JP3214925U - 自動通気包装袋 - Google Patents

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【課題】より簡易な構造で良好な排気を行うことができるフック陳列が可能な自動通気包装袋を提供する。【解決手段】包装袋10の側辺部11に下辺部13側から上辺部12方向へヒートシール幅が一定に形成された側辺定幅シール部20と、側辺定幅シール部から上辺部方向へヒートシール幅が減少して形成された側辺漸減シール部21と、上辺部に両端側から中央側にかけてヒートシール幅が減少した上漸減部31を有する上辺シール部30と、上辺シール部の中央に上漸減部のヒートシール幅より狭小のヒートシール幅であり包装袋の中心部側に向けて弧状に突出してヒートシールされた通気予定部40と、上辺シール部における通気予定部の外方側に形成されたヒートシールされていない排気通過部50と、排気通過部を貫通して穿設されて加熱膨張時に通気予定部を介して袋内部の水蒸気を排気する排気孔部60とを備え、排気孔部が掛着孔部15である。【選択図】図3

Description

本考案は、包装袋ごと内容物を加熱する際に内容物から発生する水蒸気を自動的に排気して包装袋の破裂を防ぐ自動通気包装袋に関する。
近年、食事の支度、料理の提供を簡素化する目的から、調理済みもしくは途中まで調理済みの加工食品が広汎に使用、流通されている。とりわけ、1世帯あたりの人数減少、飲食店における調理経費削減等の要請から以前にも増して需要が伸びている。このような調理済み食品は、流通の利便性から種々の樹脂フィルムから成る容器、包装袋等に封入され、提供されている。調理済み食品の加熱は、大別して鍋等の湯煎と電子レンジ(高周波レンジ)によって最終的な調理が行われることが多い。特に、加熱時間の短縮や作業の簡素化の観点から電子レンジ加熱が多く好まれる。そこで食品包装の樹脂フィルム容器においても電子レンジ加熱に対応すべく耐熱性能、耐圧性能が高められている。電子レンジを用いて加熱する場合、食品等の内容物から蒸発に伴って発生する水蒸気により容器は膨張する。しかし、容器の膨張にも限界がある。容器、包装袋において、一定限度の内圧に達すると、容器(包装袋)が破裂し、大変危険である。同時に電子レンジ内を汚してしまう。
従前、水蒸気による破裂を防ぐために、利用者が加熱前に容器(包装袋)に穴を開けなければならず手間を要していた。また、予め穴が設けられた容器(包装袋)も存在するものの、容器自体の気密性は良好とはいえず、主に冷凍食品等の包装に限られている。そこで、容器自体の気密性を高めるとともに、予め水蒸気の逃げ道を確保すべく、容器、包装袋の一部に自動通気部を備えた包装袋が提案されている(例えば、特許文献1参照)。自動通気部は常時閉塞しているものの、加熱時に内容物から生じた水蒸気の膨張圧力を受けて最初に開封する。充満した水蒸気は包装袋外部へ放出させられ、容器内圧力を低下させる安全弁の役割を担う。
この自動通気包装袋は、内容物が充填された後、適宜の箱体に収容されて店頭販売される。近年はコンビニエンスストア等において、これら電子レンジ用の加工食品の販売が増加している。コンビニエンスストアでの販売に際しては、利用する客層が幅広く、利用者(客)も頻繁に入れ替わって滞在時間が短い場合が多いこと等から、多種多様な商品を比較的短時間で見ることができるように陳列することが好ましい。例えば、袋詰め商品等では、商品が見やすく利用者が手に取りやすい陳列方法として、陳列用のロッド状フック等に商品を吊り下げる手法(フック陳列)が採用されている。このようなフック陳列を行う包装袋には、陳列用フックを挿通させるための貫通孔が形成される
そこで、自動通気包装袋を用いた商品の店頭販売に際しても、包装の簡素化やコスト低減等を目的として箱体を使用せずにフック陳列を可能とすることが望まれている。また、この種の包装袋では、より簡易な構造で良好な排気を行うことが求められている。
特許第5946415号公報
本考案は前記の点に鑑みなされたものであり、より簡易な構造で良好な排気を行うことができるフック陳列が可能な自動通気包装袋を提供する。
すなわち、請求項1の考案は、陳列棚のフック部材に掛着される掛着孔部を有する包装袋であって、前記包装袋の側辺部に下辺部側から上辺部方向へヒートシール幅が一定に形成された側辺定幅シール部と、前記側辺定幅シール部から前記上辺部方向へヒートシール幅が減少して形成された側辺漸減シール部と、前記上辺部に両端側から中央側にかけてヒートシール幅が減少した上漸減部を有する上辺シール部と、前記上辺シール部の中央に前記上漸減部のヒートシール幅より狭小のヒートシール幅であり前記包装袋の中心部側に向けて弧状に突出してヒートシールされた通気予定部と、前記上辺シール部における前記通気予定部の外方側に形成されたヒートシールされていない排気通過部と、前記排気通過部を貫通して穿設されて加熱膨張時に前記通気予定部を介して袋内部の水蒸気を排気する排気孔部とを備え、前記排気孔部が前記掛着孔部であることを特徴とする自動通気包装袋に係る。
請求項2の考案は、前記側辺漸減シール部と前記上辺シール部との間の前記側辺部に前記側辺定幅シール部よりヒートシール幅が狭小で一定となる狭小定幅シール部が備えられる請求項1に記載の自動通気包装袋に係る。
請求項3の考案は、前記上辺シール部の前記上漸減部と前記通気予定部との間にヒートシール幅が一定となる上定幅部が備えられ、前記通気予定部のヒートシール幅が前記上定幅部よりも狭小である請求項1または2に記載の自動通気包装袋に係る。
請求項4の考案は、前記通気予定部の最大突出位置が、前記上辺シール部の最大幅よりも前記包装袋の中心部側に入り込んでいる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の自動通気包装袋に係る。
請求項5の考案は、前記上辺シール部の前記側辺部側に補強シール部が備えられる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の自動通気包装袋に係る。
請求項1の考案に係る自動通気包装袋によると、陳列棚のフック部材に掛着される掛着孔部を有する包装袋であって、前記包装袋の側辺部に下辺部側から上辺部方向へヒートシール幅が一定に形成された側辺定幅シール部と、前記側辺定幅シール部から前記上辺部方向へヒートシール幅が減少して形成された側辺漸減シール部と、前記上辺部に両端側から中央側にかけてヒートシール幅が減少した上漸減部を有する上辺シール部と、前記上辺シール部の中央に前記上漸減部のヒートシール幅より狭小のヒートシール幅であり前記包装袋の中心部側に向けて弧状に突出してヒートシールされた通気予定部と、前記上辺シール部における前記通気予定部の外方側に形成されたヒートシールされていない排気通過部と、前記排気通過部を貫通して穿設されて加熱膨張時に前記通気予定部を介して袋内部の水蒸気を排気する排気孔部とを備え、前記排気孔部が前記掛着孔部であるため、従来に比して構造が簡易で製造が容易で製造コストが低減され、加熱膨張時に発生した水蒸気を効率よく通気予定部側へ集中させることができて適切かつ安全に水蒸気の排気を行うことができるとともに、陳列棚のフック部材への掛着用の新たな構造を設けることなく適切にフック陳列することが可能である。
請求項2の考案に係る自動通気包装袋によると、請求項1の考案において、前記側辺漸減シール部と前記上辺シール部との間の前記側辺部に前記側辺定幅シール部よりヒートシール幅が狭小で一定となる狭小定幅シール部が備えられるため、ヒートシール部分の長さに応じて側辺漸減シール部の傾斜位置を調整することができる。
請求項3の考案に係る自動通気包装袋によると、請求項1または2の考案において、前記上辺シール部の前記上漸減部と前記通気予定部との間にヒートシール幅が一定となる上定幅部が備えられ、前記通気予定部のヒートシール幅が前記上定幅部よりも狭小であるため、ヒートシール部分の長さに応じて上漸減部の傾斜を調整することができる。
請求項4の考案に係る自動通気包装袋によると、請求項1ないし3のいずれかの考案において、前記通気予定部の最大突出位置が、前記上辺シール部の最大幅よりも前記包装袋の中心部側に入り込んでいるため、通気予定部が最初に加熱膨張時の内圧を受けやすくなって、フィルム間の融着を効率よく破壊することができる。
請求項5の考案に係る自動通気包装袋によると、請求項1ないし4のいずれかの考案において、前記上辺シール部の前記側辺部側に補強シール部が備えられるため、上辺シール部の側辺部側のヒートシールを補強することができる。
本考案の自動通気包装袋の陳列状態を表した斜視図である。 本考案の実施形態に係る自動通気包装袋の全体斜視図である。 自動通気包装袋の上面模式図である。 自動通気包装袋の側辺部側の模式図である。 自動通気包装袋の上辺部側の模式図である。 自動通気包装袋の膨張概念図である。 比較構造の包装袋の上面模式図である。 他の実施形態に係る自動通気包装袋の上辺部側の模式図である。
図1に示す本考案の自動通気包装袋10は、販売に際して陳列棚1のフック部材5に掛着される掛着孔部15を有する包装袋である。この自動通気包装袋10は、レトルト食品や冷凍食品等の内容物が充填され、特に電子レンジ(高周波レンジ、microwave oven)を用いて当該包装袋10ごと加熱調理が可能である。この包装袋10では、内容物が充填された後、レトルト殺菌される。自動通気包装袋10に充填される内容物は、米飯、炒飯、ピラフ、焼そば、焼きうどん、ピザ、中華まん、野菜炒め、餃子、シュウマイ、焼き鳥、ハンバーグ、干物、煮魚等の主に汁気の少ない固形状の食品である。
自動通気包装袋10は、図2,3に示すように、重ね合わせたフィルム体Fの左右の側辺部11,11と、上辺部12と、下辺部13とがヒートシール加工により封止されて製袋された包装袋であって、側辺定幅シール部20と、側辺漸減シール部21と、上辺シール部30と、通気予定部40と、排気通過部50と、排気孔部60とを備える。自動通気包装袋10では、内容物の充填後に下辺部13が封止される。自動通気包装袋10では、加熱調理により内容物から発生する水蒸気で膨張した際に、排気孔部60から袋内の水蒸気の排出が行われる。なお、自動通気包装袋10において、側辺部11,11は左右対称に構成される。
フィルム体Fとしては公知のレトルト包装用資材であるフィルムが用いられる。フィルム体Fは、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体等からなる二軸延伸フィルム、酸化アルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム、シリカ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルム、ポリメタキシリレンアジパミド系ポリアミド延伸フィルム、あるいは、これらと6−ナイロン等との共押出し積層フィルム等の電子レンジ(高周波レンジ)に対応可能な耐熱フィルムが例示される。通常、列記のフィルムは、内容物と接しヒートシールにより相互に融着する面側となるシーラントフィルムと当該フィルムを保護するポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂のフィルムが積層(ラミネート)されて形成される2層または3層以上の積層フィルムである。フィルム体では、各フィルム層の厚さ、積層数、樹脂組成、内容物の特性、耐熱温度、ヒートシール温度、包装袋としての強度、流通経路、流通形態等が総合的に勘案され選択される。例えば、ポリプロピレンフィルムでは、東レフィルム加工株式会社製ZK93KM等が利用され、ポリメタキシリレンアジパミド系ポリアミド延伸フィルムでは、三菱樹脂株式会社製SP−R等が利用される。
側辺定幅シール部20は、図4に示すように、包装袋の側辺部11に下辺部13側から上辺部12側にかけてヒートシール幅W1が一定となるようにヒートシールされた部位である。側辺定幅シール部20は、自動通気包装袋10の加熱膨張時に、ヒートシールされた下辺部13とともに袋下部側の封止状態を保持して、袋下部側からの破裂の発生を防止する。側辺定幅シール部20のヒートシール幅W1は、加熱膨張に耐え得る強度とともに、後述の側辺漸減シール部21を適切に形成するために必要な広さであれば特に限定されない。例えば、包装袋10の大きさ等にもよるが、8mm程度の広さがあればよい。ヒートシール幅W1の上限は、包装袋10の外観や内容量等に応じて適宜である。
側辺漸減シール部21は、図4に示すように、側辺部11に側辺定幅シール部20から上辺部12方向へヒートシール幅W2が減少して形成された部位である。側辺漸減シール部21は、上辺部12方向へヒートシール幅W2が減少する形状によって、加熱膨張時の内圧を上辺部12側(特に通気予定部40側)へ集中させるように作用する。側辺漸減シール部21の傾斜角度は、包装袋10の大きさ等に応じて適宜に設定される。側辺漸減シール部21の長さ等にもよるが、例えば、傾斜角度を3〜8度、好ましくは約5度とすることにより、上辺部12側を優先的に膨張させて通気予定部40側へ効率よく内圧を集中させることが可能である。
側辺漸減シール部21と側辺定幅シール部20との接続位置、すなわちヒートシール幅W2の減少開始位置S1は、側辺部11の長さ方向のほぼ中間位置が好ましい。減少開始位置S1が上辺部12側あるいは下辺部13側のいずれに偏りすぎても、効率よく通気予定部40側へ内圧を集中させることが困難となる。
また、側辺漸減シール部21の上辺部12側端部のヒートシール幅W3、すなわち側辺最小ヒートシール幅W3は、加熱膨張時に破裂しない程度の広さがあればよく、側辺定幅シール部20のヒートシール幅W1や側辺漸減シール部21の傾斜角度等に応じて適宜に設定される。包装袋10の大きさ等によるが、例えば、4mm程度である。
側辺漸減シール部21と後述の上辺シール部30との間の側辺部11には、図4に示すように、側辺定幅シール部20よりヒートシール幅W4が狭小で一定となる狭小定幅シール部22が備えられる。狭小定幅シール部22は、ヒートシール部分の長さに応じて側辺漸減シール部21の傾斜位置を調整する部位である。例えば、包装袋10が大容量で側辺部11が長い場合には狭小定幅シール部22のヒートシールを長くし、包装袋10が小容量で側辺部11が短い場合には狭小定幅シール部22のヒートシールを短くする。これにより、多様な内容量の包装袋に対応して側辺漸減シール部21が適切な位置に配置される。なお、狭小定幅シール部22のヒートシール幅W4は、側辺漸減シール部21の側辺最小ヒートシール幅W3に相当する。
上辺シール部30は、図3〜5に示すように、上辺部12に両端側から中央側にかけてヒートシール幅W5が減少した上漸減部31が形成されたヒートシール部分である。上辺シール部30は、上辺部12の中央側にかけてヒートシール幅W5が減少する上漸減部31の形状によって、加熱膨張時の内圧を後述の通気予定部40側へ集中させるように作用する。上辺シール部30の中央側のヒートシール幅、すなわち上辺最小ヒートシール幅W6は、後述の排気孔部60を形成するスペースが確保できる程度の広さがあればよい。排気孔部60の直径にもよるが、例えば12mm程度である。なお、上辺シール部30の側辺部11側のヒートシール幅、すなわち上辺最大ヒートシール幅W7は、上辺最小ヒートシール幅W6より広い幅であれば特に限定されない。そして上辺シール部30は、上辺最大ヒートシール幅W7から上辺最小ヒートシール幅W6との間で、ヒートシール幅W5が漸次減少される。
上辺シール部30と後述の通気予定部40との間の上辺部12には、図5に示すように、ヒートシール幅が一定となる上定幅部32が備えられる。上定幅部32は、ヒートシール部分の長さに応じて上辺シール部30の傾斜を調整する部位である。上定幅部32のヒートシール幅W8は、上辺シール部30の上辺最小ヒートシール幅W6に相当する。上辺シール部30と上定幅部32との接続位置S2は、上辺部12の側辺部11側から通気予定部40までの長さ方向のほぼ中間位置から通気予定部40までの範囲である。当該形状から把握できるように、上辺部12に緩やかな弧状が形成されている。
通気予定部40は、図3〜5に示すように、上辺部12の中央に上漸減部31のヒートシール幅(上辺最小ヒートシール幅W6)より狭小のヒートシール幅W9であり包装袋10の中心部側に向け弧状に突出してヒートシールされた部位である。図示のように、通気予定部40は偏平な台形の形状である。通気予定部40は、加熱膨張時に最初にヒートシールによるフィルム間の密着が破壊(壊裂)されて、袋内の水蒸気は排気される。通気予定部40は、意図的に形成した脆弱部位であり、当該自動通気包装袋10のいずれの部位の中で最もヒートシール幅が少ない。また、通気予定部40は、その最大突出位置が、上辺シール部30の最大幅(上辺最大ヒートシール幅W7)よりも包装袋10の中心部側に入り込んで形成される。これにより、通気予定部40は最初に加熱膨張時の内圧を受けやすくなる。つまり、ヒートシールされた辺部同士が離れようとする力を最初に受ける。従って、通気予定部40のフィルム間の密着は、効率よく破壊される。
排気通過部50は、図3〜5に示すように、上辺シール部30における通気予定部40の外方側に形成されたヒートシールされていない部位である。排気通過部50は、通気予定部40が破壊された際に、袋内の水蒸気が通過する経路となる。排気通過部50は、通気予定部40の外方側の上辺シール部30内に円形状の他、四角形や六角形等の多角形状等の適宜の形状に形成される。
排気孔部60は、図3〜5に示すように、排気通過部50を貫通して穿設された部位である。排気孔部60では、包装袋10の加熱膨張時に通気予定部40を介して袋内部の水蒸気が排気される。すなわち、加熱膨張により通気予定部40が破壊されることにより、通気予定部40と排気通過部50とが連通されるため、袋内部から通気予定部40と排気通過部50とを経由して排気孔部60から水蒸気が袋外へ排出される。
また、この排気孔部60は、図1に示すように、掛着孔部15を兼ねる。すなわち、店頭陳列時には陳列棚1のフック部材5に掛着される掛着孔部15として機能し、加熱調理時には膨張による袋内部の水蒸気を排気する排気孔部60として機能する。このように、上辺シール部30内(特に排気通過部50内)に形成した単一の貫通孔に掛着孔部15と排気孔部60とを兼用させることにより、極めて簡易な構造で適切な排気とフック陳列とが可能となる。なお、排気孔部60(掛着孔部15)の直径は、フック陳列のためのフック部材が挿通可能かつ排気通過部50内に収まる大きさであれば、特に限定されない。排気孔部60の位置は、掛着孔部15として使用する場合の強度の観点から、上辺部12側へ偏りすぎないことが好ましい。
次に、図6,7を用いて、本考案の自動通気包装袋10の加熱膨張時の変形する様子を比較構造の包装袋200と対比しながら説明する。図7(a)に示す比較構造の包装袋200は、側辺部211のヒートシール幅が全体に亘ってほぼ一定、すなわち側辺漸減シール部が形成されていない包装袋である。図7において、符号212は上辺部、213は下辺部、220は側辺シール部、230は上辺シール部、240は通気予定部、250は排気通過部、260は排気孔部である。
まず、本考案の自動通気包装袋10では、図6に示すように、加熱により包装袋10内の内容物から発生した水蒸気Vp(太点線矢印)が袋内に充満して袋を膨張させる。この時、包装袋10の側辺部11に側辺漸減シール部21が形成されているため、ヒートシール幅の大小よりフィルム体Fの押さえつけ量が異なる。そこで、側辺漸減シール部21から下辺部13側の容積より、側辺漸減シール部21から上辺部12側の容積が大きくなる。このため、上辺部12側の膨張が顕著となる。自動通気包装袋10の上辺部12側において、通気予定部40は最も内部側へ入り込んだ部位である。そのため、通気予定部40に対して水蒸気の圧力が加わりやすくなる。水蒸気発生に伴うこの時点の内圧は各部のヒートシール強度よりも低いため、ヒートシール部位の破壊は生じていない。
ここで、通気予定部40は、当該自動通気包装袋10のいずれの部位の中でヒートシール幅が最も狭められており、ヒートシール強度を意図的に脆弱にした部位である。通気予定部40の周囲に集中した内圧が高められて通気予定部40のヒートシール強度を上回ると、通気予定部40のヒートシール(融着)が破壊され、通気予定部40が開口されて排気通過部50と連通される。いったん、通気予定部40が開口されると、袋内の圧力が高められて膨張していたことにより、通気予定部40から排気通過部50を経由して排気孔部60から水蒸気の排気が円滑に行われ、直ちに内圧が減圧される。水蒸気の排気は、内圧が外気圧とほぼ釣り合うようになるまで継続して行われる。このように包装袋10内の内圧が減少されることにより、内圧が通気予定部40以外の部位のヒートシール強度を上回ることがないため、通気予定部40以外の部位のヒートシールは破壊されない。
一方、比較構造の包装袋200では、図7(b)に示すように、加熱により発生した水蒸気Vp5(太点直線矢印)は、袋内に充満して袋を膨張させる。この時、包装袋200の側辺シール部220は、ヒートシール幅が全体に亘って一定であるため、フィルム体Fの押さえつけ量に差異がない。そのため、包装袋200が全体的に膨張されて、本考案の包装袋10のように膨張に偏りが生じない。比較構造の包装袋200では、包装袋10の通気予定部40と同様に通気予定部240が脆弱部位であるが、上辺部212側の膨張が他の部位と変わらないため、本考案の包装袋10より通気予定部240へ圧力が加わらず、破壊されにくくなる。そのため、包装袋200が過剰に膨張したり、通気予定部240より先に他の部位でのヒートシールの破壊が発生したりする可能性がある。
このように、本考案の自動通気包装袋10では、側辺部11のヒートシール幅の変化により上辺部12側の膨張が顕著となる構造であるため、過剰な膨張、破裂は回避され内部の水蒸気は安全に排気される。
図8は、他の実施形態に係る自動通気包装袋10A,10Bの模式図である。図8(a)に示す自動通気包装袋10Aは、側辺部11に狭小定幅シール部を形成せずに側辺漸減シール部21の端部を上辺部12まで到達させるとともに、上定幅部を形成せずに上漸減部31の端部を通気予定部40まで到達させた例である。例えば、包装袋が極小容量の場合等には、側辺漸減シール部21の傾斜角度と減少開始位置との関係から、狭小定幅シール部が形成できないことがある。このように狭小定幅シール部や上定幅部を有しない場合であっても、上辺部12側を顕著に膨張させることができる。
また、図8(b)に示す自動通気包装袋10Bは、上辺シール部30の側辺部11側に補強シール部35が備えられた例である。補強シール部35は、側辺漸減シール部21または狭小定幅シール部22と上辺シール部30との接続部分である上辺部12の両端部分のヒートシールを補強する部位である。補強シール部35の形状は、側辺部11と上辺部12とを結ぶ円弧状36または直線状37である。
以上図示し説明したように、本考案の自動通気包装袋は、側辺部に側辺定幅シール部と側辺漸減シール部とが形成されるとともに、上辺部に上辺シール部と、通気予定部と排気通過部と排気孔部とが形成された構造である。そのため、従来に比して構造が極めて簡易であり、製造が容易で製造効率の向上を図ることができるとともに、製造コストも低減される。また、側辺部の側辺漸減シール部と、上辺部の上漸減部を有する上辺シール部とにより、加熱膨張時に発生した水蒸気を効率よく通気予定部側へ集中させることができる。そのため、通気予定部と排気通過部を経由して排気孔部から適切かつ安全に水蒸気の排気を行うことができる。
また、本考案の自動通気包装袋では、排気孔部が掛着孔部を兼ねている。そのため、陳列棚のフック部材への掛着用の新たな構造を設けることなく適切にフック陳列することが可能である。
本考案の自動通気包装袋は、電子レンジ等で加熱調理可能な包装袋であって、従来より構造が簡易で製造効率や製造コストの改善が図られ、加熱膨張時に適切かつ安全に水蒸気の排気を行うことができるとともに、店頭販売時に陳列棚にフック陳列することができる。そのため、市販の加熱調理可能な包装袋の代替として有望である。
1 陳列棚
5 フック部材
10,10A,10B 自動通気包装袋
11 側辺部
12 上辺部
13 下辺部
15 掛着孔部
20 側辺定幅シール部
21 側辺漸減シール部
22 狭小定幅シール部
30 上辺シール部
31 上漸減部
32 上定幅部
35 補強シール部
36 円弧状の補強シール部
37 直線状の補強シール部
40 通気予定部
50 排気通過部
60 排気孔部
F フィルム体
S1 減少開始位置
S2 上漸減部と上定幅部との接続位置
Vp,Vp1,Vp2,Vp5 水蒸気
W1 側辺定幅シール部のヒートシール幅
W2 側辺漸減シール部のヒートシール幅
W3 側辺最小ヒートシール幅
W4 狭小定幅シール部のヒートシール幅
W5 上漸減部のヒートシール幅
W6 上辺最小ヒートシール幅
W7 上辺最大ヒートシール幅
W8 上定幅部のヒートシール幅
W9 通気予定部のヒートシール幅

Claims (5)

  1. 陳列棚のフック部材に掛着される掛着孔部を有する包装袋であって、
    前記包装袋の側辺部に下辺部側から上辺部方向へヒートシール幅が一定に形成された側辺定幅シール部と、
    前記側辺定幅シール部から前記上辺部方向へヒートシール幅が減少して形成された側辺漸減シール部と、
    前記上辺部に両端側から中央側にかけてヒートシール幅が減少した上漸減部を有する上辺シール部と、
    前記上辺シール部の中央に前記上漸減部のヒートシール幅より狭小のヒートシール幅であり前記包装袋の中心部側に向けて弧状に突出してヒートシールされた通気予定部と、
    前記上辺シール部における前記通気予定部の外方側に形成されたヒートシールされていない排気通過部と、
    前記排気通過部を貫通して穿設されて加熱膨張時に前記通気予定部を介して袋内部の水蒸気を排気する排気孔部とを備え、
    前記排気孔部が前記掛着孔部である
    ことを特徴とする自動通気包装袋。
  2. 前記側辺漸減シール部と前記上辺シール部との間の前記側辺部に前記側辺定幅シール部よりヒートシール幅が狭小で一定となる狭小定幅シール部が備えられる請求項1に記載の自動通気包装袋。
  3. 前記上辺シール部の前記上漸減部と前記通気予定部との間にヒートシール幅が一定となる上定幅部が備えられ、前記通気予定部のヒートシール幅が前記上定幅部よりも狭小である請求項1または2に記載の自動通気包装袋。
  4. 前記通気予定部の最大突出位置が、前記上辺シール部の最大幅よりも前記包装袋の中心部側に入り込んでいる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の自動通気包装袋。
  5. 前記上辺シール部の前記側辺部側に補強シール部が備えられる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の自動通気包装袋。
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