JP3213677B2 - 硫黄化合物および/またはハロゲン化合物ならびにアンモニア態窒素を含有する廃水の処理方法 - Google Patents

硫黄化合物および/またはハロゲン化合物ならびにアンモニア態窒素を含有する廃水の処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アンモニア態窒素を含
む廃水を処理し、廃水の無害化を行う廃水の処理方法に
関する。さらに詳しくは、本発明は産業廃水などに代表
されるアンモニア態窒素を含有する種々の廃水を、固体
触媒の存在下、かつ酸素含有ガスの存在下に、100℃
以上370℃以下の温度および廃水が液相を保持する圧
力条件下において廃水を湿式酸化処理することにより、
廃水中の含有物質を窒素、炭酸ガス、水および灰分に転
換せしめて廃水の無害化を行う廃水の処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】海域、湖沼、河川などにおいて、富栄養
化によって赤潮が発生したりかび臭物質が発生すること
が問題となって久しいが、この原因は該水域に排出され
る廃水中に含有されている窒素、リンなどの栄養塩類が
原因とされている。このため、窒素、リンに関する廃水
規制が実施されており、従来の活性汚泥法による二次処
理を行うのみではこれら栄養塩類を十分に処理できない
ために、脱窒工程を新規に設ける必要がある。
【0003】従来、窒素を除く方法としては生物による
脱窒処理、曝気によるストリッピング法、イオン交換
法、次亜塩素酸などの酸化剤による酸化脱窒などの方法
が用いられている。生物による脱窒処理は、アンモニア
態窒素を硝酸態窒素に硝化した後、硝酸態窒素を嫌気性
処理により窒素ガスとする方法であるが、処理時間を長
くとる必要があるために、必然的に装置規模が大きくな
るという問題点を有している。ストリッピング法は、液
相中にガスを注入し、溶解しているアンモニアを気相中
に放出する方法であるが、汚染物質が単に液相から気相
へと移行するだけで汚染の根本的な解決とはならないた
め、気相中のアンモニアを除去するための何らかの工程
が必要となる。イオン交換法では、窒素含有イオン以外
のイオンが多量に含有されているような廃水では、イオ
ン交換材を頻繁に再生する必要があるとともにイオン交
換材の耐久性を著しく損なう。また、次亜塩素酸による
脱窒法は、近年問題になっている有機塩素を生成する危
険性があることから処理コストが増大するため好ましく
ない。
【0004】また、アンモニアを含有する廃水の処理方
法として、触媒湿式酸化により処理する方法が提案され
ている(特公昭59−19757号)。これは、特定の
触媒の存在下、pHを9以上に調整した廃水を100℃
以上370℃以下の温度かつ廃水が液相を保持する圧力
条件下において湿式酸化処理する方法である。
【0005】この方法は廃水のpHを9以上に調整して
処理をおこなうものであるが、廃水にアルカリ物質を添
加することによりpHを調整した場合は、該廃水に溶存
していたアンモニア態窒素がアンモニアガスとして気相
中に移動してしまうことがある。このばあいは、作業環
境が悪化するばかりでなく、アンモニア態窒素の根本的
な処理ができなくなることになる。
【0006】また、アルカリ物質の添加量が多すぎるこ
とにより廃水が強アルカリ性になった場合、処理水を直
接放流できなくなるばかりでなく、湿式酸化装置素材に
よっては脆化を起こしたり、また、触媒が悪影響を受け
たりするなど、廃水の安定的処理に困難をきたすことが
ある。また、処理水がアルカリ性になる場合には、アン
モニア態窒素の触媒湿式酸化により生成した硝酸根、亜
硝酸根が処理水中に残留し、全窒素処理効率が不十分に
なることがある。
【0007】一方、処理前に該廃水にアルカリ物質を添
加することによりpHを9以上に調整した場合でも、触
媒湿式酸化処理によりアンモニア態窒素が除去されると
液が酸性を示すことがしばしばある。また、硫黄化合物
および/またはハロゲン化合物が湿式酸化処理されるこ
とにより、硫酸および/またはハロゲン化水素酸が新た
に生成することもある。これらのために処理中あるいは
処理後に液が強酸性になると、処理水を直接放流できな
くなるばかりでなく、装置材質の腐食や触媒に対する悪
影響などのため、廃水の安定的処理に困難をきたすこと
がある。
【0008】以上述べたように、アンモニア態窒素を含
有する廃水の触媒湿式酸化処理においては、処理中およ
び処理後のpHが9以上で、強酸性または強アルカリ性
でないことが効果的である。しかしながら、アルカリ物
質として水酸化アルカリのみを使用する場合は、液の流
量、使用薬品の純度、廃水性状の変化、廃水分析の誤差
等により液のpHが大きく変動することがあり、連続的
に安定的な処理を行うことが事実上困難となる。このた
め、簡便なpH安定化の方法の開発が望まれていた。
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ア
ンモニア態窒素を含有する廃水のうち、特に硫黄化合物
および/またはハロゲン化合物を含有する廃水を浄化す
ることにある。詳しくは、硫黄化合物および/またはハ
ロゲン化合物ならびにアンモニア態窒素を含有する廃水
を触媒湿式酸化処理するに際し、アンモニア態窒素を高
効率で浄化することのできる簡便かつ経済的に優れた廃
水の処理方法を提供することにある。すなわち本発明
は、硫黄化合物および/またはハロゲン化合物を含有す
るアンモニア態窒素を含有する廃水の触媒湿式酸化処理
に際して、処理中または処理後の液が強酸性または強ア
ルカリ性になることを抑制し、なおかつ、場合によって
は、該廃水に溶存するアンモニア態窒素の気相への移動
を防止し、安全かつ安価に安定して該廃水を高効率で浄
化することができる優れた廃水の処理方法を提供するも
のである。
【0010】
【課題を解決する手段】本発明者らは上記課題を解決す
べく鋭意研究を重ねた結果、硫黄化合物および/または
ハロゲン化合物ならびにアンモニア態窒素を含有する廃
水を触媒湿式酸化処理するに際し、次のような手順で処
理を行うことにより、安全、安価かつ簡便に液のpHを
安定化させることが可能となり、しかも廃水中のアンモ
ニア態窒素の処理も高効率にかつ安定して行うことが可
能であることを見い出した。すなわち、まず該廃水を予
め廃水タンクに貯留しておき、廃水タンク中の廃水にア
ンモニアガスの発生がほとんど問題にならない程度に水
酸化アルカリを加える。この水酸化アルカリ添加廃水を
昇圧ポンプで湿式酸化装置に供給しながら、アルカリ物
質の不足分相当またはそれより過剰量の炭酸アルカリお
よび/または炭酸水素アルカリの溶液を装置内に供給す
るのである。
【0011】水酸化アルカリならびに炭酸アルカリおよ
び/または炭酸水素アルカリは、硫黄化合物および/ま
たはハロゲン化合物ならびにアンモニア態窒素を含有す
る廃水のpHを調整するために用いる場合は、以下のよ
うな利点および問題点を持つ。
【0012】水酸化アルカリは高濃度で水に溶解するこ
とができ、また、比較的安価であるという利点を持つ。
アルカリ物質を溶液として廃水に添加する場合は、高濃
度の溶液として廃水に添加することができれば廃水の総
量の増大を抑制することができ、好都合である。しかし
ながら、水酸化アルカリのみでは処理中および処理後の
液のpHを安定化させることが難しい。すなわち、硫黄
化合物および/またはハロゲン化合物ならびにアンモニ
ア態窒素を含有する廃水の触媒湿式酸化処理後の液を中
性付近にするには、通常は湿式酸化処理後に残留する硫
酸および/またはハロゲン化水素酸に見合うだけの水酸
化アルカリを触媒湿式酸化処理の手前または途中で添加
すればよいが、水酸化アルカリではわずかな不足または
過剰の発生により処理水が強酸性または強アルカリ性と
なることがある。特にこれは、該廃水が有機物および炭
酸ガスを多量に含有しないときに顕著である。
【0013】一方、炭酸アルカリおよび/または炭酸水
素アルカリは、処理中または処理後の液が強アルカリ性
となるのを防止することができる。触媒湿式酸化処理中
および処理後の液が強酸性または強アルカリ性となるの
を防ぐためには、通常は湿式酸化処理後に残留している
硫酸および/またはハロゲン化水素酸に見合うだけまた
はそれ以上の炭酸アルカリおよび/または炭酸水素アル
カリを、触媒湿式酸化処理の手前または途中で添加すれ
ばよい。これは、炭酸、炭酸水素イオンおよび炭酸イオ
ンを液中に溶存させることにより、それらの緩衝作用が
得られるためである。しかしながら、炭酸アルカリおよ
び/または炭酸水素アルカリは水酸化アルカリと比較す
ると水への溶解度が小さいため、溶液として廃水に加え
ると廃水総量が増大し処理コストも増大することにな
り、また薬剤費も水酸化アルカリ使用の場合より高く、
ランニングコストの増大につながる。また、廃水が酸性
の場合、炭酸アルカリおよび/または炭酸水素アルカリ
を廃水タンク中に投入したとき、炭酸ガスが発生し、そ
のために廃水が飛散し、好ましくない。
【0014】アルカリ物質として水酸化アルカリならび
に炭酸アルカリおよび/または炭酸水素アルカリを用い
ることにはそれぞれ上述のような利点および問題点があ
る。しかしながら、本発明者らは両者の添加を組み合わ
せることにより、お互いの問題点を克服できることを見
出した。すなわち、処理水に残留する強酸を中和する量
以下の水酸化アルカリ溶液を装置内に供給することによ
り、廃水量の増大を抑制することができる。また、水酸
化アルカリを添加した上でアンモニア態窒素処理後に残
る強酸を中和する量またはそれより過剰量の炭酸アルカ
リおよび/または炭酸水素アルカリの溶液を昇圧ポンプ
で装置内に供給することにより、液のpHの安定化を実
現することができるものである。
【0015】本発明者は以上の知見をもとにさらに検討
を進めることにより、本発明を完成するに至った。
【0016】すなわち、本発明は、以下のように特定さ
れる。
【0017】第1の発明は、硫黄化合物および/または
ハロゲン化合物ならびにアンモニア態窒素を含有する廃
水を、酸素含有ガスの存在下に、固体触媒を用い、10
0℃以上370℃以下の温度かつ該廃水が液相を保持す
る圧力条件下において湿式酸化処理するに際し、以下に
述べる手順に従って処理することを特徴とする硫黄化合
物および/またはハロゲン化合物ならびにアンモニア態
窒素を含有する廃水の処理方法である。
【0018】(1)予め該廃水を廃水タンクに貯留する
こと。
【0019】(2)該廃水タンク中の該廃水に、該廃水
中の各原子または物質のモル数を次式に代入して得たα
に相当する量の10%以上100%以下の量の水酸化ア
ルカリを添加すること。
【0020】
【数3】
【0021】(3)(2)により得られた水酸化アルカ
リ添加廃水と、以下の条件を満たす量の炭酸アルカリお
よび/または炭酸水素アルカリの溶液と、酸素含有ガス
とを、固体触媒を充填した湿式酸化処理装置に導入する
こと。
【0022】
【数4】
【0023】(4)100℃以上370℃以下の温度か
つ該廃水が液相を保持する圧力条件下において該廃水を
湿式酸化処理すること。
【0024】第2の発明は、硫黄化合物および/または
ハロゲン化合物ならびにアンモニア態窒素を含有する廃
水を、酸素含有ガスの存在下に、固体触媒を用い、10
0℃以上370℃以下の温度かつ該廃水が液相を保持す
る圧力条件下において湿式酸化処理するに際し、以下に
述べる手順に従って処理することを特徴とする硫黄化合
物および/またはハロゲン化合物ならびにアンモニア態
窒素を含有する廃水の処理方法である。
【0025】(1)予め該廃水を廃水タンクに貯留する
こと。
【0026】(2)該廃水タンク中のpHが2以上8以
下になるように、該廃水に水酸化アルカリを添加するこ
と。
【0027】(3)(2)により得られた水酸化アルカ
リ添加廃水を、アンモニア態窒素のモル数に相当する量
の10%以上200%以下のアルカリ原子を含む炭酸ア
ルカリおよび/または炭酸水素アルカリの溶液と、酸素
含有ガスとともに固体触媒を充填した湿式酸化処理装置
に導入すること。
【0028】(4)100℃以上370℃以下の温度か
つ該廃水が液相を保持する圧力条件下において該廃水を
湿式酸化処理すること。
【0029】第3の発明は、上記第1の方法における数
1の式に代入して得たαに相当する量の10%以上10
0%以下かつ水酸化アルカリ添加後の廃水のpHが2以
上8以下となる量の水酸化アルカリを添加する硫黄化合
物および/またはハロゲン化合物ならびにアンモニア態
窒素を含有する廃水の処理方法である。
【0030】本発明に係る硫黄化合物とは、硫酸、硫酸
水素塩および硫酸塩ならびに触媒湿式酸化処理により硫
酸、硫酸水素塩および/または硫酸塩を生成せしめるも
のを指し、特に限定されるものではないが、具体的には
硫酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸アンモニウム、チオ硫
酸ナトリウム、ジメチルスルホキシド等を例示すること
ができる。また、好ましくは硫酸、硫酸水素塩、硫酸塩
である。
【0031】本発明に係るハロゲン化合物とは、ハロゲ
ン化水素酸、ハロゲン化水素酸塩ならびに触媒湿式酸化
処理によりハロゲン化水素酸および/またはハロゲン化
水素酸塩を生成せしめるものを指し、特に限定されるも
のではないが、具体的には塩酸、塩化ヒドラジニウム、
臭化カリウム、モノクロル酢酸等を例示することができ
る。また、好ましくはハロゲン化水素酸、ハロゲン化水
素酸塩であり、より好ましくは塩酸、塩酸塩である。
【0032】本発明に係るアルカリ元素とはナトリウ
ム、カリウム等のアルカリ金属元素の総称であり、アル
カリ原子とはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原
子の総称であり、水酸化アルカリとは水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物の総
称であり、炭酸アルカリとは炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウムなどのアルカリ金属の炭酸塩の総称であり、炭酸水
素アルカリとは炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム
などのアルカリ金属の炭酸水素塩の総称である。また、
アルカリ物質は水酸化アルカリ、炭酸アルカリ及び炭酸
水素アルカリの総称である。なお、炭酸アルカリ1モル
は2グラム当量、炭酸水素アルカリ1モルは1グラム当
量として酸と反応する。
【0033】本発明に係るアンモニア態窒素とは、アン
モニア、アンモニウム塩などの化合物を構成する窒素原
子を意味する。
【0034】本発明に係るモル数は、受け入れ時の廃水
の単位体積あたりの物質量をモルで表わしたものいう。
アルカリ物質の添加により廃水の体積が変動する場合、
特にアルカリ物質溶液の添加により廃水が希釈される場
合、第1の方法で示したα、βおよびγを求めるには、
体積変動後の廃水中に占める受け入れ時本来の廃水の単
位体積あたりの物質量、および受け入れ時本来の廃水の
単位体積あたりに添加するアルカリ物質の物質量から、
α、βおよびγそれぞれの値を求めることになる。
【0035】本発明に係る硫黄化合物中の硫黄原子は湿
式酸化処理後に硫酸、硫酸水素塩および/または硫酸塩
として処理水中に残留し、ハロゲン化合物中のハロゲン
原子はハロゲン化水素酸および/またはその塩として処
理水中に残留する事が多い。硫黄化合物を含む廃水の処
理後の硫酸を中和するように予めアルカリ物質を添加す
るには、硫酸は二塩基酸であるため、硫黄原子1モルに
対しアルカリ原子が合計で2モルになるように加える。
ハロゲン化合物を含む廃水の処理後のハロゲン化水素酸
を中和するように予めアルカリ物質を添加するには、ハ
ロゲン化水素酸は一塩基酸であるため、ハロゲン原子1
モルに対しアルカリ原子が合計で1モルになるように加
える。
【0036】本発明に係る硫黄化合物中の硫黄原子は、
湿式酸化処理後に、硫酸、硫酸水素塩および/または硫
酸塩として処理水中に残留することが多い。また、ハロ
ゲン化合物中のハロゲン原子は、ハロゲン化水素酸およ
び/またはその塩として処理水中に残留することが多
い。硫黄化合物を含む廃水の処理後の硫酸を中和するよ
うに予めアルカリ物質を添加するには、硫酸は二塩基酸
であるため、硫黄原子1モルに対しアルカリ原子が合計
で2モルになるように加える。また、ハロゲン化合物を
含む廃水の処理後のハロゲン化水素酸を中和するように
予めアルカリ物質を添加するには、ハロゲン化水素酸は
一塩基酸であるため、ハロゲン原子1モルに対しアルカ
リ原子が合計で1モルになるように加える。
【0037】第1の方法において、水酸化アルカリの添
加量は、αに相当する量の10%以上100%以下、好
ましくは40%以上90%以下である。水酸化アルカリ
の添加量が上記範囲を下回る場合は、後の工程での炭酸
アルカリおよび/または炭酸水素アルカリの水溶液の添
加量が多くなり、廃水総量が増大するため、処理コスト
が高くなる。この理由は、一般に炭酸アルカリおよび/
または炭酸水素アルカリは、水酸化アルカリに比べ水に
低規定濃度にしか溶解しないことが多いため、添加に必
要なアルカリ水溶液の量が増すためである。また、炭酸
アルカリおよび/または炭酸水素アルカリの薬剤費も高
く、ランニングコストの増加につながる。一方、上記範
囲を上回る場合は、アンモニアの気相への移動が激しく
なることがあるため、アンモニアガスの発生による作業
上の危険が生じると同時にアンモニアの根本的な処理が
できなくなることがあり、また、炭酸アルカリおよび/
または炭酸水素アルカリの添加量が少なくなり、期待さ
れるpH緩衝能が得られないことが多い。
【0038】第1の方法での炭酸アルカリおよび/また
は炭酸水素アルカリの添加量は、その添加に由来するア
ルカリ原子の量がβに相当する量の100%以上、なお
かつ廃水中の全アルカリ原子の量がγに相当する量の2
00%以下となるようにするのが効果的である。また好
ましくはβに相当する量の102%以上150%以下な
おかつγに相当する量の120%以下であり、より好ま
しくはβに相当する量の105%以上120%以下なお
かつγに相当する量の105%以下である。添加する炭
酸アルカリおよび/または炭酸水素アルカリに由来する
アルカリ原子のモル数がβに相当する量の100%未満
の場合は、処理水のpHが強酸性となることがある。一
方、全アルカリ原子のモル数がγに相当する量の200
%を超える場合には、処理水が強アルカリ性を示すこと
があるばかりか、炭酸アルカリおよび/または炭酸水素
アルカリの添加に無駄を生じることになる。
【0039】第2の方法では、タンク中の廃水に水酸化
アルカリを添加する際に、水酸化アルカリ添加後の廃水
のpHは、2以上8以下が効果的であり、好ましくは4
以上7以下が効果的である。pHが2未満の場合は、後
の工程で水酸化アルカリより低規定濃度にしか溶解しな
い炭酸アルカリおよび/または炭酸水素アルカリの溶液
の添加量が大きくなり、廃水総量が増大するため、処理
コストが高くなる。一方、pHが8を超える場合、特に
pHが10を超える場合は、アンモニアがアンモニアガ
スとして一部気相中に移動し、アンモニア態窒素の根本
的な処理ができなくなるため、アンモニアガス発生を防
止するための対策が新たに必要になる。また、この場合
は水酸化アルカリの添加量が過剰となるため炭酸アルカ
リおよび/または炭酸水素アルカリの添加量を少なくす
る必要が生じることがあるが、その場合は液のpHの安
定性が十分に得られないことが多い。
【0040】また、第2の方法では、炭酸アルカリおよ
び/または炭酸水素アルカリの添加量は、炭酸アルカリ
および/または炭酸水素アルカリに由来するアルカリ原
子のモル数が、アンモニア態窒素のモル数の10%以上
200%以下となるよう炭酸アルカリおよび/または炭
酸水素アルカリ溶液を供給するのが実用的であり、好ま
しくは50%以上150%以下であり、より好ましくは
90%以上120%以下である。炭酸アルカリおよび/
または炭酸水素アルカリに由来するアルカリ原子のモル
数がアンモニア態窒素のモル数の10%未満の場合は、
処理水が強酸性となることがあり、一方200%を超え
る場合は処理水が強アルカリ性になることがある。
【0041】この第2の方法では、主として硫黄化合物
および/またはハロゲン化合物が、硫酸、ハロゲン化水
素酸および/または上記の酸の酸基を含む塩の形で含ま
れる場合には、硫黄元素またはハロゲン元素を含む強酸
があらたに生成したり、処理水中の強酸酸基の合計の規
定濃度が該廃水中の強酸酸基の合計の規定濃度より大き
くなったりすることによる問題は生じないものである。
従ってこの方法を採用する場合、廃水中の濃度を把握す
べき成分はアンモニア態窒素のみとなり、硫黄原子およ
び/またはハロゲン原子の濃度が不明であってもそれら
の定量を省略することができる。
【0042】第3の方法では、水酸化アルカリの添加量
を第1の方法で示したのと同じαに相当する量の10%
以上100%以下の範囲内とし、なおかつ水酸化アルカ
リ添加後の液のpHが2以上8以下になるよう適宜設定
する。硫黄化合物および/またはハロゲン化合物が、硫
酸、ハロゲン化水素酸または上記の酸の酸基を含む塩以
外の化合物を含む場合には、前述の第1の方法でのαに
基づく量の水酸化アルカリの添加では、水酸化アルカリ
の添加量が過剰となることが多い。例えば、二塩基酸で
あるチオ硫酸1モルは、触媒湿式酸化処理により二塩基
酸である硫酸2モルとなるが、該廃水中の硫黄原子を含
む酸の酸基の合計の規定濃度は、処理水中の硫酸酸基の
規定濃度より小さい。このため、チオ硫酸イオンを含む
アンモニア態窒素を含有する廃水を処理する場合には、
前述のαに基づく量の水酸化アルカリの添加では好まし
くないことがある。従ってこの場合は、水酸化アルカリ
添加後の廃水のpHが2以上8以下に収まるように、水
酸化アルカリの添加量を前述のαに基づく量未満の適切
な値に相当するよう設定する。
【0043】そして炭酸アルカリおよび/または炭酸水
素アルカリの添加量は、その添加に由来するアルカリ原
子の量がβに相当する量の100%以上、なおかつ廃水
中の全アルカリ原子の量がγに相当する量の200%以
下となるようにするのが効果的である。また、好ましく
はβに相当する量の102%以上150%以下なおかつ
γに相当する量の120%以下であり、より好ましくは
βに相当する量の105%以上120%以下なおかつγ
に相当する量の105%以下である。添加する炭酸アル
カリおよび/または炭酸水素アルカリに由来するアルカ
リ原子のモル数がβに相当する量の100%未満の場合
は、処理水のpHが強酸性となることがある。一方、全
アルカリ原子のモル数がγに相当する量の200%を超
える場合には、処理水が強アルカリ性を示すことがある
ばかりか、炭酸アルカリおよび/または炭酸水素アルカ
リの添加に無駄を生じることになる。
【0044】本発明においては硫黄化合物が硫酸および
硫酸塩、ハロゲン化合物がハロゲン化水素酸およびハロ
ゲン化水素酸の塩よりなる群から選ばれる少なくとも1
種の化合物であることが好ましい。さらに硫酸、ハロゲ
ン化水素酸および上記の酸の酸基を含む塩よりなる群か
ら選ばれる化合物の合計の量が、硫黄化合物および/ま
たはハロゲン化合物の合計の量の30重量%以上であ
り、より好ましくは70重量%以上である。また、さら
に好ましくは、硫黄化合物および/またはハロゲン化合
物が、すべて硫酸、ハロゲン化水素酸および上記の酸の
酸基を含む塩よりなる群から選ばれる化合物である。本
発明は廃水中の硫黄化合物および/またはハロゲン化合
物を限定するものではないが、このように硫酸、ハロゲ
ン化水素酸および上記の酸の酸基を含む塩よりなる群か
ら選ばれる化合物であることにより本発明の効果が一層
明瞭に発揮される。すなわち、強酸存在下では中性域で
の緩衝効果が小さいのに対し、本発明の2種類の塩基の
添加によりpHまた廃水処理の安定性がもたらされるも
のである。このため硫酸、ハロゲン化水素酸および上記
の酸の酸基を含む塩よりなる群から選ばれる化合物の合
計の量が、硫黄化合物および/またはハロゲン化合物の
合計の量の30重量%以上である場合、本発明を用いた
ことによる反応安定効果がより顕著に現れるものであ
る。
【0045】また本発明の効果は、該廃水が酸性である
ときに、特に効果的である。
【0046】水酸化アルカリの添加は、局所的なpHの
上昇によるアンモニアガスの発生を避けるために、水酸
化アルカリを水溶液にして所定量を撹拌しながら徐々に
供給することが好ましい。固体の水酸化アルカリを投入
することは局所的な中和反応が起こることから好ましく
ない。水酸化アルカリ溶液の濃度は特に限定されない
が、5重量%以上50重量%以下が効果的であり、好ま
しくは10重量%以上47重量%以下、より好ましくは
20重量%以上45重量%以下である。2重量%未満の
場合は水酸化アルカリ使用による廃水総量増大を抑制す
る効果が十分に得られない。水酸化アルカリは水に対す
る飽和溶解度が炭酸アルカリおよび/または炭酸水素ア
ルカリより大きく、より高規定濃度の溶液を使用するこ
とができるため、水酸化アルカリ溶液を使用することで
アルカリ物質溶液添加に伴う廃水処理量増大による処理
コスト増大を抑えることができる。
【0047】廃水を装置に導入する前に水酸化アルカリ
を廃水に添加することにより、湿式酸化処理装置内で廃
水と水酸化アルカリ溶液とを混合する場合に比べ、アル
カリ物質溶液供給用の昇圧ポンプの数を少なくする、あ
るいは昇圧ポンプをより低能力のもので済ますことがで
きる。本発明に係る炭酸アルカリおよび/または炭酸水
素アルカリの溶液の濃度は、特に限定されないが、1重
量%以上20重量%以下が効果的であり、好ましくは5
重量%以上15重量%以下である。1重量%未満の場合
は、廃水の総量が増大し、廃水の処理コストが増大す
る。また、20重量%以上の場合は、室温では炭酸アル
カリおよび/または炭酸水素アルカリの固体が析出しや
すく、濃度が不安定になったりポンプによる処理装置内
への送液が困難になったりことがある。高濃度の炭酸ア
ルカリおよび/または炭酸水素アルカリの溶液は、温度
低下により固体が析出することのないよう、一定温度以
上に保つことが好ましい。
【0048】炭酸アルカリおよび/または炭酸水素アル
カリの溶液の供給は、通常湿式酸化塔の入口またはその
手前で行なうが、湿式酸化塔の途中で行なってもよい。
【0049】炭酸アルカリおよび/または炭酸水素アル
カリの溶液と廃水との混合は、湿式酸化装置内で行なう
ため、アンモニアが処理系内より飛散するという問題は
生じない。すなわち、この場合pH上昇により最初気相
へのアンモニアの移動が一部起こるが、加圧下であるこ
とによりその割合が小さくなる。また、系内に閉じこめ
られているため、処理が進むにつれpHの低下も相まっ
て再び液相への移動が起こり、湿式酸化装置全体で見た
場合、気相へのアンモニア飛散は問題にならなくなるの
である。
【0050】本発明に係るアルカリ物質としては、ナト
リウム化合物であることが効果的であり、すなわち水酸
化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが
安価であり好ましい。
【0051】本発明において処理対象となる廃水中のア
ンモニア態窒素の濃度としては、飽和溶解度以下のもの
であれば範囲は限定されないが、100mg/リットル
以上100g/リットル以下が効果的であり、500m
g/リットル以上70g/リットル以下が好ましく、1
g/リットル以上50g/リットル以下がより好まし
い。アンモニア態窒素の濃度が100mg/リットル未
満では本発明による処理の必要性がなく、100g/リ
ットルを超える場合は反応時に発生する熱のため湿式酸
化塔内の温度の制御が困難となる。
【0052】本発明に係る硫黄化合物および/またはハ
ロゲン化合物の濃度は、特に限定されるものではない
が、500mg/リットル以上300g/リットル以下
が効果的であり、好ましくは1g/リットル以上50g
/リットル以下である。500mg/リットル未満の場
合は、本発明によらなくても十分に安定的な処理ができ
ることが多い。300g/リットルを超える場合は、廃
水中の塩濃度が高くなり、処理装置内で塩が析出し、装
置内で閉塞が生じたり、該廃水中の溶存酸素量の減少の
ため処理効率が低下することがある。
【0053】炭酸アルカリおよび/または炭酸水素アル
カリの溶液の添加は、廃水を処理系内に供給する昇圧ポ
ンプの吐出側から湿式酸化塔内の触媒層出口までの位置
で行うことが効果的であり、好ましくは湿式酸化塔の入
口までの位置で行う。昇圧ポンプの手前ではアンモニア
ガスや炭酸ガスが発生するため、アンモニア態窒素の根
本的処理ができなくなり、また、炭酸塩および/または
炭酸水素塩を用いることによるpHの緩衝作用が十分に
得られないことがある。湿式酸化塔内で液が強酸性にな
ることがないならば、炭酸アルカリおよび/または炭酸
水素アルカリの溶液の添加を反応塔の途中の位置から行
うことができるが、湿式酸化塔の入口までの位置で行う
ことが簡便である。炭酸アルカリおよび/または炭酸水
素アルカリの溶液の添加は、上記の区間内の複数の位置
で行うこともできる。
【0054】本発明に係る硫黄化合物および/またはハ
ロゲン化合物ならびにアンモニア態窒素を含有する廃水
は、水素元素、炭素元素、窒素元素、酸素元素、硫黄元
素、アルカリ元素またはハロゲン元素以外の元素を含む
無機物を含まないことが好ましいが、それらが微量なら
ば特に問題はない。
【0055】本発明に係る触媒は、湿式酸化反応条件に
おいて、耐久性と活性を備えた固体触媒であればいずれ
の触媒を用いてもよいが、一例を挙げれば触媒成分とし
てチタン、ケイ素、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、タングステン、セリウム、銅、銀、
金、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、および
イリジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元
素の水に不溶性または難溶性の化合物を含有してなる固
体触媒である。
【0056】本発明に係る触媒は前記の通り特定された
組成からなるものが好ましく、触媒形状としては、粒
状、ペレット状、およびハニカムなどの一体構造体など
種々のものを採用することができる。
【0057】本発明に係る廃水処理時の温度は100℃
以上370℃以下、好ましくは150℃以上300℃以
下の範囲内である。廃水処理時の温度が370℃を超え
る場合は水の臨界温度を超えることになり好ましくな
い。100℃以下では反応は実質的に進行しない。圧力
については処理温度において廃水が液相を保持する圧力
を設定する。湿式酸化反応は酸素分圧が高いほど反応が
速やかに進行するため、処理時の圧力が高いほど反応が
速くなるが、装置圧力が高くなると装置自体が高価とな
るために、目標とする処理時間、処理効率に合わせて適
宜設定すればよい。
【0058】本発明に係る廃水の流入速度は、触媒に対
して空間速度(LHSV)で0.5hr-1以上20hr
-1以下の範囲内であることが好ましい。LHSVが0.
5hr-1未満では触媒量に対して処理効率は上昇せずコ
スト的に高くなり、好ましくない。LHSVが20hr
-1を超える場合はアンモニア態窒素の処理効率が十分で
なく、好ましくない。
【0059】本発明に係る酸素含有ガスとは、酸素を含
有する気体のことであり、具体的には空気、酸素富化空
気、酸素を含有する排ガスなど、種々のものを挙げるこ
とができる。酸素含有ガス中の酸素濃度としては3vo
l%以上、好ましくは5vol%以上である。酸素濃度
が3vol%未満の場合は処理効率が低下し好ましくな
い。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例にしたがって詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】(触媒調製例)硝酸第二鉄を水に溶解させ
て硝酸ジルコニル、硝酸パラジウムを添加し、水酸化ナ
トリウム水溶液を加えてpHを9とし、これをろ過洗浄
して得られたケーキを乾燥させて700℃で焼成後、粉
砕して鉄−ジルコニウム−パラジウムの酸化物粉体(重
量比Fe2O3:ZrO2:Pd=60:39.5:0.
5)を得た。
【0062】かくして得られた酸化物粉体にでんぷん、
水を加えてよく混合した後、ペレット状(円筒形、平均
径5mm、長さ6mm)に成型し、乾燥後、400℃で
4時間焼成して完成触媒を得た。
【0063】(実施例1)第1図に示すようなフローに
したがって、アンモニウムイオン3,600mg/リッ
トルおよび硫酸イオン19,200mg/リットルを含
有し、アルカリ原子を含む物質やハロゲン原子を含む物
質を含有しない、pHが1である廃水を以下に述べる方
法で処理した。まず廃水タンク5中で200g/リット
ルの水酸化ナトリウム水溶液を、該廃水1リットルに対
し0.036リットルの割合で添加した。このときの水
酸化ナトリウム添加量は次式で求めたαに相当する量の
90%であった。また、このときのpHは3になった。 α=2×(硫黄原子のモル数)−(アンモニア態窒素の
モル数) 水酸化ナトリウムを添加した廃水をポンプ3で70kg
/cm2Gまで昇圧し1.036リットル/hrの流量
で装置内に供給し、また、53g/リットルの炭酸ナト
リウム水溶液をポンプ4で0.264リットル/hrの
流量で70kg/cm2Gまで昇圧し、前記廃水に混入
した。この炭酸ナトリウムに由来するナトリウムイオン
の添加量は次式で求めたβに相当する量の120%であ
った。
【0064】β=2×(硫黄原子のモル数)−(添加し
た水酸化アルカリに由来するアルカリ原子のモル数) また、全ナトリウムイオンの量は次式で求めたγに相当
する量の111%であった。
【0065】γ=2×(硫黄原子のモル数) さらに、空気はコンプレッサー7で昇圧した後、理論酸
素要求量の1.05倍となる流量で前記アルカリ物質添
加廃水に混入した。この気液混合物を熱交換器2におい
て加熱した後、触媒調製例で得られた触媒0.5リット
ルを充填した湿式酸化塔1へ導入し、気液混合物を湿式
酸化塔1付属のヒーター10によりさらに加熱し250
℃に保ちながら処理し、処理水を熱交換器2において冷
却し、気液分離器6に導入した。気液分離器6において
は、液面コントローラ(LC)により液面を検出し、液
面制御弁8を作動させて一定の液面を保持するととも
に、圧力コントローラ(PC)により圧力を検出して圧
力制御弁9を作動させて一定の圧力を保持するように操
作した。
【0066】結果は、処理水中にアンモニア態窒素は検
出されず、亜硝酸態窒素が2mg/リットル、硝酸態窒
素が2mg/リットル検出された。処理水のpHは7で
あった。
【0067】(実施例2)第1図に示すようなフローに
したがって、アンモニウムイオン14,400mg/リ
ットルおよび濃度不明の硫酸イオンを含有し、アルカリ
原子を含む物質やハロゲン原子を含む物質を含有しな
い、pHが1である廃水を以下に述べる方法で処理し
た。廃水タンク5中で300g/リットルの水酸化ナト
リウム水溶液を添加してpHを4とした。水酸化ナトリ
ウム水溶液の添加量は廃水1リットルに対し0.08リ
ットルであった。水酸化ナトリウム添加後の廃水を1.
08リットル/hrの流量で装置内に供給した。106
g/リットルの炭酸ナトリウム水溶液を、それに由来す
るナトリウムイオンのモル数がアンモニア態窒素のモル
数の120%となるよう、ポンプ4で0.48リットル
/hrの流量で前記気液混合物に混入した。また、空気
を理論酸素要求量の1.05倍となる流量で前記アルカ
リ物質添加廃水に混入した。上記以外は実施例1と同様
の条件下において処理テストを行った。
【0068】結果は、処理水中にアンモニア態窒素は検
出されず、亜硝酸態窒素が2mg/リットル、硝酸態窒
素が4mg/リットル検出された。処理水のpHは8で
あった。
【0069】(実施例3)実施例1で示した廃水のかわ
りにアンモニウムイオン1,800mg/リットル、濃
度不明の塩素イオンを含有し、アルカリ原子を含む物質
や硫黄原子を含む物質を含有しない、pHが1である廃
水を以下に述べる方法で処理した。廃水タンク5中の廃
水のpHが6になるように、廃水1リットルに対し40
0g/リットルの水酸化アルカリ溶液を0.01リット
ル添加した。その水酸化ナトリウムを添加した廃水を
1.01リットル/hrの流量で装置内に供給し、炭酸
ナトリウム溶液のかわりに70g/リットルの炭酸水素
ナトリウム水溶液を、それに由来するナトリウムイオン
のモル数がアンモニア態窒素のモル数の100%となる
よう、ポンプ4で0.12リットル/hrの流量で装置
内に供給し、空気を理論酸素要求量の1.05倍となる
流量で供給した以外は実施例2と同様の条件下において
処理テストを行った。
【0070】なお、200g/リットルの水酸化ナトリ
ウム水溶液の添加量は廃水1リットルに対し0.02リ
ットルであった。
【0071】結果は、処理水中にはアンモニア態窒素や
亜硝酸態窒素は検出されず、硝酸態窒素が1mg/リッ
トル検出された。処理水のpHは6であった。
【0072】(実施例4)実施例1で示した廃水のかわ
りにアンモニウムイオン3,600mg/リットル、硫
酸イオン20,200mg/リットルおよびジメチルス
ルホキシド3,130mg/リットルを含有し、アルカ
リ原子を含む物質やハロゲン原子を含む物質を含有しな
い、pHが1である廃水を以下に述べる方法で処理し
た。該廃水1リットルに対し200g/リットルの水酸
化ナトリウム溶液を0.038リットル添加した。廃水
のpHは3となった。水酸化アルカリ添加後の廃水を
1.038リットル/hrの流量で装置内に供給し、5
3g/リットルの炭酸ナトリウム溶液を0.326リッ
トル/hrの流量で供給し、および空気を理論酸素要求
量の1.05倍となる流量で供給した以外は、実施例1
と同様の条件下において処理テストを行った。なお、こ
こでの水酸化ナトリウムの供給量は下記のαに相当する
量に対し63%、炭酸ナトリウムの供給量は下記のβに
相当する量に対し105%、全ナトリウムイオンの量は
下記のγに対し103%となる量であった。
【0073】α=2×(硫黄原子のモル数)−(アンモ
ニア態窒素のモル数) β=2×(硫黄原子のモル数)−(添加した水酸化アル
カリに由来するアルカリ原子のモル数) γ=2×(硫黄原子のモル数) 結果は、処理水中にはアンモニア態窒素や亜硝酸態窒素
は検出されず、硝酸態窒素が2mg/リットル検出され
た。処理水のpHは6であった。
【0074】(実施例5)実施例1で示した廃水のかわ
りに、チオ硫酸アンモニウム7,400mg/リットル
を含有し、アルカリ原子を含む物質やハロゲン原子を含
む物質を含有しない廃水を以下に述べる方法で処理し
た。該廃水1リットルに対し200g/リットルの水酸
化ナトリウム溶液を0.008リットル添加した。これ
により廃水のpHは9になった。水酸化ナトリウム添加
後の廃水を1.004リットル/hrの流量で装置内に
供給し、53g/リットルの炭酸ナトリウム溶液を0.
176リットル/hrの流量で供給し、および空気を理
論酸素要求量の1.2倍となる流量で供給した以外は、
実施例1と同様の条件下において処理テストを行った。
なお、ここでの水酸化ナトリウムの供給量は下記のαに
相当する量に対し40%、炭酸ナトリウムの供給量は下
記のβに相当する量に対し110%、全ナトリウムイオ
ンの量は下記のγに対し108%となる量であった。
【0075】α=2×(硫黄原子のモル数)−(アンモ
ニア態窒素のモル数) β=2×(硫黄原子のモル数)−(添加した水酸化アル
カリに由来するアルカリ原子のモル数) γ=2×(硫黄原子のモル数) 結果は、処理水中にアンモニア態窒素は検出されず、亜
硝酸態窒素が3mg/リットル、硝酸態窒素が5mg/
リットル検出された。処理水のpHは7であった。
【0076】(比較例1)炭酸ナトリウム溶液のかわり
に200g/リットルの水酸化ナトリウム水溶液をポン
プ4で0.048リットル/hrの流量で前記気液混合
物に供給した以外は実施例1と同様の条件下において処
理テストを行った。
【0077】ポンプ4により装置内に供給した水酸化ナ
トリウムの量は次式で求めたβに相当する量の120%
であり、全ナトリウムイオンの量は次式で求めたγの1
10%であった。
【0078】α=2×(硫黄原子のモル数)−(アンモ
ニア態窒素のモル数) β=2×(硫黄原子のモル数)−(廃水タンク中で添加
した水酸化アルカリに由来するアルカリ原子のモル数) γ=2×(硫黄原子のモル数) 結果は、処理水中にはアンモニア態窒素は検出されなか
ったが、亜硝酸態窒素12mg/リットル、硝酸態窒素
7mg/リットルが検出された。処理水のpHは12で
あった。
【0079】(比較例2)廃水タンク5中で水酸化ナト
リウムのかわりに53g/リットルの炭酸ナトリウム溶
液を、廃水1リットルに対し0.4リットル添加した。
この炭酸ナトリウムを添加した廃水をポンプ3で1.4
リットル/hrの流量で装置内に供給し、ポンプ4から
はアルカリ物質の溶液を供給しなかった。上記以外は実
施例1と同様の条件下において処理テストを行った。こ
のときの炭酸ナトリウム添加によるナトリウムイオンの
添加量は次式で求めたγに対し100%であった。
【0080】γ=2×(硫黄原子のモル数) 結果は、処理水中にはアンモニア態窒素や亜硝酸態窒素
は検出されず、硝酸態窒素が8mg/リットル検出され
た。処理水のpHは4であった。また、廃水タンク中の
ヘッドスペースガスのアンモニア濃度は50ppmであ
った。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の好ましい実施態様を説明するフローチ
ャートである。 1.湿式酸化塔 2.熱交換器 3.廃水昇圧用ポンプ 4.炭酸ナトリウム溶液昇圧用ポンプ 5.廃水タンク 6.気液分離器 7.コンプレッサー 8.液面制御弁 9.圧力制御弁 10.ヒーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三井 紀一郎 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地 の1 株式会社日本触媒 触媒研究所内 審査官 中野 孝一 (56)参考文献 特開 平4−338285(JP,A) 特開 平1−284391(JP,A) 特公 昭49−33845(JP,B2) 米国特許5298174(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/74

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硫黄化合物および/またはハロゲン化合物
    ならびにアンモニア態窒素を含有する廃水を、酸素含有
    ガスの存在下に、固体触媒を用い、100℃以上370
    ℃以下の温度かつ該廃水が液相を保持する圧力条件下に
    おいて湿式酸化処理するに際し、以下に述べる手順に従
    って処理することを特徴とする硫黄化合物および/また
    はハロゲン化合物ならびにアンモニア態窒素を含有する
    廃水の処理方法。 (1)予め該廃水を廃水タンクに貯留すること。 (2)該廃水タンク中の該廃水に、該廃水中の各原子ま
    たは物質のモル数を次式に代入して得たαに相当する量
    の10%以上100%以下の量の水酸化アルカリを添加
    すること。 【数1】 (3)(2)により得られた水酸化アルカリ添加廃水
    と、以下の条件を満たす量の炭酸アルカリおよび/また
    は炭酸水素アルカリの溶液と、酸素含有ガスとを、固体
    触媒を充填した湿式酸化処理装置に導入すること。 【数2】 (4)100℃以上370℃以下の温度かつ該廃水が液
    相を保持する圧力条件下において該廃水を湿式酸化処理
    すること。
  2. 【請求項2】硫黄化合物および/またはハロゲン化合物
    ならびにアンモニア態窒素を含有する廃水を、酸素含有
    ガスの存在下に、固体触媒を用い、100℃以上370
    ℃以下の温度かつ該廃水が液相を保持する圧力条件下に
    おいて湿式酸化処理するに際し、以下に述べる手順に従
    って処理することを特徴とする硫黄化合物および/また
    はハロゲン化合物ならびにアンモニア態窒素を含有する
    廃水の処理方法。 (1)予め該廃水を廃水タンクに貯留すること。 (2)該廃水タンク中のpHが2以上8以下になるよう
    に、該廃水に水酸化アルカリを添加すること。 (3)(2)により得られた水酸化アルカリ添加廃水
    を、アンモニア態窒素のモル数に相当する量の10%以
    上200%以下のアルカリ原子を含む炭酸アルカリおよ
    び/または炭酸水素アルカリの溶液と、酸素含有ガスと
    ともに固体触媒を充填した湿式酸化処理装置に導入する
    こと。 (4)100℃以上370℃以下の温度かつ該廃水が液
    相を保持する圧力条件下において廃水を湿式酸化処理す
    ること。
  3. 【請求項3】請求項1の数1の式に代入して得たαに相
    当する量の10%以上100%以下かつ水酸化アルカリ
    添加後の廃水のpHが2以上8以下となる量の水酸化ア
    ルカリを添加する請求項1記載の硫黄化合物および/ま
    たはハロゲン化合物ならびにアンモニア態窒素を含有す
    る廃水の処理方法。
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