JP3207534B2 - 非線形光学装置用光学媒質 - Google Patents

非線形光学装置用光学媒質

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JP3207534B2 JP21072492A JP21072492A JP3207534B2 JP 3207534 B2 JP3207534 B2 JP 3207534B2 JP 21072492 A JP21072492 A JP 21072492A JP 21072492 A JP21072492 A JP 21072492A JP 3207534 B2 JP3207534 B2 JP 3207534B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光情報処理や光通信シ
ステムにおいて、将来的に用いられる光スイッチや光メ
モリ、あるいは光信号演算処理装置などに適用できる非
線形光学媒質に関する。
【0002】
【従来の技術】非線形光学効果とは、物質に光が入射し
たときに、物質の電気分極Pが、下記式(数1)で書け
るのに対し、第2項以降の項により発現する効果をいう
ものである。
【0003】
【数1】 P=χ(1) E+χ(2) 2 +χ(3) 3 +・・・・
【0004】〔χ(i) はi次の電気感受率、Eは光の電
界強度〕 特に、第2項による第2高周波発生(SHG)や第3項
による第3高周波発生(THG)は波長変換効果として
よく知られているが、第3項は、また、光強度に応じた
光学定数の変化、例えば非線形屈折率効果や非線形吸収
効果を与えるものとして重要である。例えば、非線形屈
折率効果は物質の屈折率nが入射光強度に比例して変化
するものであり、下記式(数2)で記述される。
【0005】
【数2】n=n0 +n2
【0006】(n0 は定数、n2 は非線形屈折率係数) この効果を示す媒質と、光共振器や偏光子あるいは反射
鏡など他の光学素子とを組合せると、光双安定素子や光
スイッチあるいは位相共役波発生器などの光情報処理や
光通信システムにおいて将来的に用いられる重要なデバ
イスの実現が可能である。
【0007】このような非線形屈折率効果を示す媒質を
用いた非線形光学装置の従来例として、光双安定素子の
実例を図7を参照しながら以下に示す。すなわち図7は
従来の非線形光学装置(光双安定素子)の一例を示す構
成図である。
【0008】図7の符号11は非線形屈折率を有する光
学媒質(非線形屈折率媒質)、52及び52′は非線形
屈折率媒質11の両面にコートされた反射率約90%の
誘電体蒸着ミラーである。この構成においては、入力光
の波長をわずかに変化させて共振条件を満足すると、入
力光強度Piに対して出力光Ptが図2及び図3に示し
た様な特性を持つ〔アプライド フィジックス レター
ズ( Appl. Phys. Lett.)、第35巻、第451頁(19
76)〕。
【0009】なお、図2及び図3は光双安定素子の動作
特性を、入力光Pi(横軸)と出力光Pt(縦軸)の関
係で示す図であって、図2はリミッタ動作を示し、図3
は双安定動作を示し、図中の矢印はPiの増加時、及び
減少時のPtの特性を現す経路を示す。
【0010】これらはそれぞれリミッタ動作及び双安定
動作に対応しており、光通信や光情報システムにおいて
入力光パルスの波形整形、光スイッチ、あるいは光信号
メモリ、光論理演算動作などへの応用が可能なものであ
る。
【0011】ところで、この種の非線形光学装置におい
ては、特性として、使用可能な入力光波長並びに入力光
強度、更に光信号の強度変化に対して追随可能な応答時
間の3つの値が重要である。例えば図7中の非線形光学
媒質11としてGaAsとGaAlAsの半導体薄膜を
交互に繰返し成長させて作製した超格子結晶を用いた例
においては、結晶内で励起子が光吸収に伴って励起され
ることによって屈折率が光強度依存性を示すこと(吸収
非線形効果)を動作原理としているため、前記の式(数
1)の第3項の係数が大きく(すなわち3次非線形の効
率が高く)、動作に必要な入力光強度は5×104 W/
cm2 程度と小さくて済む点では優れているが、使用可能
な入力光波長が励起子吸収スペクトル近傍の極めて狭い
範囲に限られてしまうこと、及び応答時間が励起子寿命
により決定され、3×10-8secより高速の光信号処理
には使えないという問題点があった。
【0012】また、非線形光学媒質として非線形光学液
体である二硫化炭素(CS2 )を満たしたガラスセルを
用い、前記誘電体蒸着ミラー52、52′の代りに、外
部ミラーを用いた別の従来例においては、光電界に応じ
た分子の回転配列により屈折率が光強度依存性を示すこ
と(分子回転非線形効果)を動作原理としているため、
使用可能な入力光波長が可視から近赤外域の広い範囲に
わたるという点では優れているものの、3次非線形の効
果がそれ程高くなく、動作に必要な入力光強度が108
W/cm2 程度と大きくなること、及び応答時間が分子の
回転緩和時間により決定され、10-11 〜10-12 sec
より高速の光信号処理には使えないという問題点があっ
た。
【0013】以上のことから明らかなように、非線形光
学装置の性能は、非線形光学材料の特性によってほとん
ど決定される。したがって、使用可能な波長範囲が広
く、3次非線形の効率が高く、動作に必要な入力光強度
が小さく、応答時間が短い非線形光学媒質の開発が熱望
され、それに向けて活発な研究が行われているのが現状
である。
【0014】3次非線形効果を示す材料のうちでも、ベ
ンゼン環や2重あるいは3重結合などのπ共役高分子材
料が最近特に注目されている。例えば、ポリジアセチレ
ン−ビス(パラトルエンスルホネート)(略称PTS)
では、3次効果の定数χ(3)は、10-10 esu 〔非線形
屈折率係数に換算すると、n2 =2×10-12 (W/cm
2 ) -1となる〕の値をもち、上記のCS2 液体より2桁
大きい。更に、この非線形効果のメカニズムが吸収によ
るものでなく、かつ分子や結晶格子との相互作用による
ものでもなく、純粋に電子分極に由来するものであるた
めに、光信号の強度変化に追随可能な応答時間が10
-14 sec と極めて高速であり、かつ使用可能な入力光波
長も0.65μm付近から2.0μm以上の広い範囲に
わたっているという優れた特性を持っている。
【0015】しかしながら、上記PTSなどのポリジア
セチレンは、一般に結晶性高分子であるために、光学装
置の媒質として用いる場合には媒質全体が単結晶となっ
ていることが必要である。もし、媒質の一部に非晶質部
が存在したり、全体が多結晶状態になっていて微小な単
結晶の集合体であったりすると、途端に入射光の散乱損
失が増大してしまい、使いものにならない。したがっ
て、ポリジアセチレンを用いた光学装置を製造するに当
っては、目的に応じた大型結晶の育成あるいは薄膜結晶
化などの技術が不可欠であり、更に、これらの結晶が得
られた場合でも、結晶を切断したり表面を研磨したりす
る加工技術を確立することが必要である。ポリジアセチ
レンに関するこれらの周辺技術は今のところまだ解決さ
れていない。したがって、ポリジアセチレンを用いた非
線形光学装置はまだ実用に供せられるものは一つも実現
していない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
かんがみてなされたもので、従来の光双安定素子を始め
とする、光スイッチ、位相共役波発生装置などの非線形
屈折率を利用した非線形光学装置における問題点、すな
わち、前記したような使用波長制限、低速応答性、高動
作入力光強度、あるいは所望の形状の光学媒質を容易に
入手できないこと、などの欠点を除去することを課題と
するものであり、その目的は、使用波長範囲が広く、高
速応答性を有し、かつ動作入力光強度が小さい実用に供
し得る高性能非線形光学装置に適用できる非線形光学媒
質を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は非線形光学装置用光学媒質に関する発明であっ
て、1,4−ビス(ジアゾ)ナフタレン核を有し、その
置換基として芳香族基と、ベンゾオキサゾール環又はベ
ンゾチアゾール環とを持つ、電子供与基を有するアゾ系
二色性色素を含有することを特徴とする。
【0018】液晶表示用二色性色素は、ゲストホスト
(GH)型の液晶表示に使用されている特殊な色素であ
り、液晶の配向方向へ色素分子が配向固定化されるよう
直線的で剛直な分子構造をしていることが特徴であり、
アゾ結合でπ共役系を伸ばしたものが多い。二色性発現
の基礎となるのは、可視域に強い光吸収遷移モーメント
を示すπ共役系を有し、かつその遷移モーメントの方向
が、分子長軸と一致するように分子設計されていること
である。更に実用レベルの二色比を得るために、分子中
央にビスベンゾオキサゾールのような剛直な二色性基を
導入したり、分子末端に、ベンゾチアゾールやアニリン
誘導体のような二色性基を置換する方法がとられてい
る。
【0019】ここにおいて、本発明者らは、以上説明し
たような液晶表示用二色性色素の分子構造上の特徴、す
なわち、剛直なπ共役系をもつこと、可視域に強い
吸収をもつこと、光吸収の遷移モーメントがπ共役鎖
と同一方向にあることが、3次の非線形光学効果を大き
くする要素と完全に一致していることを見出した。更
に、液晶表示用二色性色素の二色性向上の分子設計、す
なわち、分子中央に剛直な分極性の二色性基を導入す
ること、あるいは分子末端に電子供与性又は電子吸引
性の二色性基を置換することは、溶解性低下を伴うπ共
役鎖拡張法に対抗する手段であり、この方法は、π共役
高分子のような長い剛直鎖を用いずに大きな3次効果の
定数χ(3) を得る上で極めて有効な分子設計であること
を見出した。加うるに、液晶表示用二色性色素は、その
実用上の要求から、力学的、熱的、電気的な耐久性に優
れる分子構造をしており、レーザ耐性、素子加工上のプ
ロセス耐性を要求される非線形光学材料として使用する
際にも好都合である。
【0020】本発明の第一の特徴は、これら液晶表示用
二色性色素の3次非線形感受率〔χ(3) 〕が、π共役高
分子と同等の10-10 esu 以上という極めて大きな値で
あることを初めて明らかにしたことである。また、その
大きな3次非線形光学効果故に非線形屈折率係数
(n2 )が大きな値となることを確認し、これら二色性
色素を非線形光学媒質として、光双安定素子、光スイッ
チ、位相共役波発生器などの非線形光学装置を構成し、
それらが実用に供し得ることを明らかにしたことが、第
二の特徴である。
【0021】そして、本発明で使用する二色性色素は、
電子供与基を有するアゾ系二色性色素である。その例と
してはジスアゾ色素、トリスアゾ色素又はテトラキスア
ゾ色素、電子供与基としてモノ−又はジ−アルキルアミ
ノ基を有する色素、ベンゾチアゾール環あるいはベンゾ
オキサゾール環を有する色素が挙げられる。
【0022】また好ましい本発明の媒質としては、前記
したアゾ系二色性色素とポリメタクリル酸メチルで構成
されるものが挙げられる。
【0023】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明に係わる二色性
色素の3次の非線形光学特性及び当該色素を非線形光学
装置用非線形光学媒質として使用した場合の特徴を詳し
く説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
なお、実施例1〜6に示される非線形光学装置用光学媒
質は、式(化1)〜(化28)で表した分子構造の二色
性色素をその主たる構成成分とする。
【0024】実施例1 下記式(化1):
【0025】
【化1】
【0026】で示される分子構造の二色性色素をジメチ
ルアセトアミド(DMAc)とクロロベンゼンの1:1
混合溶媒に溶かし、スピンコート法によりガラス基板上
に塗布し、厚さ140Åの青色膜を作製した。THGメ
ーカ・フリンジ法により、この膜のχ(3) を評価した。
χ(3) 値のポンプ光波長依存性、いわゆるχ(3) スペク
トル、を図6に示した。すなわち図6は本発明に係わる
二色性色素の薄膜の電子スペクトルを波長(nm、横軸)
と吸光度(縦軸)との関係で示した図及びχ(3)スペク
トルをポンプ光波長(μm、横軸)とχ(3) (×10
-10 esu 、縦軸)との関係で示した図である。図6から
明らかなように、吸収極大波長の3倍波長のポンプ光を
照射したときに、最も大きなχ(3) 値が得られている。
これは、3光子共鳴によるχ(3) の増幅が起こっている
ことを示す。得られたχ(3) 値は、2.5×10-10 es
u であった。この値を非線形屈折率係数n2 に換算する
と、10-12 (W/cm2 -1以上となり、CS2 液体よ
り2桁以上大きいPTSに匹敵する。非線形光学効果の
メカニズムがPTSと同じに純粋の電子分極によること
を考えると、本材料の応答時間はPTSと同様に10
-14 sec 程度と推測され、充分な高速性をも備えてい
る。
【0027】実施例2 下記式(化2):
【0028】
【化2】
【0029】で示される分子構造の二色性色素をDMA
cとクロロベンゼンの1:1混合溶媒に溶かし、スピン
コート法によりガラス基板上に塗布し、厚さ300Åの
青色膜を作製し、そのχ(3) を測定した。3光子共鳴χ
(3) 値は、1.5×10-10 esu であった。この値を非
線形屈折率係数n2 に換算すると、10-12 (W/cm2)
-1以上となり、二色性色素(化1)と同様に、高速高
効率の非線形光学媒質として有用であることが明らかに
なった。
【0030】実施例3 図1は本発明の実施例1に示した二色性色素を光学媒質
として用いたときの非線形光学装置の実施例を説明する
図であって、本発明で用いる非線形屈折率媒質11は下
記に述べる方法により作製した非線形光学フィルムであ
り、本装置は、入力光を約90%反射し、残りを透過さ
せる誘電体多層蒸着膜ミラー12、12′を対向させて
配置した外部光共振器となっている。前記二色性色素フ
ィルムの作製法について述べる。実施例1に示した二色
性色素のDMAc溶液とポリメタクリル酸メチル(PM
MA)のクロロベンゼン溶液を用意し、色素とPMMA
の重量比が3:7になるように混合し、この混合溶液を
フラットシャーレに注ぎ、窒素気流下でゆっくり溶媒を
蒸散させることによって、色素含有率30wt%PMMA
フィルム(膜厚:1mm)を得た。また、より高濃度の色
素−PMMA混合フィルムを作製するためには、色素の
DMAc溶液とPMMAのクロロベンゼン溶液を用意
し、色素とPMMAの重量比が1:1になるように混合
し、多量の冷メタノールに注ぎ、共沈させた。共沈物を
乾燥し、これを130℃でホットプレスすることによ
り、厚さ1mmの透明媒質を得た。吸光率より色素濃度を
測定すると約45wt%の色素を含まれていることがわか
った。この方法により、色素濃度:30〜50wt%の透
明媒質を得ることができた。また、より溶解性の高い実
施例2に示した二色性色素を用いれば、50wt%以上の
高濃度の透明媒質が得られることがわかった。
【0031】以下に述べる本発明の実施例は、特に断ら
ない限り、実施例1に示した二色性色素を30wt%含有
する厚さ1mmのPMMAフィルムを用いて行った。
【0032】この様にして非線形光学装置用の10×1
0×1mm3 程度の大きさのフィルム状の光学媒質を得
た。図1に示した装置を動作させるには、前記従来例図
7と同様、入力光波長をわずか変化させるか、あるいは
共振器長(ミラー間隔)をわずか変化させて共振条件を
調整すれば良い。本実施例の場合にはNd3+−YAGレ
ーザからの1.064μmの光を使用したので、調整は
共振器長を変化させる方法によった。入力光強度Piと
出力光強度Ptとの間には図2及び図3で示したような
リミッタ動作及び双安定動作が得られた。
【0033】動作に必要な最小入力光強度(Pimin
は解析的に、下記式(数3)で与えられる。
【0034】
【数3】Pimin =(Kλ)/(n2 l)
【0035】〔但し、λは光の波長、lは光学媒質長、
K(〜0.001)は鏡の反射率と共振器長調整で決ま
る係数〕 本実施例ではλ=1.064μm、l=1mmであるか
ら、Pimin は約107W/cm2 となった。実効出力3
00mW(パルス発振)、発振波長0.83μmの半導体
レーザを光源とする場合、ビーム径を1μmまで絞り込
むと、光強度は3.8×107 W/cm2 と計算され、こ
の波長における上記非線形光学装置のPimin の値より
充分大きい。実際、本非線形光学装置は半導体レーザを
光源とした場合にも動作可能であった。
【0036】本材料の応答時間tは10-14 seu 程度と
推測されることについては既に述べた。但し、装置とし
ての反応時間は、この媒質応答時間tと共振器内光子寿
命tpとの大きい方の値で決まる。共振器内光子寿命t
pは、下記式(数4)から計算される。
【0037】
【数4】tp=−lop/(C ln R)
【0038】(但し、lopは共振器の光学長、Cは光
速、Rはミラーの反射率) 本実施例の実験条件では、式(数4)からtpは6×1
-11 sec と求められた。tp>tなので、この値が装
置の応答時間となる。本実施例においては、応答時間は
10-10 sec より短いことが確認された。
【0039】実施例4 図4は、実施例1に示した液晶表示用二色性色素を光学
媒質として用いた時の光制御光スイッチの実施例を説明
する図である。図中の符号21と21′は互いに偏光軸
が直交するよう配置された2枚の偏光子からなる直交偏
光子系であり、11は前記実施例3にて得られた媒質で
ある。この構成においては、ゲートパルス光Pgが入射
している間だけ直交偏光子21を通過した直線偏光が、
非線形屈折率媒質11の屈折率変化によって偏光角の回
転を受け、直交偏光子21′を通過する。すなわち入射
光はゲート光によって光スイッチされる。本装置におい
ても、使用可能波長範囲、応答時間、及び動作入力光強
度(ゲートパルス光)の値は重要であるが、使用可能波
長範囲及び応答時間について極めて優れていることは実
施例3より明らかであって改めて説明するまでもない。
【0040】必要なゲートパルス光強度(Pπ/2)は解
析的に、下記式(数5)で与えられる。
【0041】
【数5】Pπ/2=λ/(2×n2 l)
【0042】本実施例ではλ=1.064μm、l=1
mmであるから、Pπ/2は約109 W/cm2 となった。実
際には、これより低いゲートパルス光強度においても、
透過率Tが、下記式(数6)に従う。
【0043】
【数6】T= sin2 {(Pi/Pπ/2)×π/2}
【0044】そこで、ビーム径を絞り込んだ半導体レー
ザ光によっても動作可能であることがわかった。
【0045】実施例5 図5は、実施例1に示した二色性色素を光学媒質として
用いたときの位相共役波発生装置実施例を説明する図で
ある。図中符号31と31′は半透過鏡、32は全反射
鏡、11は実施例3にて得られた光学媒質である。この
構成は縮退4光波混合と呼ばれる光学配置であって、非
線形屈折率をもつ媒質に、A1 、A2 (A1 と反対方
向)、Ap(傾入射)の3つの光波が入射すると、Ap
に対して空間位相項のみが共役である第4の光波(A
c)が発生する。この位相共役波は画像情報処理技術に
おける像修正や、実時間ホログラフィなどの有効な手段
として注目されている〔オー プラス イー(O plus
E)3月号、第73頁(1982)〕。本実施例にお
いても装置の高速応答性、及び低動作入力光強度が確認
できた。
【0046】実施例6 実施例1〜5において、本発明の光学媒質(非線形屈折
率媒質)の3次の光非線形性及び当該色素を用いた非線
形光学装置に係わるいくつかの実施例を示したが、下記
式(化3)〜(化28)の26種類の二色性色素につい
ても同様にχ(3) 測定と非線形光学装置の動作実験を行
った。
【0047】
【化3】
【0048】
【化4】
【0049】
【化5】
【0050】
【化6】
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】
【化9】
【0054】
【化10】
【0055】
【化11】
【0056】
【化12】
【0057】
【化13】
【0058】
【化14】
【0059】
【化15】
【0060】
【化16】
【0061】
【化17】
【0062】
【化18】
【0063】
【化19】
【0064】
【化20】
【0065】
【化21】
【0066】
【化22】
【0067】
【化23】
【0068】
【化24】
【0069】
【化25】
【0070】
【化26】
【0071】
【化27】
【0072】
【化28】
【0073】すべての二色性色素が0.7×10-10 es
u 以上のχ(3) を有し、非線形光学装置動作可能なこと
を確認した。
【0074】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係わる二色性色素は、極めて応答速度が速く、かつ大き
な非線形屈折率を持ち、更に非線形屈折率媒質としての
優れた光透過及び加工性を有している。したがって、二
色性色素のフィルムは、光双安定素子、光スイッチ、あ
るいは位相共役波発生装置など将来の光情報処理あるい
は光通信分野で重要な非線形光学装置用光学媒質として
適用できる。これにより、本発明の二色性色素光学媒質
は、従来の非線形光学液体や半導体超格子結晶を用いた
装置に比較して、波長依存性、応答速度、動作に必要な
入力光強度などの点で格段に優れた装置を実現すること
ができ、現存の半導体レーザを光源として駆動させ得る
という実用的価値のある非線形光学装置を構成すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学媒質(非線形屈折率媒質)を用い
た非線形光学装置に係わる1実施例を示す光双安定素子
の構成図である。
【図2】光双安定素子のリミッタ動作特性を示す図であ
る。
【図3】光双安定素子の双安定動作特性を示す図であ
る。
【図4】本発明の光学媒質(非線形屈折率媒質)を用い
た非線形光学装置に係わる第2実施例を示すもので、光
制御光スイッチの構成図である。
【図5】本発明の光学媒質(非線形屈折率媒質)を用い
た非線形光学装置に係わる第3実施例を示すもので、位
相共役波発生装置の構成図である。
【図6】本発明に係わる二色性色素の薄膜の電子スペク
トルとχ(3) スペクトルを示す図である。
【図7】従来の非線形光学装置(光双安定素子)の一例
を示す構成図である。
【符号の説明】
11…非線形屈折率媒質、12及び12′…(外部)誘
電体多層蒸着膜ミラー、Pi…入力光、Pt…出力光、
21及び21′…偏光子(直交偏光子系を構成してい
る)、Pg…ゲートパルス光、31及び31′…半透過
鏡、32…全反射鏡、52及び52′…誘電体蒸着ミラ
ー(反射率約90%)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 詫摩 啓輔 東京都千代田区霞が関3丁目2番5号 三井東圧化学株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−80726(JP,A) 特開 昭61−145285(JP,A) Applied Physics L etters,Vol.57,No.23, pp.2399−2401(1990)V.S.Wi lliams et al. (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/361 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,4−ビス(ジアゾ)ナフタレン核を
    有し、その置換基として芳香族基と、ベンゾオキサゾー
    ル環又はベンゾチアゾール環とを持つ、電子供与基を有
    するアゾ系二色性色素を含有することを特徴とする非線
    形光学装置用光学媒質。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の非線形光学装置用光学媒
    質において、該媒質が、該アゾ系二色性色素とポリメタ
    クリル酸メチルにより構成されていることを特徴とする
    非線形光学装置用光学媒質。
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