JP3213090B2 - 施肥装置付き乗用型田植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、苗の植え付けに伴って
肥料を圃場に送り込んでいくように構成される施肥装置
を備えた施肥装置付き乗用型田植機に関する。

【０００２】

【従来の技術】前述のような施肥装置付き乗用型田植機
では、所定位置に施肥装置を固定し、この所定位置を肥
料を圃場に送り込む為の施肥装置の作業位置として設定
しており、作業位置に固定された施肥装置から肥料を圃
場に送り込むように構成されたものが多くある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】施肥装置付き乗用型田
植機において施肥装置の作業位置では、近くに他の装置
や構造物が配置されていることが多いので、作業位置で
の施肥装置のメンテナンス作業が行い難いことがある。
本発明は施肥装置付き乗用型田植機において、施肥装置
のメンテナンス作業が行い易くなるように構成すること
を目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、施肥装
置付き乗用型田植機において、次のように構成すること
にある。苗の植え付けに伴って肥料を圃場に送り込んで
いく施肥装置を備えて、肥料を圃場に送り込む為の作業
位置と作業位置から上方に離れた非作業位置とに亘り、
作業位置での姿勢を維持した状態で、施肥装置を移動自
在に支持すると共に、作業位置での施肥装置とは別の位
置に出力部を配置して、作業位置での施肥装置の入力部
と出力部とに亘って連係部材を接続し、出力部の動力を
押し引き動力として連係部材を介して、施肥装置の入力
部に伝達するように構成して、連係部材により施肥装置
の入力部と出力部とを接続する接続状態及び接続を解除
する接続解除状態に操作自在な接続部材と、接続部材を
接続状態側に付勢する付勢部材とを、連係部材に備えて
ある。

【０００５】

【作用】［Ｉ］ 請求項１の特徴によると、作業位置に位置する施肥装置
を、作業位置から上方に離れた非作業位置に移動させる
ことができる。このように施肥装置を作業位置から上方
に離れた非作業位置に移動させることによって、作業位
置の近くに配置されている他の装置や構造物に邪魔され
ることなく、施肥装置のメンテナンス作業を容易に行う
ことができる。

【０００６】請求項１の特徴によると、施肥装置を作業
位置と上方に離れた非作業位置とに亘る上下方向に移動
操作できるので、上方に離れた非作業位置への移動操作
によって、施肥装置付き乗用型田植機の範囲から施肥装
置が大きく横方向に出るようなことがない。

【０００７】請求項１の特徴によると、作業位置と上方
に離れた非作業位置とに亘って施肥装置を移動操作する
場合、作業位置での姿勢を維持した状態で施肥装置を移
動操作することができるので、施肥装置を移動操作する
際に、施肥装置から肥料がこぼれ落ちるようなことが少
なく、移動操作の為に施肥装置から肥料を取り出す必要
も少ない。

【０００８】［ＩＩ］ 施肥装置とは別の位置の出力部の動力を、作業位置に位
置する施肥装置の入力部に伝達して施肥装置を駆動する
ように構成している場合、前項［Ｉ］に記載のように施
肥装置を作業位置から上方に離れた非作業位置に移動操
作する際に、出力部から施肥装置の入力部への伝動系を
外す必要がある。この場合、出力部と施肥装置の入力部
とに亘って伝動チェーンを巻回したり、ベベルギヤ機構
及び伝動軸を架設したりすると、伝動チェーンや伝動軸
を取り外せるように構成する際に、伝動系の複雑な着脱
構造が必要になり、複雑な着脱構造によって重量の増大
を招くことがある。

【０００９】請求項１の特徴によると、出力部と施肥装
置の入力部とに亘って連係部材を接続し、出力部の動力
を連係部材により押し引き動力として、施肥装置の入力
部に伝達するように構成しており、連係部材により出力
部と施肥装置の入力部とを接続する接続状態及び接続を
解除する接続解除状態に操作自在な接続部材を備えてい
る。これにより、接続部材を接続解除状態に操作するこ
とによって、出力部から施肥装置の入力部への伝動系を
外すことができる。

【００１０】［ＩＩＩ］ 請求項１の特徴によると、前項［ＩＩ］に記載の接続状
態及び接続解除状態に操作自在な接続部材が、付勢部材
によって接続状態側に付勢されている。このように接続
部材を接続状態側に付勢しておくことにより、施肥作業
中（出力部の動力が連係部材により押し引き動力として
施肥装置の入力部に伝達されている状態）において、振
動等により接続部材が接続解除状態側に移動して、出力
部から施肥装置の入力部への伝動系が不用意に外れると
言う状態が少なくなる。この場合、接続部材及び付勢部
材が連係部材に備えられているので、前項［ＩＩ］に記
載のように出力部から施肥装置の入力部への伝動系を外
した際に、連係部材から接続部材及び付勢部材が離れる
ことがない。

【００１１】

【発明の効果】請求項１の特徴によると施肥装置付き乗
用型田植機において、施肥装置を作業位置から上方に離
れた非作業位置に移動操作できるように構成することに
より、施肥装置のメンテナンス作業を容易に行うことが
できるようになって、施肥装置付き乗用型田植機の作業
性を向上させることができた。

【００１２】請求項１の特徴によると、施肥装置を大き
く横方向に出すことなく、支障なく上方に離れた非作業
位置に移動操作することができるので、施肥装置付き乗
用型田植機の作業性を向上させることができた。請求項
１の特徴によると、作業位置と上方に離れた非作業位置
とに亘って施肥装置を移動操作する場合に、施肥装置か
ら肥料がこぼれ落ちるようなことが少ないので、移動操
作の為に施肥装置から肥料を取り出すと言う手間が不要
であり、肥料の無駄がなく、こぼれ落ちた肥料が金属製
の部分に付着することによる錆等の発生も防止される。

【００１３】請求項１の特徴によると、出力部と施肥装
置の入力部とを押し引き型式の連係部材によって接続
し、接続状態及び接続解除状態に操作自在な接続部材を
備えることによって、出力部から施肥装置の入力部への
伝動系を外す構造を、簡素なものに構成することができ
るようになり、重量の軽減と言う面で有利なものとなっ
た。

【００１４】請求項１の特徴によると、接続部材が付勢
部材によって接続状態側に付勢されており、振動等によ
り接続部材が接続解除状態側に移動して、出力部から施
肥装置の入力部への伝動系が不用意に外れると言う状態
が少なくなるので、出力部から施肥装置の入力部への伝
動系が外れることによる施肥作業の中断が少なくなっ
て、施肥装置付き乗用型田植機の作業能率を向上させる
ことができた。請求項１の特徴によると、接続部材及び
付勢部材が連係部材に備えられ、出力部から施肥装置の
入力部への伝動系を外した際に、連係部材から接続部材
及び付勢部材が離れることがないので、出力部から施肥
装置の入力部への伝動系を外した際に、接続部材や付勢
部材を紛失するようなことがない。

【００１５】

【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。図１
及び図３に施肥装置付きの乗用型田植機を示している。
この乗用型田植機は、乗用型の走行機体の後部にリンク
機構１を介して昇降自在に苗植付装置２を連結し、苗植
付装置２の後方側に施肥装置３を装着している。

【００１６】図１及び図２に示すように苗植付装置２
は、フレーム兼用の植付伝動ケース４に対して一定スト
ロークで往復横移動する苗のせ台５、苗のせ台５に載置
された苗を下端部から一株ずつ取り出して圃場に植え付
ける複数条の植付機構６、圃場を整地する整地フロート
７等を備えて構成されており、走行機体側から植付伝動
ケース４を介して動力が伝達され、走行機体を走行させ
ながら複数条の苗の植付作業が行えるように構成されて
いる。

【００１７】図１及び図２に示すように植付機構６は、
植付伝動ケース４の後部に中央の横軸芯周りで駆動回転
自在に配置した回転ケース８の両側部に、横軸芯周りで
相対回転自在に植付爪支持ケース９が支持され、植付爪
支持ケース９に苗の取り出し用の植付爪１０が備えられ
て構成されている。回転ケース８が回転駆動されるのに
伴い、回転ケース８内に備えられたギヤ機構（図示せ
ず）を介して、植付爪支持ケース９が相対回転して、植
付爪１０の先端が側面視で略楕円軌跡を描きながら苗を
取り出して圃場に植え付けるように構成されている。

【００１８】図１及び図２に示すように施肥装置３は、
上部の肥料貯溜ホッパー１１に貯溜された粉粒状の肥料
が、肥料貯溜ホッパー１１の下部に連設された肥料繰り
出し機構１２により所定量ずつ繰り出されるように構成
され、繰り出された肥料が、植付機構６による苗の植付
箇所の側部近傍に作溝器１３により圃場に形成された施
肥溝に向けて、流下パイプ１４を介して案内されるよう
に構成されている。肥料繰り出し機構１２は、ケース内
に横軸芯周りで回転自在に設けられ外周面に所定ピッチ
で肥料入り込み凹部が形成された肥料繰り出しロール１
５を、苗の植付作動と同期して回転させることにより、
所定量ずつ肥料が下方に繰り出されるように構成されて
いる。

【００１９】肥料繰り出し機構１２の駆動は、植付機構
６から押し引きロッド１６を介して行われるように構成
されている。図１及び図２に示すように、植付機構６に
おける植付爪支持ケース９の他端側同士を連結する連結
部材１７の途中位置と、ロール軸１８の駆動用ギヤ１９
とが、左右２箇所で左右の回転位相を９０度ずらして押
し引きロッド１６により接続されている。これにより、
植付機構６の回転に伴ってロール軸１８が所定方向に回
転して、所定量ずつ肥料が繰り出される。

【００２０】図１及び図６に示すように施肥装置３の後
部側に、肥料貯溜ホッパー１１に対して走行機体の後方
側から肥料を補給する際に、肥料袋Ｆを載置してスライ
ド自在な肥料載置台２０が備えられている。肥料載置台
２０は縦向き載置姿勢と横向きの肥料供給姿勢とに切り
換え回転自在に支持されており、縦向き載置姿勢におい
て、走行機体の後方外方から肥料繰り出し機構１２の肥
料の繰り出し状態を目視できるように、透孔２１が肥料
載置台２０に形成されている。

【００２１】図１及び図３に示すように施肥装置３は、
植付機構６の上方近傍に位置する作業位置と、苗のせ台
５の上端部の上方近傍に位置する非作業位置とに亘っ
て、作業位置での姿勢を維持した状態で、上下にスライ
ド及び固定自在に構成されている。図１，２，３，４，
５に示すように、植付伝動ケース４に左右一対の支持レ
ール２２が固定されて、支持レール２２に４個のガイド
ローラ２３を介してスライド自在に支持されたスライド
フレーム２４に、施肥装置３が取り付けられており、支
持レール２２に形成されたラックギヤ２５に咬み合う駆
動ギヤ２６を、減速機構付きの電動モータＭにより駆動
することにより、施肥装置３の全体が上下にスライドで
きるように構成されている。

【００２２】施肥装置３を作業位置から上昇させると
き、押し引きロッド１６による繰り出し駆動の接続を解
除する必要があるが、押し引きロッド１６の切り離しが
簡単に行えるように構成されている。図７（イ）（ロ）
に示すように、押し引きロッド１６が下部側分割ロッド
１６ａ及び上部側分割ロッド１６ｂに上下に分割されて
おり、下部側分割ロッド１６ａに筒体２７が外嵌され、
筒体２７が下部側分割ロッド１６ａに抜け止めされた状
態で、所定方向に向けてつる巻きバネ２８で回転するよ
うに付勢されている。上部側分割ロッド１６ｂに備えら
れた係止ピン２９が、筒体２７に形成された係止溝３０
に入り込むように、筒体２７がつる巻きバネ２８で付勢
されて、下部側及び上部側分割ロッド１６ａ，１６ｂが
連結されるように構成されており、つる巻きバネ２８の
バネ力に抗して手動で筒体２７を回転させることによ
り、上部側分割ロッド１６ｂを容易に抜いて外せるよう
に構成されている。

【００２３】図３に示すように、支持レール２２は苗の
せ台５の上端部近くまで延出されており、施肥装置３を
上端の非作業位置にスライドさせておくと、肥料貯留ホ
ッパー１１に対して走行機体の運転部３１から肥料の補
給を行うことができ、圃場に作業者が足を踏み入れる等
の煩わしさ無く作業が行える。

【００２４】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】苗植付装置及び施肥装置の側面図

【図２】施肥装置の背面図

【図３】乗用型田植機の全体側面図

【図４】施肥装置のスライドフレーム及び支持レール付
近の側面図

【図５】施肥装置のスライドフレーム及び支持レール付
近の横断平面図

【図６】肥料載置台の付近の背面図

【図７】押し引きロッドにおける筒体の付近の断面図

【符号の説明】

３ 施肥装置 １６ 連係部材 １７ 出力部 １９ 入力部 ２７ 接続部材 ２８ 付勢部材

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 苗の植え付けに伴って肥料を圃場に送り
   込んでいく施肥装置（３）を備えて、肥料を圃場に送り
   込む為の作業位置と作業位置から上方に離れた非作業位
   置とに亘り、作業位置での姿勢を維持した状態で、前記
   施肥装置（３）を移動自在に支持すると共に、 作業位置での前記施肥装置（３）とは別の位置に出力部
   （１７）を配置して、作業位置での前記施肥装置（３）
   の入力部（１９）と前記出力部（１７）とに亘って連係
   部材（１６）を接続し、前記出力部（１７）の動力を押
   し引き動力として前記連係部材（１６）を介して、前記
   施肥装置（３）の入力部（１９）に伝達するように構成
   して、 前記連係部材（１６）により前記施肥装置（３）の入力
   部（１９）と出力部（１７）とを接続する接続状態及び
   接続を解除する接続解除状態に操作自在な接続部材（２
   ７）と、前記接続部材（２７）を接続状態側に付勢する
   付勢部材（２８）とを、前記連係部材（１６）に備えて
   ある 施肥装置付き乗用型田植機。