JP3206138U - 検出器システム及びそれを用いた赤外顕微鏡 - Google Patents

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【課題】測定途中での液体窒素切れによる中断を防止した検出器システム及びそれを用いた赤外顕微鏡を提供する。【解決手段】赤外顕微鏡1は、試料Sが載置されるXYステージ機構10と、赤外光を出射する赤外光源部20と、赤外光を検出する検出部30と、カセグレン鏡50と、半透鏡51と、赤外顕微鏡1全体の制御を行うコンピュータ60とを備える。検出部30は、MCT検出器40を備え、MCT検出器40は、内側容器と外側容器とを有するデュア構造容器と、赤外光を検出する検出素子とを備え、内側容器と外側容器との間が真空にされるとともに内側容器内には液体窒素が収容され、内側容器内から所定容量の液体窒素がなくなるまでの保持時間を記憶する記憶部62と、測定時間と保持時間に基づいて測定の可否を判定する液体窒素残量判定部61cとを備える構成とする。【選択図】図1

Description

本考案は、検出器システム及びそれを用いた赤外顕微鏡(FTIR)に関する。
赤外顕微鏡は、例えば固体(試料)表面に付着した有機物等の官能基に基づき分子構造等を調べる目的で使用される。具体的には、微小径に集束させた赤外光を試料表面上の特定の微小部位(例えば15μm×15μmの測定点)に照射する。試料表面上の特定の測定点からは有機物等の官能基に基づき分子構造等に特有のスペクトルが発生するため、このスペクトルを検出して分析することにより、有機物等の同定や定量を行っている。
このような赤外顕微鏡は、分析者が試料表面の観察を行うためのCCDカメラやCMOSカメラ等の画像取得装置を備え、試料表面の光学像画像が観察されながら試料表面上における測定点の決定等が行われている。例えば、ハロゲンランプ等の光源から試料表面上の測定点を含む領域(例えば500μm×400μmの領域)に可視光を照射して、試料表面上の測定点を含む領域で反射した可視光をCCDカメラで検出することにより、検出された可視光に基づいて光学像画像が作成される。そして、分析者は、作成された光学像画像を観察しながら試料上の測定範囲を指定している(マッピング測定)。
図3は、従来の赤外顕微鏡の要部の構成を示す図である。なお、地面に水平な一方向をX方向とし、地面に水平でX方向と垂直な方向をY方向とし、X方向とY方向とに垂直な方向をZ方向とする。
赤外顕微鏡101は、試料Sが載置されるXYステージ機構10と、赤外光を出射する赤外光源部20と、赤外光を検出する検出器を備える検出部130と、カセグレン鏡50と、半透鏡51と、赤外顕微鏡101全体の制御を行うコンピュータ160とを備える。
XYステージ機構10は、図示は省略するがステージとX方向駆動機構とY方向駆動機構とを備え、ステージの上面は、試料Sを載せたり取り除いたりすることが可能となっている。このステージは、コンピュータ160によって駆動機構へ必要な駆動信号が出力されることにより、所望のX方向とY方向とに移動できるようになっている。
赤外光源部20は、時間的に強弱の変化をする赤外光(インターフェログラム)を出射するフーリエ変換赤外分光光度計である。そして、赤外光源部20は、出射した赤外光がカセグレン鏡50によって集光されて、XYステージ機構10に載置された試料S上の測定点(例えば15μm×15μm)に照射されるように配置されている。
このような赤外顕微鏡101では、微小部位(例えば15μm×15μmの測定点)を測定する際の検出器として、高感度なMCT検出器が用いられることが多い。また、光量が小さくなるようなアタッチメントを搭載した際にも、MCT検出器が多用される。
MCT検出器は、下面を有する円筒形状の内側容器と下面を有する円筒形状の外側容器と円柱形状の蓋とを有するデュア構造容器と、内側容器の下部に取り付けられた赤外光検出素子と、外側容器の下部に形成された赤外線入射窓とを備える(図2参照)。そして、内側容器と外側容器との間の空間は真空引きされている。また、内側容器内には分析者によって測定前に漏斗等を用いて液体窒素が収容され、その後に蓋が閉められるようになっている。
ところで、MCT検出器は、内側容器内に液体窒素が存在しない状態では、赤外信号強度がほぼゼロとなり、適切な赤外信号を出力することができない。
そこで、分析者が内側容器内に存在する液体窒素の量を把握するために、内側容器の上部に温度信号を出力する上部温度センサが取り付けられるとともに、内側容器の下部にも温度信号を出力する下部温度センサが取り付けられたMCT検出器が開発されている(例えば特許文献1参照)。
このようなMCT検出器によれば、分析者は、上部温度センサの温度信号と下部温度センサの温度信号とが所定温度値以下であれば、内側容器内に所定容量以上の液体窒素が存在すると認識し、下部温度センサの温度信号が所定温度値以下かつ上部温度センサの温度信号が所定温度値以上であれば、内側容器内に少量の液体窒素が存在すると認識し、上部温度センサの温度信号と下部温度センサの温度信号とが所定温度値以上であれば、内側容器内の液体窒素残量がゼロになったと認識する。
特開昭63−53426号公報
しかしながら、上述したようなMCT検出器を備えた赤外顕微鏡では、「タイムコース測定」や「マッピング測定」等の長時間に渡る測定を実行中に、測定の途中で赤外信号が出なくなったり、測定が完了しなかったりするといったトラブルの発生により、それまでの測定結果を破棄せざるを得なくなるという問題点があった。
また、MCT検出器は、経年劣化によって内側容器と外側容器との間の真空度が低下すると、液体窒素を注入してから液体窒素がなくなるまでの時間(液体窒素保持時間)が早まる。この場合、分析者はMCT検出器の内側容器と外側容器との間の空間を真空ポンプ等で真空引きすることにより、真空度を初期状態に回復させる必要があった。
そこで、本考案は、測定途中での液体窒素切れによる中断を防止することができる検出器システム及びそれを用いた顕微鏡を提供することを目的とする。また、本考案は、検出器の真空引きのタイミングを通知可能な検出器システム及びそれを用いた顕微鏡を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本考案の検出器システムは、内側容器と外側容器とを有するデュア構造容器と、赤外光を検出する検出素子とを備え、前記内側容器と前記外側容器との間が真空にされ、前記内側容器内に液体窒素が収容される検出器システムであって、前記内側容器内から所定容量の液体窒素がなくなるまでの保持時間を記憶する記憶部と、測定時間及び保持時間に基づいて、測定を実行することが可能であるか否かを判定する液体窒素残量判定部とを備えるようにしている。
本考案の検出器システムによれば、測定前に液体窒素残量判定部が測定の可否を判定するので、測定途中の液体窒素切れによる中断を未然に防止することができる。
(他の課題を解決するための手段及び効果)
また、本考案の検出器システムでは、前記記憶部には、赤外顕微鏡における基準の測定時間が記憶されており、前記液体窒素残量判定部は、入力装置で入力された測定種類及び基準の測定時間に基づいて、実行する測定時間を算出するようにしてもよい。
また、本考案の検出器システムでは、前記内側容器の上部に取り付けられた上部温度センサと、前記内側容器の下部に取り付けられた下部温度センサと、前記上部温度センサの温度信号及び前記下部温度センサの温度信号に基づいて現保持時間を算出し、前記内側容器と前記外側容器との間の真空度を判定する真空度判定部とを備えるようにしてもよい。
本考案の検出器システムによれば、真空度判定部が真空度を判定して検出器の真空引きのタイミングを通知することができる。
また、本考案の検出器システムでは、前記内側容器の下部に取り付けられた下部温度センサと、前記内側容器内に所定容量の液体窒素が収容された際に入力操作される入力装置と、前記下部温度センサの温度信号及び前記入力装置の入力時間に基づいて現保持時間を算出し、前記内側容器と前記外側容器との間の真空度を判定する真空度判定部とを備えるようにしてもよい。
本考案の検出器システムによれば、真空度判定部が真空度を判定して検出器の真空引きのタイミングを通知することができる。
そして、本考案の赤外顕微鏡は、上述したような検出器システムと、試料上の測定点に赤外光を出射する赤外光源部とを備え、前記検出素子は、前記試料上の測定点からの赤外光を検出するようにしてもよい。
本考案に係る赤外顕微鏡の要部構成を示す図。 図1の赤外顕微鏡におけるMCT検出器の構成を示す図。 従来の赤外顕微鏡の要部構成を示す図。
以下、本考案の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本考案は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本考案の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれる。
図1は、本考案の実施形態に係る赤外顕微鏡の要部の構成を示す図であり、図2は、図1の赤外顕微鏡におけるMCT検出器の構成を示す図である。なお、上述した赤外顕微鏡101と同様のものについては、同じ符号を付すことにより説明を省略する。
赤外顕微鏡1は、試料Sが載置されるXYステージ機構10と、赤外光を出射する赤外光源部20と、赤外光を検出する検出部30と、カセグレン鏡50と、半透鏡51と、赤外顕微鏡1全体の制御を行うコンピュータ60とを備える。
検出部30は、MCT検出器40を備える。MCT検出器40は、下面を有する円筒形状の内側容器41と下面を有する円筒形状の外側容器42と円柱形状の蓋43とを有するデュア構造容器と、内側容器41の下部に取り付けられた赤外光検出素子44と、外側容器42の下部に形成された赤外線入射窓45とを備える。
また、蓋43(内側容器41の上部)には、温度信号を出力する上部温度センサ46が取り付けられるとともに、内側容器41の下面(下部)には、温度信号を出力する下部温度センサ47が取り付けられている。
そして、内側容器41と外側容器42との間の空間は真空引きされている。また、内側容器41内には分析者によって測定前に漏斗等を用いて液体窒素が収容され、その後に蓋43が閉められるようになっている。
これにより、内側容器41内に所定容量以上の液体窒素が存在すれば、上部温度センサ46の温度信号と下部温度センサ47の温度信号とは所定温度値以下となり、内側容器41内に液体窒素が少量存在すれば、下部温度センサ47の温度信号が所定温度値以下かつ上部温度センサ46の温度信号が所定温度値以上となり、内側容器41内の液体窒素が全てなくなると、上部温度センサ46の温度信号と下部温度センサ47の温度信号とは所定温度値以上となるようになっている。
コンピュータ60は、CPU61と記憶部62とを備え、さらに操作部(入力装置)63とモニタ64とが連結されている。また、CPU61が処理する機能をブロック化して説明すると、操作部63によって入力情報が入力される入力情報取得部61aと、入力された入力情報に基づいて検出部30から試料S上の測定点の赤外信号を取得して記憶部62に記憶させるスペクトル取得部61bと、測定の可否を判定する液体窒素残量判定部61cと、真空度を判定する真空度判定部61dとを有する。
記憶部62は、赤外信号を記憶するための赤外信号記憶領域62aと、内側容器41内から所定容量の液体窒素がなくなるまでの保持時間Tを予め記憶する保持時間記憶領域62bと、赤外顕微鏡1における基準の測定時間tを予め記憶する測定時間記憶領域62cとを有する。赤外顕微鏡1における基準の測定時間tとは、例えば、測定点1点に対する1回の測定時間(指定分解、指定移動鏡速度等)であって、n点の赤外光の照射位置からなる「マッピング測定」が実行される際の測定時間tはt×nと算出され、1点の赤外光の照射位置での時間変化を追うn回の測定からなる「タイムコース測定」が実行される際の測定時間tはt×nと算出されることになる。
入力情報取得部61aは、操作部63からの入力情報を記憶部62に記憶させる制御を行う。例えば、分析者は、モニタ64に表示された光学像画像を観察しながら、操作部63を用いて、n点の赤外光の照射位置からなる「マッピング測定」や、1点の赤外光の照射位置での時間変化を追うn回の測定からなる「タイムコース測定」を実行するように指定する。
液体窒素残量判定部61cは、これから実行する測定時間tと保持時間Tとに基づいて、その測定の実行が可能か否かを判定する制御を行う。例えば、上部温度センサ46の温度信号が所定温度値以下となったときから、既に実行済の測定時間t、・・・、tm−1と、入力された入力情報に基づいて算出された測定時間tとの合計測定時間が、保持時間T以下であるときには測定が可能であると判定し、一方、保持時間T以上であるときには測定が不可能であると判定し、液体窒素の注入を促す警告メッセージをモニタ64に表示する。これにより、測定途中の液体窒素切れによる中断を防止することができる。
スペクトル取得部61bは、液体窒素残量判定部61cが測定可能と判定したときには、操作部63からの入力情報に基づいて、XYステージ機構10のステージをX方向とY方向とに移動させながら試料S上の測定点の赤外信号をMCT検出器40から取得し、赤外信号記憶領域62aに記憶させる制御を行う。例えば、「マッピング測定」が指定された際には、第一の測定点(x、y)が所定の位置にくるようにステージを移動させて、第一の測定点(x、y)からの赤外信号を取得して赤外信号記憶領域62aに記憶させ、続いて第二の測定点(x、y)が所定の位置にくるようにステージを移動させて、第二の測定点(x、y)からの赤外信号を取得して赤外信号記憶領域62aに記憶させるというように、順次n個の測定点が所定位置にくるようにステージを移動させて、n個の測定点からの赤外信号を取得して赤外信号記憶領域62aに記憶させる。
真空度判定部61dは、上部温度センサ46の温度信号と下部温度センサ47の温度信号とに基づいて、現保持時間Tを算出するとともに、内側容器41と外側容器42との間の真空度を判定する制御を行う。例えば、分析者が赤外顕微鏡1を起動した後等に、上部温度センサ46の温度信号が所定温度値以上になったときから下部温度センサ47の温度信号が所定温度値以上になったときまでの時間を、現保持時間Tとして算出する。そして、保持時間Tと現保持時間Tとの差が所定値以上であるときには、内側容器41と外側容器42との間の真空度が異常であることを示す警告メッセージをモニタ64に表示する。これにより、分析者は内側容器41と外側容器42との間の空間を真空ポンプ等で真空引きすることにより、真空度を初期状態に回復させる。
<他の実施形態>
上述した赤外顕微鏡1においては、上部温度センサ46が蓋43に取り付けられる構成としたが、これに代えて、内側容器41内に所定容量の液体窒素が収容された際に操作部(入力装置)63を用いて入力操作するような構成としてもよい。
41 内側容器
42 外側容器
44 赤外光検出素子
61c 液体窒素残量判定部
62 記憶部

Claims (5)

  1. 内側容器と外側容器とを有するデュア構造容器と、
    赤外光を検出する検出素子とを備え、
    前記内側容器と前記外側容器との間が真空にされ、
    前記内側容器内に液体窒素が収容される検出器システムであって、
    前記内側容器内から所定容量の液体窒素がなくなるまでの保持時間を記憶する記憶部と、
    測定時間及び保持時間に基づいて、測定を実行することが可能であるか否かを判定する液体窒素残量判定部とを備えることを特徴とする検出器システム。
  2. 前記記憶部には、赤外顕微鏡における基準の測定時間が記憶されており、
    前記液体窒素残量判定部は、入力装置で入力された測定種類及び基準の測定時間に基づいて、実行する測定時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の検出器システム。
  3. 前記内側容器の上部に取り付けられた上部温度センサと、
    前記内側容器の下部に取り付けられた下部温度センサと、
    前記上部温度センサの温度信号及び前記下部温度センサの温度信号に基づいて現保持時間を算出し、前記内側容器と前記外側容器との間の真空度を判定する真空度判定部とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検出器システム。
  4. 前記内側容器の下部に取り付けられた下部温度センサと、
    前記内側容器内に所定容量の液体窒素が収容された際に入力操作される入力装置と、
    前記下部温度センサの温度信号及び前記入力装置の入力時間に基づいて現保持時間を算出し、前記内側容器と前記外側容器との間の真空度を判定する真空度判定部とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検出器システム。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の検出器システムと、
    試料上の測定点に赤外光を出射する赤外光源部とを備え、
    前記検出素子は、前記試料上の測定点からの赤外光を検出することを特徴とする赤外顕微鏡。
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