JP3213395B2 - 光学活性ジホスフィン、その中間体、それらの製造方法および用途 - Google Patents

光学活性ジホスフィン、その中間体、それらの製造方法および用途

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JP3213395B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、式(1)又は式(2)
[化7]
【0002】
【化7】 (式中R1、R2、R3及びR4は炭素数1〜8個のアルキ
ル基、炭素数6〜18個のアリール基及び炭素数7〜1
8個のアラルキル基の中から選ばれる少なくとも一種の
基であり、それらは互いに同一であっても又は、異なっ
ていてもよく、また、R1とR2及び/又はR3とR4はリ
ン原子以外の結合によってもつながっていても良いアル
キル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で表され
るビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する光学活
性ジホスフィン、その光学活性な合成中間体、それらの
製造方法及びそれらの用途に関する。
【0003】
【従来の技術】近年、医薬や農薬など不斉炭素を有する
数多くの有機化合物の合成に於いて、薬理作用の低い不
要な薬物を創らない、用いない、省資源及び環境生態保
護といった観点から、有用な一方のエナンチオマーだけ
を製造する不斉合成の必要性が社会的にも高まって来て
いる。これに応うるべく技術として、従来は微生物を用
いたり、酵素を用いる不斉加水分解反応や不斉エステル
化反応が行われてきた。しかし最近は、少ない不斉源か
ら多量の光学活性化合物を得る触媒的な不斉合成技術が
最も注目されており、その重要な不斉源として光学活性
な金属錯体が用いられている。
【0004】金属錯体を光学活性な環境とするための手
段は各種知られているが、(S)-又は(R)-2,2'−ビス(ジ
フェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(略称(S)-又は
(R)-BINAP)に代表される光学活性ジホスフィン配
位子を用いることがその一つの手法である。特にホスフ
ィンは多くの金属に安定に配位し、多くの均一系金属触
媒反応に於いて有効な配位子として広く用いられてい
る。光学活性なホスフィンを配位子とする均一系不斉触
媒反応としては、デヒドロアミノ酸の不斉水素化反応に
よる光学活性アミノ酸の合成、不斉異性化反応を経由す
るl−メントール合成、あるいはアセト酢酸エステル類
の不斉水素化反応による生分解性高分子合成用モノマー
の製造など非常に多くの不斉触媒反応に応用されてい
る。不斉触媒反応に於いては、反応活性や選択性と言っ
た通常の触媒性能の他に、エナンチオ選択性という特殊
な触媒性能が求められ、その改良、向上を図るため、特
に二座配位能を有する光学活性なジホスフィンの開発が
盛んに検討され始めてきた。
【0005】本発明のジホスフィンの如き、高度に立体
制御された二座配位能を有する光学活性ジホスフィンの
合成例は未だ全く知られておらず、これらのラセミ体で
の合成として、近年発表されたC.P.Caseyら
(J.Org.Chem.,1990,55,1394
−96)の例と、本発明者ら(SYNLETT,199
0,711−712)による合成例があるのみである。
これらいずれのラセミ体製造方法においても、製造の途
中段階で光学活性体を得るためのいわゆる光学分割に適
した化合物やその適当な手段がなく、またラセミ体のジ
ホスフィン自体も光学分割が困難である。即ち、これら
はラセミ体の製造方法としては有用なものであるが、本
発明の目的である光学活性体の製造には適さないもので
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来知られ
ていなかった二座配位能を有する全く新規な光学活性ジ
ホスフィンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、工業的に
望まれるすぐれた反応特性を有する光学活性金属錯体触
媒を開発すべく、新しい概念に基づいた光学活性ジホス
フィン配位子の設計を鋭意行い、永きにわたってその製
造方法の検討を行い、ここに新規な光学活性ジホスフィ
ンの製造、それを配位子とする金属錯体及び独自の製造
ルートを確立し本発明を完成するに至った。本発明のジ
ホスフィンは、ビシクロ[2.2.1]骨格を基本と
し、その2,5−位に二つのメチレン基がendo,e
ndoに分岐し、さらにリンが結合した極めて精密に設
計された配位子であり、その光学活性体である。従来か
ら知られている二座配位能を有する2,3-O−イソプロピ
リデン-2,3−ジヒドロキシ-1,4−ビス(ジフェニルホス
フィノ)ブタン(略称DIOP)などの多くのジホスフ
ィン配位子については立体構造の解析がなされており、
金属に配位する場合のリン−金属−リンのなす角度は、
ほぼ90゜又は90゜以下の配位が最も安定な配位角と
なることが確認されている。
【0008】一方、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨
格を有する光学活性ジホスフィン配位子について未だ詳
細な解析は完了していないが、C.P.Caseyらの
計算によれば、金属に配位する場合のリン−金属−リン
のなす角度が約120゜となる配位が、本配位子にかか
る歪みのエネルギーが最も小さく、最も安定な配位とな
るとしている。また、同様な手法による計算によれば、
上記DIOPなどの配位子は、そのように大きな配位角
をとれないという計算結果が得られている。従って本発
明のジホスフィン配位子は全く新規な配位設計がなされ
たものであり、かつC2 対称の基本骨格を有するキラル
な配位子である。本発明は、このような新規な概念の下
に設計された光学活性なジホスフィンを得るための独自
の製造ルート、光学活性ジホスフィン配位子を有する金
属錯体及び新規光学活性合成中間体を提供するものであ
る。即ち、本発明は式(1)又は式(2)[化8]
【0009】
【化8】 (式中R1、R2、R3及びR4は炭素数1〜8個のアルキ
ル基、炭素数6〜18個のアリール基及び炭素数7〜1
8個のアラルキル基の中から選ばれる少なくとも一種の
基であり、それらは互いに同一であっても又は、異なっ
ていてもよく、また、R1とR2及び/又はR3とR4はリ
ン原子以外の結合によってもつながっていても良いアル
キル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で表され
るビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する光学活
性ジホスフィン、及びこれを配位子として有する金属錯
体について提示するものであり、また同時に、これらの
光学活性ジホスフィンを製造するための新規光学活性合
成中間体及びその製造方法について提示するものであ
る。なお、「R3とR4はリン原子以外の結合によっても
つながっていても良いアルキル基、アリール基又はアラ
ルキル基を示す」とは、次式[化9]
【0010】
【化9】 (ここで、Yは酸素、窒素、金属などの原子又はC1
3の炭素鎖などの原子団を示す)のようにYを介し
て、もしくは直接にR3とR4が結合するようなものであ
る。また、本発明中で言う光学活性とは、光学的に純粋
な100%eeの光学活性な化合物のみを意味するので
はなく、通常の化学合成では成し得ない、両エナンチオ
マーの存在比が異なる実質的に光学活性を示すもの一般
を意味するものである。
【0011】本発明について、さらに詳しく説明する。
本発明では光学活性体を得るための独自の製造ルートを
発明した。即ち、式(11)又は式(12)[化10]
【0012】
【化10】 で表わされる光学活性endo−5−ヒドロキシメチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを製造原料と
し、これをエポキシ化及び分子内環化エーテル化し、続
いて水酸基を酸化することにより式(5)又は式(6)
[化11]
【0013】
【化11】 で表わされる光学活性ケト・エーテルとし、次にこのエ
ーテルを開環し式(7)又は式(8)[化12]
【0014】
【化12】 で表される光学活性ケト・オールとし、必要に応じてヒ
ドロキシル基を適当に保護し、ウィッティッヒ反応によ
りケトン基をメチレンに変換し、これをヒドロホウ素
化、その後酸化処理して式(9)又は式(10)[化1
3]
【0015】
【化13】 で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有す
る光学活性ジオールとする。そして、このヒドロキシル
基を適当な脱離基、例えば式(13)[化14]
【0016】
【化14】 に例示されるようなp-トルエンスルホニルオキシ基に変
換し、次いでこれをホスフィン化合物で置換することに
より式(1)又は式(2)[化15]
【0017】
【化15】 (式中R1、R2、R3及びR4は炭素数1〜8個のアルキ
ル基、炭素数6〜18個のアリール基及び炭素数7〜1
8個のアラルキル基の中から選ばれる少なくとも一種の
基であり、それらは互いに同一であっても又は、異なっ
ていてもよく、また、R1とR2及び/又はR3とR4はリ
ン原子以外の結合によってもつながっていても良いアル
キル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で表され
るビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する光学活
性ジホスフィンへと導く。
【0018】こうして得られた光学活性ジホスフィン
は、そのままでも金属錯体の製造及び触媒反応の配位子
として用いることができる。しかし、本ジホスフィンは
空気に対して非常に不安定であり、かなり厳密に乾燥不
活性ガス雰囲気下で取り扱い及び保存を行わない限り容
易に酸化される。従ってその精製についてはかなり困難
であり、純度の高いジホスフィンを得るためには多大な
る労力を要する。そこで、上述の方法で得られた光学活
性ジホスフィンを、適当な酸化剤を用いて酸化して、式
(3)又は式(4)[化16]
【0019】
【化16】 (式中R1、R2、R3及びR4は炭素数1〜8個のアルキ
ル基、炭素数6〜18個のアリール基及び炭素数7〜1
8個のアラルキル基の中から選ばれる少なくとも一種の
基であり、それらは互いに同一であっても又は、異なっ
ていてもよく、また、R1とR2及び/又はR3とR4はリ
ン原子以外の結合によってもつながっていても良いアル
キル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で表され
るビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する光学活
性ジホスフィンオキシドとする。ジホスフィンオキシド
は、常温、空気中で安定であり、その単離、精製、保存
は容易である。ジホスフィンオキシドの段階で単離、精
製を行ってから、適当な還元剤を用いて還元することに
より、容易に純度の高い式(1)又は式(2)で表され
る光学活性ジホスフィンへと導くことができる。
【0020】本発明の基本出発物質である光学活性en
do−5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘ
プト−2−エンは、既知の各種製造方法にて得ることが
できる。例えば、Bull.Chem.Soc.Jp
n.,第46巻,第888−892頁(1973年)記
載の光学分割法に従い、endo−5−カルボキシビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エンをシンコニジン塩と
し、アセトン溶媒から再結晶を繰り返すことにより、難
溶性の(-)-体のカルボン酸塩を得、これを分離して還元
することにより、(-)-endo−5−ヒドロキシメチルビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エンを得ることができ
る。一方、易溶性の塩からは(+)-体を回収することがで
きる。あるいは最近盛んに研究されている方法として、
例えば、Helv.Chim.Acta,第68巻,第
2100−2114頁(1985年)に記載されている
方法に従い、(+)-又は、(-)-カンファーから誘導される
アクリル酸エステル誘導体とシクロペンタジエンとの不
斉Diels−Alder反応を行い、更に、LiAl
4 還元することにより(+)-又は、(-)-endo−5−
ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−
エンを選択的に製造することができる。本発明では、こ
の様にして入手される(+)-又は、(-)-の一方のエナンチ
オマーを原料とし、最終目的物であるビシクロ[2.
2.1]ヘプタン骨格を有する光学活性ジホスフィンへ
と導く。
【0021】光学活性endo−5−ヒドロキシメチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンのエポキシ化
は従来より既知のあらゆるエポキシ化反応にて行うこと
ができるが、骨格の開裂や転移異性化防止の意味から、
より低温でエポキシ化反応できる反応試剤を用いること
が望ましく、即ち、過ギ酸、過酢酸、過プロピオン酸、
過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、トリフルオロ過酢
酸、モノ過フタル酸などの有機過酸類、あるいは過酸化
水素水などが望ましい試剤として例示される。エポキシ
化反応の後、必要に応じて単離精製するか又はせずし
て、酸又は塩基により処理すると容易に分子内環化エー
テル化が起こり7−オキサトリシクロ[3.2.1.1
3,8 ]−2−ノナノールとなり、これの水酸基を酸化す
ることにより、式(5)又は式(6)[化17]
【0022】
【化17】 で表わされる光学活性ケト・エーテル、即ち光学活性7
−オキサトリシクロ[3.2.1.13,8 ]−2−ノナ
ノンに導くことができる。7−オキサトリシクロ[3.
2.1.13,8 ]−2−ノナノールの水酸基の酸化は、
環の開裂や転移異性化を起こさないような選択的且つ温
和な酸化反応にて行う必要があり、従来多環式化合物の
水酸基の選択的酸化反応に用いられるSwern酸化や
Jones酸化等で実施するのが望ましい。次に、アル
ミニウムアマルガムによってエーテル結合を還元的に開
裂し、式(7)又は式(8)[化18]
【0023】
【化18】 で表されるケト・オール、即ち光学活性endo−5−
ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプタ
ノンとする。ここで生じた水酸基を常法に従ってアセチ
ルオキシ基、ベンゾイルオキシ基又はトリアルキルシロ
キシ基などで例示される基に変換して保護し、ウィティ
ッヒ反応によりケトン基をexo−メチレン基に変換
し、ヒドロホウ素化−酸化処理した後、脱保護すること
により、式(9)又は式(10)[化19]
【0024】
【化19】 で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有す
る光学活性ジオール、即ち光学活性endo,endo
−2,5−ビス(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.
2.1]ヘプタンへと変換することができる。このジオ
ールの、式(1)又は式(2)[化20]
【0025】
【化20】 (式中R1、R2、R3及びR4は炭素数1〜8個のアルキ
ル基、炭素数6〜18個のアリール基及び炭素数7〜1
8個のアラルキル基の中から選ばれる少なくとも一種の
基であり、それらは互いに同一であっても又は、異なっ
ていてもよく、また、R1とR2及び/又はR3とR4はリ
ン原子以外の結合によってもつながっていても良いアル
キル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で表され
るビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する光学活
性ジホスフィンへの変換は、常套法に従って水酸基を、
p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメチル
スルホニルオキシ基などで例示される脱離基に変換し、
所望のホスフィン類との置換反応により実施することが
できる。
【0026】こうして得られたジホスフィンは、必要に
応じてジホスフィンオキシドを経由して精製することが
できる。これには、まず得られたジホスフィンから分離
可能な反応試薬や副生成物を除去した後、tert−ブチル
ハイドロパ−オキシドやクメンハイドロパーオキシド等
の有機過酸化物、過酸化水素水、又は酸素などを用いて
実質的に完全に酸化し、ジホスフィンオキシドとする。
ここで、溶出クロマトグラフィー等で一旦単離し精製す
る。そして改めてこれを還元することにより、高純度の
ジホスフィンを得ることができる。ジホスフィンオキシ
ドのジホスフィンへの変換は、トリエチルアミン等のア
ミンの存在下トリクロロシランによる還元、あるいはヘ
キサクロロジシラン等による還元など、従来より既知の
還元方法にて行うことができる。
【0027】本発明のジホスフィンが配位子として利用
可能となるリンの置換基としては、ジメチルホスフィ
ン、ジエチルホスフィン、ジプロピルホスフィン、ジブ
チルホスフィン、ジオクチルホスフィン又はジシクロヘ
キシルホスフィン等のアルキルホスフィン類、ジフェニ
ルホスフィン、ジナフチルホスフィン、ジ−m−トリル
ホスフィン、ジ−o−トリルホスフィン、ビス(m−ス
ルフォニルフェニル)ホスフィン、ビス(6−メチル−
2−ナフチル)ホスフィン又はビス(6−メトキシ−2
−ナフチル)ホスフィン等のアリールホスフィン類、ジ
ベンジルホスフィン、ビス(ナフチルメチル)ホスフィ
ン、ビス(m−メチルベンジル)ホスフィン、ビス(o
−メチルベンジル)ホスフィン、ビス(m−スルフォニ
ルベンジル)ホスフィン、ビス(6−メチル−2−ナフ
チルメチル)ホスフィン又はビス(6−メトキシ−2−
ナフチルメチル)ホスフィン等のアラルキルホスフィン
類、あるいはジフェニレンホスフィン基等の環式のホス
フィン類等が有効なホスフィンとして例示されるが、こ
れには限定されない。更には、メチルフェニルホスフィ
ン、エチルフェニルホスフィン、t−ブチルフェニルホ
スフィン、シクロヘキシルフェニルホスフィン又はシク
ロヘキシルナフチルホスフィン等のアルキルアリールホ
スフィン類、メチルベンジルホスフィン、シクロヘキシ
ルベンジルホスフィン、メチル(ナフチルメチル)ホス
フィン又はシクロヘキシル(ナフチルメチル)ホスフィ
ン等のアルキルアラルキルホスフィン類、フェニルベン
ジルホスフィン、フェニル(ナフチルメチル)ホスフィ
ン、ナフチルベンジルホスフィン又はナフチル(ナフチ
ルメチル)ホスフィン等のアリールアラルキルホスフィ
ン類等の異種の置換基を有するホスフィン類であっても
良い。
【0028】本発明により得られるジホスフィン化合物
は光学活性体であり、これを配位子として各種金属の錯
体を製造すると、光学活性な金属錯体を得ることができ
る。この光学活性金属錯体を、プロキラルな原料から生
成物に不斉を生ずるような化学反応の触媒として用いる
と、ラセミ体の金属錯体が有している触媒能に加えて、
新しく触媒的な不斉誘導がもたらされる。配位させるべ
き中心金属としては、一般にはルテニウム、ロジウム、
パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金といった白
金族元素に配位させることができるが、鉄、コバルト、
ニッケルといった遷移金属類に配位させて用いることも
できる。本発明のジホスフィンを配位子として有する光
学活性な金属錯体の製造方法としては、上記各種金属そ
れぞれに一般的な、既知の方法を用いることができる。
【0029】本発明によるジホスフィンを配位子とする
金属錯体触媒は、不斉水素添加反応、不斉ヒドロホルミ
ル化反応、不斉ヒドロシリル化反応など、各種不斉触媒
反応に用いることができ、今日社会的にもニーズの高ま
っている不斉合成反応に非常に有益な基本触媒技術を提
供するものである。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
する。 実施例1 光学活性(1S,5S)−7−オキサトリシクロ[3.
2.1.13,8] −2−ノナノンの製造 2.1gの光学活性(5S)−5−ヒドロキシメチルビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(17.6mm
ol)([α]D −82.3゜;エタノール、c=1.
738)を70mlの塩化メチレンに溶解し、−10℃
に冷却した後、4.57gの80%m−クロロ過安息香
酸(21.2mmol)を加えた。これを室温にて2.
5時間攪拌した後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽
和重曹水にて洗浄し、水相から塩化メチレンで抽出し、
有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、濃縮した。この
濃縮残渣を20mlのテトラヒドロフランに溶解し、1
0mlの10%塩酸水溶液を加えて15分間攪拌した
後、ジエチルエーテル及び食塩水を加えて、有機層を分
離し、更に水層からジエチルエーテル抽出した。有機層
を合わせて、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウム
にて乾燥後、濃縮し、この残渣をそのまま次の反応に用
いた。
【0031】3.30mlの(COCl)2 (37.8
mmol)を60mlの乾燥塩化メチレンに溶解し、−
60℃にて5.36mlの乾燥ジメチルスルホキシド
(75.6mmol)の塩化メチレン(15ml)溶液
を加え、20分間攪拌した。ここに、先の2.65gの
濃縮残渣を15mlの塩化メチレンに溶解した溶液を加
え、更に15分間攪拌した。次に、31.6mlのトリ
エチルアミン(227mmol)を5分間で加えて室温
に戻し、更に1時間攪拌した後、30mlの水を加えて
有機層と分離した。水層から塩化メチレンで抽出し、有
機層を合わせて3N塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水にて
洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。これを濃
縮し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢
酸エチル/ヘキサン=1/2)にて精製し、1.86g
の固体を得た(収率76%)。
【0032】mp.93−95℃;[α]D +156.
4゜(CHCl3,c=1.01);1H NMR(90
MHz、CDCl3) 1.30−3.03(m,6
H),2.07(ddd,J=4.4Hz,12.7H
z,10.6Hz,1H,b),3.78(d,J=
8.8Hz),3.87(d,J=6.37Hz),
4.00(dd,J=4.4Hz,8.4Hz);IR
2952,2876,1755,1130,105
5,1014,938,901,865,465c
-1
【0033】実施例2 光学活性(5S)−5−ヒドロキシメチルビシクロ
[2.2.1]−2−ヘプタノンの製造 1.93gのAl粉末(72.4mmol)と0.79
gのHgCl2 (2.9mmol)を100mlの乾燥
ベンゼンに入れて、室温で1時間攪拌した後、氷冷し、
1.83gの光学活性(1S,5S)−7−オキサトリ
シクロ[3.2.1.13,8] −2−ノナノン(13.
4mmol)を30mlの乾燥メタノールに溶解した溶
液を加えた。これを0℃で2時間攪拌し、更に室温の水
浴に漬けて2時間攪拌した後、セライトろ過し、酢酸エ
チルで洗った。ロ液を濃縮後、フラッシュクロマトグラ
フィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=1/1)
で精製した。収量0.76g(41%)、原料回収0.
89g(48%)。
【0034】[α]D −2.6゜(エタノール,c=
1.15);1H NMR(90MHz、CDCl3
0.96−2.74(m,10H),3.51(dd,
J=8.1Hz,10.5Hz),3.71(dd,J
=6.6Hz,10.5Hz);IR 3404,29
54,2872,1739,1409,1058,10
39,1013cm-1
【0035】実施例3 光学活性(2S,5S)−2,5−ビスヒドロキシメチ
ルビシクロ[2.2.1]ヘプタンの製造 35mlの塩化メチレンに0.80gの光学活性(5
S)−5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]−
2−ヘプタノン(5.7mmol)と0.011gのパ
ラトルエンスルホン酸(0.057mmol)を溶解
し、これに0.63mlの3,4−ジヒドロ−2H−ピ
ラン(6.9mmol)を加えて室温で攪拌した。次に
氷冷しながらNaOH水溶液で中和した後、エーテル抽
出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネ
シウムにて乾燥し、濃縮した。これをそのまま次の反応
に用いた。
【0036】0.81gの55%水素化ナトリウム(1
8.6mmol)を20mlの乾燥ジメチルスルホキシ
ドに入れ、75〜80℃で攪拌した。液が透明になった
ところで、6.24gのメチルトリフェニルホスホニウ
ムヨーダイド(15.4mmol)を30mlのジメチ
ルスルホキシドに溶解した溶液を、0℃にて加え、室温
で1時間攪拌した。これに、先の水酸基を保護した未精
製の光学活性(5S)−5−ヒドロキシメチルビシクロ
[2.2.1]−2−ヘプタノンを10mlの乾燥ジメ
チルスルホキシドに溶解した溶液を加え、1時間攪拌し
た。ここにジエチルエーテル50mlを加え、有機層を
30mlの水で4回洗浄し、水層からジエチルエーテル
抽出し、更にジエチルエーテル層を水洗した後、有機層
を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム
にて乾燥した。これを濃縮し、ショートパスカラム(シ
リカゲル、ジエチルエーテル/ヘキサン=1/30)に
通した後、再濃縮してそのまま次の反応に用いた。
【0037】上記濃縮液を30mlの乾燥テトラヒドロ
フランに溶解し、氷冷しながら5.04mlの0.5m
ol/lボラン・テトラヒドロフラン錯体(2.52m
mol)を加えて、そのまま0.5時間攪拌した。氷冷
した3N水酸化ナトリウム水溶液を2ml加え、更に8
mlの30%過酸化水素水を加え、この状態で12時間
攪拌した。次に氷冷下飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液に
て処理し、1時間攪拌した後、一旦濃縮して水層から塩
化メチレンで5回抽出した。これを飽和食塩水にて洗浄
後無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。上記溶液を濃縮
後、50mlのメタノールと0.012gのパラトルエ
ンスルホン酸(0.063mmol)を加えて攪拌し
た。次に、氷と飽和重曹水を加えて中和し、一旦濃縮し
てから塩化メチレンで5回抽出し、飽和食塩水で洗浄
後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。これを濃縮
し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸
エチル/ヘキサン=2/1)にて精製し、結晶を得た。
更に、ベンゼン/クロロホルム=2/1の溶媒にて再結
晶した。
【0038】mp.116.9−117.3℃; [α]D +28.3゜(エタノール,c=0.84
2);1H NMR(500MHz,CDCl3) 1.
02(dd,J=5.2Hz,12.3Hz,2H),
1.50(s.2H),1.47−1.60(m,4
H),2.10(bs,2H),2.27(s,2
H),3.58(dd,J=10.5,8.7Hz,2
H),3.66(dd,J=10.5Hz,6.9H
z,2H);13C NMR(22.5MHz,CDCl
3) 25.0,38.1,41.2,42.8,63.
7;IR(KBr) 3248,2954,2860,
1432,1348,1215,1059,1009,
942,913,675,586cm-1
【0039】実施例4 光学活性(2S,5S)−2,5−ビス(トルエンスル
ホニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン
の製造 3.6mlのピリジン及び8mlのクロロホルムの混合
溶媒に1.25gの光学活性(2S,5S)−2,5−
ビスヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン
(7.97mmol)を溶解し、4.56gのパラトル
エンスルホン酸クロリド(23.9mmol)を加えて
室温で1時間攪拌した。続いて、氷水と10mlの3N
塩酸を加えて、水層からエーテル抽出し、有機層を合わ
せて飽和重曹水及び飽和食塩水にて洗浄後無水硫酸マグ
ネシウムにて乾燥した。濃縮後、残渣をフラッシュクロ
マトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル/ヘキサン=
1/4)にて精製し白色の結晶を得、クロロホルム/ヘ
キサン=1/4混合溶媒から再結晶した。
【0040】mp.108.8−109.2℃;[α]
D +4.2゜(CHCl3、 c=0.908);1
NMR(90MHz、CDCl3) 0.65−2.2
3(m,10H),2.46(s,6H),3.87
(d,J=8.57Hz,2H),3.91(d,J=
6.59Hz,2H),7.35(d,J=8.1H
z,4H),7.78(d,J=8.1Hz,4H);
13C NMR(50MHz,CDCl3) 21.7,2
4.5,38.4,39.2,40.9,70.9,1
28.2,130.3,133.3,145.3;IR
(KBr);1354,1187,1171,946,
867,835,812,665,555cm-1
【0041】実施例5 光学活性(2S,5S)−2,5−ビス((ジフェニル
ホスフィノ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン
の製造 乾燥アルゴン気流中、シュレンク管に356mgのカリ
ウム(9.36mmol)及び84mgのナトリウム
(2.34mmol)の合金を採り、13mlの乾燥ジ
オキサンと800mgのトリフェニルホスフィン(3.
05mmol)を加えて、室温で4時間激しく攪拌し
た。ここに6mlの乾燥トルエンに600mgの光学活
性(2S,5S)−2,5ビス(トルエンスルホニルオ
キシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(1.2
9mmol)を溶解した溶液を入れて、室温で、12時
間攪拌した。続いて、反応液を氷−エタノールで処理
し、30mlの塩化メチレンと5mlの3N塩酸水溶液
で希釈し、水層から塩化メチレンで抽出した。有機層を
合わせて、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸
マグネシウムにて乾燥し、濃縮して標記の粗生成物を得
た。これを以下に示すように、酸化して一旦光学活性ジ
ホスフィンオキシドとし、再度還元することにより精
製、高純度化した。
【0042】8mlのクロロホルムに上記粗製ジホスフ
ィンを溶解し、2.2mlの30%過酸化水素水を加え
て、室温で10時間攪拌した後、0℃で飽和チオ硫酸ナ
トリウム水溶液を加えて処理し、30mlのクロロホル
ムで希釈した。水層からクロロホルムで抽出し、有機層
を合わせて、飽和重曹水及び飽和食塩水で洗浄後、無水
硫酸マグネシウムにて乾燥した。これを濃縮して、残渣
をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、2%メ
タノール/クロロホルム)にて精製し340mgの無色
の結晶を得た(58%収率)。光学活性ジホスフィンオ
キシドの機器分析データーは以下の如し。
【0043】mp.200.2−201.0℃;[α]
D +28.2゜(CHCl3、 c=0.966);1
NMR(500MHz、CDCl3) 1.03(dd,
J=4.5,13.4Hz,2H),1.28(s,2
H),1.56(dt,4.5,11.9Hz,2
H),1.92(s,2H,),2.23−2.37
(m,6H); 13C NMR(125MHz,CDC
3) 29.6(d),31.0(d),37.5
(d),41.5(s),42.2(d);31P NM
R(200MHz,CDCl3, external H3PO4
32.2(s)。
【0044】乾燥アセトニトリルに300mgの上述の
ジホスフィンオキシド(0.69mmol)を溶解し、
0.96mlのトリエチルアミンと938mgのトリク
ロロシラン(6.93mmol)を加えて、一日間80
〜90℃にて加熱攪拌した。続いて、15mlの25%
水酸化ナトリウム水溶液にて処理し、アセトニトリルを
減圧除去し、トルエンにて抽出し、無水硫酸マグネシウ
ムにて乾燥した。濃縮後カラムクロマトグラフィー(シ
リカゲル、エーテル/ヘキサン=1/50)にて精製
し、275mgの標記光学活性ジホスフィンを得た。
【0045】mp.84.0−85.0℃;[α]D
27.6゜(CHCl3, c=0.696);1H N
MR(500MHz、CDCl3) 1.18(dd,
J=5.0,13.5Hz,2H),1.30(s,2
H),1.60(dt,5.0,10.5Hz,2
H),1.85(bs,2H,),2.08−2.17
(m,6H)7.13−7.45(m,20H);13
NMR(125MHz,CDCl3) 29.62
(d,J=7.6Hz),30.99(d,J=12.
4Hz),37.52(d,J=13.4Hz),4
1.54(s),42.18(d,J=9.4Hz)及
び芳香族シグナル; 31P NMR(200MHz,CD
Cl3,external H3PO4) −17.68。
【0046】実施例6 光学活性金属錯体の製造 0.06mlの70%HClO4 と0.8mlの蒸留テ
トラヒドロフランの混合溶液に、12.4mlの乾燥テ
トラヒドロフランに202mgのノルボルナジエン(ア
セチルアセトナト)ロジウム(I)(0.69mmo
l)を溶解した溶液を入れ、この混合液を室温にて40
分間攪拌した。ここに、2mlの乾燥テトラヒドロフラ
ンに338mgの光学活性(2S,5S)−2,5−ビ
ス((ジフェニルホスフィノ)メチル)ビシクロ[2.
2.1]ヘプタン(0.69mmol)を溶解した溶液
を加えて、室温で更に1.5時間攪拌した。次に、14
mlのジエチルエーテルを加えて室温で更に20時間攪
拌すると結晶が生成し、これをろ過することにより45
0mgの(ノルボルナジエン)[(2S,5S)−2,
5−ビス((ジフェニルホスフィノ)メチル)ビシクロ
[2.2.1]ヘプタン]ロジウム(I)パークロレー
トの黄色結晶を得た(収率83%)。31 P NMR(200MHz,CDCl3,external H3
PO4) 23.0(d,J=152.7Hz)。
【0047】実施例7 光学活性金属錯体の製造 182mgのノルボルナジエン(アセチルアセトナト)
ロジウム(I)(0.62mmol)を3mlの乾燥テ
トラヒドロフランに溶解し、0.13mlの42% H
BF4を加えて、この溶液を室温にて45分間攪拌し
た。ここに、278mgの光学活性(2S,5S)−
2,5−ビス((ジフェニルホスフィノ)メチル)ビシ
クロ[2.2.1]ヘプタン(0.56mmol)を加
えて、室温で更に1.5時間攪拌した。次に、15ml
のジエチルエーテルを加えて室温で更に1時間攪拌する
と結晶が生成し、これをろ過することにより395mg
の(ノルボルナジエン)[(2S,5S)−2,5−ビ
ス((ジフェニルホスフィノ)メチル)ビシクロ[2.
2.1]ヘプタン]ロジウム(I)テトラフルオロボレ
ートの結晶を得た(収率85%)。 [α]D +9.02゜(CH2Cl2, c=1.0)。
【0048】参考例1 光学活性(5S)−5−ヒドロキシメチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エンの製造 実施例1記載の原料である標記化合物は、例えば以下の
方法により得ることができる。25mlの塩化メチレン
に、Helv.Chim.Acta,第68巻,第21
00−2114頁(1985年)に記載されているW.
Oppolzerらの方法により合成した(1R,2S,3
R)-3-(2,2-ジメチルプロポキシ)-4,7,7-トリメチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル アクリレート6
28mg(2.12mmol)を溶解させ、ここにジク
ロロジイソプロポキシチタン(TiCl2(i-Pr
O)2)の1.0mol/l塩化メチレン溶液 3.2m
l(3.2mmol)を−20℃で加えた。1時間攪拌
した後、直前に蒸留精製したシクロペンタジエンの1.
0mol/l塩化メチレン溶液6.4ml(6.4mm
ol)を加え、−20℃で4時間攪拌した。反応液を濃
縮した後、カラムクロマトグラフィーにより、ディール
ス・アルダー反応生成物を得た。
【0049】上記ディールス・アルダー付加物を20m
lのジエチルエーテル溶媒中、LiAlH4 100mg
(2.63mmol)で還元し、反応液を加水分解し、
ジエチルエーテルで抽出し、乾燥、濃縮して粗生成物を
得、これをカラムクロマトグラフィーで精製することに
より、標記化合物を得た。232mg(1.87mmo
l)、収率88%。[α]D =−82.3゜。
【0050】
【発明の効果】以上、本発明は基本骨格がC2 対称であ
るビシクロ環を有する新規光学活性ジホスフィンを提供
するものであり、光学活性体を得るための製造方法とし
ては非常に有用な製造方法を提供するものである。又、
従来より知られている製造方法の適用にて、本光学活性
ジホスフィンを配位子とする光学活性金属錯体を製造す
ることができ、各種不斉触媒反応への応用が可能であ
り、産業上極めて有益な触媒技術を提供するものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07F 9/53 C07F 9/53 15/00 15/00 B // C07B 53/00 C07B 53/00 B (56)参考文献 J.Org.Chem.,Vol. 55,No.4(1990)p.1394−p. 1396 Synlett,(1990)No.11, p.711−p.712 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)又は式(2)[化1] 【化1】 (式中R1、R2、R3及びR4は炭素数1〜8個のアルキ
    ル基、炭素数6〜18個のアリール基及び炭素数7〜1
    8個のアラルキル基の中から選ばれる少なくとも一種の
    基であり、それらは互いに同一であっても又は、異なっ
    ていてもよく、また、R1とR2及び/又はR3とR4はリ
    ン原子以外の結合によってもつながっていても良いアル
    キル基、アリール基又はアラルキル基を示す)で表され
    るビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する光学活
    性ジホスフィン。
  2. 【請求項2】 式(1)又は式(2)で表されるビシク
    ロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する光学活性ジホス
    フィンを配位子として有する金属錯体。
  3. 【請求項3】 式(3)又は式(4)[化2] 【化2】 (式中R1、R2、R3及びR4は炭素数1〜8個のアルキ
    ル基、炭素数6〜18個のアリール基及び炭素数7〜1
    8個のアラルキル基の中から選ばれる少なくとも一種の
    基であり、それらは互いに同一であっても又は、異なっ
    ていてもよく、又はR1とR2及び/又はR3とR4はリン
    原子以外の結合によってもつながっていても良いアルキ
    ル基、アリール基若しくはアラルキル基を示す)で表さ
    れるビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する光学
    活性ジホスフィンオキシド。
  4. 【請求項4】 式(5)又は式(6)[化3] 【化3】 で表わされる光学活性ケト・エーテル。
  5. 【請求項5】 式(7)又は式(8)[化4] 【化4】 で表される光学活性ケト・オール。
  6. 【請求項6】 式(9)又は式(10)[化5] 【化5】 で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有す
    る光学活性ジオール。
  7. 【請求項7】 式(9)又は式(10)で表されるビシ
    クロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する光学活性ジオ
    ールのヒドロキシル基を脱離基に変換し、次いでこれを
    ホスフィン化合物により置換することからなる式(1)
    又は式(2)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタ
    ン骨格を有する光学活性ジホスフィンの製造方法。
  8. 【請求項8】 式(1)又は式(2)で表される光学活
    性ジホスフィンを酸化することからなる式(3)又は式
    (4)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格
    を有する光学活性ジホスフィンオキシドの製造方法。
  9. 【請求項9】 式(3)又は式(4)で表される光学活
    性ジホスフィンオキシドを還元することからなる式
    (1)又は式(2)で表されるビシクロ[2.2.1]
    ヘプタン骨格を有する光学活性ジホスフィンの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 式(1)又は式(2)で表される光学
    活性ジホスフィンを酸化することにより式(3)又は式
    (4)で表される光学活性ジホスフィンオキシドとし、
    これを精製した後、再び還元することからなる式(1)
    又は式(2)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタ
    ン骨格を有する光学活性ジホスフィンの製造方法。
  11. 【請求項11】 式(7)又は式(8)で表される光学
    活性ケト・オールをウィッティッヒ反応によりケトン基
    をメチレン基に変換し、これをヒドロホウ素化し、その
    後酸化処理することからなる式(9)又は式(10)で
    表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する
    光学活性ジオールの製造方法。
  12. 【請求項12】 式(5)又は式(6)で表わされる光
    学活性ケト・エーテルを開環することからなる式(7)
    又は式(8)で表される光学活性ケト・オールの製造方
    法。
  13. 【請求項13】 式(11)又は式(12)[化6] 【化6】 で表わされる光学活性endo−5−ヒドロキシメチル
    ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンのエポキシ化
    及び分子内環化エーテル化反応に続いて水酸基を酸化す
    ることからなる式(5)又は式(6)で表わされる光学
    活性ケト・エーテルの製造方法。
  14. 【請求項14】 式(9)又は式(10)で表されるビ
    シクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する光学活性ジ
    オールのヒドロキシル基を脱離基に変換し、次いでこれ
    をホスフィン化合物により置換して式(1)又は式
    (2)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格
    を有する光学活性ジホスフィンを製造し、更に式(3)
    又は式(4)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタ
    ン骨格を有する光学活性ジホスフィンオキシドとした後
    精製し、これを再び還元することからなる式(1)又は
    式(2)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨
    格を有する光学活性ジホスフィンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Synlett,(1990)No.11,p.711−p.712

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