られた不織布の各作用時間後の生菌数の対数値の平均値
At:実施例1で得られた不織布の各作用時間後の生菌数の対数値の平均値
なお、実施例1および比較例1は、それぞれ試験を3回実施し(n=3)、その平均値を算出した。
実施例1と比較例1の不織布の抗菌性試験の評価結果を、表4に示す。
Figure 0003216509
表4に示されるように、銅−錫系合金層を有する実施例1の不織布は、銅−錫系合金層を有しない比較例1の不織布よりも、所定時間経過後の試験片における菌数が少ないことがわかる。これらのことから、実施例1の不織布は、比較例1の不織布よりも菌の繁殖が少なく、高い抗菌性を有することがわかる。
本考案の手袋は、手袋の内側で菌が繁殖しにくく、良好な抗菌性を有する。したがって、本考案の手袋は、例えばスキンケア用の手袋などとして好適である。
10 試験片
20 菌液保持片
21 無加工ガラス板
22 防水フィルム
23 菌液塗布部
100 手袋
100A 複合シート
110 手袋本体
110A 基材層
120 銅−錫系合金層
130 接合部

Claims (8)

  1. 不織布で構成された手袋本体と、
    前記手袋本体の内側の表面の少なくとも一部に配置された銅−錫系合金層と
    を有する、
    手袋。
  2. 前記銅−錫系合金層は、銅と錫を50:50〜95:5の原子比で含む、
    請求項1に記載の手袋。
  3. 前記銅−錫系合金層の厚みは、5〜25nmである、
    請求項1または2に記載の手袋。
  4. 前記手袋本体は、掌部、甲部、および指部を有し、
    前記銅−錫系合金層は、前記掌部、前記甲部および前記指部の内側の表面に配置されている、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の手袋。
  5. 前記銅−錫系合金層が配置された不織布の水蒸気透過度は、5000〜12000g/(m・24h)である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の手袋。
  6. 前記手袋は、
    前記不織布で構成された基材層と、その表面に配置された前記銅−錫系合金層とを有する2つの複合シートが、前記銅−錫系合金層が向かい合うように積層されてなる積層物の外周部の一部が接合されたものである、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の手袋。
  7. 前記接合は、ヒートシール、接着剤または縫製により行われている、
    請求項6に記載の手袋。
  8. スキンケア用手袋である、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の手袋。
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