JP3215328B2 - 水性樹脂分散体の製造方法 - Google Patents

水性樹脂分散体の製造方法

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JP3215328B2
JP3215328B2 JP22541096A JP22541096A JP3215328B2 JP 3215328 B2 JP3215328 B2 JP 3215328B2 JP 22541096 A JP22541096 A JP 22541096A JP 22541096 A JP22541096 A JP 22541096A JP 3215328 B2 JP3215328 B2 JP 3215328B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家屋などの被塗物
に対し、美観や耐水性を付与するための水性樹脂分散体
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、太陽光や風雨にさらされる構
造物の表面を保護するために、構造物の表面を覆う塗膜
を形成する塗料が用いられている。このような塗料とし
て、水性樹脂分散体が配合されたものが、その無公害
性、使用時の作業性の良さ等の利点から良く用いられ
る。
【0003】近年、水性樹脂分散体を原料として含む塗
料に対し、耐候性、耐汚染性、および耐水性等の各種物
性をさらに向上させる目的から、上記水性樹脂分散体に
対し種々の親水性成分の導入が試みられている。
【0004】このような水性樹脂分散体を得る方法とし
ては、例えば、特開平7−118544号公報には、エ
チレン性不飽和カルボン酸およびこれと共重合可能なそ
の他の単量体を、重合性界面活性剤を有する水性媒体中
で乳化重合して得られるアルカリ可溶性重合体の中和物
の存在下で、単量体混合物を乳化重合する水性樹脂分散
体の製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来公報の方法では、水性樹脂分散体に親水性成分を多く
導入する場合、乳化重合における重合安定性が悪く、重
合中に多量の凝集物が発生するという問題点を有してい
る。また、仮に共重合体である水性樹脂分散体が得られ
ても、上記水性樹脂分散体を塗料に使用した場合、上記
塗料を乾燥して塗膜形成すると、その塗膜の耐水性が著
しく悪いという問題点を有している。
【0006】そこで、本発明は、水性樹脂分散体からな
る塗料が、外観、耐水性、および耐汚染性に優れた塗膜
を形成できるように、親水性成分を多く導入しても安定
に乳化重合させ得る、長期貯蔵安定性に優れた上記水性
樹脂分散体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の水
性樹脂分散体の製造方法は、上記の課題を解決するため
に、窒素含有官能基および/または酸性基と反応性を有
する重合性単量体(a)、および酸性基を有する重合性
単量体(b)を含む単量体成分(A)を乳化重合し、上
記酸性基の少なくとも一部を中和した状態にて、窒素含
有官能基を有する重合性単量体(c)を含む単量体成分
(B)を、予め乳化剤で水に乳化させた状態で反応系に
投入するプレエマルジョン法で乳化重合してなる水性樹
脂分散体の製造方法であって、単量体成分(A)に対し
て、酸性基を有する重合性単量体(b)の割合が、0.
1重量%〜4.0重量%の範囲内であり、上記窒素含有
官能基を有する重合性単量体(c)が、アミノ基(−N
2 、−NH、−N<)および/またはアンモニウム塩
を有する重合性単量体であり、アミノ基(−NH 2 、−
NH、−N<)および/またはアンモニウム塩を有する
重合性単量体の使用量が、単量体成分(A)および単量
体成分(B)の合計量に対して0.1重量%〜10重量
%の範囲内であることを特徴としている。
【0008】請求項2記載の発明の水性樹脂分散体の製
造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1記載
の発明の水性樹脂分散体の製造方法において、窒素含有
官能基および/または酸性基と反応性を有する重合性単
量体(a)の使用量が、単量体成分(A)および単量体
成分(B)の合計量に対して0.5重量%〜15重量%
の範囲内であることを特徴としている。
【0009】上記製造方法によれば、水性樹脂分散体を
含む塗料からの塗膜に対し、塗布初期には速やかに乾燥
硬化するとともに、耐水性、耐汚染性、および肉持ち性
に優れた物性を付与でき、かつ、貯蔵安定性に優れ、乳
化重合における重合安定性が良好な、水性樹脂分散体の
製造方法を提供することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。
本発明にかかる水性樹脂分散体の製造方法は、酸性基と
反応性を有する重合性単量体(a)、および酸性基を有
する重合性単量体(b)を含む単量体成分(A)を乳化
重合し、上記酸性基の少なくとも一部を中和した状態に
て、単量体成分(B)を乳化重合してなる水性樹脂分散
体の製造方法であって、単量体成分(A)に対して、酸
性基を有する重合性単量体(b)の割合が、0.1重量
%〜4.0重量%の範囲内である方法である。
【0011】また、本発明にかかる他の水性樹脂分散体
の製造方法は、窒素含有官能基および/または酸性基と
反応性を有する重合性単量体(a)、および酸性基を有
する重合性単量体(b)を含む単量体成分(A)を乳化
重合し、上記酸性基の少なくとも一部を中和した状態に
て、上記窒素含有官能基を有する重合性単量体(c)を
含む単量体成分(B)を乳化重合してなる水性樹脂分散
体の製造方法であって、単量体成分(A)に対して、酸
性基を有する重合性単量体(b)の割合が、0.1重量
%〜4.0重量%の範囲内である方法である。
【0012】上記の窒素含有官能基および/または酸性
基と反応性を有する重合性単量体(a)は、窒素含有官
能基および/または酸性基と反応する架橋反応によっ
て、水性樹脂分散体を含む塗料から形成される塗膜を硬
化させる機能を有する。
【0013】上記の重合性単量体(a)としては、具体
的には、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2
−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリ
シジルエーテル等のエポキシ基を有する重合性単量体
類;(メタ)アクリロイルアジリジン、2−アジリジニ
ルエチル(メタ)アクリレート等のアジリジニル基を有
する重合性単量体類;2−イソプロペニル−2−オキサ
ゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン等のオキサゾリ
ン基を有する重合性単量体類等が挙げられる。
【0014】上記例示の重合性単量体(a)のうち、エ
ポキシ基を有する重合性単量体は架橋反応を促進する効
果を有しているのでより好ましい。尚、重合性単量体
(a)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以
上を併用してもよい。さらに、重合性単量体(a)は、
後段の乳化重合において、単量体成分(B)の一部とし
て使用できるものである。
【0015】また、重合性単量体(a)の使用量は、単
量体成分(A)と単量体成分(B)とを合わせた量(以
下、単量体成分(A+B)と記す)に対して、0.1重
量%〜40重量%の範囲内であることが好ましく、0.
5重量%〜15重量%の範囲内であることがより好まし
い。0.1重量%より少ない場合には、酸性基の一部が
未反応のまま多量に残ると共に、架橋が不十分となるた
め、塗布初期の乾燥性、乾燥塗膜の耐水性、耐溶剤性、
強度が低下するので好ましくない。一方、40重量%よ
り大きい場合には、乳化重合時の重合安定性および貯蔵
安定性が低下するので好ましくない。
【0016】上記酸性基を有する重合性単量体(b)と
しては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸、
フマル酸、イタコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;マ
レイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のエチレ
ン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物等のカル
ボキシル基を有する重合性単量体;ビニルスルホン酸、
スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレー
ト等のスルホン酸基を有する重合性単量体;2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、
2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホス
フェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロ
ロプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイル
オキシエチルフェニルリン酸等の酸性リン酸エステル系
重合性単量体;等が挙げられる。重合性単量体(b)
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併
用してもよい。
【0017】上記例示の重合性単量体(b)の内、カル
ボキシル基を有する重合性単量体が好ましく、また、
(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和モノカルボン
酸がより好ましい。さらに、重合性単量体(b)は、単
量体成分(B)の一部としても使用できるが、製造され
た水性樹脂分散体を塗料とした場合、乾燥塗膜の耐水性
が低下することがあるので好ましくない。
【0018】また、重合性単量体(b)の使用量は、特
に限定されないが、単量体成分(A)に対して、0.1
重量%〜4重量%の範囲内であることが好ましく、0.
5重量%〜2重量%の範囲内であることがより好まし
い。0.1重量%より少ない場合には、重合性単量体
(b)が有している特性が発揮されず、乾燥塗膜とした
ときの耐汚染性が低下するので好ましくない。4重量%
より大きい場合には、乳化重合をする時の重合安定性、
および貯蔵安定性が劣化し、また、乾燥塗膜の耐水性が
低下するので好ましくない。
【0019】上記単量体成分(B)としては、具体的に
は、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルス
チレン、クロロメチルスチレン、スチレンスルホン酸お
よびその塩等のスチレン誘導体類;N−モノメチル(メ
タ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリル
アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジ
アセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘
導体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリ
ル酸とC1 〜C18のアルコールとのエステル形成反応に
より合成される(メタ)アクリル酸エステル類;(メ
タ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アク
リル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸
とポリプロピレングリコールもしくはポリエチレングリ
コール等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステル類;(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル
およびその塩、ビニルスルホン酸およびその塩、酢酸ビ
ニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸
とエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、
ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペン
タエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価ア
ルコールとのエステル等の分子内に重合性不飽和基を2
個以上有する多官能(メタ)アクリル酸エステル類;ビ
ニルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプ
ロピルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラ
ン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン等の有機
ケイ素基を有する不飽和単量体類;およびフッ化ビニ
ル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、
ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート;2,4−ジヒ
ドロキシベンゾフェノン、または2,2’,4−トリヒ
ドロキシベンゾフェノンとグリシジル(メタ)アクリレ
ートとを反応させて得られる2−ヒドロキシ−4−〔3
−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ〕ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−
〔3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポ
キシ〕ベンゾフェノン等の重合性紫外線吸収性単量体;
4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6,−
テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルア
ミノ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、4
−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−
ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルア
ミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、
4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)ア
クリロイル−4−(メタ)アクリロアミノ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリ
ロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロ
トノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノ
イルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
等の重合性紫外線安定性単量体等が挙げられる。単量体
成分(B)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種
類以上を併用してもよい。また、単量体成分(B)は単
量体成分(A)の一部として使用することができる。
【0020】前段の乳化重合で得られる乳化重合体の酸
性基の少なくとも一部を中和する目的で塩基性化合物
が、使用される。上記乳化重合体の少なくとも一部を中
和することにより、乳化重合における重合安定性が改良
されるうえ、製造された水性樹脂分散体を塗料に用いた
場合、上記塗料における乾燥塗膜の耐汚染性を向上させ
ることができる。
【0021】上記塩基性化合物は、特に限定されるもの
ではなく、従来公知の種々の中和剤を使用することがで
きる。具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、
炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニ
ア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルア
ミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチル
アミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミ
ン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリ
アミン等の水溶性有機アミン類等が挙げられる。塩基性
化合物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以
上を併用してもよい。
【0022】上記例示の塩基性化合物のうち、アンモニ
ア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルア
ミン等の低沸点アミン類は、常温あるいは加熱下で飛散
することから、水性樹脂分散体を含む塗料における硬化
塗膜の耐汚染性をより向上させることができるので好ま
しく、さらにアンモニアがより好ましい。
【0023】上記塩基性化合物の使用量は、前段の乳化
重合で得られる乳化重合体の酸性基を50%を越えて中
和する量が好ましく、60%〜100%の範囲内である
ことがより好ましい。すなわち、重合性単量体(b)に
含まれるカルボキシル基などの酸性基1モルに対して
0.6モル〜1.0モルに相当する中和が、より好まし
い。
【0024】上記重合性単量体(c)としては、アミノ
基(−NH2 、−NH、−N<)、4級アンモニウム塩
等の窒素含有官能基を有する重合性単量体であればよ
く、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチル
アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチ
ル等のアミノ基を有するエチレン性不飽和単量体、ジア
リルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジエチ
ルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を有
する重合性単量体が挙げられる。
【0025】上記例示の重合性単量体(c)のうち、窒
素含有官能基を有する重合性単量体は、重合性単量体
(a)と良好に反応する架橋反応によって、水性樹脂分
散体からの塗膜を硬化させる機能も有し、水性樹脂分散
体を含む塗料の乾燥塗膜の耐汚染性を向上させ、上記塗
膜における耐水性および耐汚染性のバランスを保たせる
ことができるので好ましい。
【0026】上記重合性単量体(c)の使用量は、単量
体成分(A+B)に対して、0.1重量%〜10重量%
の範囲内であることが好ましく、1重量%〜5重量%の
範囲内であることがより好ましい。使用量が0.1重量
%より少ないと、重合性単量体(c)が有している特性
が発揮されず、乾燥塗膜としたときの耐汚染性が不十分
となることがあり好ましくない。一方、10重量%を越
えて使用すると、乳化重合時の重合安定性および貯蔵安
定性が低下し、乾燥塗膜の耐水性は、不十分となるので
好ましくない。
【0027】上記単量体成分(A)と単量体成分(B)
との割合は特に限定されるものではないが、重量比で、
90:10〜10:90の範囲内であることが好まし
く、さらに重合安定性および乾燥塗膜の物性等を考慮し
て、70:30〜30:70の範囲内であることがより
好ましい。
【0028】単量体成分(A)と単量体成分(B)との
重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の
種々の乳化重合方法を採用することができる。該乳化重
合方法としては、例えば、重合開始剤、水、乳化剤を一
括して重合する方法や、いわゆるモノマー滴下法、プレ
エマルション法等の重合方法が挙げられる。また、シー
ド重合、コア・シェル重合、パワーフィード重合等の多
段重合を行ってエマルション粒子の異相構造化を行うこ
とも可能である。
【0029】反応条件は、単量体成分(A)と単量体成
分(B)との組成等に応じて設定すればよく、特に限定
されるものではない。具体的には、例えば、反応温度は
0℃〜100℃の範囲内であることが好ましく、反応時
間は1時間〜10時間の範囲内であることが好ましい。
上記乳化重合は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で
行うことが好ましい。また、水性樹脂分散体の塗膜物性
を悪化させない範囲において、親水性溶媒を添加した
り、公知の他の乳化剤や添加剤を添加したりしてもよ
い。
【0030】また、塩基性化合物により前段の乳化重合
で得られる乳化重合体の酸性基の少なくとも一部を中和
する方法は、特に限定されるものではなく、後段の乳化
重合に使用される単量体成分(B)に添加しても良い
し、前段の乳化重合で得られる乳化重合体に直接添加し
ても良い。単量体成分(B)の一部に重合性単量体
(d)が含まれている場合、前段の乳化重合で得られる
乳化重合体に直接添加する方が好ましい。
【0031】上記水性媒体としては、通常、水が使用さ
れ、必要に応じて低級アルコールやケトン等の親水性有
機溶媒を併用できる。
【0032】前記重合開始剤としては、特に限定される
ものではなく、具体的には、例えば、2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミ
ジノプロパン)・二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−
シアノペンタン酸)等のアゾ化合物;過硫酸カリウム等
の過硫酸塩;過酸化水素、過酢酸、ベンゾイルパーオキ
サイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物;
等が挙げられる。上記例示の重合開始剤のうち、硫酸基
を残さないアゾ化合物や過酸化物等の重合開始剤の一種
または二種以上の混合物を使用するのが好ましい。
【0033】重合開始剤の使用量は、単量体成分(A)
と単量体成分(B)との組成等に応じて設定すればよ
く、特に限定されるものではないが、単量体成分(A+
B)100重量部に対して0.01重量部〜5重量部が
好ましい。
【0034】また、前記乳化剤としては、特に限定され
るものではなく、アニオン性界面活性剤、非イオン性界
面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ま
たは高分子界面活性剤等の全ての界面活性剤を使用する
ことができる。さらに、分子中に1個以上の重合可能な
炭素−炭素不飽和結合を有する重合性界面活性剤を使用
することができる。
【0035】上記アニオン性界面活性剤としては、具体
的には、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カ
リウムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキル
サルフェート;アンモニウムドデシルサルフェート等の
アンモニウムアルキルサルフェート;ナトリウムドデシ
ルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムス
ルホシノエート;スルホン化パラフィンのアルカリ金属
塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキ
ルスルホネート;ナトリウムラウレート、トリエタノー
ルアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテー
ト等の脂肪酸塩;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネ
ート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカ
リ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネー
ト;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンス
ルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸
塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリ
オキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が挙
げられる。
【0036】上記非イオン性界面活性剤としては、具体
的には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソ
ルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステル;グリセロールのモノラウレート等の
脂肪酸モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプ
ロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミ
ン、アミドまたは酸との縮合生成物などが使用できる。
【0037】上記高分子界面活性剤としては、具体的に
は、例えば、ポリビニルアルコール;ポリ(メタ)アク
リル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、
ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート;ポリヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート;またはこれらの重合体の構成単
位である重合性単量体の二種以上の共重合体または他の
単量体との共重合体等が挙げられる。また、クラウンエ
ーテル類等の相関移動触媒は界面活性を示すので、界面
活性剤として使用してもよい。
【0038】前記重合性界面活性剤としては、具体的に
は、例えば、プロペニル−2−エチルヘキシルベンゼン
スルホコハク酸エステルナトリウム、(メタ)アクリル
酸ポリオキシエチレンの硫酸エステル、ポリオキシエチ
レンアルキルプロペニルエーテル硫酸アンモニウム塩、
(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンエステルのリン
酸エステル等のアニオン性重合性界面活性剤;ポリオキ
シエチレンアルキルベンゼンエーテル(メタ)アクリル
酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(メ
タ)アクリル酸エステル等のノニオン性重合性界面活性
剤等が挙げられる。前記これら界面活性剤である乳化剤
としては、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以
上を併用してもよいが、水性樹脂分散体からの乾燥塗膜
の耐水性を考慮すれば、重合性界面活性剤が好ましい。
【0039】乳化剤の使用量は、特に限定されないが、
単量体成分(A+B)100重量部に対して0.1重量
部〜50重量部が好ましく、1重量部〜10重量部がよ
り好ましい。
【0040】本発明にかかる水性樹脂分散体は、以上の
製造方法で得られた乳化重合体のみを、そのまま塗料と
して使用できるものである。また、水性樹脂分散体に、
必要に応じて公知の添加剤、例えば、成膜助剤、顔料、
充填剤(フィラー)、トナー、湿潤剤、帯電防止剤、顔
料分散剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線
安定剤、流れコントロール剤、粘度調整剤等を添加して
もよい。
【0041】上記顔料としては、例えば、無機顔料では
酸化チタン、三酸化アンチモン、亜鉛華、リトポン、鉛
白等の白色顔料や、カーボンブラック、黄鉛、モリブデ
ン赤、ベンガラ、黄色酸化鉄、黄華等の着色顔料、有機
顔料ではベンジジン、ハンザイエロー等のアゾ化合物や
フタロシアニンブルー等のフタロシアニン類等が挙げら
れる。これら顔料は、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を併用してもよい。
【0042】また、これら顔料としては、塗膜の耐候性
を低下させないように、耐候性の良好な顔料を使用する
のが好ましい。例えば、白色顔料である酸化チタンを使
用する場合、アナターゼ型構造の酸化チタンよりもルチ
ル型構造の酸化チタンを用いる方が、水性樹脂分散体か
らの塗膜の耐候性の向上という面では好ましい。さら
に、ルチル型構造の酸化チタンを使用する場合、水性樹
脂分散体の長期耐候性を発現させるために、硫酸法によ
り製造された酸化チタンよりも塩素法により製造された
酸化チタンを使用する方が、より好ましい。
【0043】本発明の水性樹脂分散体を含む塗料を被塗
装物に被覆する方法は、特に限定されるものではなく、
従来公知の種々の被覆方法を採用することができる。該
被覆方法としては、例えば、ロールコーター、グラビコ
ーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアナイ
フコーター等またはスプレー等が挙げられる。上記被塗
装物は特に限定されるものではなく、例えば、紙;ポリ
エチレンテレフタレート、ナイロン、ポリ塩化ビニル等
の有機高分子の繊維およびフィルム;ガラス繊維等の無
機繊維;ゴムシート、金属板等が挙げられる。
【0044】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載
の「部」は「重量部」を示している。
【0045】(a)重合安定性 水性樹脂分散体の重合安定性は、凝集物量を測定するこ
とにより評価した。すなわち、凝集物量が0.010重
量%/対モノマー以下で、乳化重合が非常に安定してい
る場合を「非常に良好」(表3中、◎で示す)、凝集物
量が0.010重量%/対モノマーより大きく、乳化重
合が安定している場合を「良好」(同、○で示す)、凝
集物により乳化重合ができない場合を「凝集物が多く、
重合不可」(同、×で示す)と評価した。
【0046】(b)耐水白化性試験 水性樹脂分散体100部に対してブチルセロソルブ(成
膜助剤)を10部添加し、これをガラス板上にアプリケ
ーターで塗布し、乾燥後の塗膜の膜厚を約30μmとし
た。この塗膜を23℃、65%RH(Relative
Humidity)の条件で、7日間乾燥したものを
テストピースとして、23℃の脱イオン水中に1日間、
および7日間それぞれ浸漬し、塗膜の白化度をそれぞれ
目視観察した。
【0047】塗膜の白化度の評価基準は4段階とした。
すなわち、塗膜表面に変化が見られない場合を「異常な
し」(表4中、◎で示す)、塗膜表面が蛍光色を帯びる
場合を「わずかに蛍光色を帯びる」(同、○で示す)、
塗膜表面が全体に青白い蛍光色を帯びる場合を「全体に
青白い蛍光色」(同、△で示す)、塗膜表面が白化する
場合を「白化する」(同、×で示す)と評価した。
【0048】(c)耐温水白化性試験 耐水白化性試験と同様の操作を繰り返してテストピース
を調製した。このテストピースを60℃の温水中に3時
間、および1日間それぞれ浸漬し、塗膜の白化度をそれ
ぞれ目視観察した。塗膜の白化度の評価は、耐水白化性
試験の評価基準と同様の評価基準で行なった。
【0049】(d)吸水率および水中溶出試験 耐水白化性試験と同様の操作を繰り返して、テフロン板
上にアプリケーターで塗布し、乾燥後の塗膜の膜厚を約
100μmとした。この塗膜を23℃、65%RHの条
件で、7日間乾燥したものをテストピースとした。ま
ず、このテストピースを約20mm角に切り取り秤量し
た(このときの重量をW0 とする)。次に、このテスト
ピースを1日間、および7日間脱イオン水に浸漬した
後、それぞれ引き上げて表面の水分を軽く拭き取り、秤
量した(このときの重量をW1 とする)。さらに7日間
脱イオン水に浸漬したテストピースを110℃で1時間
乾燥し、放冷後秤量した(このときの重量をW2 とす
る)。下記算出式により吸水率および溶出率を求めた。
【0050】 吸水率(%)=100・(W1 −W0 )/W0 溶出率(%)=100・(W0 −W2 )/W0 (e)耐水性試験 水性樹脂分散体からなる塗料の耐水性は、次のようにし
て評価した。まず、水性樹脂分散体を下記組成からなる
白塗料に調製した。
【0051】 水 64.6(部) 特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤 (商品名、デモールEP、花王株式会社製) 2.0(部) ノブコ8034(サンノブコ株式会社製) 0.3(部) 酸化チタン(ルチル型) 60.0(部) 水性樹脂分散体 146.7(部) 2,2,4−トリメチルペンタンジオール −1,3−モノイソブチレート (商品名、CS−12、チッソ株式会社製) 9.5(部) 5%ポリエーテル系の増粘剤 (商品名、アデカノールUH−420、 旭電化株式会社製) 1.0(部) 合計 284.1(部) 得られた白塗料をフレキシブルボード上に、乾燥膜厚で
約80μmの塗膜になるように塗布した。白塗料を塗布
したフレキシブルボードを25℃で1週間乾燥させ、こ
れをテストピースとした。このテストピースを25℃の
水に3日間浸して、塗膜の状態の変化を調べた。塗膜の
耐水性の評価基準は3段階とした。すなわち、塗膜表面
に変化が見られない場合を「良好」(表5中、○で示
す)、塗膜表面の周辺部にやや小さな膨れが認められる
場合を「周辺部にやや小さな膨れ有り」(同、△で示
す)、塗膜に剥がれが認められる場合を「塗膜に剥が
れ」(同、×で示す)と評価した。
【0052】(f)耐汚染性試験 耐汚染性は、屋外暴露試験法により評価した。テストピ
ースは、耐水性試験のテストピースと同様のものを使用
した。このテストピースの塗膜面に汚染材料を滴下また
は付着させ、1ヵ月間放置後に汚染材料を拭き取った。
塗膜の表面の汚染程度を目視によって調べた。
【0053】塗膜の耐汚染性の評価基準は4段階とし
た。すなわち、塗膜表面に変化が見られない場合を「汚
れが目立たない」(表5中、◎で示す)、塗膜表面にや
や汚れが認められる場合を「やや汚れが認められる」
(同、○で示す)、塗膜表面に汚れが認められる場合を
「汚れが認められる」(同、△で示す)、塗膜表面の汚
れが著しい場合を「汚れが著しい」(同、×で示す)と
評価した。
【0054】〔実施例1〕滴下ロート、攪拌機、温度
計、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えたフラスコ
に脱イオン水65部、乳化剤として20%ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルプロペニルエーテル硫酸エステ
ルアンモニウム塩水溶液(商品名;アクアロンHS−1
0、第一工業製薬株式会社製)6.7部および20%ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルプロペニルエーテル
水溶液(商品名;アクアロンRN−20、第一工業製薬
株式会社製)3.3部を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを
吹き込みながら、攪拌下に75℃まで昇温した。
【0055】次に、2−エチルヘキシルアクリレート1
5部、グリシジルメタクリレート1部、アクリル酸1
部、ヒドロキシエチルメタクリレート1部、スチレン1
5部、n−ブチルメタクリレート12部、およびメチル
メタクリレート5部からなる単量体成分(A)のうち1
0重量%をフラスコに添加した。
【0056】残りの単量体成分(A)に、乳化剤として
20%アクアロンHS−10水溶液3.3部および20
%アクアロンRN−20水溶液1.7部と、脱イオン水
45部とを加え、プレエマルション混合物(I)とし
た。
【0057】続いて、5%の過硫酸アンモニウム水溶液
0.6部をプレエマルション混合物(I)に添加した。
10分後、上記プレエマルション混合物(I)と、さら
に5%の過硫酸カリウム水溶液2.4部とを80分間に
わたって上記フラスコに対し均一に滴下した。滴下中の
フラスコ内の温度は、75℃〜80℃に保持された。滴
下終了後、同温度で30分間攪拌しながら乳化重合を完
了させた。
【0058】次に、2−エチルヘキシルアクリレート1
4部、グリシジルメタクリレート1部、ヒドロキシエチ
ルメタクリレート1部、スチレン14部、n−ブチルメ
タクリレート5部、およびメチルメタクリレート15部
からなる単量体成分(B)に、塩基性化合物として25
%アンモニア水0.8部、乳化剤として20%アクアロ
ンHS−10水溶液5部および20%アクアロンRN−
20水溶液2.5部を加え、さらに脱イオン水65部を
加えたプレエマルション混合物(II)を調整した。
【0059】上記プレエマルション混合物(II)、5%
の過硫酸カリウム水溶液3.0部および2.5%の炭酸
水素ナトリウム水溶液2.4部を100分間にわたって
上記フラスコに均一に滴下した。滴下中のフラスコ内の
温度は、75℃〜80℃に保持された。
【0060】滴下終了後、同温度で1時間攪拌して、乳
化重合を完了し、固形分45%、粘度990mPa・s
の実施例1の水性樹脂分散体(1)を得た。単量体成分
(A)の組成を表1に、単量体成分(B)の組成を表2
に、これらの単量体成分を乳化重合して得られる水性樹
脂分散体(1)の固形分濃度、凝集物量および粘度を表
3に記載した。
【0061】得られた水性樹脂分散体(1)の各種物性
を、上述した方法により測定および評価した。その結
果、耐水白化性は1日後、7日後共に「異常なし」であ
り、耐温水白化性は3時間後は「異常なし」、1日後は
「僅かに蛍光色」であり、吸水率は1日後は3.3%、
7日後は6.2%であり、溶出率は0.1%であった。
水性樹脂分散体(1)の各種物性の測定結果および評価
を、表4に記載した。
【0062】さらに、得られた水性樹脂分散体(1)か
ら調製した白塗料の各種物性を、上述した方法により測
定および評価した。その結果、耐水性は「良好」であ
り、耐汚染性は「やや汚れが認められる」であった。水
性樹脂分散体(1)から製造した白塗料の各種物性およ
び評価を表5に記載した。
【0063】〔実施例2〕〜〔実施例6〕 実施例1において単量体成分の組成を表1、および表2
に示した通りとする他は実施例1の操作と同様の操作を
繰り返して、水性樹脂分散体(2)〜(6)を得た。た
だし、実施例2においては、塩基性化合物として25%
アンモニア水を単量体成分に混合添加する代わりに、前
述のフラスコに直接添加した。単量体成分(A)の組成
を表1に、単量体成分(B)の組成を表2に、これらの
単量体成分を乳化重合して得られる水性樹脂分散体
(2)〜(6)の固形分濃度、凝集物量および粘度を表
3に記載した。尚、実施例4では、乳化剤として、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウ
ム塩(商品名;ハイテノールN−08、第一工業製薬株
式会社製)、およびポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル(商品名;ノニポール200、三洋化成株式会
社製)を使用した。
【0064】得られた水性樹脂分散体(2)〜(6)の
各種物性を、上述した方法により測定および評価した。
水性樹脂分散体(2)〜(6)の各種物性の測定結果お
よび評価を、表4に記載した。
【0065】さらに、得られた水性樹脂分散体(2)〜
(6)から調製した白塗料の各種物性は、上述した方法
により測定または評価した。水性樹脂分散体(2)〜
(6)から製造した白塗料の各種物性および評価を表5
に記載した。
【0066】〔比較例1〕〜〔比較例3〕 実施例1において単量体成分の組成を表1、および表2
に示した通りとする他は実施例1の操作と同様の操作を
行って、比較用水性樹脂分散体(1)を得た。単量体成
分(A)の組成を表1に、単量体成分(B)の組成を表
2に、これらの単量体成分を乳化重合して得られる比較
用水性樹脂分散体(1)の固形分濃度、凝集物量および
粘度を表3に記載した。
【0067】得られた比較用水性樹脂分散体(1)の各
種物性を、上述した方法により測定および評価した。比
較用水性樹脂分散体(1)の各種物性の測定結果および
評価を、表4に記載した。
【0068】さらに、得られた比較用水性樹脂分散体
(1)から調製した白塗料の各種物性は、上述した方法
により測定または評価した。比較用水性樹脂分散体
(1)から製造した白塗料の各種物性および評価を表5
に記載した。
【0069】尚、比較例(2)、および(3)では、表
1および表2に記載の単量体の組成を用いて、乳化重合
を行ったところ、重合安定性が悪く、重合体を得ること
ができなかったことから、上記各種測定および評価を行
うことはできなかった。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】表3〜表5に記載された実施例1〜6の結
果から明らかなように、本発明にかかる水性樹脂分散体
は、製造時における各種物性を長期間維持することがで
きることがわかる。つまり、本発明にかかる水性樹脂分
散体は、長期貯蔵安定性に優れていることがわかる。さ
らに、本発明にかかる水性樹脂分散体からなる塗料は、
その塗膜が耐水性、耐汚染性、および肉持ち性に優れて
いることがわかる。
【0076】
【発明の効果】本発明の方法によれば、貯蔵安定性、お
よび重合安定性に優れた水性樹脂分散体の製造方法を提
供することができると共に、その水性樹脂分散体を含む
塗料からの塗膜に対し、塗布初期には速やかに乾燥硬化
するとともに、耐水性、耐汚染性、および肉持ち性に優
れた物性を付与できる水性樹脂分散体を安定に得ること
が可能となるという効果を奏する。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒素含有官能基および/または酸性基と反
    応性を有する重合性単量体(a)、および酸性基を有す
    る重合性単量体(b)を含む単量体成分(A)を乳化重
    合し、 上記酸性基の少なくとも一部を中和した状態にて、窒素含有官能基を有する重合性単量体(c)を含む 単量
    体成分(B)を、予め乳化剤で水に乳化させた状態で反
    応系に投入するプレエマルジョン法で乳化重合してなる
    水性樹脂分散体の製造方法であって、 単量体成分(A)に対して、酸性基を有する重合性単量
    体(b)の割合が、0.1重量%〜4.0重量%の範囲
    内であり、 上記窒素含有官能基を有する重合性単量体(c)が、ア
    ミノ基(−NH 2 、−NH、−N<)および/またはア
    ンモニウム塩を有する重合性単量体であり、 アミノ基(−NH 2 、−NH、−N<)および/または
    アンモニウム塩を有する重合性単量体の使用量が、単量
    体成分(A)および単量体成分(B)の合計量に対して
    0.1重量%〜10重量%の範囲内である ことを特徴と
    する水性樹脂分散体の製造方法。
  2. 【請求項2】窒素含有官能基および/または酸性基と反
    応性を有する重合性単量体(a)の使用量が、単量体成
    分(A)および単量体成分(B)の合計量に対して0.
    5重量%〜15重量%の範囲内であることを特徴とする
    請求項1記載の水性樹脂分散体の製造方法。
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