JP3214542B2 - 耐熱性黄色含水酸化鉄顔料の製造法 - Google Patents

耐熱性黄色含水酸化鉄顔料の製造法

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JP3214542B2
JP3214542B2 JP34804795A JP34804795A JP3214542B2 JP 3214542 B2 JP3214542 B2 JP 3214542B2 JP 34804795 A JP34804795 A JP 34804795A JP 34804795 A JP34804795 A JP 34804795A JP 3214542 B2 JP3214542 B2 JP 3214542B2
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峰子 迫田
弘子 森井
一之 林
博 角田
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    • C09C1/00Treatment of specific inorganic materials other than fibrous fillers; Preparation of carbon black
    • C09C1/22Compounds of iron
    • C09C1/24Oxides of iron

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分散性が優れており、
しかも、耐熱性が向上しているとともに、耐熱性改善処
理工程の前後における色相の変化が小さい耐熱性黄色含
水酸化鉄顔料の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】黄色顔料は、樹脂やビヒクル中に分散さ
せて、樹脂、塗料、印刷インキ、道路アスファルトを製
造する際の着色顔料として広く使用されている。黄色は
交通上の規則や警戒を表す色であることから、殊に、道
路アスファルト用や路面表示塗料(トラフィックペイン
ト)用着色顔料としての用途が拡大している。
【0003】黄色顔料は、作業能率の面から樹脂やビヒ
クル中における分散性が優れていることはもちろん、耐
熱性が優れていることが要求される。
【0004】黄色顔料としては、従来から、クロム酸
鉛、クロム酸ストロンチウム、硫化カドミウム、含水酸
化鉄等が知られており、広く使用されている。
【0005】上記クロム酸鉛、クロム酸ストロンチウ
ム、硫化カドミウム等は、耐熱性に優れているため、樹
脂、塗料、印刷インキ等の着色顔料として広く使用され
ているが、有毒性、発癌性を有することから、国民の健
康、衛生、安全性の観点から、また、環境汚染防止の観
点から代替黄色顔料が強く要求されている。
【0006】含水酸化鉄粒子は、無毒であり、国民の健
康、衛生、安全性の観点から、また、環境汚染防止の観
点から優れたものではあるが、耐熱性の点で劣っている
という問題がある。
【0007】即ち、含水酸化鉄粒子は、Fe2 3 ・n
2 Oで示される通り、結晶水を有しており、加熱温度
を昇温させていくと、一般に200℃前後で脱水が開始
し始め、やがて230℃程度の温度で赤褐色のヘマタイ
ト(α−Fe2 3 )に変態する。
【0008】そのため、通常200℃以上の高温度で成
形加工されているポリエチレン、ポリプロピレン、スチ
レン重合体、ポリアミド、ポリオレフィン、ABSなど
の熱可塑性樹脂や、施工時に200〜260℃で加熱し
たり、溶融して使用される路面表示用塗料(トラフィッ
クペイント)に含水酸化鉄粒子を使用することは困難で
あった。
【0009】そこで、含水酸化鉄粒子の耐熱性を向上さ
せるために種々の処理を施すことが行われているが、耐
熱性改善処理工程の前後で色相の変化が大きいと、着色
顔料の命ともいうべき色相面からの製品設計が困難とな
ることから、耐熱性改善処理工程の前後における色相の
変化ができるだけ小さいことが要求される。
【0010】従来、含水酸化鉄粒子の耐熱性を向上させ
るための改善が種々試みられており、(1)含水酸化鉄
粒子をオートクレーブを用いて水又はアルカリ水溶液中
で水熱処理する方法(特公昭53−28158号公報
等)、(2)含水酸化鉄粒子の粒子表面をアルミニウム
化合物、ケイ素化合物等で被覆したり、含有、固溶させ
る方法(特公平6−17237号公報等)、(3)上記
(1)の方法と(2)の方法を組み合わせる方法(特公
昭49−16531号公報、特公昭54−7293号公
報、特公昭55−8462号公報、特開昭57−577
55号公報等)等が知られている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】分散性が優れており、
しかも、耐熱性が向上しているとともに、耐熱性改善処
理工程の前後における色相の変化が小さい黄色含水酸化
鉄粒子は、現在、最も要求されているところであるが、
これら諸特性を有する黄色含水酸化鉄顔料は、未だ得ら
れていない。
【0012】即ち、前出(1)の方法による処理を行っ
た黄色含水酸化鉄粒子は、耐熱性が向上したものではあ
るが、粒子の形態や粒度分布が耐熱性改善処理工程の前
後で大きく変化し、その結果、色相の変化が大きいもの
であった。
【0013】前出(2)の方法による処理を行った黄色
含水酸化鉄粒子は、色相の変化は小さいものではある
が、黄色含水酸化鉄粒子を凝集したままでアルミニウム
化合物等で被覆しているため、分散性が悪く、また、耐
熱性も不十分なものであった。
【0014】前出(3)の方法による処理を行った黄色
含水酸化鉄粒子は、耐熱性が向上したものではあるが、
前出(1)の方法と同様に耐熱性改善処理工程の前後に
おける色相の変化が大きいものである。
【0015】そこで、本発明は、分散性が優れており、
しかも、耐熱性が向上しているとともに、耐熱性改善処
理工程の前後における色相の変化が小さい黄色含水酸化
鉄粒子を得ることを技術的課題とする。
【0016】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0017】即ち、本発明は、黄色含水酸化鉄粒子を、
pH値が10以上のアルカリ性水溶液中で加熱処理した
後、濾別、水洗して可溶性硫酸塩をSO4 換算で200
0ppm以下とする工程とpH値が4以下の酸性水溶液
中で加熱処理した後、濾別、水洗して可溶性ナトリウム
塩をNa換算で1000ppm以下とする工程とを経由
させることにより、可溶性硫酸塩含有量と可溶性ナトリ
ウム塩含有量の少ない高純度黄色含水酸化鉄粒子とした
後、該高純度黄色含水酸化鉄粒子を含む水分散液のpH
値を10以上又は4以下に調整し、次いで、アルミニウ
ム化合物を添加、攪拌した後、該分散液のpH値を5〜
9の範囲に再調整することにより、前記高純度黄色含水
酸化鉄粒子の粒子表面にアルミニウムの水酸化物を被着
させることからなる耐熱性黄色含水酸化鉄顔料の製造法
である。
【0018】次に、本発明実施にあたっての諸条件につ
いて述べる。
【0019】本発明における黄色含水酸化鉄粒子は、
第一鉄塩水溶液に当量以上の水酸化アルカリ水溶液を加
えて得られる水酸化第一鉄コロイドを含む懸濁液を、p
H値が11以上、80℃以下の温度で酸素含有ガスを通
気して酸化反応を行うことにより針状黄色含水酸化鉄
(ゲータイト)粒子を生成する方法、第一鉄塩水溶液
と炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得られるFeCO
3 を含む懸濁液を、必要により熟成した後、酸素含有ガ
スを通気してpH値が8〜10の範囲で酸化反応を行う
ことにより紡錘状黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒子を
生成する方法、第一鉄塩水溶液に当量未満の水酸化ア
ルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶液を添加して得られ
る水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含
有ガスを通気して酸化反応を行うことにより、pHが4
以下の溶液中から針状黄色含水酸化鉄(ゲータイト)核
粒子を生成させ、次いで、該針状黄色含水酸化鉄(ゲー
タイト)核粒子を含む第一鉄塩水溶液に、該第一鉄塩水
溶液中のFe2+に対し当量以上の水酸化アルカリ水溶液
を添加した後、酸素含有ガスを通気して酸化反応を行う
ことにより、pH値が11以上の溶液中で前記針状黄色
含水酸化鉄(ゲータイト)核粒子を成長させる方法、
第一鉄塩水溶液に当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は
炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コ
ロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して
酸化反応を行うことにより、pH値が5以下の溶液中か
ら針状黄色含水酸化鉄(ゲータイト)核粒子を生成さ
せ、次いで、酸性乃至中性領域で前記針状黄色含水酸化
鉄(ゲータイト)核粒子を成長させる方法等により得る
ことができ、得られた黄色含水酸化鉄粒子は、平均長軸
径が0.1〜1.0μm、平均短軸径が0.02〜0.
10μm、軸比(長軸径/短軸径)が2〜20、BET
比表面積が10〜180m2 /gである。
【0020】尚、黄色含水酸化鉄粒子の色相を調整する
ことを目的として、黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒子
の生成反応中に、粒子粉末の長軸径、短軸径、軸比等の
諸特性を制御する為のNi、Zn、P、Si、Al等F
e以外の異種元素を添加してもよく、この場合には、生
成黄色含水酸化鉄粒子中に、これらFe以外の異種元素
が含有される。
【0021】本発明において使用する黄色含水酸化鉄粒
子は、上述した反応溶液中から生成した黄色含水酸化鉄
粒子を、濾別、水洗して得られる湿ケーキ、該湿ケーキ
を水中に分散させた分散スラリー、前記湿ケーキを乾燥
した乾燥粉末、乾燥した粉末を水中に再分散させた再分
散スラリーのいずれの形態であってもよいが、前記分散
スラリーを用いるのが効率上、作業上好ましい。
【0022】尚、反応溶液中の生成黄色含水酸化鉄粒子
を常法により、濾別、水洗することにより得られる黄色
含水酸化鉄粒子は、通常、鉄原料である硫酸第一鉄塩水
溶液に由来する可溶性硫酸塩をSO4 換算で通常300
0〜10000ppm程度、アルカリ原料である水酸化
ナトリウムに由来する可溶性ナトリウム塩をNa換算で
通常1500〜10000ppm程度含有している。
【0023】本発明のpH値が10以上のアルカリ性水
溶液中における黄色含水酸化鉄粒子の加熱処理は、黄色
含水酸化鉄粒子の湿ケーキ、分散スラリー、乾燥粉末、
再分散スラリーと水とを混合して黄色含水酸化鉄粒子を
含む水懸濁液を調整し、該水懸濁液中にアルカリ水溶液
を添加してpH値を10以上に調整した後、加熱するこ
とによって行う。
【0024】pH値の調整のために使用するアルカリ水
溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を
使用することができる。
【0025】水懸濁液中の黄色含水酸化鉄粒子の濃度
は、可溶性硫酸塩の除去効率を考慮すれば、2〜15重
量%程度、好ましくは3〜10重量%程度に調整するこ
とが好ましい。
【0026】pH値が10未満の場合には、黄色含水酸
化鉄粒子の粒子内部や粒子表面に吸着している可溶性硫
酸塩を十分抽出除去することが困難である。可溶性硫酸
塩の除去効率を考慮すれば、pH値が10.5以上が好
ましい。必要以上にアルカリ水溶液を添加する意味はな
く、経済性を考慮するとその上限値はpH値が13.9
程度である。
【0027】黄色含水酸化鉄粒子を含有しているアルカ
リ性懸濁液の加熱温度は、好ましくは40℃以上、より
好ましくは60℃以上であり、その上限値は100℃以
下であることが好ましい。40℃未満である場合には、
可溶性硫酸塩を抽出除去するのに長時間かかり好ましく
ない。100℃を越える場合には、オートクレーブ等の
特殊な装置が必要となり、得られる黄色含水酸化鉄粒子
は、耐熱性改善処理工程の前後で色相の変化が大きくな
る。
【0028】黄色含水酸化鉄粒子を含有しているアルカ
リ性懸濁液の加熱処理は、黄色含水酸化鉄粒子中に含有
される可溶性硫酸塩をSO4 換算で2000ppm以
下、好ましくは1500ppm以下、より好ましくは1
000ppm以下となるまで行えばよい。可溶性硫酸塩
をSO4 換算で3000〜10000ppm程度含有し
ている黄色含水酸化鉄粒子の場合は、通常、30分間以
上、好ましくは60分間以上加熱処理することが好まし
い。必要以上に長時間加熱処理することは意味がなく、
可溶性硫酸塩の除去効率、経済性を考慮すれば、その上
限値は360分間程度である。
【0029】本発明のpH値が4以下の酸性水溶液中に
おける黄色含水酸化鉄粒子の加熱処理は、黄色含水酸化
鉄粒子の湿ケーキ、分散スラリー、乾燥粉末、再分散ス
ラリーと水とを混合して黄色含水酸化鉄粒子を含む水懸
濁液を調整し、該水懸濁液中に酸性水溶液を添加してp
H値を4以下に調整した後、加熱することによって行
う。
【0030】pH値を調整するために使用する酸水溶液
としては、塩酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等を使用するこ
とができる。
【0031】水懸濁液中の黄色含水酸化鉄粒子の濃度
は、可溶性ナトリウム塩の除去効率を考慮すれば、2〜
15重量%、好ましくは3〜10重量%程度に調整する
ことが好ましい。
【0032】pH値が4を越える場合には、黄色含水酸
化鉄粒子の粒子内部や粒子表面に強く吸着している可溶
性ナトリウム塩を十分抽出除去することが困難である。
可溶性ナトリウム塩の除去効率を考慮すれば、pH値が
3.5以下が好ましい。必要以上に酸水溶液を添加する
意味はなく、経済性を考慮するとその下限値はpH値が
0.1程度である。
【0033】黄色含水酸化鉄粒子を含有している酸性懸
濁液の加熱温度は、好ましくは40℃以上、より好まし
くは60℃以上であり、その上限値は100℃以下であ
ることが好ましい。40℃未満である場合には、可溶性
ナトリウム塩を抽出除去するのに長時間かかり好ましく
ない。100℃を越える場合には、オートクレーブ等の
特殊な装置が必要となり、得られる黄色含水酸化鉄粒子
は、耐熱性改善処理工程の前後で色相の変化が大きくな
る。
【0034】黄色含水酸化鉄粒子を含有している酸性懸
濁液の加熱処理は、黄色含水酸化鉄粒子中に含有される
可溶性ナトリウム塩をNa換算で1000ppm以下、
好ましくは700ppm以下、より好ましくは500p
pm以下となるまで行えばよい。可溶性ナトリウム塩を
Na換算で1500〜10000ppm程度含有してい
る黄色含水酸化鉄粒子の場合は、通常、30分間以上、
好ましくは60分間以上加熱処理することが好ましい。
必要以上に長時間加熱処理することは意味がなく、可溶
性ナトリウム塩の除去効率、経済性を考慮すれば、その
上限値は360分間程度である。
【0035】本発明のpH値が10以上のアルカリ性水
溶液中における加熱処理とpH値が4以下の酸性水溶液
中における加熱処理は、いずれが先でも後でもよく、先
の加熱処理終了後、濾別、水洗して得られる黄色含水酸
化鉄粒子を水中に再分散させ、次いで、後の加熱処理を
行えばよい。
【0036】本発明のpH値が10以上のアルカリ性水
溶液中における加熱処理とpH値が4以下の酸性水溶液
中における加熱処理とが終了した後、懸濁液中の黄色含
水酸化鉄粒子は、常法により濾別、水洗する。
【0037】濾別、水洗して得られた黄色含水酸化鉄粒
子は、可溶性硫酸塩がSO4 換算で2000ppm以
下、好ましくは1500ppm以下、より好ましくは1
000ppm以下であり、下限値は、工業性、経済性を
考慮すれば0.1ppm程度である。可溶性ナトリウム
塩はNa換算で1000ppm以下、好ましくは700
ppm以下、より好ましくは500ppm以下であり、
下限値は、工業性、経済性を考慮すれば0.1ppm程
度である。
【0038】本発明のpH値が10以上のアルカリ性水
溶液中における加熱処理とpH値が4以下の酸性水溶液
中における加熱処理とを経由させた黄色含水酸化鉄粒子
は、上述した通り、高純度の粒子であり、電子顕微鏡観
察の結果、個々の粒子がバラバラになっており、粒子相
互の凝集が解きほぐされたものである。
【0039】本発明においては、高純度化のための加熱
処理が終了した後、濾別、水洗して得られる湿ケーキ、
該湿ケーキを水中に分散させた分散スラリー、前記湿ケ
ーキを乾燥した乾燥粉末、該乾燥粉末を水中に再分散さ
せた再分散スラリーのいずれかと水とを混合して高純度
黄色含水酸化鉄粒子を含む水懸濁液を調整する。次い
で、該水懸濁液中のpH値を10以上又は4以下に調整
した後、アルミニウム化合物を添加、攪拌し、次いで、
水分散液のpH値を5〜9の範囲に再調整することによ
り、上記アルミニウム化合物をアルミニウムの水酸化物
として前記高純度黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面に沈
澱、被着させた後、濾別水洗、乾燥する。
【0040】高純度黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面にア
ルミニウムの水酸化物で被覆するに際してのpH値の調
整は、通常使用されるアルカリ水溶液、酸水溶液を使用
すればよい。
【0041】アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウ
ム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液等
を使用することができる。
【0042】酸水溶液としては、塩酸、硝酸、酢酸、シ
ュウ酸、硫酸等を使用することができる。
【0043】アルミニウム化合物を添加する前のpH値
は、pH値が10以上又は4以下であることが必要であ
る。pH値が10未満、pH値が4を越える場合には、
添加したアルミニウム化合物が瞬時にアルミニウムの水
酸化物として沈澱してしまい、黄色含水酸化鉄粒子の粒
子表面に均一に被着することが困難となる。
【0044】本発明におけるアルミニウム化合物を添加
した懸濁液の攪拌は、pH値が10以上又は4以下で行
う。pH値が10未満の場合、pH値が4を越える場合
には、イオン状のアルミニウム塩が黄色含水酸化鉄粒子
を含む懸濁液中に均一に混合されにくく、黄色含水酸化
鉄粒子の粒子表面にアルミニウムの水酸化物が均一に沈
澱、被着することが困難となる。
【0045】黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面にアルミニ
ウムの水酸化物を沈澱、被着する時の懸濁液温度は、常
温でもよいが、均一に被着する為には、好ましくは40
℃以上、より好ましくは60℃以上である。
【0046】本発明における黄色含水酸化鉄粒子の粒子
表面にアルミニウムの水酸化物を沈着させる際の懸濁液
のpH値は、5〜9の範囲となるように調整する。pH
値が5未満の場合、9を越える場合は、黄色含水酸化鉄
粒子の粒子表面にアルミニウムの水酸化物を沈澱、被着
することができない。
【0047】本発明におけるアルミニウム化合物の添加
量は、黄色含水酸化鉄粒子に対しAl換算で0.1〜2
0.0重量%である。0.1重量%未満の場合には、黄
色含水酸化鉄粒子の粒子表面にアルミニウムの水酸化物
を十分、沈澱、被着することが困難となり、本発明の目
的とする耐熱性の改善効果、分散性の改善効果が得られ
難い。20.0重量%を越える場合には、黄色含水酸化
鉄粒子の耐熱性の改善効果、分散性の改善効果は得られ
るが、効果がほぼ飽和し、必要以上に添加する意味がな
い。黄色含水酸化鉄粒子の耐熱性の改善効果、分散性の
改善効果を考慮すれば、好ましくは0.15〜5.0重
量%である。
【0048】本発明においては、添加したアルミニウム
の化合物は、ほぼ全量がアルミニウムの水酸化物となっ
て、黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面に沈澱、被着され
る。
【0049】本発明の方法により得られる黄色含水酸化
鉄粒子は、分散性が優れており、殊に、光沢が80〜1
50%、好ましくは85〜150%であり、しかも、耐
熱性が向上した、殊に、耐熱温度が240℃以上、好ま
しくは250℃以上であるとともに、耐熱性改善処理工
程の前後における色相の変化が小さい、殊に、ΔLが絶
対値で1.0以下、好ましくは0.5以下であって、Δ
aが絶対値で1.0以下、好ましくは0.5以下であっ
て、Δbが絶対値で1.0以下、好ましくは0.5以下
である。
【0050】
【作用】本発明において最も重要な点は、黄色含水酸化
鉄粒子を、pH値が10以上のアルカリ性水溶液中で加
熱処理した後、濾別、水洗して可溶性硫酸塩をSO4
算で2000ppm以下とする工程とpH値が4以下の
酸性水溶液中で加熱処理した後、濾別、水洗して可溶性
ナトリウム塩をNa換算で1000ppm以下とする工
程とを経由させることにより、可溶性硫酸塩含有量と可
溶性ナトリウム塩含有量の少ない高純度黄色含水酸化鉄
粒子とした後、該高純度黄色含水酸化鉄粒子を含む水分
散液のpH値を10以上又は4以下に調整し、次いで、
アルミニウム化合物を添加、攪拌した後、該分散液のp
H値を5〜9の範囲に再調整することにより、前記高純
度黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面にアルミニウムの水酸
化物を被着させた場合には、分散性が優れており、しか
も、耐熱性が向上しているとともに、耐熱性改善処理工
程の前後における色相の変化が小さいものであるという
事実である。
【0051】黄色含水酸化鉄粒子の耐熱性が向上した理
由について、本発明者は、アルミニウムの水酸化物で黄
色含水酸化鉄粒子の粒子表面を被着するに先立って、あ
らかじめ高純度黄色含水酸化鉄粒子としておくことによ
り、黄色含水酸化鉄粒子の二次凝集が十分解きほぐされ
て凝集粒子を1個1個バラバラにすることができ、その
結果、粒子1個1個の粒子表面にアルミニウムの水酸化
物を十分且つ均一に被着することができたことによるも
のと考えている。
【0052】高純度黄色含水酸化鉄粒子は、二次凝集が
十分解きほぐされたものであるという事実について以下
に説明する。
【0053】反応溶液中から生成した黄色含水酸化鉄
(ゲータイト)粒子は、前述した通り、鉄原料が硫酸第
一鉄である場合には当然反応母液中に可溶性硫酸塩〔S
4 --〕が多量に存在するのである。
【0054】特に、酸性溶液中から黄色含水酸化鉄(ゲ
ータイト)粒子を生成する場合には、同時に、Na2
4 等可溶性硫酸塩を生じる一方、K+ 、NH4 + 、N
+、等のアルカリ金属を含有しているので、アルカリ
金属や硫酸塩を含む沈澱を生じ易く、この沈澱は、RF
3 (SO4 )(OH)6 (R=K+ 、NH4 + 、Na
+ )で示される。これら沈澱物は難溶性の含硫酸塩で常
法による水洗によっては除去することができない。
【0055】硫酸第一鉄と水酸化ナトリウムとを用いて
pH値が11以上のアルカリ性水溶液中から黄色含水酸
化鉄(ゲータイト)粒子を生成する場合には、同時に生
成される硫酸塩はNa2 SO4 であり、又、母液中にN
aOHが存在し、これらは共に可溶性であるため黄色含
水酸化鉄(ゲータイト)粒子を十分水洗すれば本質的に
はNa2 SO4 およびNaOHを除去できるはずであ
る。
【0056】しかし、一般には黄色含水酸化鉄(ゲータ
イト)粒子の結晶性が小さい為、水洗効率が悪く、常法
により水洗した場合、なお、粒子中に可溶性硫酸塩〔S
4 --〕、可溶性ナトリウム塩〔Na+ 〕を多く含んで
いる。
【0057】上述した可溶性硫酸塩や可溶性ナトリウム
塩は、黄色含水酸化鉄粒子の粒子内部に含有されたり、
粒子表面に存在することにより、黄色含水酸化鉄(ゲー
タイト)粒子相互を架橋しながら強固に結合し、黄色含
水酸化鉄粒子相互間の凝集は一層強まることになる。上
記黄色含水酸化鉄粒子凝集物をpH値が10以上のアル
カリ性水溶液中で加熱処理すると、アルカリ性水溶液が
黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒子凝集物の表面から内
部まで十分浸透し、その結果、粒子内部や粒子表面及び
凝集物内部に強く結合している硫酸塩の結合力が徐々に
弱まり、粒子内部や粒子表面及び凝集物内部から硫酸塩
が解離され、同時に、可溶性ナトリウム塩も水洗除去し
やすくなるものと考えられる。
【0058】一方、黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒子
凝集物をpH値が4以下の酸性水溶液中で加熱処理する
と、酸性水溶液が黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒子凝
集物の表面から内部まで十分浸透し、その結果、粒子内
部や粒子表面及び凝集物内部に強く結合しているナトリ
ウム塩の結合力が徐々に弱まり、粒子内部や粒子表面及
び凝集物内部からナトリウム塩が解離され、同時に、可
溶性硫酸塩も水洗除去しやすくなるものと考えられる。
【0059】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0060】尚、粒子の平均長軸径、平均短軸径は、い
ずれも電子顕微鏡写真に示される粒子350個の長軸
径、短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0061】黄色含水酸化鉄中の可溶性硫酸塩及び可溶
性ナトリウム塩は、黄色含水酸化鉄粉末5g及び純水1
00mlを秤量して200mlビーカーに添加して5分
間煮沸をした後、室温まで冷却し、次いで、蒸発により
損失した量の純水を追加した後、濾別して得られる濾液
を用いて、濾液中のSO4 量及びNa量を誘導結合プラ
ズマ発光分光分析装置SPS4000(セイコー電子工
業(株)製)により測定した値で示した。
【0062】黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面に被着して
いるAl量は、蛍光X線分析により測定した。
【0063】黄色含水酸化鉄顔料の耐熱性は、熱分析装
置SSC5000(セイコー電子工業(株)製)を用い
て被測定物の示差走査熱量測定(DSC)を行い、得ら
れた該DSCチャート上に示されるピークを形成する2
つの変曲点のうち最初の変曲点を構成する2つの曲線の
それぞれについて接線を引き、両接線の交点に対応する
温度を読み取って、その温度で示した。
【0064】黄色含水酸化鉄顔料の色相(L* 値、a*
値及びb* 値)及び光沢(分散性)は、下記の方法によ
り、黄色含水酸化鉄顔料を用いた溶剤系塗料を作成し、
その塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×15
0mm)(JIS G−3141)に150μmの厚み
で塗布、乾燥して塗膜を形成することにより得られた測
定用試料片を用いて測定した。
【0065】溶剤系塗料は、下記のようにして製造し
た。
【0066】黄色含水酸化鉄顔料10gと下記割合のア
ミノアルキッド樹脂及びシンナーとを、3mmφガラス
ビーズ90gとともに140mlのガラスびんに入れペ
イントシェーカーで90分間混合、分散し、ミルベース
を作製した。
【0067】 黄色含水酸化鉄顔料 12.2重量部 アミノアルキッド樹脂 アミラックNo.1026 19.5重量部 (商品名:関西ペイント(株)製) シンナー 7.3重量部
【0068】次に、上記ミルベースに下記割合のアミノ
アルキッド樹脂を配合して、更にペインシェーカーで1
5分間混合、分散し、溶剤系塗料を得た。
【0069】 ミルベース 39.0重量部 アミノアルキッド樹脂 アミラックNo.1026 61.0重量部 (商品名:関西ペイント(株)製)
【0070】色相を表すL* 値(明度)、a* 値(赤色
度)及びb* 値(黄色度)は、上記測定用試料片を用い
てHunterのLab空間によりL* 値、a* 値及び
*値をそれぞれ測色し、国際照明委員会(Commi
ssion Internationnale de
l’Eclairage、CIE)1976(L* 、a
* 、b* )均等知覚空間に従って表示した値で示した。
尚、測色用には、多光源分光測色計(MSC−IS−2
D、スガ試験機(株)製)Molti−spctro−
colour−Meterを用いた。
【0071】黄色含水酸化鉄顔料の色相の変化は、耐熱
性改善処理工程の前後における黄色含水酸化鉄粒子のL
* 値、a* 値及びb* 値のそれぞれを測定し、耐熱性改
善処理の前後における黄色含水酸化鉄粒子のL* 値、a
* 値及びb* 値のそれぞれの差をΔL* 、Δa* 及びΔ
* として示した。ΔL* 、Δa* 及びΔb* の絶対値
が小さい程、色相の変化が小さいことを意味する。
【0072】光沢度は、上記測定用試料片の塗膜をデジ
タル光沢計UGV−5D(スガ試験機(株)製)を用い
て入射角20°で測定した時の光沢度(グロス)の値で
示した。光沢度(グロス)の値が高い程、分散性が優れ
ていることを示す。
【0073】前記の方法により酸性水溶液中から得ら
れた針状黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒子(反応溶液
の一部を抜き取り、水洗して得られた黄色含水酸化鉄粒
子の特性は、平均長軸径0.39μm、平均短軸径0.
063μm、軸比(長軸径/短軸径)6.2、BET比
表面積値19.8m2 /g、可溶性硫酸塩はSO4 換算
で5560ppm、可溶性ナトリウム塩はNa換算で2
280ppmであった。)の湿ケーキ3.3kg(乾燥
粉末に換算して1kg)を水19lに攪拌機を用いて解
膠し、次いで、高速ディゾルバーおよび縦型ビーズミル
を用いて、懸濁液中の黄色含水酸化鉄粒子をよく分散さ
せた。この時の水懸濁液中の黄色含水酸化鉄濃度は4.
5重量%であって、pH値は5.7であった。
【0074】上記水懸濁液を攪拌しながら加熱昇温し8
0℃とした。水懸濁液の攪拌を続けながら0.1Nの水
酸化ナトリウム水溶液を水懸濁液のpH値が11.0と
なるまで添加し30分間維持した。
【0075】プレスフィルターを用いて濾別し、通水し
ながら十分水洗した。得られた黄色含水酸化鉄粒子は、
可溶性硫酸塩がSO4 換算で280ppm、可溶性ナト
リウム塩はNa換算で1074ppmであった。
【0076】上記湿ケーキ(含水固形物)を再度水19
l中に解膠して得られた水懸濁液(黄色含水酸化鉄濃度
は4.5重量%)を80℃まで加熱昇温した後、1Nの
酢酸水溶液を水懸濁液のpH値が3.9となるまで添加
し、さらに30分間維持した。
【0077】プレスフィルターを用いて濾別し、通水し
ながら十分水洗した。得られた黄色含水酸化鉄粒子は、
可溶性硫酸塩がSO4 換算で256ppm、可溶性ナト
リウム塩はNa換算で79ppmであった。
【0078】得られた湿ケーキを攪拌機を用いて、水1
9lに解膠して得られたpH値が5.1の懸濁液(黄色
含水酸化鉄濃度は4.5重量%)を80℃まで加熱昇温
した。次に、0.1NのNaOHをpH値が10.3に
なるまで添加し、攪拌を続けながらアルミン酸ナトリウ
ム(NA−170、住友化学工業(株)製)120gを
加え10分間保持した。その後5Nの酢酸水溶液をpH
値が6.0になるまで添加した後30分間維持し、黄色
含水酸化鉄粒子の粒子表面にアルミニウムの水酸化物を
沈澱、被着させた。
【0079】続いて、プレスフィルターを用いて濾別
し、通水しながら十分水洗して湿ケーキを得る。湿ケー
キを120℃で24時間乾燥させた後、自由粉砕機M−
2型(商品名:(株)奈良機械製作所製)で解砕し、黄
色酸化鉄粒子粉末を得た。
【0080】得られた黄色含水酸化鉄(ゲータイト)粒
子は、粒子表面がAl換算で1.27wt%のアルミニ
ウムの水酸化物で被覆されており、平均長軸径が0.3
8μm、平均短軸径が0.063μm、BET比表面積
値が21.7m2 /gであって、可溶性硫酸塩がSO4
換算で234ppm、可溶性ナトリウム塩はNa換算で
83ppmであった。また、耐熱温度は270℃、色相
の変化はΔL* =−0.1、Δa* =−0.2及びΔb
* =+0.3であり、光沢度は88%であった。
【0081】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0082】<黄色含水酸化鉄粒子粉末の種類>被処理
粒子である黄色含水酸化鉄粒子粉末として表1に示され
る被処理粒子1乃至被処理粒子3を準備した。
【0083】
【表1】
【0084】実施例1〜5 被処理粒子の種類、水懸濁液中の含水酸化鉄濃度、アル
カリ水溶液中の処理工程におけるpH値、加熱温度及び
加熱時間、酸性水溶液中の処理工程におけるpH値、加
熱温度及び加熱時間を種々変化させた以外は、前記発明
の実施の形態と同様にして高純度化処理を行った。
【0085】この時の主要製造条件及び諸特性を表2に
示す。
【0086】
【表2】
【0087】実施例6〜10 アルミニウムの水酸化物による被着工程における水懸濁
液中の高純度含水酸化鉄濃度、添加するアルミニウム化
合物の種類、量、添加前のpH値、懸濁液の最終pH値
を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様
にして粒子表面にアルミニウムの水酸化物が被着されて
いる高純度黄色含水酸化鉄粒子粉末を得た。
【0088】この時の主要製造条件を表3に、粒子表面
にアルミニウムの水酸化物が被着されている高純度黄色
含水酸化鉄粒子粉末の諸特性を4に示す。
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】比較例1 発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と
同一の黄色含水酸化鉄粒子を用い、いずれの処理も施さ
ないで、その諸特性を測定した結果を表4に示す。表4
に示す通り、反応溶液中から濾別、水洗、乾燥して得ら
れる黄色含水酸化鉄は、耐熱性が悪いものであった。
【0092】比較例2 発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と
同一の黄色含水酸化鉄粒子を用い、アルカリ性水溶液中
における加熱処理及び酸性水溶液中における加熱処理を
施すことなく、水懸濁液中の黄色含水酸化鉄濃度を4.
5重量%、アルミン酸ナトリウムの添加量をAl換算で
2.68重量%、添加前の懸濁液pH値を10.0、懸
濁液の最終pH値を7.0に調整した以外は発明の実施
の形態と同様にして、アルミニウムの水酸化物が被着さ
れている黄色含水酸化鉄粒子を得た。
【0093】得られた粒子表面にアルミニウムの水酸化
物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子の諸特性を表4
に示す。表4に示す通り、反応溶液中から濾別、水洗、
乾燥して得られる黄色含水酸化鉄粒子の粒子表面にアル
ミニウムの水酸化物を被着させるものは、耐熱性が未だ
不十分なものであった。
【0094】比較例3 発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と
同一の黄色含水酸化鉄粒子を用い、酸性水溶液中におけ
る加熱処理を施すことなく、水懸濁液中の黄色含水酸化
鉄濃度を4.5重量%、pH値を11.0、加熱温度6
0℃、加熱時間30分間に調整した以外は、発明の実施
の形態と同様にしてアルカリ性水溶液中で処理を行うと
ともに、水懸濁液中の黄色含水酸化鉄濃度を4.5重量
%、アルミン酸ナトリウムの添加量を0.55重量%、
添加前の懸濁液pH値を10.0、懸濁液の最終pH値
を6.0に調整した以外は発明の実施の形態と同様にし
て、アルミニウムの水酸化物が被着されている黄色含水
酸化鉄粒子を得た。
【0095】得られた粒子表面にアルミニウムの水酸化
物が被着されている黄色含水酸化鉄粒子の諸特性を表4
に示す。表4に示す通り、黄色含水酸化鉄は、耐熱性が
未だ不十分なものであった。
【0096】尚、上記アルカリ性水溶液中における加熱
処理を施した直後に抜き取った黄色含水酸化鉄粒子の可
溶性硫酸塩はSO4 換算で696ppm、可溶性ナトリ
ウム塩はNa換算で2033ppmであった。
【0097】比較例4 発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と
同一の黄色含水酸化鉄粒子を用い、アルカリ性水溶液中
における加熱処理を施すことなく、水懸濁液中の含水酸
化鉄濃度4.5重量%、pH値を3.8、加熱温度60
℃、加熱時間30分間に調整した以外は、発明の実施の
形態と同様にして酸性水溶液中で加熱処理を行い、黄色
含水酸化鉄粒子を得た。
【0098】得られた黄色含水酸化鉄粒子の諸特性を表
4に示す。表4に示す通り、黄色含水酸化鉄は、耐熱性
が未だ不十分なものであった。
【0099】尚、上記酸性水溶液中における加熱処理を
施した直後の黄色含水酸化鉄粒子は、可溶性硫酸塩がS
4 換算で2888ppm、可溶性ナトリウム塩はNa
換算で465ppmであった。
【0100】比較例5 発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と
同一の黄色含水酸化鉄粒子を用いた水懸濁液濃度が4.
5重量%の黄色含水酸化鉄スラリー21.4l(固形分
として1kgに相当する。)に13NのNaOH溶液を
加えてpH値を13.0とした。スラリー700mlを
分取し、内容積1lのオートクレーブ(東洋高圧(株)
製)に入れ、撹拌しながら昇温し、220℃で30分保
持した後、冷却した。スラリーを取り出し水を用いたデ
カンテーションによって濾液が中性になるまで水で十分
水洗した。次いで、ヌッチェを用いて濾別した湿ケーキ
を120℃で24時間乾燥した後、粉砕し、黄色酸化鉄
粒子粉末を得た。
【0101】得られた黄色含水酸化鉄粒子粉末の諸特性
を表4に示す。表4に示す通り、耐熱性改善処理工程の
前後での色相の変化が大きいものであった。
【0102】比較例6 発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と
同一の黄色含水酸化鉄粒子を用いた水懸濁液濃度が4.
5重量%の黄色含水酸化鉄スラリー21.4l(固形分
として1kgに相当する。)に硫酸アルミニウム15
6.4gを含む水溶液2lを投入し、よく撹拌した。ス
ラリー700mlを分取し、内容積1lのオートクレー
ブ(東洋高圧(株)製)に入れ、撹拌しながら昇温し、
220℃で30分保持した後、冷却した。スラリーを取
り出しヌッチェを用いて濾別し、濾液が中性になるまで
水洗した。得られた湿ケーキを120℃で24時間乾燥
した後、粉砕し、黄色酸化鉄粒子粉末を得た。
【0103】得られた黄色含水酸化鉄粒子粉末の諸特性
を表4に示す。表4に示す通り、耐熱性改善処理工程の
前後での色相の変化が大きいものであった。
【0104】比較例7 発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と
同一の黄色含水酸化鉄粒子を用いた水懸濁液濃度が4.
5重量%の黄色含水酸化鉄スラリーに6NのNaOH溶
液を加えてpH値を13.0とした。スラリー700m
l(固形分として32.7gに相当する。)を分取し、
内容積1lのオートクレーブ(東洋高圧(株)製)に入
れ、撹拌しながら昇温し、180℃で120分保持した
後、冷却した。取り出したスラリーに撹拌しながらアル
ミン酸ナトリウム(NA−170:住友化学工業(株)
製)溶液4.32gを加え、徐々に希硫酸を加えてpH
値を6.0に調整した。水を用いたデカンテーションに
よって十分に水洗した後、ヌッチェを用いて濾別した。
得られた湿ケーキを120℃で24時間乾燥した後、粉
砕し、黄色酸化鉄粒子粉末を得た。
【0105】得られた黄色含水酸化鉄粒子粉末の諸特性
を表4に示す。表4に示す通り、耐熱性改善処理工程の
前後での色相の変化が大きいものであった。
【0106】比較例8 発明の実施の形態に記載の被処理黄色含水酸化鉄粒子と
同一の黄色含水酸化鉄粒子を用いた水懸濁液濃度が4.
5重量%の黄色含水酸化鉄スラリー21.4l(固形分
として1kgに相当する。)に6NのNaOH溶液を加
えてpH値を12.0とした。スラリー700ml(固
形分として32.7gに相当する。)を分取し、これに
アルミン酸ナトリウム(NA−170:住友化学工業
(株)製)溶液2.87gを加え、内容積1lのオート
クレーブ(東洋高圧(株)製)に入れ、撹拌しながら昇
温し、180℃で60分間水熱処理した後冷却した。取
り出したスラリーを水を用いたデカンテーションによっ
て十分に水洗した後、ヌッチェを用いて濾別した。得ら
れた湿ケーキを120℃で4時間乾燥した後、粉砕し、
黄色酸化鉄粒子粉末を得た。
【0107】得られた黄色含水酸化鉄粒子粉末の諸特性
を表4に示す。表4に示す通り、耐熱性改善処理工程の
前後での色相の変化が大きいものであった。
【0108】
【発明の効果】本発明に係る黄色含水酸化鉄粒子粉末の
製造法によれば、前出実施例に示した通り、分散性が優
れており、しかも、耐熱性が向上しているとともに、耐
熱性改善処理工程の前後における色相の変化が小さい黄
色含水酸化鉄粒子粉末を得ることができるので、黄色着
色顔料、殊に、道路アスファルト用や路面表示塗料用黄
色着色顔料として好ましいものである。
【0109】また、本発明に係る黄色含水酸化鉄粒子粉
末の製造法によれば、前出実施例に示した通り、オート
クレーブ等の特殊な装置を用いることなく、常圧下で耐
熱性の改良された黄色含水酸化鉄粒子粉末を得ることが
できるので、工業的、経済的に優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−40022(JP,A) 特開 平7−277738(JP,A) 特開 昭59−38259(JP,A) 特開 昭57−57755(JP,A) 特開 昭53−142399(JP,A) 特開 昭53−136038(JP,A) 特開 平9−71422(JP,A) 特開 平7−157685(JP,A) 特開 平7−53893(JP,A) 特開 昭53−102298(JP,A) 特開 昭57−30766(JP,A) 特開 昭47−42294(JP,A) 特開 昭55−113631(JP,A) 特開 昭53−36538(JP,A) 特開 平1−304160(JP,A) 特開 昭51−66320(JP,A) 特開 昭62−112661(JP,A) 特公 昭53−28158(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09C 1/00 - 3/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黄色含水酸化鉄粒子を、pH値が10以
    上のアルカリ性水溶液中で加熱処理した後、濾別、水洗
    して可溶性硫酸塩をSO4 換算で2000ppm以下と
    する工程とpH値が4以下の酸性水溶液中で加熱処理し
    た後、濾別、水洗して可溶性ナトリウム塩をNa換算で
    1000ppm以下とする工程とを経由させることによ
    り、可溶性硫酸塩含有量と可溶性ナトリウム塩含有量の
    少ない高純度黄色含水酸化鉄粒子とした後、該高純度黄
    色含水酸化鉄粒子を含む水分散液のpH値を10以上又
    は4以下に調整し、次いで、アルミニウム化合物を添
    加、攪拌した後、該分散液のpH値を5〜9の範囲に再
    調整することにより、前記高純度黄色含水酸化鉄粒子の
    粒子表面にアルミニウムの水酸化物を被着させることを
    特徴とする耐熱性黄色含水酸化鉄顔料の製造法。
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