JP3214336U - 積層シート - Google Patents
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Abstract
【課題】紙を基材とするシートにおいて、廃棄性を確保しながら、紙の特性である折れ性とプラスチックフィルムのような光沢性とを発揮する積層シートを提供する。【解決手段】セロファン11からなるセロファン層と、紙13からなる基材層とがラミネート接着された積層シート14である。【選択図】図1
Description
この考案は、紙とセロファンを用いたシートに関する。
紙は折り曲げなどの加工がしやすいため、包装用の媒体として様々な状況で用いられている。紙袋として成形されたものや、紙の状態で物品を包むもの、段ボールのように箱として形成されたものなど、包装体としての用途は多岐にわたる。中でも板紙と呼ばれる厚手の紙は強度があって破れにくく、段ボールを中心として耐久性が求められる用途に用いられている。
また、紙は印刷がしやすく、装飾的な用途にも用いられる。ただし紙そのものは表面に光沢が無く、高級感を出そうとする用途では、紙単独では十分な要求を満たせない場合がある。これに対して、板紙の表面にプラスチックフィルムをラミネート加工して、プラスチックフィルムの表面が持つ光沢性を発揮させることが一般に行われている(例えば特許文献1)。プラスチックフィルムとしては、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂などが一般に用いられている。
しかしながら、紙にプラスチックフィルムが積層された積層シートは、セルロース以外の石油化学由来の成分が多くなりすぎてしまい、環境負荷の点で問題となる。自然界に廃棄されてしまった場合、そのままでは分解されずに残ってしまう。また、廃棄する場合でも、ダイオキシンの観点から燃えるごみとして処分できない場合もある。
そこでこの考案は、紙を基材とするシートにおいて、廃棄性を確保しながら、紙の特性である折れ性とプラスチックフィルムのような光沢性とを発揮させることを目的とする。
この考案は、セロファンからなるセロファン層と、紙からなる基材層とを有し、前記セロファンと前記紙とがラミネート接着された積層シートにより、上記の課題を解決したのである。
また、前記セロファン層の前記基材層側の面に印刷層を有する構成としてもよい。
セロファンは紙と同様にセルロース由来のフィルムでありながら、透明性を有するとともに、表面にプラスチックフィルム以上の光沢を有する。このため、紙とセロファンとを接着させた積層シートは、廃棄時に問題となるプラスチックフィルムを介在させることなく、高い光沢性を発揮させることができる。
この考案にかかる積層シートは、紙袋などの包装体として用いると光沢性を発揮しつつ、廃棄の際にプラスチックと分ける必要がなく、企業にも一般ユーザーにも扱いやすいものとなる。
さらに、この考案にかかる積層シートは、セロファンが紙に類似した曲げ特性を有するため、包装体を形成する際に折った部分にエッジが明確になる。ポリプロピレンなどのプラスチックフィルムを積層した積層シートでは、ポリプロピレンのシートを曲げても折れが戻ってしまうため、エッジが明瞭にならないが、この考案にかかる積層シートでは折り紙のようにエッジを演出することが可能となる。
以下、この考案について詳細に説明する。この考案は、セロファンと紙とを接着させた積層シートである。
この考案にかかる積層シート14の実施形態例を図1に示す。セロファン11からなるセロファン層と紙13からなる基材層とを有し、これらがラミネート接着されたものである。
セロファン11としては、一般的なセロファンのシートを用いることができる。厚さは特に限定されない。光沢性や美観を好適に発揮させるため、シワがなく平滑性の高い表面を有するものが望ましい。基本的には無色透明であるが、色つきのセロファンを用いてもよい。厚みとしては特に限定されないが、10μm以上であると耐久性等の点で好ましい。一方で、80μm以下であると取り扱いの点から好ましい。
紙13としては、基材として用いることができる程度の厚みを持つシート状の紙を用いることができる。純粋なセルロースのみからなる紙である必要はなく、適宜紙力増強剤などの添加剤を含有したものであってもよい。積層シート14の用途にもよるが、単独で紙袋などの包装体として使用可能な厚みを有するものを用いると、積層シート14も同様の用途で用いることができる。段ボールのライナーに使用できる板紙やカレンダー処理されている板紙の方が、セロファン11とラミネートした際に紙の地合いを拾いにくく、より平滑できれいな光沢が得られるため特に好適に使用できる。紙13自体に印刷を施してあってもよいし、紙13を染めていてもよい。一方で、セロファン11が透明であるため、板紙の素材感を発揮させるためにあえてそのままの板紙を用いてもよい。一方で、包装紙として使用される紙を用いてもよい。このように、用いることができる紙13の種類は多岐に亘るため、厚みも特に限定されないが、概ね50μm以上、2mm以下程度の範囲であればよい。
セロファン11と紙13との接着にあたっては、ラミネート接着を行う。ラミネートの方法としては、ドライラミネート、ウェットラミネート、ノンソルベントラミネートなどの方法を用いることができる。各層に比べて十分に薄いため特に図示はしないが、接着のために存在するラミネート層の厚みは0.1μm〜3μm程度であると、この考案にかかる積層シート14の廃棄性を阻害することなく、好適に用いることができる。
なお、ポリエチレンを用いた押出しラミネートでも積層シートを得ることはできるが、ラミネート層が15μmを超えてしまいプラスチック成分が多くなりすぎ、この考案にかかる積層シート14の廃棄性というメリットを阻害してしまうため、好ましくない。
この考案にかかる積層シート14は、セロファン11が好適な印刷特性を有するため、セロファン11の前記基材層(紙13)側に、印刷を施した印刷層12を有していてもよい。この実施形態例を図2に示す。図2(a)に示すように、セロファン11に予め印刷層12を形成させておき、この印刷層12側の面と紙13とを接着させて、積層シート14aを得る。なお、図2では一様の印刷層12として記載しているが、全面を印刷しておく必要はなく、格子模様など印刷されていない部分を有するものでもよい。
この考案にかかる積層シート14は、セロファン11の表面部分で光沢性を発揮する反射が生じるとともに、セロファン11自体が透明であるため、その下にある印刷層12を目視できる。さらに、印刷層12を薄くしておいたり、一部だけとすることによって、基材層である紙13の質感も同時に目にすることができる。この状態を図3の概念図に示す。このように、印刷と光沢とを両立させた外観を実現でき、印刷層12の構成次第ではさらに基材となる紙13の質感をも組み合わせた独特の外観を実現させることができる。
この考案にかかる積層シート14は、光沢性を活かした包装体として、特に一般ユーザーが目にする美的外観を要求される用途で好適に使用できる。例えば表面側にセロファン11が向くようにしてこの考案にかかる積層シート14を用いた紙箱や、図4に示すような紙袋などが好適に使用できる。また、紙器やペーパーバックとしても用いることができる。特に、セロファンは紙に近い折り曲げ特性を有し、折った部分がプラスチックフィルムのように戻らず、折れによるエッジを美しく維持することができる。このため、折れのある紙袋に特に好適に用いることができる。
以下、この考案について実施例を示して具体的に説明する。
(実施例1)
東洋モートン(株)製ラミネート用接着剤TOMOFLEX TM−340(主剤)とCAT−29B(硬化剤)とを酢酸メチルで希釈し、厚み20μmのセロファン11にDRYで3g/m2となるように塗工した。その後、レンゴー(株)製ライナー(RKAPP:厚み165μm、140g/m2)とドライラミネートして、この考案にかかる積層シートであるサンプルを得た。このサンプルを40℃2日間エージングして積層シート14を得た。得られた積層シート14を中部サイデン(株)製マイカボンド EZ300Kを用いて製袋し、紙袋を得ることができた。
東洋モートン(株)製ラミネート用接着剤TOMOFLEX TM−340(主剤)とCAT−29B(硬化剤)とを酢酸メチルで希釈し、厚み20μmのセロファン11にDRYで3g/m2となるように塗工した。その後、レンゴー(株)製ライナー(RKAPP:厚み165μm、140g/m2)とドライラミネートして、この考案にかかる積層シートであるサンプルを得た。このサンプルを40℃2日間エージングして積層シート14を得た。得られた積層シート14を中部サイデン(株)製マイカボンド EZ300Kを用いて製袋し、紙袋を得ることができた。
(比較例1)
上記セロファンの代わりに東洋紡(株)製ポリプロピレンフィルムP−2161(厚み:20μm)をラミネートした積層シートを作製した。
上記セロファンの代わりに東洋紡(株)製ポリプロピレンフィルムP−2161(厚み:20μm)をラミネートした積層シートを作製した。
(試験方法)
それぞれの積層シートを10cm角にカットし、セロファンまたはポリプロピレンフィルムが外側になるように軽く半分に折り曲げ、23℃50%RH恒温恒湿室内のテスター産業(株)製TP−701−A HEAT SEAL TESTERで圧力0.25MPa(1.67Kgf/cm2)、加圧時間10秒、加熱なしで加圧した後、積層シートを取出し、同じく23℃50%RH環境下で積層シートのエッジ部分の厚みをノギスで測定した。その結果、実施例1であるセロファンを用いた積層シートは0.8mmであったのに対して、比較例1であるポリプロピレンフィルムを用いた積層シートでは1.8mmとなった。比較例1に比べて、実施例1は折れ曲がりが戻りにくく、エッジがはっきりと出ることが確認された。
それぞれの積層シートを10cm角にカットし、セロファンまたはポリプロピレンフィルムが外側になるように軽く半分に折り曲げ、23℃50%RH恒温恒湿室内のテスター産業(株)製TP−701−A HEAT SEAL TESTERで圧力0.25MPa(1.67Kgf/cm2)、加圧時間10秒、加熱なしで加圧した後、積層シートを取出し、同じく23℃50%RH環境下で積層シートのエッジ部分の厚みをノギスで測定した。その結果、実施例1であるセロファンを用いた積層シートは0.8mmであったのに対して、比較例1であるポリプロピレンフィルムを用いた積層シートでは1.8mmとなった。比較例1に比べて、実施例1は折れ曲がりが戻りにくく、エッジがはっきりと出ることが確認された。
11 セロファン
12 印刷層
13 紙
14,14a 積層シート
12 印刷層
13 紙
14,14a 積層シート
Claims (4)
- セロファンからなるセロファン層と、紙からなる基材層とを有し、前記セロファンと前記紙とがラミネート接着された積層シート。
- 前記セロファン層の前記基材層側の面に印刷層を有する請求項1に記載の積層シート。
- 請求項1又は2に記載の積層シートを用いた包装体。
- 請求項1又は2に記載の積層シートを用いた紙袋。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2017004828U JP3214336U (ja) | 2017-10-23 | 2017-10-23 | 積層シート |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017004828U JP3214336U (ja) | 2017-10-23 | 2017-10-23 | 積層シート |
Publications (1)
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JP3214336U true JP3214336U (ja) | 2018-01-11 |
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JP2017004828U Active JP3214336U (ja) | 2017-10-23 | 2017-10-23 | 積層シート |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021054437A (ja) * | 2019-09-27 | 2021-04-08 | 東洋アルミエコープロダクツ株式会社 | シート成形容器およびシート材 |
-
2017
- 2017-10-23 JP JP2017004828U patent/JP3214336U/ja active Active
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JP2021054437A (ja) * | 2019-09-27 | 2021-04-08 | 東洋アルミエコープロダクツ株式会社 | シート成形容器およびシート材 |
JP7402646B2 (ja) | 2019-09-27 | 2023-12-21 | 東洋アルミエコープロダクツ株式会社 | シート成形容器およびシート材 |
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