JP3210367B2 - 光導波回路モジュ―ル - Google Patents

光導波回路モジュ―ル

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JP3210367B2
JP3210367B2 JP22737091A JP22737091A JP3210367B2 JP 3210367 B2 JP3210367 B2 JP 3210367B2 JP 22737091 A JP22737091 A JP 22737091A JP 22737091 A JP22737091 A JP 22737091A JP 3210367 B2 JP3210367 B2 JP 3210367B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信分野で用いられ
る光導波路と入出力用光ファイバとを基本構成要素とす
る信頼性の高い光導波回路モジュ−ルに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】光通信分野の進展に伴い、従来の光源、
光ファイバ、受光器に加えて、光分岐素子や光スイッ
チ、光合分波器等の光導波回路が要求されている。この
種の光導波回路は、光導波路端面に光入出力用の光ファ
イバを接続した形態で構成することが一般的である。
【0003】図2は従来の光導波回路モジュ−ルの一例
を示すもので、図2の(a) は全体斜視図を、同図の(b)
は(a) におけるA−A線矢視方向の拡大断面図をそれぞ
れ示している。ここでは、光導波路チップの一端面に接
続すべき光ファイバが1〜2本程度と少ない場合に採用
されることの多い形態を示す。
【0004】図2において、1はシリコン基板上に形成
した石英系の1×2スプリッタ構成の光導波路チップで
あり、その端面には光入出力用の光ファイバ2,3,4
の端面がその光軸が一致する如く屈折率整合層5を介し
て突き合わされ、光ファイバ2,3,4の端面近傍が接
着剤6によりファイバ保持部7aに固定されており、さ
らにこれら全体がファイバ保持部7aが一体化されたア
ルミニウム等の金属からなる実装用パッケ−ジ7に収納
されている。なお、屈折率整合層5を構成する屈折率整
合剤の屈折率は、光ファイバ及び光導波路の屈折率を考
慮して、接続部での反射率が最小となる値に設定され
る。
【0005】このように、光導波路チップに直接光ファ
イバを接続する形態の光導波回路モジュ−ルでは、光導
波路チップ自体及び光ファイバとの接続部の機械的強度
及び耐候性を確保するため、実装用パッケ−ジ7に収納
される。
【0006】また、図3は従来の光導波回路モジュ−ル
の他の例を示すもので、図3の(a)は全体斜視図を、同
図の(b) は(a) におけるB−B線矢視方向の拡大断面図
をそれぞれ示している。ここでは、光導波路チップの一
端面に比較的多数の光ファイバ、例えば4芯または8芯
テ−プファイバを接続すべき場合に採用されることの多
い形態を示す。
【0007】この光導波回路モジュ−ルは、シリコン基
板上に形成した石英系の光導波路チップ8を光導波路チ
ップ用筐体9に保持・固定し、また、光入出力用の光フ
ァイバ、ここでは4芯テ−プファイバ10及び11の端
部をそれぞれ光ファイバ端部用筐体12及び13に保持
・固定した後、光導波路チップ8の端面に4芯テ−プフ
ァイバ10及び11の光軸が一致するように、両者の接
続界面に屈折率整合層14を設けて位置合わせした後、
光導波路チップ用筐体9と光ファイバ端部用筐体12及
び13とをYAGレ−ザ等を照射することにより溶接・
固定され、さらにこれら全体が金属よりなる実装用パッ
ケ−ジ15に収納されている。
【0008】なお、上記の各筐体9,12及び13は、
各筐体9,12及び13は、コバ−ル等の金属で形成し
てある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
光導波回路モジュ−ルでは、環境温度が変動、例えば環
境温度が上昇すると光導波回路を構成している各部材は
熱膨張を起こす。この結果、実装用パッケ−ジ7の長さ
も変動し、光ファイバと光導波路との接続界面を引き剥
がそうとする応力が働く。パッケ−ジ7の膨張が大きい
と、図4に示すように、光ファイバと光導波路との接続
界面が剥離し、この結果、主として外部から接続界面に
空気等の気泡が取り込まれる。このような界面への異物
の侵入は、散乱等の原因となり、接続損失の著しい増加
及び反射減衰量の大幅な劣化をもたらす。
【0010】また、別の問題として、高温多湿度雰囲気
中では、この種の光導波回路の界面には空気ばかりでな
く、水蒸気等も取り込まれることとなり、それが信頼性
に著しい悪影響を与えるという問題があった。
【0011】また、後者の光導波回路モジュ−ルでは、
低温や高温の環境下に保持した場合、光導波路基板と筐
体との線膨張係数及び光ファイバと筐体との線膨張係数
の不整合により、光導波路チップ8や光ファイバが伸縮
し、このために光導波路チップ8と光ファイバの界面が
伸縮する。上記したように、光導波路としてシリコン基
板上に形成した石英系光導波回路、筐体としてコバ−ル
を用いた場合を例にとると、シリコン及びコバ−ルの線
膨張係数はそれぞれ28×10-7、46×10-7である
ので、長さ50mmの光導波路チップを用いた場合、−4
0℃〜80℃の温度範囲で20℃を基準にした変動は±
5.4μmと算出される。
【0012】このような光導波回路においては、前者の
場合と同様に、上記した各部材の線膨張係数の不整合に
起因して生じる界面の伸縮により、屈折率整合層と光フ
ァイバまたは光導波路界面とが剥離し、この結果、主と
して外部から接続界面の空気等の気泡や水蒸気等が取り
込まれ、接続損失の著しい増加及び反射減衰量の大幅な
劣化をもたらす。
【0013】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、光導波回路構成部材間の線膨張
係数の不整合に起因する特性劣化を防止した信頼性の高
い光導波回路モジュ−ルを提供することにある。
【0014】上記目的を達成するため、本発明では、光
入出力用の光ファイバと光導波路チップとを備え、光軸
が一致するように、前記光導波路チップと前記光ファイ
バとを屈折率整合層を介して接続した光導波回路モジュ
ールにおいて、前記屈折率整合層の屈折率とほぼ同等の
屈折率を持ち且つ粘性を有する光学的に透明な第1の充
填材を、前記光導波路チップと前記光ファイバとの接続
部の周りに塗布し、吸水性の第2の充填材を充填した実
装用パッケージ内部に、前記光導波路チップを、前記
1の充填材を塗布した接続部も含めて収納したことを特
徴とするここで、前記屈折率整合層は接着剤とし、これ
によって前記光導波路チップと前記光ファイバとを固定
しても良い。
【0015】
【作用】本発明によれば、光導波回路モジュ−ルを低温
や高温の環境下に保持した場合、光導波路基板と筐体と
の線膨張係数及び光ファイバと筐体との線膨張係数の不
整合により、光導波路チップや光ファイバが伸縮し、こ
のために光導波路チップと光ファイバの界面が伸縮す
る。これにより、光導波路チップと光ファイバとの接続
界面の間隔が広がり、光ファイバ端面と光導波路チップ
との間に間隙が生じ、この間隙内に充填材が侵入する。
充填材の間隙への侵入に伴い、充填材は屈折率整合層の
屈折率とほぼ同様の屈折率を有するので、接続界面剥離
前の光導波回路の特性と同様の特性が保持される。
【0016】
【実施例】図1は、本発明に係る光導波回路モジュ−ル
の第1の参考例を示すもので、図中、従来例を示す図2
と同一構成部分は同一符号をもって表す。即ち、1は光
導波路チップ、2,3,4は光ファイバ、5は例えばシ
リコ−ン系ジェリ−状樹脂からなる屈折率整合層、6は
接着剤、7はアルニウム等の金属からなる実装用パッケ
−ジ、7aは実装用パッケ−ジ7と一体に形成されたフ
ァイバ保持部、21は実装用パッケ−ジ7内に充填され
た、例えばシリコ−ン系グリ−ス状樹脂からなる充填材
である。ここで用いた屈折率整合層5と充填材21とは
ほぼ同様の屈折率を有する。
【0017】本参考例においては、光ファイバ2,3,
4は、パッケ−ジ7に設けたファイバ保持部7aに接着
剤6により固定されている。ここで光導波回路モジュ−
ルの環境温度が変動し、例えば環境温度が上昇すると光
導波回路を構成している各部材は熱膨張を起こす。この
結果、パッケ−ジ7の長さも変動し、光ファイバ2,
3,4と光導波路チップ1との接続界面を引き剥がそう
とする応力が働く。これにより、光ファイバと光導波路
チップとの接続界面の間隔が広がり、光ファイバ端面と
光導波路チップとの間に間隙が生じる。
【0018】このように、光ファイバ端面と光導波路チ
ップとの間に間隙が生じると、図5に示すように、充填
材21がこの間隙内に侵入する。充填材21の間隙への
侵入に伴い、充填材21は、屈折率整合層5を構成する
シリコ−ン系ジェリ−状樹脂の屈折率とほぼ同様の屈折
率を有するので、接続界面剥離前の光導波回路の特性と
同様の特性が保持される。
【0019】以上のように、本参考例によれば、パッケ
−ジ7の熱膨張に起因した光導波回路の特性劣化を防止
することができる。加えて、本参考例においては、充填
材21として用いたシリコ−ン系グリ−ス状樹脂は耐湿
性に優れているので、耐湿特性を向上できる。
【0020】図6は、上記効果を確認するために、−4
0℃〜80℃の温度範囲でヒ−トササイクル試験を実施
した結果を示す図である。同図の(a) はパッケ−ジ7内
に充填材を充填していない従来構成に対する試験結果を
示し、同図の(b) は充填材を充填した本参考例(図1)
の構成に対する試験結果を示している。また、図中、実
線で示す曲線は損失増加量を、一点鎖線で示す曲線は温
度を示している。
【0021】図6からわかるように、従来構成の場合、
高温側において接続界面の剥離に起因した大きな損失増
加量が観測されたが、本参考例の構成の場合には、ヒ−
トサイクルに伴う損失変動は0.2dB以内と全温度範
囲に亘って安定であった。
【0022】また、図7は、湿度に対する信頼性を評価
するために、70℃、90%の環境での放置試験を実施
した結果を示す図である。図中、実線で示す曲線は本
例の構成に対する試験結果を、破線で示す曲線は従来
構成に対する試験結果を示している。図7に示すよう
に、従来構成の場合には、300時間後から損失増加が
観測されたが、本参考例の場合には1000時間を経過
しても損失増加は0.2dB以下であった。
【0023】以上の図6及び図7の試験結果から明らか
なように、本参考例により温度安定性並びに耐湿特性と
もに優れた光導波回路モジュ−ルを実現できる。
【0024】なお、本参考例では、光導波路チップ1と
光ファイバ2,3,4との接続界面には、屈折率整合層
5として接着機能を持たないグリ−ス状樹脂を用いた
が、この代わりに、屈折率整合性のとれた透明な接着
剤、例えば紫外線硬化型接着剤を用いることも可能であ
る。この場合にも、充填材21として上記接着剤とほぼ
同様の屈折率を有し、かつ、透明なグリ−ス状樹脂また
はジェリ−状樹脂を用いることにより、上記した効果と
同様の効果を得ることができる。また、屈折率整合層5
として用いる接着剤としては、例えばエポキシ系接着
剤、シリコ−ン系接着剤、アクリル系接着剤等が適用可
能である。
【0025】図8は、本発明に係る光導波回路モジュ−
ルの第2の参考例を示すもので、図中、従来例を示す図
3と同一構成部分は同一符号をもって表す。即ち、8は
石英系光導波路チップ、9は光導波路チップ用筐体、1
0,11は4芯テ−プファイバ、12,13は光ファイ
バ端部用筐体、14は光導波路チップ8の端面と4芯テ
−プファイバ10及び11の端面との接続界面に設けた
オレフィン系ジェリ−状樹脂からなる屈折率整合層、1
5は実装用パッケ−ジ、22は例えばシリコ−ン系ジェ
リ−状樹脂からなる充填材である。なお、屈折率整合層
14と充填材22の屈折率は、石英系光導波路の屈折率
と同様に1.46に設定してある。
【0026】この光導波回路モジュ−ルを、低温や高温
の環境下に保持した場合、光導波路基板と筐体との線膨
張係数及び光ファイバと筐体との線膨張係数の不整合に
より、光導波路チップ8や光ファイバが伸縮し、このた
めに光導波路チップ8と光ファイバの界面が伸縮する。
これにより、光ファイバと光導波路チップ8との接続界
面の間隔が広がり、光ファイバ端面と光導波路チップ8
との間に間隙が生じ、この間隙内に充填材22が侵入す
る。充填材22の間隙への侵入に伴い、充填材22は、
屈折率整合層14の屈折率と同様の屈折率を有するの
で、第1の参考例の場合と同様に、接続界面剥離前の光
導波回路の特性と同様の特性が保持される。
【0027】従って、光導波回路モジュ−ルが高温ない
しは低温環境中に放置されたとしても、各部材の伸縮に
伴う損失並びに反射減衰量の劣化を防止することができ
る。本参考例の光導波回路モジュ−ルの効果を検証する
ために、−40℃〜80℃の温度範囲でのヒ−トサイク
ル試験を実施した結果、ヒ−トサイクルに伴う損失変動
は0.2dB以内、また反射減衰量も−45dB以下と
安定であることが明らかとなった。
【0028】また、70℃、90%の高温高湿環境下で
の放置試験の結果、放置後1000時間経過した後も損
失増加は0.2dB以下、また、反射減衰量も−45d
B以下であり、耐湿性にも優れていることが確認され
た。
【0029】なお、本参考例では、光導波路と光ファイ
バとの接続にあたっては、光導波路チップ用筐体9と光
ファイバ端部用筐体12,13とをコバ−ルのような金
属材料で構成し、両者をYAGレ−ザ照射により溶接固
定したが、図8と同様の構成で接着剤により固定した光
導波回路を用いることも可能である。
【0030】この場合は、例えば図8における光導波路
チップ用筐体9及び光ファイバ端部用筐体12,13と
もに、パイレックスガラスのようなガラス材料で構成
し、光導波路と光ファイバとの接続界面に用いる屈折率
整合層として、接着作用も有する光学接着剤、例えば紫
外線硬化型エポキシ系接着剤等を用いればよい。
【0031】このような構成においても、上記したと同
様の効果を得ることができる。
【0032】図9は、本発明に係る光導波回路モジュ−
ルの第3の参考例を示すものである。本第3の参考例が
前記第2の参考例と異なる点は、充填材22をパッケ−
ジ15内全体に充填する代わりに、光導波路と光ファイ
バとの接続界面近傍のみに塗布したことにある。
【0033】このように、接続界面近傍のみに充填材2
2を塗布する構成においても、光学特性の劣化防止の観
点からは、上記した第2の参考例の効果と同様の効果を
得ることができる。
【0034】図10は、本発明に係る光導波回路モジュ
−ルの第の実施例を示すものである。本第の実施例
が前記第3の参考例と異なる点は、光導波路と光ファイ
バとの接続界面近傍には、屈折率整合性のとれたグリ−
ス状樹脂からなる充填材22を塗布し、さらにパッケ−
ジ15内のその他の部分に吸水性に優れた充填材23を
充填したことにある。
【0035】このような構成にすることにより、光学特
性に優れることはもとより、吸水性に優れた充填材23
を用いたので耐湿特性にも優れた光導波回路モジュ−ル
を実現できる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
各構成部材が環境温度変動により伸縮し光導波路と光フ
ァイバとの接続界面に間隙が生じたとしても、この間隙
に充填材が侵入するので、光導波回路の光学特性の劣化
を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光導波回路モジュ−ルの第1の参考
を示す図
【図2】従来の光導波回路モジュ−ルの一例を示す図
【図3】従来の光導波回路モジュ−ルの他の例を示す図
【図4】図2の光導波回路モジュ−ルの課題説明図
【図5】図1の光導波回路モジュ−ルの動作説明図
【図6】図1の光導波回路モジュ−ルの温度変動に対す
るヒ−トサイクル試験の試験結果を示す図
【図7】図1の光導波回路モジュ−ルの耐湿特性の試験
結果を示す図
【図8】本発明の光導波回路モジュ−ルの第2の参考
を示す図
【図9】本発明の光導波回路モジュ−ルの第3の参考
を示す図
【図10】本発明の光導波回路モジュ−ルの第の実施
例を示す図
【符号の説明】
1,8…光導波路チップ、2,3,4…光ファイバ、
5,14…屈折率整合層、7,15…実装用パッケ−
ジ、21,22,23…充填材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−77704(JP,A) 特開 昭64−40805(JP,A) 特開 平2−73207(JP,A) 特開 昭60−14206(JP,A) 特開 昭50−37444(JP,A) 特開 昭59−88714(JP,A) 実開 昭59−161122(JP,U) 実開 昭63−19804(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/00 - 6/54

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光入出力用の光ファイバと光導波路チッ
    プとを備え、 光軸が一致するように、前記光導波路チップと前記光フ
    ァイバとを屈折率整合層を介して接続した光導波回路モ
    ジュールにおいて、 前記屈折率整合層の屈折率とほぼ同等の屈折率を持ち且
    つ粘性を有する光学的に透明な第1の充填材を、前記光
    導波路チップと前記光ファイバとの接続部の周りに塗布
    し、 吸水性の第2の充填材を充填した実装用パッケージ内部
    に、前記光導波路チップを、前記第1の充填材を塗布し
    接続部も含めて収納したことを特徴とする光導波回路
    モジュール。
  2. 【請求項2】前記屈折率整合層は接着剤であり、これに
    よって前記光導波路チップと前記光ファイバとが固定さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の光導波回路モ
    ジュール。
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