JP3211194B2 - 耐熱フェルト - Google Patents

耐熱フェルト

Info

Publication number
JP3211194B2
JP3211194B2 JP09286694A JP9286694A JP3211194B2 JP 3211194 B2 JP3211194 B2 JP 3211194B2 JP 09286694 A JP09286694 A JP 09286694A JP 9286694 A JP9286694 A JP 9286694A JP 3211194 B2 JP3211194 B2 JP 3211194B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat
resistant
nylon
fiber
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP09286694A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07279084A (ja
Inventor
辺 一 正 渡
野 充 良 松
Original Assignee
市川毛織株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 市川毛織株式会社 filed Critical 市川毛織株式会社
Priority to JP09286694A priority Critical patent/JP3211194B2/ja
Publication of JPH07279084A publication Critical patent/JPH07279084A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3211194B2 publication Critical patent/JP3211194B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性(高温での耐熱変
形性、耐熱劣化性;以下同じ)に優れた繊維を使用した
耐熱フェルトに関するものである。特に製紙抄造分野で
使用される抄紙用具用の繊維素材に於いて、詳しくはヤ
ンキ−ドライヤ−、多筒ドライヤ−で使用されるプレス
フェルトやホットプレッシング、プレスドライニング、
インパルスドライニング等の高温プレス用フェルト、あ
るいはドライパ−トで使用されるプレスドライ(ドライ
フェルト、カンバス)その他各種工業用に使用される耐
熱フェルトに関するものである
【0002】
【従来の技術】従来、製紙抄造分野で使用される抄紙用
具用繊維素材は、基布を製織する際に使用する紡毛糸や
モノフィラメント、マルチフィラメント等の繊維、及び
開繊された短繊維(ステ−プルファイバ−)をウェッブ
シ−トとして、基布の片面又は両面に積層し主にニ−ド
ルパンチングの際に使用されている。繊維素材の好適な
例として、脂肪族ポリアミドであるナイロン6、ナイロ
ン66、ナイロン46、ナイロン11、ナイロン12、
ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1212、
あるいはナイロン6/66等の共重合ナイロン、ポリエ
チレンテレフタレ−ト(PET)等の熱溶融温度が比較
的低い汎用繊維が使われている。
【0003】一方、アクリル、アラミド、PPS、PE
EK、PI等の熱溶融温度の高い繊維では物理的・機械
的耐久性(コンパクション疲労、耐摩耗性、繊維の裂け
・割れ;以下同じ)に乏しく、特に高温プレスフェルト
用としてはいずれもその利用価値は著しく低いものであ
る。特開平5−214694号公報に於いて抄紙機用フ
ェルトを構成するウェッブとして、ナイロン10−T、
ナイロン12−Tが提案されているが耐熱性に貢献する
技術は得られていない。また、特開平4−41792号
公報に於いて、ナイロン6とナイロン6−Tとの共重合
ナイロンモノフィラメントを製織して成る、耐摩耗性無
端状製紙用織物が提案されているが、耐熱性を十分に引
き出すための手段を講じていない点で、いまだ十分なも
のとはいえなかった。
【0004】一般に抄紙用具は、捲縮付与した繊維を開
繊して成るウェッブを、製織された基布上に積層し、ニ
−ドルパンチング法で交絡せしめたタイプが主流であ
り、その要求特性は極めて高度なプレス負荷と共に高速
走行に伴う耐摩擦摩耗性を具備しなければならない。他
方に於いて紙匹の乾燥性と地合いの向上を目指した、い
わゆる高温プレッシングの技術が発達して来ており、耐
熱性及び物理的、機械的耐久性を兼ね備えた抄紙用具が
求められている。
【0005】然し乍ら、ヤンキ−ドライヤ−、多筒ドラ
−ヤ−で使用されるプレスフェルトやドライパ−トで使
用されるプレスドライ(ドライフェルト、カンバス)、
あるいは高温プレッシングに於いて従来から使われてい
るナイロン、ポリエステル(PET)、 アクリル、アラ
ミド、PPS、PEEK、PI等の汎用繊維あるいは従
来の耐熱性繊維等から成る抄紙用具では上述した耐熱性
の面ばかりでなく、物理的、機械的耐久性の面でも未だ
十分な機能を発揮しているとは言い難く、これらの要求
特性を併せ持つ抄紙用具の出現が待たれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した抄紙
用具等の工業用の耐熱フェルトとしての要求特性、すな
わち耐熱性及び物理的、機械的耐久性を高度に併せ持つ
新繊維からなる耐熱性繊維を使用した耐熱フェルトを提
供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を遺憾なく達成するために鋭意検討した結果、脂肪族ポ
リアミド成分が1〜20重量%と、ナイロン6−T成分
が99〜80重量%とからなるブロック共重合体を主成分と
する熱可塑性樹脂を溶融紡糸して成る耐熱性繊維があら
ゆる面から抄紙用具、特に、耐熱フェルトとして製紙抄
造用等に好適であることを見いだし、本発明を完成し
た。
【0008】
【0009】すなわち、本発明に係る耐熱フェルトは、
基布と、該基布の片面又は両面に形成されたウェッブと
からなる耐熱フェルトにおいて、該ウェッブの一部又は
全部が、脂肪族ポリアミド(以下、PAという)成分が
1〜20重量%と、ナイロン6−T成分が99〜80重量%と
から成るブロック共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂
を溶融紡糸してなる耐熱性繊維により構成されたもので
ある。なお、前記耐熱性繊維の化学構造は次の一般式で
示される。
【化1】 上記一般式で示される化学構造のうち、PAを除いた部
分の一般式は、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸
とで重縮合されたナイロン−6Tを示す。ただし、PA
は一般式 −[−NH(CH2)m CO −]n − m:1〜11 n:繰返し単位 で示される環状ラクタムの開環重合物 又は一般式 −[−NH(CH2)m NH −CO(CH2)n CO −]l − l:繰返し単位 m:1〜11 n:1〜11 で示されるジアミンとジカルボン酸との重縮合物であ
る。
【0010】さらに、本発明は、ナイロン6−Tを主成
分とする熱可塑性樹脂を溶融紡糸して成る耐熱性繊維及
びPA成分が 1〜20重量%とナイロン6−T成分が99〜
80重量%とから成るブロック共重合体を主成分とする熱
可塑性樹脂を溶融紡糸して成る耐熱性繊維を混織して構
成した基布、及び/又は該耐熱性繊維を混合して基布の
片面又は両面に形成するウェッブの一部又は全部を構成
した耐熱フェルトである。
【0011】また、上記耐熱フェルトを構成する耐熱性
繊維はカルボキシル末端基量がアミノ末端基量よりも多
く、その差が 5〜30 meq/kgの範囲内である。そして、
上記耐熱フェルトはヒンダ−ドフェノ−ルで代表される
フェノ−ル系酸化防止剤を熱可塑性樹脂に配合する。
【0012】本発明に係る耐熱フェルトに使用される耐
熱性繊維を得るにあたっては、通常用いられる溶融紡糸
法が適し特に制約はないが、溶融紡糸に適し得る溶融粘
度が保てるかが鍵となっている。本発明者らは熱可塑性
プラスチックの流れ試験方法 JIS K7210 A法に従ったメ
ルトフロ−レ−ト(以下、MFRという)が適用し得る
溶融粘度の1つの指標となることを見いだしており、こ
れを次のように提案する。
【0013】すなわち鋼製ダイの長さ8mm 、ダイ内径 2
mm、試験荷重 1kgf 、設定温度350℃におけるMFRを
測定し、その測定値が1 〜100g/10min 好ましくは50〜
75 g/10min の範囲に入る熱可塑性樹脂となるような重
合度を持つ熱可塑性樹脂を準備する。当該ブロック共重
合体を主成分とする熱可塑性樹脂は耐熱性の面ばかりで
なく、物理的、機械的耐久性を考慮に入れて、後述する
ように当該ブロック共重合体を構成するPAセグメント
成分が 1〜20重量%、ナイロン6−T成分が99〜80重量
%の範囲内にあるように共重合しつつ、かつ重合度を該
MFRの範囲内にあるように調整することはもちろんで
ある。
【0014】次に、ブロック共重合体を構成する脂肪族
ポリアミド(PAという)は一般式
【化2】 (m =3 〜11) で表されるε−カプラミド、ポリ−ω−ノナミド、ポリ
−ω−ラウリンアミド等のω−アミノ酸やω−ラクタム
からの開環重合によって得られるポリアミドであるか、
又はポリヘキサメチレンアジパミド、ポリテトラメチレ
ンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド等のジア
ミンとジカルボン酸とから得られるポリアミドである
か、あるいはこれらの構成成分の共重合体、若しくはこ
れらの各種共重合体のブレンド物等である。
【0015】具体的にナイロンの呼称で例示すると、ナ
イロン4、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン11、ナ
イロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン6
10、ナイロン612、ナイロン1212、等の脂肪族
ポリアミド、あるいはナイロン6/66,ナイロン6/
610等の脂肪族共重合ポリアミドが使用できる。
【0016】当該ブロック共重合体を構成するPAセグ
メント成分は 1〜20重量%、ナイロン6−T成分は99〜
80重量%の範囲内で共重合することは、本発明を達成す
るための重要な要件である。この範囲を逸脱するものは
耐熱性や物理的、機械的耐久性を具備しない。例えば、
PAセグメント成分の割合が20重量%を超えるものは耐
熱性が悪くなるとともに、該ブロック共重合体を溶融紡
糸法で繊維化する際に単糸切れ、断糸が起こる等、製糸
調子が悪化する。
【0017】一方、当該ブロック共重合体を構成する成
分割合によって耐熱性と物理的、機械的耐久性との間に
は相反する傾向が認められる。これを具体化すると次の
ようになる。
【表1】 この理由は定かでないが、PAセグメントが当該ブロッ
ク共重合体の中で非結晶部位を形成しエラスチックなソ
フトセグメント的要素を担い、一方、ナイロン6−Tセ
グメトは結晶部位を形成してハ−ドセグメント的要素を
担っているものと推定できる。すなわち、耐熱性を具現
する要素はナイロン6−Tハ−ドセグメントであり、逆
に物理的・機械的耐久性を具現するのはPAソフトセグ
メントである。
【0018】本発明で使用できる当該ブロック共重合体
の各成分割合いは上述の範囲の通りであるが、特に製紙
抄造用途として、好ましくはヤンキ−ドライヤ−及び多
筒ドラ−ヤ−で使用されるプレスフェルトの場合PAセ
グメントは約20重量%以下、ホットプレッシングやプレ
スドライニングあるいはインパルスドライニング等の高
温プレス用フェルトの場合、PAセグメントは約 5重量
%以下、更にドライパ−トで使用されるプレスドライ
(ドライフェルト、カンバス)の場合、約10重量%以下
が適当である。
【0019】更に本発明の効果を発揮させるための重要
な要素として、PA成分と、ナイロン6−Tとからなる
ブロック共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂から溶融
紡糸法によって生産される耐熱性繊維のカルボキシル末
端基量とアミノ末端基量の調整がある。すなわち耐熱性
繊維においてカルボキシル末端基量がアミノ末端基量よ
りも多く、その差が 5〜30 meq/kgの範囲内とすること
が必要である。
【0020】通常、PAやナイロン6−Tや芳香族ポリ
アミド(以下、アラミドという)等のカルボキシル末端
基及びアミノ末端基のそれぞれの量は30〜100 meq /kg
の範囲でほぼ等量のであるため、いずれも熱酸化によ
り、黄変を起こすと共に熱分解反応や橋架け反応を起こ
しながら、その物性を大幅に低下することが広く知られ
ている。この様な劣化の機構は熱や光、酸素の作用の下
に水素引き抜き、開裂、そして分子切断に至るまでの複
雑な過程を経るが、その防止対策としては一般には後述
する酸化防止剤(耐熱安定剤)、すなわちラジカル連鎖
禁止剤の使用が適当とされている。然し乍ら、酸化防止
剤の使用だけでは、本発明の意図する所の耐熱性繊維を
使用した耐熱フェルトの機能を十分満足する事は出来な
い。すなわち本発明の耐熱フェルトはカルボキシル末端
基量がアミノ末端基量よりも多く、その差が 5〜30meq
/kgの範囲内にある耐熱性繊維を使用することによって
製紙抄造用具として十分満足するレベルにまでその機能
を充実できるに至ったものである。
【0021】本発明で達成する分子末端基量のコントロ
−ルは重合時に分子末端調整剤として、酢酸、安息香酸
等のモノカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフ
タル酸等のジカルボン酸、及び/又はトリアジン類、ピ
ペラジン類、ピリミジン類等の複素環式化合物類、ある
いはN ,N −ジメチルホルムアミド、N ,N −ジメチル
アセトアミド、ヘキサメチレンアジパミド、ヘキサメチ
レンセバカミド、ヘキサメチレンテレフタラミド等のア
ミド化合物、モノ〜ビスカルボジイミド等のイミド化合
物が適当である。分子末端調整剤は一般的には当該熱可
塑性樹脂を重合する過程において、その終了直前に分子
末端調整剤を混入攪拌後、ポリマ−を重合釜から払い出
す方法がとられる。
【0022】この様な分子末端基量をコントロ−ルする
調整剤は、それ自体公知の化合物であり、特公平3−4
7326号公報記載のごとくポリエステル繊維のカルボ
キシル末端基を封鎖する方法、あるいは明記しないがポ
リアミド繊維のアミノ末端基を封鎖する方法等は公知で
あり、これらカルボキシル末端基、アミノ末端基の調整
が化学的安定性を改善するのには有効ではあるが、本発
明とは作用、効果の面で本質を異にする。
【0023】すなわち、PA成分と、ナイロン6−Tと
からなるブロック共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂
からなる耐熱性繊維のカルボキシル末端基量とアミノ末
端基量の調整がある。熱可塑性樹脂から成る耐熱性繊維
のカルボシキシル末端基量がアミノ末端基量よりも多
く、その分子末端基量の差が 5〜30meq /kgの範囲内で
ある耐熱性繊維を使用した本発明の耐熱フェルトは、熱
的条件の下でも黄変や熱分解反応、橋架け反応を起こす
事なく使用出来るメリットを有する点に大きな特徴があ
る。この理由は定かではないが、恐らく分子間相互作用
すなわちカルボシキル末端基量がアミノ末端基量よりも
多い状態では、アミノ末端基が隣接する分子のカルボキ
シル末端基によって封鎖される効果が考えられる。一
方、カルボキシル末端基量がアミノ末端基量よりも多
く、その分子末端基量の差が30meq /kg以上である耐熱
性繊維を使用した耐熱フェルトにあっては、分子間相互
作用にあずかるカルボキシル末端基が過剰であるため
に、当該耐熱性繊維中に残存する低重合物との間でのい
わゆるアミド交換反応を生じる可能性が高く、本発明を
実施するうえでは不向きである。
【0024】本発明では、この様にして分子末端基量が
調整されたPA成分と、ナイロン6−Tとからなるブロ
ック共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂からなる耐熱
性繊維に於いては、更にその耐熱性を一層向上させるべ
く、すなわち溶融紡糸による繊維製造に際しての耐熱安
定性付与、及び耐熱フェルトとしての耐熱性向上を兼ね
備えるべく、ヒンダ−ドフェノ−ルで代表されるフェノ
−ル系酸化防止剤を熱可塑性樹脂に配合することも出来
る。
【0025】本発明で使われる熱可塑性樹脂はいずれも
熱溶融温度が 300℃を超えるものが特に好ましいため、
酸化防止剤(耐熱安定剤)の選択には特に注意を払うべ
きであり、本発明者らは鋭意検討した結果、ヒンダ−ド
フェノ−ルで代表されるフェノ−ル系酸化防止剤の内、
2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチ
ルフェノ−ル)、2,6,−ジ−tert−ブチル−p クレ
ゾ−ル、2,2´−メチレンビス(4−エチル−6tert
−ブチルフェノ−ル)、好ましくは融点が200℃以上
の高耐熱性・高分子型ヒンダ−ドフェノ−ルが溶融紡糸
の際の添加剤として有用である事を知見した。一例とし
てジ−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tertブチル
フェニル)ブタン(商品名 旭電化製 アデカスカブAO
−40)、及び/又は1,3,5トリメチル−2,4,6
−トリ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)ベンゼン(商品名 旭電化製 アデカスタブAO
-330)が好ましい。
【0026】添加剤は紡糸機のホッパ−から紡糸口金に
至る間に、当該熱可塑性樹脂に内添されていれば良く、
従って添加剤の添加はホッパ−内でもそれ以前でもよ
い。例えば熱可塑性樹脂と添加剤をミキサ−で混合攪拌
後してホッパ−に供給する方法、当該熱可塑性樹脂を重
合する際、その終了直前に添加剤を混入、攪拌後、ポリ
マ−を重合釜から払い出す方法、あるいは重合終了後、
重合釜から払い出されたポリマ−をチップに成型する過
程で、添加剤を添加して紡糸原料用チップにして保存し
ておいてもよい。あるいは当該熱可塑性樹脂に添加剤を
配合するに当たって、添加剤を高濃度に含有するマスタ
−ペレットとし、更に樹脂で混合希釈溶融紡糸する、い
わゆるマスタ−バッチ法であってもよい。
【0027】但し、添加剤は溶融紡糸の際に均一に分散
していることが、紡糸の際の糸むらを防ぐために重要で
あるが、添加剤の配合割合はMFRの範囲内 1〜100g/
10min 好ましくは50〜100g/10min に収める事が溶融紡
糸の際の溶融粘度を適度に保つためにも重要であり、樹
脂に対して 0.5〜5 重量%の範囲で使用することが好ま
しい。
【0028】本発明を実施するに当たっては、分子末端
基量を調整する工程、及び/又は酸化防止剤(添加剤)
を配合する工程、そして最終の溶融紡糸工程のそれぞれ
において、各工程の前後で分子末端基量、あるいは MFR
で代表される重合度等が変化することがあるので、本発
明を実施する上では所望の分子末端基量や当該MFRを
得るために、事前に各工程での斟酌を必要とすることは
言うまでもない。
【0029】本発明では酸化防止剤(耐熱安定剤)とし
てヒンダ−ドフェノ−ルで代表されるフェノ−ル系酸化
防止剤の効果をいっそう効率良く発揮させるために、他
の酸化防止剤(耐熱安定剤)を併用してもよい。例えば
ハロゲン化銅、酢酸銅、等の銅化合物、リン系酸化防止
剤、イオウ系酸化防止剤、あるいはヒンダ−ドアミン
(HALS)、ベンゾフェノン系化合物例えば2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、トリアゾ−ル系
化合物例えば2−(2´−ヒドロキシ−3´,5´−ジ
−tertブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−
ル、オキサゾ−ル系化合物、イミダゾ−ル化合物を併用
することも出来る。
【0030】本発明で使用するPA成分と、ナイロン6
−Tとからなるブロック共重合体を主成分とする熱可塑
性樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲で上記熱可塑
性樹脂と他の熱可塑性樹脂、例えばポリフェニレンスル
フィド(PPS)、ポリエ−テルエ−テルケトン(PE
EK)、 全芳香族ポリエステル等の高融点を持つ熱可塑
性樹脂とを任意の割合でブレンドして成る熱可塑性樹脂
も含まれる。これら任意の割合でブレンドして成る熱可
塑性樹脂を溶融紡糸して成る耐熱性繊維で基布を製織
し、及び/又は基布の片面又は両面に形成するウェッブ
の一部又は全部を該耐熱性繊維で構成した耐熱フェルト
であってもよいが、ブレンド樹脂の相溶性、溶融粘度、
溶融紡糸法、溶融紡糸法で繊維化する際の製糸調子、及
び耐熱性、物理的機械的耐久性を本発明の趣旨に沿うよ
う斟酌しなければならない。
【0031】
【作用】本発明では上述した当該耐熱性繊維の耐熱フェ
ルトとしての耐久性が分子末端基量の調整、すなわちカ
ルボキシル末端基量がアミノ末端基量よりも多く、その
差が 5〜30 meq/kgの範囲であるように、当該耐熱性繊
維の分子末端基量をコントロ−ルすること、及び/又は
酸化防止剤(耐熱安定剤)の使用によってその耐熱性を
飛躍的に向上させる事ができる。
【0032】なお、特開平4−2849号公報では、ε
−カプロラクタムから誘導されるポリアミド形成単位を
99〜75重量%含有してなるポリアミド共重合体 100重量
部と、ヒンダ−ドフェノ−ル基とアミド基とを分子内に
同時に有する化合物 0.005〜1 重量部とからなるポリア
ミド樹脂組成物から形成された漁網が公知であるが、本
発明の目的、用途並びに作用は本発明とは全く異なる。
すなわち、前記特開平4−2849号公報の目的はポリ
アミド製漁網(編網)の目締め工程(スチ−ミング)で
損失する物性を、高度に維持するものである。これに対
し、本発明はPA成分と、ナイロン6−T成分とからな
るブロック共重合体による繊維に関してその分子末端基
量を調整する事、及び/又はヒンダ−ドフェノ−ルで代
表される酸化防止剤の作用はポリアミドに対しての化学
結合性を有するものではない点が上記公報の発明と異な
るものである。
【0033】すなわち、本発明では次式で示すヘキサメ
チレンジアミンとテレフタル酸とで重縮合されたナイロ
ン6−Tを主成分とする熱可塑性樹脂
【化3】 及び次式で示す、PA成分とナイロン6−T成分とから
成るブロック共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂
【化4】 を任意の割合でブレンドして成る熱可塑性樹脂を溶融紡
糸し、耐熱性繊維を得るものである。そして、耐熱性繊
維を使用して、ウェッブの一部又は全部を構成したもの
である。なお、本発明に係る耐熱フェルトとして、該耐
熱性繊維を用いて、基布の一部又は全部と、ウェッブの
一部又は全部を構成することも可能である。
【0034】本発明で使用する耐熱性繊維の繊度はウェ
ッブに使用する短繊維の場合は 1〜50デニ−ル、好まし
くは 3〜25デニ−ルである。一方、製織される基布の一
部又は全部に使用する場合は 3〜50デニ−ルの短繊維か
ら成る紡毛糸あるいはマルチフィラメント、又は0.1 〜
1.0mm のモノフィラメントである。短繊維の場合は 1デ
ニ−ル未満では製糸性の面で問題が多く、50デニ−ルを
超えるものは特に製紙抄造の分野では紙匹への影響を考
えると不向きである。更に、本発明では耐熱性繊維の形
状として、製紙抄造の用具では特に短繊維(ステ−プル
ファイバ−)が望ましい。この理由は製紙抄造用具は必
要とする嵩高性すなわち繊維の持つ捲縮性に基づくもの
である。
【0035】本発明の耐熱フェルトは本発明の目的を損
なわない範囲で、他の耐熱性繊維、例えばガラス繊維、
炭素繊維、セラミック繊維等の無機繊維、ポリフェニレ
ンスルフィド(PPS),ポリエ−テルエ−テルケトン
(PEEK)、ポリエ−テルイミド(PEI)、ポリイ
ミド(PI)、メタ系、パラ系で代表される芳香族ポリ
アミド(アラミド)、全芳香族ポリエステル等の有機繊
維との混用でも差し支えないが、耐熱フェルトに占める
これらの他の耐熱性繊維の割合は40重量%、好ましくは
25重量%以下である事が肝要である。
【0036】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を説明する。本
実施例で規定する測定値の測定方法は次の条件によるも
のとするが、これらによって本発明を限定するものでは
ない。メルトフロ−レ−トの測定 JIS K7210 A法に従っ
たメルトフロ−レ−ト(MFR)である。鋼製ダイの長
さ8mm 、ダイ内径2mm 、試験荷重1kgf,設定温度350℃
におけるMFRを測定し、その測定値が 1〜100g/10mi
n 、好ましくは50〜75g /min の範囲に入るような重合
度を持つ熱可塑性樹脂を準備する事が必要である。
【0037】末端基量の定量:アミノ末端基量及びカル
ボキシル末端基量は溶媒としてそれぞれフェノ−ル及び
アニリンを用いて試料(耐熱性繊維)を溶解し、塩酸又
は水酸化ナトリウムで滴定し、伝導測定をもって末端基
量を求める(高分子学会編「高分子試験講座6、高分子
の重合度測定」共立(1957)P.223)。あるいは汎用され
る以下の方法によるものでもよい。 アミノ末端基量の定量 0.5gの試料を m−クレゾ−ルに溶解し、指示薬のもとに
1/10N パラトルエンスルホン酸で滴定する方法 カルボキシル末端基量の定量 0.5gの試料をベンジルアルコ−ル/メタノ−ルの混合溶
媒(9:1)に溶解し、指示薬のもとに1 /10N 水酸化カリ
ウムで滴定する方法
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】実施例1 ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とを化学量論的
必要量配合して成るナイロン塩を形成した後、ε−カプ
ロラクタムの適当量を加えて常法により重縮合し、次式
で示す脂肪族ポリアミド(PA.6)成分とナイロン6
−T成分から成るブロック共重合体を得た。
【化5】 この重縮合工程に於いて、得られた熱可塑性樹脂のMF
Rがその測定値50〜100 g /10min の範囲に入るようイ
ソフタル酸でカルボキシル末端基を封鎖し重合停止せし
めた。得られたブロック共重合体のMFRは75 g/10mi
n ,カルボキシル末端基量はアミノ末端基量よりも多
く、その差は30 meq/kgであり、ブロック共重合体を形
成するPAセグメント成分は20重量%、ナイロン6−T
成分は80重量%であった。
【0043】この熱可塑性樹脂を一旦ストランド状に押
出し、チップ状にカッティング後、水洗、乾燥して溶融
紡糸用樹脂を得た。溶融紡糸機内の予熱温度230 ℃、中
間部温度300 ℃、溶融部温度330 ℃、紡糸頭温度335 ℃
とし、その他の条件は実施例1と同じ条件で溶融紡糸し
て13デニ−ルで繊維長76mmの耐熱性繊維を得た。得られ
た耐熱製繊維のカルボキシル末端基量はアミノ末端基量
よりも多く、その差は27 meq/kgでありこの耐熱性繊維
の発揮し得る物性を表2に記載した。次に、この耐熱性
繊維をカ−ド方式で開繊されたウエッブシ−トとし、ナ
イロン6を製織して成る基布上に積層しつつ、ニ−ドル
パンチ法によって交絡せしめ、最終目付1000 g/m2で構
成された耐熱フェルトを得た。この耐熱フェルトの発揮
し得る耐久性を表3に記載した。
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】実施例2 ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とを化学量論的
必要量配合して成るナイロン塩を形成した後、ε−カプ
ロラクタムの適当量を加えて常法により重縮合し、実施
例1と同様にして脂肪族ポリアミド(PA.6)成分と
ナイロン6−T成分から成るブロック共重合体を得た。
この重縮合工程に於いて、得られた熱可塑性樹脂のMF
Rがその測定値50〜100g /10min の範囲に入るようイ
ソフタル酸でアミノ末端基を封鎖し重合停止せしめ、次
いでヘキサヒドロピラジンをもってカルボキシル末端基
を封鎖した。
【0050】得られたブロック共重合体樹脂のMFRは
50 g/10min 、カルボキシル末端基量はアミノ末端基量
よりも多く、その差は10 meq/kgであり、ブロック共重
合体を構成するPAセグメント成分は20重量%、ナイロ
ン6−T成分は80重量%であった。この熱可塑性樹脂を
一旦ストランド状に押出し、チップ状にカッテング後、
水洗〜乾燥して得た樹脂 100倍に対してヒンダ−ドフェ
ノ−ルである ジ−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−tertブチルフェニル)ブタン(旭電化製 アデカスタ
ブAO−40)1部をホッパ−内で混合攪拌して溶融紡糸樹
脂を得た。
【0051】以下、実施例1と同じ条件で溶融紡糸して
13デニ−ルで繊維長76mmの耐熱性繊維を得た。得られた
耐熱製繊維のカルボキシル末端基量はアミノ末端基量よ
りも多く、その差は7meq/kgでありこの耐熱性繊維の発
揮し得る物性を表2に記載した。
【0052】次に、この耐熱性繊維をカ−ド方式で開繊
されたウエッブシ−トとし、ナイロン6を製織して、成
る基布上に積層しつつ、ニ−ドルパンチ法によって交絡
せしめ、最終目付1000g /m2で構成された耐熱フェルト
を得た。この耐熱フェルトの発揮し得る耐久性を表3に
記載した。
【0053】実施例3 ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とを化学量論的
必要量配合して成るナイロン塩を形成した後、ヘキサメ
チレンアジパミドの適当量を加えて常法により重縮合し
て得た、脂肪族ポリアミド(PA.66)成分とナイロ
ン6−T成分とから成る次式で示されるブロック共重合
体を得るに当たり、重縮合工程に於いて、得られた熱可
塑性樹脂のMFRがその測定値50〜100g/10min の範囲
に入るようイソフタル酸でカルボキシル末端基を封鎖し
重合停止せしめた。得られたブロック共重合体樹脂のM
FRは65g /10min 、カルボキシル末端基量はアミノ末
端基量よりも多く、その差は30meq /kgであり、ブロッ
ク共重合体を構成するPAセグメント成分は10重量%、
ナイロン6−T成分は90重量%であった。
【化6】
【0054】以下、実施例1と同じ条件で溶融紡糸用樹
脂を得た後、同じ条件で溶融紡糸して13デニ−ルで繊維
長76mmの耐熱性繊維を得た。得られた耐熱性繊維のカル
ボキシル末端基量はアミノ末端基量よりも多く、その差
は25 meq/kgでありこの耐熱性繊維の発揮し得る物性を
表2に記載した。次に、この耐熱性繊維をカ−ド方式で
開繊されたウエッブシ−トとし、ナイロン6を製織して
成る基布上に積層しつつ、ニ−ドルパンチ法によって交
絡せしめ、最終目付1000g /mで構成された耐熱フェ
ルトを得た、この耐熱フェルトの発揮し得る耐久性を表
3に記載した。
【0055】
【0056】
【0057】比較例1 ヘキメチレンジアミンとテレフタル酸とを化学量論的必
要量配合して成るナイロン塩を形成した後、ε−カプロ
ラクタムの適当量を加えて常法により重縮合し、実施例
1と同様にして脂肪族ポリアミド(PA.6)成分とナ
イロン6−T成分とから成るブロック共重合体を得た。
この熱可塑性樹脂のMFRは 90g/10min 、カルボキシ
ル末端基量はアミノ末端基量と等量であって、ブロック
共重合体を構成するPAセグメント成分は30重量%、ナ
イロン6−T成分は70重量%であった。
【0058】この熱可塑性樹脂 100部に対してヒンダ−
ドフェノ−ルである ジ−(2−メチル−4−ヒドロキ
シ−5−tertブチルフェニル)ブタン(旭電化製 アデ
カスタブAO−40)1部をホッパ−内で混合攪拌して溶融
紡糸用樹脂を得た。以下、実施例1と同じ条件で溶融紡
糸して13デニ−ルで繊維長76mmの耐熱性繊維を得た。得
られた耐熱性繊維のカルボキシル末端基量はアミノ末端
基量と等量であり、この熱性繊維の発揮し得る物性を表
2に記載した。次に、この耐熱性繊維をカ−ド方式で開
繊されたウエッブシ−トとし、ナイロン6を製織して成
る基布上に積層しつつ、ニ−ドルパンチ法によって交絡
せしめ、最終目付1000g /mで構成された耐熱フェル
トを得た。この耐熱フェルトの発揮し得る耐久性を表3
に記載した。
【0059】従来例 市販されている耐熱性繊維ポリパラフェニレンテレフタ
ルアミド(PPTA;ケブラ−49)、ポリメタフェニレ
ンイソフタルアミド(PMIA;ノ−メックス)、ポリ
ベンゾイミダゾ−ル(PBI;セラニ−ズ)、ポリフェ
ニレンスルフィド(PPS;PROCON)、ポリエ−
テルエ−テルケトン(ポリオキシ−1,4,−フェニレ
ンオキシ−1,4,フェニレンカルボニル−1,4,フ
ェニレン;PEEK;IYEX)を各々カ−ド方式で開
繊されたウエッブシ−トとし、ナイロン6を製織して成
る基布上に積層しつつ、ニ−ドルパンチ法によって交絡
せしめ、最終目付1000 g/m2で構成された耐熱フェルト
を得た。この耐熱性繊維及び耐熱フェルトの発揮し得る
耐久性をそれぞれ表2、表3に記載した。
【0060】
【表2】 (注)1.繊維強伸度はJIS L−1015化学繊維
ステープル試験法による 2.高温暴露条件は200℃のオーブン中に連続500
時間晒したものである 3.繊維強度保持率(%)=処理後の残存強度/未処理
の切断強度
【0061】
【表3】 (注)1.摩耗試験JIS L−0849摩耗に対する
染色堅牢度試験方法(試験機JIS L−0823 I
I型)において、摩擦往復回数を1000回に変更した
もの 2.熱プレス疲労JIS L−0850ホットプレッシ
ングに対する染色堅牢度試験方法A−3法において、圧
力条件を100kgf/cmに変更したもの 3.比容積JIS L−1097合成繊維ふとんわた試
験方法で規定する比容積(かさ高性)
【0062】
【発明の効果】本発明は上記構成としたので、抄紙用具
等の工業用の耐熱フェルトとしての要求特性、すなわち
表2および3に示すように、耐熱性及び物理的、機械的
耐久性である耐摩耗性に優れ、しかも熱プレス疲労に対
する耐久性をも具備しており、本発明の意図する製紙抄
造分野等で使われる耐熱フェルトとして新繊維からなる
耐熱性繊維の一部又は全部を基布及び/又はウェッブに
使用した不織布状耐熱フェルトを得ることができる。ま
た、本発明で得られたPA成分が1〜20重量%と、ナ
イロン6−T成分が99〜80重量%とからなるブロッ
ク共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂を溶融紡糸して
成る耐熱性繊維は、分子末端基量が調整され、また好適
な酸化防止剤が配合されているため、高温暴露後の繊維
強度保持率が高くなる。
【0063】
【0064】
【0065】本発明の脂肪族ポリアミド成分が 1〜20重
量%とナイロン6−T成分が99〜80重量%とから成るブ
ロック共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂を溶融紡糸
して成る耐熱性繊維は200 ℃のオ−ブン中に連続 500時
間晒したものであっても、繊維強度の保持率が高く、耐
熱性の効果は十分である。
【0066】このブロック共重合体を主成分とする熱可
塑性樹脂を溶融紡糸して成る耐熱性繊維を開繊されたウ
ェッブシ−トとし、基布上に積層しつつニ−ドルパンチ
法によって交絡せしめた耐熱フェルトにあっては、市販
されている耐熱性繊維(PPTA、PMIA、PBI、
PPS、PEEK)を開繊されたウェッブシ−トとし、
基布上に積層しつつニ−ドルパンチ法によって交絡せし
めた耐熱フェルトに比べて、摩耗試験における摩耗量が
少なく、しかも熱プレス疲労性が少ないため、各種工業
用に使用される耐熱フェルト、特に抄紙用フェルトとし
ての機能の持続性、すなわち物理的・機械的耐久性が高
い。
【0067】ブロック共重合体の構成成分である脂肪族
ポリアミドは環状ラクタムの開環重合物(PA.6)ま
たはジアミンとジカルボン酸との重縮合物(PA.6
6)であっても本発明の機能を十分発揮する。
【0068】
【0069】
【0070】脂肪族ポリアミド成分が30重量%とナイロ
ン6−T成分が70重量%とから成るブロック共重合体を
主成分とする熱可塑性樹脂を溶融紡糸して成る耐熱繊維
であって、更に該繊維のカルボキシル末端基量とアミノ
末端基量が等量である、本発明の要件を逸脱した繊維に
あっては繊維の融点が低く、しかも200 ℃のオ−ブン中
に連続 500時間晒したものの繊維強度の保持率が低い
等、耐熱性の効果は不十分である。
【0071】脂肪族ポリアミド成分が30重量%とナイロ
ン6−T成分が70重量%とから成るブロック共重合体を
主成分とする熱可塑性樹脂を溶融紡糸して成る耐熱性繊
維であって、更に該繊維のカルボキシル末端基量とアミ
ノ末端基量が等量である、本発明の要件を逸脱した繊維
を開繊されたウェッブとし、基布上に積層しつつニ−ド
ルパンチ法によって交絡せしめた耐熱フェルトにあって
は、熱プレス疲労性が大きく、各種工業用に使用される
耐熱フェルト、特に抄紙用フェルトとしての機能の持続
性、すなわち物理的・機械的耐久性は低い。
【0072】
【0073】耐熱フェルトのウエッブ最外層部は、高温
の熱を直接うけて高温となり、かつ直接摩耗をうけるの
で、ウエッブの最外層部を耐熱繊維で構成した本発明の
耐熱フェルトは、特に摩耗耐久性が効率よく高められ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21F 7/08 D01F 1/00 - 6/94

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基布と、該基布の片面又は両面に形成さ
    れたウェッブとからなる耐熱フェルトにおいて、該ウェ
    ッブの一部又は全部が、脂肪族ポリアミド成分が1〜20
    重量%と、ナイロン6−T成分が99〜80重量%とから成
    るブロック共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂を溶融
    紡糸して成る耐熱性繊維により構成されたことを特徴と
    する耐熱フェルト。
  2. 【請求項2】 基布と、該基布の片面又は両面に形成さ
    れたウェッブとからなる耐熱フェルトにおいて、前記基
    布の一部又は全部と、前記ウェッブの一部又は全部が、
    脂肪族ポリアミド成分が1〜20重量%と、ナイロン6−
    T成分が99〜80重量%とから成るブロック共重合体を主
    成分とする熱可塑性樹脂を溶融紡糸してなる耐熱性繊維
    により構成されたことを特徴とする耐熱フェルト。
  3. 【請求項3】 前記耐熱性繊維はカルボキシル末端基量
    がアミノ末端基量よりも多く、その差が 5〜30 meq/kg
    の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    耐熱フェルト。
  4. 【請求項4】 ヒンダ−ドフェノ−ルで代表されるフェ
    ノ−ル系酸化防止剤を熱可塑性樹脂に配合することを特
    徴とする請求項1、2又は3記載の耐熱フェルト。
  5. 【請求項5】 前記ウェッブの最外層の一部又は全部が
    前記耐熱性繊維であることを特徴とする請求項1、2、
    3又は4記載の耐熱フェルト。
JP09286694A 1994-04-07 1994-04-07 耐熱フェルト Expired - Fee Related JP3211194B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09286694A JP3211194B2 (ja) 1994-04-07 1994-04-07 耐熱フェルト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09286694A JP3211194B2 (ja) 1994-04-07 1994-04-07 耐熱フェルト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07279084A JPH07279084A (ja) 1995-10-24
JP3211194B2 true JP3211194B2 (ja) 2001-09-25

Family

ID=14066361

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09286694A Expired - Fee Related JP3211194B2 (ja) 1994-04-07 1994-04-07 耐熱フェルト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3211194B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003096684A (ja) * 2001-09-27 2003-04-03 Shikibo Ltd 製紙機械用ドライヤーカンバス
JP2006070411A (ja) * 2004-09-06 2006-03-16 Ichikawa Co Ltd 抄紙用フェルト
JP2006257568A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Toray Monofilament Co Ltd 工業布帛用ポリアミドステープルおよび工業布帛
JP4725144B2 (ja) * 2005-03-16 2011-07-13 東レ・モノフィラメント株式会社 抄紙プレスフェルト基布
JP4595061B2 (ja) * 2005-03-24 2010-12-08 東レ・モノフィラメント株式会社 工業布帛用ポリアミドステープルおよび工業布帛
JP2006265777A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 Toray Monofilament Co Ltd 工業布帛用ポリアミドステープルおよび工業布帛
DE202018103522U1 (de) 2018-06-21 2018-09-14 Heimbach Gmbh & Co. Kg Bespannung für Papiermaschinen oder Zellstoffentwässerungsmaschinen sowie Verwendung einer solchen

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07279084A (ja) 1995-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH10130497A (ja) ポリアミド樹脂組成物
US4874660A (en) Paper machine felts
JPH09510748A (ja) 高い加工信頼度を備えた耐摩耗性ポリエステル混合物
JP3211194B2 (ja) 耐熱フェルト
US20090169882A1 (en) Compatibilized polyester-polyamide with high modulus, and good abrasion and fibrillation resistance and fabric produced thereof
EP0460135B1 (en) Paper machine felts
US4398995A (en) Papery product
JPH04507267A (ja) 抄紙機フェルト
JP2011058144A (ja) ポリアミドモノフィラメントおよび工業用織物
EP2108066B1 (en) Toughened monofilaments
JP2006257568A (ja) 工業布帛用ポリアミドステープルおよび工業布帛
JP2010126826A (ja) 防刃衣料用布帛
JP4595061B2 (ja) 工業布帛用ポリアミドステープルおよび工業布帛
US5776313A (en) Papermachine clothing of aliphatic polyketones
JP4595060B2 (ja) 工業織物用ポリアミドモノフィラメントおよび工業織物
JP2001503481A (ja) モノフィラメントおよび工業用織物品の製造でのその使用
CN104652040A (zh) 一种含有含砜基的共混型芳族聚酰胺纤维与耐高温纤维的过滤材料及其制造方法
WO2019167541A1 (ja) ポリエーテルエステルアミド組成物
AU2004266274A1 (en) Abrasion-resistant wires, fibres and filaments
JP4725144B2 (ja) 抄紙プレスフェルト基布
JP2004292984A (ja) ポリフェニレンサルファイド繊維、その製造方法および工業用織物
CN104630987B (zh) 一种无纺织物及过滤材料和过滤装置
JP2004124349A (ja) ポリエステルモノフィラメントおよびその製造方法
JP4669942B2 (ja) 工業織物用ポリアミドモノフィラメント、その製造方法および工業織物
JP2006077351A (ja) 工業織物用ポリアミドモノフィラメントおよび工業織物

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20010529

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees