JP2713184B2 - カラー液晶表示装置 - Google Patents

カラー液晶表示装置

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JP2713184B2
JP2713184B2 JP6235640A JP23564094A JP2713184B2 JP 2713184 B2 JP2713184 B2 JP 2713184B2 JP 6235640 A JP6235640 A JP 6235640A JP 23564094 A JP23564094 A JP 23564094A JP 2713184 B2 JP2713184 B2 JP 2713184B2
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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F2203/00Function characteristic
    • G02F2203/34Colour display without the use of colour mosaic filters

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラーフィルタを用い
ずに明るいカラー表示を得るカラー液晶表示装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】着色した表示が得られるカラー液晶表示
装置としては、一般に、カラーフィルタを用いて光を着
色するものが利用されている。
【0003】しかし、このカラー液晶表示装置は、カラ
ーフィルタを用いて光を着色するものであるため、光の
透過率が低く、したがって表示が暗いという問題をもっ
ている。
【0004】これは、カラーフィルタでの光の吸収によ
るものであり、カラーフィルタは、その色に対応する波
長帯域外の波長光だけでなく、前記波長帯域の光もかな
り高い吸収率で吸収するため、カラーフィルタを通った
着色光が、カラーフィルタに入射する前の前記波長帯域
の光に比べて大幅に光量を減じた光になり、表示が暗く
なってしまう。
【0005】なお、液晶表示装置には、その裏面側に配
置されるバックライトからの光を利用して表示する透過
型のものと、外光を利用し液晶表示装置を通った光を裏
面側に配置した反射板で反射させて表示する反射型のも
のとがあるが、上記カラー液晶表示装置を反射型とする
と、その表面側から入射し反射板で反射されて表面側に
出射する光がカラーフィルタを2度通って二重に光量を
減じるため、表示が極端に暗くなって、表示装置として
はほとんど使用できなくなる。
【0006】しかも、上記カラー液晶表示装置では、液
晶セルの両基板の電極が互いに対向している各箇所の表
示色がこの箇所に設けたカラーフィルタの色によって決
まるため、同じ箇所には1の色しか表示できなかった。
【0007】なお、液晶表示装置には、セグメント表示
方式のものとドットマトリックス表示方式のものとがあ
り、セグメント表示方式の従来のカラー液晶表示装置で
は、1つ1つの表示パターンの表示色がそのパターンを
表示するためのセグメント電極に対応するカラーフィル
タの色によって決まり、ドット表示型液晶セルを用いる
従来のカラー液晶表示装置では、1つ1つの画素の色が
その画素に対応するカラーフィルタの色によって決ま
る。
【0008】一方、カラーフィルタを必要としないEC
B(複屈折効果)型のカラー液晶表示装置が従来知られ
ている。
【0009】このECB型液晶表示装置は、内面(液晶
層との対向面)に透明な電極を形成した一対の透明基板
間に液晶層を設けてなる液晶セルをはさんで一対の偏光
板を配置したものであり、前記液晶セルとしては、一般
に、液晶分子が、ツイスト配向、ホモジニアス配向、ホ
メオトロピック配向、ハイブリッド配向のいずれかの配
向状態に配向しているものが用いられている。
【0010】このECB型液晶表示装置においては、一
方の偏光板を透過して入射した直線偏光が、液晶セルを
透過する過程で液晶層の複屈折効果により各波長光がそ
れぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となり、その光が他方
の偏光板に入射して、この他方の偏光板を透過した光
が、その光を構成する各波長光の光量比に応じた色の着
色光になる。
【0011】すなわち、上記ECB型液晶表示装置は、
カラーフィルタを用いずに、液晶セルの液晶層の複屈折
効果と一対の偏光板の偏光作用とを利用して光を着色す
るものであり、したがってカラーフィルタによる光の吸
収がないから、光の透過率を高くして明るいカラー表示
を得ることができる。
【0012】しかも、上記ECB型液晶表示装置は、液
晶セルの両基板の電極間に印加される電圧による液晶分
子の配向状態によって液晶層の複屈折性が変化し、それ
に応じて他方の偏光板に入射する各波長光の偏光状態が
変化するため、液晶セルへの印加電圧を制御することに
よって上記着色光の色を変化させることができ、したが
って、同じ箇所で複数の色を表示することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記ECB型
液晶表示装置は、液晶セルの液晶層の複屈折性が光の入
射角によって大きく変化するため、表示色が視角(表示
の観察角)によって大きく変化してしまい、したがっ
て、視野角が狭いという問題ももっている。
【0014】しかも、上記ECB型液晶表示装置は、温
度による表示色の色変化が大きいという問題をもってい
る。これは、液晶セルの液晶層の複屈折性に温度依存性
があるためであり、液晶セルの液晶層の複屈折性は、液
晶セルのΔn・d(液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚
dとの積)の値によって決まるが、液晶の屈折率異方性
Δnは温度によって大きく変化するため、液晶層の複屈
折性が温度によって大きく変化し、表示色が変化してし
まう。
【0015】本発明は、カラーフィルタを用いずに明る
いカラー表示を得るとともに、同じ箇所で複数の色を表
示することができ、しかも、視野角が広く、温度による
表示色の色変化も小さい、カラー液晶表示装置を提供す
ることを目的としたものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明のカラー液晶表示
装置は、内面に電極が形成された一対の基板間に液晶分
子がツイスト配向したネマティック液晶層を設けてなる
液晶セルと、前記液晶セルをはさんでその表面側と裏面
側とに配置された一対の偏光板と、前記一対の偏光板の
間に配置された位相差板とを備え、かつ、前記位相差板
は、その遅相軸であるx軸方向の屈折率nx と、y軸方
向の屈折率ny およびz軸方向の屈折率nz とが、nx
>nz >ny の関係にある二軸性位相差板であって、
記二軸性位相差板は、その遅相軸をこれに隣接する一方
の偏光板の透過軸に対してこの偏光板を透過して前記二
軸性位相差板に入射する直線偏光を各波長光毎に偏光状
態の異なる楕円偏光として出射させる角度で交差する方
向に向けて配置され、前記液晶セルは、その基板近傍の
液晶分子の配向方向をその基板に隣接する前記二軸性位
相差板の遅相軸に対して前記二軸性位相差板を出射した
前記楕円偏光の各波長光毎の偏光状態をさらに変化させ
る角度で交差する方向に向けて配置され、他方の偏光板
は、その透過軸をこの偏光板の透過光を構成する各波長
光の光量比が所望の着色光に対応した比率となる方向に
向けて配置されていることを特徴とするものである。
【0017】本発明は、透過型の液晶表示装置にも、液
晶セルの裏面側に配置された裏側偏光板の背後に反射板
を配置した反射型の液晶表示装置にも適用できるもので
あり、前記二軸性位相差板の数は1枚でも2枚でもよ
く、また、前記液晶セルの液晶分子のツイスト角は、8
0°〜110°、110°〜130°、180°〜27
0°のいずれであってもよい。
【0018】また、反射型液晶表示装置において、1枚
の二軸性位相差板を用いる場合は、前記位相差板を、液
晶セルの表面側に配置された表側偏光板と前記液晶セル
との間に配置するのが望ましく、その場合は、少なくと
も、前記表側偏光板の透過軸と、前記位相差板の遅相軸
とを、所定角度斜めにずらせばよい。
【0019】さらに、反射型液晶表示装置において、2
枚の二軸性位相差板を用いる場合は、表側偏光板と液晶
セルとの間と、裏側偏光板と前記液晶セルとの間とに、
それぞれ1枚ずつ位相差板を配置してもよく、その場合
は、少なくとも、前記表側偏光板の透過軸と、この偏光
板に隣接する位相差板の遅相軸とを、所定角度斜めにず
らせばよい。
【0020】さらにまた、反射型液晶表示装置におい
て、2枚の二軸性位相差板を用いる場合は、表側偏光板
と液晶セルとの間に2枚の位相差板を互いに重ねて配置
してもよく、その場合は、少なくとも、前記表側偏光板
の透過軸と、前記2枚の位相差板のうちの前記表側偏光
板に隣接する位相差板の遅相軸とを、所定角度斜めにず
らせばよい。
【0021】本発明を、表側偏光板と液晶セルとの間に
1枚の二軸性位相差板を配置した反射型液晶表示装置に
適用する場合の例としては、液晶セルの液晶分子のツイ
スト角を80°〜110°、前記液晶セルのΔn・d
(液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積)の値を
520nm〜580nm、位相差板のリタデーション
(位相差板の屈折率異方性Δnと位相差板の厚さdとの
積)の値を400nm〜460nmにする。
【0022】液晶セルの液晶分子のツイスト角を110
°〜130°、前記液晶セルの液晶の値を880nm〜
970nm、位相差板のリタデーションの値を1270
nm〜1530nmにする。
【0023】液晶セルの液晶分子のツイスト角を180
°〜270°、前記液晶セルのΔn・dの値を850n
m〜910nm、位相差板のリタデーションの値を40
0nm〜460nmにする。
【0024】等の例がある。
【0025】また、本発明を、表側偏光板と液晶セルと
の間と、裏側偏光板と液晶セルとの間とに、それぞれ1
枚ずつ二軸性位相差板を配置した反射型液晶表示装置に
適用する例としては、液晶セルの液晶分子のツイスト角
が180°〜270°、前記液晶セルのΔn・dの値を
1250nm〜1450nm、表側偏光板に隣接する位
相差板のリタデーションの値を1570nm〜1630
nm、裏側偏光板に隣接する位相差板のリタデーション
の値を1570nm〜1630nmにする例がある。
【0026】また、本発明を、表側偏光板と液晶セルと
の間に2枚の二軸性位相差板を互いに重ねて配置した反
射型液晶表示装置に適用とする例としては、液晶セルの
液晶分子のツイスト角を180°〜270°、前記液晶
セルのΔn・dの値を1250nm〜1450nm、表
側偏光板に隣接する位相差板のリタデーションの値を1
570nm〜1630nm、液晶セルに隣接する位相差
板のリタデーションの値を1520nm〜1580nm
にする例がある。
【0027】さらに、表側偏光板と液晶セルとの間に2
枚の二軸性位相差板を互いに重ねて配置した反射型液晶
表示装置において、前記液晶セルの液晶分子のツイスト
角が180°〜270°である場合は、前記液晶セルの
Δn・dの値を1490nm以上と大きくしてもよい。
【0028】その例としては、液晶セルのΔn・dの値
を1490nm〜1590nm、表側偏光板に隣接する
位相差板のリタデーションの値を1570nm〜163
0nm、液晶セルに隣接する位相差板のリタデーション
の値を1420nm〜1480nmにする。
【0029】液晶セルのΔn・dの値を1530nm〜
1730nm、表側偏光板に隣接する位相差板のリタデ
ーションの値を1570nm〜1630nm、液晶セル
に隣接する位相差板のリタデーションの値を1520n
m〜1580nmにする。
【0030】等の例がある。
【0031】また、本発明の他のカラー液晶表示装置
は、反射型表示装置として使用されるものであり、内面
に電極が形成された一対の基板間に液晶分子がツイスト
配向したネマティック液晶層を設けてなる液晶セルと、
前記液晶セルの表面側だけに配置された1枚の偏光板
と、前記液晶セルの裏面側に配置された反射板と、前記
偏光板と反射板との間に配置された位相差板とを備え、
かつ、前記位相差板は、その遅相軸であるx軸方向の屈
折率nx と、y軸方向の屈折率ny およびz軸方向の屈
折率nz とが、nx >nz >ny の関係にある二軸性位
相差板であって、前記二軸性位相差板は、その遅相軸を
これに隣接する前記偏光板の透過軸に対してこの偏光板
を透過して前記二軸性位相差板に入射する直線偏光を各
波長光毎に偏光状態の異なる楕円偏光として出射させる
角度で交差する方向に向けて配置され、前記液晶セル
は、その基板近傍の液晶分子の配向方向をその基板に隣
接する前記二軸性位相差板の遅相軸に対して前記二軸性
位相差板を出射した前記楕円偏光の各波長光毎の偏光状
態をさらに変化させる角度で交差する方向に向けて配置
され、前記偏光板は、その透過軸をこの偏光板の透過光
を構成する各波長光の光量比が所望の着色光に対応した
比率となる方向に向けて配置されていることを特徴とす
るものである。
【0032】
【作用】本発明のカラー液晶表示装置においては、一方
の偏光板を透過して入射した直線偏光が、位相差板と液
晶セルとを透過する間に、前記位相差板の複屈折効果と
液晶セルの液晶層の複屈折効果とによって各波長光がそ
れぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となり、その光が他方
の偏光板に入射して、この他方の偏光板を透過した光
が、その光を構成する各波長光の光量比に応じた色の着
色光になる。
【0033】なお、液晶セルの裏面側に配置された裏側
偏光板の背後に反射板を配置した反射型液晶表示装置に
おいては、その表面側からの入射光が表側偏光板、位相
差板および液晶セルを透過して裏側偏光板に入射し、こ
の裏側偏光板を透過して着色光となった光が反射板で反
射され、前記裏側偏光板と液晶セルおよび位相差板と表
側偏光板とを透過して表面側に出射する。
【0034】この着色光の色は、一対の偏光板の透過軸
の方向および位相差板の遅相軸の方向と液晶セルの両基
板の近傍における液晶分子の配向方向とを、前記他方の
偏光板を透過した光の各波長光の光量比が所望の着色光
に対応した比率になるように設定することによって任意
に選ぶことができる。
【0035】すなわち、このカラー液晶表示装置は、カ
ラーフィルタを用いずに、位相差板の複屈折効果と、液
晶セルの液晶層の複屈折効果と、一対の偏光板の偏光作
用とを利用して光を着色するものであり、したがってカ
ラーフィルタによる光の吸収がないから、透過型、反射
型を問わず、光の透過率を高くして明るいカラー表示を
得ることができる。
【0036】また、このカラー液晶表示装置において
は、位相差板の複屈折性はこの位相差板のリタデーショ
ンの値によって決まるが、液晶セルの液晶層の複屈折性
が、その両基板の電極間に印加される電圧に応じた液晶
分子の配向状態の変化によって変化し、それに応じて他
方の偏光板に入射する各波長光の偏光状態が変化するた
め、液晶セルへの印加電圧を制御することによって上記
着色光の色を変化させることができ、したがって、同じ
箇所で複数の色を表示することができる。
【0037】しかも、このカラー液晶表示装置において
は、液晶セルの液晶層の複屈折性は光の入射角によって
変化するが、位相差板の複屈折性は光の入射角が変化し
てもほとんど変わらないし、また、前記位相差板が、遅
相軸であるx軸方向の屈折率nx と、y軸方向の屈折率
y およびz軸方向の屈折率nz とが、nx >nz >n
y の関係にある二軸性位相差板であるため、光が液晶セ
ルの液晶層を垂直に透過したときと斜めに透過したとき
との位相差が前記二軸性位相差板によって補償されるか
ら、視野角が広くなる。
【0038】さらに、このカラー液晶表示装置において
は、液晶セルの液晶層の複屈折性は温度によって変化す
るが、位相差板の温度による複屈折性の変化は極く小さ
いため、液晶セルの液晶層と位相差板との全体の複屈折
性は、温度依存性の小さい特性であり、したがって、温
度による表示色の色変化も小さくなる。
【0039】また、反射型液晶表示装置において、1枚
の二軸性位相差板を用いる場合、この位相差板を、表側
偏光板と液晶セルとの間に配置し、少なくとも、前記表
側偏光板の透過軸と位相差板の遅相軸とを所定角度斜め
にずらしておけば、表側偏光板を透過して入射した直線
偏光が、まず位相差板を透過する過程でその複屈折効果
により偏光状態を変えられ、その光が液晶セルを透過す
る過程で液晶層の複屈折効果によりさらに偏光状態を変
えられて裏側偏光板に入射するため、上述した着色光を
得ることができる。
【0040】また、反射型液晶表示装置において、2枚
の二軸性位相差板を用いる場合、表側偏光板と液晶セル
との間と、裏側偏光板と液晶セルとの間とに、それぞれ
1枚ずつ位相差板を配置し、少なくとも、表側偏光板の
透過軸とこの偏光板に隣接する位相差板の遅相軸とを所
定角度斜めにずらしておけば、表側偏光板を透過して入
射した直線偏光が、まず表側偏光板に隣接する位相差板
を透過する過程でその複屈折効果により偏光状態を変え
られ、その光が液晶セルを透過する過程で液晶層の複屈
折効果によりさらに偏光状態を変えられ、さらにその光
が裏側偏光板に隣接する位相差板を透過する過程でその
複屈折効果により偏光状態を変えられて裏側偏光板に入
射するため、上述した着色光を得ることができる。
【0041】また、反射型液晶表示装置において、2枚
の二軸性位相差板を用いる場合、表側偏光板と液晶セル
との間に2枚の二軸性位相差板を互いに重ねて配置し、
少なくとも、表側偏光板の透過軸と2枚の位相差板のう
ちの前記表側偏光板に隣接する位相差板の遅相軸とを所
定角度斜めにずらしておけば、表側偏光板を透過して入
射した直線偏光が、まず表側偏光板に隣接する位相差板
を透過する過程でその複屈折効果により偏光状態を変え
られ、その光が液晶セルに隣接する位相差板を透過する
過程でその複屈折効果によりさらに偏光状態を変えら
れ、さらにその光が液晶セルを透過する過程で液晶層の
複屈折効果により偏光状態を変えられて裏側偏光板に入
射するため、上述した着色光を得ることができる。
【0042】上記2枚の二軸性位相差板を用いる液晶表
示装置においては、光が液晶セルの液晶層を垂直に透過
したときと斜めに透過したときとの位相差が2枚の二軸
性位相差板によってより効果的に補償されるから、視野
角がさらに広くなるし、また、液晶セルの液晶層と2枚
の位相差板との全体の複屈折性が、さらに温度依存性の
小さい特性になるため、温度による表示色の色変化もよ
り小さくなる。
【0043】さらに、表側偏光板と液晶セルとの間に2
枚の二軸性位相差板を互いに重ねて配置した反射型液晶
表示装置において、液晶セルの液晶分子のツイスト角が
180°〜270°である場合、前記液晶セルのΔn・
dの値を1490nm以上と大きくすれば、その液晶層
の印加電圧に対する複屈折性の変化が大きくなるため、
表示色数を多くすることができる。
【0044】また、本発明の他のカラー液晶表示装置
は、反射型表示装置として使用されるものであり、この
カラー液晶表示装置においては、液晶セルの表面側に配
置された偏光板を透過して入射した直線偏光が、位相差
板と液晶セルとを透過し、さらに反射板で反射されて、
前記液晶セルと位相差板とを再び透過する間に、前記位
相差板の複屈折効果と液晶セルの液晶層の複屈折効果と
によって各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光
となり、その光が前記偏光板に入射して、この偏光板を
透過した光が、その光を構成する各波長光の光量比に応
じた色の着色光になる。
【0045】この着色光の色は、前記偏光板の透過軸の
方向および位相差板の遅相軸の方向と液晶セルの両基板
の近傍における液晶分子の配向方向とを、前記偏光板を
透過した光の各波長光の光量比が所望の着色光に対応し
た比率になるように設定することによって任意に選ぶこ
とができる。
【0046】すなわち、このカラー液晶表示装置は、カ
ラーフィルタを用いずに、位相差板の複屈折効果と、液
晶セルの液晶層の複屈折効果と、偏光板の偏光作用とを
利用して光を着色するものであり、したがってカラーフ
ィルタによる光の吸収がないから、反射型のものであっ
ても、光の透過率を高くして明るいカラー表示を得るこ
とができる。
【0047】そして、このカラー液晶表示装置において
も、液晶セルの液晶層の複屈折性が、その両基板の電極
間に印加される電圧に応じた液晶分子の配向状態の変化
によって変化するため、液晶セルへの印加電圧を制御す
ることによって上記着色光の色を変化させることがで
き、したがって、同じ箇所で複数の色を表示することが
できる。
【0048】また、このカラー液晶表示装置において
も、液晶セルの液晶層の複屈折性は光の入射角によって
変化するが、位相差板の複屈折性は光の入射角が変化し
てもほとんど変わらないし、また、前記位相差板が、遅
相軸であるx軸方向の屈折率nx と、y軸方向の屈折率
y およびz軸方向の屈折率nz とが、nx >nz >n
y の関係にある二軸性位相差板であるため、光が液晶セ
ルの液晶層を垂直に透過したときと斜めに透過したとき
との位相差が前記二軸性位相差板によって補償されるか
ら、視野角が広くなる。
【0049】さらに、このカラー液晶表示装置において
も、液晶セルの液晶層の複屈折性は温度によって変化す
るが、位相差板の温度による複屈折性の変化は極く小さ
いため、液晶セルの液晶層と位相差板との全体の複屈折
性は、温度依存性の小さい特性であり、したがって、温
度による表示色の色変化も小さくなる。
【0050】
【実施例】
[第1の実施例]以下、本発明の第1の実施例を図1〜
図5を参照して説明する。この実施例のカラー液晶表示
装置は、液晶分子のツイスト角が80°〜110°の液
晶セルと1枚の二軸性位相差板を用いたものである。
【0051】図1はカラー液晶表示装置の断面図であ
り、この液晶表示装置は、液晶セル10と、この液晶セ
ル10をはさんでその表面側(図において上面側)と裏
面側(図において下面側)に配置された一対の偏光板2
1,22と、液晶セル10の表面側に配置された表側偏
光板21と前記液晶セル10との間に配置された1枚の
位相差板23と、液晶セル10の裏面側に配置された裏
側偏光板22の背後に配置された反射板25とからなっ
ている。
【0052】上記液晶セル10は、内面に透明電極1
3,14が形成されその上に配向膜15,16が形成さ
れた一対の透明基板11,12を枠状のシール材17を
介して接合し、この両基板11,12間の前記シール材
17で囲まれた領域に、液晶分子がツイスト配向したネ
マティック液晶層18を設けたものである。
【0053】この液晶セル10は、単純マトリックス型
のものであり、表側基板11の内面に形成された電極1
3は走査電極、裏側基板12の内面に形成された電極1
4は信号電極である。
【0054】また、両基板11,12の内面にそれぞれ
設けられた配向膜15,16は、例えばポリイミド等か
らなる水平配向膜であり、これら配向膜15,16は、
その膜面を所定方向にラビングすることによって配向処
理されている。
【0055】そして、前記液晶層18の液晶の分子は、
それぞれの基板11,12側における配向方向を前記配
向膜15,16で規制され、両基板11,12間におい
て80°〜110°(この実施例ではほぼ90°)のツ
イスト角でツイスト配向している。なお、この液晶層1
8には、液晶分子にツイスト配向性を付与するカイラル
液晶が添加されている。
【0056】また、上記一対の偏光板21,22のう
ち、表側偏光板21は、その透過軸を、上記液晶セル1
0の一方の基板の近傍における液晶分子の配向方向とほ
ぼ平行にするかあるいはほぼ直交させて配置され、裏側
偏光板22は、その透過軸を、前記表側偏光板21の透
過軸とほぼ平行にするかあるいはほぼ直交させて配置さ
れており、さらに、位相差板23は、その遅相軸を、前
記表側偏光板21の透過軸に対して所定角度斜めにずら
して設けられている。
【0057】図2は、液晶セル10の液晶分子配向方向
と、偏光板21,22の透過軸の向きと、位相差板23
の遅相軸の向きとを示す表面側から見た図であり、図に
おいて、11aは液晶セル10の表側基板11の近傍に
おける液晶分子の配向方向、12aは液晶セル10の裏
側基板12の近傍における液晶分子の配向方向を示して
いる。
【0058】この図2のように、液晶セル10の裏側基
板12の近傍における液晶分子の配向方向12aは、液
晶セル10の横軸Sに対し、表面側から見て右回りにほ
ぼ45°の方向、表側基板11の近傍における液晶分子
の配向方向11aは、前記裏側基板12の近傍における
液晶分子の配向方向12aに対し、表面側から見て左回
りにほぼ90°の方向にあり、液晶分子は、裏側基板1
2側から表側基板11側に向かい、表面側から見て右回
りにほぼ90°のツイスト角でツイスト配向している。
【0059】また、図2において、21aは表側偏光板
21の透過軸、22aは裏側偏光板22の透過軸を示し
ており、この実施例では、表側偏光板21の透過軸21
aを上記液晶セル10の表側基板11の近傍における液
晶分子の配向方向11aに対してほぼ直交させ、裏偏光
板22の透過軸22aを表側偏光板21の透過軸21a
とほぼ平行にしている。
【0060】さらに、図2において、23aは上記位相
差板23の遅相軸を示しており、この位相差板23の遅
相軸23aは、表側偏光板21の透過軸21aに対して
所定角度斜めにずらしてある。なお、この実施例では、
位相差板23の遅相軸23aを、表側偏光板21の透過
軸21aに対して、表面側から見て液晶セル10の液晶
分子ツイスト方向と逆方向(左回り)にほぼ45°ずら
している。
【0061】図3は上記位相差板23の斜視図であり、
この位相差板23は、その遅相軸(延伸軸)23aであ
るx軸方向の屈折率nx と、y軸方向の屈折率ny およ
びz軸方向の屈折率nz とがnx >nz >ny の関係に
ある二軸性位相板である。
【0062】また、この実施例では、上記液晶セル10
として、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δ
n・dの値が552nmのものを用いている。なお、こ
の液晶セル10の液晶の複屈折率Δnおよび液晶層厚d
は、 Δn=0.092 d=6μm である。
【0063】さらに、この実施例では、上記二軸性位相
差板23として、x,y,z軸方向の屈折率nx
y ,nz およびその板厚(屈折率異方性のある部分の
厚み)dが、 nx =1.4 ny =1.2 nz =1.3 d=2.15μm のものを用いている。
【0064】この二軸性位相差板23は、x軸方向の屈
折率nx とy軸方向の屈折率ny との差に応じた屈折率
異方性Δn(Δn=nx −ny )をもっており、そのリ
タデーション(位相差板の屈折率異方性Δnと位相差板
の板厚dとの積)の値は、430nmである。
【0065】上記カラー液晶表示装置は、その表面側か
ら入射する外光(自然光または室内照明光等)を裏面側
の反射板25で反射させて表示するものであり、液晶セ
ル10の両基板11,12の電極13,14間に電圧を
印加して表示駆動される。
【0066】そして、このカラー液晶表示装置において
は、その表面側から表側偏光板21を透過して入射した
直線偏光が、位相差板23および液晶セル10を順次透
過する間に、前記位相差板23の複屈折効果および液晶
セル10の液晶層18の複屈折効果により偏光状態を変
えられて裏側偏光板22に入射し、この裏側偏光板22
を透過した光が着色光になる。
【0067】この光の着色について説明すると、液晶表
示装置に入射する外光は、表側偏光板21を透過して直
線偏光となった後に、まず位相差板23に入射するが、
この位相差板23遅相軸23aが前記表側偏光板21の
透過軸21aに対して所定角度(この実施例ではほぼ4
5°)斜めにずれているため、表側偏光板21を透過し
た直線偏光が、位相差板23を透過する間にそのリタデ
ーションの値に応じた複屈折作用を受け、各波長光がそ
れぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となる。
【0068】また、上記位相差板23を透過した光は、
液晶セル10に入射し、その液晶層18を透過する間
に、この液晶セル10のΔn・dの値と液晶分子の配向
状態とに応じた複屈折作用を受け、各波長光の楕円偏光
の状態がさらに変化した光になる。
【0069】そして、このように、位相差板23の複屈
折効果と液晶セル10の液晶層18の複屈折効果とによ
って各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光とな
った光は、裏側偏光板22に入射し、その光のうち、裏
側偏光板22の透過軸22aに沿った成分の光だけがこ
の裏側偏光板22を透過して、この透過光(直線偏光)
が、その透過光を構成する各波長光の光量比に応じた色
の着色光になる。
【0070】この着色光の色は、一対の偏光板21,2
2の透過軸21a,22aおよび位相差板23の遅相軸
23aの向きと、液晶セル10の両基板11,12の近
傍における液晶分子の配向方向11a,12aと、液晶
セル10のΔn・dの値および位相差板23のリタデー
ションの値とを、裏側偏光板22を透過した光を構成す
る各波長光の光量比が所望の着色光に対応した比率にな
るように設定することによって任意に選ぶことができ
る。
【0071】また、裏側偏光板22を透過した着色光
は、反射板25で反射されて上述した光経路と逆の経路
で液晶表示装置の上面側に出射し、この着色光によって
カラー画像が表示される。
【0072】なお、この場合、反射板25で反射される
着色光は、位相差板23および液晶セル10の液晶層1
8の複屈折効果により各波長光がそれぞれ偏光状態の異
なる楕円偏光となった光のうちの、裏側偏光板22の透
過軸22aに沿った成分の光だけであり、その波長域の
域端の極く僅かな波長成分の光は、液晶セル10および
位相差板23を再び透過する過程で複屈折されて表側偏
光板21で吸収されるため、表側偏光板21を透過して
出射する着色光は、反射板25で反射された着色光より
もさらに色純度が良くなった光となる。
【0073】すなわち、上記カラー液晶表示装置は、カ
ラーフィルタを用いずに、位相差板23の複屈折効果
と、液晶セル10の液晶層18の複屈折効果と、一対の
偏光板21,22の偏光作用とを利用して光を着色する
ものであり、したがってカラーフィルタによる光の吸収
がないから、光の透過率を高くすることができる。この
ため、上記カラー液晶表示装置は、反射型のものであっ
ても、非常に明るいカラー表示を得ることができる。
【0074】また、このカラー液晶表示装置において
は、上記位相差板23の複屈折性はこの位相差板23の
リタデーションの値によって決まるが、液晶セル10の
液晶層18の複屈折性が、その両基板11,12の電極
13,14間に印加される電圧に応じた液晶分子の配向
状態の変化によって変化し、それに応じて上記裏側偏光
板22に入射する各波長光の偏光状態が変化するため、
液晶セル10への印加電圧を制御することによって上記
着色光の色を変化させることができ、したがって、同じ
箇所、つまり同じ画素で、複数の色を表示することがで
きる。
【0075】すなわち、液晶セル10の液晶分子は、電
極13,14間に電圧を印加していない状態では、基板
11,12面に対して最も倒伏した初期のツイスト配向
状態にあり、電極13,14間に電圧を印加すると、印
加電圧を高くしてゆくのにともなってツイスト配向状態
を保ちつつ立上り配向してゆき、最終的に、基板11,
12面に対してほぼ垂直に立上がった状態になる。
【0076】そして、液晶の屈折率異方性Δnの値は、
見掛上、液晶分子が立上り配向してゆくのにともなって
小さくなり、液晶分子が垂直に立上がり配向したときに
“0”になるため、液晶セル10の見掛上のΔn・dの
値は、液晶分子が初期のツイスト配向状態にあるときに
最も大きく、液晶分子が垂直に立上がり配向したときに
“0”になる。
【0077】このため、液晶セル10の液晶層18の複
屈折性は、電圧無印加状態、つまり液晶分子が初期のツ
イスト配向状態にあるときが最も大きく、このときは、
位相差板23の複屈折効果により各波長光がそれぞれ偏
光状態の異なる楕円偏光となった光が、液晶層18によ
り大きく複屈折されて裏側偏光板22に入射し、この偏
光板22を透過した光が、ある色の着色光になる。
【0078】また、液晶セル10に電圧を印加すると、
その電圧に応じて液晶層18の複屈折性が変化し、上記
電圧無印加状態のときとは異なる偏光状態の光が裏側偏
光板22に入射して、この偏光板22を透過した光が他
の色に着色する。
【0079】さらに、液晶セル10に液晶分子がほぼ垂
直に立上がり配向する電圧を印加すると、液晶層18の
複屈折性がほとんど無くなり、位相差板23の複屈折効
果により各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光
となった光が、その偏光状態のまま液晶セル10を透過
して裏側偏光板22に入射するため、このときは、前記
裏側偏光板22を透過した光が、位相差板23の複屈折
効果だけによる着色光になる。
【0080】このカラー液晶表示装置の表示色は、一対
の偏光板21,22の透過軸21a,22aおよび位相
差板23の遅相軸23aの向きと、液晶セル10の両基
板11,12の近傍における液晶分子の配向方向11
a,12aと、液晶セル10のΔn・dの値および位相
差板23のリタデーションの値と、液晶セル10への印
加電圧値とによって決まる。
【0081】このカラー液晶表示装置の表示色について
説明すると、図2に示したように、液晶セル10の液晶
分子のツイスト角がほぼ90°、表側偏光板21の透過
軸21aと位相差板23の遅相軸23aとのずれ角がほ
ぼ45°、表側偏光板21の透過軸21aが液晶セル1
0の表側基板11の近傍における液晶分子の配向方向1
1aに対してほぼ直交、裏偏光板22の透過軸22aが
表側偏光板21の透過軸21aとほぼ平行であり、液晶
セル10のΔn・dの値が552nm、位相差板23の
リタデーションの値が430nmである場合、液晶セル
10への印加電圧と表示色の関係は次のようになる。な
お、ここで、印加電圧値は実効値であり、表示色は、液
晶表示装置の表示を真正面から見たときの色である。
【0082】 (印加電圧) (表示色) 1.7v以下 オレンジ 2.9〜3.5v 黒 4.5v以上 青 このように、上記カラー液晶表示装置の表示色は、液晶
セル10に印加する電圧を高くしていくのにともなっ
て、オレンジ→黒→青の順に変化する。
【0083】なお、ここでは、液晶セル10の液晶分子
のツイスト角をほぼ90°、液晶セル10のΔn・dの
値を552nm、位相差板23のリタデーションの値を
430nmとしたが、液晶セル10の液晶分子のツイス
ト角が80°〜110°の範囲で、表側偏光板21の透
過軸21aが液晶セル10の一方の基板の近傍における
液晶分子の配向方向11aまたは12aとほぼ平行かあ
るいはほぼ直交し、裏側偏光板22の透過軸22aが前
記表側偏光板21の透過軸21aとほぼ平行かあるいは
ほぼ直交しているとともに、表側偏光板21の透過軸2
1aに対する位相差板23の遅相軸23aのずれ角が4
5°±5°であり、かつ、液晶セル10のΔn・dの値
が520nm〜580nm、位相差板23のリタデーシ
ョンの値が400nm〜460nmの範囲であれば、上
記オレンジ,黒,青の表示色が得られる。
【0084】しかも、上記カラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は光の入射角
によって変化するが、位相差板23の複屈折性は光の入
射角が変化してもほとんど変わらないし、また、前記位
相差板23が、遅相軸23aであるx軸方向の屈折率n
x と、y軸方向の屈折率ny およびz軸方向の屈折率n
z とが、nx >nz >ny の関係にある二軸性位相差板
であるため、光が液晶セル10の液晶層18を垂直に透
過したときと斜めに透過したときとの位相差が前記二軸
性位相差板23によって補償されるから、視野角が広く
なる。
【0085】これは、上記二軸性位相差板23が、その
厚さ方向にも位相差をもっており、通常用いられている
一軸性位相差板に比べて、光の入射角に対する位相差の
変化が小さいためである。
【0086】すなわち、位相差板の光入射角に対する
x,y軸方向の位相差Rxyは、位相差板の法線(x軸と
y軸を通る面に対して垂直な線)に沿う方向から光が入
射した場合、つまり位相差板の法線に対する光入射角が
0°の場合の位相差Rxy(0)が、 Rxy(0)=(nx −ny )d ……(1) (dは位相差板の板厚) 位相差板の法線に対してθ°傾いた方向から斜めに光が
入射した場合の位相差Rxy(θ)が、
【数1】 となる。
【0087】そして、通常の一軸性位相差板は、図3に
示したx,y,z軸方向の屈折率nx ,ny ,nz が、
x >ny =nz であるため、この一軸性位相差板の光
入射角が0°の場合の位相差Rxy(0)と、光入射角が
θ°の場合の位相差Rxy(θ)との比Rxy(θ)/Rxy
(0)は、光の入射角によって大きく変化する。
【0088】これに対して、二軸性位相差板は、x,
y,z軸方向の屈折率nx ,ny ,nz が、nx >nz
>ny であるため、光入射角によるRxy(θ)/R
xy(0)の変化が小さく、したがって、光入射角による
位相差の変化が小さい。
【0089】すなわち、図4は、二軸性位相差板におけ
るRxy(θ)/Rxy(0)の光入射角による変化を、一
軸性位相差板と比較して示したものであり、一軸性位相
差板は、そのRxy(θ)/Rxy(0)が図に破線で示し
たように、光の入射角によって大きく変化するため、光
の入射角が大きくなると位相差が大きく変化してしまう
が、二軸性位相差板は、光入射角によるRxy(θ)/R
xy(0)の変化が図に実線で示すように小さく、したが
って光入射角による位相差の変化が小さい。
【0090】なお、図4に示した一軸性位相差板のRxy
(θ)/Rxy(0)の値は、nx =1.4,ny =nz
=1.2である位相差板の値、二軸性位相差板のR
xy(θ)/Rxy(0)の値は、nx =1.4,ny
1.2,nz =1.3である位相差板の値である。
【0091】このように、通常の一軸性位相差板は光の
入射角によって位相差が大きく変化するため、上記カラ
ー液晶表示装置に一軸性位相差板を用いたのでは、視角
によって表示色がある程度変化してしまうが、二軸性位
相差板は光の入射角に対する位相差の変化が小さいた
め、この二軸性位相差板を用いれば、視角による表示色
の変化、つまり表示色の視角依存性がかなり小さくな
る。
【0092】図5は、位相差板23に、x,y,z軸方
向の屈折率nx ,ny ,nz が、nx >nz >ny の関
係にある二軸性位相差板を用いた上記実施例のカラー液
晶表示装置と、前記位相差板23をnx >ny =nz
通常の一軸性位相差板に置き換えた比較装置との視角と
表示色の色差(ΔE* ab)との関係を示しており、実線
は実施例装置の視角による色差の変化を示し、破線は比
較装置の視角による色差の変化を示している。
【0093】なお、実施例装置と比較装置は、いずれ
も、液晶セルの液晶分子ツイスト角をほぼ90°、液晶
の複屈折率Δnを0.092、液晶層厚を6μm、表側
偏光板の透過軸に対する位相差板の遅相軸のずれ角をほ
ぼ45°、表側偏光板の透過軸を液晶セルの表側基板の
近傍における液晶分子の配向方向に対してほぼ直交、裏
側偏光板の透過軸を表側偏光板の透過軸とほぼ平行にし
たものであり、また実施例装置に用いた二軸性位相差板
はnx =1.4,ny =1.2,nz =1.3の位相差
板、比較装置に用いた一軸性位相差板はnx =1.4,
y =nz =1.2の位相差板である。ただし、これら
位相差板の板厚はいずれも2.15μmである。
【0094】また、上記表示色の色差(ΔE* ab)は、
視角が0°、つまり表示装置の真正面から表示を見たと
きの色度を基準とした値であり、この基準色度と各視角
での表示色の色度との差である。
【0095】この図5のように、x,y,z軸方向の屈
折率nx ,ny ,nz がnx >ny=nz である通常の
一軸性位相差板を用いた比較装置は、視角による色差の
変化が大きく、したがって表示色の視角依存性が大きい
が、nx >nz >ny の二軸性位相差板を用いた実施例
装置は、前記比較装置に比べて視角による色差の変化が
かなり小さく、したがって表示色の視角依存性が小さい
から、充分広い視野角をもっている。
【0096】さらに、上記実施例のカラー液晶表示装置
においては、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は温
度によって変化するが、位相差板23の温度による複屈
折性の変化は極く小さいため、液晶セル10の液晶層1
8と位相差板23との全体の複屈折性は、温度依存性の
小さい特性であり、したがって、温度による表示色の色
変化も小さい。
【0097】なお、上記実施例では、位相差板23を表
側偏光板21と液晶セル10との間に設けているが、こ
の位相差板23は裏側偏光板22と液晶セル10との間
に設けてもよく、また、位相差板23の遅相軸23aと
この位相差板23が隣接する偏光板21(または22)
の透過軸21a(または22a)とのずれ角も任意でよ
い。ただし、位相差板23の偏光作用による着色効果を
十分に得るには、前記ずれ角は45±5°が望ましい。
【0098】また、上記実施例のカラー液晶表示装置
は、その裏面に反射板25を設けた反射型のものである
が、この液晶表示装置は、前記反射板25をなくして透
過型装置として使用することも可能である。
【0099】[第2の実施例]なお、上記第1の実施例
では、液晶セル10の液晶分子のツイスト角を80°〜
110°としたが、この液晶セル10の液晶分子のツイ
スト角は、180°〜270°にしてもよい。
【0100】図6は、本発明の第2の実施例を示す、液
晶セル10の液晶分子配向方向と、偏光板21,22の
透過軸の向きと、位相差板23の遅相軸の向きとを示す
表面側から見た図であり、この実施例では、液晶セル1
0の液晶分子のツイスト角を、ほぼ250°としてい
る。
【0101】なお、この実施例のカラー液晶表示装置
は、液晶セルの液晶分子のツイスト角をほぼ250°と
したものであるが、表示装置全体の基本的な構成は図1
に示したものと同じであるから、その説明は省略する。
【0102】この実施例では、図7のように、液晶セル
10の裏側基板12の近傍における液晶分子の配向方向
12aを、液晶セル10の横軸Sに対し、表面側から見
て右回りにほぼ100°の方向、表側基板11の近傍に
おける液晶分子の配向方向11aは、前記裏側基板12
の近傍における液晶分子の配向方向12aに対し、表面
側から見て右回りにほぼ70°の方向にし、液晶分子
を、裏側基板12側から表側基板11側に向かい表面側
から見て右回りにほぼ250°のツイスト角でツイスト
配向させている。
【0103】また、この実施例では、表側偏光板21の
透過軸21aと、裏側偏光板22の透過軸22aとを次
のような向きにするとともに、位相差板23の遅相軸2
3aを、表側偏光板21の透過軸21aに対して所定角
度斜めにずらしている。
【0104】すなわち、液晶セル10の裏側基板12の
近傍における液晶分子の配向方向12aを基準方向(0
°の方向)としたとき、表側偏光板21の透過軸21a
は、前記基準方向に対して、表面側から見て液晶セル1
0の液晶分子ツイスト方向と逆方向(左回り)にほぼ5
5°の方向にあり、裏側偏光板22の透過軸22aは、
上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分子ツ
イスト方向と逆方向にほぼ45°の方向にある。
【0105】また、位相差板23の遅相軸23aは、上
記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分子ツイ
スト方向と同方向(右回り)にほぼ80°の方向にあ
り、この位相差板23の遅相軸23aは、表側偏光板2
1の透過軸21aに対して、表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と逆方向にぼ45°ずれている。
【0106】また、この実施例では、上記液晶セル10
として、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δ
n・dの値が880nmのものを用いている。なお、こ
の液晶セル10の液晶の複屈折率Δnおよび液晶層厚d
は、 Δn=0.13 d=6.8μm である。
【0107】なお、上記二軸性位相差板23は、第1の
実施例で用いたものと同じものであり、そのリタデーシ
ョンの値は430nm(nx =1.4,ny =1.2,
z=1.3,d=2.15μm)である。
【0108】この実施例のカラー液晶表示装置は、表面
側から入射する外光を裏面側の反射板25で反射させて
表示するものであり、液晶セル10の両基板11,12
の電極13,14間に電圧を印加して表示駆動される。
【0109】そして、このカラー液晶表示装置において
は、その表面側から表側偏光板21を透過して入射した
直線偏光が、位相差板23および液晶セル10を順次透
過する間に、前記位相差板23の複屈折効果および液晶
セル10の液晶層18の複屈折効果により偏光状態を変
えられて裏側偏光板22に入射し、この裏側偏光板22
を透過した光が着色光になる。
【0110】この光の着色について説明すると、液晶表
示装置に入射する外光は、表側偏光板21を透過して直
線偏光となった後に、まず位相差板23に入射するが、
この位相差板23遅相軸23aが前記表側偏光板21の
透過軸21aに対して所定角度(この実施例ではほぼ4
5°)斜めにずれているため、表側偏光板21を透過し
た直線偏光が、位相差板23を透過する間にそのリタデ
ーションの値に応じた複屈折作用を受け、各波長光がそ
れぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となる。
【0111】また、上記位相差板23を透過した光は、
液晶セル10に入射し、その液晶層18を透過する間
に、この液晶セル10のΔn・dの値と液晶分子の配向
状態とに応じた複屈折作用を受け、各波長光の楕円偏光
の状態がさらに変化した光になる。
【0112】この場合、この実施例では、液晶セル10
の液晶分子のツイスト角をほぼ250°と大きくしてい
るため、液晶セル10の液晶層18の複屈折作用は、上
述した第1の実施例よりも大きい。
【0113】そして、このように、位相差板23の複屈
折効果と液晶セル10の液晶層18の複屈折効果とによ
って各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光とな
った光は、裏側偏光板22に入射し、その光のうち、裏
側偏光板22の透過軸22aに沿った成分の光だけがこ
の裏側偏光板22を透過して、この透過光(直線偏光)
が、その透過光を構成する各波長光の光量比に応じた色
の着色光になる。
【0114】この着色光の色は、一対の偏光板21,2
2の透過軸21a,22aおよび位相差板23の遅相軸
23aの向きと、液晶セル10の両基板11,12の近
傍における液晶分子の配向方向11a,12aと、液晶
セル10のΔn・dの値および位相差板23のリタデー
ションの値とを、裏側偏光板22を透過した光を構成す
る各波長光の光量比が所望の着色光に対応した比率にな
るように設定することによって任意に選ぶことができ
る。
【0115】また、裏側偏光板22を透過した着色光
は、反射板25で反射されて上述した光経路と逆の経路
で液晶表示装置の上面側に出射し、この着色光によって
カラー画像が表示される。
【0116】この反射板25で反射された着色光は、位
相差板23および液晶セル10の液晶層18の複屈折効
果により各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光
となった光のうちの、裏側偏光板22の透過軸22aに
沿った成分の光だけであり、その波長域の域端の極く僅
かな波長成分の光は、液晶セル10および位相差板23
を再び透過する過程で複屈折されて表側偏光板21で吸
収されるため、表側偏光板21を透過して出射する着色
光は、反射板25で反射された着色光よりもさらに色純
度が良くなった光となる。
【0117】すなわち、このカラー液晶表示装置は、カ
ラーフィルタを用いずに、位相差板23の複屈折効果
と、液晶セル10の液晶層18の複屈折効果と、一対の
偏光板21,22の偏光作用とを利用して光を着色する
ものであり、したがってカラーフィルタによる光の吸収
がないから、光の透過率を高くすることができる。この
ため、上記カラー液晶表示装置は、反射型のものであっ
ても、非常に明るいカラー表示を得ることができる。
【0118】また、このカラー液晶表示装置において
は、上記位相差板23の複屈折性はこの位相差板23の
リタデーションの値によって決まるが、液晶セル10の
液晶層18の複屈折性が、その両基板11,12の電極
13,14間に印加される電圧に応じた液晶分子の配向
状態の変化によって変化し、それに応じて上記裏側偏光
板22に入射する各波長光の偏光状態が変化するため、
液晶セル10への印加電圧を制御することによって上記
着色光の色を変化させることができ、したがって、同じ
箇所、つまり同じ画素で、複数の色を表示することがで
きる。
【0119】このカラー液晶表示装置の表示色は、一対
の偏光板21,22の透過軸21a,22aおよび位相
差板23の遅相軸23aの向きと、液晶セル10の両基
板11,12の近傍における液晶分子の配向方向11
a,12aと、液晶セル10のΔn・dの値および位相
差板23のリタデーションの値と、液晶セル10への印
加電圧値とによって決まる。
【0120】このカラー液晶表示装置の表示色について
説明すると、図6に示したように、液晶セル10の液晶
分子のツイスト角がほぼ250°、表側偏光板21の透
過軸21aと位相差板23の遅相軸23aとのずれ角が
ほぼ45°であって、液晶セル10の裏側基板12の近
傍における液晶分子の配向方向12aを基準方向とした
とき、表側偏光板21の透過軸21aが前記基準方向に
対し表面側から見て液晶セル10の液晶分子ツイスト方
向と逆方向にほぼ55°の方向、裏偏光板22の透過軸
22aが前記基準方向に対し表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と逆方向にほぼ45°の方向、位相差板
23の遅相軸23aが前記基準方向に対し表面側から見
て前記液晶分子ツイスト方向と同方向にほぼ80°の方
向にあり、液晶セル10のΔn・dの値が880nm、
位相差板23のリタデーションの値が430nmである
場合、液晶セル10への印加電圧と表示色の関係は次の
ようになる。なお、ここで、印加電圧値は実効値であ
り、表示色は、液晶表示装置の表示を真正面から見たと
きの色である。
【0121】 (印加電圧) (表示色) 2.04v以下 赤 2.18〜2.22v 緑 2.44v以上 青 このように、上記カラー液晶表示装置の表示色は、液晶
セル10に印加する電圧を高くしていくのにともなっ
て、赤→緑→青の順に変化するため、1つの画素で、光
の三原色である赤,緑,青を表示することができる。
【0122】なお、ここでは、液晶セル10の液晶分子
のツイスト角をほぼ250°、液晶セル10のΔn・d
の値を880nm、位相差板23のリタデーションの値
を430nmとしたが、液晶セル10の液晶分子のツイ
スト角が180°〜270°の範囲(望ましくは250
°±10°)で、表側偏光板21の透過軸21aに対す
る位相差板23の遅相軸23aのずれ角が45°±5°
であり、液晶セル10の裏側基板12の近傍における液
晶分子の配向方向を基準方向としたとき、表側偏光板2
1の透過軸21aが前記基準方向に対し表面側から見て
液晶セル10の液晶分子ツイスト方向と逆方向に55°
±10°の方向、裏側偏光板22の透過軸22aが前記
基準方向に対し表面側から見て前記液晶分子ツイスト方
向と逆方向に45°±10°の方向、位相差板23の遅
相軸23aが前記基準方向に対し表面側から見て前記液
晶分子ツイスト方向と同方向に80°±10°の方向に
あり、前記液晶セル10のΔn・dの値が850nm〜
910nm、位相差板23のリタデーションの値が40
0nm〜460nmの範囲であれば、上記赤,緑,青の
表示色が得られる。
【0123】しかも、上記カラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は光の入射角
によって変化するが、位相差板23の複屈折性は光の入
射角が変化してもほとんど変わらないし、また、前記位
相差板23が、遅相軸23aであるx軸方向の屈折率n
x と、y軸方向の屈折率ny およびz軸方向の屈折率n
z とが、nx >nz >ny の関係にある二軸性位相差板
であるため、光が液晶セル10の液晶層18を垂直に透
過したときと斜めに透過したときとの位相差が前記二軸
性位相差板23によって補償されるから、視野角が広く
なる。
【0124】この視野角の広さは、第1の実施例におい
て説明した通りであり、前記位相差板23に通常の一軸
性位相差板を用いたのでは、視角によって表示色がある
程度変化してしまうが、二軸性位相差板は光の入射角に
対する位相差の変化が小さいため、この二軸性位相差板
を用いれば、視角による表示色の変化、つまり表示色の
視角依存性がかなり小さくなるから、視野角を充分広く
することができる。
【0125】さらに、このカラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は温度によっ
て変化するが、位相差板23の温度による複屈折性の変
化は極く小さいため、液晶セル10の液晶層18と位相
差板23との全体の複屈折性は、温度依存性の小さい特
性であり、したがって、温度による表示色の色変化も小
さい。
【0126】なお、上記実施例では、位相差板23を表
側偏光板21と液晶セル10との間に設けているが、こ
の位相差板23は裏側偏光板22と液晶セル10との間
に設けてもよく、また、位相差板23の遅相軸23aと
この位相差板23が隣接する偏光板21(または22)
の透過軸21a(または22a)とのずれ角も任意でよ
い。ただし、位相差板23の偏光作用による着色効果を
十分に得るには、前記ずれ角は45±5°が望ましい。
【0127】また、上記実施例のカラー液晶表示装置
は、その裏面に反射板25を設けた反射型のものである
が、この液晶表示装置は、前記反射板25をなくして透
過型装置として使用することも可能である。
【0128】[第3の実施例]なお、上記第2の実施例
では、液晶セル10の液晶分子のツイスト角を180°
〜270°としたが、この液晶セル10の液晶分子のツ
イスト角は、第1の実施例より若干大きく上記第2の実
施例よりは小さい、110°〜130°にしてもよい。
【0129】図7は本発明の第3の実施例を示す、液晶
セル10の液晶分子配向方向と、偏光板21,22の透
過軸の向きと、位相差板23の遅相軸の向きとを示す表
面側から見た図であり、この実施例では、液晶セル10
の液晶分子のツイスト角を、110°〜130°として
いる。
【0130】なお、この実施例のカラー液晶表示装置
は、液晶セルの液晶分子のツイスト角をほぼ250°と
したものであるが、表示装置全体の基本的な構成は図1
に示したものと同じであるから、その説明は省略する。
【0131】この実施例では、図7のように、液晶セル
10の裏側基板12の近傍における液晶分子の配向方向
12aを、液晶セル10の横軸Sに対し、表面側から見
て右回りに30°±5°の方向、表側基板11の近傍に
おける液晶分子の配向方向11aを、前記裏側基板12
の近傍における液晶分子の配向方向12aに対し、表面
側から見て左回りに60°±5°の方向にし、液晶分子
を、裏側基板12側から表側基板11側に向かい表面側
から見て右回りに120°±10°(110°〜130
°)のツイスト角でツイスト配向させている。
【0132】また、この実施例では、表側偏光板21の
透過軸21aと、裏側偏光板22の透過軸22aとを次
のような向きにするとともに、位相差板23の遅相軸2
3aを、表側偏光板21の透過軸21aに対して所定角
度斜めにずらしている。
【0133】すなわち、表側偏光板21の透過軸21a
は、液晶セル10の裏側基板12の近傍における液晶分
子の配向方向12aを基準方向(0°の方向)としたと
き、この基準方向に対して、表面側から見て液晶セル1
0の液晶分子ツイスト方向と逆方向(左回り)に90°
±10°の方向にあり、裏側偏光板22の透過軸22a
は、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と逆方向に50°±10°の方向にあ
る。
【0134】また、位相差板23の遅相軸23aは、上
記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分子ツイ
スト方向と逆方向に100°±10°の方向にあり、こ
の位相差板23の遅相軸23aは、表側偏光板21の透
過軸21aに対し、表面側から見て前記液晶分子ツイス
ト方向と逆方向に10°±5°ずれている。
【0135】そして、この実施例では、上記液晶セル1
0として、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積
Δn・dの値が880nm〜970nm(Δn=0.1
05±0.05,d=8.8μm±0.2μm)のもの
を用い、上記二軸性位相差板23として、リタデーショ
ンの値が1470nm〜1530nmのものを用いてい
る。
【0136】この実施例のカラー液晶表示装置は、表面
側から入射する外光を裏面側の反射板25で反射させて
表示するものであり、液晶セル10の両基板11,12
の電極13,14間に電圧を印加して表示駆動される。
【0137】そして、このカラー液晶表示装置において
は、その表面側から表側偏光板21を透過して入射した
直線偏光が、位相差板23および液晶セル10を順次透
過する間に、前記位相差板23の複屈折効果および液晶
セル10の液晶層18の複屈折効果により偏光状態を変
えられて裏側偏光板22に入射し、この裏側偏光板22
を透過した光が着色光になる。
【0138】この光の着色について説明すると、液晶表
示装置に入射する外光は、表側偏光板21を透過して直
線偏光となった後に、まず位相差板23に入射するが、
この位相差板23遅相軸23aが前記表側偏光板21の
透過軸21aに対して所定角度(この実施例では10°
±5°)斜めにずれているため、表側偏光板21を透過
した直線偏光が、位相差板23を透過する間にそのリタ
デーションの値に応じた複屈折作用を受け、各波長光が
それぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となる。
【0139】また、上記位相差板23を透過した光は、
液晶セル10に入射し、その液晶層18を透過する間
に、この液晶セル10のΔn・dの値と液晶分子の配向
状態とに応じた複屈折作用を受け、各波長光の楕円偏光
の状態がさらに変化した光になる。
【0140】この場合、この実施例では、液晶セル10
の液晶分子をツイスト角を120°±10°にしている
ため、液晶セル10の液晶層18の複屈折作用は、上述
した第1の実施例よりも大きい。
【0141】そして、このように、位相差板23の複屈
折効果と液晶セル10の液晶層18の複屈折効果とによ
って各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光とな
った光は、裏側偏光板22に入射し、その光のうち、裏
側偏光板22の透過軸22aに沿った成分の光だけがこ
の裏側偏光板22を透過して、この透過光(直線偏光)
が、その透過光を構成する各波長光の光量比に応じた色
の着色光になる。
【0142】この着色光の色は、一対の偏光板21,2
2の透過軸21a,22aおよび位相差板23の遅相軸
23aの向きと、液晶セル10の両基板11,12の近
傍における液晶分子の配向方向11a,12aと、液晶
セル10のΔn・dの値および位相差板23のリタデー
ションの値とを、裏側偏光板22を透過した光を構成す
る各波長光の光量比が所望の着色光に対応した比率にな
るように設定することによって任意に選ぶことができ
る。
【0143】また、裏側偏光板22を透過した着色光
は、反射板25で反射されて上述した光経路と逆の経路
で液晶表示装置の上面側に出射し、この着色光によって
カラー画像が表示される。
【0144】この反射板25で反射された着色光は、位
相差板23および液晶セル10の液晶層18の複屈折効
果により各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光
となった光のうちの、裏側偏光板22の透過軸22aに
沿った成分の光だけであり、その波長域の域端の極く僅
かな波長成分の光は、液晶セル10および位相差板23
を再び透過する過程で複屈折されて表側偏光板21で吸
収されるため、表側偏光板21を透過して出射する着色
光は、反射板25で反射された着色光よりもさらに色純
度が良くなった光となる。
【0145】すなわち、このカラー液晶表示装置は、カ
ラーフィルタを用いずに、位相差板23の複屈折効果
と、液晶セル10の液晶層18の複屈折効果と、一対の
偏光板21,22の偏光作用とを利用して光を着色する
ものであり、したがってカラーフィルタによる光の吸収
がないから、光の透過率を高くすることができる。この
ため、上記カラー液晶表示装置は、反射型のものであっ
ても、非常に明るいカラー表示を得ることができる。
【0146】また、このカラー液晶表示装置において
は、上記位相差板23の複屈折性はこの位相差板23の
リタデーションの値によって決まるが、液晶セル10の
液晶層18の複屈折性が、その両基板11,12の電極
13,14間に印加される電圧に応じた液晶分子の配向
状態の変化によって変化し、それに応じて上記裏側偏光
板22に入射する各波長光の偏光状態が変化するため、
液晶セル10への印加電圧を制御することによって上記
着色光の色を変化させることができ、したがって、同じ
箇所、つまり同じ画素で、複数の色を表示することがで
きる。
【0147】このカラー液晶表示装置の表示色は、一対
の偏光板21,22の透過軸21a,22aおよび位相
差板23の遅相軸23aの向きと、液晶セル10の両基
板11,12の近傍における液晶分子の配向方向11
a,12aと、液晶セル10のΔn・dの値および位相
差板23のリタデーションの値と、液晶セル10への印
加電圧値とによって決まる。
【0148】このカラー液晶表示装置の表示色について
説明すると、図7に示したように、液晶セル10の液晶
分子のツイスト角が120°±10°、表側偏光板21
の透過軸21aと位相差板23の遅相軸23aとのずれ
角が10°±5°であって、液晶セル10の裏側基板1
2の近傍における液晶分子の配向方向12aを基準方向
としたとき、表側偏光板21の透過軸21aが前記基準
方向に対し表面側から見て液晶セル10の液晶分子ツイ
スト方向と逆方向に90°±10°の方向、裏偏光板2
2の透過軸22aが前記基準方向に対し表面側から見て
前記液晶分子ツイスト方向と逆方向に50°±10°の
方向、位相差板23の遅相軸23aが前記基準方向に対
し表面側から見て前記液晶分子ツイスト方向と逆方向に
100°±10°の方向にあり、液晶セル10のΔn・
dの値が880nm〜970nm、位相差板23のリタ
デーションの値が1470nm〜1530nmである場
合、液晶セル10への印加電圧と表示色の関係は次のよ
うになる。なお、ここで、印加電圧値は実効値であり、
表示色は、液晶表示装置の表示を真正面から見たときの
色である。
【0149】 (印加電圧) (表示色) 1.20v以下 緑 1.21〜1.60v 青 1.70〜2.10v 赤 2.11v以上 白 このように、上記カラー液晶表示装置の表示色は、液晶
セル10に印加する電圧を高くしていくのにともなっ
て、緑→青→赤→白の順に変化するため、1つの画素
で、光の三原色である赤,緑,青と、白とを表示するこ
とができる。
【0150】しかも、上記カラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は光の入射角
によって変化するが、位相差板23の複屈折性は光の入
射角が変化してもほとんど変わらないし、また、前記位
相差板23が、遅相軸23aであるx軸方向の屈折率n
x と、y軸方向の屈折率ny およびz軸方向の屈折率n
z とが、nx >nz >ny の関係にある二軸性位相差板
であるため、光が液晶セル10の液晶層18を垂直に透
過したときと斜めに透過したときとの位相差が前記二軸
性位相差板23によって補償されるから、視野角が広く
なる。
【0151】この視野角の広さは、第1の実施例におい
て説明した通りであり、前記位相差板23に通常の一軸
性位相差板を用いたのでは、視角によって表示色がある
程度変化してしまうが、二軸性位相差板は光の入射角に
対する位相差の変化が小さいため、この二軸性位相差板
を用いれば、視角による表示色の変化、つまり表示色の
視角依存性がかなり小さくなるから、視野角を充分広く
することができる。
【0152】さらに、このカラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は温度によっ
て変化するが、位相差板23の温度による複屈折性の変
化は極く小さいため、液晶セル10の液晶層18と位相
差板23との全体の複屈折性は、温度依存性の小さい特
性であり、したがって、温度による表示色の色変化も小
さい。
【0153】なお、上記実施例では、一対の偏光板2
1,22の透過軸21a,22aおよび位相差板23の
遅相軸23aを、図7に示すように設定したが、これら
の軸方向は、例えば次のように設定してもよい。
【0154】図8は、上記第3の実施例のカラー液晶表
示装置における、偏光板21,22の透過軸21a,2
2aおよび位相差板23の遅相軸23aの向きの他の設
定例を示す表面側から見た図である。
【0155】この例において、液晶セル10の裏側基板
12の近傍における液晶分子の配向方向12aは、液晶
セル10の横軸Sに対し、表面側から見て右回りに30
°±5°の方向、表側基板11の近傍における液晶分子
の配向方向11aは、前記裏側基板12の近傍における
液晶分子の配向方向12aに対し、表面側から見て左回
りに60°±5°の方向にあり、液晶分子は、裏側基板
12側から表側基板11側に向かい表面側から見て右回
りに120°±10°(110°〜130°)のツイス
ト角でツイスト配向している。
【0156】そして、表側偏光板21の透過軸21a
は、液晶セル10の裏側基板12の近傍における液晶分
子の配向方向12aを基準方向(0°の方向)としたと
き、この基準方向に対して、表面側から見て液晶セル1
0の液晶分子ツイスト方向と逆方向(左回り)に30°
±10°の方向にあり、裏側偏光板22の透過軸22a
は、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と逆方向に150°±10°の方向にあ
る。
【0157】また、位相差板23の遅相軸23aは、上
記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分子ツイ
スト方向と逆方向に100°±10°の方向にあり、こ
の位相差板23の遅相軸23aは、表側偏光板21の透
過軸21aに対し、表面側から見て前記液晶分子ツイス
ト方向と逆方向に70°±10°ずれている。
【0158】さらに、この例では、上記液晶セル10と
して、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δn
・dの値が880nm〜970nm(Δn=0.105
±0.05,d=8.8μm±0.2μm)のものを用
い、二軸性位相差板23として、リタデーションの値が
1270nm〜1330nmのものを用いている。
【0159】このように、液晶セル10の液晶分子のツ
イスト角が120°±10°、表側偏光板21の透過軸
21aと位相差板23の遅相軸23aとのずれ角が70
°±10°であって、液晶セル10の裏側基板12の近
傍における液晶分子の配向方向12aを基準方向とした
とき、表側偏光板21の透過軸21aが前記基準方向に
対し表面側から見て液晶セル10の液晶分子ツイスト方
向と逆方向に30°±10°の方向、裏偏光板22の透
過軸22aが前記基準方向に対し表面側から見て前記液
晶分子ツイスト方向と逆方向に150°±10°の方
向、位相差板23の遅相軸23aが前記基準方向に対し
表面側から見て前記液晶分子ツイスト方向と逆方向に1
00°±10°の方向にあり、液晶セル10のΔn・d
の値が880nm〜970nm、位相差板23のリタデ
ーションの値が1270nm〜1330nmである場
合、液晶セル10への印加電圧と表示色の関係は次のよ
うになる。なお、ここで、印加電圧値は実効値であり、
表示色は、液晶表示装置の表示を真正面から見たときの
色である。
【0160】 (印加電圧) (表示色) 1.30v以下 白 1.31〜1.60v 青 1.61v以上 赤 すなわち、この例では、表示色が、液晶セル10に印加
する電圧を高くしていくのにともなって、白→青→赤の
順に変化する。
【0161】なお、上記実施例では、位相差板23を表
側偏光板21と液晶セル10との間に設けているが、こ
の位相差板23は裏側偏光板22と液晶セル10との間
に設けてもよく、また、位相差板23の遅相軸23aと
この位相差板23が隣接する偏光板21(または22)
の透過軸21a(または22a)とのずれ角も任意でよ
い。
【0162】また、上記実施例のカラー液晶表示装置
は、その裏面に反射板25を設けた反射型のものである
が、この液晶表示装置は、前記反射板25をなくして透
過型装置として使用することも可能である。
【0163】[第4の実施例]次に、本発明の第4の実
施例を図9および図10を参照して説明する。この実施
例のカラー液晶表示装置は、液晶分子のツイスト角が1
80°〜270°の液晶セルと2枚の二軸性位相差板を
用いたものである。
【0164】図9はカラー液晶表示装置の断面図であ
り、この液晶表示装置は、液晶セル10と、この液晶セ
ル10をはさんでその表面側(図において上面側)と裏
面側(図において下面側)に配置された一対の偏光板2
1,22と、液晶セル10の表面側に配置された表側偏
光板21と前記液晶セル10との間に配置された第1の
位相差板23と、液晶セル10の裏面側に配置された裏
側偏光板22と前記液晶セル10との間に配置された第
2の位相差板24と、前記裏側偏光板22の背後に配置
された反射板25とからなっている。
【0165】上記液晶セル10は、液晶分子のツイスト
角が180°〜270°のものであり、この実施例で
は、液晶分子のツイスト角を250°±20°(230
°〜270°にしている。なお、この液晶セル10の基
本的な構成は上述した第1の実施例における液晶セルと
同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省
略する。
【0166】また、上記第1および第2の位相差板2
3,24は、いずれも、その遅相軸であるx軸方向の屈
折率nx と、y軸方向の屈折率ny およびz軸方向の屈
折率nz とが、nx >nz >ny の関係にある二軸性位
相板である。
【0167】図10は、この実施例のカラー液晶表示装
置における、液晶セル10の液晶分子配向方向と、偏光
板21,22の透過軸の向きと、第1および第2の位相
差板23,24の遅相軸の向きとを示す表面側から見た
図である。
【0168】この図10のように、液晶セル10の裏側
基板12の近傍における液晶分子の配向方向12aは、
液晶セル10の横軸Sに対し、表面側から見て左回りに
35°±10°の方向、表側基板11の近傍における液
晶分子の配向方向11aは、前記裏側基板12の近傍に
おける液晶分子の配向方向12aに対し、表面側から見
て右回りに70°±10°の方向にあり、液晶分子は、
裏側基板12側から表側基板11側に向かい表面側から
見て右回りに250°±20°(望ましくは250°±
10°)のツイスト角でツイスト配向している。
【0169】また、この実施例では、表側偏光板21の
透過軸21aと、裏側偏光板22の透過軸22aとを次
のような向きにするとともに、表側偏光板21と液晶セ
ル10との間に配置した第1の位相差板23の遅相軸2
3aを、前記表側偏光板21の透過軸21aに対して所
定角度斜めにずらし、さらに、裏側偏光板22と液晶セ
ル10との間に配置した第2の位相差板24の遅相軸2
4aを、次のような向きにしている。
【0170】すなわち、表側偏光板21の透過軸21a
は、液晶セル10の裏側基板12の近傍における液晶分
子の配向方向12aを基準方向(0°の方向)としたと
き、この基準方向に対して、表面側から見て液晶セル1
0の液晶分子ツイスト方向と同方向(右回り)に80°
±10°の方向にあり、裏側偏光板22の透過軸22a
は、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と同方向に45°±10°の方向にあ
る。
【0171】また、上記第1の位相差板23の遅相軸2
3aは、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液
晶分子ツイスト方向と同方向に35°±10°の方向に
あり、この位相差板23の遅相軸23aは、表側偏光板
21の透過軸21aに対し、表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と逆方向(左回り)に45°±20°ず
れている。
【0172】さらに、上記第2の位相差板24の遅相軸
24aは、上記基準方向に対して、表面側から見て前記
液晶分子ツイスト方向と逆方向に10°±10°の方向
にある。
【0173】そして、この実施例では、上記液晶セル1
0として、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積
Δn・dの値が1350nm±100nm(1250n
m〜1450nm)のものを用いている。
【0174】また、この実施例では、上記第1の二軸性
位相差板23として、リタデーションの値が1600n
m±30nm(1570nm〜1630nm)、Nz 値
[Nz =(nx −nz )/(nx −ny )]が0.3〜
0.7(望ましくは0.45±0.1)のものを用い、
第2の二軸性位相差板24として、リタデーションの値
が1600nm±30nm(1570nm〜1630n
m)、Nz 値が0.3〜0.7(望ましくは0.45±
0.1)のものを用いている。
【0175】この実施例のカラー液晶表示装置は、表面
側から入射する外光を裏面側の反射板25で反射させて
表示するものであり、液晶セル10の両基板11,12
の電極13,14間に電圧を印加して表示駆動される。
【0176】そして、このカラー液晶表示装置において
は、その表面側から表側偏光板21を透過して入射した
直線偏光が、第1の位相差板23と液晶セル10と第2
の位相差板24とを順次透過する間に、前記位相差板2
3,24の複屈折効果および液晶セル10の液晶層18
の複屈折効果により偏光状態を変えられて裏側偏光板2
2に入射し、この裏側偏光板22を透過した光が着色光
になる。
【0177】この光の着色について説明すると、液晶表
示装置に入射する外光は、表側偏光板21を透過して直
線偏光となった後に、まず第1の位相差板23に入射す
るが、この位相差板23遅相軸23aが前記表側偏光板
21の透過軸21aに対して所定角度(この実施例では
45°±20°)斜めにずれているため、表側偏光板2
1を透過した直線偏光が、第1の位相差板23を透過す
る間にそのリタデーションの値に応じた複屈折作用を受
け、各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光とな
る。
【0178】また、上記第1の位相差板23を透過した
光は、液晶セル10に入射し、その液晶層18を透過す
る間に、この液晶セル10のΔn・dの値と液晶分子の
配向状態とに応じた複屈折作用を受け、各波長光の楕円
偏光の状態がさらに変化した光になる。
【0179】この場合、この実施例では、液晶セル10
の液晶分子をツイスト角を250°±20°にしている
ため、液晶セル10の液晶層18の複屈折作用は、上述
した第1の実施例よりも大きい。
【0180】さらに、上記液晶セルを透過した光は、第
2の位相差板24に入射し、そのリタデーションの値に
応じた複屈折作用を受けて、各波長光の楕円偏光の状態
がさらに変化した光になる。
【0181】そして、このように、第1の位相差板23
の複屈折効果と液晶セル10の液晶層18の複屈折効果
と第2の位相差板24の複屈折効果とによって各波長光
がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となった光は、裏
側偏光板22に入射し、その光のうち、裏側偏光板22
の透過軸22aに沿った成分の光だけがこの裏側偏光板
22を透過して、この透過光(直線偏光)が、その透過
光を構成する各波長光の光量比に応じた色の着色光にな
る。
【0182】この着色光の色は、一対の偏光板21,2
2の透過軸21a,22aおよび2枚の位相差板23,
24の遅相軸23a,24aの向きと、液晶セル10の
両基板11,12の近傍における液晶分子の配向方向1
1a,12aと、液晶セル10のΔn・dの値と、第1
の位相差板23のリタデーションの値と、第2の位相差
板24のリタデーションの値とを、裏側偏光板22を透
過した光を構成する各波長光の光量比が所望の着色光に
対応した比率になるように設定することによって任意に
選ぶことができる。
【0183】また、裏側偏光板22を透過した着色光
は、反射板25で反射されて上述した光経路と逆の経路
で液晶表示装置の上面側に出射し、この着色光によって
カラー画像が表示される。
【0184】この反射板25で反射された着色光は、位
相差板23,24および液晶セル10の液晶層18の複
屈折効果により各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕
円偏光となった光のうちの、裏側偏光板22の透過軸2
2aに沿った成分の光だけであり、その波長域の域端の
極く僅かな波長成分の光は、第2の位相差板24と液晶
セル10および第1の位相差板23を再び透過する過程
で複屈折されて表側偏光板21で吸収されるため、表側
偏光板21を透過して出射する着色光は、反射板25で
反射された着色光よりもさらに色純度が良くなった光と
なる。
【0185】すなわち、このカラー液晶表示装置は、カ
ラーフィルタを用いずに、2枚の位相差板23,24の
複屈折効果と、液晶セル10の液晶層18の複屈折効果
と、一対の偏光板21,22の偏光作用とを利用して光
を着色するものであり、したがってカラーフィルタによ
る光の吸収がないから、光の透過率を高くすることがで
きる。このため、上記カラー液晶表示装置は、反射型の
ものであっても、非常に明るいカラー表示を得ることが
できる。
【0186】また、このカラー液晶表示装置において
は、上記位相差板23,24の複屈折性はこれら位相差
板23,24のリタデーションの値によって決まるが、
液晶セル10の液晶層18の複屈折性が、その両基板1
1,12の電極13,14間に印加される電圧に応じた
液晶分子の配向状態の変化によって変化し、それに応じ
て上記裏側偏光板22に入射する各波長光の偏光状態が
変化するため、液晶セル10への印加電圧を制御するこ
とによって上記着色光の色を変化させることができ、し
たがって、同じ箇所、つまり同じ画素で、複数の色を表
示することができる。
【0187】このカラー液晶表示装置の表示色は、一対
の偏光板21,22の透過軸21a,22aおよび2枚
の位相差板23,24の遅相軸23a,24aの向き
と、液晶セル10の両基板11,12の近傍における液
晶分子の配向方向11a,12aと、液晶セル10のΔ
n・dの値および位相差板23,24のリタデーション
の値と、液晶セル10への印加電圧値とによって決ま
る。
【0188】このカラー液晶表示装置の表示色について
説明すると、図10に示したように、液晶セル10の液
晶分子のツイスト角が250°±20°、表側偏光板2
1の透過軸21aと前記表側偏光板21に隣接する第1
の位相差板23の遅相軸23aとのずれ角が45°±2
0°であって、液晶セル10の裏側基板12の近傍にお
ける液晶分子の配向方向12aを基準方向としたとき、
表側偏光板21の透過軸21aが前記基準方向に対し表
面側から見て液晶セル10の液晶分子ツイスト方向と同
方向に80°±10°の方向、裏偏光板22の透過軸2
2aが前記基準方向に対し表面側から見て前記液晶分子
ツイスト方向と同方向に45°±10°の方向、前記第
1の位相差板23の遅相軸23aが前記基準方向に対し
表面側から見て前記液晶分子ツイスト方向と同方向に3
5°±10°の方向、前記裏偏光板22に隣接する第2
の位相差板24の遅相軸24aが前記基準方向に対し表
面側から見て前記液晶分子ツイスト方向と逆方向に10
°±10°の方向にあり、液晶セル10のΔn・dの値
が1300nm±100nm、第1の位相差板23のリ
タデーションの値が1500nm±30nm、第2の位
相差板24のリタデーションの値が1500nm±30
nmである場合、液晶セル10への印加電圧と表示色の
関係は次のようになる。なお、ここで、印加電圧値は実
効値であり、表示色は、液晶表示装置の表示を真正面か
ら見たときの色である。
【0189】 (印加電圧) (表示色) 2.32v以下 赤紫 2.42〜2.60v 白 2.98〜3.02v 青紫 3.5v以上 黒 このように、上記カラー液晶表示装置の表示色は、液晶
セル10に印加する電圧を高くしていくのにともなっ
て、赤紫→白→青紫→黒の順に変化する。
【0190】しかも、上記カラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は光の入射角
によって変化するが、位相差板23,24の複屈折性は
光の入射角が変化してもほとんど変わらないし、また、
前記位相差板23,24がいずれも、その遅相軸23
a,24aであるx軸方向の屈折率nx と、y軸方向の
屈折率ny およびz軸方向の屈折率nz とが、nx >n
z >ny の関係にある二軸性位相差板であるため、光が
液晶セル10の液晶層18を垂直に透過したときと斜め
に透過したときとの位相差が前記二軸性位相差板23,
24によって補償されるから、視野角が広くなる。
【0191】この視野角の広さは、第1の実施例におい
て説明した通りであり、前記位相差板23に通常の一軸
性位相差板を用いたのでは、視角によって表示色がある
程度変化してしまうが、二軸性位相差板は光の入射角に
対する位相差の変化が小さいため、この二軸性位相差板
を用いれば、視角による表示色の変化、つまり表示色の
視角依存性がかなり小さくなる。
【0192】さらに、このカラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は温度によっ
て変化するが、位相差板23,24の温度による複屈折
性の変化は極く小さいため、液晶セル10の液晶層18
と位相差板23,24との全体の複屈折性は、温度依存
性の小さい特性である。
【0193】そして、この実施例では、2枚の二軸性位
相差板23,24を用いているため、1枚の二軸性位相
差板を用いている上述した第1〜第3の実施例よりも、
光が液晶セル10の液晶層18を垂直に透過したときと
斜めに透過したときとの位相差が2枚の二軸性位相差板
23,24によってより効果的に補償されるから、視野
角がさらに広くなるし、また、液晶セルの液晶層と2枚
の位相差板との全体の複屈折性が、さらに温度依存性の
小さい特性になるため、温度による表示色の色変化もよ
り小さくすることができる。
【0194】なお、上記実施例では、液晶セル10の液
晶分子のツイスト角を250°±20°(望ましくは2
50°±10°)としたが、このツイスト角は、180
°〜270°の範囲であればよい。
【0195】また、上記実施例のカラー液晶表示装置
は、その裏面に反射板25を設けた反射型のものである
が、この液晶表示装置は、前記反射板25をなくして透
過型装置として使用することも可能である。
【0196】[第5の実施例]次に、本発明の第5の実
施例を図11および図12を参照して説明する。この実
施例のカラー液晶表示装置は、液晶分子のツイスト角が
180°〜270°の液晶セルと2枚の二軸性位相差板
を用いたものである。
【0197】図11はカラー液晶表示装置の断面図であ
り、この液晶表示装置は、液晶セル10と、この液晶セ
ル10をはさんでその表面側(図において上面側)と裏
面側(図において下面側)に配置された一対の偏光板2
1,22と、液晶セル10の表面側に配置された表側偏
光板21と前記液晶セル10との間に互いに重ねて配置
された2枚の位相差板23,24と、前記裏側偏光板2
2の背後に配置された反射板25とからなっている。
【0198】上記液晶セル10は、液晶分子のツイスト
角が180°〜270°のものであり、この実施例で
は、液晶分子のツイスト角を250°±20°にしてい
る。なお、この液晶セル10の基本的な構成は上述した
第1の実施例における液晶セルと同じであるから、重複
する説明は図に同符号を付して省略する。
【0199】また、上記2枚の位相差板23,24は、
いずれも、その遅相軸であるx軸方向の屈折率nx と、
y軸方向の屈折率ny およびz軸方向の屈折率nz
が、nx >nz >ny の関係にある二軸性位相板であ
る。
【0200】図12は、この実施例のカラー液晶表示装
置における、液晶セル10の液晶分子配向方向と、偏光
板21,22の透過軸の向きと、位相差板23,24の
遅相軸の向きとを示す表面側から見た図である。
【0201】この図12のように、液晶セル10の裏側
基板12の近傍における液晶分子の配向方向12aは、
液晶セル10の横軸Sに対し、表面側から見て左回りに
35°±10°の方向、表側基板11の近傍における液
晶分子の配向方向11aは、前記裏側基板12の近傍に
おける液晶分子の配向方向12aに対し、表面側から見
て右回りに70°±10°の方向にあり、液晶分子は、
裏側基板12側から表側基板11側に向かい表面側から
見て右回りに250°±20°(望ましくは250°±
10°)のツイスト角でツイスト配向している。
【0202】また、この実施例では、表側偏光板21の
透過軸21aと、裏側偏光板22の透過軸22aとを次
のような向きにするとともに、上記2枚の位相差板23
のうちの表側偏光板21に隣接する第1の位相差板23
の遅相軸23aを、前記表側偏光板21の透過軸21a
に対して所定角度斜めにずらし、液晶セル10に隣接す
る第2の位相差板24の遅相軸24aを次のような向き
にしている。
【0203】すなわち、表側偏光板21の透過軸21a
は、液晶セル10の裏側基板12の近傍における液晶分
子の配向方向12aを基準方向(0°の方向)としたと
き、この基準方向に対して、表面側から見て液晶セル1
0の液晶分子ツイスト方向と逆方向(左回り)に50°
±10°の方向にあり、裏側偏光板22の透過軸22a
は、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と同方向(右回り)に45°±10°の
方向にある。
【0204】また、第1の位相差板23の遅相軸23a
は、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と同方向に25°±10°の方向にあ
り、この位相差板23の遅相軸23aは、表側偏光板2
1の透過軸21aに対し、表面側から見て前記液晶分子
ツイスト方向と逆方向に75°±20°ずれている。
【0205】さらに、第2の位相差板24の遅相軸24
aは、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶
分子ツイスト方向と逆方向に15°±10°の方向にあ
る。この第2の位相差板24の遅相軸24aと、前記第
1の位相差板23の遅相軸23aとのずれ角は40°±
20°である。
【0206】そして、この実施例では、上記液晶セル1
0として、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積
Δn・dの値が1350nm±100nm(1250n
m〜1450nm)のものを用いている。
【0207】また、この実施例では、上記第1の二軸性
位相差板23として、リタデーションの値が1600n
m±30nm(1570nm〜1630nm)、Nz 値
[Nz =(nx −nz )/(nx −ny )]が0.3〜
0.7(望ましくは0.45±0.1)のものを用い、
第2の二軸性位相差板24として、リタデーションの値
が1550nm±30nm(1520nm〜1580n
m)、Nz 値が0.3〜0.7(望ましくは0.45±
0.1)のものを用いている。
【0208】この実施例のカラー液晶表示装置は、表面
側から入射する外光を裏面側の反射板25で反射させて
表示するものであり、液晶セル10の両基板11,12
の電極13,14間に電圧を印加して表示駆動される。
【0209】そして、このカラー液晶表示装置において
は、その表面側から表側偏光板21を透過して入射した
直線偏光が、第1の位相差板23と第2の位相差板24
と液晶セル10とを順次透過する間に、前記位相差板2
3,24の複屈折効果および液晶セル10の液晶層18
の複屈折効果により偏光状態を変えられて裏側偏光板2
2に入射し、この裏側偏光板22を透過した光が着色光
になる。
【0210】この光の着色について説明すると、液晶表
示装置に入射する外光は、表側偏光板21を透過して直
線偏光となった後に、まず第1の位相差板23に入射す
るが、この位相差板23遅相軸23aが前記表側偏光板
21の透過軸21aに対して所定角度(この実施例では
50°±20°)斜めにずれているため、表側偏光板2
1を透過した直線偏光が、第1の位相差板23を透過す
る間にそのリタデーションの値に応じた複屈折作用を受
け、各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光とな
る。
【0211】また、上記第1の位相差板23を透過した
光は、第2の位相差板24に入射し、そのリタデーショ
ンの値に応じた複屈折作用を受けて、各波長光の楕円偏
光の状態がさらに変化した光になる。
【0212】さらに、上記第2の位相差板24を透過し
た光は、液晶セル10に入射し、その液晶層18を透過
する間に、この液晶セル10のΔn・dの値と液晶分子
の配向状態とに応じた複屈折作用を受け、各波長光の楕
円偏光の状態がさらに変化した光になる。
【0213】この場合、この実施例では、液晶セル10
の液晶分子をツイスト角を250°±20°にしている
ため、液晶セル10の液晶層18の複屈折作用は、上述
した第1の実施例よりも大きい。
【0214】そして、このように、第1の位相差板23
の複屈折効果と第2の位相差板24の複屈折効果と液晶
セル10の液晶層18の複屈折効果とによって各波長光
がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となった光は、裏
側偏光板22に入射し、その光のうち、裏側偏光板22
の透過軸22aに沿った成分の光だけがこの裏側偏光板
22を透過して、この透過光(直線偏光)が、その透過
光を構成する各波長光の光量比に応じた色の着色光にな
る。
【0215】この着色光の色は、一対の偏光板21,2
2の透過軸21a,22aおよび2枚の位相差板23,
24の遅相軸23a,24aの向きと、液晶セル10の
両基板11,12の近傍における液晶分子の配向方向1
1a,12aと、液晶セル10のΔn・dの値と、第1
の位相差板23のリタデーションの値と、第2の位相差
板24のリタデーションの値とを、裏側偏光板22を透
過した光を構成する各波長光の光量比が所望の着色光に
対応した比率になるように設定することによって任意に
選ぶことができる。
【0216】また、裏側偏光板22を透過した着色光
は、反射板25で反射されて上述した光経路と逆の経路
で液晶表示装置の上面側に出射し、この着色光によって
カラー画像が表示される。
【0217】この反射板25で反射された着色光は、位
相差板23,24および液晶セル10の液晶層18の複
屈折効果により各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕
円偏光となった光のうちの、裏側偏光板22の透過軸2
2aに沿った成分の光だけであり、その波長域の域端の
極く僅かな波長成分の光は、液晶セル10と第2の位相
差板24および第1の位相差板23を再び透過する過程
で複屈折されて表側偏光板21で吸収されるため、表側
偏光板21を透過して出射する着色光は、反射板25で
反射された着色光よりもさらに色純度が良くなった光と
なる。
【0218】すなわち、このカラー液晶表示装置は、カ
ラーフィルタを用いずに、2枚の位相差板23,24の
複屈折効果と、液晶セル10の液晶層18の複屈折効果
と、一対の偏光板21,22の偏光作用とを利用して光
を着色するものであり、したがってカラーフィルタによ
る光の吸収がないから、光の透過率を高くすることがで
きる。このため、上記カラー液晶表示装置は、反射型の
ものであっても、非常に明るいカラー表示を得ることが
できる。
【0219】また、このカラー液晶表示装置において
は、上記位相差板23,24の複屈折性はこれら位相差
板23,24のリタデーションの値によって決まるが、
液晶セル10の液晶層18の複屈折性が、その両基板1
1,12の電極13,14間に印加される電圧に応じた
液晶分子の配向状態の変化によって変化し、それに応じ
て上記裏側偏光板22に入射する各波長光の偏光状態が
変化するため、液晶セル10への印加電圧を制御するこ
とによって上記着色光の色を変化させることができ、し
たがって、同じ箇所、つまり同じ画素で、複数の色を表
示することができる。
【0220】このカラー液晶表示装置の表示色は、一対
の偏光板21,22の透過軸21a,22aおよび2枚
の位相差板23,24の遅相軸23a,24aの向き
と、液晶セル10の両基板11,12の近傍における液
晶分子の配向方向11a,12aと、液晶セル10のΔ
n・dの値および位相差板23,24のリタデーション
の値と、液晶セル10への印加電圧値とによって決ま
る。
【0221】このカラー液晶表示装置の表示色について
説明すると、図12に示したように、液晶セル10の液
晶分子のツイスト角が250°±20°、表側偏光板2
1の透過軸21aと前記表側偏光板21に隣接する第1
の位相差板23の遅相軸23aとのずれ角が75°±2
0°であって、液晶セル10の裏側基板12の近傍にお
ける液晶分子の配向方向12aを基準方向としたとき、
表側偏光板21の透過軸21aが前記基準方向に対し表
面側から見て液晶セル10の液晶分子ツイスト方向と逆
方向に50°±10°の方向、裏偏光板22の透過軸2
2aが前記基準方向に対し表面側から見て前記液晶分子
ツイスト方向と同方向に45°±10°の方向、前記第
1の位相差板23の遅相軸23aが前記基準方向に対し
表面側から見て前記液晶分子ツイスト方向と同方向に2
5°±10°の方向、前記液晶セル10に隣接する第2
の位相差板24の遅相軸24aが前記基準方向に対し表
面側から見て前記液晶分子ツイスト方向と逆方向に15
°±10°の方向にあり、液晶セル10のΔn・dの値
がほぼ1390nm、第1の位相差板23のリタデーシ
ョンの値が1600nm±30nm、第2の位相差板2
4のリタデーションの値が1550nm±30nmであ
る場合、液晶セル10への印加電圧と表示色の関係は次
のようになる。なお、ここで、印加電圧値は実効値であ
り、表示色は、液晶表示装置の表示を真正面から見たと
きの色である。
【0222】 (印加電圧) (表示色) 2.04v以下 白 2.15〜2.17v 赤 2.18〜2.22v 青 2.26v以上 緑 このように、上記カラー液晶表示装置の表示色は、液晶
セル10に印加する電圧を高くしていくのにともなっ
て、白→赤→青→緑の順に変化する。
【0223】なお、ここでは、液晶セル10のΔn・d
の値をほぼ1390nmとしたが、このΔn・dの値が
1250nm〜1450nm(1350nm±100n
m)の範囲であれば、上記白,赤,青,緑の表示色が得
られる。
【0224】しかも、上記カラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は光の入射角
によって変化するが、位相差板23,24の複屈折性は
光の入射角が変化してもほとんど変わらないし、また、
前記位相差板23,24がいずれも、その遅相軸23
a,24aであるx軸方向の屈折率nx と、y軸方向の
屈折率ny およびz軸方向の屈折率nz とが、nx >n
z >ny の関係にある二軸性位相差板であるため、光が
液晶セル10の液晶層18を垂直に透過したときと斜め
に透過したときとの位相差が前記二軸性位相差板23,
24によって補償されるから、視野角が広くなる。
【0225】この視野角の広さは、第1の実施例におい
て説明した通りであり、前記位相差板23に通常の一軸
性位相差板を用いたのでは、視角によって表示色がある
程度変化してしまうが、二軸性位相差板は光の入射角に
対する位相差の変化が小さいため、この二軸性位相差板
を用いれば、視角による表示色の変化、つまり表示色の
視角依存性がかなり小さくなる。
【0226】さらに、このカラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は温度によっ
て変化するが、位相差板23,24の温度による複屈折
性の変化は極く小さいため、液晶セル10の液晶層18
と位相差板23,24との全体の複屈折性は、温度依存
性の小さい特性である。
【0227】そして、この実施例では、2枚の二軸性位
相差板23,24を用いているため、1枚の二軸性位相
差板を用いている上述した第1〜第3の実施例よりも、
光が液晶セル10の液晶層18を垂直に透過したときと
斜めに透過したときとの位相差が2枚の二軸性位相差板
23,24によってより効果的に補償されるから、視野
角がさらに広くなるし、また、液晶セルの液晶層と2枚
の位相差板との全体の複屈折性が、さらに温度依存性の
小さい特性になるため、温度による表示色の色変化もよ
り小さくすることができる。
【0228】なお、上記実施例では、液晶セル10の液
晶分子のツイスト角を250°±20°(望ましくは2
50°±10°)としたが、このツイスト角は、180
°〜270°の範囲であればよい。
【0229】また、上記実施例のカラー液晶表示装置
は、その裏面に反射板25を設けた反射型のものである
が、この液晶表示装置は、前記反射板25をなくして透
過型装置として使用することも可能である。
【0230】[第6の実施例]なお、上記第5の実施例
では、液晶セル10のΔn・dの値を1250nm〜1
450nmとしたが、この液晶分子のΔn・dの値は、
1490nm以上と大きくしてもよい。
【0231】図13は、本発明の第6の実施例を示す、
液晶セル10の液晶分子配向方向と、偏光板21,22
の透過軸の向きと、位相差板23,24の遅相軸の向き
とを示す表面側から見た図である。
【0232】なお、この実施例のカラー液晶表示装置
は、液晶セル10のΔn・dの値を1490nm以上と
大きくしたものであるが、表示装置全体の基本的な構成
は図11に示したものと同じであるから、その説明は省
略する。
【0233】この実施例では、図13のように、液晶セ
ル10の裏側基板12の近傍における液晶分子の配向方
向12aを、液晶セル10の横軸Sに対し、表面側から
見て左回りに30°±10°の方向、表側基板11の近
傍における液晶分子の配向方向11aを、前記裏側基板
12の近傍における液晶分子の配向方向12aに対し、
表面側から見て右回りに60°±10°の方向にし、液
晶分子を、裏側基板12側から表側基板11側に向かい
表面側から見て右回りに240°±20°(望ましくは
240°±10°)のツイスト角でツイスト配向させて
いる。
【0234】また、この実施例では、表側偏光板21の
透過軸21aと、裏側偏光板22の透過軸22aとを次
のような向きにするとともに、上記2枚の位相差板23
のうちの表側偏光板21に隣接する第1の位相差板23
の遅相軸23aを、前記表側偏光板21の透過軸21a
に対して所定角度斜めにずらし、液晶セル10に隣接す
る第2の位相差板24の遅相軸24aを次のような向き
にしている。
【0235】すなわち、表側偏光板21の透過軸21a
は、液晶セル10の裏側基板12の近傍における液晶分
子の配向方向12aを基準方向(0°の方向)としたと
き、この基準方向に対して、表面側から見て液晶セル1
0の液晶分子ツイスト方向と逆方向(左回り)に50°
±10°の方向にあり、裏側偏光板22の透過軸22a
は、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と逆方向に45°±10°の方向にあ
る。
【0236】また、第1の位相差板23の遅相軸23a
は、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と同方向(右回り)に30°±10°の
方向にあり、この位相差板23の遅相軸23aは、表側
偏光板21の透過軸21aに対し、表面側から見て前記
液晶分子ツイスト方向と逆方向に80°±20°ずれて
いる。
【0237】さらに、第2の位相差板24の遅相軸24
aは、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶
分子ツイスト方向と逆方向に20°±10°の方向にあ
る。この第2の位相差板24の遅相軸24aと、前記第
1の位相差板23の遅相軸23aとのずれ角は50°±
20°である。
【0238】そして、この実施例では、上記液晶セル1
0として、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積
Δn・dの値が1490nm以上、例えば、1490n
m〜1590nm)のものを用いている。
【0239】また、この実施例では、上記第1の二軸性
位相差板23として、リタデーションの値が1600n
m±30nm(1570nm〜1630nm)のものを
用い、第2の二軸性位相差板24として、リタデーショ
ンの値が1450nm±30nm(1420nm〜15
30nm)のものを用いている。
【0240】この実施例のカラー液晶表示装置は、表面
側から入射する外光を裏面側の反射板25で反射させて
表示するものであり、液晶セル10の両基板11,12
の電極13,14間に電圧を印加して表示駆動される。
【0241】そして、このカラー液晶表示装置において
は、その表面側から表側偏光板21を透過して入射した
直線偏光が、第1の位相差板23と第2の位相差板24
と液晶セル10とを順次透過する間に、前記位相差板2
3,24の複屈折効果および液晶セル10の液晶層18
の複屈折効果により偏光状態を変えられて裏側偏光板2
2に入射し、この裏側偏光板22を透過した光が着色光
になる。
【0242】この光の着色について説明すると、液晶表
示装置に入射する外光は、表側偏光板21を透過して直
線偏光となった後に、まず第1の位相差板23に入射す
るが、この位相差板23遅相軸23aが前記表側偏光板
21の透過軸21aに対して所定角度(この実施例では
80°±20°)斜めにずれているため、表側偏光板2
1を透過した直線偏光が、第1の位相差板23を透過す
る間にそのリタデーションの値に応じた複屈折作用を受
け、各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光とな
る。
【0243】また、上記第1の位相差板23を透過した
光は、第2の位相差板24に入射し、そのリタデーショ
ンの値に応じた複屈折作用を受けて、各波長光の楕円偏
光の状態がさらに変化した光になる。
【0244】さらに、上記第2の位相差板24を透過し
た光は、液晶セル10に入射し、その液晶層18を透過
する間に、この液晶セル10のΔn・dの値と液晶分子
の配向状態とに応じた複屈折作用を受け、各波長光の楕
円偏光の状態がさらに変化した光になる。
【0245】この場合、この実施例では、液晶セル10
の液晶分子をツイスト角を240°±20°にしている
ため、液晶セル10の液晶層18の複屈折作用は、上述
した第1の実施例よりも大きい。
【0246】そして、このように、第1の位相差板23
の複屈折効果と第2の位相差板24の複屈折効果と液晶
セル10の液晶層18の複屈折効果とによって各波長光
がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となった光は、裏
側偏光板22に入射し、その光のうち、裏側偏光板22
の透過軸22aに沿った成分の光だけがこの裏側偏光板
22を透過して、この透過光(直線偏光)が、その透過
光を構成する各波長光の光量比に応じた色の着色光にな
る。
【0247】この着色光の色は、一対の偏光板21,2
2の透過軸21a,22aおよび2枚の位相差板23,
24の遅相軸23a,24aの向きと、液晶セル10の
両基板11,12の近傍における液晶分子の配向方向1
1a,12aと、液晶セル10のΔn・dの値と、第1
の位相差板23のリタデーションの値と、第2の位相差
板24のリタデーションの値とを、裏側偏光板22を透
過した光を構成する各波長光の光量比が所望の着色光に
対応した比率になるように設定することによって任意に
選ぶことができる。
【0248】また、裏側偏光板22を透過した着色光
は、反射板25で反射されて上述した光経路と逆の経路
で液晶表示装置の上面側に出射し、この着色光によって
カラー画像が表示される。
【0249】この反射板25で反射された着色光は、位
相差板23,24および液晶セル10の液晶層18の複
屈折効果により各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕
円偏光となった光のうちの、裏側偏光板22の透過軸2
2aに沿った成分の光だけであり、その波長域の域端の
極く僅かな波長成分の光は、液晶セル10と第2の位相
差板24および第1の位相差板23を再び透過する過程
で複屈折されて表側偏光板21で吸収されるため、表側
偏光板21を透過して出射する着色光は、反射板25で
反射された着色光よりもさらに色純度が良くなった光と
なる。
【0250】すなわち、このカラー液晶表示装置は、カ
ラーフィルタを用いずに、2枚の位相差板23,24の
複屈折効果と、液晶セル10の液晶層18の複屈折効果
と、一対の偏光板21,22の偏光作用とを利用して光
を着色するものであり、したがってカラーフィルタによ
る光の吸収がないから、光の透過率を高くすることがで
きる。このため、上記カラー液晶表示装置は、反射型の
ものであっても、非常に明るいカラー表示を得ることが
できる。
【0251】また、このカラー液晶表示装置において
は、上記位相差板23,24の複屈折性はこれら位相差
板23,24のリタデーションの値によって決まるが、
液晶セル10の液晶層18の複屈折性が、その両基板1
1,12の電極13,14間に印加される電圧に応じた
液晶分子の配向状態の変化によって変化し、それに応じ
て上記裏側偏光板22に入射する各波長光の偏光状態が
変化するため、液晶セル10への印加電圧を制御するこ
とによって上記着色光の色を変化させることができ、し
たがって、同じ箇所、つまり同じ画素で、複数の色を表
示することができる。
【0252】上記カラー液晶表示装置の表示色は、一対
の偏光板21,22の透過軸21a,22aおよび2枚
の位相差板23,24の遅相軸23a,24aの向き
と、液晶セル10の両基板11,12の近傍における液
晶分子の配向方向11a,12aと、液晶セル10のΔ
n・dの値および位相差板23,24のリタデーション
の値と、液晶セル10への印加電圧値とによって決まる
が、この実施例のカラー液晶表示装置では、液晶セルの
Δn・dの値を1490nm〜1590nmと大きくし
ているため、その液晶層18の印加電圧に対する複屈折
性の変化が大きく、したがって、表示色数を多くするこ
とができる。
【0253】このカラー液晶表示装置の表示色について
説明すると、図13に示したように、液晶セル10の液
晶分子のツイスト角が240°±20°、表側偏光板2
1の透過軸21aと前記表側偏光板21に隣接する第1
の位相差板23の遅相軸23aとのずれ角が80°±2
0°であって、液晶セル10の裏側基板12の近傍にお
ける液晶分子の配向方向12aを基準方向としたとき、
表側偏光板21の透過軸21aが前記基準方向に対し表
面側から見て液晶セル10の液晶分子ツイスト方向と逆
方向に50°±10°の方向、裏偏光板22の透過軸2
2aが前記基準方向に対し表面側から見て前記液晶分子
ツイスト方向と逆方向に45°±10°の方向、前記第
1の位相差板23の遅相軸23aが前記基準方向に対し
表面側から見て前記液晶分子ツイスト方向と同方向に3
0°±10°の方向、前記液晶セル10に隣接する第2
の位相差板24の遅相軸24aが前記基準方向に対し表
面側から見て前記液晶分子ツイスト方向と逆方向に20
°±10°の方向にあり、液晶セル10のΔn・dの値
が1490nm〜1590nm、第1の位相差板23の
リタデーションの値が1600nm±30nm、第2の
位相差板24のリタデーションの値が1450nm±3
0nmである場合、液晶セル10への印加電圧と表示色
の関係は次のようになる。なお、ここで、印加電圧値は
実効値であり、表示色は、液晶表示装置の表示を真正面
から見たときの色である。
【0254】 (印加電圧) (表示色) 1.30v以下 白 1.81〜2.10v 黒 2.11〜2.20v 青 2.21〜2.60v 黄緑 2.61v以上 ピンク 図14は上記カラー液晶表示装置の表示色の変化を示す
CIE色度図であり、このカラー液晶表示装置の表示色
は、液晶セル10に印加する電圧を高くしていくのにと
もなって、白→黒→青→黄緑→ピンクの順に変化する。
【0255】また、図15は、上記カラー液晶表示装置
における液晶セル10への印加電圧と、赤R,緑G,青
Bの各色の波長域の光の出射率と、表示色との関係を示
している。
【0256】この図15のように、上記カラー液晶表示
装置は、“白”を表示させる電圧を印加したときの赤
R,緑G,青Bの各波長域光の出射率がほぼ同じで、か
つその値が充分高く、したがって、ほぼ完全な無彩色の
明るい“白”を表示できるし、また、“黒”を表示させ
る電圧を印加したときの赤R,緑G,青Bの各波長域の
光の出射率がほぼ同じで、かつその値が充分低いため、
純度の高い“黒”を表示することができる。
【0257】しかも、上記カラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は光の入射角
によって変化するが、位相差板23,24の複屈折性は
光の入射角が変化してもほとんど変わらないし、また、
前記位相差板23,24がいずれも、その遅相軸23
a,24aであるx軸方向の屈折率nx と、y軸方向の
屈折率ny およびz軸方向の屈折率nz とが、nx >n
z >ny の関係にある二軸性位相差板であるため、光が
液晶セル10の液晶層18を垂直に透過したときと斜め
に透過したときとの位相差が前記二軸性位相差板23,
24によって補償されるから、視野角が広くなる。
【0258】この視野角の広さは、第1の実施例におい
て説明した通りであり、前記位相差板23に通常の一軸
性位相差板を用いたのでは、視角によって表示色がある
程度変化してしまうが、二軸性位相差板は光の入射角に
対する位相差の変化が小さいため、この二軸性位相差板
を用いれば、視角による表示色の変化、つまり表示色の
視角依存性がかなり小さくなる。
【0259】さらに、このカラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は温度によっ
て変化するが、位相差板23,24の温度による複屈折
性の変化は極く小さいため、液晶セル10の液晶層18
と位相差板23,24との全体の複屈折性は、温度依存
性の小さい特性である。
【0260】そして、この実施例では、2枚の二軸性位
相差板23,24を用いているため、1枚の二軸性位相
差板を用いている上述した第1〜第3の実施例よりも、
光が液晶セル10の液晶層18を垂直に透過したときと
斜めに透過したときとの位相差が2枚の二軸性位相差板
23,24によってより効果的に補償されるから、視野
角がさらに広くなるし、また、液晶セルの液晶層と2枚
の位相差板との全体の複屈折性が、さらに温度依存性の
小さい特性になるため、温度による表示色の色変化もよ
り小さくすることができる。
【0261】なお、上記実施例では、液晶セル10の液
晶分子のツイスト角を240°±20°(望ましくは2
40°±10°)としたが、このツイスト角は、180
°〜270°の範囲であればよい。
【0262】また、上記実施例のカラー液晶表示装置
は、その裏面に反射板25を設けた反射型のものである
が、この液晶表示装置は、前記反射板25をなくして透
過型装置として使用することも可能である。
【0263】[第7の実施例]なお、上記第6の実施例
では、液晶セル10のΔn・dの値を1490nm〜1
590nmとしたが、この液晶分子のΔn・dの値は、
1520nm以上とさらに大きくしてもよい。
【0264】図16は、本発明の第7の実施例を示す、
液晶セル10の液晶分子配向方向と、偏光板21,22
の透過軸の向きと、位相差板23,24の遅相軸の向き
とを示す表面側から見た図である。
【0265】なお、この実施例のカラー液晶表示装置
は、液晶セル10のΔn・dの値を1520nm以上と
大きくしたものであるが、表示装置全体の基本的な構成
は図11に示したものと同じであるから、その説明は省
略する。
【0266】この実施例では、図16のように、液晶セ
ル10の裏側基板12の近傍における液晶分子の配向方
向12aを、液晶セル10の横軸Sに対し、表面側から
見て左回りに35°±10°の方向、表側基板11の近
傍における液晶分子の配向方向11aを、前記裏側基板
12の近傍における液晶分子の配向方向12aに対し、
表面側から見て右回りに70°±10°の方向にし、液
晶分子を、裏側基板12側から表側基板11側に向かい
表面側から見て右回りに250°±20°(望ましくは
250°±10°)のツイスト角でツイスト配向させて
いる。
【0267】また、この実施例では、表側偏光板21の
透過軸21aと、裏側偏光板22の透過軸22aとを次
のような向きにするとともに、上記2枚の位相差板23
のうちの表側偏光板21に隣接する第1の位相差板23
の遅相軸23aを、前記表側偏光板21の透過軸21a
に対して所定角度斜めにずらし、液晶セル10に隣接す
る第2の位相差板24の遅相軸24aを次のような向き
にしている。
【0268】すなわち、表側偏光板21の透過軸21a
は、液晶セル10の裏側基板12の近傍における液晶分
子の配向方向12aを基準方向(0°の方向)としたと
き、この基準方向に対して、表面側から見て液晶セル1
0の液晶分子ツイスト方向と逆方向(左回り)に50°
±10°の方向にあり、裏側偏光板22の透過軸22a
は、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と同方向(右回り)に45°±10°の
方向にある。
【0269】また、第1の位相差板23の遅相軸23a
は、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と同方向に25°±10°の方向にあ
り、この位相差板23の遅相軸23aは、表側偏光板2
1の透過軸21aに対し、表面側から見て前記液晶分子
ツイスト方向と逆方向に75°±20°ずれている。
【0270】さらに、第2の位相差板24の遅相軸24
aは、上記基準方向に対して、表面側から見て前記液晶
分子ツイスト方向と逆方向に15°±10°の方向にあ
る。この第2の位相差板24の遅相軸24aと、前記第
1の位相差板23の遅相軸23aとのずれ角は40°±
20°である。
【0271】そして、この実施例では、上記液晶セル1
0として、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積
Δn・dの値が1530nm以上、例えば、1530n
m〜1730nm)のものを用いている。
【0272】また、この実施例では、上記第1の二軸性
位相差板23として、リタデーションの値が1600n
m±30nm(1570nm〜1630nm)のものを
用い、第2の二軸性位相差板24として、リタデーショ
ンの値が1550nm±30nm(1520nm〜15
80nm)のものを用いている。
【0273】この実施例のカラー液晶表示装置は、表面
側から入射する外光を裏面側の反射板25で反射させて
表示するものであり、液晶セル10の両基板11,12
の電極13,14間に電圧を印加して表示駆動される。
【0274】そして、このカラー液晶表示装置において
は、その表面側から表側偏光板21を透過して入射した
直線偏光が、第1の位相差板23と第2の位相差板24
と液晶セル10とを順次透過する間に、前記位相差板2
3,24の複屈折効果および液晶セル10の液晶層18
の複屈折効果により偏光状態を変えられて裏側偏光板2
2に入射し、この裏側偏光板22を透過した光が着色光
になる。
【0275】この光の着色について説明すると、液晶表
示装置に入射する外光は、表側偏光板21を透過して直
線偏光となった後に、まず第1の位相差板23に入射す
るが、この位相差板23遅相軸23aが前記表側偏光板
21の透過軸21aに対して所定角度(この実施例では
75°±20°)斜めにずれているため、表側偏光板2
1を透過した直線偏光が、第1の位相差板23を透過す
る間にそのリタデーションの値に応じた複屈折作用を受
け、各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光とな
る。
【0276】また、上記第1の位相差板23を透過した
光は、第2の位相差板24に入射し、そのリタデーショ
ンの値に応じた複屈折作用を受けて、各波長光の楕円偏
光の状態がさらに変化した光になる。
【0277】さらに、上記第2の位相差板24を透過し
た光は、液晶セル10に入射し、その液晶層18を透過
する間に、この液晶セル10のΔn・dの値と液晶分子
の配向状態とに応じた複屈折作用を受け、各波長光の楕
円偏光の状態がさらに変化した光になる。
【0278】この場合、この実施例では、液晶セル10
の液晶分子をツイスト角を250°±20°にしている
ため、液晶セル10の液晶層18の複屈折作用は、上述
した第1の実施例よりも大きい。
【0279】そして、このように、第1の位相差板23
の複屈折効果と第2の位相差板24の複屈折効果と液晶
セル10の液晶層18の複屈折効果とによって各波長光
がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となった光は、裏
側偏光板22に入射し、その光のうち、裏側偏光板22
の透過軸22aに沿った成分の光だけがこの裏側偏光板
22を透過して、この透過光(直線偏光)が、その透過
光を構成する各波長光の光量比に応じた色の着色光にな
る。
【0280】この着色光の色は、一対の偏光板21,2
2の透過軸21a,22aおよび2枚の位相差板23,
24の遅相軸23a,24aの向きと、液晶セル10の
両基板11,12の近傍における液晶分子の配向方向1
1a,12aと、液晶セル10のΔn・dの値と、第1
の位相差板23のリタデーションの値と、第2の位相差
板24のリタデーションの値とを、裏側偏光板22を透
過した光を構成する各波長光の光量比が所望の着色光に
対応した比率になるように設定することによって任意に
選ぶことができる。
【0281】また、裏側偏光板22を透過した着色光
は、反射板25で反射されて上述した光経路と逆の経路
で液晶表示装置の上面側に出射し、この着色光によって
カラー画像が表示される。
【0282】この反射板25で反射された着色光は、位
相差板23,24および液晶セル10の液晶層18の複
屈折効果により各波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕
円偏光となった光のうちの、裏側偏光板22の透過軸2
2aに沿った成分の光だけであり、その波長域の域端の
極く僅かな波長成分の光は、液晶セル10と第2の位相
差板24および第1の位相差板23を再び透過する過程
で複屈折されて表側偏光板21で吸収されるため、表側
偏光板21を透過して出射する着色光は、反射板25で
反射された着色光よりもさらに色純度が良くなった光と
なる。
【0283】すなわち、このカラー液晶表示装置は、カ
ラーフィルタを用いずに、2枚の位相差板23,24の
複屈折効果と、液晶セル10の液晶層18の複屈折効果
と、一対の偏光板21,22の偏光作用とを利用して光
を着色するものであり、したがってカラーフィルタによ
る光の吸収がないから、光の透過率を高くすることがで
きる。このため、上記カラー液晶表示装置は、反射型の
ものであっても、非常に明るいカラー表示を得ることが
できる。
【0284】また、このカラー液晶表示装置において
は、上記位相差板23,24の複屈折性はこれら位相差
板23,24のリタデーションの値によって決まるが、
液晶セル10の液晶層18の複屈折性が、その両基板1
1,12の電極13,14間に印加される電圧に応じた
液晶分子の配向状態の変化によって変化し、それに応じ
て上記裏側偏光板22に入射する各波長光の偏光状態が
変化するため、液晶セル10への印加電圧を制御するこ
とによって上記着色光の色を変化させることができ、し
たがって、同じ箇所、つまり同じ画素で、複数の色を表
示することができる。
【0285】上記カラー液晶表示装置の表示色は、一対
の偏光板21,22の透過軸21a,22aおよび2枚
の位相差板23,24の遅相軸23a,24aの向き
と、液晶セル10の両基板11,12の近傍における液
晶分子の配向方向11a,12aと、液晶セル10のΔ
n・dの値および位相差板23,24のリタデーション
の値と、液晶セル10への印加電圧値とによって決まる
が、この実施例のカラー液晶表示装置では、液晶セルの
Δn・dの値を1530nm〜1730nmと大きくし
ているため、その液晶層18の印加電圧に対する複屈折
性の変化が大きく、したがって、表示色数を多くするこ
とができる。
【0286】このカラー液晶表示装置の表示色について
説明すると、図16に示したように、液晶セル10の液
晶分子のツイスト角が250°±20°、表側偏光板2
1の透過軸21aと前記表側偏光板21に隣接する第1
の位相差板23の遅相軸23aとのずれ角が75°±2
0°であって、液晶セル10の裏側基板12の近傍にお
ける液晶分子の配向方向12aを基準方向としたとき、
表側偏光板21の透過軸21aが前記基準方向に対し表
面側から見て液晶セル10の液晶分子ツイスト方向と逆
方向に50°±10°の方向、裏偏光板22の透過軸2
2aが前記基準方向に対し表面側から見て前記液晶分子
ツイスト方向と同方向に45°±10°の方向、前記第
1の位相差板23の遅相軸23aが前記基準方向に対し
表面側から見て前記液晶分子ツイスト方向と同方向に2
5°±10°の方向、前記液晶セル10に隣接する第2
の位相差板24の遅相軸24aが前記基準方向に対し表
面側から見て前記液晶分子ツイスト方向と逆方向に15
°±10°の方向にあり、液晶セル10のΔn・dの値
が1530nm〜1730nm、第1の位相差板23の
リタデーションの値が1600nm±30nm、第2の
位相差板24のリタデーションの値が1550nm±3
0nmである場合、液晶セル10への印加電圧と表示色
の関係は次のようになる。なお、ここで、印加電圧値は
実効値であり、表示色は、液晶表示装置の表示を真正面
から見たときの色である。
【0287】 (印加電圧) (表示色) 1.80v以下 黒 1.81〜2.10v 白 2.11〜2.20v 赤 2.21〜2.40v 青 2.41v以上 緑 このように、上記カラー液晶表示装置の表示色は、液晶
セル10に印加する電圧を高くしていくのにともなっ
て、黒→白→赤→緑→青の順に変化するため、1つの画
素で、光の三原色である赤,緑,青と、白と黒とを表示
することができ、したがって、フルカラー画像の表示が
可能である。
【0288】しかも、上記カラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は光の入射角
によって変化するが、位相差板23,24の複屈折性は
光の入射角が変化してもほとんど変わらないし、また、
前記位相差板23,24がいずれも、その遅相軸23
a,24aであるx軸方向の屈折率nx と、y軸方向の
屈折率ny およびz軸方向の屈折率nz とが、nx >n
z >ny の関係にある二軸性位相差板であるため、光が
液晶セル10の液晶層18を垂直に透過したときと斜め
に透過したときとの位相差が前記二軸性位相差板23,
24によって補償されるから、視野角が広くなる。
【0289】この視野角の広さは、第1の実施例におい
て説明した通りであり、前記位相差板23に通常の一軸
性位相差板を用いたのでは、視角によって表示色がある
程度変化してしまうが、二軸性位相差板は光の入射角に
対する位相差の変化が小さいため、この二軸性位相差板
を用いれば、視角による表示色の変化、つまり表示色の
視角依存性がかなり小さくなる。
【0290】さらに、このカラー液晶表示装置において
は、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は温度によっ
て変化するが、位相差板23,24の温度による複屈折
性の変化は極く小さいため、液晶セル10の液晶層18
と位相差板23,24との全体の複屈折性は、温度依存
性の小さい特性である。
【0291】そして、この実施例では、2枚の二軸性位
相差板23,24を用いているため、1枚の二軸性位相
差板を用いている上述した第1〜第3の実施例よりも、
光が液晶セル10の液晶層18を垂直に透過したときと
斜めに透過したときとの位相差が2枚の二軸性位相差板
23,24によってより効果的に補償されるから、視野
角がさらに広くなるし、また、液晶セルの液晶層と2枚
の位相差板との全体の複屈折性が、さらに温度依存性の
小さい特性になるため、温度による表示色の色変化もよ
り小さくすることができる。
【0292】なお、上記実施例では、一対の偏光板2
1,22の透過軸21a,22aおよび位相差板23の
遅相軸23aを、図16に示すように設定したが、これ
らの軸方向は、例えば次のように設定してもよい。
【0293】図17は、上記第7の実施例のカラー液晶
表示装置における、偏光板21,22の透過軸21a,
22aおよび位相差板23の遅相軸23aの向きの他の
設定例を示す表面側から見た図である。
【0294】この例では、液晶セル10の両基板11,
12の近傍における液晶分子の配向方向11a,12a
と液晶分子のツイスト角およびツイスト方向と、表側偏
光板21の透過軸21aの向きと、第1の位相差板23
の遅相軸23aおよび第2の位相差板24の遅相軸24
aの向きは図16に示した実施例と同じにし、裏側偏光
板22の透過軸21aの向きを、基準方向(液晶セル1
0の裏側基板12の近傍における液晶分子の配向方向1
2a)に対して、液晶セル10の液晶分子ツイスト方向
と逆方向(左回り)に45°±10°の方向にしてい
る。
【0295】なお、上記液晶セル10のΔn・dの値は
1530nm〜1730nm、第1の二軸性位相差板2
3のリタデーションの値は1600nm±30nm、第
2の二軸性位相差板24のリタデーションの値は155
0nm±30nmである。
【0296】このように、液晶セル10の液晶分子のツ
イスト角が250°±20°、表側偏光板21の透過軸
21aと位相差板23の遅相軸23aとのずれ角が75
°±20°であって、液晶セル10の裏側基板12の近
傍における液晶分子の配向方向12aを基準方向とした
とき、表側偏光板21の透過軸21aが前記基準方向に
対し表面側から見て液晶セル10の液晶分子ツイスト方
向と逆方向に50°±10°の方向、裏偏光板22の透
過軸22aが前記基準方向に対し表面側から見て前記液
晶分子ツイスト方向と逆方向に45°±10°の方向、
表側偏光板21に隣接する第1の位相差板23の遅相軸
23aが前記基準方向に対し表面側から見て前記液晶分
子ツイスト方向と同方向に25°±10°の方向、裏側
偏光板22に隣接する第2の位相差板24の遅相軸24
aが前記基準方向に対し表面側から見て前記液晶分子ツ
イスト方向と同方向に15°±10°の方向にあり、液
晶セル10のΔn・dの値が1530nm〜1730n
m、第1の位相差板23のリタデーションの値が160
0nm±30nm、第2の二軸性位相差板24のリタデ
ーションの値が1550nm±30nmである場合、液
晶セル10への印加電圧と表示色の関係は次のようにな
る。なお、ここで、印加電圧値は実効値であり、表示色
は、液晶表示装置の表示を真正面から見たときの色であ
る。
【0297】 (印加電圧) (表示色) 1.90v以下 白 1.91〜2.10v 黒 2.11〜2.20v 青 2.21〜2.30v 緑 2.31v以上 赤 すなわち、この例では、表示色が、液晶セル10に印加
する電圧を高くしていくのにともなって、白→黒→青→
緑→赤の順に変化するため、1つの画素で、光の三原色
である赤,緑,青と、白と黒とを表示することができ、
したがって、フルカラー画像の表示が可能である。
【0298】なお、上記実施例では、液晶セル10の液
晶分子のツイスト角を250°±20°(望ましくは2
50°±10°)としたが、このツイスト角は、180
°〜270°の範囲であればよい。
【0299】また、上記実施例のカラー液晶表示装置
は、その裏面に反射板25を設けた反射型のものである
が、この液晶表示装置は、前記反射板25をなくして透
過型装置として使用することも可能である。
【0300】[第8の実施例]次に、本発明の第8の実
施例を図18および図19を参照して説明する。この実
施例のカラー液晶表示装置は、反射型表示装置として使
用されるものであって、液晶セルと偏光板と二軸性位相
差板および反射板を備え、かつ前記偏光板の数を1枚に
したものである。
【0301】図18はカラー液晶表示装置の断面図であ
り、この液晶表示装置は、液晶セル10と、この液晶セ
ル10の表面側(図において上面側)に配置された1枚
の偏光板21と、この偏光板21と前記液晶セル10と
の間に配置された1枚の位相差板23と、前記液晶セル
10の裏面側に配置された反射板25とからなってい
る。
【0302】上記液晶セル10は、例えば、液晶分子の
ツイスト角が80°〜110°のものであり、この実施
例では、液晶分子のツイスト角をほぼ90°にしてい
る。なお、この液晶セル10の基本的な構成は上述した
第1の実施例における液晶セルと同じであるから、重複
する説明は図に同符号を付して省略する。
【0303】また、上記位相差板23は、その遅相軸で
あるx軸方向の屈折率nx と、y軸方向の屈折率ny
よびz軸方向の屈折率nz とが、nx >nz >ny の関
係にある二軸性位相板である。
【0304】図19は、液晶セル10の液晶分子配向方
向と、偏光板21の透過軸の向きと、位相差板23の遅
相軸の向きとを示す表面側から見た図である。
【0305】この図19のように、液晶セル10の裏側
基板12の近傍における液晶分子の配向方向12aは、
液晶セル10の横軸Sに対し、表面側から見て右回りに
ほぼ45°の方向、表側基板11の近傍における液晶分
子の配向方向11aは、前記裏側基板12の近傍におけ
る液晶分子の配向方向12aに対し、表面側から見て左
回りにほぼ90°の方向にあり、液晶分子は、裏側基板
12側から表側基板11側に向かい、表面側から見て右
回りにほぼ90°のツイスト角でツイスト配向してい
る。
【0306】また、上記偏光板21の透過軸21aは、
液晶セル10の表側基板11の近傍における液晶分子の
配向方向11aに対してほぼ直交しており、位相差板2
3の遅相軸23aは、前記偏光板21の透過軸21aに
対して所定角度斜めにずらしてある。なお、この実施例
では、位相差板23の遅相軸23aを、表偏光板21の
透過軸21aに対して、表面側から見て液晶セル10の
液晶分子ツイスト方向と逆方向(左回り)にほぼ45°
ずらしている。
【0307】この実施例のカラー液晶表示装置は、表面
側から入射する外光を裏面側の反射板25で反射させて
表示するものであり、液晶セル10の両基板11,12
の電極13,14間に電圧を印加して表示駆動される。
【0308】そして、このカラー液晶表示装置において
は、その表面側から表側偏光板21を透過して入射した
直線偏光が、位相差板23と液晶セル10とを順次透過
し、さらに反射板25で反射されて、前記液晶セル10
と位相差板23とを再び透過する間に、前記位相差板2
3の複屈折効果および液晶セル10の液晶層18の複屈
折効果により偏光状態を変えられて前記偏光板21に入
射し、この偏光板21を透過した光が着色光になる。
【0309】この光の着色について説明すると、液晶表
示装置に入射する外光は、偏光板21を透過して直線偏
光となった後に、位相差板23に入射するが、この位相
差板23遅相軸23aが前記偏光板21の透過軸21a
に対して所定角度(この実施例ではほぼ45°)斜めに
ずれているため、偏光板21を透過した直線偏光が、位
相差板23を透過する間にそのリタデーションの値に応
じた複屈折作用を受け、各波長光がそれぞれ偏光状態の
異なる楕円偏光となり、その光が、液晶セル10に入射
の液晶層18を透過する間に、この液晶セル10のΔn
・dの値と液晶分子の配向状態とに応じた複屈折作用を
受けて、各波長光の楕円偏光の状態がさらに変化した光
になる。
【0310】そして、液晶セル10を透過した光は、反
射板25で反射され、再び液晶セル10の液晶層18と
位相差板23とを透過する間に、それらの複屈折作用に
よりさらに各波長光の楕円偏光の状態が変化した光にな
って前記偏光板21に入射し、その光のうち、前記偏光
21の透過軸21a に沿った成分の光だけがこの前記
偏光板21を透過して、この透過光(直線偏光)が、そ
の透過光を構成する各波長光の光量比に応じた色の着色
光になる。
【0311】この着色光の色は、偏光板21の透過軸2
1aおよび位相差板23の遅相軸23aの向きと、液晶
セル10の両基板11,12の近傍における液晶分子の
配向方向11a,12aと、液晶セル10のΔn・dの
値と、位相差板23のリタデーションの値とを、前記偏
光板21を透過した光を構成する各波長光の光量比が所
望の着色光に対応した比率になるように設定することに
よって任意に選ぶことができる。
【0312】すなわち、このカラー液晶表示装置は、カ
ラーフィルタを用いずに、位相差板の複屈折効果と、液
晶セルの液晶層の複屈折効果と、偏光板の偏光作用とを
利用して光を着色するものであり、したがってカラーフ
ィルタによる光の吸収がないから、反射型のものであっ
ても、光の透過率を高くして明るいカラー表示を得るこ
とができる。
【0313】そして、このカラー液晶表示装置において
も、液晶セルの液晶層の複屈折性が、その両基板の電極
間に印加される電圧に応じた液晶分子の配向状態の変化
によって変化するため、液晶セルへの印加電圧を制御す
ることによって上記着色光の色を変化させることがで
き、したがって、同じ箇所で複数の色を表示することが
できる。
【0314】また、このカラー液晶表示装置において
も、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は光の入射角
によって変化するが、位相差板23の複屈折性は光の入
射角が変化してもほとんど変わらないし、また、前記位
相差板23が、遅相軸であるx軸方向の屈折率nx と、
y軸方向の屈折率ny およびz軸方向の屈折率nz
が、nx >nz >ny の関係にある二軸性位相差板であ
るため、光が液晶セル10の液晶層18を垂直に透過し
たときと斜めに透過したときとの位相差が前記二軸性位
相差板23によって補償されるから、視野角が広くな
る。
【0315】さらに、このカラー液晶表示装置において
も、液晶セル10の液晶層18の複屈折性は温度によっ
て変化するが、位相差板23の温度による複屈折性の変
化は極く小さいため、液晶セル10の液晶層18と位相
差板23との全体の複屈折性は、温度依存性の小さい特
性であり、したがって、温度による表示色の色変化も小
さくなる。
【0316】また、この実施例のカラー液晶表示装置
は、液晶セル10の表面側だけに1枚の偏光板21を配
置して、この偏光板21に、液晶表示装置への入射光を
直線偏光にするための偏光子と、位相差板23および液
晶セル10を透過した楕円偏光光のうちのある成分の光
だけを透過させて着色光を得るための検光子とを兼ねさ
せているため、液晶セルの表面側と裏面側とにそれぞれ
偏光板を配置する場合に比べて、液晶表示装置の価格を
低減することができる。
【0317】なお、上記実施例では、液晶セル10の液
晶分子のツイスト角を80°〜110°(図19ではほ
ぼ90°)としたが、この液晶分子のツイスト角は、1
80°〜270°でも、また、110°〜130°でも
よい。
【0318】また、上記実施例では、1枚の二軸性位相
差板23を用いているが、この二軸性位相差板は2枚と
してもよく、その場合は、偏光板21と液晶セル10と
の間、および液晶セル10と反射板25との間にそれぞ
れ1枚ずつ位相差板を配置しても、また、偏光板21と
液晶セル10との間に2枚の位相差板を互いに重ねて配
置してもよい。
【0319】なお、上述した第1〜第8の実施例では、
液晶セル10として、単純マトリックス型のものを用い
たが、この液晶セル10は、TFT(薄膜トランジス
タ)、またはMIM等の2端子の非線形抵抗素子を能動
素子とするアクティブマトリックス型のものであって
も、また、時分割駆動されるセグメント表示型のもので
あってもよい。
【0320】
【発明の効果】本発明のカラー液晶表示装置は、内面に
電極が形成された一対の基板間に液晶分子がツイスト配
向したネマティック液晶層を設けてなる液晶セルと、前
記液晶セルをはさんでその表面側と裏面側とに配置され
た一対の偏光板と、前記一対の偏光板の間に配置された
位相差板とを備え、かつ、前記位相差板は、その遅相軸
であるx軸方向の屈折率nx と、y軸方向の屈折率ny
およびz軸方向の屈折率nz とが、nx >nz >ny
関係にある二軸性位相差板であって、前記一対の偏光板
の透過軸および前記位相差板の遅相軸の向きと前記液晶
セルの基板近傍における液晶分子の配向方向とが、一方
の偏光板を透過して入射した光が前記位相差板の複屈折
効果と前記液晶セルの液晶層の複屈折効果とによって各
波長光がそれぞれ偏光状態の異なる楕円偏光となり、か
つ、その光のうちの他方の偏光板を透過した光の各波長
光の光量比が所望の着色光に対応した比率になるように
設定されていることを特徴とするものであるから、カラ
ーフィルタを用いずに明るいカラー表示を得るととも
に、同じ箇所で複数の色を表示することができ、しか
も、視野角を広くし、さらに温度による表示色の色変化
も小さくすることができる。
【0321】また、反射型液晶表示装置において、1枚
の二軸性位相差板を用いる場合、この位相差板を、表側
偏光板と液晶セルとの間に配置し、少なくとも、前記表
側偏光板の透過軸と位相差板の遅相軸とを所定角度斜め
にずらしておけば、表側偏光板を透過して入射した直線
偏光が、まず位相差板を透過する過程でその複屈折効果
により偏光状態を変えられ、その光が液晶セルを透過す
る過程で液晶層の複屈折効果によりさらに偏光状態を変
えられて裏側偏光板に入射するため、上述した着色光を
得ることができる。
【0322】また、反射型液晶表示装置において、2枚
の二軸性位相差板を用いる場合、表側偏光板と液晶セル
との間と、裏側偏光板と液晶セルとの間とに、それぞれ
1枚ずつ位相差板を配置し、少なくとも、表側偏光板の
透過軸とこの偏光板に隣接する位相差板の遅相軸とを所
定角度斜めにずらしておけば、表側偏光板を透過して入
射した直線偏光が、まず表側偏光板に隣接する位相差板
を透過する過程でその複屈折効果により偏光状態を変え
られ、その光が液晶セルを透過する過程で液晶層の複屈
折効果によりさらに偏光状態を変えられ、さらにその光
が裏側偏光板に隣接する位相差板を透過する過程でその
複屈折効果により偏光状態を変えられて裏側偏光板に入
射するため、上述した着色光を得ることができる。
【0323】また、反射型液晶表示装置において、2枚
の二軸性位相差板を用いる場合、表側偏光板と液晶セル
との間に2枚の二軸性位相差板を互いに重ねて配置し、
少なくとも、表側偏光板の透過軸と2枚の位相差板のう
ちの前記表側偏光板に隣接する位相差板の遅相軸とを所
定角度斜めにずらしておけば、表側偏光板を透過して入
射した直線偏光が、まず表側偏光板に隣接する位相差板
を透過する過程でその複屈折効果により偏光状態を変え
られ、その光が液晶セルに隣接する位相差板を透過する
過程でその複屈折効果によりさらに偏光状態を変えら
れ、さらにその光が液晶セルを透過する過程で液晶層の
複屈折効果により偏光状態を変えられて裏側偏光板に入
射するため、上述した着色光を得ることができる。
【0324】上記2枚の二軸性位相差板を用いる液晶表
示装置においては、光が液晶セルの液晶層を垂直に透過
したときと斜めに透過したときとの位相差が2枚の二軸
性位相差板によってより効果的に補償されるから、視野
角がさらに広くなるし、また、液晶セルの液晶層と2枚
の位相差板との全体の複屈折性が、さらに温度依存性の
小さい特性になるため、温度による表示色の色変化もよ
り小さくなる。
【0325】さらに、表側偏光板と液晶セルとの間に2
枚の二軸性位相差板を互いに重ねて配置した反射型液晶
表示装置において、液晶セルの液晶分子のツイスト角が
180°〜270°である場合、前記液晶セルのΔn・
dの値を1490nm以上と大きくすれば、その液晶層
の印加電圧に対する複屈折性の変化が大きくなるため、
表示色数を多くすることができる。
【0326】また、本発明の他のカラー液晶表示装置
は、内面に電極が形成された一対の基板間に液晶分子が
ツイスト配向したネマティック液晶層を設けてなる液晶
セルと、前記液晶セルの表面側だけに配置された1枚の
偏光板と、前記液晶セルの裏面側に配置された反射板
と、前記偏光板と反射板との間に配置された位相差板と
を備え、かつ、前記位相差板は、その遅相軸であるx軸
方向の屈折率nx と、y軸方向の屈折率ny およびz軸
方向の屈折率nz とが、nx >nz >ny の関係にある
二軸性位相差板であって、前記偏光板の透過軸および前
記位相差板の遅相軸の向きと前記液晶セルの基板近傍に
おける液晶分子の配向方向とが、前記偏光板を透過して
入射し前記反射板で反射されて前記偏光板に入射する光
が前記位相差板の複屈折効果と前記液晶セルの液晶層の
複屈折効果とによって各波長光がそれぞれ偏光状態の異
なる楕円偏光となり、かつ、その光のうちの前記偏光板
を透過した光の各波長光の光量比が所望の着色光に対応
した比率になるように設定されていることを特徴とする
ものであるから、カラーフィルタを用いずに明るいカラ
ー表示を得るとともに、同じ箇所で複数の色を表示する
ことができ、しかも、視野角を広くし、さらに温度によ
る表示色の色変化も小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すカラー液晶表示装
置の構成図。
【図2】第1の実施例における液晶セルの液晶分子配向
方向と、偏光板の透過軸の向きと、位相差板の遅相軸の
向きとを示す表面側から見た図。
【図3】二軸性位相差板の斜視図。
【図4】二軸性位相差板における光入射角が0°の場合
の位相差Rxy(0)と光入射角がθ°の場合の位相差R
xy(θ)との比Rxy(θ)/Rxy(0)の光入射角によ
る変化を、通常の一軸性位相差板と比較して示す図。
【図5】第1の実施例のカラー液晶表示装置と、位相差
板をnx >ny =nz の通常の一軸性位相差板に置き換
えた比較装置との視角と表示色の色差(ΔE* ab)との
関係を示す図。
【図6】本発明の第2の実施例を示す、液晶セルの液晶
分子配向方向と、偏光板の透過軸の向きと、位相差板の
遅相軸の向きとを示す表面側から見た図。
【図7】本発明の第3の実施例を示す、液晶セルの液晶
分子配向方向と、偏光板の透過軸の向きと、位相差板の
遅相軸の向きとを示す表面側から見た図。
【図8】第3の実施例における偏光板の透過軸および位
相差板の遅相軸の向きの他の設定例を示す表面側から見
た図。
【図9】本発明の第4の実施例を示すカラー液晶表示装
置の断面図。
【図10】第4の実施例における液晶セルの液晶分子配
向方向と、偏光板の透過軸の向きと、位相差板の遅相軸
の向きとを示す表面側から見た図。
【図11】本発明の第5の実施例を示すカラー液晶表示
装置の断面図。
【図12】第5の実施例における液晶セルの液晶分子配
向方向と、偏光板の透過軸の向きと、位相差板の遅相軸
の向きとを示す表面側から見た図。
【図13】本発明の第6の実施例を示す、液晶セルの液
晶分子配向方向と、偏光板の透過軸の向きと、位相差板
の遅相軸の向きとを示す表面側から見た図。
【図14】第6の実施例のカラー液晶表示装置の表示色
の変化を示すCIE色度図。
【図15】第6の実施例のカラー液晶表示装置における
液晶セルへの印加電圧と、赤,緑,青の各色の波長域の
光の出射率と、表示色との関係を示す図。
【図16】本発明の第7の実施例を示す、液晶セルの液
晶分子配向方向と、偏光板の透過軸の向きと、位相差板
の遅相軸の向きとを示す表面側から見た図。
【図17】第7の実施例における偏光板の透過軸および
位相差板の遅相軸の向きの他の設定例を示す表面側から
見た図。
【図18】本発明の第8の実施例を示すカラー液晶表示
装置の断面図。
【図19】第8の実施例における液晶セルの液晶分子配
向方向と、偏光板の透過軸の向きと、位相差板の遅相軸
の向きとを示す表面側から見た図。
【符号の説明】
10…液晶セル 11,12…基板 11a…表側基板の近傍における液晶分子配向方向 12a…裏側基板の近傍における液晶分子配向方向 13,14…電極 15,16…配向膜 18…液晶層 21,22…偏光板 21a,22a…透過軸 23,24…二軸性位相差板 23a,24a…遅相軸 25…反射板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−138529(JP,A) 特開 平2−118516(JP,A) 特開 平2−289824(JP,A) 特開 平4−16916(JP,A) 特開 平2−264919(JP,A) 特開 昭64−519(JP,A) 特開 平4−97121(JP,A)

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内面に電極が形成された一対の基板間に液
    晶分子がツイスト配向したネマティック液晶層を設けて
    なる液晶セルと、前記液晶セルをはさんでその表面側と
    裏面側とに配置された一対の偏光板と、前記一対の偏光
    板の間に配置された位相差板とを備え、 かつ、前記位相差板は、その遅相軸であるx軸方向の屈
    折率nx と、y軸方向の屈折率ny およびz軸方向の屈
    折率nz とが、nx >nz >ny の関係にある二軸性位
    相差板であって、前記二軸性位相差板は、その遅相軸をこれに隣接する一
    方の偏光板の透過軸に対してこの偏光板を透過して前記
    二軸性位相差板に入射する直線偏光を各波長光毎に偏光
    状態の異なる楕円偏光として出射させる角度で交差する
    方向に向けて配置され、前記液晶セルは、その基板近傍
    の液晶分子の配向方向をその基板に隣接する前記二軸性
    位相差板の遅相軸に対して前記二軸性位相差板を出射し
    た前記楕円偏光の各波長光毎の偏光状態をさらに変化さ
    せる角度で交差する方向に向けて配置され、他方の偏光
    板は、その透過軸をこの偏光板の透過光を構成する各波
    長光の光量比が所望の着色光に対応した比率となる方向
    に向けて配置されている ことを特徴とするカラー液晶表
    示装置。
  2. 【請求項2】液晶セルの裏面側に配置された裏側偏光板
    の背後に反射板が配置されており、液晶セルの表面側に
    配置された表側偏光板と前記液晶セルとの間に1枚の二
    軸性位相差板が配置されるとともに、少なくとも、前記
    表側偏光板の透過軸と、前記位相差板の遅相軸とが、所
    定角度斜めにずれていることを特徴とする請求項1に記
    載の力ラー液晶表示装置。
  3. 【請求項3】液晶セルの裏面側に配置された裏側偏光板
    の背後に反射板が配置されており、液晶セルの表面側に
    配置された表側偏光板と前記液晶セルとの間と、液晶セ
    ルの裏面側に配置された裏側偏光板と前記液晶セルとの
    間とに、それぞれ1枚ずつニ軸性位相差板が配置される
    とともに、少なくとも、前記表側偏光板の透過軸と、こ
    の偏光板に隣接する位相差板の遅相軸とが、所定角度斜
    めにずれていることを特徴とする請求項1に記載の力ラ
    ー液晶表示装置。
  4. 【請求項4】液晶セルの裏面側に配置された裏側偏光板
    の背後に反射板が配置されており、液晶セルの表面側に
    配置された表側偏光板と前記液晶セルとの間に、2枚の
    二軸性位相差板が互いに重ねて配置されるとともに、少
    なくとも、前記表側偏光板の透過軸と、前記2枚の位相
    差板のうちの前記表側偏光板に隣接する位相差板の遅相
    軸とが、所定角度斜めにずれていることを特徴とする請
    求項1に記載の力ラー液晶表示装置。
  5. 【請求項5】液晶セルの液晶分子のツイスト角は80゜
    〜110゜であることを特徴とする請求項1〜請求項4
    のいずれか1つに記載の力ラー液晶表示装置。
  6. 【請求項6】液晶セルの液晶分子のツイスト角は110
    ゜〜130゜であることを特徴とする請求項1〜請求項
    4のいずれか1つに記載のカラー液晶表示装置。
  7. 【請求項7】液晶セルの液晶分子のツイスト角は180
    ゜〜270゜であることを特徴とする請求項1〜請求項
    4のいずれか1つに記載の力ラー液晶表示装置。
  8. 【請求項8】液晶セルの液晶分子のツイスト角は80゜
    〜110゜であり、前記液晶セルの液晶の屈折率異方性
    Δnと液晶層厚dとの積Δn・dの値が520nm〜5
    80nm、位相差板のリタデーションの値が400nm
    〜460nmであることを特徴とする請求項2に記載の
    力ラー液晶表示装置。
  9. 【請求項9】液晶セルの液晶分子のツイスト角は110
    ゜〜130゜であり、前記液晶セルの液晶の屈折率異方
    性Δnと液晶層厚dとの積Δn・dの値が880nm〜
    970nm、位相差板のリタデーションの値が1270
    nm〜1530nmであることを特徴とする請求項2に
    記載のカラー液晶表示装置。
  10. 【請求項10】液晶セルの液晶分子のツイスト角は18
    0゜〜270゜であり、前記液晶セルの液晶の屈折率異
    方性Δnと液晶層厚dとの積Δn・dの値が850nm
    〜910nm、位相差板のリタデーションの値が400
    nm〜460nmであることを特徴とする請求項2に記
    載のカラー液晶表示装置。
  11. 【請求項11】液晶セルの液晶分子のツイスト角は18
    0゜〜270゜であり、前記液晶セルの液晶の屈折率異
    万性Δnと液晶層厚dとの積Δn・dの値が1250n
    m〜1450nm、表側偏光板に隣接する位相差板のリ
    タデーションの値が1570nm〜1630nm、裏側
    偏光板に隣接する位相差板のリタデーションの値が15
    70nm〜1630nmであることを特徴とする請求項
    3に記載のカラー液晶表示装置。
  12. 【請求項12】液晶セルの液晶分子のツイスト角は18
    0゜〜270゜であり、前記液晶セルの液晶の屈折率異
    方性Δnと液晶層厚dとの積Δn・dの値が1250n
    m〜1450nm、表側偏光板に隣接する位相差板のリ
    タデーションの値が1570nm〜1630nm、液晶
    セルに隣接する位相差板のリタデーションの値が152
    0nm〜1580nmであることを特徴とする請求項4
    に記載のカラー液晶表示装置。
  13. 【請求項13】液晶セルの液晶分子のツイスト角は18
    0゜〜270゜であり、前記液晶セルの液晶の屈折率異
    方性Δnと液晶層厚dとの積Δn・dの値が1490n
    m以上であることを特徴とする請求項4に記載のカラー
    液晶表示装置。
  14. 【請求項14】液晶セルのΔn・dの値が1490nm
    〜1590nm、表側偏光板に隣接する位相差板のリタ
    デーションの値が1570nm〜1630nm、液晶セ
    ルに隣接する位相差板のリタデーションの値が1420
    nm〜1480nmであることを特徴とする請求項13
    に記載のカラー液晶表示装置。
  15. 【請求項15】前記液晶セルのΔn・dの値が1530
    nm〜1730nm、表側偏光板に隣接する位相差板の
    リタデーションの値が1570nm〜1630nm、液
    晶セルに隣接する位相差板のリタデーションの値が15
    20nm〜1580nmであることを特徴とする請求項
    13に記載の力ラー液晶表示装置。
  16. 【請求項16】内面に電極が形成された一対の基板間に
    液晶分子がツイスト配向したネマティック液晶層を設け
    てなる液晶セルと、前記液晶セルの表面側だけに配置さ
    れた1枚の偏光板と、前記液晶セルの裏面側に配置され
    た反射板と、前記偏光板と反射板との間に配置された位
    相差板とを備え、 かつ、前記位相差板は、その遅相軸であるx軸方向の屈
    折率nx と、y軸方向の屈折率ny およびz軸方向の屈
    折率nz とが、nx >nz >ny の関係にある二軸性位
    相差板であって、前記二軸性位相差板は、その遅相軸をこれに隣接する前
    記偏光板の透過軸に対してこの偏光板を透過して前記二
    軸性位相差板に入射する直線偏光を各波長光毎に偏光状
    態の異なる楕円偏光として出射させる角度で交差する方
    向に向けて配置され、前記液晶セルは、その基板近傍の
    液晶分子の配向方向をその基板に隣接する前記二軸性位
    相差板の遅相軸に対して前記二軸性位相差板を出射した
    前記楕円偏光の各波長光毎の偏光状態をさらに変化させ
    る角度で交差する方向に向けて配置され、前記偏光板
    は、その透過軸をこの偏光板の透過光を構成する各波長
    光の光量比が所望の着色光に対応した比率となる方向に
    向けて配置されている ことを特徴とするカラー液晶表示
    装置。
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