JP3209698B2 - 免震構造 - Google Patents

免震構造

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JP3209698B2
JP3209698B2 JP08164597A JP8164597A JP3209698B2 JP 3209698 B2 JP3209698 B2 JP 3209698B2 JP 08164597 A JP08164597 A JP 08164597A JP 8164597 A JP8164597 A JP 8164597A JP 3209698 B2 JP3209698 B2 JP 3209698B2
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憲司 山本
修 森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤に固定された
基礎部と、該基礎部上に設けられた上部構造部とからな
る構築物において上記上部構造部を免震する免震構造に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な建築物の免震構造としては、例
えば、積層ゴムを用いたものが知られている。上記積層
ゴムは、基本的に薄い鉄板とゴムとを交互に何重にも重
ね貼り合わせたものであり、水平方向には非常に柔らか
く、鉛直方向には非常に固い性質を有するものである。
従って、建築物の地盤に固定された基礎部上に積層ゴム
を介して建築物の上部構造部を支持させた状態とするこ
とにより、積層ゴムと上部構造部とからなる振動系の固
有周期を長くすることができ、これにより、上部構造部
に作用する地震力を減少させることができる。
【0003】なお、積層ゴムは、上述のように上記振動
系の固有周期を長くするために、水平剛性が小さなもの
となっており、上記振動系の加速度応答を減少させるこ
とができるが、変位応答は逆に増加することになり、上
部構造部が水平方向に大きく変位することになるので、
水平方向の変位を抑えるダンパ等のエネルギー吸収装置
を併用して、水平方向の変位量を減少させることが好ま
しい。また、鉛(芯)入り積層ゴムや、高減衰積層ゴム
等のように、積層ゴム自体がエネルギー吸収能を有する
ものがあり、このような積層ゴムを用いた場合には、他
のエネルギー吸収装置を併用する必要がない。
【0004】また、積層ゴムは、上述のように、鉛直方
向には極めて固い特性を有し、上部構造部の荷重を十分
支持できるようになっているが、ロッキングなどの現象
により作用する引張力に対応するものではなく、上部構
造部の設計に際して積層ゴムに大きな引張力が作用しな
いようにすることが好ましい。
【0005】しかし、建築物の設計を積層ゴムに大きな
引張力が作用しないものとすると、例えば、積層ゴムに
より免震可能な建築物の幅に対する高さの比が制限さ
れ、建築物のプランが制約されることになる。そこで、
積層ゴムに対応可能な建築物の設計の自由度を高めるた
めには、上部構造部と基礎部との接合部分の構造におい
て、積層ゴムに大きな引張力が作用しない工夫を施すこ
とが考えられ、例えば、建築物の基礎部と上部構造部と
を引張力に対応できる部材で接合することが考えられ
る。
【0006】しかし、基礎部と上部構造部とを単純に接
合してしまうと、積層ゴムにより基礎部に対して水平方
向に変位可能に支持された上部構造部の水平方向の変位
が抑制されてしまうことになり、免震性能が低下してし
まう。そこで、従来、基礎部の上面にX軸方向に沿って
設けられたガイドレールと、上部構造部の下面にY軸方
向に沿って設けられたガイドレールと、これらガイドレ
ールに上端部及び下端部がそれぞれ接合されるととも
に、これらガイドレールに沿って移動自在に設けられた
抗張力部材とからなる引張力対応装置が提案されてい
る。
【0007】このような引張力装置を用いれば、基礎部
に対して上部構造部が水平方向に変位した場合に、抗張
力部材の上端部及び下端部がそれぞれガイドレールに沿
って移動することにより上部構造部の変位に抗張力部材
が追従し、上部構造部の変位を妨げることがなく、この
状態で、抗張力部材が基礎部と上部構造部とにかかる上
下方向の引張力に対応することができる。従って、基礎
部と上部構造部との間に積層ゴムとともに上述の引張力
対応装置を配置することにより、積層ゴムに引張力が作
用するのを防止することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、積層ゴム
は、長期に渡って上部構造部の荷重が作用することによ
り、クリープが生じ、僅かであるが徐々に上部構造部が
沈み込むことになる。この場合には、基礎部と上部構造
部との上下間隔が短くなり、上記引張力対応装置がその
上下長さを調整できるようになっていないと、抗張力部
材に上部構造部の荷重が作用し、上下のガイドレールに
対する抗張力部材のスムーズな移動性を確保できなくな
る。また、積層ゴムが地震時に変形した場合にも、上部
構造部の沈み込みが生じ、上述のように抗張力部材のス
ムーズな移動性を確保できなくなる。
【0009】そこで、例えば、上側のガイドレールを上
部構造部下面から多数のボルトにより吊った状態、すな
わち、上部構造部の下面から離間した状態で配置すると
ともに、上部構造部が沈み込んだ場合に、ガイドレール
が上方に移動できるように、クリープ用のクリアランス
を確保しておき、上部構造部が沈み込んでも抗張力部材
に上部構造部の荷重がかからないようにした張力対応装
置が開発されている。
【0010】しかし、上述のような張力対応装置では、
積層ゴムに支持された上部構造部の推測される最大水平
変位量の約二倍の長さを必要とするガイドレールを吊り
下げた状態に支持するのに多数のボルトを必要とするの
で、ガイドレールの配置高さ、クリープ用のクリアラン
ス量等を決める際や、変更する際に、多数のボルトやナ
ットを操作する必要があり、設置やメンテナンスに手間
がかかる。
【0011】また、上述のような張力対応装置では、比
較的長いガイドレールがボルトにより吊られた状態で支
持されているので、上部構造部のロッキングにより斜め
上方への引張力が作用した場合に、ガイドレールを吊っ
た状態に支持するボルトに軸方向の引張力ととも曲げ応
力が作用することになり、ボルトが変形する可能性があ
り、ガイドレール側の剛性が不足する可能性がある。
【0012】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、設置やメンテナンスが容易で、かつ、十分な剛
性を持たせることが可能な構造を有する引張力対応装置
を有する免震構造を提供することを目的とするものであ
る。
【0013】本発明の請求項1記載の免震構造は、地盤
に固定された基礎部と該基礎部上に設けられた上部構造
部とからなる構築物において、上記基礎部と上記上部構
造部との間に配置されて上記上部構造部の免震を行う積
層ゴムと、上記基礎部と上記上部構造部との間に配置さ
れて上記基礎部と上記上部構造部との間に作用する引張
力に対応する引張力対応装置とを具備してなる免震構造
であって、上記引張力対応装置が、上記上部構造部の下
部に略水平に設けられた上部ガイドレールと、上記基礎
部の上部に、該上部ガイドレールに対して直角に交差す
るように略水平に設けられた下部ガイドレールと、上記
上部ガイドレール及び下部ガイドレールの両方にこれら
上部及び下部ガイドレールに沿って移動自在に接続さ
れ、これら上部及び下部ガイドレールが互いに離間する
方向に移動するのを防止する引抜拘束部とを具備してな
り、上記引抜拘束部が、上部ガイドレールに接続される
上部拘束部と下部ガイドレールに接続される下部拘束部
とを備え、これら上部拘束部と下部拘束部とが互いに上
下動自在に接合され、上記引抜拘束部が上下方向に沿っ
て収縮自在となっていることを上記課題の解決手段とし
た。
【0014】上記構成によれば、引抜拘束部が、上部構
造部に設けられた上部ガイドレールと、基礎部に設けら
れた下部ガイドレールとの両方に接合されることによ
り、上部構造部と基礎部とを接合した状態となっている
が、地震等の際に、積層ゴムが変形して、上部構造部が
基礎部に対して水平方向に変位する際に、引抜拘束部
が、上部ガイドレール及び下部ガイドレールにそれぞれ
沿って移動自在となっているので、上部構造部の水平方
向の変位を妨げることがない。また、地震等の際に、基
礎部から上部構造部を上側に引き抜く方向に引張力が作
用した場合に、上述のように上部構造部と基礎部とを接
合する引抜拘束部が引張力に抗することになり、積層ゴ
ムに大きな引張力が作用するのを防止することができ
る。
【0015】そして、本発明によれば、引抜拘束部が上
下方向に収縮自在となっているので、積層ゴムのクリー
プや、地震時の積層ゴムの変形等により、上部構造部が
沈み込んで、上部構造部と基礎部との間隔が短くなって
も、引抜拘束部が収縮することにより、引抜拘束部に上
部構造部の荷重がかかるようなことがなく、上部構造部
が沈み込んでも、引抜拘束部が上部及び下部ガイドレー
ルに沿ってスムーズに移動することができる。
【0016】また、引抜拘束部が収縮することにより、
積層ゴムのクリープや地震時の積層ゴムの変形等による
上部構造部の沈み込みに対応できるので、上部構造部の
沈み込みに対応するために、例えば、上部ガイドレール
を上下動可能に上部構造部の下面に吊った状態に支持す
る必要がなく、上部ガイドレールを上部構造部の下面に
密着した状態で接合した状態とすることができるので、
上部ガイドレールの剛性を容易に確保することができ
る。
【0017】なお、上記積層ゴムは、周知のものであ
り、一般的な積層ゴムや、鉛入り積層ゴムや高減衰積層
ゴム等の様々な積層ゴムを用いることができる。上記上
部及び下部ガイドレールは、引抜拘束部を略水平方向の
直線に沿って移動自在に案内するとともに、引抜拘束部
が引き抜けない状態に引抜拘束部と接合されるものであ
る。また、上部ガイドレールと下部ガイドレールとは、
上下に間隔をあけて配置されるとともに、互いに直角に
交差した状態となっている。
【0018】そして、上部ガイドレールと下部ガイドレ
ールとが交差する位置に引抜拘束部が配置されるように
なっている。この状態で引抜拘束部は、前後左右に移動
することができないが、基礎部に対して上部構造部が水
平方向に移動した際には、上部ガイドレールと下部ガイ
ドレールとの交差位置がずれることになり、上記引抜拘
束部が上部ガイドレールと下部ガイドレールの交差位置
のずれに対応して移動し、引抜拘束部が上部ガイドレー
ルと下部ガイドレールとの交差位置に配置されるように
なっている。すなわち、上部構造部の水平方向の変位に
引抜拘束部が追従するようになっている。
【0019】また、上部及び下部ガイドレールの引抜拘
束部と接触する部分は、摩擦係数が低い状態となってい
ることが好ましく、例えば、鏡面加工されたステンレス
板や、四フッ化エチレン樹脂(PTFE(テフロン、デ
ュポン社))からなるものとすることが好ましい。な
お、引抜拘束部がローラ等の転動する部材を介してガイ
ドレールに嵌合されるようになっている場合は、必ずし
も、上部及び下部ガイドレールの引抜拘束部と接触する
部分の摩擦係数を低いものとする必要はない。
【0020】上記引抜拘束部は、上記上部ガイドレール
及び下部ガイドレールの両方にこれら上部及び下部ガイ
ドレールに沿って移動自在に接続されている必要があ
り、例えば、上部ガイドレール及び下部ガイドレールの
両方に対して引き抜けない状態で移動自在に嵌合した状
態となっている。また、引抜拘束部は、上下方向に沿っ
て収縮可能となっている必要があり、例えば、シリンダ
とピストンのような構造や、引抜拘束部を上部と下部と
に分割した形状とし、上部と下部とを離間した状態で、
ボルトにより締結したような構造としても良い。
【0021】例えば、引抜拘束部の上部と下部とにそれ
ぞれボルト孔を有するフランジを設け、これらフランジ
が離間した状態で、一方のフランジの外方から他方のフ
ランジに向かってボルトを挿入し、他方のフランジの外
側に突出したボルトの先端部にナットを螺合すれば、フ
ランジ同士が離間した状態からフランジ同士が接触する
状態まで、引抜拘束部を収縮自在とすることができる。
【0022】また、上記ボルトに代えて、両端部に上記
フランジから抜けるのを防止する抜け止め部が設けられ
た部材を用いるものとしても良く、例えば、棒状部材の
端部にフランジに設けられた穴より大きな拡径部を設け
た構成や、棒状部材の端部に抜け止めピンを取り付けた
構成としても良い。また、引抜拘束部は、上述の上部構
造部の沈み込みに対応して自然に伸縮するようになって
いることが好ましいが、引抜拘束部を下部ガイドレール
に接合された下部と上部ガイドレールに接合された上部
とからなり、上部と下部とが互いに上下動自在に接合さ
れていれば、基礎部に対して上部構造部が沈み込んだ場
合に、自然に引抜拘束部が収縮することになる。
【0023】また、引抜拘束部は、引張力が作用した場
合にこれに抗するものであり、収縮自在となっていて
も、引張力が作用した場合に、所定長さ以上伸張しない
構成となっている必要があり、引抜拘束部が上述のよう
に上部と下部とが互いに上下動自在となっている場合
に、上部と下部とが互いに引き抜かれるのを防止するよ
うになっているとともに、引抜力に対応できるようにな
っている必要がある。
【0024】また、上部拘束部と下部拘束部とが互いに
上下動自在に接合されているので、これらの接合部分に
おいて引抜拘束部を収縮自在とすることができるととも
に、上述の上部構造部の沈み込みに対応して引抜拘束部
を収縮することができるので、上記請求項1記載の構成
と同様の作用効果を得ることができる。
【0025】なお、上部拘束部と下部拘束部とを上下動
自在に接合するものとしては、上述のように、シリンダ
とピストンのような構造や、上部拘束部と下部拘束部と
を離間した状態で、ボルトにより締結したような構造
や、ボルトに代えて上述の棒状部材を用いた構造等を用
いることができる。
【0026】本発明の請求項記載の免震構造は、上記
上部拘束部と上記下部拘束部とが上下に間隔をあけて配
置された状態で複数のボルトにより締結されることによ
り上記引抜拘束部が上記間隔の範囲内で収縮自在とされ
ていることを上記課題の解決手段とした。上記構成によ
れば、上述の上部構造部の沈み込みに対応して引抜拘束
部を収縮させることができるので、請求項1記載の構成
と同様の作用効果を得ることができる。
【0027】本発明の請求項記載の免震構造は、上記
上部拘束部と上記下部拘束部とに作用する水平方向の力
を上記上部拘束部と下部拘束部との間で伝達する剪断力
対応手段を上記引抜拘束部に設けたことを上記課題の解
決手段とした。上記構成によれば、地震などの際に、基
礎部に対して上部構造部が変位した場合に、上部拘束部
と上部ガイドレールとの間及び下部拘束部と下部ガイド
レールとの間で、摩擦力が生じることにより、上部拘束
部と下部拘束部との間に水平方向に沿った剪断力が生じ
ることになり、上部拘束部と下部拘束部とを互いに離間
した状態で締結するボルトもしくは上部拘束部と下部拘
束部とを互いに上下に移動自在に接合する接合部材に剪
断応力や曲げ応力がかかることになるが、上部拘束部と
下部拘束部との間で水平方向の力を伝達する剪断力対応
手段があれば、ボルトやその他の接合部材ににかかる負
荷を低減することができる。
【0028】従って、上部拘束部と下部拘束部との締結
に必要なボルトの数の減少や、使用するボルトの太さを
小さくしたりすることや、その他の接合部材の水平方向
の力に対する強度の低減が可能となる。なお、上記剪断
力対応手段は、例えば、上部拘束部及び下部拘束部のう
ちの一方から他方側に延出して、他方側に係合する部材
からなるものであるが、上部拘束部と下部拘束部とから
なる引抜拘束部の収縮を妨げないものであることが好ま
しい。
【0029】また、剪断力対応手段は、上部拘束部及び
下部拘束部からそれぞれ他方側に延出して他方側に係合
する部材からなるものでも良い。また、上記部材の他方
側への係合は、例えば、側面に当接した状態や、他方側
に設けられた穴に挿入もしくは貫通した状態で良いが、
引抜拘束部の収縮を妨げないものであることが好まし
い。
【0030】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態の一
例の免震構造を図面を参照して説明する。図1に示すよ
うに、この一例の免震構造は、建築物の基礎部1と上部
構造部2との間に配置された積層ゴム3と、引張力対応
装置10とからなるものである。上記積層ゴム3は、周
知のものであり、例えば、鉛入り積層ゴムとなってお
り、地震等の際に、上部構造部2の固有周期を長くする
ことにより免震するとともに、鉛芯(図示略)により上
部構造部2の振動を減衰するものである。
【0031】また、上記積層ゴム3は、その下端部が基
礎部1に接合され、その上端部が上部構造部2の大梁4
に接合されている。また、積層ゴム3は、上部構造部2
の柱5の下方に配置されるようになっている。上記引張
力対応装置10は、積層ゴム3の近傍に配置されるよう
になっており、例えば、積層ゴム3の左右や前後にそれ
ぞれ配置されるようになっている。なお、積層ゴム3も
複数配置されるようになっている。
【0032】また、引張力対応装置10は、図1、図2
及び図3に示すように、上部構造部2の下部に設けられ
る上部ガイドレール11と、基礎部1の上部に設けられ
る下部ガイドレール12と、これら上部及び下部ガイド
レール11、12に接合される引抜拘束部13とを有す
るものである。上記上部ガイドレール11は、図2に示
すように、矩形板状のベースプレート11aと、該ベー
スプレート11aの下面の左部及び右部にそれぞれ締結
されたガイドブロック11b、11bとを有するもので
ある。なお、図3においては、図面を見やすくするため
に、ベースプレート11b、11bを省略して図示して
いる。
【0033】上記矩形状のベースプレート11aは、例
えば、その下面に多数の棒状のアンカー(図示略)が溶
接、もしくは締結され、該アンカーを基礎部を形成する
コンクリート中に埋設させることで、上部構造部2に固
定可能となっている。なお、ベースプレート11aの上
部構造部2への固定は、他の方法でも良く、例えば、上
部構造部2の鋼材からなる部分に溶接もしくは締結され
るものであっても良い。
【0034】上記ガイドブロック11b、11bは、ベ
ースプレート11aの長さ方向に沿って、ベースプレー
ト11aの下面の右部と左部とにそれぞれ配置される肉
厚で長尺な板状の部材であり、互いに間隔をあけて配置
されるようになっている。また、ガイドブロック11
b、11bは、その長さがベースプレート11aの長さ
(長さ方向の長さ)と略等しくされ、その幅がベースプ
レート11aの幅(長さ方向に直交する方向の長さ)の
半分より短いものとされている。
【0035】そして、ガイドブロック11b、11bの
前後の端部の位置が、ベースプレート11aの前後の端
部の位置に合わせられ、ベースプレート11aの下面の
左部に配置されるガイドブロック11bの左側縁部の位
置がベースプレート11aの左側縁部に合わせられ、ベ
ースプレート11aの下面の右部に配置されるガイドブ
ロック11bの右側縁部の位置がベースプレート11a
の右側縁部に合わせられている。そして、このような配
置で、かつ、ベースプレート11aの下面にガイドブロ
ック11b、11bの上面を密着させた状態で、多数の
ボルト11c…によりガイドブロック11b、11bが
ベースプレート11aに締結されている。
【0036】そして、このようにベースプレート11a
にガイドブロック11b、11bを締結することで、ベ
ースプレート11aの中心線に沿った中央部でガイドブ
ロック11b、11b同士の間があいた状態となり、ベ
ースプレート11aの中央部が露出するとともに、上部
ガイドレール11の中央部に溝11dが形成された状態
となる。また、ガイドブロック11b、11bは、互い
に対向する側面の下部が対向するガイドブロックに向か
って突出した状態となっている。すなわち、ガイドブロ
ック11b、11bの互いに対向する側面の下部に突条
が形成された状態となっており、この突条が後述するよ
うに引抜拘束部13の引き抜きを防止する押さえ部11
e、11eとなっている。
【0037】そして、上記溝11dの断面形状が上記押
さえ部11e、11eにより、下方が開口した逆凸状と
なる。また、図4に示すように、ベースプレート11a
の中央部の露出する下面、すなわち、下方に開口する溝
11dの底面には、鏡面加工されたステンレス板11f
が貼設されている。また、ガイドブロック11bの対向
する側面の上部及び上記側面の下部に設けられた押さえ
部11eの上面には、L字状に曲げられ、かつ、鏡面加
工されたステンレス板11gが一体に貼設されている。
また、ベースプレート11aとガイドブロック11b、
11bとには、ベースプレート11aとガイドブロック
11b、11bとを締結するための多数のボルト孔が形
成されている。また、これらベースプレート11aとガ
イドブロック11bとからなる上部ガイドレール11の
長さは、上記積層ゴム3に支持された上部構造部2の地
震時における水平方向の最大変位の二倍より長い必要が
ある。
【0038】上記下部ガイドレール12は、基本的に上
部ガイドレール11を上下逆さにした形状を有するもの
であり、図2及び図3に示すように矩形状のベースプレ
ート12a(図3において図示略)と、該ベースプレー
ト12aの左右両測部に締結された二つのガイドブロッ
ク12b、12b(図2において片方だけを図示)とを
有するものである。そして、下部ガイドレール12のベ
ースプレート12a及びガイドブロック12b、12b
は、上下が逆な以外は、上部ガイドレール11のベース
プレート11a及びガイドブロック11b、11bと同
様な形状を有するものであり、ガイドブロック12b、
12bの互いに対向する側面には、上部ガイドレール1
1のガイドブロック11b、11bと同様に押さえ部1
2e、12eが形成されている。また、ベースプレート
12aとガイドブロック12b、12bとは、多数のボ
ルト12c…により締結されている。
【0039】そして、このようなベースプレート12a
とガイドブロック12b、12bとにより下部ガイドレ
ール12には、上部ガイドレール11と同様に、中部に
溝12d(図3に図示)が形成された状態となってお
り、溝12dの断面形状が上方が開口した凸字状となっ
ている。また、下部ガイドレール12の溝12dの内面
の部分には、上部ガイドレール11の二つのステンレス
板11f、11gと同様の二つのステンレス板(図示
略)が貼設されている。なお、上部及び下部ガイドレー
ル11、12は、上述のようにベースプレート11a、
12aとガイドブロック11b、12bとが締結された
ものに限定されるものではなく、ベースプレート11
a、12aとガイドブロック11b、12bとを始めか
ら一体のものとし、溝11d、12dを削って形成する
ものとしても良い。また、ベースプレート11a、12
aとガイドブロック11b、12bとを溶接するものと
しても良い。
【0040】上記引抜拘束部13は、図2、図3及び図
5に示すように、上部ガイドレール11の溝11dに引
き抜けないように嵌合するとともに、溝11dに沿って
移動自在な上部拘束部14と、下部ガイドレール12の
溝12dに引き抜けないように嵌合するとともに、溝1
2dに沿って移動自在な下部拘束部15と、これら上部
拘束部14と下部拘束部15とを締結する四本のボルト
16…(図2及び図3に図示)とを有するものである。
上記上部拘束部14は、上部ガイドレール11の断面逆
凸状の溝11dに嵌合する断面T字状の嵌合部14a
と、後述するように下部拘束部15と係合する係合部1
4bとからなるものである。上記嵌合部14aは、上記
上部ガイドレール11の溝11d内に挿入される矩形板
状の滑り板14cと、滑り板14cに直角に接合された
接合板14dとからなる。
【0041】上記滑り板14cは、その左右幅が、ベー
スプレート11aの溝11d内に露出部分の幅より僅か
に狭くされ、その厚みがベースプレート11aの下面か
らガイドブロック11b、11bの押さえ部11e、1
1eの上面までの距離より僅かに薄くされ、その長さが
上部ガイドレール11の長さの約1/3とされている。
そして、滑り板14cは、上部ガイドレール11の前端
面もしくは後端面から溝11d内に挿入可能となってい
る。なお、この際には、滑り板14cの長さ方向を溝1
1dの長さ方向に合わせて、滑り板14cを溝11dに
挿入するようになっている。そして、滑り板14cは、
その左右側縁部が溝11dに挿入された状態で、ガイド
ブロック11b、11bの押さえ部11e、11eと、
ベースプレート11aとの間に挟まれた状態となり、溝
11dから抜けないようになっている。
【0042】また、滑り板14cには、図4に示すよう
にベースプレート13と接触する上面と、ガイドブロッ
ク11b、11bと接触する左右側面及び下面の左右側
縁部にPTFE板14g、14hが貼設されており、上
部ガイドレール11の溝11d内に配置されたステンレ
ス板11f、11gと滑り板14c側のPTFE板14
g、14hとが接触することにより、滑り板14cが溝
内を摺動した際の摩擦力を小さなものとするようになっ
ている。
【0043】従って、滑り板14cは、溝11dに沿っ
て容易に摺動できるようになっている。上記接合板14
dは、滑り板14cの長さ方向に沿った中心線に沿っ
て、滑り板14cの下面から鉛直方向に延出するように
接合されている。そして、接合板14cは、溝11d内
の滑り板14cに接合された状態で、溝11dの開口か
ら溝11dの外側に延出するようになっている。また、
接合板14dは、その下端部に、滑り板14cの長さよ
り短い係合部14bの後述する締結板14eが接合され
るようになっている。
【0044】そして、接合板14dの上辺部は、その長
さが滑り板14cと略等しくされ、接合板14dの下辺
部は、その長さが締結板14eと等しくされることによ
り、接合板14dが側面視して台形状となっている。ま
た、接合板14dの長さは、上部拘束部14を上部ガイ
ドレール11に嵌合した状態とし、下部拘束部15を下
部ガイドレール12に嵌合した状態とした場合に、上部
拘束部14と下部拘束部15との間に所定の間隔があく
ように設定される。上記係合部14bは、上記嵌合部1
4aの接合板14cの下端部に直角に接合されて略水平
に配置される締結板14eと、該締結板14eの前端部
及び後端部からそれぞれ下方に延出する係合板14f、
14f(図5に図示)とからなるものである。
【0045】上記締結板14eは、図5に示すように、
上下に貫通する四つのボルト孔を有する矩形板状のもの
であり、その長さ方向が、滑り板14cの長さ方向と略
平行となっている。上記係合板14f、14fは、締結
板14eの下面の前後両端部にそれぞれ締結板14eの
長さ方向と直交する方向を向いて接合されている。ま
た、これら二つの係合板14f、14f同士の間隔は、
下部拘束部15の後述する締結板15eの左右幅より僅
かに広いものとされ、これら係合板14f、14fの間
に下部拘束部15の締結板15eを挟んだ状態に配置す
ることが可能となっている。
【0046】また、係合板14f、14fの上下幅は、
上部拘束部14を上部ガイドレール11に嵌合した状態
とし、下部拘束部15を下部ガイドレール12に嵌合し
た状態とした場合に、上部拘束部14の二つの係合板1
4f、14fの間に下部拘束部15の締結板15eが配
置され、上部拘束部14の二つの係合板14f、14f
と締結板15eとが係合した状態となるように設定され
ている。なお、この状態において、上部拘束部14の締
結板14eと下部拘束部15の締結板15eとの間に
は、所定の間隔があくようになっている。
【0047】上記下部拘束部15は、基本的に上部拘束
部14を上下逆さにした構成及び形状を有するものであ
り、下部拘束部15は、上下が逆さになっている以外
は、上部拘束部14と略同様の構成を有するものであ
る。そして、下部拘束部15は、上部拘束部14と同様
に嵌合部15aと係合部15bとからなり、嵌合部15
aは、滑り板15cと接合板15dとからなり、係合部
15bは、締結板15eと係合板15f、15fとから
なる。
【0048】上述のような各部からなる引張力対応装置
10の全体の構造は、積層ゴム3により互いの間隔を決
められた状態の基礎部1と上部構造部2とにおいて、上
部構造部2の下面側に溝11dの開口を下方に向けた状
態で上部ガイドレール11が固定され、基礎部2の上面
側に溝12dの開口を上方に向けた状態で下部ガイドレ
ール12が固定されている。そして、上部ガイドレール
11と下部ガイドレール12とは、互いに間隔をあけた
状態で略水平に配置されるとともに上部ガイドレール1
1の長さ方向と下部ガイドレール12の長さ方向が直角
に交差するように配置されている。なお、上部ガイドレ
ール11と下部ガイドレール12の交差位置は、上部ガ
イドレール11及び下部ガイドレール12のそれぞれの
中心部となっている。
【0049】そして、引抜拘束部13の上部拘束部14
が上部ガイドレール11の溝11dに、該溝11dに沿
って摺動自在、かつ、引抜不可の状態で嵌合され、引抜
拘束部13の下部拘束部15が下部ガイドレール11の
溝11dに、該溝11dに沿って摺動自在、かつ、引抜
不可の状態で嵌合されている。さらに、上部拘束部14
が上部ガイドレール11の中心部に配置され、下部拘束
部11が下部ガイドレール12の中心部に配置されてい
る。
【0050】この状態で、上部拘束部14の位置と下部
拘束部15の位置とが略一致した状態となり、上部拘束
部14と下部拘束部15とが上下に配置された状態とな
る。さらに、この状態で、上部拘束部14の係合部14
bの締結板14eと、下部拘束部15の係合部15bの
締結板15eとが所定の間隔をあけて対向した状態とな
る。また、上部拘束部14の締結板14eの前部及び後
部からそれぞれ下方に延出する二つの係合板14f、1
4fの間に下部拘束部15の締結板15eが左右から挟
まれた状態となり、下部拘束部15の締結板15eの前
部及び後部からそれぞれ上方に延出する二つの係合板1
5f、15fの間に上部拘束部14の締結板14eが左
右から挟まれた状態となる。
【0051】なお、締結板14e、15e同士の上述の
所定の間隔とは、積層ゴム3の耐用期間中におけるクリ
ープや、地震時の積層ゴム3の変形による上部構造部の
沈み込み量より大きく設定されたものである。そして、
この状態で、上部拘束部14の締結板14eのボルト孔
と下部拘束部15の締結板15eのボルト孔との両方に
ボルト16…が貫通され、これら締結板14e、15e
が互いに間隔をあけた状態で四本のボルト16…により
締結されるようになっている。なお、ボルト16は、そ
の両端部が雄ネジとなった頭部を持たないものである。
【0052】この際には、上下に配置された二つの締結
板14e、15eにボルト16…の軸が貫通した状態
で、二つの締結板14e、15eの上下からボルト16
…に螺合する二つずつのナットにより挟まれた状態とな
っている。そして、二つの締結板14e、15eは、ボ
ルト16…とナットとにより上記所定の間隔以上に離間
しないように押さえられた状態となっており、上部拘束
部14と下部拘束部15との間に引張力が作用した場合
には、複数のボルト16…、すなわち四本のボルト16
…が引張力に対向するようになっている。
【0053】また、二つの締結板14e、15eは、互
いに近づく方向に対しては、ボルト16…とナットとに
より規制されておらず、上部拘束部14が上部ガイドレ
ール11により吊られた状態となっいることにより、二
つの締結板14e、15eの間隔が保持されるようにな
っているので、上部拘束部14が積層ゴム3のクリープ
や積層ゴム3の変形により上部構造部2が僅かに沈み込
んで、基礎部1と上部構造部2との間隔が縮小した場合
には、二つの締結板14e、15eの上下間隔が短くな
り、引抜拘束部13が収縮した状態となる。
【0054】また、上部拘束部14の係合部14bと下
部拘束部15の係合部15bとが互いに二つの係合板1
4f、14f、15f、15fの間に締結板14e、1
5eを挟んだ状態で係合しているので、引抜拘束部13
に上部ガイドレール11の長さ方向に沿った力が作用し
た場合には、上部拘束部14の係合板14f、14fが
上部拘束部14と下部拘束部15との間で力を伝達し、
引抜拘束部13に下部ガイドレール12の長さ方向に沿
った力が作用した場合には、下部拘束部15の係合板1
5f、15fが上部拘束部14と下部拘束部15との間
で力を伝達するようになっている。
【0055】従って、引抜拘束部12の上部拘束部14
と下部拘束部15との接合部分に水平方向の剪断力が作
用した場合には、その剪断力の多くを上部拘束部14の
係合板14f、14fと下部拘束部15の係合板15
f、15fとが受けるようになっている。
【0056】次に、上述のような構成を有する免震構造
の作用について説明する。この一例の免震構造によれ
ば、地震が発生した場合には、周知の積層ゴム3により
上部構造部2が免震され、上部構造部2に作用する地震
力を低減することができる。
【0057】また、地震時にロッキング等ようにより上
部構造部2と基礎部1との間に引張力が作用した場合に
は、引張力対応装置10に引張力がかかるようになって
おり、積層ゴム3に引張力が作用するの防止できるよう
になっている。従って、地震時に比較的大きな引張力が
作用するような構造の建築物においても、積層ゴム3に
より免震を図ることが可能となり、積層ゴム3の適用可
能な建築物の範囲を拡張することができる。
【0058】また、上記引張力対応装置10は、その引
抜拘束部13の上部拘束部14が上部ガイドレール11
に沿って移動自在とされ、引抜拘束部13の下部拘束部
15が上部ガイドレール11に直角に交差する下部ガイ
ドレール12に沿って移動自在とされているので、基礎
部1に積層ゴム3を介して接合された状態の上部構造部
2が地震時に水平方向に変位した場合に、引張力対応装
置10が上部構造部2の変位を妨げることがない。従っ
て、引張力対応装置10が積層ゴム3の免震作用を妨げ
ることがない。
【0059】また、積層ゴム3の長期間の使用によるク
リープや、積層ゴム3の地震時の変形により上部構造部
が下方に僅かに沈み込むことになるが、この場合には、
上述のように上部構造部の沈み込みに対応して引抜拘束
部13の上部拘束部14と下部拘束部15との上下間隔
が自然に短くなるので、引抜拘束部13に上部構造部2
の荷重がかかるようなことがないとともに、引抜拘束部
13に上部構造部の荷重がかかることにより、引抜拘束
部13と上部及び下部ガイドレール11、12との間で
大きな摩擦力が生じて、引抜拘束部13により上部構造
部2の水平方向の変位が妨げられるようなことがない。
【0060】また、上述のように引抜拘束部13が収縮
することにより上部構造部2の沈み込みに対応できるの
で、例えば、上部ガイドレール11を上部構造部2の沈
み込みに対応する距離だけ上下に移動自在とするような
必要がなく、例えば、上部ガイドレール11を多数のボ
ルトで吊った状態に支持するような必要がない。従っ
て、上部ガイドレール11を上部構造部2に完全に密着
した状態で固定することが可能となり、上部ガイドレー
ル11の剛性及び強度を確保することができる。
【0061】また、上部ガイドレール11をボルトで吊
った状態とすることにより、上下動自在とした場合に
は、上部ガイドレール11の上下動の範囲を設定した
り、基礎部1と上部構造部2との間隔に対応させたりす
るのに、多数のボルトを操作する必要があるが、この一
例において、引抜拘束部13の収縮量を決めたり、引抜
拘束部13の長さを決めたりする際には、上部拘束部1
4と下部拘束部15とを締結する比較的少ないボルト1
6…、例えば、四本のボルト16…を操作すれば良く、
引張力対応装置10の設置やメンテナンスを容易なもの
とすることができる。
【0062】また、地震の際に基礎部1に対して上部構
造部2が水平方向に変位した場合には、上部ガイドレー
ル11と下部ガイドレール12とに対して引抜拘束部1
3が摺動することにより、引抜拘束部13が上部構造部
2の水平方向の変位を妨げないようになっているが、上
部ガイドレール11及び下部ガイドレール12と引抜拘
束部13との間には、ステンレス板11f、11gとP
TFE板14g、14hとにより摩擦力が低減されてい
ても、ある程度摩擦力が作用することになる。
【0063】そして、基礎部1に対して上部構造部2が
水平方向に移動した場合に、上部ガイドレール11と上
部拘束部14との間及び下部ガイドレール12と下部拘
束部15との間で摩擦力が生じることにより、上部拘束
部14と下部拘束部15とに水平方向の剪断力が作用す
るが、上部拘束部14と下部拘束部15との間に作用す
る水平方向の力を係合板14f、15fが伝達する構成
となっているので、上記剪断力の多くは係合板14f、
15fにかかることになる。
【0064】従って、上部拘束部14と下部拘束部15
とを締結するボルト16…に大きな剪断力や曲げ応力が
作用することがなく、上記剪断力に対応して上部拘束部
14と下部拘束部15とを締結するボルト16…の本数
を増やしたり、ボルト16…を太くしたりする必要がな
く、上記ボルト16…の本数を増やすことにより、引張
力対応装置10の設置やメンテナンスの作業性を悪化さ
せることがない。
【0065】なお、上記例においては、上部及び下部ガ
イドレール11、12に対して引抜拘束部13が摺動す
るものとするとともに、摩擦係数の低い部材として、ス
テンレス板11f、11gとPTFE板14g、14h
とを用いたが、摩擦係数の低い部材として、ステンレス
板11f、11g及びPTFE板14g、14h以外の
部材を用いても良い。また、例えば、上部及び下部ガイ
ドレール11、12と引抜拘束部13との間にローラな
どの転動部材を配置するものとしたりしても良い。
【0066】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の免震構造によれ
ば、引抜拘束部が上下方向に収縮自在となっているの
で、積層ゴムのクリープや、地震時の積層ゴムの変形等
により、上部構造部が沈み込んで、上部構造部と基礎部
との間隔が短くなっても、引抜拘束部が収縮することに
より、引抜拘束部に上部構造部の荷重がかかるようなこ
とがなく、上部構造部が沈み込んでも、引抜拘束部が上
部及び下部ガイドレールに沿ってスムーズに移動するこ
とができる。
【0067】また、引抜拘束部が収縮することにより、
積層ゴムのクリープや地震時の積層ゴムの変形等による
上部構造部の沈み込みに対応できるので、上部構造部の
沈み込みに対応するために、例えば、上部ガイドレール
を上下動可能に上部構造部の下面に吊った状態に支持す
る必要がなく、上部ガイドレールを上部構造部の下面に
密着した状態で接合した状態とすることができるので、
上部ガイドレールの剛性を容易に確保することができ
る。
【0068】また、上部拘束部と下部拘束部とが互いに
上下動自在に接合されているので、これらの接合部分に
おいて引抜拘束部を収縮自在とすることができるととも
に、上述の上部構造部の沈み込みに対応して引抜拘束部
を収縮することができる。
【0069】本発明の請求項記載の免震構造によれ
ば、上述の上部構造部の沈み込みに対応して引抜拘束部
を収縮させることができるので、請求項1記載の構成と
同様の効果を奏することができる。本発明の請求項
載の免震構造によれば、地震などの際に、基礎部に対し
て上部構造部が変位した場合に、上部拘束部と上部ガイ
ドレールとの間及び下部拘束部と下部ガイドレールとの
間で、摩擦力が生じることにより、上部拘束部と下部拘
束部との間に水平方向に沿った剪断力が生じることにな
り、上部拘束部と下部拘束部とを互いに離間した状態で
締結するボルトもしくは上部拘束部と下部拘束部とを互
いに上下に移動自在に接合する接合部材に剪断応力や曲
げ応力がかかることになるが、上部拘束部と下部拘束部
との間で水平方向の力を伝達する剪断力対応手段があれ
ば、ボルトやその他の接合部材にかかる負荷を低減する
ことができる。
【0070】従って、上部拘束部と下部拘束部との締結
に必要なボルトの数の減少や、使用するボルトの太さを
小さくしたりすることや、その他の接合部材の水平方向
の力に対する強度の低減が可能となり、上部拘束部と下
部拘束部との締結や、上部拘束部と下部拘束部との間隔
の調整等を容易にしたり、接合部材の低コスト化等を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の免震構造の積層ゴ
ムと引張力対応装置とを示す側面図である。
【図2】上記例の免震構造の引張力対応装置を示す一部
を破断した側面図である。
【図3】上記例の引張力対応装置を示す一部を破断した
要部斜視図である。
【図4】上記例の引張力対応装置の上部ガイドレールと
上部拘束部との嵌合状態を示す要部端面図である。
【図5】上記例の引張力対応装置の引抜拘束部を示す展
開斜視図である。
【符号の説明】
1 基礎部 2 上部構造部 3 積層ゴム 10 引張力対応装置 11 上部ガイドレール 12 下部ガイドレール 13 引抜拘束部 14 上部拘束部 14f 係合板(剪断力対応手段) 15 下部拘束部 15f 係合板(剪断力対応手段) 16 ボルト
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−284114(JP,A) 特開 平9−60336(JP,A) 特開 平9−67956(JP,A) 特開 平8−312197(JP,A) 特開 平4−113046(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 9/02 331

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地盤に固定された基礎部と該基礎部上に設
    けられた上部構造部とからなる構築物において、上記基
    礎部と上記上部構造部との間に配置されて上記上部構造
    部の免震を行う積層ゴムと、上記基礎部と上記上部構造
    部との間に配置されて上記基礎部と上記上部構造部との
    間に作用する引張力に対応する引張力対応装置とを具備
    してなる免震構造であって、 上記引張力対応装置が、上記上部構造部の下部に略水平
    に設けられた上部ガイドレールと、上記基礎部の上部
    に、該上部ガイドレールに対して直角に交差するように
    略水平に設けられた下部ガイドレールと、 上記上部ガイドレール及び下部ガイドレールの両方にこ
    れら上部及び下部ガイドレールに沿って移動自在に接続
    され、これら上部及び下部ガイドレールが互いに離間す
    る方向に移動するのを防止する引抜拘束部とを具備して
    なり、 上記引抜拘束部が、上部ガイドレールに接続される上部
    拘束部と下部ガイドレールに接続される下部拘束部とを
    備え、これら上部拘束部と下部拘束部とが互いに上下動
    自在に接合され、上記引抜拘束部が上下方向に沿って収
    縮自在となっていることを特徴とする免震構造。
  2. 【請求項2】上記上部拘束部と上記下部拘束部とが上下
    に間隔をあけて配置された状態で複数のボルトにより締
    結されることにより上記引抜拘束部が上記間隔の範囲内
    で収縮自在とされていることを特徴とする請求項記載
    の免震構造。
  3. 【請求項3】上記上部拘束部と上記下部拘束部とに作用
    する水平方向の力を上記上部拘束部と下部拘束部との間
    で伝達する剪断力対応手段を上記引抜拘束部に設けたこ
    とを特徴とする請求項または記載の免震構造。
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