JP3208905B2 - アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板とその製造方法 - Google Patents

アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板とその製造方法

Info

Publication number
JP3208905B2
JP3208905B2 JP06239293A JP6239293A JP3208905B2 JP 3208905 B2 JP3208905 B2 JP 3208905B2 JP 06239293 A JP06239293 A JP 06239293A JP 6239293 A JP6239293 A JP 6239293A JP 3208905 B2 JP3208905 B2 JP 3208905B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
copper
substrate
copper film
alumina
alumina substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP06239293A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06244512A (ja
Inventor
榮一 浅田
友子 内田
隆 遠藤
護 毛利
和夫 手取屋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shoei Chemical Inc
Original Assignee
Shoei Chemical Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shoei Chemical Inc filed Critical Shoei Chemical Inc
Priority to JP06239293A priority Critical patent/JP3208905B2/ja
Publication of JPH06244512A publication Critical patent/JPH06244512A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3208905B2 publication Critical patent/JP3208905B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明はアルミナ基板に銅被覆
層を積層したメタライズの製造方法に関する。さらに詳
しくいえば、セラミック基板上に導電性回路を構築する
ために銅被覆層をセラミク基板に堅固に接合したメタラ
イズ基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】電子機器のハイパワー化
・高周波化が近年進展している。それに伴い実装基板の
変革・向上が必要とされてきている。ハイパワー用途向
けには、熱伝導率が高く、導体抵抗の小さい導体を出来
るだけ厚く形成した基板が求められている。
【0003】従来、ハイパワー用途向けの基板として
は、35〜105μm程度の厚い銅箔が使用出来る金属
基板、および銅箔をアルミナや窒化アルミニウム基板に
直接接合した、いわゆるDBC基板が使用されている
が、それぞれ問題点を有している。すなわち、金属基板
の場合には基板の素材として導体を使用しているため
に、金属基板部分(通常はアルミニウム)と銅箔との間
にエポキシ樹脂等からなる0.1mm程度の薄い絶縁層
を介在させる必要がある。このため1MHz以上の高周
波数で駆動させると、絶縁層に起因する浮遊容量が無視
出来なくなり回路のクロストークノイズ等が大きくなっ
てモジュールの誤動作の原因となる。また熱容量が大き
い樹脂の絶縁層を介在させるために本来金属が有してい
る熱伝導性を活かすことが出来ない。
【0004】一方、DBC基板の場合にはセラミックの
熱伝導の良さをそのまま利用して、厚みおよび機械的強
度の大きい銅膜を基板上に直接形成できるという特色を
有するが、その形成方法として銅箔を基板上に配置した
後、酸素分圧および温度をCu−O系の共晶組成が生成
する条件に精密にコントロールした電気炉中で接合させ
る方法を用いるため、コスト高になる。また、銅箔接合
後に電子回路となる配線パターンをエッチングにより形
成するが、その際のラインルール(L/S)は0.5/
0.5mm程度が限界であるために微細パターンが形成
出来ない。
【0005】セラミック基板上への銅膜形成方法として
は、上記DBC基板に代表される銅と基板との直接接合
の外、セラミック基板上にスクリーン印刷により銅含有
ペーストのパターンを印刷した後、燒成してペースト中
に含有させた無機添加物のガラスボンドあるいはケミカ
ルボンドを形成して銅膜とセラミック基板とを接合する
厚膜銅ペースト法があるが、スクリーン印刷を利用する
厚膜銅ペースト法では均一な厚い膜の形成が困難であ
り、燒成後の銅膜の厚みは10〜15μm程度が限界で
ある。配線抵抗をより低くするためには50〜100μ
mという厚い銅膜が所望されるが、このような厚みの銅
膜を形成するためには10回前後の印刷を繰返し行う必
要がある。このためコスト高となるばかりか、多数回印
刷を行うとパターンのにじみが生じるため印刷精度が低
下して微細パターンが形成出来ない。さらに、厚膜銅ペ
ースト法ではペースト中に含有されるガラス成分の析出
によって銅膜のエッチングが阻害されるため、基板の全
面に印刷を施して微細パターンを形成しようとするエッ
チング時間が長くかかってしまうという問題がある。
【0006】また、ケミカルボンドを形成して銅膜とセ
ラミック基板とを接合する方法では、ケミカルボンドの
生成による基板表面の変質によって着色が生じ、外観を
損なうという問題がある。本発明の目的は、エッチング
の阻害原因となるガラス生成や、基板の外観を損なう着
色等を生じることのない、アルミナ基板上に銅膜形成し
たメタライズ基板とその製造方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは導電性回路
を構築するために所望される任意厚みの銅膜をアルミナ
基板上に形成する方法としては、銅をシート化させるこ
とが最も簡便な手段であると考え、このシートをアルミ
ナ基板上に直接接合する方法について検討した。その結
果、銅とアルミナ基板との界面に特定の結晶相を析出さ
せることにより、銅とアルミナ基板とが強固に接着し、
エッチングの阻害や着色のないアルミナ基板が得られる
ことを見出した。そして上記シートの接合技術は銅含有
ペーストを使用してアルミナ基板上に印刷により銅の薄
い膜を形成する場合にも有効であることを確認し、本発
明を完成した。
【0008】 本発明は、 「. CaOとSiOを添加したアルミナ基板に
化銅を含んだ銅被膜を形成する材料を被覆し非酸化雰囲
気中で910〜1050℃で燒成し銅被膜を形成すると
ともにアルミナ基板と銅被膜の間にCaO−Al
−SiO系のアノーサイト結晶層を析出し両者を接合
することを特徴とする、アルミナ基板に銅被膜を積層し
たメタライズ基板を製造する方法。CaOとSiO を添加したアルミナ基板に銅被
膜を形成する材料を被覆し水蒸気を含有する雰囲気中で
脱バインダーをおこなって同時に微量の酸化銅を生成さ
せ、ついで非酸化雰囲気中で910〜1050℃で燒成
し銅被膜を形成するとときにアルミナ基板と銅被膜の間
にCaO−Al −SiO 系のアノーサイト結晶
層を析出し両者を接合することを特徴とする、アルミナ
基板に銅被膜を積層したメタライズ基板を製造する方
法。 . 銅被膜を形成する材料が酸化銅を含んだ銅粉末と
展色料とからなる導電性ペーストである項に記載され
た、アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板を
製造する方法。 . 銅被膜を形成する材料が酸化銅を含んだ銅粉末と
CaO、SiOおよびAl2O3と展色料とからなる
導電性ペーストである項に記載された、アルミナ基板
に銅被膜を積層したメタライズ基板を製造する方法。 . 被膜を形成する材料が酸化銅を含んだ銅粉末を含
有するグリーンシートである項に記載された、アルミ
ナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板を製造する方
法。 . 銅被膜を形成する材料が銅粉末と展色料とからな
る導電性ペーストである項に記載された、アルミナ基
板に銅被膜を積層したメタライズ基板を製造する方法。 . 銅被膜を形成する材料が銅粉末とCaO、SiO
およびAlと展色料とからなる導電性ペースト
である項に記載された、アルミナ基板に銅被膜を積層
したメタライズ基板を製造する方法。 . 銅被膜を形成する材料が銅粉末を含有するグリー
ンシートである2項に記載された、アルミナ基板に銅被
膜を積層したメタライズ基板を製造する方法。 . アルミナ基板にCaO、SiO、Al
含有する接着剤を塗布した後、その上に銅被膜を形成す
る材料を被覆して非酸化雰囲気中で燒成する項ないし
項のいずれか1項に記載された、アルミナ基板に銅被
膜を積層したメタライズ基板の製造方法。」に関する。
【0009】
【作用】本発明の第1の特徴は、アルミナ基板と銅被膜
の間にCaO−Al−SiO系のアノーサイト
結晶層を配置したことである。この結晶層がアルミナ基
板と銅被膜を強固に結合する作用を奏するのである。本
発明の第2の特徴はアルミナにCaOとSiOを添加
したアルミナ基板を使用することである。本発明の第3
の特徴は酸化銅によりアノーサイト結晶の生成を促進さ
せることである。すなわち銅被膜を形成する材料に微量
の酸化銅を配合するか、或いは銅被膜を形成する燒成工
程の中の脱バインダー工程で水蒸気を含んだ窒素ガスを
供給することにより銅粉末表面に微量の酸化銅を形成さ
せることによって酸化銅を存在させる。
【0010】この第2と第3の特徴により供給された酸
化銅は焼成時にアルミナ基板に拡散し、基板のAl
の粒界中のSiO−CaO系ガラス質の粘度を下げ
高温下で液相化し、SiO−CaO系ガラス質とAl
の反応を促進する。こうして形成されたCaO−
Al−SiO系のアノーサイト結晶はアルミナ
基板の粒界からアルミナ基板と銅被膜の間に析出して両
者を強固に接合するのである。この他本発明は、被膜を
形成する材料が銅粉末を含有するグリーンシートであ
る、アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板を
製造する方法も含まれる。このほかアルミナ基板にCa
O、SiO、Alを含有する接着剤を塗布して
銅被膜形成材料を被覆して燒成する方法も含まれる。こ
の場合は接着層の中にCaO−Al−SiO
のアノーサイト結晶が形成されアルミナ基板と銅被膜を
接合する。
【0011】 以下、本発明の方法を詳しく説明する。
銅とアルミナ基板との間にCaO−Al−SiO
系の結晶を析出させて両者を接合する具体的は方法と
しては、 (1)CaO、SiOおよびAlを含有するア
ルミナ基板上に、酸化銅を含む銅粉末を含有するグリー
ンシートを圧着した後、これを燒成する方法、 (2)CaO、SiOおよびAlを含有するア
ルミナ基板上に、酸化銅を含む銅粉末を含有するペース
トを印刷した後、これを燒成する方法、 (3)有機バインダー中に酸化銅を含む銅粉末とCa
O、SiOおよびAlを含有するグリーンシー
トをアルミナ基板上に圧着した後、これを燒成する方
法、 (4)有機バインダー中に酸化銅を含む銅粉末とCa
O、SiOおよびAlを含有するペーストをア
ルミナ基板に印刷した後、これを燒成する方法、 (5)アルミナ基板の表面に、CaO、SiOおよび
Alを含有する接着層をコーティングし、その上
酸化銅を含む銅粉末を含有するグリーンシートを圧着
した後、これを燒成する方法、 (6)アルミナ基板の表面に、CaO、SiOおよび
Alを含有する接着層をコーティングし、その上
酸化銅を含む銅粉末を含有するペーストを印刷した
後、これを燒成する方法、(7)アルミナ基板の表面に、CaO、SiO および
Al を含有する銅粉末を含むペーストまたはグリ
ーンシートを被着し、水蒸気を含む雰囲気で処理して酸
化銅を生成してから燒成する方法 が挙げられる。
【0012】ここで燒成の条件としては、窒素などの不
活性ガスの非酸化雰囲気下、好ましくは910℃〜10
50℃の温度で、トータル2時間程度の条件が採用され
る。燒成温度が910℃未満では前記結晶の生成による
接合強度の向上が不十分であり、1050℃を越える温
度では結晶の生長が進みすぎて接合面の機械的強度が劣
化し、その結果十分な接着強度が得られない。
【0013】本発明で使用する銅粉末は粒度調整された
ものが好ましい。粒度としては平均粒径で1〜2μm程
度のものが適当である。グリーンシートとしては、銅粉
末と必要に応じてCaO、SiOおよびAl
を、アクリル系バインダー等の適当な有機バインダーに
混合し、これにBCA(ブチルカルビトールアセテー
ト)等の溶剤を適宜加えて適当な粘度のスラリーを得た
後、このスラリーをポリエチレンテレフタレート(PE
T)などのプラスチックシートの上に、ドクターブレー
ド法、カレンダーロール法、含浸法などの公知の膜形成
手法により所望の厚みに成形したものが使用される。
【0014】グリーンシートをアルミナ基板に圧着させ
る方法としては、室温〜100℃程度の温度、20〜3
00Kg/cmで1〜10分間程度の冷間または加熱
圧着が好ましい。燒成前のグリーンシートの厚みにもよ
るが、50〜200μmという厚い銅膜の形成が可能で
ある。
【0015】本発明ではグリーンシート以外にも、前述
したアクリル系バインダーなどの適当な有機バインダー
からなる展色料中に銅粉末と必要に応じてCaO、Si
およびAl2O3を含有させたペーストを調製し
て、これをアルミナ基板に印刷する方法が採用出来る。
印刷方法としては公知のスクリーン印刷が利用できる
が、高精度の印刷を実施するためには多数回印刷よりも
1度に行うのが好ましい。従って、ペーストは15μm
以下程度の薄い銅膜を形成する場合に有用である。グリ
ーンシートおよびペーストのいずれを用いるにしても、
グリーンシートおよびペーストに含有させるCaO、S
iOおよびAlの量は銅粉末100重量部に対
して総量で5重量部以下が適当であり、CaO、SiO
およびAlの割合は同等ないしSiOをやや
過剰にするのが好ましい。
【0016】本発明の方法ではCaO、SiOおよび
Alを含有する接着層をアルミナ基板上に形成さ
せ、この接着層を介して銅粉末を含有するグリーンシー
トおよびペーストを接合することも出来る。この方法に
よっても銅被膜とアルミナ基板の間にはCaO−Al
−SiO系のアノーサイト結晶層が形成され銅被
膜と基板を接合する。接着層としてはCaO、SiO
およびAlを有機バインダー中に含有させた所望
の粘度の塗液を基板上に浸漬あるいは塗布する方法が採
用される。
【0017】本発明の方法により銅膜が接合されたアル
ミナ基板には、常法にしたがってレジストを塗布した
後、露光→現像→エッチング→レジスト剥離などの一連
の導体パターン形成工程が施され、任意の厚みの銅膜を
回路パターン材料として有する電子回路を備えたアルミ
ナ基板が製造される。こうして製造されたアルミナ基板
は所望の形状にカッティングされた後、必要に応じて洗
浄、防錆およびオーバーコートなどの後処理が施され、
外観等を目視観察した後、梱包・出荷される。
【0018】
【実施例】以下、本発明の方法を96%アルミナ基板に
銅膜を接合した実験例、およびこの基板を使用した小型
大容量オンボード電源用基板の製造例に基いてさらに具
体的に説明する。
【0019】実施例1 まず、CaOおよびSiOを含む無機添加物を合計量
で4%含有するアルミナ含量96%のアルミナ基板(縦
76.2mm×横76.2mm×厚さ0.635mm)
(以下、96%アルミナ基板ということもある。)を準
備する。次にこの基板の片側全面を覆うサイズにカッテ
ィングした銅粉末を含有するグリーンシートを準備す
る。このグリーンシートは、銅粉末(平均粒度2μm)
100重量部にアクリル系バインダー12重量部を配合
したものに、溶剤としてBCAを加えて粘度10000
〜15000cpsに調整したスラリーを得た後、この
スラリーをPETフィルム上にキャスティングし、次い
で燒成後の厚みが100μmとなるような膜厚(約14
0μm)に薄く引き延ばし、溶剤を乾燥除去するするこ
とによって得た。次にこのグリーンシートを96%アル
ミナ基板の片側の全面を覆うようにおき、温度75℃、
圧力150Kg/cmで2分間熱圧着させる。ついで
水蒸気を含む窒素ガスを供給した250℃の雰囲気中
で、脱バインダーを行い、同時に銅粉末の表面に微量の
酸化銅を形成する。その後、N雰囲気下に1020℃
でトータル2時間の燒成を行ったところ、銅膜がアルミ
ナ基板に強固に固着しているのが確かめられた。燒成後
の銅膜の厚みは約100μmであった。この実施例1の
接合基板について、その接合のメカニズムを検討するた
め、基板上の銅膜を塩化第2鉄溶液を用いてエッチング
除去した後、基板表面のX線解析を行った。得られたX
線回折図を図1に示す。
【0020】比較対照として銅膜を形成せずに96%ア
ルミナ基板のみを実施例1と同一の条件で燒成して得ら
れた基板表面のX線回折図を図2に、また未燒成の96
%アルミナ基板表面のX線回折図を図3にそれぞれ示
す。図1〜図3から明らかなように、銅膜を接合してい
ない96%アルミナ基板では未燒成品(図3)および燒
成品(図2)ともにアルミナ基板に特有の、α−Al
(コランダム)のピーク(図中に符号○にて示
す。)とMgAl(スピネル)のピーク(図中に
符号△にて示す。)が主体であるのに対して、銅膜を接
合した実施例1の基板には、コランダムおよびスピネル
のピークの他にCaAlSiO(アノーサイト;以
下、CASと略記することがある。)のピーク(図中
に符号×にて示す。)が観察され、この結晶が銅膜とア
ルミナ基板の界面に析出することによって銅膜とアルミ
ナ基板とが強固に接合されていることが確認された。
【0021】比較例1 燒成温度を870℃としたこと以外は実施例1と同様に
して銅膜を接合した96%アルミナ基板を作製した。そ
の後、塩化第2鉄溶液を用いて基板上の銅膜を所望のパ
ターンにエッチングさせ、厚い銅膜を回路パターン材料
として有するアルミナ回路基板を得た。この回路基板の
X線回折図は図4に示す通りであった。CASのピー
クは認められず、銅膜の接合は不十分であった。
【0022】実施例2 燒成温度を910℃としたこと以外は実施例1と同様に
して銅膜を接合した96%アルミナ基板を作製した。そ
の後、比較例1と同様にして基板上の銅膜を所望のパタ
ーンにエッチングさせ、厚い銅膜を回路パターン材料と
して有するアルミナ回路基板を得た。この回路基板のX
線回折図は図5に示す通りであった。CASのピーク
がかなり認められ、銅膜の接合も十分であった。以上実
施例と比較例の結果から、CAS結晶の生成が銅膜と
アルミナ基板との接合に寄与し、910℃以上、好まし
くは910℃〜1050℃程度の燒成温度で十分な接合
強度を有するアルミナ基板が得られることが確認され
た。本発明のメタライズ基板の典型的な特性を表1に示
す。また、導体ペーストとして一般的なCaO−Al
−SiO系結晶の成分を含有しないAg−Pd系
ペーストを使用した導電性材料の諸特性を参考値として
表1に合せて示す。
【0023】
【表1】
【0024】(註) *1:2mmφハンダボールを2
30℃浴上で15秒溶融して測定。 *2:230℃浴に60秒間浸漬して測定。 表1から明らかなように、本発明のアルミナ基板上に形
成された銅膜は0.33Ω/mm(厚み100μm)
という低い導体抵抗を有し、銅が本来もつ濡れ性や耐熱
性などの優れたハンダ特性をも具備していることが判明
した。また銅膜と基板との接合強度も初期値平均として
約5 Kgf/2mmの鋼強度のものが得られた。
【0025】さらに、アルミナ基板に接合された銅膜は
塩化第2鉄溶液による公知のエッチング技術で容易に所
望の回路パターンを形成することが出来、エッチング処
理は電解銅箔と同様に行うことが出来、エッチング後の
基板には着色は全く観察されなかった。これは、本発明
では基板の着色やエッチングの阻害原因となるガラスボ
ンドやケミカルボンドを形成する成分を使用していない
ことによると考えられる。そして基板上の銅膜は100
μm程度の厚い膜厚においても、微細な配線パターン
(ライン/スペース=200μm/200μm)の形成
が可能であった。
【0026】次に、本発明のメタライズ基板を用いた導
体回路パターンの成形方法の具体例として、従来は一般
的に金属基板にて製造されている小型大容量オンボード
電源用基板の製造例を以下に示す。実施例1に示した9
6%アルミナ基板(厚み0.635mm)を用い、この
上に実施例1に示した方法で作製した銅粉末含有グリー
ンシート(厚み約140μm)を実施例1と同じ条件で
圧着した後、同じ条件で燒成して片側全面に銅膜が接合
されたアルミナ基板を得た。燒成後の銅膜の厚みは10
0μmであった。このアルミナ基板上の銅膜を塩化第2
鉄溶液で所望のパターンにエッチングさせ、電子回路を
形成した。その後、防錆と電子部品ハンダ付け時のマス
クの目的でエポキシ系レジンのコーティングを施し、小
型大容量オンボード電源用基板を得た。得られた小型大
容量オンボード電源用基板の諸特性を従来の金属基板の
特性とともに表2に示す。なお、比較対照とした金属基
板は、厚さ1mmのアルミニウム板上に絶縁層(0.1
mm)を介して厚さ35μmの銅箔を接合したものであ
る。
【0027】
【表2】
【0028】(註) 単位pF(測定周波数:1MH
z) 表2から明らかなように、本発明の方法ではアルミナ基
板上に電子回路を直接成形出来るため浮遊容量が減少す
る。従って、本発明によるアルミナ基板では主回路部品
のスイッチングノイズが制御回路に及ぼす影響が低減さ
れ、電子回路の誤動作がなくなった。また入力帰還雑音
も金属基板に比べて低下した。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればア
ルミナ基板に形成された銅の厚膜はアルミナ基板に強固
に接合され、エッチングによって容易にパターンの形成
が出来、従来法におけるような基板の着色も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る1020℃で燒成して
銅膜を接合したアルミナ基板表面のX線回折図である。
【図2】1020℃で燒成後のアルミナ基板表面のX線
回折図である。
【図3】未燒成アルミナ基板表面のX線回折図である。
【図4】本発明の比較例1に係る870℃で燒成して銅
膜を接合したアルミナ基板表面のX線回折図である。
【図5】本発明の実施例2に係る910℃で燒成して銅
膜を接合したアルミナ基板表面のX線回折図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 毛利 護 石川県松任市相木町383番地 ニッコー 株式会社内 (72)発明者 手取屋 和夫 石川県松任市相木町383番地 ニッコー 株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−293590(JP,A) 特開 昭60−260465(JP,A) 特開 平4−193762(JP,A) 特開 平5−58714(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 1/03 610 H05K 3/00 H05K 3/38 C04B 35/00 - 35/22 C04B 41/90

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CaOとSiOを添加したアルミナ基
    板に酸化銅を含んだ銅被膜を形成する材料を被覆し非酸
    化雰囲気中で910〜1050℃で燒成し銅被膜を形成
    するとともにアルミナ基板と銅被膜の間にCaO−Al
    −SiO系のアノーサイト結晶層を析出し両者
    を接合することを特徴とする、アルミナ基板に銅被膜を
    積層したメタライズ基板を製造する方法。
  2. 【請求項2】 CaOとSiO を添加したアルミナ基
    板に銅被膜を形成する材料を被覆し水蒸気を含有する雰
    囲気中で脱バインダーをおこなって同時に微量の酸化銅
    を生成させ、ついで非酸化雰囲気中で910〜1050
    ℃で燒成し銅被膜を形成するとともにアルミナ基板と銅
    被膜の間にCaO−Al −SiO 系のアノーサ
    イト結晶層を析出し両者を接合することを特徴とする
    アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板を製造
    する方法。
  3. 【請求項3】 銅被膜を形成する材料が酸化銅を含んだ
    銅粉末と展色料とからなる導電性ペーストである請求項
    に記載された、アルミナ基板に銅被膜を積層したメタ
    ライズ基板を製造する方法。
  4. 【請求項4】 銅被膜を形成する材料が酸化銅を含んだ
    銅粉末とCaO、SiOおよびAlと展色料と
    からなる導電性ペーストである請求項に記載された、
    アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板を製造
    する方法。
  5. 【請求項5】 被膜を形成する材料が酸化銅を含んだ
    粉末を含有するグリーンシートである請求項に記載さ
    れた、アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板
    を製造する方法。
  6. 【請求項6】 銅被膜を形成する材料が銅粉末と展色料
    とからなる導電性ペーストである請求項に記載され
    た、アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板を
    製造する方法。
  7. 【請求項7】 銅被膜を形成する材料が銅粉末とCa
    O、SiOおよびAlと展色料とからなる導電
    性ペーストである請求項に記載された、アルミナ基板
    に銅被膜を積層したメタライズ基板を製造する方法。
  8. 【請求項8】 銅被膜を形成する材料が銅粉末を含有す
    るグリーンシートである請求項2に記載された、アルミ
    ナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板を製造する方
    法。
  9. 【請求項9】 アルミナ基板にCaO、SiO、Al
    を含有する接着剤を塗布した後、その上に銅被膜
    を形成する材料を被覆して非酸化雰囲気中で燒成する請
    求項ないしのいずれか1項に記載された、アルミナ
    基板に銅被膜を積層したメタライズ基板の製造方法。
JP06239293A 1993-02-12 1993-02-12 アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板とその製造方法 Expired - Lifetime JP3208905B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06239293A JP3208905B2 (ja) 1993-02-12 1993-02-12 アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06239293A JP3208905B2 (ja) 1993-02-12 1993-02-12 アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板とその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06244512A JPH06244512A (ja) 1994-09-02
JP3208905B2 true JP3208905B2 (ja) 2001-09-17

Family

ID=13198820

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06239293A Expired - Lifetime JP3208905B2 (ja) 1993-02-12 1993-02-12 アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3208905B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06244512A (ja) 1994-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002167270A (ja) 低温焼成磁器およびその製造方法
JP3121990B2 (ja) ガラス−セラミック基板
JP3517062B2 (ja) 銅メタライズ組成物及びそれを用いたガラスセラミック配線基板
JP3347578B2 (ja) 配線基板
JP3208905B2 (ja) アルミナ基板に銅被膜を積層したメタライズ基板とその製造方法
JPH0727995B2 (ja) セラミック配線基板
JP3550270B2 (ja) 低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器の製造方法
JPS6010696A (ja) 薄膜用セラミツク回路基板の製造法
JP3377898B2 (ja) 低温焼成磁器組成物
JP2002362987A (ja) 電子部品およびその製造方法
JP3495773B2 (ja) 回路基板
JP3363299B2 (ja) 低温焼成磁器組成物
JP2003040670A (ja) 高熱膨張磁器組成物、高熱膨張磁器およびその製造方法、並びに多層配線基板およびその実装構造
JPS6357393B2 (ja)
JP3363297B2 (ja) 低温焼成磁器組成物
JP3420424B2 (ja) 配線基板
JP2003183071A (ja) 低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器並びに多層配線基板
JP2002368421A (ja) 多層セラミック基板の製造方法および多層セラミック基板
JP3273113B2 (ja) 多層配線基板
JPH0451059B2 (ja)
JP3628146B2 (ja) 低温焼成磁器組成物および低温焼成磁器
JP3284868B2 (ja) セラミック基板の銅メタライズ法
JP2001284774A (ja) 金属箔付きフィルムおよびセラミック配線基板の製造方法
JPH09237957A (ja) アルミナ質回路基板およびその製造方法
JP2002234781A (ja) 銅メタライズ組成物ならびにそれを用いたセラミック配線基板およびその製造方法