JP3213687B2 - アルベカシンと(−)−シス−1,2−エポキシプロピルホスホン酸との付加塩およびその製造法、ならびに抗菌剤 - Google Patents

アルベカシンと(−)−シス−1,2−エポキシプロピルホスホン酸との付加塩およびその製造法、ならびに抗菌剤

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JP3213687B2 JP26182295A JP26182295A JP3213687B2 JP 3213687 B2 JP3213687 B2 JP 3213687B2 JP 26182295 A JP26182295 A JP 26182295A JP 26182295 A JP26182295 A JP 26182295A JP 3213687 B2 JP3213687 B2 JP 3213687B2
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麗英 新榮
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い抗菌活性を示
すが腎毒性が低い新規な抗菌性物質であるアルベカシン
と(−)−シス−1,2−エポキシプロピルホスホン酸
またはそのヘミ塩との新規な付加塩に関し、また本発明
はその新規な付加塩の製造法ならびにそれを有効成分と
する抗菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】アルベカシン(Arbekacin) は1−N−
〔(S)−4−アミノ−2−ヒドロキシブチリル〕ジベ
カシンの一般名であり、アルベカシンはMRSA(メチ
シリン耐性黄色ぶどう球菌)に有効な数少ないアミノ配
糖体抗生物質の1つであり、臨床の場で広く用いられて
いる薬剤である。アルベカシンの製造法は「ジャーナル
・オブ・アンチビオチクス」(J. Antibiotics)26巻 412
頁(1973年)、特開昭49−62442 号および特開昭55− 8
1897号公報等に記載されている。また、ホスホマイシン
も安全性の高い抗菌剤として長く使用されており、特公
昭45−9828号、特公昭47− 44634号および特公昭48−77
99号公報等に記載されているようにストレプトマイセス
・フラディアエ(Streptomyces fradiae)を用いる発酵法
によっても製造できるし、特公昭46− 43206号公報等に
記載されている化学合成法によっても製造できる。ホス
ホマイシンの化学名は(−)−シス−1,2−エポキシ
プロピルホスホン酸である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ジベカシンおよびアル
ベカシン等のアミノ配糖体抗生物質は副作用の1つとし
て腎毒性を有することが知られており、特に腎機能に障
害のある患者には注意深い使用が必要とされている。ア
ミノ配糖体抗生物質の腎毒性軽減の手段としては、ポリ
アクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸
およびポリマレイン酸からなる単独重合体あるいはこれ
らの共重合体とアミノ配糖体抗生物質との併用(特開平
2−289522号)や、キサンチン誘導体を配合されたアミ
ノ配糖体抗生物質組成物(特開平4−282315号)等が知
られている。
【0004】前記の問題を解決する1つの手段として、
本発明者らは、アミノ配糖体抗生物質用の腎毒性軽減剤
としてのホスホマイシンを併用投与することを提唱し、
動物実験でその有用性を証明した(特開昭57− 50919
号)。しかしながら、併用投与時に要するホスホマイシ
ン量が多いこと、また臨床的に用いられているアミノ配
糖体抗生物質との混合時に、人体に悪影響を与えると考
えられる大量の無機塩が生じること等が問題となってい
た。
【0005】また、本発明者らはホスホマイシンの立体
異性体であるが抗菌活性をもたない(+)−(1S,2
R)−1,2−エポキシプロピルホスホン酸または(1
R,2R)−1,2−ジヒドロキシプロピルホスホン酸
あるいはこれらの塩とアミノ配糖体抗生物質例えばジベ
カシンとの混合物または反応物を用いる腎毒性の軽減を
試みた(特公昭64−5574号公報、参照)が、その軽減の
効果はアミノ配糖体抗生物質とホスホマイシンとの併用
投与に優るものではなかった。従って、アルベカシンを
投与する場合に、アルベカシンの腎毒性を著るしく軽減
できる新規な物質を提供することが現在も要望されてい
る。本発明の目的は、アルベカシンから誘導されるが高
い抗菌活性を維持し且つ腎毒性が著るしく軽減された新
規な抗菌性物質を創製することであり、またそのような
新規な抗菌性物質を効率よく且つ確実に製造できる方法
を提供することである。また、本発明の目的は、そのよ
うな新規な抗菌性物質を抗菌剤として利用することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために、種々研究を行った。その結果、アルベ
カシン遊離塩基を水溶液中でホスホマイシンのヘミ塩と
1:1〜5モル比で反応させることによって、新規で腎
毒性の低いアルベカシンとホスホマイシンとの付加塩を
製造できることを見い出した。ホスホマイシンは2塩基
性の酸である。アルベカシン遊離塩基を水溶液中でホス
ホマイシンのヘミ−アンモニウム塩またはヘミ−アミン
塩と1:1〜5モル比で反応させる場合にも、新規で腎
毒性の低いアルベカシンとホスホマイシンのヘミ−アン
モニウム塩またはヘミ−アミン塩との付加塩を製造でき
ることが見い出された。
【0007】生成されたアルベカシンとホスホマイシン
との付加塩は、それが高い水溶性と高い安定性を示すた
めには、アルベカシンのアミノ基に付加結合しているホ
スホマイシン部分の2個の水酸基のうちの一方がナトリ
ウム塩(またはカリウム塩)の形、すなわちヘミ−ナト
リウム塩(またはヘミ−カリウム塩)の形であることが
望ましい。従って、アルベカシンのアミノ基にホスホマ
イシンのヘミ−ナトリウム塩(またはヘミ−カリウム
塩)が結合した形であるアルベカシンとホスホマイシン
・ヘミ−アルカリ金属塩との付加塩を確実に且つ高純度
に製造できる方法を工夫することが望まれる。他方、こ
の付加塩を得る方法としては、アルベカシン遊離塩基に
ホスホマイシン・ヘミ−アルカリ金属塩を反応させるこ
とが考えられるけれども、ホスホマイシン・ヘミ−アル
カリ金属塩は極めて不安定であるので高純度で単離、収
得することは困難であることが認められている。
【0008】前記の付加塩を製造できる新しい方法を開
発するために研究を続けた。その結果、アルベカシン遊
離塩基を水溶液中で1〜5モル比のホスホマイシンのヘ
ミ−アンモニウム塩またはヘミ−アミン塩と反応させ、
その反応生成物として得られたアルベカシンとホスホマ
イシンのヘミ−アンモニウム塩またはヘミ−アミン塩と
の付加塩を更に水酸化ナトリウム(または水酸化カリウ
ム)で処理すると、アンモニウムまたはアミン部分がナ
トリウム・カチオン(またはカリウム・カチオン)と交
換され、これによりアンモニウムまたはアミンが遊離さ
れると共に、アルベカシンとホスホマイシンのヘミ−ナ
トリウム塩(またはヘミ−カリウム塩)との付加塩が生
成されることが見い出された。上記の遊離されたアンモ
ニウムまたはアミンを反応液から塩基性条件下で有機溶
剤抽出法で除去した後には、反応液から目的のアルベカ
シンとホスホマイシン・ヘミ−アルカリ金属塩との付加
塩を高い純度で且つ高い収率で回収できることが知見さ
れた。前記の諸知見に基いて、本発明は完成されたもの
である。
【0009】従って、第1の本発明においては、次の一
般式(I): 〔式中、表示される5個のXのうちの1〜5個は、アル
ベカシンのアミノ基に付加結合している次式(IIa): (式中、Mは水素原子、またはナトリウム・カチオンま
たはカリウム・カチオンを示すか、あるいはMはアンモ
ニウム・カチオンまたは次式 <但し、Rは(C1 〜C6 )アルキル基またはシクロア
ルキル基であり、nは1〜4の整数である>で表される
モノ、ジ−、トリ−またはテトラ−アルキル置換−アン
モニウム・カチオンを示す)で表される(−)−シス−
1,2−エポキシプロピルホスホン酸またはこれのヘミ
−アルカリ金属塩、ヘミ−アンモニウム塩またはヘミ−
アミン塩を示すが、但し上記の(−)−シス−1,2−
エポキシプロピルホスホン酸またはこれのヘミ−塩を示
すX以外の残りのXがある場合、そのようなXはアルベ
カシンのアミノ基に付加結合する化合物が無いことを示
す〕で表されるアルベカシンと(−)−シス−1,2−
エポキシプロピルホスホン酸またはこれのヘミ塩との付
加塩が提供される。
【0010】第1の本発明による一般式(I)の付加塩
中に存在する上記の式(A)のモノ−、ジ−、トリ−ま
たはテトラ−アルキル置換−アンモニウム・カチオンと
しては、メチルアミン、エチルアミン、シクロヘキシル
アミン、等の1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルア
ミン、ジシクロヘキシルアミン等の2級アミン;トリメ
チルアミン、トリエチルアミン、等の3級アミンから誘
導されたものが使用できる。
【0011】一般式(I)の付加塩は次式(Ia): 〔式中、表示される5個のXaのすべてがアルベカシン
のアミノ基に付加結合している次式(IIb): で示される(−)−シス−1,2−エポキシプロピルホ
スホン酸ヘミ−ナトリウム塩である〕で表されるアルベ
カシンと(−)−シス−1,2−エポキシプロピルホス
ホン酸ヘミ−ナトリウム塩の5分子との付加塩(後記の
実施例1、参照)、あるいは次式(Ib): 〔式中、表示される5個のXbのうちの何れか3個はア
ルベカシンのアミノ基に付加結合している次式(II
b): で示される(−)−シス−1,2−エポキシプロピルホ
スホン酸ヘミ−ナトリウム塩を示し、但し該ヘミ−ナト
リウム塩を示すそれらの3個のXb以外の2個のXbはア
ルベカシンのアミノ基に付加結合する化合物が無いこと
を示す〕で表されるアルベカシンと(−)−シス−1,
2−エポキシプロピルホスホン酸ヘミ−ナトリウム塩の
3分子との付加塩(後記の実施例2、参照)であるのが
好ましい。
【0012】第1の本発明による一般式(I)の付加塩
のうち、アルベカシンのアミノ基に結合するXが(−)
−シス−1,2−エポキシプロピルホスホン酸の遊離酸
(以下、単にホスホマイシンと言う)であるか又はホス
ホマイシンのヘミ−アンモニウム塩またはヘミ−(モノ
−、ジ−、トリ−またはテトラ−アルキル置換アンモニ
ウム)塩であるような付加塩は、対応するホスホマイシ
ンまたはそのヘミ−アンモニウム塩またはヘミ−アミン
塩とアルベカシン遊離塩基を水溶液中で所望の付加塩を
形成する理論的な割合で、すなわち前者が1〜5モルで
後者が1モルである割合で混合し、次いで反応液の水層
を凍結乾燥あるいは濃縮乾固することによってアルベカ
シンとホスホマイシンとの付加塩を得ることから成る方
法で製造できる。
【0013】従って、第2の本発明においては、次式
(III): で表わされるアルベカシン遊離塩基と次式(IIc): 〔式中、M1は水素原子を示すか、あるいはアンモニウ
ム・カチオンまたは次式 (但し、Rは(C1〜C6)アルキル基またはシクロアル
キル基であり、nは1〜4の整数である)で表されるモ
ノ、ジ−、トリ−またはテトラ−アルキル置換−アンモ
ニウム・カチオンを示す〕で表される(−)−シス−
1,2−エポキシプロピルホスホン酸またはこれのヘミ
−アンモニウム塩またはヘミ−アミン塩を、アルベカシ
ンの1モル当りに式(IIc)のホスホン酸またはこれの
ヘミ−塩が1〜5モルの量である割合で反応させること
を特徴とする、次の一般式(Ic): 〔式中、表示される5個のXCのうちの1〜5個は、ア
ルベカシンのアミノ基に付加結合している次式(II
c): (但しM1は前記と同じ意味をもつ)で表される(−)
−シス−1,2−エポキシプロピルホスホン酸またはこ
れのヘミ−アンモニウム塩またはヘミ−アミン塩を示す
が、但し前記の式(IIc)のホスホン酸またはこれのヘ
ミ−アンモニウム塩またはヘミ−アミン塩を示すXc
外の残りのXcがある場合、そのようなXcはアルベカシ
ンのアミノ基に付加結合する化合物が無いことを示す〕
で表されるアルベカシンと(−)−シス−1,2−エポ
キシプロピルホスホン酸またはこれのヘミ−塩との付加
塩の製造法が提供される。
【0014】他方、第1の本発明による一般式(I)の
付加塩のうち、アルベカシンのアミノ基に結合するXが
ホスホマイシンのヘミ−ナトリウム塩またはヘミ−カリ
ウム塩であるような付加塩は、単にアルベカシン遊離塩
基を水溶液中でホスホマイシンのヘミ−ナトリウム塩ま
たはヘミ−カリウム塩と理論的な割合で混合することか
ら成る単純な方法では製造できない。このことは本明細
書で先に説明したとおりであり、上記のようなヘミ−ア
ルカリ金属塩の型の本発明付加塩の製造には、本発明者
によって今回新しく工夫された方法を必要としたのであ
る。
【0015】従って、第3の本発明においては、次式
(III): で表わされるアルベカシン遊離塩基と次式(IId): 〔式中、Yは次式 で示される(+)−α−フェネチルアンモニウム・カチ
オンであるか、または次式 (但しR1は低級アルキル基である)で示される第4級
ピリジニウムであるか、あるいはYは次式 (但し、Rは(C1〜C6)アルキル基またはシクロアル
キル基であり、nは1〜4の整数である)で表されるモ
ノ、ジ−、トリ−またはテトラ−アルキル置換−アンモ
ニウム・カチオンである〕で表される(−)−シス−
1,2−エポキシホスホン酸ヘミ−アミン塩とをアルベ
カシンの1モル当りに式(IId)のホスホン酸ヘミ−ア
ミン塩が1〜5モルの量である割合で水媒質中で反応さ
せて次の一般式(IV): 〔式中、表示される5個のXdのうちの1〜5個は、ア
ルベカシンのアミノ基に付加結合している次式(II
d): (但しYは前記と同じ意味を有する)の(−)−シス−
1,2−エポキシプロピルホスホン酸ヘミ−アミン塩を
示すが、但し上記の式(IId)の(−)−シス−1,2
−エポキシプロピルホスホン酸ヘミ−アミン塩を示すX
d以外の残りのXdがある場合、そのようなXdはアルベ
カシンのアミノ基に付加結合する化合物が無いことを示
す〕で表されるアルベカシンと(−)−シス−1,2−
エポキシプロピルホスホン酸ヘミ−アミン塩との付加塩
を生成させ、次いで、得られた含水の反応液中で一般式
(IV)の付加塩を次式(V): M2−OH (V) (式中、M2はナトリウムまたはカリウムを示す)の水
酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと反応させ、しか
もこの反応に際して反応混合物に揮発性の塩基として水
酸化アンモニウムまたはモノ−(低級)アルキルアミン
を、反応混合物を塩基性条件、好ましくはpH8〜11に保
つに足る量で加えて水酸化アンモニウムまたは該モノ−
(低級)アルキルアミンの存在下に反応を行い、これに
よって次式(Id): 〔式中、5個のXeのうちの1〜5個は、次式(IIe) (式中、M2は前記と同じナトリウムまたはカリウム・
カチオンである)で示される(−)−シス−1,2−エ
ポキシプロピルホスホン酸ヘミ−ナトリウム塩またはヘ
ミ−カリウム塩を示すが、但し上記の式(IIe)のヘミ
−ナトリウム塩またはヘミ−カリウム塩を示すXe以外
の残りのXeがある場合、そのようなXeはアルベカシン
のアミノ基に付加結合する化合物が無いことを示す〕で
表されるアルベカシンと(−)−シス−1,2−エポキ
シプロピルホスホン酸ヘミ−ナトリウム塩またはヘミ−
カリウム塩との付加塩を生成し、式(Id)の付加塩を
含む得られた含水の反応液を水非混和性の有機溶媒で洗
浄し、これにより、式(IV)の付加塩から遊離された
(+)−α−フェネチルアミンまたはその他のアミンを
該有機溶媒中に抽出、除去し、さらに抽出された反応液
の水性相から一般式(Id)の付加塩を採取することを特
徴とする、前記の一般式(Id)で表されるアルベカシ
ンと(−)−シス−1,2−エポキシプロピルホスホン
酸ヘミ−ナトリウムまたはヘミ−カリウム塩との付加塩
の製造法が提供される。
【0016】上記の第3の本発明の方法は、1槽の反応
器内で操作できる。また、式(IV)の付加塩に反応させ
られる式(V)の水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウ
ムは、次式(IV)の付加塩に含有された式(IId)のア
ミン塩の量と等しいモル比の量で用いるのが良い。
【0017】第3の本発明の方法においてアルベカシン
遊離塩基と反応させるのに用いる式(IId)のホスホマ
イシンのヘミ−アミン塩は、アルベカシン遊離塩基より
塩基性が弱く、水溶液中でアルベカシン遊離塩基と付加
結合することが可能なホスホマイシン・ヘミ−塩であれ
ばよいが、ホスホマイシンと1級アミンとのヘミ塩の場
合はアルベカシンより塩基性の強いアミンの塩でもよ
い。例えば、式(IId)のホスホマイシンのヘミ−アミ
ン塩としては、アンモニウム;メチルアミン、エチルア
ミン、シクロヘキシルアミン、フェネチルアミン等の1
級アミンとのヘミ塩;ジメチルアミン、ジエチルアミ
ン、ジシクロヘキシルアミン等の2級アミンとのヘミ
塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミ
ンとのヘミ塩、あるいはテトラエチルアンモニウムまた
はピリジニウム等の4級アンモニウムとのヘミ塩が使用
できる。
【0018】第3の本発明の方法を実施するに当っては
式(IId)のホスホマイシンのヘミ−アミン塩を水溶液
中でアルベカシン遊離塩基と理論的に所望の付加塩を形
成する割合で混合し、形成された式(IV)の付加塩を含
む反応液に対して、通常の減圧濃縮により容易に除去可
能な揮発性の塩基例えば水酸化アンモニウム、あるいは
モノメチルアミンのような低級アルキルアミンを加え反
応液のpHを塩基性条件、好ましくはpH8〜11に調整す
る。さらに水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム水溶
液を加えて式(IV)の付加塩と反応させる。次いで水非
混和性の有機溶剤、例えば塩化メチレン、クロロホル
ム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキサン等で反応液を洗
浄後、反応液の水層を凍結乾燥あるいは濃縮乾固するこ
とによって一般式(Id)で表されるアルベカシンとホ
スホマイシンのヘミ−ナトリウム塩またはヘミ−カリウ
ム塩との付加塩を得ることができる。こゝで用いる水酸
化アルカリの量は、先に用いたホスホマイシンのヘミ−
アミン塩と等モルの量であることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、上記の一般式(Id)で
表されるアルベカシンとホスホマイシンヘミ−ナトリウ
ム塩との付加塩の製造法の実施例を示すが、本発明によ
って明かにされた物質の性状に基づいて種々の製造法を
考案することができる。従って本発明は実施例に限定さ
れるものではない。
【0020】実施例1 ホスホマイシンと(+)−α−フェネチルアミンとのヘ
ミ塩1水和物(100mg)の水溶液(1.5ml) 中に、アルベカ
シン遊離塩基(40.0mg)の水溶液(1.5ml) を加えて良く攪
拌した。こゝで得られた反応液に対して次いで1N水酸
化ナトリウム水溶液(360μl) を加え、それと同時に、
1Nアンモニア水(720μl) を加えてpH10に調整し、室
温で15分間攪拌した。その後反応液に水(0.9ml) を加
え、塩化メチレン(5ml)で3回洗浄して遊離したフェ
ネチルアミンを除去した。残った水層を20時間凍結乾燥
した後、更に室温で91時間減圧乾燥を行うとアルベカシ
ンとホスホマイシン・ヘミ−ナトリウム塩との付加塩(9
7.5mg)が得られた。ここで得られた付加塩は、その中の
アルベカシン:ホスホマイシン:ナトリウムのモル比が
1:5:5のものであり、前出の式(Ia)の付加塩に
相当したものである。
【0021】この実施例1で得られた付加塩は下記の分
子式:− (但しABKはアルベカシンの1分子を示す)でも表示
できる。
【0022】前出の式(Ia)、または上記の分子式
(If)で表示される付加塩は下記の理化学的性状を有
するものである。
【0023】(1) 色および形状:白色粉末 (2) 比旋光度:〔α〕D 25+33.3°(c 1.03,水) (3) 赤外部吸収スペクトル(KBr錠):添付図面の図
1に示したとおりである。主な吸収波数を下記に示す。 3413, 1647, 1541, 1456, 1414, 1375, 1339, 1267, 10
71, 1011,982, 943, 845, 722 (cm-1) (4) 1H−NMRスペクトル:添付図面の図2に示すと
おりである。 (5) 13C−NMRスペクトル:添付図面の図3に示し
た。各シグナルの化学シフトは次の通りである。 δ(ppm) :14.3, 21.8, 26.7, 31.7, 32.7, 37.6, 43.
5, 49.4, 49.7, 49.9,54.7, 55.3, 55.9, 56.4, 60.6,
66.5, 66.8, 69.0, 70.2, 72.8,75.8, 79.2, 80.5, 95.
1, 98.7, 176.3 (6) 溶解性:水に溶け易く、メタノールに僅かに溶け、
クロロホルム、酢酸エチルに不溶である。 (7) pH:1%(W/V)の濃度の水溶液のpH値はpH
6.75である。
【0024】実施例2 ホスホマイシンと(+)−α−フェネチルアミンとのヘ
ミ塩1水和物(100mg)の水溶液(1.5ml) 中に、アルベカ
シン遊離塩基(66.5mg)の水溶液(1.5ml) を加えて良く攪
拌した。こゝで得られた反応液に対して次いで1N水酸
化ナトリウム水溶液(360μl) を加え、それと同時に、
1Nアンモニア水(720μl) を加えてpH10以上に調整
し、室温で15分間攪拌した。その後反応液に水(0.9ml)
を加え、塩化メチレン(5ml)で3回洗浄して遊離した
フェネチルアミンを除去した。残った水層を24時間凍結
乾燥した後、更に室温で15時間減圧乾燥を行うとアルベ
カシンとホスホマイシン・ヘミナトリウム塩との付加塩
(126.1mg) が得られた。ここで得られた付加塩は、その
中のアルベカシン:ホスホマイシン:ナトリウムのモル
比が1:3:3のものであり、前出の式(Ib)の付加
塩に相当したものである。
【0025】実施例2で得られた付加塩は下記の分子
式:− (但し、ABKはアルベカシンの1分子を示す)でも表
示できる。
【0026】実施例2で得られた上記の分子式(Ig)
の付加塩は下記の理化学的性状を有する。
【0027】(1) 色および形状:白色粉末 (2) 比旋光度:〔α〕D 27=+44.0°(c 1.0, 水) (3) 赤外部吸収スペクトル(KBr錠):添付図面の図
4に示した。主な吸収波数は次の通りである。 3422, 1647, 1541, 1456, 1414, 1375, 1345, 1266, 10
69, 982,943, 845, 768, 720 (cm-1) (4) 1H−NMRスペクトル:図5に示した。 (5) 13C−NMRスペクトル:図6に示した。各シグナ
ルの化学シフトは次の通りである。 δ(ppm) :14.4, 23.1, 27.0, 31.8, 34.5, 37.7, 43.
8, 49.8, 49.9, 50.3,54.9, 55.3, 55.4, 56.6, 61.0,
66.8, 68.5, 70.4, 70.7, 72.9,76.0, 81.4, 82.8, 96.
9, 99.1, 176.3 (6) 溶解性:水に溶け易く、メタノールに僅かに溶け、
クロロホルム、酢酸エチルに不溶である。 (7) pH:1%(W/V)の濃度の水溶液のpH値はpH
8.30である。
【0028】第1の本発明による一般式(I)のアルベ
カシン付加塩はアルベカシンそれ自体に匹敵する抗菌活
性を有しており、抗菌剤の有効成分として有用である。
例えば、実施例1で得られた式(Ia)の付加塩、なら
びに比較のためのアルベカシン硫酸塩が各種バクテリア
に対して示す最小発育阻止濃度を測定した。その結果は
表1に示した通りである(アルベカシン遊離塩基として
換算)。
【0029】
【0030】次に、上記の実施例1で得られた本発明に
よる式(Ia)の付加塩の急性毒性試験と腎毒性評価試
験を行い、アルベカシン硫酸塩との毒性の違いを考察し
た。その試験例と結果は下記の通りである。
【0031】試験例1 急性毒性試験は次のように行った。すなわち静脈内投与
による雄のICRマウス(4週齢、1群5匹)に対する
急性毒性試験を行い、Behrens-Karber法によりLD50
(アルベカシン遊離塩基換算)を算出したところ、式
(Ia)の付加塩は118mg/kgのLD50値を示し、同時試
験を行ったアルベカシン硫酸塩は 113mg/kgのLD50値を
示した。
【0032】試験例2 腎毒性試験は次のように行った。すなわち試験動物とし
て雄のフィッシャー系ラット(F344 /Du、6週齢、
1群6匹)を用いた。式(Ia)の付加塩またはアルベ
カシン硫酸塩を生理食塩水で10mg力価/mlとなるように
溶解し、その溶液の5ml/kgを1日に2回で9日間に渡
り連日筋肉内投与した。最終投与の翌日に採血と腎摘出
を行い、血漿生化学検査と腎重量の測定および腎の病理
学的検査により腎毒性を評価した。血漿生化学検査と腎
重量の測定の結果を表2に示した。体重および腎重量は
10日目の値である。
【0033】
【0034】表2で明かなように、アルベカシン硫酸塩
投与群では顕著なBUNおよびCREの増加と尿細管上
皮細胞の変性・壊死および体重の増加抑制等が認められ
た。これに対して本発明による式(Ia)の付加塩の投
与群に於いては上記の所見は認められなかった。以上の
結果より、本発明による式(Ia)の付加塩、また一般
的には一般式(I)のアルベカシン付加塩はアルベカシ
ン硫酸塩と比較して著しく腎毒性が低い薬剤であること
が証明された。
【0035】第4の本発明においては、前記の一般式
(I)で表されるアルベカシンと(−)−シス−1,2−
エポキシプロピルホスホン酸またはこれのヘミ塩との付
加塩を有効成分として含有し、また有効成分と混和され
た製薬学的に許容できる担体を含有してなる抗菌剤組成
物が提供される。
【0036】第4の本発明による抗菌剤組成物において
は、通常の製薬学的に許容しうる固体または液状の担体
を配合できる。この抗菌剤組成物はバイアル剤、用時溶
解剤等の腸管外投与製剤、座剤等の直腸内投与用製剤、
軟膏等の局所用製剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等の経
口投与用製剤等に製剤化できる。これらの製剤の投与単
位体中には、有効成分として一般式(I)の化合物が約
20〜2000mg含まれるように調製できる。
【0037】
【発明の効果】本発明による一般式(I)で表されるア
ルベカシンとホスホマイシンヘミ塩との付加塩は新規物
質であり、アルベカシンに匹敵する強い抗菌活性を有し
ているばかりでなく、アルベカシンを含む従来のアミノ
配糖体抗生物質に比べて著しく腎毒性が低い薬剤であ
る。従って、一般式(I)のアルベカシン付加塩、また
はこれを有効成分とする抗菌剤は臨床上極めて有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた式(Ia)の付加塩の臭化
カリウム錠での赤外部吸収スペクトルを示す。
【図2】同付加塩の重水中の400MHzでの1H−NMRス
ペクトルを示す。
【図3】同付加塩の重水中の100MHzでの13C−NMRス
ペクトルを示す。
【図4】実施例2で得られた式(Ib)の付加塩の臭化
カリウム錠での赤外部吸収スペクトルを示す。
【図5】同付加塩の重水中の400MHzでの1H−NMRス
ペクトルを示す。
【図6】同付加塩の重水中の100MHzでの13C−NMRス
ペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新里 鉄太郎 神奈川県川崎市川崎区東門前一丁目14番 16号 (72)発明者 新榮 麗英 東京都渋谷区千駄ヶ谷五丁目3番6号 イトウマンション201 (72)発明者 五味 修一 東京都大田区上池台五丁目35番14号 T S上池台コータス304 (72)発明者 井上 重治 埼玉県秩父郡長瀞町井戸58番地 (72)発明者 近藤 信一 東京都大田区南六郷三丁目1番1号 ロ イヤルハイツ南六郷608 (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号 ニューフジマンション701 (56)参考文献 特開 昭55−164696(JP,A) 特公 昭64−5574(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 15/234 A61K 31/7036 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(I): 〔式中、表示される5個のXのうちの1〜5個は、アル
    ベカシンのアミノ基に付加結合している次式(IIa): (式中、Mは水素原子、またはナトリウム・カチオンま
    たはカリウム・カチオンを示すか、あるいはMはアンモ
    ニウム・カチオンまたは次式 <但し、Rは(C1〜C6)アルキル基またはシクロアル
    キル基であり、nは1〜4の整数である>で表されるモ
    ノ、ジ−、トリ−またはテトラ−アルキル置換−アンモ
    ニウム・カチオンを示す)で表される(−)−シス−
    1,2−エポキシプロピルホスホン酸またはこれのヘミ
    −アルカリ金属塩、ヘミ−アンモニウム塩またはヘミ−
    アミン塩を示すが、但し上記の(−)−シス−1,2−
    エポキシプロピルホスホン酸またはこれの塩を示すX以
    外の残りのXがある場合、そのようなXはアルベカシン
    のアミノ基に付加結合する化合物が無いことを示す〕で
    表されるアルベカシンと(−)−シス−1,2−エポキ
    シプロピルホスホン酸またはこれの塩との付加塩。
  2. 【請求項2】 一般式(I)の付加塩が次式(Ia): 〔式中、表示される5個のXaのすべてがアルベカシン
    のアミノ基に付加結合している次式(IIb): で示される(−)−シス−1,2−エポキシプロピルホ
    スホン酸ヘミ−ナトリウム塩である〕で表されるアルベ
    カシンと(−)−シス−1,2−エポキシプロピルホス
    ホン酸ヘミ−ノナトリウム塩の5分子との付加塩である
    請求項1に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 一般式(I)の付加塩が次式(Ib): 〔式中、表示される5個のXbのうちの何れか3個はア
    ルベカシンのアミノ基に付加結合している次式(II
    b): で示される(−)−シス−1,2−エポキシプロピルホ
    スホン酸ヘミ−ナトリウム塩を示し、但し該ヘミ−ナト
    リウム塩を示すそれらの3個のXb以外の2個のXbはア
    ルベカシンのアミノ基に付加結合する化合物が無いこと
    を示す〕で表されるアルベカシンと(−)−シス−1,
    2−エポキシプロピルホスホン酸ヘミ−ナトリウム塩の
    3分子との付加塩である請求項1に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 次式(III): で表わされるアルベカシン遊離塩基と次式(IIc): 〔式中、M1は水素原子を示すか、あるいはアンモニウ
    ム・カチオンまたは次式 (但し、Rは(C1〜C6)アルキル基またはシクロアル
    キル基であり、nは1〜4の整数である)で表されるモ
    ノ、ジ−、トリ−またはテトラ−アルキル置換−アンモ
    ニウム・カチオンを示す〕で表される(−)−シス−
    1,2−エポキシプロピルホスホン酸またはこれのヘミ
    −アンモニウム塩またはヘミ−アミン塩を、アルベカシ
    ンの1モル当りに式(IIc)のホスホン酸またはこれの
    塩が1〜5モルの量である割合で反応させることを特徴
    とする、次の一般式(Ic): 〔式中、表示される5個のXCのうちの1〜5個は、ア
    ルベカシンのアミノ基に付加結合している次式(II
    c): (但しM1は前記と同じ意味をもつ)で表される(−)
    −シス−1,2−エポキシプロピルホスホン酸またはこ
    れのヘミ−アンモニウム塩またはヘミ−アミン塩を示す
    が、但し前記の式(IIc)のホスホン酸またはこれのヘ
    ミ−アンモニウム塩またはヘミ−アミン塩を示すXc
    外の残りのXcがある場合、そのようなXcはアルベカシ
    ンのアミノ基に付加結合する化合物が無いことを示す〕
    で表されるアルベカシンと(−)−シス−1,2−エポ
    キシプロピルホスホン酸またはこれの塩との付加塩の製
    造法。
  5. 【請求項5】 次式 (III): で表わされるアルベカシン遊離塩基と次式(IId): 〔式中、Yは次式 で示される(+)−α−フェネチルアンモニウム・カチ
    オンであるか、または次式 (但しR1は低級アルキル基である)で示される第4級
    ピリジニウムであるか、あるいはYは次式 (但し、Rは(C1〜C6)アルキル基またはシクロアル
    キル基であり、nは1〜4の整数である)で表されるモ
    ノ、ジ−、トリ−またはテトラ−アルキル置換−アンモ
    ニウム・カチオンである〕で表される(−)−シス−
    1,2−エポキシホスホン酸のヘミ−アミン塩とをアル
    ベカシンの1モル当りに式(IId)のホスホン酸ヘミ−
    アミン塩が1〜5モルの量である割合で水媒質中で反応
    させて次の一般式(IV): 〔式中、表示される5個のXdのうちの1〜5個は、ア
    ルベカシンのアミノ基に付加結合している次式(II
    d): (但しYは前記と同じ意味を有する)の(−)−シス−
    1,2−エポキシプロピルホスホン酸ヘミ−アミン塩を
    示すが、但し上記の式(IId)の(−)−シス−1,2
    −エポキシプロピルホスホン酸ヘミ−アミン塩を示すX
    d以外の残りのXdがある場合、そのようなXdはアルベ
    カシンのアミノ基に付加結合する化合物が無いことを示
    す〕で表されるアルベカシンと(−)−シス−1,2−
    エポキシプロピルホスホン酸ヘミ−アミン塩との付加塩
    を生成させ、次いで、得られた含水の反応液中で一般式
    (IV)の付加塩を次式(V): M2−OH (V) (式中、M2はナトリウムまたはカリウムを示す)の水
    酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと反応させ、しか
    もこの反応に際して反応混合物に揮発性の塩基として水
    酸化アンモニウムまたはモノ−(低級)アルキルアミン
    を反応混合物を塩基性条件、好ましくはpH8〜11又はそ
    れ以上に保つに足る量で加えて水酸化アンモニウムまた
    は該モノ−(低級)アルキルアミンの存在下に反応を行
    い、これによって次式(Id): 〔式中、5個のXeのうちの1〜5個は、次式(IIe) (式中、M2は前記と同じナトリウムまたはカリウム・
    カチオンである)で示される(−)−シス−1,2−エ
    ポキシプロピルホスホン酸ヘミ−ナトリウム塩またはヘ
    ミ−カリウム塩を示すが、但し上記の式(IIe)のヘミ
    −ナトリウム塩またはヘミ−カリウム塩を示すXe以外
    の残りのXeがある場合、そのようなXeはアルベカシン
    のアミノ基に付加結合する化合物が無いことを示す〕で
    表されるアルベカシンと(−)−シス−1,2−エポキ
    シプロピルホスホン酸ヘミ−ナトリウム塩またはヘミ−
    カリウム塩との付加塩を生成し、式(Id)の付加塩を
    含む得られた含水の反応液を水非混和性の有機溶媒で洗
    浄し、これにより、式(IV)の付加塩から遊離された
    (+)−α−フェネチルアミンまたはその他のアミンを
    該有機溶媒中に抽出、除去し、さらに抽出された反応液
    の水性相から一般式(Id)の付加塩を採取することを特徴
    とする、前記の一般式(Id)で表されるアルベカシン
    と(−)−シス−1,2−エポキシプロピルホスホン酸
    ヘミ−ナトリウムまたはヘミ−カリウム塩との付加塩の
    製造法。
  6. 【請求項6】 式(IV)の付加塩に反応させられる式
    (V)の水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムは、式
    (IV)の付加塩に含有された式(IId)のアミン塩と等
    しいモル比の量で用いられる請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載される一般式(I)で表
    されるアルベカシンと(−)−シス−1,2−エポキシ
    プロピルホスホン酸またはこれのヘミ塩との付加塩を有
    効成分として含有し、また有効成分と混和された製薬学
    的に許容できる担体を含有してなる抗菌剤組成物。
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