JP3213509B2 - 固体高分子型燃料電池の起動方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池の起動方法

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JP3213509B2
JP3213509B2 JP12358195A JP12358195A JP3213509B2 JP 3213509 B2 JP3213509 B2 JP 3213509B2 JP 12358195 A JP12358195 A JP 12358195A JP 12358195 A JP12358195 A JP 12358195A JP 3213509 B2 JP3213509 B2 JP 3213509B2
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透 中岡
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体高分子型燃料電池
の起動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】固体高分子型燃料電池は、固体高分子膜
にアノード層とカソード層とを配したセルと、アノード
層に燃料ガス(例えば水素リッチな燃料ガス)を供給す
るためのアノード溝やカソード層に酸化剤ガス(例えば
空気)を供給するためのカソード溝が形成された部材と
から構成されており、各ガス溝は一般的に、アノード層
及びカソード層の全体にガスを行きわたらせると共にア
ノード層及びカソード層から効率よく集電するため、ア
ノード層及びカソード層に対向して1〜2mm程度の幅
の複数の細いチャネルが並んだ形状で形成されている。
【0003】ところで、固体高分子型燃料電池は、外部
に電力を供給する運転中においては、電解質膜である固
体高分子膜の湿潤状態が保持されていなければならない
ので、固体高分子膜に水分を補給しながら運転してい
る。固体高分子膜に水分補給する方法としては、従来、
加湿器等の装置を設けて電池本体に供給される燃料ガス
や酸化剤ガスに対して加湿する外部加湿法が多く行われ
ていたが、電池本体内に水を直接供給する内部加湿法も
知られている。
【0004】内部加湿法では、固体高分子膜に燃料ガス
と共に水を供給することによって、固体高分子膜の保湿
と電池本体の冷却を兼ねたものも開発されており、例え
ば平1−140562号公報に開示されている固体高分
子型燃料電池においては、アスピレータで燃料ガスに霧
状の水を供給することによって、固体高分子膜を保湿す
ると共に、カソード側から十分な水を蒸発させ、電池本
体の冷却も兼ねることができるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
内部加湿法を用いた固体高分子型燃料電池では、運転を
停止した後、アノード溝に水が残留する傾向にあり、特
燃料ガスと共に水を供給することにより冷却を行う
体高分子型燃料電池の場合には、アノード溝に多量の水
が残留しやすい。そして、上記のようにガスの通路は通
常、複数の細いチャネル構造となっているので、複数の
チャネルの一部或は全部が残留した水によって閉塞され
てしまうとう問題が生じていた。
【0006】一旦細いチャネルに水が停止して閉塞して
しまうと、再起動させるとき、一部のチャネルには燃料
ガスが流れないという現象が生じ、その分だけセルの発
電電圧は低い値しか得られないため、本来の燃料電池の
発電電圧が得られない。またこの場合、チャネルを閉塞
している水は、ある程度、固体高分子膜を透過してカソ
ード層側から蒸発するが、燃料ガスと共に水がアノード
溝に供給されるため、チャネルの閉塞は容易に解消され
ず、アノード溝のチャネル全体が開通するのに相当長い
時間を要する。
【0007】ここで、アノード層やカソード層は、金属
触媒を担持したカーボン等で形成されているため、チャ
ネルが閉塞されている状態のときに大きい負荷電流をか
けると、アノード層のカーボンと水とが反応することに
より、アノード層が損傷を受けることになる。従って、
アノード層の損傷を防ぐことを考慮すると、チャネルの
閉塞状態が長引くに伴って、外部に電力を供給できるよ
うになるまでの時間、即ち起動に要する時間が長くな
る。
【0008】本発明は、このような課題に鑑み、通常運
転時において、アノード層に対向する複数のチャネルに
燃料ガスと水とを供給して運転する固体高分子型燃料電
池において、起動時にアノード側のチャネルが水で閉塞
されていてもそれをすみやかに解消することによって、
アノード層の損傷を防止しつつ起動時間を短縮すること
ができる起動方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、固体電解質膜上にアノード
層とカソード層が配されてなるセルと、アノード層に対
向して複数のチャネルが形成されたガス通路部材とを備
え、通常運転時には、複数のチャネルに燃料ガスと水と
を供給すると共にカソード層に酸化剤ガスを供給するこ
とによりセルで発生した電力を外部へ供給する固体高分
子型燃料電池の起動方法であって、固体高分子型燃料電
池の発電電圧を測定する電圧測定ステップと、電圧測定
ステップで測定した電圧値が、固体高分子型燃料電池の
正常な運転状態のときに示す発電電圧に基づいて設定さ
れた設定電圧以上であるか否かを判断する電圧比較ステ
ップと、電圧比較ステップで設定電圧以上でないと判断
された場合には、前記複数のチャネルへの水の供給を停
止し、設定電圧以上である判断された場合には、前記複
数のチャネルへ燃料ガスと共に水の供給を開始する供給
燃料制御ステップとを備えることを特徴としている。
【0010】なお、固体高分子型燃料電池が示す電圧は
負荷電流によって変化するが、ここでの設定電圧及び発
電電圧は、一定の負荷電流に対応するものを指してい
る。また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明
に対して、設定電圧は、固体高分子型燃料電池の正常な
運転状態のときに示す開路電圧に基づいて設定されたも
のであって、電圧測定ステップで、固体高分子型燃料電
池の開路電圧を測定することを特徴としている。
【0011】また、請求項3記載の発明は、請求項1記
載の発明に対して、供給燃料制御ステップでは、更に、
電圧比較ステップで設定電圧以上でないと判断された場
合には外部への電力供給を停止し、設定電圧以上である
判断された場合には外部への電力供給を開始するよう、
外部への電力の供給及び停止を切換えることを特徴とし
ている。
【0012】また、請求項4記載の発明は、固体電解質
膜上にアノード層とカソード層とが配されてなるセル
と、アノード層に対向する複数のチャネル並びにカソー
ド層に対向するカソード溝が形成されたセパレータとが
積層されてなり、通常運転時には、複数のチャネルに
料ガスと水とを供給すると共にカソード溝に酸化剤ガス
を供給することによってセルで発生した電力を外部へ供
給する固体高分子型燃料電池の起動方法であって、固体
高分子型燃料電池を複数の積層ブロックに分割して積層
ブロック毎に発電電圧を測定する電圧測定ステップと、
電圧測定ステップで測定した各電圧値が、各積層ブロッ
クの正常な運転状態のときに示す発電電圧に基づいて設
定された設定電圧以上であるか否かを判断する電圧比較
ステップと、電圧比較ステップで、少なくとも1つの積
層ブロックについて設定電圧以上でないと判断された場
合には、前記複数のチャネルへの水の供給を停止し、全
ての積層ブロックについて設定電圧以上である判断され
た場合には、前記複数のチャネルへ燃料ガスと共に水の
供給を開始する供給燃料制御ステップとを備えることを
特徴としている。
【0013】
【作用】請求項1記載の発明によれば、設定電圧は、固
体高分子型燃料電池の正常な運転状態、即ち複数のチャ
ネルが水で閉塞されずに開通している状態での発電電圧
に基づいて設定されている。そして、起動時において、
電圧測定ステップでは、固体高分子型燃料電池の発電電
圧を測定し、電圧比較ステップでは、電圧測定ステップ
で測定した電圧値が、設定電圧以上であるか否かを判断
する。
【0014】供給燃料制御ステップでは、電圧比較ステ
ップで設定電圧以上でないと判断された場合には、チャ
ネルの閉塞が存在するものと見なし、複数のチャネルへ
の水の供給を停止する一方、設定電圧以上である判断さ
れた場合にはチャネルの閉塞が存在しないものと見な
し、複数のチャネルへ燃料ガスと共に水の供給を開始す
る。
【0015】従って、チャネルが水で閉塞されている状
のときには、燃料ガスだけがチャネルに供給され、チ
ャネルを閉塞している水は、チャネルに供給される燃料
ガスとカソード溝を流れる酸化剤ガスとによって乾燥さ
れ、すみやかにチャネルの閉塞が解消され、閉塞が解消
された段階で複数のチャネルへ燃料ガスと共に水の供給
が開始される。なお、チャネルが水で閉塞されている状
態においては、複数のチャネルへの水の供給を停止して
、閉塞している水によって固体高分子膜が保湿され
る。
【0016】一方、チャネルの閉塞が解消されれば、発
電電圧は設定電圧に達するので、複数のチャネルに燃料
ガスと共に水の供給が開始される。この段階では、既に
チャネル全体が開通されているので、チャネルに供給の
うち水の割合が大きい場合にも、容易にチャネルが閉塞
されることはなく、また、外部に電力を供給してもアノ
ード層は損傷されない。
【0017】従って、アノード層の損傷を防止しながら
外部に電力を供給できるまでの時間を短縮することがで
きる。また、請求項2記載の発明によれば、設定電圧
は、固体高分子型燃料電池の正常な運転状態のときに示
す開路電圧に基づいて設定されたものであり、電圧測定
ステップでは、固体高分子型燃料電池の開路電圧が測定
される。
【0018】この場合、電圧測定ステップでは、負荷電
流が零で発電電圧の測定がなされるので、チャネルが閉
塞されていたとしても、電圧測定に伴うアノード層の損
傷も防止される。また、請求項3記載の発明によれば、
チャネルが水で閉塞されている場合、供給燃料制御ステ
ップでは、電圧比較ステップで設定電圧以上でないと判
断され、複数のチャネルへの水の供給が停止されると共
に外部への電力供給が停止される。一方、チャネルの閉
が解除されると、供給燃料制御ステップでは、設定電
圧以上である判断され、複数のチャネルへ燃料ガスと共
に水の供給が開始されて外部への電力供給が開始され
る。
【0019】従って、チャネルが水で閉塞された状態
ままで、電池本体に外部負荷がかけられることがなく、
アノード層の損傷が確実に防止される。また、請求項4
記載の発明によれば、固体高分子型燃料電池は、セルと
セパレータとが積層されてなる積層構造であって、複数
の積層ブロックに分割されている。
【0020】設定電圧は、積層ブロック毎に、その正常
な運転状態(即ち複数のチャネル全体が開通している状
態)における発電電圧に基づいて設定されている。そし
て、起動時において、電圧測定ステップでは、積層ブロ
ック毎に発電電圧を測定し、電圧比較ステップでは、電
圧測定ステップで測定した電圧値が設定電圧以上である
か否かを積層ブロック毎に判断し、供給燃料制御ステッ
プでは、電圧比較ステップで少なくとも1つの積層ブロ
ックについて設定電圧以上でないと判断された場合に
は、チャネルの閉塞が存在するものと見なし、複数のチ
ャネルへの水の供給を停止し、全ての積層ブロックにつ
いて設定電圧以上である判断された場合には、チャネル
の閉塞が存在しないものと見なし、複数のチャネルへ燃
料ガスと共に水の供給を開始する
【0021】従って、どれか1つの積層ブロックでも、
チャネルが閉塞されている状態にあるときには、燃料ガ
スだけがチャネルに供給され、チャネルを閉塞している
水は、供給される燃料ガスとカソード溝を流れる酸化剤
ガスとによって乾燥され、すみやかにチャネルの閉塞が
解消される。なお、チャネルが水で閉塞されている状態
においては、複数のチャネルへの水の供給を停止して
、閉塞している水によって固体高分子膜が保湿され
る。
【0022】一方、全ての積層ブロックについてチャネ
ルの閉塞が解消されて開通状態になれば、複数のチャネ
ルへ燃料ガスと共に水の供給が開始される。この状態で
は、既に全ての積層ブロックについてチャネルが開通さ
れているので、水の供給割合の大きい場合であっても
容易にチャネルが閉塞されることはなく、また、外部に
電力を供給してもアノード層は損傷されない。
【0023】従って、アノード層の損傷を防止しながら
外部に電力を供給できるまでの時間を短縮することがで
きる。このように、積層ブロック毎にチャネルに閉塞が
有るか否かを判断し、それに基づいて制御しているの
で、固体高分子型燃料電池の全体の積層数が大きい場合
においても、各積層ブロックのセルの数を適当に設定す
ることによって、チャネルに閉塞があるか否かを精度よ
く検知することができる。
【0024】
【実施例】以下本発明の実施例について、図面を参照し
ながら具体的に説明する。 (実施例1) 〔固体高分子型燃料電池の全体構成の説明〕図1は、本
発明の起動方法が適用される固体高分子型燃料電池の全
体構成を示す斜視図であり、図2は、その模式図であ
る。
【0025】図に示すように、固体高分子型燃料電池1
は、燃料ガス(水素リッチな改質ガス)と水との気液混
合物及び空気の供給を受けて発電を行う電池本体2と、
燃料ガスの供給源である燃料ガスタンク3と、燃料ガス
と水とを混合して気液混合物を生成するため電池本体2
に取り付けられた気液混合ユニット4と、電池本体2か
ら気液混合物を回収して燃料ガス層と水層とに分離する
気液分離器5と、気液混合ユニット4に燃料ガスを送り
込む燃料ガスポンプ6と、水を循環させるための水循環
ポンプ7と、循環する水を冷却するための熱交換器8
と、水の補給を行うための水補給タンク9と、電池本体
2に空気を供給する空気供給ファン10と、気液混合ユ
ニット4への水の供給・停止を制御する開閉バルブ11
等から構成されている。
【0026】図3は、電池本体2及び気液混合ユニット
4の構成を示す分解斜視図である。電池本体2は、固体
高分子膜21にアノード層22(図2参照)とカソード
層23とを配してなる複数枚(本実施例では6枚)のセ
ル20と、セパレータ30とが互いに積層され、一対の
端板40,41で押さえられて構成されている。セパレ
ータ30のアノード層22と対向する側には複数のアノ
ード側チャネル31が形成され、カソード層23と対向
する側には複数のカソード側チャネル32(図2参照)
が形成されている。本実施例では、両チャネル31,3
2の幅及び深さは共に1.5mm、隣合うチャネルの間
隔もそれと同程度に設定されている。
【0027】なお、図3では、アノード層22及びカソ
ード側チャネル32は、カソード層23及びアノード側
チャネル31の背面にあって見えない。また、図示はし
ないが、アノード層22とアノード側チャネル31との
間には、溌水処理を施した集電体が介挿され、カソード
層23とカソード側チャネル32との間にも集電体が介
挿されている。
【0028】固体高分子膜21は、長方形状のイオン交
換膜であって、ナフィオン115(USA Du Po
nt社製、厚み:0.13mm)が用いられている。ア
ノード層22,カソード層23は、共に白金担持カーボ
ンを材料とした所定の厚さの層であって、固体高分子膜
21の中央部にホットプレスによって密着されており、
所定の白金担持量(0.7mg/cm2)に調整されて
いる。そして、固体高分子膜21の4つ角の部分には、
内部マニホールドを形成するための4つの円形の窓24
〜27が形成されている。
【0029】セパレータ30は、固体高分子膜21と同
等の大きさであって、アノード側チャネル31は上下方
向に、カソード側チャネル32は水平方向に形成されて
いる。また、セパレータ30にも、同様に内部マニホー
ルドを形成するための4つの円形の窓34〜37が形成
されている。窓34と窓35とはセパレータ30の対角
線方向に位置しており、窓34とアノード側チャネル3
1と窓35とを連通させるために、アノード側チャネル
31の上端に沿ったマニホールド溝38及びアノード側
チャネル31の下端に沿ったマニホールド溝39とが形
成されている。
【0030】同様に、窓36と窓37ともセパレータ3
0の対角線方向に位置し、カソード側チャネル32の両
横端に沿って、窓36及び窓37を連通するマニホール
ド溝が設けられている。また、一方の端板40にも同様
の窓43〜47(図1参照)が開設されており、これら
の孔によって、電池本体2には、積層方向に長く端板4
0側に開口部を有する4つの円筒状のマニホールド、即
ち、窓24,34,44からなる上部マニホールド14
と、窓35,45等からなる下部マニホールド15と、
窓26,36,46からなる上部マニホールド16と、
窓27,37,47からなる下部マニホールド17とが
形成されている。
【0031】本実施例では、上部マニホールド14が混
合物供給用、下部マニホールド15が混合物排出用、上
部マニホールド16が空気供給用、下部マニホールド1
7が空気排出用として用いられる。気液混合ユニット4
は、混合物供給用の上部マニホールド14に装着されて
おり、上部マニホールド14内に滞留している水に燃料
ガスを吹き込む円柱状のバブラー51と、バブラー51
を上部マニホールド14内に支持するための円筒支持枠
52と、上部マニホールド14の入口を閉じる円筒蓋部
53とから構成されている。
【0032】図4は、上部マニホールド14及び気液混
合ユニット4の内部構造を示す断面図である。図3,4
に示すように、バブラー51は、上部マニホールド14
とほぼ同等の長さを有し、メッシュ径5μmの焼結金属
で形成されており、円筒蓋部53を貫通するガス入口部
54から送り込まれる燃料ガスを、円筒支持枠52内に
滞留する水に細かく分散することができるようになって
いる。
【0033】円筒支持枠52は、上部マニホールド14
ちょうど収まる大きさの円筒状枠体であって、マニホ
ールド溝38と対面する側には、開口部52aが開設さ
れており、バブラー51は円筒支持枠52によって上部
マニホールド14の中心付近に支持されている。円筒蓋
部53は、端板40の窓44にはめ込まれることによっ
て固定され上部マニホールド14の入口を塞ぐように形
成されており、円筒支持枠52内に水を取り入れる水入
口55が取り付けられている。
【0034】再び図1,2を参照して説明する。気液分
離器5は、密閉容器60の側部に回収混合物入口61
が、また上部に燃料ガス入口63と燃料ガス出口64と
が、また底部に補給水入口62と水出口65とが取り付
けられて構成されている。また、下部マニホールド15
と回収混合物入口61とは、配管71で連結され、燃料
ガス出口64と気液混合ユニット4のガス入口部54と
は、燃料ガスポンプ6が途中に介在する配管72で連結
され、水出口65と気液混合ユニット4の水入口55と
は、熱交換器8及び水循環ポンプ7が途中に介在する配
管73で連結されている。
【0035】また、燃料ガスタンク3と燃料ガス入口6
3とは、圧力調節弁3aを介して配管74で連結されて
おり、圧力調節弁3aによって密閉容器60内が一定の
圧力に保たれるよう燃料ガスが供給されるようになって
いる。図5は、固体高分子型燃料電池1の制御を行うた
めの回路を示す図である。図に示すように、固体高分子
型燃料電池1には、電池本体2の電圧を測定する電圧計
80と、負荷電流をかけた電池本体2の電圧を測定する
ための所定抵抗値を有する検出用負荷81と、電池本体
2からの電力を所定の電圧に変換して外部負荷100に
供給するコンバータ82と、電池本体2の電力を検出用
負荷81及びコンバータ82への供給をON/OFFす
るスイッチ83と、電池本体2を検出用負荷81側へ接
続するかコンバータ82側へ接続するかを切換える切替
スイッチ84と、電圧計80の測定値に基づいてスイッ
チ83及び切替スイッチ84等を制御する制御部90
が備えられている。また、図5には示さないが、制御部
90は、燃料ガスポンプ6,水循環ポンプ7,空気供給
ファン10,開閉バルブ11等も操作し、運転の制御を
行うようになっている。
【0036】〔固体高分子型燃料電池1の通常運転時の
動作の説明〕通常の運転時には、制御部90は、燃料ガ
スポンプ6,水循環ポンプ7,空気供給ファン10を駆
動し、開閉バルブ11を開放し、気液混合ユニット4に
水と燃料ガスとを供給する。また、制御部90は、スイ
ッチ83をON,切替スイッチ84をコンバータ82側
に接続し、電池本体2で発電された電力を、コンバータ
82を介して外部負荷100に供給する。
【0037】気液混合ユニット4では、水入口55から
供給された水が、円筒支持枠52内(上部マニホールド
14内)に滞留し、ガス入口部54から供給される燃料
ガスがその水の中に分散されることによって気液混合物
が生成する。そして、生成した気液混合物は、各マニホ
ールド溝38を通ってアノード側チャネル31に分配さ
れ、発電に用いられながらアノード側チャネル31を通
過し、各マニホールド溝39で合流して下部マニホール
ド15から排出される。
【0038】このように気液混合物がアノード側チャネ
ル31を通過するので、固体高分子膜21に水分が補給
されると共に、気液混合物が冷却水と同様の働きをなし
て電池本体2を冷却する。なお、上述したようにアノー
ド層22とアノード側チャネル31との間には、溌水処
理を施した集電体が介挿されているので、長時間運転し
ても、アノード層22が気液混合物に水没することな
く、アノード層22の反応サイトに燃料ガスが供給され
る。
【0039】セル20では、このアノード層22に供給
される燃料ガスと、空気供給ファン10からカソード側
チャネル32を通ってカソード層23に供給される空気
とを用いて発電する。そして、電池本体2で発電された
電力は、コンバータ82で電圧変換され、外部負荷10
0に供給される。下部マニホールド15から排出された
気液混合物は、配管71を通って回収混合物入口61か
ら気液分離器5に入り、燃料ガス層(上層)と水層(下
層)とに分離される。また、燃料ガスタンク3から供給
される燃料ガスは、燃料ガス入口63から気液分離器5
の燃料ガス層に入って回収された燃料ガスと混合され、
燃料ガス出口64から送出される。そして、燃料ガス出
口64から送出された燃料ガスは、燃料ガスポンプ6で
気液混合ユニット4のガス入口部54に送り込まれる。
【0040】一方、気液分離器5で分離された水は、水
出口65から熱交換器8を通過することによって規定の
温度(例えば常温)に冷却され、水循環ポンプ7で気液
混合ユニット4の水入口55に送り込まれる。そして、
気液混合ユニット4では、燃料ガスポンプ6で送り込ま
れた燃料ガスが、水循環ポンプ7で送り込まれた水に吹
き込まれ、新たな気液混合物が生成される。
【0041】このように、固体高分子型燃料電池1にお
いては、電池本体2から回収された気液混合物と燃料ガ
スタンク3からの燃料ガスを用いて、新たな気液混合物
が生成されて電池本体2に供給されるようになってい
る。なお、気液分離器5内の水位が低下すれば、水補給
タンク9から補給水入口62に水が補給されるようにな
っているので、セル20を透過してカソード側チャネル
32に蒸発することにより水が失われたとしても、循環
する水の量は一定に保たれる
【0042】また、空気供給ファン10から上部マニホ
ールド16に供給された空気は、入口側のマニホールド
溝からカソード側チャネル32に分配され、発電に用い
られながら各カソード側チャネル32を通って、出口側
のマニホールド溝で合流し、下部マニホールド17から
電池本体2の外に排出される。このように、固体高分子
型燃料電池1の通常運転時においては、気液混合物がア
ノード側チャネル31を通過するので、固体高分子膜2
1に水分が補給される。
【0043】また、アノード側チャネル31を通過する
気液混合物が冷却水と同様の働きをなして電池本体2を
強制冷却する。特に、気液混合ユニット4によって生成
される気液混合物は、水に燃料ガスが細かく分散された
ものであるので、通常の冷却水と同様に電池本体2を効
率よく冷却すると共に、燃料ガスがアノード層22に効
率よく供給される。
【0044】〔固体高分子型燃料電池1の起動時の動作
についての説明〕通常運転が停止されると、気液分離器
5の設置位置が電池本体2より低い場合は、アノード側
チャネル31内の混合物が下部マニホールド15から気
液分離器5に抜けるが、アノード側チャネル31内には
ある程度の水が残るため、アノード側チャネル31の閉
塞が生じやすい。また、気液分離器5の設置位置が高い
場合には、停止時にはアノード側チャネル31の全体が
水で閉塞した状態となりやすい。
【0045】アノード側チャネル31は細く(幅及び深
さが1.5mm)形成されているので、仮にアノード側
チャネル31の一部或は全部に水が滞留して閉塞してい
る状態のときに気液混合物が供給されると、アノード側
チャネル31の一部が閉塞したままの状態で、残りのア
ノード側チャネル31だけに偏って気液混合物が流れる
という現象が生じ、アノード側チャネル31全体が開通
するには長い時間を要する
【0046】本実施例では、このような状況を考慮し
て、起動時においては、制御部90は、電圧計80で測
定した開路電圧を予め設定されている設定開路電圧と比
較することにより、チャネルに閉塞があるか否かを判断
する。そして、閉塞がないと判断されれば、更に、検出
用負荷81をかけて、電圧計80で測定した電圧を予め
設定されている設定負荷電圧と比較することにより、ア
ノード側チャネル31に閉塞があるか否かを確認する。
そして、アノード側チャネル31に閉塞がないことを確
認した上で、気液混合ユニット4に水を供給し、外部負
荷100に電力供給を開始するようになっている。
【0047】ここで、設定開路電圧について説明する。
設定開路電圧は、測定した開路電圧がこの設定開路電圧
よりも高いければアノード側チャネル31に閉塞がな
く、高くなければ閉塞があると判断するための基準の開
路電圧である。この設定開路電圧は、正常な運転状態、
即ち、アノード側チャネル31の閉塞がなく、アノード
側チャネル31全体に燃料ガスが流れている状態で、電
池本体2の開路電圧を測定しておき、その値より少し低
い値(例えばその値の90%)を設定開路電圧として設
定する。
【0048】1つのセル20の開路電圧は、温度によっ
ても変化するが、通常1V程度を示すので、6つのセル
20が直列に接続された電池本体2の開路電圧は6V程
度を示す。従って、本実施例では、正常な運転状態での
開路電圧を6Vと見なして、設定開路電圧を5.4Vで
設定する。この場合、例えば、6つのセル20の中、4
つが正常な開路電圧1Vを示し、2つがアノード側チャ
ネル31の閉塞のため開路電圧0.6Vを示したとする
と、電池本体2の開路電圧は5.2Vとなり、設定開路
電圧5.4Vを下回ることになる。
【0049】設定開路電圧を高い値(6V程度)で設定
すれば、アノード側チャネル31のわずかな閉塞に対し
ても検出できる代わりに、アノード側チャネル31の閉
塞が解消しているにもかかわらず閉塞が存在すると判断
する検出エラーの可能性も大きくなる。一方、設定開路
電圧を低く設定しすぎると、アノード側チャネル31の
閉塞が存在するにもかかわらず、それを検出できない検
出ミスの可能性が大きくなるので、これらを考慮して、
設定開路電圧の設定を行うようにすればよい。
【0050】次に、設定負荷電圧について説明する。設
定負荷電圧は、所定の負荷をかけた状態で測定した電圧
がこの設定開路電圧よりも高ければアノード側チャネル
31に閉塞がなく、高くなければ閉塞があると判断する
ための基準の電圧であり、本実施例では、検出用負荷8
1を用いてこの測定を行う。
【0051】検出用負荷81は、電池本体2に接続され
たときに、通常の運転時の1/10程度、即ち数十mA
/cm2の電流が流れるような抵抗値を有している。そ
して、正常な運転状態において、検出用負荷81をかけ
て電池本体2の電圧を測定しておき、その値より少し低
い値(例えばその値の90%)を設定負荷電圧として設
定する。
【0052】電池本体2に電流を流した状態において
は、電流を流さない状態と比べて、アノード側チャネル
31の閉塞による電圧低下はより顕著にあらわれる。従
って、負荷電流をかけた状態での電圧に基づく検出によ
り、開路電圧に基づく検出よりも確実にアノード側チャ
ネル31の閉塞を検出することができる。しかし、アノ
ード側チャネル31が閉塞されている状態で電流を流す
とアノード層22が損傷を受ける可能性もあるので、本
実施例では、開路電圧を検出した後、再度、負荷電流を
かけた状態の電圧で確認を行うようにしている。
【0053】図6は、起動時における制御部90の動作
を示すフローチャートである。このフローチャートに基
づいて、図5を参照しながら起動時の動作を説明する。
停止時においては、燃料ガスポンプ6,水循環ポンプ
7,空気供給ファン10は停止しており、開閉バルブ1
1は閉じられて気液混合ユニット4に水が供給されない
ようになっており、スイッチ83はOFF、切替スイッ
チ84は検出用負荷81側に接続され、外部負荷100
には電力が供給されないようになっている。
【0054】起動されると、先ず燃料ガスポンプ6及び
空気供給ファン10を駆動させて、アノード側チャネル
31に燃料ガスを、カソード側チャネル32に空気を送
り込む(S1)。次に、電圧計80で電池本体2の開路
電圧を測定し(S2)、測定値が予め設定されている設
定開路電圧以上であるか否かを判断する(S3)。
【0055】ステップS2での測定値が設定開路電圧以
上でなければ(S3でNoの場合)、アノード側チャネ
ル31が水で閉塞されているものと見なし、ステップS
2,S3を繰り返す。ステップS3でNoの状態におい
ては、アノード側チャネル31には燃料ガスだけが供給
され、カソード側チャネル32には空気が流通するの
で、アノード側チャネル31を閉塞している水は、供給
される燃料ガスによる直接的な乾燥作用(燃料ガスによ
る蒸発作用や水を吹き飛ばす作用等)、並びに、固体高
分子膜21を透過してカソード層23側から空気中に蒸
発することによる間接的な乾燥作用によって、すみやか
に閉塞が解除される。また、この状態では気液混合ユニ
ット4に水は供給されないが、アノード側チャネル31
を閉塞する水によって固体高分子膜21の保湿がなされ
る。
【0056】そして、アノード側チャネル31の閉塞が
解消され、アノード側チャネル31全体に燃料ガスが流
通するようになれば、電圧計80での測定電圧が、設定
開路電圧以上になる。ステップS2での測定値が設定開
路電圧以上になれば(S3でYesの場合)、一旦、
ノード側チャネル31は水で閉塞されていないものと見
なして、スイッチ83を短時間ONにして検出用負荷8
1を投入し、電圧計80で電池本体2の電圧を測定する
(S4)。そして、測定値が設定負荷電圧以上であるか
否かを判断する(S5)。
【0057】ステップS4での測定値が設定負荷電圧以
上でなければ(S5でNoの場合)、アノード側チャネ
ル31の閉塞がまだ解除されていないと見なして、ステ
ップS2に戻り、ステップS2〜S5を繰り返す。この
状態においても、引き続いて乾燥がなされるので、アノ
ード側チャネル31の閉塞がすみやかに解除されると共
に、アノード側チャネル31を閉塞する水によって固体
高分子膜21の保湿がなされる。
【0058】ステップS4での測定値が設定負荷電圧以
上であれば(S5でYesの場合)、水循環ポンプ7を
駆動し、開閉バルブ11を開く(S6)ことによって、
気液混合ユニット4に水の供給を開始する。従って、ア
ノード側チャネル31には気液混合物の供給が開始され
る。この段階では、すでにアノード側チャネル31の閉
塞が解除されている状態であるので、気液混合物を供給
してもアノード側チャネル31が容易に閉塞されること
はない
【0059】引き続き、スイッチ83をONにすると共
に、切替スイッチ84をコンバータ82側に切り換え
て、外部負荷100に対して電力の供給を開始して(S
7)、通常運転に入る。 (実施例2)本実施例の固体高分子型燃料電池は、実施
例1の固体高分子型燃料電池1と同様であるが、電池本
体の積層数が多く、100枚のセル20が積層されてい
る。
【0060】このように積層数が多い場合、各セル20
の電圧変化が電池本体の電圧変化に及ぼす影響が小さい
ので、起動時において、電池本体の発電電圧に基づいて
アノード側チャネル31の閉塞の有無を検出する場合、
積層数が大きくなるにつれて検出感度が低下する。例え
ば、実施例1のように積層数が6の場合には、6つのセ
ル20の中の1つの発電電圧が、アノード側チャネル3
1の閉塞によって正常状態の60%(40%低下)にな
ったとすれば、電池本体2の発電電圧は6.7%低下す
るが、本実施例のように、セル20の積層数が100の
場合には、1つのセル20の発電電圧が正常状態の60
%になったとしても、電池本体の発電電圧は0.4%し
か低下しない。
【0061】このような点を考慮して、本実施例では各
積層ブロックに5つのセル20が含まれるよう、電池本
体が20個の積層ブロック(No.1〜No.20)に
分割されている。また、固体高分子型燃料電池の制御を
行う回路では、No.1〜No.20の各積層ブロック
について、開路電圧並びに負荷電流をかけた状態での電
圧を測定できるようになっており、制御部では、各積層
ブロックについて、測定値を設定開路電圧並びに設定負
荷電圧と比較してアノード側チャネル31の閉塞の有無
を判断して制御するようになっている。
【0062】本実施例における設定開路電圧並びに設定
負荷電圧は、積層ブロック毎にその値が設定されてお
り、予めNo.1〜No.20の個々の積層ブロックに
ついて正常な運転状態での発電電圧を測定し、その測定
値に基づいて設定されたものである。本実施例にかかる
制御部が実行する起動時の制御動作も、図6のフローチ
ャートと同様であるので、このフローチャートに基づい
て起動時の説明する。
【0063】ステップS1では、実施例1と同様に動作
を行う。次に、No.1〜No.20の各積層ブロック
について、電圧計で開路電圧を順に測定し、測定値が設
定開路電圧以上であるか否かを判断する(S3)。ステ
ップS2で、測定値が設定開路電圧以上でない積層ブロ
ックが1つでもあれば(S3でNoの場合)、アノード
側チャネル31が水で閉塞されているものと見なし、ス
テップS2,S3を繰り返す。
【0064】ステップS3でNoの状態においては、ア
ノード側チャネル31には燃料ガスだけが供給され、カ
ソード側チャネル32には空気が流通するので、すみや
かに閉塞が解除される。この状態では、気液混合ユニッ
ト4に水は供給されないが、アノード側チャネル31を
閉塞する水によって固体高分子膜21の保湿がなされ
る。No.1〜No.20の全ての積層ブロックについ
て、ステップS2での測定値が設定開路電圧以上になれ
ば(S3でYesの場合)、一旦、アノード側チャネル
31は水で閉塞されていないものと見なして、No.1
〜No.20の各積層ブロックについて、順に検出用負
荷を投入し電圧計で電圧を測定する(S4)。そして、
各積層ブロックについて、測定値が設定負荷電圧以上で
あるか否かを判断する(S5)。
【0065】ステップS4での測定値が設定負荷電圧以
上でない積層ブロックが1つでもあれば(S5でNoの
場合)、アノード側チャネル31の閉塞がまだ解除され
ていないと見なして、ステップS2に戻り、ステップS
2〜S5を繰り返す。この状態においても、引き続いて
乾燥がなされるので、アノード側チャネル31の閉塞が
すみやかに解除されると共に、アノード側チャネル31
を閉塞する水によって固体高分子膜21の保湿がなされ
る。
【0066】No.1〜No.20の全ての積層ブロッ
クについて、ステップS4での測定値が設定負荷電圧以
上であれば(S5でYesの場合)、水循環ポンプ7を
駆動し、開閉バルブ11を開く(S6)ことによって、
気液混合ユニット4に水の供給を開始する。従って、ア
ノード側チャネル31には気液混合物の供給が開始され
る。この段階では、すでにアノード側チャネル31の閉
塞が解除されている状態であるので、気液混合物を供給
してもアノード側チャネル31が容易に閉塞されること
はない。
【0067】引き続き、コンバータを介して外部負荷に
対する電力の供給を開始して(S7)、通常運転に入
る。 (その他の事項) なお、上記実施例1,2では、起動時に、アノード層の
損傷を防止するため開路電圧に基づいて閉塞の有無の検
出を行った後、より確実に閉塞の有無を検出するため、
更に負荷電流をかけた状態での電圧に基づいて検出を行
い閉塞がないと判断された段階で気液混合ユニット4に
水を供給するようにしているが、開路電圧に基づきアノ
ード側チャネル31の閉塞がないと判断された段階で
液混合ユニット4に水を供給するようにしてもよい。
【0068】また、開路電圧に基づく検出は行わずに、
負荷電流をかけた状態での電圧に基づく検出だけを行っ
て制御することも可能である。また、上記実施例1,2
の電池本体においては、気液混合ユニット4が上部マニ
ホールド14に取り付けられているが、下部マニホール
ド15に取り付けても同様に実施することができる。
【0069】また、上記実施例1,2の電池本体におい
ては、内部マニホールドを有し、それに気液混合ユニッ
トが設置されているが、外部マニホールドに気液混合ユ
ニットを設置した構成とすることもできる。また、上記
実施例1,2の電池本体において、複数のセルとセパレ
ータとを積層させた積層構造であるが、電池本体が単一
のセルからなる場合でも同様に実施することができる。
【0070】また、上記実施例1,2においては、運転
時に、水に燃料ガスを分散させた気液混合物をアノード
側チャネルに供給する例を示したが、本発明は、アノー
ド側チャネルに供給する燃料ガスにアスピレータ等で水
を噴霧するような場合においても適用することができ
る。
【0071】
【発明の効果】このように、本発明によれば、通常運転
時において、アノード層に対向する複数のチャネルに燃
料ガスと水とを供給しながら運転する固体高分子型燃料
電池の起動時において、チャネルの閉塞があると判断さ
れるときには、複数のチャネルへの水の供給を停止する
ため、すみやかにチャネルの閉塞が解除され、チャネル
の閉塞がなくなったと判断された段階で、複数のチャネ
ルに燃料ガスと共に水の供給を開始して通常運転に入る
ようになっているので、起動時間の短縮がなされる。
【0072】ここで、チャネルの閉塞の有無の判断は、
電池本体或は積層ブロックの電圧を測定し、設定電圧と
比較するという方法で行われるので、比較的手軽で確実
な判断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の起動方法が適用される固体高分子型燃
料電池の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す固体高分子型燃料電池の模式図であ
る。
【図3】電池本体2及び気液混合ユニット4の構成を示
す分解斜視図である。
【図4】上部マニホールド14及び気液混合ユニット4
の内部構造を示す断面図である。
【図5】固体高分子型燃料電池1の制御を行うための回
路を示す図である。
【図6】起動時における制御部90の動作を示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
1 固体高分子型燃料電池 2 電池本体 4 気液混合ユニット 6 燃料ガスポンプ 7 水循環ポンプ 10 空気供給ファン 11 開閉バルブ 20 セル 21 固体高分子膜 22 アノード層 23 カソード層 30 セパレータ 31 アノード側チャネル 32 カソード側チャネル 80 電圧計 90 制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三宅 泰夫 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三洋電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−95357(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 8/04 - 8/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体電解質膜上にアノード層とカソード
    層が配されてなるセルと、前記アノード層に対向して複
    数のチャネルが形成されたガス通路部材とを備え、 通常運転時には、前記複数のチャネルに燃料ガスと水と
    を供給すると共に前記カソード層に酸化剤ガスを供給す
    ることにより前記セルで発生した電力を外部へ供給する
    固体高分子型燃料電池の起動方法であって、 前記固体高分子型燃料電池の発電電圧を測定する電圧測
    定ステップと、 前記電圧測定ステップで測定した電圧値が、前記固体高
    分子型燃料電池の正常な運転状態のときに示す発電電圧
    に基づいて設定された設定電圧以上であるか否かを判断
    する電圧比較ステップと、 前記電圧比較ステップで設定電圧以上でないと判断され
    た場合には、前記複数のチャネルへの水の供給を停止
    、設定電圧以上である判断された場合には、前記複数
    のチャネルへ燃料ガスと共に水の供給を開始する供給燃
    料制御ステップとを備えることを特徴とする固体高分子
    型燃料電池の起動方法。
  2. 【請求項2】 前記設定電圧は、固体高分子型燃料電池
    の正常な運転状態のときに示す開路電圧に基づいて設定
    されたものであって、 前記電圧測定ステップで、固体高分子型燃料電池の開路
    電圧を測定することを特徴とする請求項1記載の固体高
    分子型燃料電池の起動方法。
  3. 【請求項3】 前記供給燃料制御ステップでは、更に、 前記電圧比較ステップで設定電圧以上でないと判断され
    た場合には外部への電力供給を停止し、設定電圧以上で
    ある判断された場合には外部への電力供給を開始するよ
    う、外部への電力の供給及び停止を切換えることを特徴
    とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池の起動方
    法。
  4. 【請求項4】 固体電解質膜上にアノード層とカソード
    層とが配されてなるセルと、前記アノード層に対向する
    複数のチャネル並びに前記カソード層に対向するカソー
    ド溝が形成されたセパレータとが積層されてなり、 通常運転時には、前記複数のチャネルに燃料ガスと水と
    を供給すると共に前記カソード溝に酸化剤ガスを供給す
    ることによってセルで発生した電力を外部へ供給する固
    体高分子型燃料電池の起動方法であって、前記固体高分子型燃料電池を複数の積層ブロックに分割
    して積層ブロック毎に 発電電圧を測定する電圧測定ステ
    ップと、 前記電圧測定ステップで測定した各電圧値が、各積層ブ
    ロックの正常な運転状態のときに示す発電電圧に基づい
    て設定された設定電圧以上であるか否かを判断する電圧
    比較ステップと、 前記電圧比較ステップで、少なくとも1つの積層ブロッ
    クについて設定電圧以上でないと判断された場合には、
    前記複数のチャネルへの水の供給を停止し、全ての積層
    ブロックについて設定電圧以上である判断された場合に
    は、前記複数のチャネルへ燃料ガスと共に水の供給を開
    始する供給燃料制御ステップとを備えることを特徴とす
    る固体高分子型燃料電池の起動方法。
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