JP3215670B2 - プレキャストコンクリート立上げ壁の取付構造 - Google Patents

プレキャストコンクリート立上げ壁の取付構造

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JP3215670B2
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樹一郎 鷲田
至 小山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプレキャストコンク
リート立上げ壁の取付構造に係り、特に外階段の外周に
取り付けられる手摺板やバルコニーの外壁のような立上
げ壁構造部分の取り付け作業を安全に行え、意匠的にも
優れたプレキャストコンクリート立上げ壁の取付構造に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄筋コンクリート構造の集合住宅
に付帯する屋外階段としてプレキャストコンクリート
(以下、PCaと記す。)階段ユニットを、建物躯体に
連接させたタイプが増えてきている。この種のPCa階
段ユニットは建物躯体と一体化したデザインを実現で
き、鉄骨階段等に比べメンテナンスフリーの点が高く評
価されている。また意匠上の高級感を出すため外周壁を
構成する立上げ壁で手摺を構成することも多い。
【0003】図7は出願人が既に開発したPCa階段ユ
ニット50の組み立て状態を示した斜視図である。同図
に示したように、PCa階段ユニット50は上下方向に
積み上げられる壁柱60と、工場製造時に壁柱60の両
側面に踊場55Aと段床55Bとが一体的に成形された
階段床スラブ55と、立上げ壁形状の手摺板51,52
とから構成されている。このPCa階段ユニット50の
うち壁柱60と階段床スラブ55とが一体化した部材を
図示しない建物躯体に支持させながら上方に組み立てて
行くとともに、組み立てられたスラブ55の外周に手摺
板51,52を取り付けていき、屋外階段全体を迅速に
施工するようになっている。
【0004】これらの部材のうち、組立時にできる踊場
間のクリアランスは現場打ちコンクリート53によって
埋められ、全体として周回階段としての一体化が図られ
る。壁柱60を螺旋状に周回する階段床スラブ55が一
体化された階からPCa手摺板51,52を順次取り付
けていくようになっている。
【0005】図8は、図7に示した立上げ壁形状のPC
a手摺板51(以後、手摺全体を符号51で示す。)の
取付構造の一例の詳細を示した部分断面図である。図8
に示したようにPCa手摺板51は、階段床スラブ55
の一部に組み込まれたL字形のセット用ネジ鉄筋65に
よってスラブ端に一体的に接合されるようになってい
る。図8に示した接合例では、スラブ端に設けられた端
部立上げ部55a上にPCa手摺板51が載置され固定
される。このときスラブ55側から立ち上がったセット
用ネジ鉄筋65の先端は、PCa手摺板51の下端に形
成された取付孔に組み込まれたスパイラルシース66に
挿通され、スパイラルシース66上部の凹所69内でナ
ット67で固定されている。さらにナット締め部分全体
はモルタル68を凹所69に充填することによって閉塞
されるようになっている。このように、一般的なPCa
手摺板51の取付構造では図8に示したように床スラブ
55の端部にPCa手摺板51を載置した状態でセット
用ネジ鉄筋65によってボルト締めしたり、あるいはコ
ンクリートの一部に埋設された取付鋼板同士を溶接接合
したりして一体化が図られている。さらに接合部分の隙
間をシーリング材71でコーキングしてジョイント目地
70としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のPCa
立上げ壁の取付構造は、いずれもスラブ端部にPCa手
摺板が立設された構造であったため、床スラブと手摺板
下端とのジョイント目地が外壁面に水平方向に現れてし
まう。このジョイント目地は手摺の外側からでないとコ
ーキング作業が行えない。このため、コーキング作業を
安全に行うために階段の外側に仮設作業足場を設置する
必要がある。また、屋外階段の外壁面にジョイント目地
が現れてしまい、建物の外観デザイン上、制約が生じる
という問題もある。また、各戸のバルコニーをプレキャ
ストコンクリート製品で後付けするような場合にも同様
の問題がある。
【0007】そこで、本発明の目的は上述した従来の技
術が有する問題点を解消し、安全な取付作業が行え、ま
た手摺完成後も外壁面に水平ジョイント目地が生じない
ようなプレキャストコンクリート手摺取付構造を提供す
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は階段床スラブの外側端面に口元が現れるよ
うに階段長手方向に所定の間隔をあけて水平方向に埋設
されたスリーブ継手に、プレキャストコンクリート立上
げ壁内に前記スリーブ継手の配置間隔に等しい間隔で埋
設した接合鉄筋の下端部分を屈曲させて前記立上げ壁の
内面から側方に突出させた継手筋を挿入して固定し、前
記プレキャストコンクリート立上げ壁を前記階段床スラ
ブに取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0009】このとき、前記階段床スラブのスリーブ継
手口元位置と、前記プレキャストコンクリート立上げ壁
との対向面に凹所を設け、コッターを形成することを特
徴とする。
【0010】前記スリーブ継手は、前記階段床スラブの
上面と連通する充填モルタル注入管を有することが好ま
しい。また、前記プレキャストコンクリート立上げ壁
は、階段床スラブの外側端面に取り付ける手摺板とする
ことが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明のプレキャストコン
クリート立上げ壁の取付構造の一実施の形態について、
添付図面を参照して説明する。図1は本発明のプレキャ
ストコンクリート(PCa)立上げ壁の取付構造の概要
を示した部分断面図である。図1に示したように、PC
a立上げ壁の取付構造では階段床スラブ2の側端面には
所定間隔をあけて水平方向にスリーブ継手が埋設されて
いる。このスリーブ継手11を介してPCa手摺板に埋
設されている接合鉄筋と階段床スラブ2内に埋設された
支持鉄筋と連結され手摺とスラブとの一体化が図られて
いる。
【0012】PCa手摺板1内には図1に示したように
L字形の接合鉄筋12が手摺板1の長手方向に所定間隔
をあけて配筋されている。折り曲げられた接合鉄筋12
の下端部は手摺板1内面から所定長さだけ突出してお
り、この継手筋12Aがスラブ側端面に設けられたスリ
ーブ継手11孔に挿入されるようになっている。階段床
スラブ2内に埋設されたスリーブ継手11には2箇所の
モルタル注入管14,15がスラブ上面2bと連通する
ように設けられており、継手筋12Aがスリーブ継手1
1内に挿入された状態でモルタル注入管14、15の口
元からスリーブ継手11内に充填モルタル16が注入さ
れ、接合鉄筋12は接合される。
【0013】また、このPCa手摺板1と、PCa手摺
板1と対向するスラブ端面2aにはそれぞれコッター1
7、17が形成されている。これらコッター17は図6
に示すようにPCa手摺板1とスラブ端面2aとにそれ
ぞれ形成された同形の四角い扁平な凹所からなり、図1
に示したように、PCa手摺板1とスラブ端面2aとを
合わせたときに、スリーブ継手11と一体化した空間1
8となる。そのコッター空間18内にはスリーブ継手1
1のモルタル注入管14,15から注入されたモルタル
16が充填されるようになっている。このとき、PCa
手摺板1内にはエア抜きパイプ19が配管され、コッタ
ー空間18内にモルタル16を充填する際に内部エアが
外部に排出される。
【0014】また、スラブ端面2aとPCa手摺板1間
にはガスケット20(図6参照)が周設されている。こ
のガスケット20により接合部に注入されたモルタル1
6の漏出が防止される。また、ガスケット20外側の目
地部分にはコーキング材料を充填したジョイント目地2
1が形成されている。このようにして階段床スラブ2と
PCa手摺板1とを連結するための接合鉄筋を横挿入方
式としたことにより、PCa手摺板1の外壁面に目地が
現れない構造でPCa手摺板1と階段床スラブ2とを一
体的に接合できる。
【0015】この取付構造において、手摺板1の常時鉛
直荷重はスラブ端面2aとの間に形成されたコッター1
7により負担される。また、外壁面にジョイント目地2
1を設ける作業がなく、手摺板1の製造時に外壁面仕上
げを先行して行うことができるため、手摺の外側で行う
高所作業をなくすことができ、取付作業時の施工の安全
性を高めることができる。手摺板1とスラブ端面2aと
の間に形成された目地において、下面側のジョイント目
地21部分を水切り目地として機能させることができ
る。これにより手摺外面スラブから伝わる雨水を遮断
し、スラブ下面に回り込み、下階階段に滴下するのを防
止することができる。
【0016】次に、図2、図3を参照してこのPCa手
摺板1のスラブ端面2aへの取付手順について説明す
る。まず階段床スラブ2の下面に仮設支持鉄骨30をア
ンカー31等の固定部材を利用して取り付ける(図2参
照)。この仮設支持鉄骨30はPCa手摺板1を建て込
む際の仮置き部材で、階段床の長手方向に沿ってPCa
手摺板1を支持するのに十分な所定の間隔をあけて取り
付けられている。通常は、溝形鋼等の一般鋼材を使用す
ることができる。次に、この仮設支持鉄骨30の張出し
部分に図示しない揚重機を用いてPCa手摺板1を吊り
込む。次いで図中矢印で示したように、仮設支持鉄骨3
0上のPCa手摺板1を横引きして接合鉄筋12の継手
筋12Aをスラブ端面2aに位置するスリーブ継手11
に挿入する。さらにこの状態から図3に示したように、
PCa手摺板1の鉛直精度、隣接したPCa手摺板1間
とのクリアランス等の建て込み精度を調整して仮設サポ
ート35をPCa手摺板1の内側に取り付ける。このよ
うにしてPCa手摺板1の建て込み位置が保持された状
態でスリーブ継手11内にグラウトモルタル16を注入
する。グラウトモルタルとしては施工の迅速化のため
に、商品名SSモルタルまたはトーテツモルタルとして
知られている早強タイプのものを用いることが好まし
い。このときエア抜きパイプ19が手摺板1内に設けら
れているので、モルタル16はスリーブ継手11内、コ
ッター空間18内に確実に充填される。
【0017】図4は、本実施の形態によるPCa手摺板
1の取付例を示した屋外鉄筋の概略平面図である。図4
に示したように、図示しない壁柱の両側面にアンカー筋
5により定着された階段床スラブ2は、平面視して四分
円形状をなす踊場スラブ2Aと段床スラブ2Bとで一体
的に構成されている。壁柱を挟んで反対側に位置する階
段床スラブ2の踊場スラブ2Aの端面同士を対向配置さ
せ、その隙間に現場打ちコンクリート3を打設すること
により、半円状の踊場部分が構成される。図4に示した
屋外階段は片側の階段床スラブ2が建物躯体7に連接さ
れた構造形式になっており、躯体側の踊場スラブ2Aに
は四分円状のPCa手摺板1Aが、建物躯体と反対側の
階段床スラブ2Bには、それぞれ踊り場部分には四分円
状のPCa手摺板1Aが、段床部分には階段の傾斜に沿
った平行四辺形のPCa手摺板1Bが、通常の踊り場部
分には平板状のPCa手摺板1Cが取り付けられてい
る。これらのPCa手摺板1をスラブ2に取り付けるた
めに、本実施の形態では図4に示したように片側の階段
床スラブ2において9ヶ所のスリーブ継手11が設けら
れている。なお、踊場の平面形状は図4に示したような
半円形状に限られず、四角形、多角形等に適宜デザイン
できることは言うまでもない。
【0018】図5は壁柱と階段床スラブ2とを一体構成
したPCa階段ユニットが積層された屋外階段の側面に
PCa手摺板1が順次取り付けられる状態を示した概略
側面図である。図5に示したように、壁柱6に沿ってP
Ca階段床スラブ2を積み上げた後に、所定の手順でP
Ca手摺板1をスラブ上に順次取り付けていく。これに
より組立直後の階段を作業足場として利用できる。ま
た、図4、図5に示したようにPCa階段ユニットのス
ラブ側面には所定間隔をのスリーブ継手11が設けられ
ているため、工場で仕上げられたPCa手摺板1を精度
良く階段床スラブ2に取り付けることができる。
【0019】図6は段床スラブ2Bの側面にスリーブ継
手11が埋設された状態を示した部分拡大図である。ス
リーブ継手11は、図5に示したように踊場スラブ1A
の円弧状の外周面と階段床スラブ2端部に所定間隔をあ
けて配置されている。各スリーブ継手11位置には、図
6の段床スラブ2Bの側面を例に示したように、スリー
ブ継手11を囲むガスケット20が取り付けられてい
る。このガスケット20によってコッター空間18内及
びスラブ間の隙間に充填されたモルタル16が外部に漏
出しないようになっている。
【0020】ジョイント目地21の施工においては、上
面に位置する目地に対してはスラブ上からの目地作業を
行い、下面にある水切り目地に対しては下階スラブから
の施工を行うことができる。このため、階段より外側に
乗り出すことなく安全な無足場作業が実現する。
【0021】以上に述べたように、PCa手摺板1を横
方向から取り付ける取付構造としたことにより、意匠的
に優れた外観とすることができる上、またその施工にお
いて高い安全性を示すことができる。以上の説明では階
段床スラブの外側端面にPCa手摺板1を横方向から取
り付ける取付構造を示したが、バルコニー床スラブの端
面にプレキャストコンクリート外壁(手摺)を取り付け
る場合にもこの取付構造を適用できることはいうまでも
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプレキャストコンクリート立上げ
壁の取付構造の一実施の形態を示した部分断面図。
【図2】本発明のプレキャストコンクリート立上げ壁の
取付手順の一例を示した施工手順説明図(その1)。
【図3】本発明のプレキャストコンクリート立上げ壁の
取付手順の一例を示した施工手順説明図(その2)。
【図4】プレキャストコンクリート手摺板を取り付けた
階段構造を示した平面図。
【図5】プレキャストコンクリート手摺板を取り付けた
階段構造を示した側面図。
【図6】段床スラブ側面に設けられたスリーブ継手部分
を示した部分拡大図。
【図7】従来のPCa階段ユニットの組立状態を示した
状態説明図。
【図8】従来のPCa階段ユニットの手摺板の取付構造
の一例を示した部分断面図。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C PCa手摺板 2,2A,2B 階段床スラブ 11 スリーブ継手 12 接合鉄筋 12A 継手筋 17 コッター 18 コッター空間 30 仮設支持鉄骨
フロントページの続き (72)発明者 三浦 俊一 東京都港区芝浦三丁目12番8号 安藤建 設株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−148171(JP,A) 特開 平9−49263(JP,A) 特開 平9−316995(JP,A) 特開 平6−136899(JP,A) 特開 平8−35307(JP,A) 実開 平5−22702(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04F 11/18 E04B 1/00 501 E04B 5/00 - 5/48 E04G 21/12 105 E04G 21/14 - 21/22

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】床スラブの外側端面に口元が現れるように
    階段長手方向に所定の間隔をあけて水平方向に埋設され
    たスリーブ継手に、プレキャストコンクリート立上げ壁
    板内に前記スリーブ継手の配置間隔に等しい間隔で埋設
    した接合鉄筋の下端部分を屈曲させて前記立上げ壁の内
    面から側方に突出させた継手筋を挿入して固定し、前記
    プレキャストコンクリート立上げ壁を前記階段床スラブ
    に取り付けるようにしたことを特徴とするプレキャスト
    コンクリート立上げ壁の取付構造。
  2. 【請求項2】前記床スラブのスリーブ継手口元位置と、
    前記プレキャストコンクリート立上げ壁との対向面に凹
    所を設け、コッターを形成するようにしたことを特徴と
    する請求項1記載のプレキャストコンクリート立上げ壁
    の取付構造。
  3. 【請求項3】前記スリーブ継手は、前記床スラブの上面
    と連通する充填モルタル注入管を有することを特徴とす
    る請求項1記載のプレキャストコンクリート立上げ壁の
    取付構造。
  4. 【請求項4】前記プレキャストコンクリート立上げ壁
    は、階段床スラブの外側端面に取り付けられた手摺板で
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか
    1項に記載のプレキャストコンクリート立上げ壁の取付
    構造。
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