JP6178197B2 - 放射線検出装置および放射線検出方法 - Google Patents
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Description
(第1の実施形態の構成)
まず、図1を用いて、本発明の第1の実施形態に係る放射線検出装置を説明する。この放射線検出装置は、アルファ線による気体の発光に基く発光源50からの光(特に紫外線)を検出して、これによりアルファ線を検出するものである。この放射線検出装置は、偏光選択素子1と、集光部材2a,2bと、波長選択器3と、遮断装置4と、光検出器5と、計数ユニット6と、表示装置7と、を備えている。このうちの表示装置7以外の部分、すなわち、偏光選択素子1と、集光部材2a,2bと、波長選択器3と、遮断装置4と、光検出器5と、計数ユニット6は共通の筐体40内に収容されている。
汚染物質からアルファ線が放出されると、大気中の窒素が励起されて微弱ではあるが紫外域の発光が生じ、汚染物質の表面近傍の発光源50から四方八方へ光子が拡散する。なお、発光は、いずれも紫外域ではあるが異なる波長から成る。この一方、環境には、窒素の発光光子以外にも太陽光や各種照明からの光などのノイズ光が存在する。
以上の結果、アルファ線による窒素の発光光子を光検出器5で観測して計数し、遮断装置4によって光検出器5を遮光した時の計数との差分をとることにより、光検出器5内部のノイズによるカウント数を取り除き、窒素の発光光子によるカウント数だけを求めることができる。これによって、アルファ線の量が少なく窒素の発光光子数が少ない場合にも発光光子が計数でき、カウント数の有無からアルファ線を検出し、またカウント数とアルファ線量の関係をあらかじめ把握しておくことでアルファ線量を定量できる。
(第2の実施形態の構成)
図5を用いて、本発明の第2の実施形態に係る放射線検出装置を説明する。なお第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
ただし、kはボルツマン定数、Tは温度、Bは光検出器の帯域、Rは抵抗である。
発光源50から発した光は、集光部材2a,2bによって集光され、波長選択器3を透過して、光検出器5において受光される。そして、計数ユニット6では、一定時間の間計数され、窒素の発光光子によるカウント数と光検出器5の内部で生じるノイズによるカウント数が合算され、表示装置7には図4(a)に示すような計数結果が得られる。この時、温度計測装置8によって光検出器5の温度を計測して温度補正ユニット9により、光検出器5の内部で生じ、温度の影響を受けるノイズの計数結果が図4(b)に示されるように得られる。
以上の結果、アルファ線による窒素の発光光子を光検出器5で観測して計数し、この時の温度を計測して温度毎にあらかじめ記憶された計数との差分をとることにより、光検出器5の内部の熱ノイズによるカウント数を取り除き、窒素の発光光子によるカウント数だけを求めることができる。これによって、アルファ線の量が少なく窒素の発光光子数が少ない場合にも発光光子が計数でき、カウント数の有無からアルファ線を検出し、またカウント数とアルファ線量の関係をあらかじめ把握しておくことでアルファ線量を定量できる。
以上の説明では、温度補正ユニット9と線量補正ユニット11の両方を用いて補正するものとしたが、これらの一方のみを用いたものであっても、状況によっては十分な精度が得られ、コストダウンを図ることができる。たとえば温度補正ユニット9を省略する場合は温度計測装置8が不要となる。また、線量補正ユニット11を省略する場合は線量計測装置10が不要になる。
図6を用いて、本発明の第3の実施形態に係る放射線検出装置を説明する。第3の実施形態は第2の実施形態の変形である。第2の実施形態では温度補正ユニット9と線量補正ユニット11が別個に設けられているが、この第3の実施形態では、これらが一体化した雰囲気補正ユニット60が設けられている。雰囲気補正ユニット60は、雰囲気補正演算部61と雰囲気ノイズ計数関数記憶部62を有する。なお第2の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(第4の実施形態の構成)
図7を用いて、本発明の第4の実施形態に係る放射線検出装置を説明する。なお第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
発光源50から発した光は、集光部材2c,2bによって集光され、波長選択器3および遮断装置4を透過した観測光は、観測範囲選択素子13を通過して光検出器5において受光される。この時、観測範囲は、観測範囲選択素子13によって集光部材2bの直径に制限されることから、観測範囲外からのノイズ光を除去することができる。これによって観測光中のノイズ光を低減させることができる。
以上の結果、アルファ線による気体の発光を観測する観測範囲を観測範囲選択素子13によって集光部材2bの直径に制限できることから、観測範囲外からのノイズ光を除去できる。これによって観測光中のノイズ光を低減させることができ、窒素の発光光子を光検出器5で選択的に観測できる。この結果、アルファ線の量が少なく窒素の発光光子数が少ない場合にも発光光子が効率的に計数し、カウント数の有無からアルファ線を検出でき、またカウント数とアルファ線量の関係をあらかじめ把握しておくことでアルファ線量を定量できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
2a,2b…集光部材
2c…集光部材(分光器)
3…波長選択器
4…遮断装置
5…光検出器
6…計数ユニット
7…表示装置
8…温度計測装置
9…温度補正ユニット
10…線量計測装置(雰囲気線量計測装置)
11…線量補正ユニット
12…画像計測ユニット
13…観測範囲選択素子
20…凹面鏡
21…凸面鏡
22…貫通孔
31…温度補正演算部
32…熱ノイズ計数関数記憶部
33…線量補正演算部
34…線量ノイズ計数関数記憶部
40…筐体
50…発光源
60…雰囲気補正ユニット
61…雰囲気補正演算部
62…雰囲気ノイズ計数関数記憶部
Claims (12)
- アルファ線による気体の発光に基く光を集光できる集光部材と、
前記集光部材によって集光された光を受光して光子数を計数できる光検出器と、
前記光検出器に向かう手前の光路上に配置されて、特定範囲の波長を選択的に透過させることにより前記アルファ線による気体の発光に基く光を選択的に透過させることができる波長選択器と、
前記光検出器に到達する前の光路上に配置されて、前記光を通過させる開状態と前記光を遮断する遮断状態とを切り替え可能な遮断装置と、
前記遮断装置が開状態にあるときに所定時間内に前記光検出器で受光して得られた光子数から前記遮断装置が閉状態にあるときに前記所定時間内に前記光検出器で得られたノイズ光子数を引いた差に基いてアルファ線量を求める計数ユニットと、
前記集光部材に向かう手前の光路上に配置されて、偏光の向きにより、アルファ線による気体の発光以外の光の前記光検出器への入射を低減させる偏光選択素子と、
を備えたことを特徴とする放射線検出装置。 - アルファ線による気体の発光に基く光を集光できる集光部材と、
前記集光部材によって集光された光を受光して光子数を計数できる光検出器と、
前記光検出器に向かう手前の光路上に配置されて、特定範囲の波長を選択的に透過させることにより前記アルファ線による気体の発光に基く光を選択的に透過させることができる波長選択器と、
前記光検出器の近傍の雰囲気温度を計測する温度計測装置と、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光しない状態で、前記光検出器で得られたノイズ光子数である熱ノイズ計数とそのときに前記温度計測装置によって計測された雰囲気温度との関係である熱ノイズ計数関数をあらかじめ記憶する熱ノイズ計数関数記憶部と、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光して前記光検出器で受光したときに前記温度計測装置によって計測された雰囲気温度により、前記熱ノイズ計数関数記憶部に記憶された前記熱ノイズ計数関数を用いて、そのときの熱ノイズ計数を求める温度補正演算部と、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光して前記光検出器で受光して得られた光子数からそのときの前記熱ノイズ計数を差し引いてアルファ線量を求める計数ユニットと、
前記集光部材に向かう手前の光路上に配置されて、偏光の向きにより、アルファ線による気体の発光以外の光の前記光検出器への入射を低減させる偏光選択素子と、
を備えたことを特徴とする放射線検出装置。 - 前記光検出器の近傍の雰囲気線量を計測する雰囲気線量計測装置と、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光しない状態で、前記光検出器で得られたノイズ光子数である線量ノイズ計数とそのときに前記雰囲気線量計測装置によって計測された雰囲気線量との関係である線量ノイズ計数関数をあらかじめ記憶する線量ノイズ計数関数記憶部と、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光して前記光検出器で受光して得られた光子数と、そのときに前記雰囲気線量計測装置によって計測された雰囲気線量とにより、前記線量ノイズ計数関数記憶部に記憶された前記線量ノイズ計数関数を用いて、そのときの線量ノイズ計数を求める線量補正演算部と、
をさらに備え、
前記計数ユニットは、前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光して前記光検出器で受光して得られた光子数からそのときの前記熱ノイズ計数および前記線量ノイズ計数を差し引いてアルファ線量を求めるものであること、を特徴とする請求項2に記載の放射線検出装置。 - アルファ線による気体の発光に基く光を集光できる集光部材と、
前記集光部材によって集光された光を受光して光子数を計数できる光検出器と、
前記光検出器に向かう手前の光路上に配置されて、特定範囲の波長を選択的に透過させることにより前記アルファ線による気体の発光に基く光を選択的に透過させることができる波長選択器と、
前記光検出器の近傍の雰囲気線量を計測する雰囲気線量計測装置と、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光しない状態で、前記光検出器で得られたノイズ光子数である線量ノイズ計数とそのときに前記雰囲気線量計測装置によって計測された雰囲気線量との関係である線量ノイズ計数関数をあらかじめ記憶する線量ノイズ計数関数記憶部と、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光して前記光検出器で受光して得られた光子数と、そのときに前記雰囲気線量計測装置によって計測された雰囲気線量とにより、前記線量ノイズ計数関数記憶部に記憶された前記線量ノイズ計数関数を用いて、そのときの線量ノイズ計数を求める線量補正演算部と、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光して前記光検出器で受光して得られた光子数からそのときの前記熱ノイズ計数および前記線量ノイズ計数を差し引いてアルファ線量を求める計数ユニットと、
前記集光部材に向かう手前の光路上に配置されて、偏光の向きにより、アルファ線による気体の発光以外の光の前記光検出器への入射を低減させる偏光選択素子と、
を備えたことを特徴とする放射線検出装置。 - アルファ線による気体の発光に基く光を集光できる集光部材と、
前記集光部材によって集光された光を受光して光子数を計数できる光検出器と、
前記光検出器に向かう手前の光路上に配置されて、特定範囲の波長を選択的に透過させることにより前記アルファ線による気体の発光に基く光を選択的に透過させることができる波長選択器と、
前記光検出器の近傍の雰囲気線量を計測する雰囲気線量計測装置と、
前記光検出器の近傍の雰囲気温度を計測する温度計測装置と、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光しない状態で、前記光検出器で得られた雰囲気ノイズ光子数である雰囲気ノイズ計数と、そのときに前記雰囲気線量計測装置によって計測された雰囲気線量およびそのときに前記温度計測装置によって計測された雰囲気温度との関係である雰囲気ノイズ計数関数をあらかじめ記憶する雰囲気ノイズ計数関数記憶部と、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光して前記光検出器で受光して得られた光子数と、そのときに前記雰囲気線量計測装置によって計測された雰囲気線量およびそのときに前記雰囲気温度計測装置によって計測された雰囲気温度とにより、前記雰囲気ノイズ計数関数記憶部に記憶された前記雰囲気ノイズ計数関数を用いて、そのときの雰囲気ノイズ計数を求める雰囲気補正演算部と、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光して前記光検出器で受光して得られた光子数からそのときの前記雰囲気ノイズ計数を差し引いてアルファ線量を求める計数ユニットと、
前記集光部材に向かう手前の光路上に配置されて、偏光の向きにより、アルファ線による気体の発光以外の光の前記光検出器への入射を低減させる偏光選択素子と、
を備えたことを特徴とする放射線検出装置。 - 前記光検出器に向かう手前の光路上に配置されて、観測範囲外から前記光検出器へ入射する光を除去する観測範囲選択素子をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
- 前記アルファ線による気体の発光に基く光を集光する範囲を画像計測する画像計測ユニットをさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
- 前記アルファ線による気体の発光に基く光は紫外線であって、
前記集光部材は、紫外線と可視光とを分離する分光器を備えて、その分離された紫外線を集光するものであり、
前記画像計測ユニットは、前記分光器によって分離された可視光により画像計測を行うものであること、を特徴とする請求項7に記載の放射線検出装置。 - 前記集光部材は、反射方式の光学系から構成されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の放射線検出装置。
- アルファ線による気体の発光に基く光を集光する集光ステップと、
特定範囲の波長を選択的に透過させることにより前記アルファ線による気体の発光に基く光を選択的に透過させる波長選択ステップと、
前記集光ステップで集光され、前記波長選択ステップで選択的に透過した光を光検出器で受光して光子数を計数する光検出ステップと、
前記集光ステップの前に、偏光の向きにより、アルファ線による気体の発光以外の光の前記光検出器への入射を低減させる偏光選択ステップと、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を遮断した状態で前記光検出器から出力されるノイズ光子数を計数するノイズ検出ステップと、
前記光検出ステップで得られた光子数から前記ノイズ検出ステップで得られたノイズ光子数を引いた差に基いてアルファ線量を求める計数ステップと、
を備えたことを特徴とする放射線検出方法。 - アルファ線による気体の発光に基く光を集光する集光ステップと、
特定範囲の波長を選択的に透過させることにより前記アルファ線による気体の発光に基く光を選択的に透過させる波長選択ステップと、
前記集光ステップで集光され、前記波長選択ステップで選択的に透過した光を光検出器で受光して光子数を計数する光検出ステップと、
前記集光ステップの前に、偏光の向きにより、アルファ線による気体の発光以外の光の前記光検出器への入射を低減させる偏光選択ステップと、
前記光検出ステップと同時に前記光検出器の近傍の温度を計測する温度計測ステップと、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を遮断した状態で前記光検出器から出力されるノイズ光子数を計数する熱ノイズ検出ステップと、
前記熱ノイズ検出ステップと同時に前記光検出器の近傍の温度を計測するノイズ検出時温度計測ステップと、
前記熱ノイズ検出ステップによって得られたノイズ光子数である熱ノイズ計数とそのときに前記熱ノイズ検出時温度計測ステップによって得られた熱ノイズ検出時温度とに基いて、熱ノイズ計数とそのときの雰囲気温度との関係である熱ノイズ計数関数を作成して記憶する熱ノイズ計数関数記憶ステップと、
前記温度計測ステップによって得られた温度により、前記熱ノイズ計数関数記憶ステップによって得られた前記熱ノイズ計数関数を用いて、前記熱ノイズ計数を求める熱ノイズ計数算出ステップと、
前記光検出ステップで得られた光子数から前記熱ノイズ計数算出ステップで得られた前記熱ノイズ計数を引く補正をする温度補正演算ステップと、
前記温度補正演算ステップで得られた光子数に基いてアルファ線量を求める計数ステップと、
を備えたことを特徴とする放射線検出方法。 - アルファ線による気体の発光に基く光を集光する集光ステップと、
特定範囲の波長を選択的に透過させることにより前記アルファ線による気体の発光に基く光を選択的に透過させる波長選択ステップと、
前記集光ステップで集光され、前記波長選択ステップで選択的に透過した光を光検出器で受光して光子数を計数する光検出ステップと、
前記集光ステップの前に、偏光の向きにより、アルファ線による気体の発光以外の光の前記光検出器への入射を低減させる偏光選択ステップと、
前記光検出ステップと同時に前記光検出器の近傍の雰囲気線量を計測する雰囲気線量計測ステップと、
前記アルファ線による気体の発光に基く光を遮断した状態で前記光検出器から出力される線量ノイズ光子数を計数する線量ノイズ検出ステップと、
前記線量ノイズ検出ステップと同時に前記光検出器の近傍の雰囲気線量を計測する線量ノイズ検出時線量計測ステップと、
前記線量ノイズ検出ステップによって得られたノイズ光子数である線量ノイズ計数と前記線量ノイズ検出時線量計測ステップによって得られた線量ノイズ検出時線量とに基いて、線量依存ノイズ計数とそのときの雰囲気の線量との関係である線量ノイズ計数関数を作成して記憶する線量ノイズ計数関数記憶ステップと、
前記線量ノイズ検出ステップによって得られた線量ノイズにより、前記線量ノイズ計数を求める線量ノイズ計数算出ステップと、
前記光検出ステップで得られた光子数から前記線量ノイズ計数算出ステップで得られた前記線量ノイズ計数を引く補正をする線量ノイズ補正演算ステップと、
前記線量ノイズ補正演算ステップで得られた光子数に基いてアルファ線量を求める計数ステップと、
を備えたことを特徴とする放射線検出方法。
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