JP3206177B2 - 位相差板およびこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

位相差板およびこれを用いた液晶表示装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、位相差板およびこれを
用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】スーパー・ツイステッド・ネマチック
(STN)液晶の表示の着色は、特公平3−50249
号で開示されている位相差板による補償法で大きく改善
された。色補償効果をより高めるために、位相差板の△
nの波長依存性を制御する手段も特開平2−12080
4号、特開平3−13917号等で提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこうした
位相差板による補償法は、かえってSTN本来の広い視
角特性を損なう結果になっている。位相差板の膜厚方向
の屈折率を大きくして広視角化を図る手段も、特開平2
−89006号、特開平2−253230号等で提案さ
れているが、根本的な解決にはなっていない。
【0004】本発明はこのような課題を解決するもの
で、その目的とするところは、可視光のある波長で△n
がゼロになるような位相差板を新たに提供し、これを用
いることによって広視角でかつ着色の少ない液晶表示装
置を提供するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の位相差板は、可
視光の少なくとも一つの波長で、△nがゼロになること
を特徴とする。その波長は、視感度が高い550nm近
傍が望ましい。
【0006】また、少なくとも2種類の高分子の延伸フ
ィルムを積層、あるいは少なくとも2種類の高分子の混
合体あるいは共重合体を延伸してなることを特徴とす
る。
【0007】また、前記高分子が、延伸によって生じる
△nの波長依存性が異なる高分子を組み合わせたもので
あることを特徴とする。
【0008】また、前記高分子が、正の光弾性定数を有
する高分子と、負の光弾性定数を有する高分子を組み合
わせたものであることを特徴とする。
【0009】また本発明の液晶表示装置は、前記位相差
板と、対向する2枚の基板間にねじれ配向したネマチッ
ク液晶を挟持してなる液晶セルと、それらを挟んで両側
に配置された一対の偏光板とを備えたことを特徴とす
る。
【0010】
【作用】STN液晶の視角特性は、本来非常に優れたも
のである。ところが色補償用に備えた位相差板が、かえ
ってこの視角特性を損なう結果になっている。そこで本
発明では、可視光のある波長で△nがゼロになるような
位相差板を用いることによって、少なくともその波長で
はSTNと同じ特性を持つように工夫した。その波長が
視感度の高い550nm近傍であれば、白色光の視角特
性もほぼSTNと同等の特性が期待できる。
【0011】ある波長で△nがゼロになるような位相差
板を得るためには、例えば特開平3−13917号に開
示されているように複数の高分子の延伸フィルムを積層
する方法がある。図7において、曲線41と42は、そ
れぞれポリカーボネート(PC)一軸延伸フィルムとポ
リメチルメタクリレート(PMMA)一軸延伸フィルム
のリターデーションの波長依存性を示す。ただしリター
デーションは複屈折率Δnとフィルム厚dの積で定義し
た。PCフィルムはPMMAフィルムに比べてΔnの波
長依存性が大きい。従って両者をそのリターデーション
が打ち消し合うように軸を揃えて積層すると、曲線43
のように、ある波長でリターデーションがゼロになる、
即ちΔnがゼロになるようなフィルムが得られる。複数
の高分子の組み合わせとしては、Δnの波長依存性が異
なるだけでなく、光弾性定数が正と負になるように組み
合わせた方が視角特性の面で有利である。前記PCは光
弾性定数が正であり、PMMAは負である。また上記の
ようにフィルムを積層する方法の他にも、特開平3−2
9921に開示されているように、複数の高分子の混合
体や共重合体を延伸する方法もある。
【0012】さて、上記位相差板でSTNの着色解消を
行うためには、従来と異なる補償条件が必要である。図
8には、1枚の位相差板でSTNの色補償を行う場合に
おける、位相差板のリターデーションの最適条件を示し
た。ただし軸方向は最適値に固定している。この中で5
3の曲線は、従来から広く用いられている条件である。
最適条件は、この他にも51、52、54、55と周期
的に存在し、いずれの条件であっても、同じ色補償効果
があることがわかった。従って51の条件を用いれば、
本発明の位相差板で従来と同等の色補償が可能である。
【0013】
【実施例】
(実施例1)本発明の実施例1における液晶表示装置
は、図1に示すように、上側偏光板1、第一の位相差板
2、第二の位相差板3、液晶セル4、下側偏光板5、液
晶セルの上基板6、下基板7、透明電極8、ネマチック
液晶9で構成される。
【0014】第一の位相差板2には589nmの光に対
するリターデーションが2.00μmのPCフィルムを
用い、第二の位相差板3には同じく2.02μmのPM
MAフィルムを用いた。PCフィルムはPMMAフィル
ムに比べてΔnの波長依存性が大きい。両者を一軸延伸
軸を揃えて積層すると、図7に示すように、ちょうど5
50nmでリターデーションがゼロとなる位相差板が得
られた。またPCは光弾性定数が正であり、逆にPMM
Aは負である。この組み合わせは、正と正、あるいは負
と負の組み合わせよりも、視角特性の面で有利である。
【0015】ネマチック液晶8には、メルク社製の液晶
ZLI−4620に同じくメルク社製のカイラルドーパ
ントS−811を0.8wt%添加して用いた。ZLI
−4620の複屈折△nは0.1327であり、セルギ
ャップdを6.5μmとしたので、△n×dは0.86
μmになる。
【0016】図2は実施例1における液晶表示装置の各
軸の関係を示す図である。上側偏光板1の偏光軸(吸収
軸)方向を11、第一の位相差板2の延伸軸方向を1
2、第二の位相差板3の延伸軸方向を13、液晶セルの
上基板6のラビング方向を14、液晶セルの下基板7の
ラビング方向を15、下側偏光板5の偏光軸方向を16
としたとき、11が12となす角度21を右45度、1
2が14となす角度22を90度、13が14となす角
度23を90度、ネマチック液晶9のねじれ角24を左
240度、16が15となす角度25を右45度とし
た。
【0017】図3は実施例1における液晶表示装置の視
角特性を示す図である。ここで図の中心が基板法線方
向、それをとりまく6つの同心円は内から順に、基板法
線からの傾き角10度、20度、30度、40度、50
度、60度の方向を示している。また31、32、33
は、それぞれコントラスト比1:1、1:3、1:10
の等コントラスト曲線である。この視角特性は左右対象
で、コントラスト比が1:1以下になるいわゆる反転領
域が狭く、位相差板を用いないSTNとほぼ同等の優れ
た特性である。またその表示色は黒地に白の無彩色であ
り、視角方向を変化させても表示色の変化は少なかっ
た。
【0018】なおPCの代わりに、さらにΔnの波長依
存性が大きいポリサルフォンやポリエステルナフタレー
ト等を用いれば、よりリターデーションが小さな位相差
板で同等の特性を得ることができる。またΔnの波長依
存性が大きい位相差板に負の光弾性定数を持つポリスチ
レン(PSt)の延伸フィルム、Δnの波長依存性が小
さい位相差板に正の光弾性定数を持つポリビニルアルコ
ール(PVA)の延伸フィルムといった、正負逆の組み
合わせでも同等の特性が得られる。
【0019】(実施例2)本発明の実施例2における液
晶表示装置は、図4に示すように、上側偏光板1、位相
差板2、液晶セル4、下側偏光板5、液晶セルの上基板
6、下基板7、透明電極8、ネマチック液晶9で構成さ
れる。
【0020】位相差板2は、PCとPMMAを1:1.
2の割合で混合したフィルムを一軸方向に延伸して作製
し、ちょうど550nmでリターデーションがゼロとな
るようにした。ネマチック液晶8は、実施例1と同様に
メルク社製の液晶ZLI−4620を用いて、△n×d
が0.86μmになるようにした。
【0021】図5は実施例2における液晶表示装置の各
軸の関係を示す図である。11が12となす角度21を
右45度、12が14となす角度22を90度、ネマチ
ック液晶9のねじれ角24を左240度、16が15と
なす角度25を右45度とした。
【0022】この液晶表示装置の視角特性は、実施例1
と同様に左右対象で、反転領域が狭い優れたものであっ
た。またその表示色も黒地に白の無彩色であり、視角方
向を変化させても表示色の変化は少なかった。
【0023】なお混合する代わりに共重合して延伸した
位相差板を用いても、同等の特性が得られる。
【0024】(比較例)比較例における液晶表示装置の
構成、ならびに軸関係は実施例2と同様であるが、位相
差板2としてPCの一軸延伸フィルムを用いた点が異な
る。そのリターデーションは589nmの光に対して
0.57nmであり、いかなる波長の光に対してもΔn
がゼロになることはない。
【0025】図6は比較例1における液晶表示装置の視
角特性を示す図である。この視角特性は対象性が悪く、
反転も起こりやすい。また正面の表示色は黒地に白の無
彩色であるが、視角方向によって緑〜オレンジの大きな
色変化が生じ、非常に見づらい表示である。
【0026】なお以上の実施例においては、本発明の位
相差板をSTN液晶と組み合わせた例をあげたが、TN
やECB、FLC、GH、PDLC等の液晶と組み合わ
せても、従来とは異なる新規な効果を有する。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、可視
光のある波長で△nがゼロになるような位相差板を新た
に提供し、これを用いることによって広視角でかつ着色
の少ない液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における液晶表示装置の断面
図である。
【図2】本発明の実施例1における液晶表示装置の軸関
係を示す図である。
【図3】本発明の実施例1における液晶表示装置の視角
特性を示す図である。
【図4】本発明の実施例2および比較例における液晶表
示装置の断面図である。
【図5】本発明の実施例2および比較例における液晶表
示装置の軸関係を示す図である。
【図6】比較例における液晶表示装置の視角特性を示す
図である。
【図7】本発明の位相差板の特性を説明する図である。
【図8】STN用位相差板の最適補償条件を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 上側偏光板 2 (第一の)位相差板 3 第二の位相差板 4 液晶セル 5 下側偏光板 6 液晶セル4の上基板 7 液晶セル4の下基板 8 透明電極 9 ネマチック液晶 11 上側偏光板1の偏光軸(吸収軸)方向 12 (第一の)位相差板2の延伸軸方向 13 第二の位相差板3の延伸軸方向 14 液晶セルの上基板6のラビング方向 15 液晶セルの下基板7のラビング方向 16 下側偏光板5の偏光軸(吸収軸)方向 21 11が12となす角度 22 12が14となす角度 23 13が14となす角度 24 ネマチック液晶9のねじれ角 25 16が15となす角度 31 コントラスト比1:1の等コントラスト曲線 32 コントラスト比1:3の等コントラスト曲線 33 コントラスト比1:10の等コントラスト曲線 41 PCフィルムのリターデーションの波長依存性 42 PMMAフィルムのリターデーションの波長依存
性 43 PCフィルム/PMMAフィルム積層体のリター
デーションの波長依存性 51 STN用位相差板の1次の補償条件 52 STN用位相差板の2次の補償条件 53 STN用位相差板の3次の補償条件 54 STN用位相差板の4次の補償条件 55 STN用位相差板の5次の補償条件
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−13916(JP,A) 特開 平3−13917(JP,A) 特開 平4−116603(JP,A) 特開 平3−29921(JP,A) 特開 昭59−2010(JP,A) 特開 昭59−2004(JP,A) 特開 平3−263013(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13363 G02B 5/30

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可視光の少なくとも一つの波長で、複屈
    折率Δnがゼロになることを特徴とする位相差板。
  2. 【請求項2】 少なくとも2種類の高分子の延伸フィル
    ムを積層してなることを特徴とする請求項1記載の位相
    差板。
  3. 【請求項3】 少なくとも2種類の高分子の混合体ある
    いは共重合体を延伸してなることを特徴とする請求項1
    記載の位相差板。
  4. 【請求項4】 前記高分子が、延伸によって生じるΔn
    の波長依存性が異なる高分子を組み合わせたものである
    ことを特徴とする請求項2および請求項3記載の位相差
    板。
  5. 【請求項5】 前記高分子が、正の光弾性定数を有する
    高分子と、負の光弾性定数を有する高分子を組み合わせ
    たものであることを特徴とする請求項2および請求項3
    記載の位相差板。
  6. 【請求項6】 前記位相差板と、対向する2枚の基板間
    にねじれ配向したネマチック液晶を挟持してなる液晶セ
    ルと、それらを挟んで両側に配置された一対の偏光板と
    を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
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KR100474495B1 (ko) * 1999-07-29 2005-03-08 데이진 가부시키가이샤 위상차 필름, 위상차 필름 복합체 및 그것을 사용한액정표시장치
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