JP3206452B2 - ジアリールカーボネートの製造法 - Google Patents

ジアリールカーボネートの製造法

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JP3206452B2 JP25695996A JP25695996A JP3206452B2 JP 3206452 B2 JP3206452 B2 JP 3206452B2 JP 25695996 A JP25695996 A JP 25695996A JP 25695996 A JP25695996 A JP 25695996A JP 3206452 B2 JP3206452 B2 JP 3206452B2
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
の製造原料として有用なジアリールカーボネートを製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ジアリールカーボネートを製造する方法
として、ジアリールオキサレートを脱カルボニル反応さ
せてジアリールカーボネートを生成させる方法が知られ
ているが、この方法は目的のジアリールカーボネートの
收率が著しく低いという問題を有している。例えば、シ
ュウ酸ジフェニル(ジフェニルオキサレート)を蒸留フ
ラスコ中で煮沸して炭酸ジフェニル(ジフェニルカーボ
ネート)を製造する方法〔有機合成協会誌,5,報47
(1948),70〕では、この文献記載の反応式にも
示され、また副生物として単離されているようにフェノ
ールが副生し、更に二酸化炭素も副生して、目的の炭酸
ジフェニルの收率が著しく低くなる。
【0003】また、オキサレートジエステルをアルコラ
ート触媒の存在下に50〜150℃で液相で加熱してカ
ーボネートジエステルを製造する方法も提案されている
(USP4544507号公報)。しかし、この方法で
は、記載されている実施例に示されるように、カリウム
フェノラート触媒の存在下でジフェニルオキサレートを
加熱しても、主生成物として得られるものは目的のジフ
ェニルカーボネートではなく原料のジフェニルオキサレ
ートである。このように、ジアリールオキサレートの脱
カルボニル反応によってジアリールカーボネートを收率
よく製造できる方法は知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ジアリール
オキサレートを脱カルボニル反応させてジアリールカー
ボネートを製造する方法において、ジアリールカーボネ
ートを收率よく製造できる方法を提供することを課題と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、ジアリ
ールオキサレートに8族金属の化合物又は鉄族金属を添
加して、ジアリールオキサレートを脱カルボニル反応さ
せることを特徴とするジアリールカーボネートの製造法
によって達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明では、ジアリールカーボネ
ートは次式で示されるジアリールオキサレートの脱カル
ボニル反応によって生成する。
【0007】
【化1】 (式中、Arはアリール基を示す)
【0008】前記のアリール基としては、 (1)フェニル基、 (2)置換基として、(a)メチル基、エチル基等の炭
素数1〜12のアルキル基、(b)メトキシ基、エトキ
シ基等の炭素数1〜12のアルコキシ基、(c)ニトロ
基、又は(d)フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子
などを有する置換フェニル基、及び(3)ナフチル基な
どが挙げられる。これらのアリール基の中ではフェニル
基が特に好ましい。
【0009】前記置換フェニル基は各種異性体を含む。
これら異性体としては、例えば、(a)2−(又は3
−、4−)メチルフェニル基、2−(又は3−、4−)
エチルフェニル基等の炭素数1〜12のアルキル基を有
する2−(又は3−、4−)アルキルフェニル基、
(b)2−(又は3−、4−)メトキシフェニル基、2
−(又は3−、4−)エトキシフェニル基等の炭素数1
〜12のアルコキシ基を有する2−(又は3−、4−)
アルコキシフェニル基、(c)2−(又は3−、4−)
ニトロフェニル基、(d)2−(又は3−、4−)フル
オロフェニル基、2−(又は3−、4−)クロロフェニ
ル基等のハロゲン原子を有する2−(又は3−、4−)
ハロフェニル基が挙げられる。
【0010】本発明では、前記の脱カルボニル反応にお
いて、8族金属の化合物又は鉄族金属が触媒として添加
される。8族金属(鉄族金属、白金族金属)の化合物と
しては、これら8族金属の有機酸塩、錯体(ホスフィン
錯体等)、ハロゲン化物(錯体を除く)、無機酸塩(硫
酸塩、硝酸塩、リン酸塩等)などが使用される。鉄族金
属(コバルト、鉄、ニッケル)の化合物としては、これ
ら鉄族金属の有機酸塩、錯体(ホスフィン錯体等)、ハ
ロゲン化物(錯体を除く)、無機酸塩(硫酸塩、硝酸
塩、リン酸塩等)などが挙げられ、白金族金属(白金、
パラジウム、ロジウム、ルテニウム等)の化合物として
は、これら白金族金属の有機酸塩、錯体(ホスフィン錯
体等)、ハロゲン化物(錯体を除く)、無機酸塩(硫酸
塩、硝酸塩、リン酸塩等)などが挙げられる。
【0011】鉄族金属の有機酸塩としては、例えば、酢
酸コバルト、酢酸鉄、酢酸ニッケル、シュウ酸コバル
ト、シュウ酸鉄、シュウ酸ニッケル等の炭素数1〜15
の脂肪族カルボン酸と鉄族金属との塩(鉄族金属の脂肪
族カルボン酸塩)、安息香酸コバルト等の炭素数7〜1
5の芳香族カルボン酸と鉄族金属との塩(鉄族金属の芳
香族カルボン酸塩)が挙げられる。鉄族金属の錯体とし
ては、例えば、CoCl(PPh3 3 等の鉄族金属の
ホスフィン錯体(特にトリフェニルホスフィン錯体)が
挙げられる。鉄族金属のハロゲン化物(錯体を除く)と
しては、例えば、塩化鉄、臭化鉄、塩化コバルト、臭化
コバルトが挙げられる。
【0012】白金族金属の有機酸塩としては、例えば、
酢酸白金、酢酸パラジウム、酢酸ロジウム、酢酸ルテニ
ウム、シュウ酸白金、シュウ酸パラジウム、シュウ酸ロ
ジウム、シュウ酸ルテニウム等の炭素数1〜15の脂肪
族カルボン酸と白金族金属との塩(白金族金属の脂肪族
カルボン酸塩)、安息香酸パラジウム、安息香酸ルテニ
ウム等の炭素数7〜15の芳香族カルボン酸と白金族金
属との塩(白金族金属の芳香族カルボン酸塩)が挙げら
れる。白金族金属の錯体としては、例えば、PtCl2
(PPh3 2 、PdCl2(PPh3 2 、RhCl
(PPh3 3 、RuCl3 (PPh3 3 等の白金族
金属のホスフィン錯体(特にトリフェニルホスフィン錯
体)が挙げられる。
【0013】8族金属(鉄族金属、白金族金属)の化合
物の中では、これら8族金属の有機酸塩、ホスフィン錯
体(特にトリフェニルホスフィン錯体)、ハロゲン化物
(錯体を除く)が好ましい。鉄族金属(コバルト、鉄、
ニッケル)の化合物の中では、これら鉄族金属の有機酸
塩、ホスフィン錯体(特にトリフェニルホスフィン錯
体)、ハロゲン化物(錯体を除く)が好ましく、特にコ
バルトの有機酸塩、コバルトのホスフィン錯体(特にト
リフェニルホスフィン錯体)、鉄の有機酸塩、鉄のハロ
ゲン化物(錯体を除く)が好ましい。また、白金族金属
(白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等)の化合
物の中では、これら白金族金属のホスフィン錯体(特に
トリフェニルホスフィン錯体)が好ましい。これらの化
合物の中では、コバルトの有機酸塩、ルテニウムのホス
フィン錯体(特にトリフェニルホスフィン錯体)、白金
のホスフィン錯体(特にトリフェニルホスフィン錯体)
が特に好ましい。
【0014】鉄族金属金属としては、鉄(金属鉄)が好
適に挙げられる。金属鉄としては、通常、鉄粉が使用さ
れる。
【0015】8族金属の化合物はそのままで用いること
もできるが、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、ゼオ
ライト、ケイソウ土、軽石、活性炭等の担体に担持させ
て用いることもできる。このとき、8族金属の化合物の
担持量は、担体に対して、8族金属として通常0.1〜
50重量%、好ましくは0.5〜30重量%である。
【0016】前記の担持触媒を調製する方法は特別なも
のである必要はなく、例えば含浸法、混練法、沈着法、
共沈法、蒸発乾固法、イオン交換法等の通常実施される
方法により、8族金属の化合物を担体に担持させた後、
乾燥、焼成する方法によって調製することができる。乾
燥は空気中、50〜100℃で、焼成は空気中、150
〜500℃で通常行われる。
【0017】前記の担持触媒は、粉末、粒状もしくは成
型体で使用される。そのサイズは特に限定されるもので
はないが、通常、粉末では20〜100μmφのもの、
粒状では4〜200メッシュのもの、成型体では長さ
0.5〜10mmのものが好適に使用される。
【0018】ジアリールオキサレートの脱カルボニル反
応は、触媒として8族金属の化合物又は鉄族金属を添加
して、該ジアリールオキサレートを、100〜450
℃、特に160〜400℃、更には180〜350℃で
液相で加熱することによって行うことが好ましい。この
とき、前記反応式に従って、ジアリールオキサレートか
らジアリールカーボネートが生成すると共に一酸化炭素
が発生する。なお、反応圧は通常は常圧とされるが、特
に制限されるものではない。触媒は単独でもまた2種以
上混合して使用しても差し支えなく、その使用量はジア
リールオキサレートに対して8族金属として通常0.0
01〜50モル%、好ましくは0.01〜20モル%で
ある。また、触媒は通常は反応液に溶解させて使用され
るが、懸濁させて使用しても差し支えない。
【0019】脱カルボニル反応において溶媒は特に必要
とされないが、スルホラン、N−メチルピロリドン、ジ
メチルイミダゾリドン等の非プロトン性極性溶媒を適宜
使用することもできる。反応器の材質は特に制限される
ものではなく、例えば、ガラス製、ステンレス(SU
S)製の反応器を使用することができる。反応後、生成
したジアリールカーボネートは蒸留等により分離精製さ
れる。
【0020】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具
体的に説明する。なお、ジフェニルカーボネートの收率
(モル%)はジフェニルオキサレートに対して求めた。 実施例1 温度計及び還流冷却管を備えた100ml容のガラス製
フラスコに、ジフェニルオキサレート(24.8mmo
l)と酢酸(II)コバルト4水和物〔Co(CH3 CO
O)2 ・4H2 O〕(1.24mmol)を入れて、攪
拌下で230℃まで昇温した後、常圧下、この温度で3
時間液相で加熱して脱カルボニル反応を行った。反応終
了後、反応液を室温まで冷却してガスクロマトグラフィ
ー(カラム温度:130〜170℃、注入口温度:18
0℃)により分析したところ、ジフェニルカーボネート
の收率は52.3%であった。なお、分析操作によるジ
フェニルオキサレートからのジフェニルカーボネートの
生成は認められなかった。
【0021】実施例2 温度計及び還流冷却管を備えた50ml容のガラス製フ
ラスコに、ジフェニルオキサレート(10.0mmo
l)とCoCl(PPh3 3 (1.0mmol)を入
れて、攪拌下で255℃まで昇温した後、常圧下、この
温度で3時間液相で加熱して脱カルボニル反応を行っ
た。反応終了後、実施例1と同様に分析を行ったとこ
ろ、ジフェニルカーボネートの收率は13.0%であっ
た。
【0022】実施例3 CoCl(PPh3 3 をPtCl2 (PPh3
2 (0.5mmol)に代え、反応温度を230℃に変
えたほかは、実施例2と同様に反応を行った。反応終了
後、実施例1と同様に分析を行ったところ、ジフェニル
カーボネートの收率は37.2%であった。
【0023】実施例4 CoCl(PPh3 3 をRuCl2 (PPh3
3 (1.0mmol)に代え、反応温度を255℃に変
えたほかは、実施例2と同様に反応を行った。反応終了
後、実施例1と同様に分析を行ったところ、ジフェニル
カーボネートの收率は46.8%であった。
【0024】実施例5 CoCl(PPh3 3 をPdCl2 (PPh3
2 (0.3mmol)に代え、反応温度を230℃に変
えたほかは、実施例2と同様に反応を行った。反応終了
後、実施例1と同様に分析を行ったところ、ジフェニル
カーボネートの收率は8.5%であった。
【0025】実施例5 CoCl(PPh3 3 をRhCl(PPh3
3 (2.0mmol)に代え、反応温度を255℃に変
えたほかは、実施例2と同様に反応を行った。反応終了
後、実施例1と同様に分析を行ったところ、ジフェニル
カーボネートの收率は9.0%であった。
【0026】実施例7 CoCl(PPh3 3 をFeCl3 (1.0mmo
l)に代え、反応温度を255℃に変えたほかは、実施
例2と同様に反応を行った。反応終了後、実施例1と同
様に分析を行ったところ、ジフェニルカーボネートの收
率は8.4%であった。
【0027】実施例8 CoCl(PPh3 3 をFe(CH3 COO)
2 (1.0mmol)に代え、反応温度を255℃に変
えたほかは、実施例2と同様に反応を行った。反応終了
後、実施例1と同様に分析を行ったところ、ジフェニル
カーボネートの收率は9.7%であった。
【0028】実施例9 Co(CH3 COO)2 ・4H2 OをFe粉末(1.2
4mmol)に代え、ジフェニルオキサレート量を2
0.6mmolに変え、反応温度を230℃に変えたほ
かは、実施例1と同様に反応と分析を行った。その結
果、ジフェニルカーボネートの收率は15.3%であっ
た。
【0029】比較例1 反応温度を250℃に変え、酢酸(II)コバルト4水和
物を加えなかったほかは、実施例1と同様に反応と分析
を行った。その結果、ジフェニルカーボネートの生成は
認められなかった。
【0030】比較例2 実施例1と同様の反応器にジフェニルオキサレート(2
0.7mmol)を入れ容器の空間部をアルゴンガスで
置換して、攪拌下で330℃まで昇温した後、常圧下、
この温度で3時間液相で加熱(煮沸)して脱カルボニル
反応を行った。反応終了後、実施例1と同様に分析を行
ったところ、ジフェニルカーボネートの收率は4.1%
であった。
【0031】比較例3 温度計を備えた内容積90mlのステンレス鋼製密閉反
応器に、ジフェニルオキサレート(20.7mmo
l)、カリウムフェノラート〔PhOK〕(3.8mm
ol)及びテトラヒドロフラン(5.0g)を入れ、容
器の空間部をアルゴンガスで置換した後、攪拌下で10
0℃まで昇温した。そして、この温度で3時間液相で加
熱して脱カルボニル反応を行った。反応終了後、実施例
1と同様に分析を行ったが、ジフェニルカーボネートの
生成は認められなかった。実施例及び比較例の結果を表
1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明により、ジアリールオキサレート
からジアリールカーボネートを收率よく製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B01J 31/24 B01J 31/24 X C07C 69/96 C07C 69/96 Z // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 住田 俊彦 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 宇部研究所内 審査官 穴吹 智子 (56)参考文献 特開 平10−53563(JP,A) 特開 平9−295959(JP,A) 特開 平9−255628(JP,A) 特開 平9−77722(JP,A) 特開 平8−333307(JP,A) 特開 平8−325207(JP,A) 特開 平8−325206(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 68/00 C07C 69/96 C07B 61/00 300 B01J 23/40 B01J 23/74 B01J 27/10 B01J 27/128 B01J 31/04 B01J 31/24 CASREACT(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジアリールオキサレートに、鉄族金属の
    有機酸塩、ホスフィン錯体又はハロゲン化物を添加し
    て、ジアリ−ルオキサレートを脱カルボニル反応させる
    ことを特徴とするジアリールカーボネートの製造法。
  2. 【請求項2】 ジアリールオキサレートに、白金族金属
    のホスフィン錯体を添加して、ジアリ−ルオキサレート
    を脱カルボニル反応させることを特徴とするジアリール
    カーボネートの製造法
  3. 【請求項3】 ジアリールオキサレートに鉄族金属を添
    加して、ジアリ−ルオキサレートを脱カルボニル反応さ
    せることを特徴とするジアリールカーボネートの製造
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